JP5596141B2 - 画像処理装置、荷電粒子線装置、荷電粒子線装置調整用試料、およびその製造方法 - Google Patents

画像処理装置、荷電粒子線装置、荷電粒子線装置調整用試料、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、走査型電子顕微鏡等によって得られた画像内の変位等を測定,評価する方法,装置、及びコンピュータプログラムに関し、特に画像内の変形,変位等の分布の測定,評価が可能な方法,装置、及びコンピュータプログラム、或いは荷電粒子線装置調整用試料、その製造方法に関する。
半導体素子や薄膜磁気ヘッドなど、表面の微細加工により製作される機能素子製品の製造・検査工程では、加工されたパターン幅の測定(以下「測長」と呼ぶ)および外観検査等に、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)が広く用いられている。走査型電子顕微鏡は、電子源から放出され、磁場あるいは電場と電子線の相互作用を利用した収束レンズおよび対物レンズにより細く絞られた電子線を、偏向器を用いて試料上で一次元あるいは二次元的に走査し、電子線照射によって試料から発生する二次信号(二次電子や反射電子,電磁波)を、光電効果等を利用した検出器により検出し、その検出信号を電子線の走査と同期した輝度信号等の可視化可能な信号に変換・処理することで試料像を形成する装置である。
このような撮像を行う画像処理装置では、視野内の局所的な歪みを評価する手法が知られている。特許文献1には、周期構造を持つ測定用標準試料を用いて第1の倍率における絶対歪みを測定し、任意構造を持つ測定用試料を第1の倍率と第2の倍率で撮影(第2の倍率で撮影した画像を比較画像とする)し、第1の倍率で撮影した画像を第2の倍率まで伸縮し伸縮画像を形成し、当該伸縮画像と上記比較画像を用いて、倍率間の相対歪みを測定すると共に、当該相対歪みと、上記絶対歪みに基づいて、第2の倍率の絶対歪みを求めることが説明されている。
一方、SEMを用いた測定装置には、高精度な計測を長期間安定して行うことが求められる。さらに、製造ラインにある複数の測長装置の計測寸法の差を低減し、どの装置で測定しても同じ計測結果を得られるようにする必要がある。そのためには、測長電子顕微鏡の計測精度を簡便にモニタし、半導体製造ラインで使用する全ての装置で常に同じ精度の測定結果が出るように、装置の調整や校正を実施する必要がある。
電子顕微鏡の計測精度を決める重要な一つの要素として、入射電子線の空間分解能がある。空間分解能の評価値として、取得した電子顕微鏡画像内のエッジシャープネスを計測する方法がある。電子顕微鏡画像からエッジシャープネスを測定する手法として、例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5が知られている。
エッジシャープネスを測定するための試料として、従来は、特許文献2に記載された導電性の有機膜に金粒子等の重金属の微粒子を付着させた試料が知られている。また、他の試料として、非特許文献1に記載されているように、Si基板上にSiの微細な針状の突起を形成した試料が知られている。さらに、非特許文献2に記載されているように、Si基板上にSi酸化膜とレジストを積層した試料をドライエッチング処理することにより、Si基板上にSi酸化膜の不規則パターンを形成した試料が提案されている。これらの試料の電子顕微鏡画像を取得し、画像処理を行うことによってエッジシャープネスを算出する方法が知られている。
また、電子顕微鏡の計測精度を決める他の要因として、電子顕微鏡画像の倍率校正精度がある。従来はピッチ寸法100nm以下の微細性を有した校正用試料として、特許文献6に記載されたような周期構造を持つ超格子試料が提案されている。このような、周期構造を持つ倍率校正用試料を用いて、画像内の局所的な倍率を校正する手法として、特許文献1に記載された手法が知られている。
特開2008−14850号公報(対応米国特許公報USP7,633,064) 特開平11−224640号公報 特開2005−268231号公報(対応米国特許公報USP7,236,651) 米国特許第5969273号明細書 米国特許第6545275号明細書 特開2007−303892号公報(対応米国特許公報USP7,834,997)
Proceedings of SPIE Vol. 4344, pp. 827-834 (2001). Proceedings of SPIE Vol. 7272, pp. 727204-1-12 (2009).
特許文献1に開示の技術によれば、従来の標準試料ではカバーしきれない範囲の倍率にて、標準試料を用いた歪み測定が可能であるが、要求される寸法精度の高まりにつれて、標準試料自体の精度の相対的な低下が懸念されるようになってきた。特許文献1に開示の手法によれば、特許文献1のように倍率間の相対歪みは補償することができるが、標準試料自体の形成精度まで補償することはできない。
また、伸縮画像と比較画像は、もともと異なる倍率にて撮像されているため、第1と第2の倍率間の倍率差によっては、相対歪みの測定精度の低下が懸念される。
更に標準試料は一般的に規則的なパターンが均等に配列されたものであるが、高倍率画像を取得すると、ピッチ間隔が局所的にばらついている。このようなラフネスはピッチ間隔の測定値にばらつきを生じさせるため、異なる位置の複数のピッチ間隔を測定し、平均化することによって、そのばらつきを抑制する必要があり、その測定には相応の時間を要する。
以下に、高速且つ高精度に、視野内の部分的な変位を測定、或いは評価することを第1の目的とする画像処理装置等について、説明する。
更に、半導体装置は更なる微細化・高集積化の方向にあり、今後も上述の従来の試料を用いて走査型電子顕微鏡の分解能評価値を測定し、電子顕微鏡を調整したり、画像の倍率校正を行うことが可能かどうかについて検討を行なった。
まず、特許文献2に記載されたように、導電性を有した有機膜に金粒子等の重金属の微粒子を付着させた試料を用いて電子顕微鏡を調整した場合、その後の半導体装置の測定において金等の重金属が半導体装置に混入し、半導体装置の不良の原因となることが懸念される。
また、非特許文献1に記載されているような、Si基板上にSiの微細な針状の突起を形成した電子顕微鏡のエッジシャープネス評価用試料6812について検討した結果、以下の課題があることが分かった。前記試料6812の模式図を図68に示す。図68(a)に上面図を示し、直線6817での断面図を図68(b)に示す。本試料に形成された針状の微細な突起6813、6814、6815は、電子顕微鏡画像取得領域において、断面図のように突起6813、6814、6815の先端の高さの差6816が其々ばらついていた。また、突起の断面形状は針状であり、断面形状も突起によってばらついていた。本試料6812は非常に微細なパターンを有しているので、高倍率での電子顕微鏡画像のエッジシャープネスが測定できるが、前記のように、個々の突起の高さと形状のばらつきのため、本試料6812を用いて、電子顕微鏡のエッジシャープネス、または、倍率を高精度に再現性良く、安定して測定することが困難である。
図69には、パターンの高さばらつきがエッジシャープネスの計測精度に与える影響を説明するための図を示す。図69(a)には、高さが異なったパターンの断面の模式図として、高いパターン6941と低いパターン6942の断面の模式図を示す。図69(b)には、図69(a)に示した高いパターン6941の電子顕微鏡画像の二次電子プロファイル6943と低いパターン6942の電子顕微鏡画像の二次電子プロファイル6944を示す。エッジシャープネスはパターンエッジにおいて電子線プロファイルの変化する距離を測定して求めている。図69(b)では、一例として、パターントップからの信号が平坦になっている部分から、パターン底部8からの信号が平坦になっている部分までの距離をエッジシャープネスとしている。高いパターン6941で求めたエッジシャープネス6945と低いパターン6942で求めたエッジシャープネス6946の間には、パターン高さに起因するエッジシャープネスのばらつき6947が生じる。従って、測定する試料のパターン高さがばらついていると、エッジシャープネスの測定値がばらつくという問題が生じる。電子顕微鏡画像を取得する領域でパターンの高さがばらつくと、エッジシャープネスの測定精度や測定再現性が低下し、高精度に電子顕微鏡を調整できないという問題が生じる。
上述のような、電子顕微鏡画像のエッジシャープネスに影響を及ぼすパターンの高さばらつきの有無は、例えば、電子顕微鏡画像の階調値の分布から判定することができる。図70には、非特許文献1に記載されているような針状の突起を形成した試料の電子顕微鏡画像の白黒階調のヒストグラムの一例を示す。ヒストグラムの階調が高いほど画像が明るく、階調が低いほど画像が暗いことを示している。図705のヒストグラムは明るいピーク7031と暗いピーク7032から成り、明るいピーク7031は針状の突起6813〜6815からの信号であり、暗いピーク7032はパターン底部6608からの信号である。明るいピーク7031と暗いピーク7032の階調差7033は針状の突起の高さに依存して変化する明るさ成分である。
暗いピーク7032の階調ばらつきσB2はパターン底部からの信号ばらつきであり、画像ノイズ成分とパターン底部の高さばらつきに起因するものである。本パターンの場合、パターン底部8の高さばらつきはほとんど0であるため、ばらつきσB2は主に画像ノイズ成分σNである。一方、明るいピーク7031のばらつきσT2は針状の突起6813〜6815のパターントップ部からの信号ばらつきであり、画像ノイズσNとパターントップ部の高さばらつきに起因する明るさばらつきσTH2を合わせたばらつきである。明るいピーク7031のばらつきσT2は50階調であり、暗いピーク7032のばらつきσB2は約25階調である。従って、画像ノイズ成分のばらつきσNが25階調とすると、パターントップ部の高さばらつきに起因する成分σTH2は約25階調である。
ここで、図70に示した針状パターンの電子顕微鏡画像のヒストグラムにおいて、明るいピーク7031と暗いピーク7032の差は100階調であり、パターン底部からパターントップの高さに依存して変化する明るさ成分である。そこで、例えば、パターン底部からパターントップまでの平均高さが100nmのパターンであるとすると、針状パターンの高さばらつきは約25nmと推定できる。従って、サンプル高さに起因するエッジシャープネスの測定ばらつきを1/10以下に低減して測定することは困難であることが分かった。ここで、エッジシャープネスの測定ばらつきを1/10以下に低減するには、例えば、パターン底部からパターントップまでの平均高さが100nmのパターンにおいて、パターンの高さばらつきを10nm以下に抑える必要がある。この場合、電子顕微鏡画像のヒストグラムのパターントップ部の高さばらつきに起因する階調のばらつき成分σTHは10階調に相当する。
また、パターンの高さばらつきが大きい場合、電子光学系の合焦点高さによって、エッジシャープネスの測定精度が変化する場合がある。例えば、図68(b)に示した高い突起6813に電子顕微鏡の焦点が合っている場合の電子線プロファイルを図71(a)に示し、低い突起6814に焦点が合っている場合の電子線プロファイルを図71(b)に示す。高い突起6813に焦点が合っている場合、電子線プロファイルから突起6813のエッジ7125は正確に測定できるが、溝底(パターン底部)近傍のエッジ7126を正確に測定することはできなかった。反対に、低い高さの突起6814に焦点が合っている場合、溝底6608近傍のエッジや低い突起6814のエッジ7129は正確に測定できたが、高い突起6813のエッジ7127は正確に測定できないという問題が生じることが分かった。この問題は焦点深度が深い場合であっても生じる。このように、同じ画像内において、全ての高さのパターンについて安定した画像が取得できないため、正確で安定したエッジシャープネスの測定値を得ることができないことが分かった。
さらに、従来のエッジシャープネス評価用試料6812は5mm角よりも小さいチップであるため、電子顕微鏡画像を取得する際には、試料ホルダ上に設置して測定する必要がある。試料ホルダ上に設置したチップ状のサンプル(試料)の模式図を図72に示す。試料ホルダ7261上に試料7264を設置して画像を取得する場合、試料ホルダ7261の最上面7262と試料7264の表面7263の高さが一致する必要がある。これは、試料の大きさが5mm角よりも小さいチップであって、且つ、試料ホルダ7261の最上面7262と試料7264の表面7263の高さがずれている場合、試料表面7263上の電界強度分布7265が変化するため、試料ホルダ7261上の試料7264の電子顕微鏡画像を用いて電子顕微鏡を調整した後、被検査ウエハの電子顕微鏡画像を取得すると測定精度が低下するためである。試料ホルダ7261の最上面7262とサンプルの表面7263の高さを完全に一致させて試料7264を設置して、被検査ウエハ表面の電界強度分布と完全に同じ電界強度分布7265を実現することは事実上困難である。
また、非特許文献2に記載されているような、Si基板上に形成したSi酸化膜に不規則パターンを形成した試料では、電子線を照射したときに試料表面が帯電し、この帯電によって電子顕微鏡画像がぼやけたり、歪んだりするという課題がある。試料表面の帯電によって画像がぼやけたり歪んだりした電子顕微鏡画像では、走査型電子顕微鏡の光学系を精密に調整できないという問題が懸念される。
また、特許文献6に記載されたような周期構造を持つ試料を用いて倍率校正をする場合には次のような課題が生じる。半導体の製造現場で要求される寸法の測定精度が高まるにつれて、倍率校正用試料には均一で微細なパターンが要求されているが、実際の校正用試料は、パターン寸法が局所的にばらついている。このようなサンプルの寸法ばらつきは倍率の測定誤差の原因となるため、多数の画像を取得してピッチ間隔を測定し、それらの平均値を測長値とする必要があり、その測定には相応の時間を要する。そして、画像内の倍率や形状ひずみを計測するためには、画像内の各局所領域において、この測定を行わなければならないため、計測を完了するまでには数時間以上の時間を要する。そして、装置の安定性を確認するために、この計測を定期的に繰り返さなければならない。また、寸法が校正された標準試料は、一般的に高価であるため、結果的に装置の維持管理費が高くなる。
以下に、上記の課題を解決し、半導体装置の製造現場で使用可能な荷電粒子線装置を高精度、且つ、安定して調整することを第2の目的とする荷電粒子線装置調整用試料、その製造方法、及び前記調整用試料を用いて高精度に調整された荷電粒子線装置を提案する。
上記第1の目的を達成するための一態様として、試料上の特定領域を第1の部分とする第1の領域の第1の画像と、当該第1の領域とその位置が異なると共にその一部が重畳する第2の領域の第2の画像を取得し、第2の画像内の第1の部分に相当する測定点と、第2の画像内の特定領域に相当する第2の部分との間の距離を、第1の画像と第2の画像の重畳領域の複数の部位について求めることを特徴とする画像処理装置等を提案する。さらに、検出される画像内の局所的な歪みを用いて、画像内歪みによる各エリアの位置ずれ分布を求めることを特徴とする画像処理装置等を提案する。
上記第2の目的を達成するための一実施形態として、基板と、前記基板表面に形成され、半導体材料からなる凹凸パターンとを有し、前記凹凸パターンは、二次元方向に不規則なパターンであり、前記凹凸パターンの凸部上面は、高さの揃った平坦面であることを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料とする。
また、パターニングしていない厚さ10nm〜0.1nmの範囲の膜厚で均一なSi酸化膜をSi基板上に形成する工程と、プラズマ式ドライエッチング装置を用い、Si酸化膜に対する選択比が高い条件にて前記Si基板に微細パターンを形成する工程とを含み、前記ドライエッチング前のSi基板の最表面は、前記微細パターン上面の平坦面を構成することを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料の製造方法とする。
また、前記荷電粒子線装置調整用試料を用いて、焦点、非点、画像分解能、エッジシャープネス、画像倍率、画像歪みの少なくとも一つを測定し、前記測定した値が予め設定した値の範囲に入るように調整したことを特徴とする荷電粒子線装置とする。
上記第1の態様によれば、第1の画像と第2の画像との間の同一の特定領域間の距離情報は、画像の部分的な歪みを含んでいるため、複数の部位について、距離を測定することによって、視野内の歪みの分布を測定することが可能となる。例えば第1の画像と第2の画像との間に、100nmの距離差があれば、特定領域間の距離も100nmになるはずである。しかしながら、この距離が100nm以外の値になるということは、画像上で特定領域の位置が変位していることになる。即ち、当該特定領域は画像内でひずんだ位置に位置づけられていることが判る。よって複数の部位について、当該距離を求めることによって、視野内の歪みの分布を測定することが可能となる。
また、好適な一例として、第1の画像と第2の画像を同じ倍率(同じ視野の大きさ)で取得することによって、特定領域の画像を同じ条件にて再現することになるため、第1と第2の画像間の距離測定を高精度に実現でき、結果として高精度な歪み測定を実現することが可能となる。
この結果は倍率分布等の局所的な画像の歪み情報である。さらに、像歪みをもつ画像での任意のパターンの測長および形状評価のために検出したエッジ点等の画像内の位置に対する補正するために、視野内の局所的な歪みの分布を歪みの種類ごとに抽出し、画像全体の歪みによる相対的な位置ずれ分布を算出し、検出したエッジ点等の画像内位置を補正することが可能となる。
また、基板表面に高さの揃った半導体材料からなる不規則パターンを形成することにより、半導体装置の製造現場で使用可能な荷電粒子線装置を高精度、且つ、安定して調整することのできる荷電粒子線装置調整用試料およびその製造方法を提供することができる。また、当該調整用試料を用いることにより高精度に調整された荷電粒子線装置を提供することができる。
像歪み測定の原理説明図。 歪み測定のための画像取得工程を説明するフローチャート。 像歪み計測用試料の一例を説明する図。 像歪み計測結果の分布表示例を説明する図。 視野移動前後で視野内に表現されたパターンの位置が変化する原理を説明する図。 パターンマッチング法を用いて、視野移動後の画像の特定領域の位置を求める例を説明する図。 複数の測定、或いは検査装置がネットワークに接続された測定,検査システムの概略説明図。 走査型電子顕微鏡の概略構成図。 画像処理プロセッサの一例を説明する図。 画像歪みの評価工程を説明するフローチャート。 歪み評価値用試料を配置した試料台の一例を説明する図。 歪み測定のための移動量測定位置の例を説明する図。 基準位置とは異なる位置に移動量評価位置を設定した例を説明する図。 基準位置の移動量の測定例を説明する図。 歪みの分布図の一例を説明する図。 パターン画像から、輪郭線を抽出するための手法の一例を説明する図。 輪郭線抽出工程を説明するフローチャート。 歪み情報に基づいて、寸法測定値を補正する例を説明する図。 歪み補正に基づいてシミュレーション結果とSEM画像を比較する工程を説明するブロック図。 シミュレーション結果,輪郭線、及び歪み分布情報を重畳表示する工程を説明するブロック図。 SEM画像とシミュレーション画像を重畳した例を説明する図。 測定、或いは検査部位の特定に基づいて、FOV内の複数の領域中から選択的に、歪み評価を行う部分を選択するプロセッサの一例を説明する図。 複数のSEMにて像歪みの評価を行う工程を説明する図。 基準パターンを用いて、倍率校正を行う工程を説明するフローチャート。 視野内の基準位置に基準パターンを位置づけた例を説明する図。 2つの視野間にて複数部位の移動量演算を行う手法の概念図。 歪みの無い画像の例を示す図。 X方向倍率歪みの画像の例を示す図。 Y方向倍率歪みの画像の例を示す図。 X方向せん断歪みの画像の例を示す図。 Y方向せん断歪みの画像の例を示す図。 像歪み測定の原理説明図(視野ずらしY方向)。 像歪み測定の原理説明図(視野ずらしX方向)。 像歪み率分布のベクトル表示例(視野ずらしY方向)を示す図。 像歪み率分布のX方向平均表示例(視野ずらしY方向)を示す図。 像歪み率分布のベクトル表示例(視野ずらしX方向)を示す図。 像歪み率分布のY方向平均表示例(視野ずらしX方向)を示す図。 像歪み測定の原理説明図(視野ずらしXY方向) 像歪み率分布のベクトル表示例(視野ずらしXY方向)を示す図。 像歪み率分布のX方向およびY方向平均表示例(視野ずらしX方向)を示す図。 画像回転角度0°の例を示す図。 画像回転角度θの例を示す図。 画像回転角度θでの走査線歪みの例を示す図。 Y方向倍率の歪み分布の表示例を示す図。 Y方向倍率の歪み率分布算出結果の表示例を示す図。 X方向倍率の歪み分布の表示例を示す図。 X方向倍率の歪み率分布算出結果の表示例を示す図。 計測点以外の点の移動量の算出例を示す図。 位置ずれ量分布の計測フローチャート。 位置ずれ量分布計測の例を示す図。 位置ずれ量分布とL/Sパターンの歪みの例を示す図。 L/Sパターンで検出したエッジ点の補正例を示す図。 スキャン歪みへのフィードバック(ハード補正)例を示す図。 ハード補正による画像歪み補正例を示す図。 画像処理による画像歪み補正例を示す図。 画像処理による画像歪み補正例を示す図(歪みの変化が大きい場合)。 歪みによる位置ずれ分布の歪み計測画像へのフィードバック例を示す図。 歪みによる位置ずれ分布の和を用いた補正例を示す図。 位置ずれ量分布のフィードバックによる精度向上法の一例を示すフローチャート(その1)。 位置ずれ量分布のフィードバックによる精度向上法の一例を示すフローチャート(その2)。 歪み補正データの保存例を示す図。 パターン寸法計測の例を示す図。 パターン寸法計測の例を示す図。 位置ずれ量分布の表示方法の一例を示す図。 GUI画面上に歪み分布情報を表示する例を示す図。 第2の実施例に係る荷電粒子線装置調整用試料の特徴を示した概略図であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。 第2の実施例に係る荷電粒子線装置調整用試料の一実施例の電子顕微鏡写真であり、(a)は上面写真、(b)は断面写真である。 従来の電子顕微鏡のエッジシャープネス評価用試料の模式図であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。 パターンの高さばらつきがエッジシャープネスの計測精度に与える影響の説明図であり、(a)はパターン断面図、(b)はパターン断面に対応する信号強度である。 従来の試料を用いた場合の電子顕微鏡画像の白黒階調のヒストグラムの一例である。 従来の試料を用いた場合の電子線プロファイルの説明図であり、(a)は高い突起に焦点を合わせた場合、(b)は低い突起に焦点を合わせた場合を示す。 試料ホルダ上に設置したチップ状の荷電粒子線装置調整用試料の模式図である。 第2の実施例に係る荷電粒子線装置調整用試料の製造工程のフローチャート図の一例である。 第2の実施例に係る荷電粒子線装置調整用試料の作成工程途中の試料の模式図であり、(a)はステップS801(酸化膜形成後)の荷電粒子線装置調整用試料断面、(b)はステップS802(ドライエッチ後)の荷電粒子線装置調整用試料断面を示す。 SiおよびSi酸化膜に対するエッチレートの混合ガス中のO2ガス比による変化を説明する図である。 第2の実施例に係る荷電粒子線装置調整用試料の電子顕微鏡画像の白黒階調のヒストグラムの一例である。 第2の実施例に係る荷電粒子線装置調整用試料の画像から取得した電子線プロファイルの一例である。 第2の実施例に係る荷電粒子線装置調整用試料を用いて測定したエッジシャープネスと標準的なラインパターンの平均測長値との相関図であり、(a)は対物レンズの電流値を変化させて、入射電子ビームの焦点を変化させた場合、(b)は非点を変化させた場合を示す。 第3の実施例で用いた走査型電子顕微鏡の概略構成図の一例である。 図66に示す調整用試料を用いたエッジシャープネス測定フローチャートの一例である。 画像歪み測定のための画像取得工程を説明するフローチャートである。 画像マッチングでパターンの移動量を測定する方法の説明図である。 図66に示す調整用試料の画像のパワースペクトルの一例である。
以下に、画像内の歪み情報の取得に関連する実施例等を第1、及び第4の実施例として、調整用試料を用いた荷電粒子線装置の高精度調整に関連する実施例等を第2、及び第3の実施例として、図面を用いて説明する。
本実施例では、顕微鏡などの画像を取り扱う装置において、試料を観察し、そこに写っている形状の寸法を計測する技術に関し、主に画像内の倍率歪みや形状歪みを測定,評価する手法について説明する。
特に、走査型電子顕微鏡を用いて微細パターンを観察し、その寸法を計測する走査型電子顕微鏡に関り、特に顕微鏡による観察像内の倍率歪みや形状歪みを測定したり、校正したりする方法を対象とする走査型電子顕微鏡に関する。
走査型電子顕微鏡では、観察・測長する試料表面の形状と高い精度で対応した試料像を得られるように努力が払われており、こうして得た試料像から、試料表面の任意の2点間の距離を演算する。この演算は一般に「測長」と呼ばれ、かかる演算機能を持つ走査型電子顕微鏡は「測長電子顕微鏡」と呼ばれている。
微細加工の寸法はすでにnmの単位を用いるほど微細なものになっているため、測長により得られた寸法値であるところの測長値には、極めて高い精度が要求される。それには、試料像の拡大倍率が正確であり、かつそれが像内のいかなるところにおいても均一でなければならない。これを、像内の倍率均一性もしくは倍率歪みと呼ぶ。
また、倍率のみならず、形状も均一でなければならない。これは、試料が直線であれば、像内においても直線でなければならないことを意味している。像内で局所的な倍率歪みが発生していると、その周辺部分において、直線であるべきものが曲がって見えている。曲がっていても、倍率は正確である場合もある。これを、像内の形状均一性もしくは形状歪みと呼ぶ。
このような倍率歪みや形状歪みを定量的に測定するため、あらかじめ試料上にある形状の寸法が校正されている倍率標準試料を測長し、それを標準試料の校正寸法と比較することによって、倍率を校正する作業が定期的に行われている。
しかしながら、測長すべきパターンの微細化が加速度的に進んでいるために、歪み計測に要求される精度や倍率が非常に高くなってきている。そのため、それに見合う標準試料を準備することが困難であるという課題が生じている。
例えば、大きさが約20nmのパターンを測長するときに、像内の倍率均一性に対する要求精度は約0.1%である。また、そのパターン外周の輪郭線形状に対する要求精度は、その輪郭線位置に換算して約1nm以下である。
これらの要求精度を満足するためには、標準試料のパターン寸法の不確かさが、上記要求精度の約10分の1であることが好ましい。また、その不確かさは、公的な認証機関が認証規格に則って発行した校正証明書によって、トレーサビリティが確立されている必要がある。そうでないと、精度や不確かさを信頼することができないからである。
例えば寸法が100nmの標準試料では、規則的に並んだ直線パターンのピッチ間隔を標準寸法としており、その長さが約100nmとなる。測長時には倍率を約15万倍にして測長するが、この倍率で観察すると、ピッチ間隔が局所的にばらついている。
これは試料上の直線パターンの輪郭が完全な直線ではなく、局所的な凹凸があるためである。これを、エッジラフネスと呼ぶ。このようなピッチ間隔のばらつきによる誤差を小さくするために、試料上の様々な場所のピッチ間隔を測長し、それらの平均値を測長値とみなしている。約20ヶ所測長すると、平均値のばらつきは約±0.3nm以内になる。
これは、100nmに対して約0.3%のばらつきに相当する。前述した0.1%の精度にするためには、約180ヵ所を測定して平均化する必要があり、これには約30分程度の時間を要する。
そして、像内の倍率や形状歪みを計測するためには、像内の各場所において、この測定を行わなければならないため、歪み計測を完了するまでには数時間以上の時間を要する。
そして、装置の安定性を確認するために、この計測を定期的に繰り返さなければならない。また、半導体パターンの微細化がさらに進むと、それはさらに増大する傾向にある。
この歪み計測を行っている間は、測長機は生産に寄与することができない。よって、生産性の低下や、CoO(Cost of Ownership)の低下が懸念される。さらに、寸法が校正された標準試料は、一般的に高価であるため、結果的に装置の維持管理費が高くなることが懸念される。
以下に説明する実施例では、画像処理技術の適用により、少ないSEM画像取得数によって、視野内の歪みを測定することができるため、高速に歪み計測を行うことができる。また、適用する試料も絶対寸法が保証されている必要はないため、種々の試料を適用することが可能となる。
以下に、画像処理装置によって得られた画像内の位置ごとの画像の移動量,変形,変位等を測定,評価する方法,装置、及びコンピュータプログラム(或いは当該コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体、或いは当該プログラムを伝達する伝達媒体)又は、画像処理専用で設計された画像処理プロセッサ,専用のハードウェアアクセラレータについて、図面を用いて説明する。より具体的には、測定,検査装置の一種である測長用走査型電子顕微鏡(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope:CD−SEM)や欠陥レビュー検査装置(Defect Review-SEM:DR−SEM)に関係する上記方法,装置等について説明する。
なお、以下の説明では、画像を形成する装置として荷電粒子線装置を例示すると共に、その一態様として、SEMを用いた例を説明するが、これに限られることはなく、例えば試料上にイオンビームを走査して画像を形成する集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)装置を荷電粒子線装置として採用するようにしても良い。但し、微細化が進むパターンを高精度に測定するためには、極めて高い倍率が要求されるため、一般的に分解能の面でFIB装置に勝るSEMを用いることが望ましい。
図7は、複数の測定、或いは検査装置がネットワークに接続された測定,検査システムの概略説明図である。当該システムには、主に半導体ウエハやフォトマスク等のパターン寸法を測定、あるいは検査するSEM701,702,703がネットワークに接続された構成となっている。また、ネットワークには、半導体デバイスの設計データ上で、測定位置や測定条件等を設定し、且つ得られたSEM画像に基づいて、測定や検査を行う画像処理装置としても機能する条件設定装置704、半導体デバイスの設計データと、半導体製造装置の製造条件等に基づいて、パターンの出来栄えをシミュレーションするシミュレーター705、及び半導体デバイスのレイアウトデータや製造条件が登録された設計データが記憶される記憶媒体706が接続されている。
設計データは例えばGDSフォーマットやOASISフォーマットなどで表現されており、所定の形式にて記憶されている。なお、設計データは、設計データを表示するソフトウェアがそのフォーマット形式を表示でき、図形データとして取り扱うことができれば、その種類は問わない。また、記憶媒体706は測定装置,検査装置の制御装置、或いは条件設定装置704,シミュレーター705に内蔵するようにしても良い。なお、シミュレーター705は、設計データに基づいて、欠陥発生位置をシミュレーションする機能を備えている。
なお、SEM701,702,703には、それぞれの制御装置が備えられ、各装置に必要な制御が行われるが、これらの制御装置に、上記シミュレーターの機能や測定条件等の設定機能を搭載するようにしても良い。
SEMでは、電子源より放出される電子ビームが複数段のレンズにて集束されると共に、集束された電子ビームは走査偏向器によって、試料上を一次元的、或いは二次元的に走査される。
電子ビームの走査によって試料より放出される二次電子(Secondary Electron:SE)或いは後方散乱電子(Backscattered Electron:BSE)は、検出器により検出され、前記走査偏向器の走査に同期して、フレームメモリ等の記憶媒体に記憶される。このフレームメモリに記憶されている画像信号は、制御装置内に搭載された演算装置によって積算される。また、走査偏向器による走査は任意の大きさ,位置、及び方向について可能である。
以上のような制御等は、各SEMの制御装置にて行われ、電子ビームの走査の結果、得られた画像や信号は、通信回線ネットワークを介して条件設定装置704に送られる。なお、本例では、SEMを制御する制御装置と、条件設定装置704を別体のものとして、説明しているが、これに限られることはなく、条件設定装置704にて装置の制御と測定処理を一括して行うようにしても良いし、各制御装置にて、SEMの制御と測定処理を併せて行うようにしても良い。
また、上記条件設定装置704或いは制御装置には、測定処理を実行するためのプログラムが記憶されており、当該プログラムに従って測定、或いは演算が行われる。
また、条件設定装置704は、SEMの動作を制御するプログラム(レシピ)を、半導体の設計データに基づいて作成する機能が備えられており、レシピ設定部として機能する。具体的には、設計データ,パターンの輪郭線データ、或いはシミュレーションが施された設計データ上で所望の測定点,オートフォーカス,オートスティグマ,アドレッシング点等のSEMにとって必要な処理を行うための位置等を設定し、当該設定に基づいて、SEMの試料ステージや偏向器等を自動制御するためのプログラムを作成する。
図8は、走査型電子顕微鏡の概略構成図である。電子源801から引出電極802によって引き出され、図示しない加速電極によって加速された電子ビーム803は、集束レンズの一形態であるコンデンサレンズ804によって、絞られた後に、走査偏向器805により、試料809上を一次元的、或いは二次元的に走査される。電子ビーム803は試料台808に内蔵された電極に印加された負電圧により減速されると共に、対物レンズ806のレンズ作用によって集束されて試料809上に照射される。
電子ビーム803が試料809に照射されると、当該照射個所から二次電子、及び後方散乱電子のような電子810が放出される。放出された電子810は、試料に印加される負電圧に基づく加速作用によって、電子源方向に加速され、変換電極812に衝突し、二次電子811を生じさせる。変換電極812から放出された二次電子811は、検出器813によって捕捉され、捕捉された二次電子量によって、検出器813の出力が変化する。この出力に応じて図示しない表示装置の輝度が変化する。例えば二次元像を形成する場合には、走査偏向器805への偏向信号と、検出器813の出力との同期をとることで、走査領域の画像を形成する。また、図8に例示する走査型電子顕微鏡には、電子ビームの走査領域を移動する偏向器(図示せず)が備えられている。この偏向器は異なる位置に存在する同一形状のパターンの画像等を形成するために用いられる。この偏向器はイメージシフト偏向器とも呼ばれ、試料ステージによる試料移動等を行うことなく、電子顕微鏡の視野(Field Of View:FOV)位置の移動を可能とする。イメージシフト偏向器と走査偏向器を共通の偏向器とし、イメージシフト用の信号と走査用の信号を重畳して、偏向器に供給するようにしても良い。
なお、図8の例では試料から放出された電子を変換電極にて一端変換して検出する例について説明しているが、無論このような構成に限られることはなく、例えば加速された電子の軌道上に、電子倍像管や検出器の検出面を配置するような構成とすることも可能である。
制御装置710は、走査型電子顕微鏡の各構成を制御すると共に、検出された電子に基づいて画像を形成する機能や、ラインプロファイルと呼ばれる検出電子の強度分布に基づいて、試料上に形成されたパターンのパターン幅を測定する機能を備えている。
以下に、画像の複数部分の情報を評価する手法に関し、特に画像の複数部分の情報に基づいて、画像内の複合的な変化情報(以下、像歪みと称することもある)を適正に評価する手法について、図面を用いて説明する。図9は、像歪みを評価するプロセッサの概要を説明する図である。なお、本例では画像処理専用で設計された画像処理プロセッサ、或いは専用のハードウェアアクセラレータを用いて、後述する処理を行う例について説明するが、これに限られることはなく、例えば汎用のプロセッサに所定のプログラムを実行させることで、後述するような処理を実施させるようにしても良い。
図9に例示する画像処理プロセッサ901は、移動量演算領域設定部902,視野ずらし条件設定部903,テンプレート設定部904,パターンマッチング実行部905,位置ずれ量/方向演算部906,画像歪み量演算部907,テンプレート記憶部908、及び演算結果記憶部909を備えている。
移動量演算領域設定部902では、入力或いは予め設定された条件に基づいて、画像上の移動量を演算すべき複数の領域を設定する。視野ずらし条件設定部903では、入力或いは予め設定されたずらし量、及び方向に基づいて、走査型電子顕微鏡等の視野ずらし量を設定する。ここで設定されたずらし量は、上述のイメージシフト偏向器の偏向信号として、レシピ記憶部に記憶される。レシピ記憶部は、走査型電子顕微鏡の制御装置710に内蔵するようにしても良いし、外部の記憶媒体に記憶するようにしても良い。テンプレート設定部904では、走査型電子顕微鏡によって得られた画像の一部、半導体デバイスの設計データ、或いは当該設計データに露光シミュレーション等を施すことによって得られる画像の一部を切り出してテンプレートを作成する。テンプレート設定部904にて作成されたテンプレートは、テンプレート記憶部908、或いはレシピ記憶部に記憶される。
パターンマッチング実行部905では、テンプレート設定部904にて作成されたテンプレートに基づいて、パターンマッチングを実行する。テンプレートマッチングとは、試料上の所望の位置と同じ形状のパターンが表示されたテンプレートを使用してパターンを特定するものであり、正規化相関値等を求めることにより、テンプレートと画像部分との一致度に基づいて、所望のパターン位置を特定する手法である。移動量演算部906では、パターンマッチングによって特定された位置と、移動前の視野内のテンプレートを切り出した位置との差異に基づいて、実際の移動量を演算する。具体的な演算法については後述する。画像歪み量演算部907は、移動量演算部906にて得られた複数の移動量に基づいて、画像の歪み量を演算する。具体的な演算法については後述する。
次に、FOVの移動前後で取得した複数の画像を用いて、像歪みを評価する手法について説明する。本実施例では、FOVの移動前に取得された第1の画像と、移動後に取得された第2の画像との間に部分的な重なり領域を設け、その領域を歪みの評価領域とする。この二つの画像を比較することによって、視野が重なり合っている画像領域内の、倍率歪みや形状歪みの分布を一括で計測できる。少ない画像数(少なくとも2枚)を用いた演算によって、短時間で像歪みを評価することができ、更に、像内に特徴的な形状や模様が見えていれば可能であり、寸法が校正された標準試料などが不要であるという長所もある。
この測定法の原理を、図1を使って説明する。まず、試料上のある視野の画像A101を取得する。次に、視野を例えば右方向に視野の移動量(約100nm)だけ移動させて(視野の移動量103)、画像B106を取得する。このとき、画像A101の視野と画像Bの視野B102とが重なり合っている重複視野が存在する。その中に、例えば丸パターン105と四角パターン104とがあるものとする。これらは画像A101および画像B106の両方に写っている。これらのパターンが各画像内で写っている位置は、画像A101と画像B106との間で、視野の移動量103だけずれる。
上述のような前提において、例えば、丸パターン105が画像A内で写っている位置は、画像B内では丸パターンの移動量107(100.1nmだけ左方向にずれているとする。ところで、視野の移動量103は正確に分かっているわけではないので、これと丸パターンの移動量107(100.1nmとが必ずしも一致する必要はない。同様にして、四角パターンの移動量108(102.1nm)が求められたとする。
ここで、丸パターンの移動量と四角パターンの移動量は、本来は完全に一致するはずである。なぜなら、画像Aと画像Bの2枚の画像取得する間に、丸パターンと四角パターンは動いていないし、また視野移動によるパターンの位置ずれは、画像内の場所やパターン形状によらず一定なはずだからである。
それにも関わらず、これらの値が一致しないということは、像が局所的にひずんでいることが考えられる。例えば、四角パターン(104)近傍で発生している、横方向の像歪みは、丸パターン(105)近傍でのそれに対して、約2%大きいとみなせる。これは、以下の数式1から計算できる。
102.1nm/100.1nm=1.02 …(数式1)
四角パターン以外にも、特徴的な形状を持つパターンが画像内のその他の位置にあれば、それぞれの位置の近傍における像歪みの相対的な大きさを測定できる。そのようなパターンが画像内にまんべんなく分布していれば、画像内の像歪みの分布図を作ることができる。
本方式のメリットは、試料上のパターンに対して、寸法校正が必要ないことである。また、パターンの大きさや形状に対する制約もあまり無い。よって、試料作成に必要なコストを少なくできるメリットがある。また、基本的にわずか2枚の画像から、画面内全体の像歪み分布を一括して得ることができるので、像歪み測定に要する時間やコストを少なくできるメリットもある。
上記実施例では、視野移動を横方向にしているが、斜め45度方向にしても良い。そうすれば、横方向と縦方向との視野移動を同時に行うことができる。これにより、横方向と縦方向との像歪みを同時に測定することが可能となり、測定時間を短縮できるメリットがある。
視野の移動は、例えば電子顕微鏡ではビームシフトにより行う。ビームシフトとは、サンプルを動かさずに、電子顕微鏡の観察視野を動かすことである。視野Aから視野Bへ移動するときの移動方向は、例えば視野Aにおいて右斜め上45度の方向である。移動する長さは、例えば視野Aの縦横それぞれの長さの約10分の1に相当する長さである。例えば、視野の大きさが縦横それぞれ0.7μmであれば、右に0.07μmかつ上に0.07μmである。
図2に、像歪み計測に必要な、画像取得のフローチャートを示す。まず、測定開始(ステップ201)の合図または信号を装置に送る。次に、試料上のある特定の視野Aを観察するために、試料を動かしたり、または光学系を動かしたりするなどして、視野Aに移動する(ステップ202)。視野Aにて画像Aを撮影し、記憶装置に記憶させる(ステップ203)。次に、視野Bに移動する(ステップ204)。
そして、画像Bを撮影し、記憶装置に記憶させる(ステップ205)。
以上の手順により、A像とB像とからなる1組の画像が撮影された。実際の測定では、画像中のノイズの影響などにより生じる誤差を少なくするために、複数組の画像を取得する方が好ましい。そこで、N組(例えばN=10)の画像を取得するまで、上記の手順をループ処理する(ステップ206)。
ここで、像観察する試料は、特徴的な形状のパターンや模様をなるべく多く含むものが好ましい。例えば、電子顕微鏡の像歪み計測には、シリコンウエハをドライエッチング処理して、表面に数〜数十nmの大きさの凹凸を形成したブラックシリコンと呼ばれるものを試料とする。図3に、像歪み計測の試料の例として、ブラックシリコンの電子顕微鏡像301を示す。像の一辺の長さは、約0.7μmに相当する。電子顕微鏡の観察条件は、加速電圧が800V、電子ビーム電流が8pA、倍率が20万倍、撮影積算数が64、画面構成ピクセルが縦512行×横512列、である。
また、半導体デバイスの穴パターンで、形状がばらついているものが高密度に並んでいる試料でもよい。また、シリコンチップ上に金をわずかに蒸着させ、粒状のパターンが不規則に並んでいる試料でも良い。
これら方法によって測定された像歪みの面内分布を表わす方法としては、ベクトル表示がある。像歪みの分布の表示例を、図4に示す。ベクトルによる分布表示図401によって、像内の局所的な歪みの分布が、一目でわかるように表示できる。各ベクトルのX成分とY成分は、それぞれ歪みのX方向成分とY方向成分とを表している。ベクトルによる分布表示図401の右下にある矢印の長さが約1%の歪み比に相当するので、この長さと各ベクトルの長さを比較すれば、おおよその歪みの大きさを視覚的に知ることができる。
測定された像歪みの補正方法であるが、最も簡便な方法としては、上記で得られたベクトル分布に基づいて補正する方法である。例えば、像内のある特定の場所におけるピクセル情報は、実は歪みの影響を受けているので、正しい情報ではない。そのピクセル情報は、その場所の近傍にあるベクトルの大きさと方向だけ、元の位置に戻したところにある、ピクセルの情報として扱うことができる。
例えば、各ピクセルの持っている輝度値が一定値以上の大きさであるピクセルのみ抽出する場合には、抽出されたピクセルの位置は、必ずしも正しいものではなく、像歪みの影響によって移動させられているはずである。そこで、抽出された各ピクセル座標のX成分とY成分は、そのピクセル近傍にある歪みベクトルのX成分とY成分だけ、元に戻す。こうすることによって、本来の正しい抽出ピクセルの分布を得ることができる。
本方式の像歪みの測定方法と補正方法は、これまで説明した電子顕微鏡だけに適用できるものではなく、光学式顕微鏡にも応用できる。また、その他の画像を扱う測定機や画像処理装置に応用が可能である。
例えば、カメラ,望遠鏡や天体望遠鏡の像歪みを測定する場合には、図3のブラックシリコンの代わりに、星空を使うことができる。図2の画像取得のフローチャートにおいて、画像Aは、ある方向に天体望遠鏡を向けたときの星空の観察像とする。画像Bは、そこから天体望遠鏡を微小な角度だけ動かして観察した像とする。これらの二つの画像を、本実施例の方法で比較することによって、天体望遠鏡の像歪みを数値的に測定できる。また、それに基づいて、本実施例の方法で像歪みを補正することができる。なぜなら、天体望遠鏡を微小な角度だけ動かす間であれば、星空の各星の配置は変わっていないとみなすことができるからである。
この他にも、人工衛星では、地表の都市部の特徴的な建物が密集した地域の衛星写真を使うことができる。人工衛星が地表を走査して撮影しているときに、短時間の間隔で2枚の衛星写真を撮影し、それらの画像を、本実施例の方法で比較することによって、天体望遠鏡の像歪みを数値的に測定できる。また、それに基づいて、本実施例の方法で像歪みを補正することができる。なぜなら、短時間の間隔であれば、地表の建物の配置は変わっていないとみなすことができるからである。
以下、図面を用いて、更に詳細に画像の複数部分の情報を評価する手法、及び像歪みを適正に評価する手法について、説明する。
図5は、視野移動前後で視野内に表現されたパターンの位置が変化する原理を説明する図である。図5左図は、視野の左上頂点のアドレスを(0,0)とした場合(画素数で判断する場合には(1,1))における特定領域504の座標を説明する図である。図5右図は、視野移動後の特定領域504の座標を説明する図である。本例では、視野501を、移動方向503に移動することで、視野を視野502の位置に移動させた例を説明する。本例では視野ずらし条件設定部903における設定に基づいて、視野を図面右上の方向に(xs,ys)分、移動させている。
本例の場合、移動後の視野内の特定領域502の位置(xa,ya)は、当該移動後の視野内において、(xb−xs,yb+ys)となる筈であるが、像歪み等が存在すると、(xa,ya)=(xb−xs,yb+ys)とならずに、ずれが発生する。よって、xb−xa,yb−yaを求めることによって、実際の移動量を求めることができる。この演算は移動量演算部906にて実施される。
なお、本実施例では、求められた移動量の絶対値ではなく、各部位のずれ量に関する情報の相対値を求め、当該相対値の分布を像歪みとして定義した。例えば図12の例では、視野1201,1202内において、任意の基準部位1203,1204を決定し、当該基準部位にて求められた移動量Aと、その他の部位(例えば部位1205,1206)にて求められる移動量Bの比(A/B,B/A等)を求め、その比を各部位の視野移動に基づく変位情報とした。これらの変位情報は、画像歪み量演算部907にて求められる。更に画像歪み量演算部907では、視野移動前後の像変位ベクトルを演算する。図14は、視野移動後に視野の或る部位(基準位置)の位置(移動量)を計測した例を説明する図である。本例では、イメージシフトによって、右方向に100nm、上方向に100nm移動させた。このように視野移動を行うと、移動前の視野1401内の基準位置1402は、移動後の視野1403内にて基準位置1404に位置するはずである。ところが、実際には移動前の視野と比較するとX方向に+0.2nm、Y方向に−0.5nm(視野の左上部を(0,0)点とした場合)に移動した位置に実際の基準位置1405が位置づけられる場合がある。なお、図14等では、視覚的に理解が容易なように位置ずれを誇張して表現した。
図13は、基準位置1402とは異なる位置に移動量評価位置1301を設定した例を説明する図である。基準位置1402と同様に、視野移動前の移動量評価位置1301は、移動後の視野1403内にて基準位置1302に位置するはずである。しかしながら、実際には移動前の視野と比較するとX方向に+0.8nm、Y方向に−2.1nmに移動後の移動量評価位置1303が位置づけられている。このような結果に基づいて、移動量評価位置を評価する。まず、X方向の評価値は、以下のように求めることができる。
99.2nm/99.8nm=0.99 …(数式2)
また、Y方向についての評価値は、以下のようにして求めることができる。
102.1nm/100.5nm=1.02 …(数式3)
以上のように、図13の例では、基準位置に対し移動量評価位置は、相対的にX方向に1%、Y方向に2%、画像がひずむことが判る。このような歪み情報に基づいて、二次元的な歪み評価値(√(x2+y2))を求めることができる。また、
arctanθ=(y/x) …(数式4)
を求めることによって、歪みの方向を演算することができる。これらの演算は、図9の画像歪み量演算部907によって、複数の移動量評価位置に対して実施し、その結果を演算結果記憶部909に記憶する。
xはX方向の歪みの評価値であり、yはY方向の歪みの評価値である。なお、本例では、歪みの評価値を、基準位置と移動量評価位置との実際の移動量(変化量)の割合を演算することによって求めたが、これに限られることはなく、例えば移動量差を評価値とするようにしても良い。また、割合や寸法差の大きさに応じて、ランク1,2,3,4…のような分類を行い、当該ランクを評価値とするようにしても良い。なお、基準位置は、視野移動前後での移動が少ない個所を選択する程、移動量評価位置の歪みの程度を正確に同定することができるため、そのような個所を見出して選択することが望ましい。
一方、視野移動前後で評価値が大きく変化する位置は測定領域として選択するのに相応しくないという観点から見れば、視野移動量と、移動量評価位置の移動量との差を求めることによって、両者に乖離のある領域を特定できれば良い。図15は、歪みの分布図の一例を説明する図であり、歪みの程度に応じて領域を分類した例を示している。図15の例では、一点鎖線にて囲まれた領域1501を歪みが大きい(歪みの評価値が第1の閾値より大きい)領域、点線にて囲まれた領域1502を中程度の歪み(歪みの評価値が第1の閾値以下であって、第2の閾値より大きい)が発生した領域、及びその他の領域1503を歪みが小さい、或いは歪みのない(歪みの評価値が第2の閾値以下)領域と定義した。このような分布表示を行うことによって、歪みによって、パターンエッジの変形等が懸念される領域を目視で確認しつつ、測定領域の設定や測定値の補正領域を特定することが可能となる。なお、歪みが大きいと考えられる部分のアドレスのみを選択的に表示することによっても同等の効果を得ることができる。また、より簡易的には上記移動量評価位置の移動量に関する情報のみを、分布表示しても良い。
本例では数式3,4に基づいて得られる評価値に基づいて分布情報を求めるようにしても良いし、視野移動量と移動量評価位置の移動量との差に基づいて分布情報を求めるようにしても良い。但し、設定した視野移動量と実際の視野移動量との間で乖離があることも考えられるため、基準位置と視野移動量評価位置との比、或いは差に基づいて、歪みの評価値を求めることが望ましい。
更に基準位置に、寸法が保証されたパターンが配置された状態にてSEM画像を取得し、当該部分の基準寸法に基づいて倍率校正等を行うことで、歪みを正確に測定することもできる。図24は、その工程を説明するフローチャートである。まず、予め試料台1101上に配置された標準試料(図示せず)を、SEMの視野に位置づける(ステップ2401)。標準試料内に含まれるパターンは、その絶対寸法が保証されたものであり、例えば25nmや50nmのパターン幅を備えている。図25に例示するように、視野2501内に割り当てられた基準位置(基準領域)2503が、パターン2502に位置づけられるように、視野位置を設定する。視野の大きさ(倍率)は、上述の移動量評価を行う画像と同じとする。次に、電子ビームを走査してSEM画像、或いはパターンの寸法値を取得する(ステップ2402)。次に、得られた寸法値とパターン2502の寸法値との比率に基づいて、倍率校正値(或いは走査幅校正値)を算出する(ステップ2403)。パターン2502の寸法値は保証されているので、測定結果が、保証寸法値と一致するように、走査幅を調整する。調整後の走査信号値(或いは補正係数)を装置条件として記憶する(ステップ2404)。
以上のようにして校正された走査信号を用いたビーム走査によって得られる画像は、少なくとも基準領域について倍率歪みがない画像であると定義することができる。よって、当該装置条件をもって、図10に例示するような処理を実行することによって、各移動量評価位置の歪みを正確に特定することが可能となる。
図6は、視野移動前の画像(第1の画像)の基準位置、或いは移動量評価位置(第1の位置)の二次元領域を特定領域として切り出して、パターンマッチング用のテンプレートを作成し、パターンマッチング法を用いて、視野移動後の画像(第2の画像)の基準位置、或いは移動量評価位置を求める例を説明する図である。まず、図9に例示したテンプレート設定部904にて、第1の画像601の特定領域602を切り出して、テンプレート603を作成する。当該切り出された特定領域は、必要に応じて二値化や平滑化処理を施されて、テンプレートとしてテンプレート記憶部908に記憶される。
次に、第2の画像604上にて、先に作成されたテンプレート603を用いたパターンマッチングを実行する。なお、テンプレート設定部904は、第2の画像604の第1の位置に相当する個所から、視野移動量分ずらした位置606を基点として、パターンマッチング用のサーチ領域605を設定する。視野移動量は既知であり、且つ歪み量は視野の大きさと比較すると極めて小さいため、サーチ領域605は、第2の画像と比較して小さくすることができる。無論、第2の画像全体をサーチ領域とすることも可能であるが、マッチング処理の効率化の観点から、部分的な領域をサーチ領域とすることが望ましい。
図9の移動量演算部906では、第2の画像604上のマッチング位置と、視野移動前のテンプレートを切り出した位置との差、或いは第2の画像上でのマッチング位置と、理想的な移動位置との差を求めることによって、x及びy方向の歪みの評価値を演算する。この演算結果は、演算結果記憶部909に記憶する。第1の画像と第2の画像は同じ倍率(同じ視野サイズ)であるため、テンプレート(第1の画像)と被テンプレート位置(第2の画像)は実質的に同じ条件で形成されることになり、高精度なマッチングを行うことが可能となる。
次に、評価対象となる画像の基準位置と移動量評価位置の設定例を、図12を用いて説明する。図12左図は、基準位置を含め、計9個所の部位の歪み評価値を求める例を説明する図であり、図12右図は、20×20のマトリクス状の部位を設定し、各部位について歪み評価値を求める例を説明する図である。図12左図は基準位置1203と、8個所の移動量評価位置1205を設定した例であり、図12右図は、基準位置1203と、399個所の移動量評価位置1206を設定した例を説明する図である。画面全体の詳細な歪み分布を測定するという観点では、図12右図のように画像内を漏れなく評価対象とすることが望ましいが、SEM画像を用いて測定を実行する場合など、測定部位は画像内の限られた領域に存在するような場合は、当該部分を選択的に評価対象とするようにしても良い。図12左図はその一例であり、全体ではなく、部分的に移動量評価位置を設定することで、演算の工程数を減らすことができる。また、図12左図の例で評価位置は互いに重なっていないが、切り出す2次元領域を大きくし互いの位置が重ねて評価することもできる。
図10は、画像歪みの評価工程を説明するフローチャートである。まず、歪み評価を行う画像の取得条件や、歪み評価位置条件等の装置条件を設定する(ステップ1001)。次に、設定された装置条件に基づいて、第1の画像を取得する(ステップ1002)。第1の画像の取得後、視野移動を行い(ステップ1003)、第2の視野位置にて第2の画像を取得する(ステップ1004)。次に第2の画像上でパターンマッチングを実施するためのテンプレートとなる領域を第1の画像から抽出する(ステップ1005)。テンプレートの抽出は、ステップ1002の直後であっても良い。
次に、第1の画像から抽出されたテンプレートを用いて、第2の画像上にてテンプレートマッチングを行い(ステップ1006)、視野移動後の画像にてテンプレートと同じ領域の位置を特定することによって、移動量を求める(ステップ1007)。当該テンプレートマッチングを予め定められた複数の位置について行い(ステップ1008)、その位置情報を記憶する(ステップ1009)。
図10に例示する手法によれば、2枚の画像を取得するだけ(図24の処理を含む場合は3枚)で、複数の部位の歪み情報を抽出することができる。
なお、本実施例では、歪み評価値を求めるための試料として図3に例示するようなブラックシリコンを用いているが、図11に例示するように、ブラックシリコンを含む試料1103を、SEM内にて試料1102を配置するための試料台1101上に配置するようにしても良い。また、図8に例示するように、特に半導体測定,検査用のSEMには、試料室807に、真空バルブ814を介して、予備排気室(ロードロック室)815やミニエン817が接続されるが、例えばミニエン817内に、ブラックシリコンを含む試料818を待機させておき、必要に応じて試料室807に搬入するようにしても良い。なお、ブラックシリコンは、視野内にパターンマッチングにて識別可能なパターンが多数配列されているため、本実施例にて説明する歪み評価に特に好適な試料であるが、同等の条件を持つ試料であれば、ブラックシリコンに替えて適用することも可能である。また、倍率校正用試料をブラックシリコンに隣接して配置するようにしても良い。
図26は、上述した2つの視野間における複数部位の移動量演算を行う手法の概念図である。本例では、試料上の第1の領域2601に第1の視野2602を位置づけることによって、第1の画像を取得し、第1の領域2601に対し、その位置が異なると共に、その一部が重畳する第2の領域2605に、第2の視野2606を位置づけることによって第2の画像を取得している。本例では、第1の画像内の試料上の特定領域2603に相当する第1の部分2604を切り出すことによってパターンマッチング用のテンプレートを作成し、当該テンプレートを用いて、第2の画像上にてテンプレートマッチングを行い、第2の画像上の第2の部分2608の位置を特定する。
そしてテンプレートマッチングによって特定された位置と、第2の画像上で第1の画像の第1の部分に相当する測定点2607との距離を求める、この移動量の測定を、その他の領域2609等、第1の視野2602と第2の視野2606の重畳領域にて行うことによって、各部位の移動量を求める。
第1の視野2602と第2の視野2606の大きさは同じであり、両者の視野を走査するための装置条件は、走査位置が僅かに異なることを除き、同じとした。すなわちほぼ同じ条件にて第1の画像と第2の画像を取得しているため、歪みの分布をほぼ同条件で再現することができ、更にその相対位置を僅かにずらすことによって、各部位の歪みを顕在化することができる。
次に、上述のようにして求められた歪み量の評価値を、画像補正等に適用する例について説明する。
図16は、検出された電子に基づいて形成されるパターン画像から、輪郭線を抽出するための手法の一例を説明する図である。なお、この輪郭線抽出工程は、条件設定装置704にて行うようにしても良いし、SEMに接続された制御装置710にて行うようにしても良い。輪郭線抽出では、図17のフローチャートに例示するように、先ずSEMにてSEM画像1601を形成する(ステップ1701)。次にSEM画像上のパターンのエッジ部分に相当するホワイトバンド1602から第1の輪郭線(図示せず)を抽出する(ステップ1702)。なお、この第1の輪郭線の抽出手法としては、ホワイトバンド1602の輝度分布に基づいて、エッジ部分を細線化する方法が考えられる。
次に、形成された第1の輪郭線と、デバイスの設計データに含まれるレイアウトデータ1603とのベクトルデータ比較、或いはパターンマッチングによって、レイアウトデータ1603と第1の輪郭線との重ね合わせを行う(ステップ1703)。レイアウトデータ1603は、GDSフォーマット等で記憶された設計データの線分情報である。このような重ね合わせを行った上で、輝度分布情報収集領域1604を、第1の輪郭線と垂直になるように設定し、輝度分布1605、を検出する(ステップ1704)。このように形成された輝度分布の所定の明るさを持つ画素を抽出しその位置を第2の輪郭線位置と定義することで、正確な輪郭線を形成するための輪郭点の特定が可能となる(ステップ1705)。
なお、このような正確な輪郭線形成手法は、特開昭60−169977号公報,特開平6−325176号公報,特開平8−161508号公報,特開平9−204529号公報等に記載された既存の手法の適用が可能である。
そして本実施例では、更に第2の輪郭線位置1606と定義された点に対し、歪み分布情報1607を用いて位置補正を行うことによって、像歪みに依らない正確な輪郭線を形成する手法を提案する。歪み分布情報1607は、複数の移動量評価位置にて求められた情報であり、図16の歪み分布情報1607は、複数の移動量評価位置にて求められた情報を模式的に表現している。点線の矢印は歪みベクトルであり、実線の矢印は補正ベクトルである。両者は相反する関係にある。
このような歪み分布情報1607を読み込み(ステップ1706)、補正画面1608に例示するように、各輪郭点(第2の輪郭線位置1706)の位置を補正する(ステップ1707)。位置補正が施された各輪郭点を繋ぎ合わせるようにして、最終的な輪郭線(第3の輪郭線)を形成する(ステップ1708)。なお、歪み分布情報1607に対する各輪郭点の移動量は、その関係について輪郭線形成ごとに設定するようにしても良いし、予め歪み評価値と移動量との関係を示す関係式を用意しておき、当該関係式に基づいて、補正するようにしても良い。或いは歪みの割合を乗算して補正を行うようにしても良い。各点の補正方向は、歪みの方向と逆の方向になるため、演算式等もそのように設定する。
また、半導体パターンの寸法値を測定するCD−SEMにおいて、同じ要領で測定値を補正することも可能である。図18は、その具体例を説明する図である。複数のラインパターンが表示された画像1801上の1のラインパターン1803の線幅を測定するために、測長ボックス1804を設定する。この際、歪み分布情報1802より、予め記録されている測長ボックス1804、及びその間の領域に相当する位置の歪み情報1805を読み出す。
更に、ラインパターン1803の信号量分布情報であるラインプロファイル1809を形成する。歪み情報1805は、3つの小領域1806,1807、及び1808の歪み情報を含むものであり、各小領域にはそれぞれの歪み情報が記憶されている。なお、当該歪み情報は、測長方向(本例の場合、X方向)の寸法の膨張・収縮率に置き換えるようにしても良い。小領域1806,1807,1808の膨張・収縮率をそれぞれk1,k2,k3とすると、歪み補正後の測長値CD1は、以下のように求めることができる。
CD1=k1・A+k2・B+k3・C …(数式5)
以上のような手法によれば、像歪みの存在に依らず、正確なパターン測定を行うことが可能となる。
次に、半導体プロセスにおけるシミュレーション結果と、SEM画像(或いはSEM画像に基づいて形成されるパターン輪郭線)を比較する手法について説明する。昨今の半導体デバイス設計では、その半導体デバイスの出来栄えを評価するためのシミュレーション技術が採用されている。しかしながら、シミュレーション結果と実際に出来上がったパターンに乖離がある場合がある。これは設計データ、或いはシミュレーションの精度に起因する場合と、プロセス条件が適正に設定されていない場合が考えられる。よって、この検証を行うために、設計,シミュレーション、及び/又はプロセスの条件を変化させた複数のパターンを形成し、当該形成されたパターンのSEM画像とシミュレーション結果を比較することが考えられる。
図21は、プロセス条件を変化させて作成した4つのパターンのSEM画像(或いはSEM画像に基づいて形成された輪郭線2102)と、シミュレーションによって得られたパターン図形2103を重畳した画像の一例を説明する図である。1つのFOV2101内の異なる位置に、複数のパターンが存在する場合、像歪みが存在すると、各位置での比較結果の精度が低下する恐れがある。よって、図16に例示するように、SEM画像、或いは輪郭線を像歪みに応じて補正することにより、像歪みに依らず、高精度な比較を実現することができる。
図19は、歪み補正に基づいてシミュレーション結果とSEM画像を比較する工程を説明するブロック図である。なお、図16の例ではSEM画像に基づく輪郭線を補正する例を説明したが、シミュレーション結果によって得られるパターン図形を補正するようにしても良い。図19に例示するように、シミュレーション結果、或いはSEM画像の補正を行うことによって、高精度に比較検査を行うことが可能となる。
また、図20に例示するように、歪み補正を行わずとも、シミュレーション結果,輪郭線、及び歪み分布情報を重畳表示することによって、シミュレーション結果とSEM画像間の乖離のある部分が、シミュレーション精度等に起因するものか、SEM側に起因するものか、その原因特定を容易に視認することが可能となる。
更に、シミュレーション結果とSEM画像間に所定値以上の乖離があり、且つ歪み量が所定値以上の個所(即ち両者のアンドがとれる個所(分類1))、或いはシミュレーション結果とSEM画像間の乖離は所定値未満であるものの、歪み量が所定値以上の個所(分類2)は、比較検証結果の精度を再検証すべき個所であると考えられるため、その個所が容易に判断できるように、重畳画像上に更に分類結果を重畳表示するようにすると良い。上記分類1,分類2、及びシミュレーション結果とSEM画像間の乖離が所定値未満であり、且つ歪み量も所定値未満の個所(分類3)の少なくとも1つの情報を、重畳画面に重畳することによって、比較検証の妥当性の判断が容易になる。なお、上記分類は、情報分類部にて実施される。
図22は、測定、或いは検査部位の特定に基づいて、FOV内の複数の領域中から選択的に、歪み評価を行う部分を選択するプロセッサの一例を説明する図である。CD−SEMに代表される測定,検査装置では、レシピと呼ばれる装置の動作プログラムに基づいて、測定,検査が行われている。即ち、測定,検査すべき個所が予め決まっているため、当該個所の歪み評価を選択的に行うことによって、歪み評価の効率化を実現することができる。測定位置特定部2202では、レシピ情報から、FOV内の測定或いは検査位置情報を抽出し、当該抽出情報に基づいて、歪み評価位置設定部2203では測定位置に相当する移動量評価位置と、基準位置を設定し、当該位置情報に基づいて、画像取得条件設定部2204では、画像取得のための装置条件を設定する。
以上のような構成によれば、FOV全体の歪みを評価する場合と比較して、効率良く歪み評価を行うことが可能となる。
次に、複数のSEMにて像歪みの評価を行う例を図23に例示するフローチャートに沿って説明する。図7に例示する測定,検査システムには、3台のSEM701〜703が接続されている。複数のSEMにて同じものを測定したときに、同じ測定結果が出力されることが望ましいが、各装置の個体差(機差)が存在すると、測定結果が一様ではなくなることも考えられる。仮に機差が存在する場合に、各装置において、像歪みの測定を行うことを考えると、像歪みの発生要因が機差に起因するものか、一時的に発生した外的要因(例えばSEMの近隣に存在する振動源など)に基づくものか判断が難しくなる場合が考えられる。そこで、本例では複数の装置において、同時に像歪み評価のための画像を取得することによって、装置間の像歪みの程度の違いが、機差に基づくものか否かを判定する手法を提案する。なお、本例における『同時』とは、完全に同じタイミングを意味するものではなく、装置間で像歪みに違いを生じさせる要因と考えられる事象が発生している間であれば、シリーズで測定を行うようにしても良い。
図23に例示するように、複数のSEM(本例では3台)にて視野移動前の第1の画像と、視野移動後の第2の画像を取得する。その上で各装置での像歪み評価を行い、当該評価値を機差として判定し、その情報を所定の記憶媒体に記憶させる。
以上のような手法によれば、像歪みの存在の由来を適正に判定することができ、更に像歪みによらず安定して機差測定を行うことができる。
これまでの実施例では、移動量演算部906にて求めた各移動量用い、画像歪み量演算部907で数式2,数式3などの演算にて評価値を求め、視野移動前後の像変位ベクトル(図4の401の像歪みの分布)を算出した。
これらは画像の局所的な歪みの程度(歪み無しを0%とする画像の歪み率)を示す指標である。即ち、歪み率は計測する取得したパターン配置またはパターンの輪郭線位置が画像歪みによる移動量や、歪み分布情報1607を直接示すものではない場合も考えられる。画像内における任意の2点間の測長値に対し、歪みによる検出点のずれを補正するためには、歪みによる位置ずれ量の画像内分布を求める必要がある。図16に例示された歪みベクトル1607はその一例であるが、この歪みベクトルを求めるためには、画像歪みの成分と視野ずらしの移動方向によって得られる画像歪みの成分を考慮する必要がある。
以下に、走査型電子顕微鏡等で想定される画像歪みについて説明する。ここでは画像の水平方向に荷電粒子ビームを走査し、水平方向をX方向、垂直方向をY方向とする。図27に、画像歪みの無い場合の、画像例2701〜2703と走査線のビームイメージ2704を示す。歪みが無いため画像に、画像内のパターンの寸法および形状の変化は無い。走査型電子顕微鏡でのビームイメージ2704の各矢印は、各エリアでの走査速度と方向をイメージしており、一連なりの矢印が1本の走査線を示している。像歪みがない場合、走査速度はすべての走査線で同じであり、X方向には一定で、Y方向にはすべて0である。各走査線のY方向間隔は一定であり、各走査線の開始位置のX座標は一致している。
ここで走査型電子顕微鏡において想定される局所的な歪みは主に以下に示す4つの成分に分類できる。
歪みの1つ目の例は、X方向倍率歪みによるX方向の寸法変化である。図28に示すように均一幅の縦ライン2701は画像歪みのため縦ライン2801のようにライン幅寸法が変動するが、均一幅の横ライン2701は横ライン2802のようにライン寸法は変動しない。歪み率の正負に関しては微小正方形パターン2703はX方向倍率歪み率が正の時、パターン2803のようにX方向の寸法が大きくなるとする。X方向倍率歪み率は、パターン2803の歪み無し画像でのX方向寸法をX0とし、歪みによる寸法差をδxとして以下の式で定義する。
X方向倍率歪み率DMx=δx/X0 …(数式6)
走査型電子顕微鏡では、ビームイメージ2804のようにビーム偏向で画像左端から右端へのX方向の移動する際の走査速度(X成分)が不均一となることがこの歪みの主要因となる。基準となる画像エリアでの走査速度よりも速いエリアではX方向倍率歪み率は負に、一方基準となる操作速度よりも遅いエリアではX方向倍率の歪み率は正となる。
歪みの2つ目の例は、Y方向倍歪みによるY方向寸法変化である。図29に示すように横ライン2902のライン幅寸法が変動し、縦ライン2901のライン寸法は変動しない。微小正方形パターン2903はY方向倍率歪みが正の時Y方向の寸法が大きくなる。Y方向倍率歪み率は、パターン2903の歪み無し画像でのY方向寸法をY0とし、歪みによる寸法差をδyとして以下の式で定義する。
Y方向倍率歪み率DMy=δy/Y0 …(数式7)
走査型電子顕微鏡では、ビームイメージ2904のように電源周波数と同期した外乱ノイズ等で各走査の間隔が等しくないことがこの歪みの主要因となる。歪みが無い場合の隣接する上下2本の走査間隔は設定したY倍率で決まる。Y方向倍率歪みがあり、下の走査線がY倍率で決まる相対位置よりも下にあるエリアではY方向倍率歪み率は負に、逆に上にあるエリアではY方向倍率歪み率は正となる。
歪みの3つ目の例は、X方向せん断歪みによる形状変化である。図30に示すように縦ライン3001のライン形状が変化する。ライン寸法は縦ラインおよび横ライン3002とも変動しない。微小正方形パターン3003はX方向せん断歪みが正の例であるが、形状が変化し面積は変化しない。X方向せん断歪み率は、微小正方形パターン3003の歪み無し画像でのY方向寸法をY0とし、歪みによるX方向せん断ずれ量をδsとして以下の式で定義する。
X方向せん断歪み率DSx=δs/Y0 …(数式8)
走査型電子顕微鏡では、ビームイメージ3004のように電源周波数と同期した外乱ノイズ等で各走査線のX方向の相対位置が変動することがこの歪みの主要因となる。隣接する上下2本の走査線に関して、上の走査線に対する、下の走査線のX方向相対位置でせん断歪み率が決まる。下の走査線の位置が右にずれたエリアではX方向せん断歪みは正であり、逆に左にずれたエリアではX方向せん断歪みは負となる。
歪みの4つ目の例は、Y方向せん断歪みによる形状変化である。図31に示すように横ライン3102のライン形状が変化する。ライン寸法は縦ライン3101および横ラインとも変動しない。微小正方形パターン3103はY方向せん断歪みが正の例であるが、形状が変化し面積は変化しない。Y方向せん断歪み率は、微小正方形パターン3103の歪み無し画像でのX方向寸法をX0とし、歪みによるX方向せん断ずれ量をδtとして以下の式で定義する。
Y方向せん断歪み率DSy=δt/X0 …(数式9)
走査型電子顕微鏡では、ビームイメージ3104のようにビーム偏向で画像左端から右端へのX方向の移動する際の走査速度がY成分を持つことがこの歪みの主要因となる。Y方向速度が負(下向きベクトル)のエリアではY方向せん断歪みは正であり、逆にY方向速度が正(上向きベクトル)のエリアではX方向せん断歪みは負となる。
本実施例では、画像内の歪み率の分布を求めるために、まず重複するエリアをもつ2枚の画像を取得する。そしてその歪み率分布より、歪みによる位置ずれ量を算出する。
具体的な計測方法および計測される歪み率の成分に関しては後述するが、計測される歪み率の分布は、基準からの歪みの相対値である。そのため、各計測点の歪み率を決めるためには、歪み無し(歪み率を0とする)となる基準を決める必要がある。歪みの基準は画像内の特定箇所でもよいし、またはある程度広い範囲のエリアの歪み平均としてもよい。倍率歪みの基準の例としては、図24に示した倍率校正の際に計測するエリアを基準として倍率の歪み率分布を計測する。形状歪み(せん断歪み)の基準は例えば矩形標準サンプル等で校正したエリアである。または画像全体の歪み率の平均値は歪み無しとすることも可能である。ここでは画像中心エリアを歪み基準(せん断歪みなし)とした場合の例を用いる。
次に視野ずらしの方向と計測される歪み成分の例に関して説明する。
図32にY方向に視野移動した2枚の画像を用いて、Y方向倍率歪み率とX方向せん断歪みを算出する例を示す。まず1枚目(画像A3201)を取得する、四角パターン3202を画像歪みの基準位置にあるパターンとし画像A内での座標a1を(450nm,400nm)とする。丸パターン3203は画像歪みの評価する位置にあるパターンとし画像A内の座標a2を(300nm,200nm)とする。次に視野を右へ0nm、下に100nm移動する位置3204で画像Bを取得すると、画像Bでの四角パターン3206の座標b1は(450nm,500nm)であり、視野移動により右へ0nm、上に100nm移動する。したがって基準位置の移動ベクトル(Xs,Ys)は(0,100nm)となる。画像歪みがない場合、画像B内の丸パターンは四角パターンと同様に右へ0nm、上に100nm移動する位置である座標(300nm,300nm)となるが、丸パターンのあるエリアには画像歪みがあり、丸パターンの画像Bでの座標b2は(302nm、301nm)とし、丸パターンは右に2nm、上に101nm移動したとする。このとき評価位置の移動ベクトル(Xa,Ya)は(2,101nm)となる。
評価位置のY方向移動量に関して、基準位置のY方向移動量より+1%大きいことは、画像内の座標b1からb2のエリアにおいてY方向倍率が基準位置の101%であり、これはY方向倍率歪み率が+1%であることを示している。これを式で表すと以下となる。
Y方向倍率歪み率DMy
=(Ya−Ys)/Ys×100
=(101−100)/100×100=1% …(数式10)
一方、評価位置と基準位置のX方向移動量の差が、基準位置のY方向移動量の+2%であることは、画像内の座標b1からb2のエリアにおいてX方向せん断歪み率が基準位置よりも+2%大きく、基準位置のせん断歪み率を0とすれば、評価位置のX方向せん断歪み率が+2%であることを示している。これを式で表すと以下となる。
X方向せん断歪み率DSy
=(Xa−Xs)/Ys×100
=(2−0)/100×100=2% …(数式11)
これらの評価位置の歪み率は、画像内の座標b1からb2のエリアの値である。またこの計測結果を、2点間の中間座標である座標b(300nm,250nm)を計測点とする歪み率の計測結果とすることも可能である。
図33にX方向に視野移動した2枚の画像を用いて、X方向倍率歪み率とY方向せん断歪みを算出する例を示す。まず1枚目(画像A3301)を取得する、四角パターン3302を画像歪みの基準位置にあるパターンとし画像A内での座標a1を(400nm,450nm)とする。丸パターン3303は画像歪みを評価する位置にあるパターンとし画像A内の座標a2を(200nm,300nm)とする。次に視野を左へ100nm、上に0nm移動する位置3204で画像Bを取得すると、画像Bでの四角パターン3206の座標b1は(500nm,450nm)であり、視野移動により右へ100nm、上に0nm移動する。したがって基準位置の移動ベクトル(Xs,Ys)は(100,0nm)となる。画像歪みがない場合、画像B内の丸パターンは四角パターンと同様に右へ100nm、上に0nm移動する位置である座標(300nm,300nm)となるが、丸パターンのあるエリアには画像歪みがあり、丸パターンの画像Bでの座標b2は(302nm,301nm)とし、丸パターンは右に102nm、上に1nm移動したとする。このとき評価位置の移動ベクトル(Xa,Ya)は(102,1nm)となる。
評価位置のX方向移動量に関して、基準位置のX方向移動量より+2%大きいことは、画像内の座標b1からb2のエリアにおいてX方向倍率が基準位置の102%であり、これはX方向倍率歪み率が+2%であることを示している。これを式で表すと以下となる。
X方向倍率歪み率DMx
=(Xa−Xs)/Xs×100
=(102−100)/100×100=2% …(数式12)
一方、評価位置と基準位置のY方向移動量の差が、基準位置のX方向移動量の+1%であることは、画像内の座標b1からb2のエリアにおいてY方向せん断歪み率が基準位置よりも+1%大きく、基準位置のせん断歪み率を0とすれば、評価位置のY方向せん断歪み率が+1%であることを示している。これを式で表すと以下となる。
Y方向せん断歪み率DSx
=(Ya−Ys)/Xs×100
=(1−0)/100×100=1% …(数式13)
これらの評価位置の歪み率は、画像内の座標b1からb2のエリアの値である。またこの計測結果を、2点間の中間座標である座標b(300nm,250nm)を計測点とする歪み率の計測結果とすることも可能である。
〔電顕の歪み特性と、平均化による計測精度向上〕
走査型電子顕微鏡では、Y方向の視野ずらしで得られるY方向倍率歪みおよびX方向せん断歪みは図3,図4のビームイメージ304,305のように各走査線の相対位置が変動することが主要因である。そのため、これらの歪みは走査線間で変動し、各走査線内の分布が少ない場合が多い。その場合、歪みは主にY方向への分布を持ち、X方向への歪み分布は小さいため、画像内の同じY座標での計測点に関してX方向の平均をとり、同一X座標の計測値と近似し、各計測点の計測ばらつきを低減させることも可能である。走査型電子顕微鏡を用いてY方向の視野ずらしで歪み率をベクトルで表示する例を図34に示す。ベクトルのX成分はX方向せん断歪み率、ベクトルのY成分はY方向倍率歪み率である。各成分ともY方向に分布を持ち、X方向の分布が小さい。各ベクトル成分をX方向に平均して、Y方向依存性をグラフにした例を図35に示す。これにより、X方向せん断歪み率,Y方向倍率歪み率のY方向依存性を検出できる。
一方、X方向ずらしで得られるX方向倍率歪みおよびY方向倍率歪みは図2,図5のビームイメージ204,505ビーム偏向で画像左端から右端へのX方向の移動する際の走査速度が一定ではないことを主要因である。そのため、これらの歪みは走査線内で分布をもち、走査線間の分布は小さい場合が多い。その場合、歪みは主にX方向に分布を持ち、Y方向への歪み分布は小さいため、画像内の同じX座標での計測点に関してY方向の平均をとり、同一X座標の計測値と近似し、各計測点の計測ばらつきを低減させることも可能である。走査型電子顕微鏡を用いてX方向の視野ずらしで歪み率をベクトルで表示する例を図36に示す。ベクトルのX成分はX方向倍率歪み率、ベクトルのY成分はY方向せん断歪み率である。各成分ともX方向に分布を持ち、Y方向の分布が小さい。各ベクトル成分をY方向に平均して、X方向依存性をグラフにした例を図37に示す。これにより、X方向倍率歪み率,Y方向せん断歪み率のX方向依存性を検出できる。
図38にX方向およびY方向に同時に視野移動した2枚の画像を用いて算出される歪みの例を示す。まず1枚目(画像A3801)を取得する。四角パターン3802を画像歪みの基準位置にあるパターンとし画像A内の座標a1を(400nm,400nm)とする。丸パターン3803は画像歪みを評価する位置にあるパターンとし画像A内の座標a2を(200nm,200nm)とする。次に視野を左へ100nm、下に100nm移動する位置3804で画像Bを取得すると、画像Bでの四角パターン3806の座標b1は(500nm,500nm)である。したがって基準位置の移動ベクトル(Xs,Ys)は(100nm,100nm)となる。画像歪みがない場合、画像B内の丸パターンは四角パターンと同様に右へ100nm、上に100nm移動する位置である座標(300nm,300nm)となるが、丸パターンのあるエリアで画像歪みがあり、丸パターンの画像Bでの座標b2は(304nm,302nm)とし、丸パターンは右に104nm、上に102nm、移動したとする。このとき評価位置の移動ベクトル(Xa,Ya)は(104nm,102nm)となる。
評価位置と基準位置のX方向移動量の差
ΔX=Xa−Xs=+4nm …(数式14)
に関して、この値が基準位置のX方向およびY方向の移動量より+4%大きいことは、画像内の座標b1からb2のエリアにおいてX方向倍率の歪み率とX方向せん断歪み率の和が+4%であることを示している。この例ではX方向およびY方向の視野ずらし量を同じにしているが、異なる場合でも、数式11および数式12に従う各歪み率の和となる。
評価位置と基準位置のY方向移動量の差
ΔY=Ya−Ys=+2nm …(数式15)
に関して、この値が基準位置のX方向およびY方向の移動量より+2%大きいことは、画像内の座標b1からb2のエリアにおいてY方向倍率の歪み率とY方向せん断歪み率の和が+2%であることを示している。この例ではX方向およびY方向の視野ずらし量を同じにしているが、異なる場合でも、数式10および数式13に従う各歪み率の和となる。
これらの歪みは、画像内の座標b1からb2のエリアの値とする代わりに、2点間の中間座標である座標B(250nm,250nm)を計測点とした歪みとすることも可能である。
走査型電子顕微鏡を用いてX方向およびY方向に同時に視野移動した視野ずらしで歪み率をベクトルで表示する例を図39に示す。ベクトルのX成分はX方向せん断歪み率とX方向倍率歪み率の和、ベクトルのY成分はY方向倍率歪み率とY方向せん断歪み率の和である。前述のように、和となっている2つの歪みはそれぞれX方向分布とY方向分布を持つ傾向があり、各成分の和となる組はY方向平均,X方向平均することでそれぞれの歪み分布を抽出できる。各ベクトル成分をX方向およびY方向に平均して、グラフにした例を図40に示す。これにより、X方向せん断歪み率,Y方向倍率歪み率のY方向依存性を検出できる。
〔画像をθ回転させた画像の像歪み,倍率を変更した画像の像歪み〕
走査型電子顕微鏡の歪み特性を用いて、画像全体を角度θ回転させた画像の歪みを、回転なしでの画像歪み計測結果から算出する例を示す。図41に画像回転角度の0°例を示す。画像全体を角度θ回転させた画像を得るためには、図42に示すようにビーム走査全体を−θ回転する。X方向倍率歪みおよびY方向せん断歪みは1つの走査内の変動に起因しているため、倍率および試料上走査角度が小さく、依存性が無いとする。一方、Y方向倍率歪みおよびX方向せん断歪みは外乱ノイズによる各走査線間の相対位置ずれであり、各走査線の移動量・方向は試料に対する相対値が一定とする。図43に画像をθ回転した場合の、Y方向倍率歪み率およびX方向せん断歪み率の変化を示す。試料上走査角度θに応じて、X方向倍率歪みおよびY方向せん断歪みは試料上走査角度0°での各歪みを用いて以下の式で変化する。
X方向倍率歪み(θ=θ)
=[X方向倍率歪み(θ=0)]×cosθ+[X方向せん断歪み(θ=0)] ×sinθ …(数式16)
Y方向せん断歪み(θ=θ)
=−[X方向倍率歪み(θ=0)]×sinθ+[X方向せん断歪み(θ=0)]×cosθ …(数式17)
また、倍率を変更した画像での歪みに関しては試料に対する相対値が変化しないことから、Y方向倍率歪み率およびX方向せん断歪み率は画像の倍率に比例して大きくなる。
〔歪みによる位置ずれ量を求める方法〕
各計測点の歪み率の分布を用いて、歪みによる位置ずれ量を求める方法の説明をする。はじめに位置ずれ量分布と、歪み率の関係を示す。
1つ目の例としてY方向倍率の歪みを図44に示す。512×512Pixelの画像に対し、画像左下を原点とした座標系でY方向の位置ずれ量dyがyのみに依存して振幅0.1Pixel、波長512Pixelのサイン波で変化し、以下の式で表される歪みによる位置ずれを生じている。
dy(x,y)=dy(y)=−0.1sin(2πy/512)…(数式18)
このときの位置4401,4402,4403ではY方向の位置ずれは無い。一方4404では歪みにより上へ0.1Pixel位置ずれしており、4405では下に0.1Pixel位置ずれしている。
数式18の位置ずれ分布を持つ画像の、Y方向倍率歪み率の分布を図45に示す。正方形パターンは4501,4503でY方向に縮みY方向倍率歪み率が負になっており、4502ではY方向に伸びY方向倍率歪み率が正になっている。また、4504,4505では歪みは発生しておらず、歪みなしでの正方形のままである。Y方向倍率の歪み率DMyはY方向倍率の歪みによる位置ずれ量dy(x,y)のyによる偏微分として表され、本例では以下の式となる。
DMy(y)=∂(dy(x,y))/∂y=−0.1×2π/512cos(2πy/512)=−Dcos(2πy/512)
@ここでD=0.1×2π …(数式19)
数式18,数式19の関係より、歪み率DMy(y)から歪みによる位置ずれ量をdy(y)を算出する場合は以下の式となる。
dy(y)=∫DMy(y)dy …(数式20)
本実施例にて説明するY方向倍率歪み率は図40の例4004のように計測点ごとの歪み率が検出されるため、例4004を関数にフィッティングして積分するか、検出された歪み率を数値積分する。数値積分は分布に応じ、台形近似法やシンプソン法を用いる。この計算によって得られるのは画像左端の位置ずれを0としているが、位置ずれの基準を変更は基準とする位置のずれ量Δだけ全体の位置移動量を引くとことで修正できる。
同様にX方向倍率の歪み率分布による位置ずれ量も同じ方法で算出できる。
2つ目の例としてX方向せん断の歪みの例を図46に示す。512×512Pixelの画像に対し、画像左下を原点とした座標系でX方向の位置ずれ量dxがyのみに依存して振幅0.1Pixel、波長512Pixelのサイン波で変化し、以下の式で表される歪みによる位置ずれを生じている。
dx(x,y)=dx(y)=−0.1sin(2πy/512) …(数式21)
このときの位置4601,4602,4603ではY方向の位置ずれは無い。一方4604では歪みにより右へ0.1Pixel位置ずれしており、4605では左に0.1Pixel位置ずれしている。
数式18の位置ずれ分布を持つ画像のX方向せん断歪み率の分布を図47に示す。正方形パターンは4701,4703でX方向せん断歪み率が負の変形をしており、4702ではX方向せん断歪み率が正の変形となっている。また、4704,4705では歪みによる変形は発生しておらず、歪みなしでの正方形のままである。Y方向せん断の歪み率DSxはX方向倍せん断の歪みによる位置ずれ量dx(x,y)のxによる偏微分として表され、本例では以下の式となる。
DSx(y)=∂(dx(x,y))/∂y=−0.1×2π/512cos(2πy/512)
=−Dcos(2πy/512)
@ここでD=0.1×2π …(数式22)
数式21,数式22の関係より、歪み率DSx(y)から歪みによる位置ずれ量をdx(y)を算出する場合は以下の式となる。
dx(y)=∫DSx(y)dy …(数式23)
本実施例のX方向せん断歪み率は図40の例4001のように計測点ごとの歪み率が検出されるため、例4001を関数にフィッティングして積分するか、検出された歪み率を数値積分する。数値積分は分布に応じ、台形近似法やシンプソン法を用いる。この計算によって得られるのは画像左端の位置ずれを0としているが、位置ずれの基準を変更は基準とする位置のずれ量Δだけ全体の位置移動量を引くとことで修正できる。
同様にY方向せん断の歪み率分布による位置ずれ量も同じ方法で算出できる。
上記の例はX方向にまたはY方向に各歪みが均一の場合を示したが、均一でない場合も同様に計算できる。また算出された、画像内計測点のX方向倍率歪み,Y方向倍率歪み,X方向せん断歪みおよびY方向せん断歪みによる位置ずれ量の和が、各計測点の位置ずれ量となる。
〔計測点以外の位置ずれ量の計算〕
計測点における位置ずれ量を算出したが、位置ずれ量の補正対象は計測点以外にもあり、画像内の任意の点における位置ずれ量は、周囲の計測点の結果から外挿または内挿する。次にその例を示す。図48に示すように、計測点のX方向ピッチをXp(Pixel)、Y方向ピッチをYp(Pixel)で配置し、その4点のエッジ点左下にある計測点を原点とした時の、位置(x,y)の位置ずれ量の算出方法の例を示す。計測点A4801,B4802,C4803,D4804それぞれの位置ずれ量をa,b,c,dとする。このとき、位置(x,y)の位置ずれ量Δは以下の式で内挿する。
Δ=a+(c−a)・y/Yp+(b−a)・x/Xp+(a−b−c+d)・x・y/(Xp・Yp) …(数式24)
この式では下記の各点のΔは以下の様になる。
(x,y)=(0,0)では Δ=a
(x,y)=(Xp,0)では Δ=b
(x,y)=(0,Yp)では Δ=c
(x,y)=(Xp/2,0)では Δ=(a+b)/2
(x,y)=(0,Yp/2)では Δ=(a+c)/2
(x,y)=(Xp/2,Yp)では Δ=(c+d)/2
(x,y)=(Xp,Yp/2)では Δ=(b+d)/2
(x,y)=(Xp/2,Yp/2) では
Δ=(a+b+c+d)/4
視野をずらして取得した2枚画像から、画像歪みによる位置ずれ量を算出するフローチャートを図49に示す。またこのフローチャートの各ステップで、得られる結果を図50に示す。
ステップ4901で視野をずらした2画像を取得する。2画像は5001のように重複する領域を持ち、それを用いてステップ4902の画像内歪み率の分布を計測する。このとき計測データとしては、5002のように歪み率ベクトルで表示してもよいし、各計測点での歪み率ベクトルのX成分およびY成分を数値として保存してもよい。次にステップ4903でこの歪み率が正常範囲内であるかの判定を行う。
判定は歪み率の大きさの上限や、隣接する計測点での歪み率の差の上限等がある。範囲外である場合は、アラートとして、取得した画像の画質,サンプルの状態,電子顕微鏡のハードの状態等を調べ、調整後に再度位置ずれ分布の計測を行う。一方範囲内である場合は、ステップ4904へ進み5003のように歪み率分布の各成分に対し、数値積分等の計算を行って、歪みによる位置ずれ分布を求める。そしてステップ4905で歪みの各成分の位置ずれ量を合成して、5005のように画像歪みによる各計測点の位置ずれ量分布を求める。ステップ4906でこの位置ずれの値および分布が正常範囲内であるかの判定を行う。範囲外である場合は、ステップ4903と同じ様にアラートとして、取得した画像の画質,サンプルの状態,電子顕微鏡のハードの状態等を調べ、調整後に再度位置ずれ分布の計測を行う。範囲内である場合は、ステップ4907へ進み、計測点の位置ずれ量分布および画像取得条件を保存する。
〔検出される歪みによる、計測対象への補正1〕
図51に歪みの有無によるパターンの変形の例を示す。画像歪みが無い場合は画像の位置ずれベクトルの分布は5101のようにすべての計測点でベクトルが0となり、5101の条件で撮像されたL/Sパターン5102も、試料の形状に対し、歪み無いパターンとなる。本発明によって得られる画像歪みによる位置ずれベクトル分布の例5103と、5103の画像歪みを持つ条件で5102と同じL/Sパターンを撮像した例を5104に示す。画像歪みにより、5104は試料の形状に対し歪みを持っているが、歪みのない5102から5104への移動量は、5103の位置ずれベクトルから算出することができ、5103と5104を用いて、5102で得られる情報を算出することができる。
まず、1つ目の方法としてはパターンの寸法を計測するために検出するエッジ点を移動する方法である。図52に示すように、ひずんだ画像5201にて得られたラインのエッジ点5202を、画像歪みベクトル5103のデータから算出した補正値でエッジ点5204に移動し、移動したエッジ点5204を用いてパターンの寸法を計測する。補正後の画像5203は作成する必要はなく、5204からのみ寸法計測が可能である。5202から5204への画像歪みベクトル5103のデータから算出した補正値に関しては、5103のベクトルをそのままフィードバックしてもよいし、5202のような縦方向ライン寸法に寄与する5103のベクトルのX方向成分のみフィードバックしてもよい。
〔検出される歪みによる、計測対象への補正2〕
2つ目の方法としては、歪み率ベクトルおよび歪みによる位置ずれベクトルによる電子線走査型顕微鏡のハードへの補正である。
歪みはX方向およびY方向の倍率歪みと、X方向およびY方向のせん断歪みに分類できる。各歪みにおける、ビームイメージを図53に示す。X方向せん断歪みおよびY方向倍率歪みに関しては、5301および5302のように各走査線の相対位置がX方向およびY方向に分布を持つことに起因している。発生源は電源周波数に同期した電気ノイズまたは振動であるが発生源の種類によらず、X方向せん断歪みおよびY方向倍率歪みによる位置ずれ量のY方向分布を、電子線走査型顕微鏡の各走査線の相対座標を制御している回路にフィードバックすることで5305のように補正可能である。
一方、X方向倍率歪みは走査線内でのX方向走査速度の分布が原因であり、X方向走査速度がn%増加すると、X方向倍率の歪み率−n%となり、計測されたX方向倍率歪み率分布から決まる補正値を、X方向走査速度を制御する回路へフィードバックする。Y方向せん断歪みはX方向の走査において、Y方向の速度を持つ場合に発生する。(Y方向走査速度)/(X方向走査速度)×100(%)が、X方向倍率の歪み率となり、計測されたY方向せん断歪みの分布から決まる補正値を、走査時のY方向走査速度を制御する回路へフィードバックする。これらのフィードバックにより5306のように補正可能である。
図54に、ハードの補正よるが像歪みの補正の例を示す。画像歪みによりひずんだ画像5401が、ハードの補正により、5402のような歪みの無い画像を得ることができる。またこのハードにより、再度、視野をずらした画像を取得,画像の歪みによる位置ずれ量を計測することで、ハードによる補正の検証も可能である。
〔検出される歪みによる、計測対象への補正3〕
3つ目の方法としてはパターンの寸法を計測するために取得した画像に対し、画像歪みによる位置ずれ量をフィードバックする画像処理を行う方法である。図55に示すように、画像歪みによりひずんだ画像5501に対し、画像歪みベクトル5103をフィードバックする画像補正をソフトで実施することにより、歪みの無い画像5502を得ることができる。
〔検出される歪みによる、計測対象への補正4〕
画像歪みの変化が大きく、これまで説明した画像歪みベクトルを用いた画像処理による補正では画像が補正しきれない例を図56に示す。画像歪みが無い場合5102となるL/Sパターンは画像歪みにより5601のような画像歪みによる形状変化している場合、特に画像歪みの変化が大きい5602は、画像処理により修正された画像5603において5604のように歪みによる形状変化が残る場合がある。これは本発明で検出する歪み率の値が、取得した2画像間の視野をずらした2点間の歪みの平均値となっていることが主要因である。シミュレーションでの評価では視野ずらしの距離を画像サイズの1/9とした時、画像サイズの1/6の波長を持つ歪みに対する感度は50%となる。このように画像歪みの変化が大きい場合は、画像歪みベクトルを用いた画像処理による補正を、視野をずらした2画像に対して行い、再度が像歪みベクトルを算出することで精度を上げることができる。
歪みを計測する画像に対して歪み補正をフィードバックする歪み検出方法の例を図57に示す。視野ずらして取得した画像組(歪み補正なし)を、画像組A(0)とする。ここで()内の0は補正回数Nである。画像組A(0)を用いて算出した、画像歪みによる位置ずれ量分布を、位置ずれ量分布Z(0)とする。画像組A(0)に対し、ずれ量分布Z(0)を補正する画像処理を実施した画像組を、画像組A(1)とする。画像組A(1)を用いて算出した、画像歪みによる位置ずれ量分布を、位置ずれ量分布Z(1)とする。画像組A(1)に対し、ずれ量分布Z(1)を補正する画像処理を実施した画像組を、画像組A(2)とする。画像組A(2)を用いて算出した、画像歪みによる位置ずれ量分布を、ずれ量分布Z(2)とする。これを繰り返すことによりずれ量分布Z(N)は小さくなる。
これらのZ(N)を用いて画像の歪み補正を求める方法としてZ(0),Z(1),Z(2)までもとめた例を図58に示す。位置ずれ量分布Z(0),Z(1),Z(2)の和を、位置ずれ分布和W(2)として、この値を補正値としてフィードバックする。上記で述べた感度50%となる歪みに対してはZ(0)では50%検出され、Z(1)では25%、Z(2)では12.5%検出されることが期待され、W(2)では歪み87.5%が検出され、補正されることが期待される。
この方法にZ(N)での判定を加えたフローチャートを図59に示す。ステップ5901で取得した画像組A(0)からずれ量分布Z(0)をもとめ、その結果をステップ5902で画像組A(N=0)にフィードバックし、再度求めたずれ量をZ(N=1)とする。ステップ5905ではZ(N=1)が判定基準を満たすか評価する。判定基準は例えばZ(N)の全点が0.05%以下である。判定基準を満たす場合は、W(N=1)=Z(0)+Z(1)を位置ずれ補正分布として保存する。判定基準を満たさない場合は、画像組A(N=1)に対してZ(1)の画像処理を再度行い、Z(N)が規格を満たすかステップ5906で判定する繰り返し上限となるまで行う。繰り返し回数を超えた場合はアラートを出力し、調整等の判断を行う。
図59で示した方法は画像補正を実施した画像に、再度検出された歪みに画像補正を追加して実施しているが、画像補正の対象を画像補正していない画像とする方法のフローチャートの例を図60に示す。ステップ6001,6003〜6007はそれぞれステップ5901,5903〜5907と同じであるが、6002のみ変更し、画像組A(0)に対し、画像処理にてずれ量分布の和W(N)を補正して、画像組A(N+1)を取得とした。これによる繰り返しずれ量分布を求めても、画像処理は、画像処理を実施していない画像組A(0)に対して行うこととなる。
〔計測した歪みデータの保存〕
次に計測した歪みデータの保存方法の例を図61に示す。歪みは画像取得条件、例えば電子線の加速電圧(Vacc)、電子線の電流値(Ip),倍率(Mag),画像の回転角度(Rot)に対する依存性を持つ。そのため、画像内の歪み率分布および歪みによる位置ずれ量の分布のデータだけでなく、歪みデータを算出する画像の取得条件も保存する必要がある。したがって各データのNO.(またはデータ名称)の他に画像の取得条件6101〜6104も一覧として表示する。
また、図41〜図43で説明したように、倍率(Mag),画像の回転角度(Rot)に関しては、計算で取得画像の条件以外の補正データも算出することが可能であり、例えば、補正データ6103を選択し、計算実施ボタン6105を押して変更する倍率6107,Rot6108,生成するデータNo.6109を入力することで補正データ6110を算出可能である。また、補正対象の画像のMag,回転角度Rotを補正前に読み込み、保存したデータを読み込んだMag,Rotに合わせて変更し、補正することも可能である。
〔保存した歪みデータを用いた計測〕
電子走査型顕微鏡でのパターンの自動計測の例を図62に示す。ここでは3本の縦ライン6201〜6203のライン幅を計測するために、自動計測パラメータ6206を設定し、画像内のラインパターンに合わせて6204に示すカーソルを設定する。自動計測パラメータ6206にはカーソルのサイズ(形状),エッジ検出条件,測定するライン本数等の条件6207を設定する。6204がライン一箇所に対してのカーソルの場合でも、測定するライン本数を3と設定すれば、画像から3本のラインを検出し計測する。このカーソルは手動で配置してもよいし、計測レシピの画像認識でラインの中心を検出しカーソル位置を決定するように設定してもよい。
自動計測すると6205のように各ラインのエッジ点を検出し、ライン幅を複数点で検出し、例えばすべてのライン幅の平均値をライン幅として出力する。本発明で計測される歪みによる位置ずれ分布を用いて、ひずんだ画像での自動測定の方法の例を示す。図63のように画像歪みに6201〜6203の画像が6301〜6303のように変形した場合の計測を行う。カーソル6304が画像歪みを考慮していない自動計測パラメータ6206によって計測される場合、計測されるエッジ6306はひずんだラインに合わせて検出される。
ここで、自動計測パラメータに6306のように歪みデータNo.6308を設定する項目を追加する。これは例えば図61のように事前に登録している歪みの計測データである。レシピ計測においてはレシピの設定時に歪みデータNo.6308を登録することも可能である。この自動計測による画像歪みによる補正は、画像処理を用いて行ってもよいし、エッジ点6305の位置を移動させることで行ってもよい。
〔位置ずれ量分布の表示方法〕
計測した画像の歪みによる位置ずれ量分布の表示方法の例を示す。まず計測点6401に位置ずれベクトル6402を表示する方法である。ベクトルの始点は計測点6401と一致しており、ひずんだ画像での計測点である。ベクトルの終点は画像歪みにより位置ずれした位置である。したがって、計測点6401で検出したエッジ点を補正するためには、位置ずれベクトルと同じ長さで逆向きの方向にずらす。ベクトルサイズに応じて色分けや太さを変えるなどして表示し、ベクトルサイズで区別することも可能である。また、区別の基準としては、ベクトルのX成分またはY成分とすることも可能である。
次に、位置ずれ量の分布の表示として6403〜6406のようにずれ量の大きさに応じて範囲を設定する例を示す。このとき、エッジ検出,輪郭線抽出における補正は実施せずに、計測できるエリアを判定するために用いる。例えば6403→6404→6405→6406の順にずれ量が大きい場合、6406にあるエッジ点を含む計測はできないとアラートを出したり、2点間距離を計測するエッジ点の両方が6405または6406にある場合は計測できないとアラート出すなどすることが可能となる。
図65は、SEM画像を表示するウィンドウを備えたGUI画面の一例を示す図である。このような表示画面は、条件設定装置704や、SEM701〜703に設けられた表示装置に表示され、当該GUI画面上にて設定された設定情報は、画像処理プロセッサ901等に伝送され、必要な処理が行われる。図65に例示するGUI画面のSEM画像用表示ウィンドウに、記憶媒体706に記憶された設計データに基づいて生成される理想パターン形状であるレイアウトデータ(Layout),シミュレーター705によって生成されたシミュレーション画像(Simulated Image),制御装置701、或いは画像処理プロセッサ901によって出力される測定結果(Result:例えばシミュレーション画像の線分と、SEMエッジとの間隔を示す測長結果(Edge Placement Error:EPE)),歪み情報(Distortion),歪み情報によって変形処理が施されたパターン図(Deformed Image)を、SEM画像或いは輪郭線画像と重畳表示が可能なように、GUI画面内には選択ボタンが設けられている。
このように歪み情報を、他のレイアウトデータやSEM画像等と重畳表示可能とすることによって、パターンの変形の要因を特定することが容易になる。
以下に、荷電粒子線調整用試料を用いた荷電粒子線装置の調整に関する技術について、実施例2、3にて説明する。荷電粒子線調整用試料(以下、単に調整用試料)の要件を検討した結果、汚染防止のためにSi等の半導体材料を用い、誤差低減のために突起部の高さを揃えることが必要であること、また、高さの揃った不規則パターンは、表面に10nm〜0.1nmのSi酸化膜が形成されたSi基板をSiOに対する選択比が高い条件でドライエッチングすることにより形成できることを見出した。なお、突起部の側壁は垂直であることが望ましい。本実施例は、上記知見に基づき生まれたものである。
以下、実施例により、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の第2の実施例について、図66、図67、図73〜図78を用いて説明する。
図66は本実施例に係る調整用試料6601の概略図であり、(a)は上面図、(b)は断面図を示す。なお、同一符号は同一の構成要素を示す。まず、調整用試料を測定した電子顕微鏡を介して、半導体装置への重金属混入を防ぐために、本実施例の調整用試料6601としてSi基板6605を用いた。そして、プラズマ式ドライエッチング装置を用いてSi基板5をドライエッチングで加工し、不規則な形状を持ち、且つ、微細な寸法の凹凸パターンを持つ調整用試料6601を作製した。図66(a)に示す上面図の白い領域6602はパターンの上面6604を示し、黒い領域6603はパターンの底部6608を示している。なお、符号6606は凸部パターンの高さ、符号6607は凸部の幅(パターン寸法)を示す。本実施例ではSi基板を用いたが、基板表面にSi等の半導体層が設けられた積層基板を用いることもできる。
不規則な微細パターン6621を備えた調整用試料は以下のような特徴を持つ。
(1)Si基板を加工したパターンであるので、半導体装置への重金属混入の恐れはなく、電子線を照射しても試料は帯電しない。試料は電子線を照射しても帯電しないので、取得した画像に試料帯電による歪みも生じず、正確な測定が可能である。
(2)前記試料に形成された不規則パターンは、図66(b)に示すようにパターンの上面6604に平坦な面を持ち、パターンの高さ6606が揃っている。従って、高さばらつきによって生じるエッジシャープネスの測定ばらつきが無く、高精度、且つ、安定して電子顕微鏡を調整できる。
次に、本調整用試料の製造方法について説明する。図73は、本調整用試料6601の製造工程のフローチャート図を、図74は、製造工程途中の試料の模式図であり、(a)は図73のステップS7301における調整用試料の断面図、(b)はステップS7302における調整用試料の断面図を示す。
図74(a)および図73に示すように、まず、Si基板6605の表面7422の上に厚さ10nm〜0.1nmの薄くて均一なSi酸化膜7423を形成する(ステップS7301)。この酸化膜は、Siウエハ表面をウェット酸化等によって形成することができる。但し、半導体装置製造用のSiウエハの場合、ウエハ作成時にSi基板表面を清浄化しているが、ウエハ作成後にウエハ表面が汚染されたり異物が付着するのを防ぐために、通常は、過酸化水素と、アンモニアや塩酸を用いた洗浄(所謂、RCA洗浄をベースとした洗浄)により、厚さ10nm〜0.1nmの薄くて均一なSi酸化膜7423を形成してある。従って、購入した清浄なSiウエハの前洗浄や熱酸化等を行わず、そのままドライエッチング処理を行っても良い(ステップS7302)。
ドライエッチング処理(ステップS7302)では、Siをエッチングするエッチング条件であって、且つ、Si酸化膜7423に対する選択比が高いエッチング条件で薄いSi酸化膜7423を形成したSi基板6605のドライエッチング処理を行って、ウエハ表面に不規則な微細パターンを形成する。本実施例では一例として、Cl2/CHF3/Ar/O2の混合ガスを用いたプラズマエッチングを行った。
前記混合ガスでは、例えば、O2ガスの混合比を変化させると、SiとSi酸化膜のエッチレートが変化する。Cl2/CHF3/Ar/O2の混合ガスのO2ガス混合比を変えた場合のSiのエッチレート7519とSi酸化膜のエッチレート7520の変化を示したグラフの一例を図75に示す。O2ガスが過剰な条件ではSiのエッチングは進行せず、Si基板5の表面にはエッチングの進行を止める働きをする保護膜(酸化膜と堆積物)7424が形成される。O2ガス比が小さい場合にはSiのエッチングが進行する。一方、O2ガス混合比が小さすぎるとマスクとなるSi酸化膜7423のエッチングが進行してしまい、Si基板全面でSiのエッチングが進行してしまい、パターン形成が困難になる。このため、Si酸化膜7423の一部が残るエッチング条件として、O2ガス混合比をR0近傍の条件に設定した。本条件ではSi/Si酸化膜の選択比が高いため、Siのエッチングが進行する条件である。
本条件で表面に均一で非常に薄いSi酸化膜7423が形成されているSiウエハをドライエッチングすると、Si酸化膜のエッチレート7520が小さいため、ところどころ不規則にSi酸化膜7423が無くなった場所からSiのエッチングが急激に進行する。そして、Si基板6605のエッチングが進む領域が凹部となり、Si基板6605がエッチングされない領域が凸部になった不規則パターンが形成される。エッチングガスの混合比だけでなく、エッチング時間、バイアス電極のパワー等のエッチング条件を調整することによって、凹凸パターンの寸法を微細化することもできる。本実施例のドライエッチング処理では、パターン上面6604に平坦面を持ち、且つ、パターンの高さ6606がウエハ上の広い領域において均一な微細パターンを形成するために、Si基板6605の最表面7422の平坦面の一部が微細パターン上面6604の平坦面として残るようにドライエッチングを行った。
ドライエッチングが終了したら、ドライエッチング時の残留物(酸化膜と堆積物)7424を試料表面から除去するために、アッシングを行う(ステップS7303)。さらに、表面のSi酸化膜を除去するために、フッ酸等で洗浄を行う(ステップS7304)。上記処理の後に、電子線照射によって調整用試料に付着物が付くのを防ぐためには、再びアッシング処理を行って、試料表面を薄く酸化することもできる(ステップS7305)。本実施例の調整試料はSiウエハ全面に作成することも可能であるし、1cm×1cm以上の大きさのチップ状に裁断して電子顕微鏡内のステージに設置することも可能である。
図67は本実施例の調整用試料の一例の電子顕微鏡写真であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。図67(a)に示されるように、密集した微細パターンがウエハ全面に形成できた。このとき、図67(b)に示したように、微細パターンの上面は平坦な面を持ち、パターンの高さはウエハ内の場所によらず一定となっている。さらに、本エッチング条件はSiとSi酸化膜の選択比が非常に高い条件であるので、パターンはSi基板にほぼ垂直な側壁を持つ凹凸に加工できる。本実施例では、使用するガスとして、Cl2/CHF3/Ar/O2を用いたが、Cl2/O2,Cl2/O2/Ar,HBr/O2/CHF3/Ar,HBr/O2/Ar,HBr/O2等の混合ガスを用いても良い。
図67(a)に示した本実施例の調整用試料の一例の電子顕微鏡写真では、画像の一辺の長さは0.7μmである。本実施例の写真では、パターンのピッチは、約20nm〜60nm程度で、凸部のパターン寸法6607は約10nm〜30nm程度である。なお、パターンのピッチやパターン寸法は、上面図の任意の箇所における断面での値を示す。図66(b)において、各凸部の幅がパターン寸法を示し(例えば、符号6607)、各凸部の中心間の距離(図示せず)がピッチを示す。図67(b)に示すように、パターンの上面6604はほぼ平坦であり、パターン高さ6606は約30nmであり、パターン上面の高さ6606は試料表面全体においてほぼ同じ高さとなっている。これは、最初のSi基板表面7422の平坦面が微細パターン上面6604の平坦面として残るようにドライエッチング処理を行なったためである。従って、本調整用試料6601の高さばらつきは5nm以下となり、高精度、且つ、安定して、再現性良くエッジシャープネスを測定することが可能となった。
図76には、本調整用試料6601の電子顕微鏡画像の白黒階調のヒストグラムの一例を示す。ヒストグラムの階調が高いほど画像が明るく、階調が低いほど画像が暗いことを示している。図76のヒストグラムは明るいピーク7634と暗いピーク7635から成り、明るいピーク7634はパターン上面6604からの信号であり、暗いピーク7635はパターン底部6608からの信号である。明るいピーク7634と暗いピーク7635の階調差7636はパターン底部6608からパターン上面6604の高さ6606に依存して変化する明るさ成分である。
暗いピーク7635のばらつきσB1はパターン底部6608の信号ばらつきであり、画像ノイズ成分σNとパターン底部の高さばらつきに起因する明るさばらつきを合わせたばらつきである。本パターンの場合、パターン底部6608の高さばらつきはほぼ0であるため、ばらつきσB1は主にノイズ成分σNである。一方、明るいピーク7634のばらつきσT1はパターン上面6604からの信号ばらつきであり、画像ノイズσNとパターン上面の高さばらつきに起因する明るさばらつきσTH1を合わせたばらつきである。ここで、図7611で示した場合、ばらつきσT1は30階調であり、暗いピーク7635のばらつきσB1は約30階調であった。従って、パターン上面の高さばらつきに起因する成分σTH1はほぼ0であった。なお、明るいピーク7634のばらつきσT1は暗いピーク7635のばらつきσB1の2倍以下とすることが望ましい。
従って、本調整用試料6601では、サンプル高さのばらつきを、例えば、10nm以下に低減することが可能となった。例えば、パターン底部6608からパターントップまでの平均高さが100nmのパターンにおいて、パターンの高さばらつきを10nm以下に抑える場合、電子顕微鏡のヒストグラムのパターントップ部の高さばらつきに起因する成分σTH1は10階調以下に相当する。この結果、に起因するエッジシャープネスの測定ばらつきを1/10以下に低減して高精度に測定することが可能となった。
さらに、本調整用試料6601の画像取得時の合焦点位置は、パターンの高さ6のばらつきによる影響をほとんど受けず、安定した画像を取得することができ、安定して電子顕微鏡を調整することができるようになった。図77には、本実施例の調整用試料6601の画像から取得した電子線プロファイルの一例を示す。本調整用試料6601では、試料最表面(パターン上面6604)に平坦な部分を持ち、パターンの高さ6606が揃っていることから、画像取得時の合焦点位置は、パターンの高さ6606ばらつきによる影響をほとんど受けず、安定した電子線プロファイルを取得できた。また、試料最表面(パターン上面6604)に平坦な部分を持つため、電子線プロファイルにおいて、パターンの上面部からの信号領域7709、パターン底部6608からの信号領域7710を容易に抽出することが可能であり、鮮明な画像を安定して得ることができた。
ここで、図67に示した本試料6601の電子顕微鏡画像の一例においては、上記のパターン寸法6607であったが、調整用試料としては、およそ下記寸法のパターンであれば良い。例えば、パターンピッチは、約6nm〜200nm程度、凸部のパターン寸法6607は約3nm〜200nm程度の微細な凹凸パターンを含み、前記微細な凹凸パターンの高さは5〜500nmの範囲内の一定の高さであれば良い。
図78には、本調整用試料6601を用いて測定したエッジシャープネスと標準的なラインパターンの平均測長値との相関を示す。図78(a)は対物レンズの電流値を変化させて、入射電子ビームの焦点を変化させた場合について、本調整用試料6601を用いて測定したエッジシャープネス7851と標準的なラインパターンの平均測長値7852との相関を示す。図78(b)には、非点(スティグマ)を変化させた場合について、本調整用試料6601を用いて測定したエッジシャープネス7854と標準的なラインパターンの平均測長値7855との相関を示す。比較のため従来の金粒子サンプルを用いて測定したエッジシャープネス7853、7856の場合についてもプロットした。
本調整試料6601を用いて測定したエッジシャープネスの値は、被検査パターンであるラインパターンの測長値と同期して変化し、エッジシャープネスが最小となるフォーカス電流値、及び、非点の設定値は、被検査パターンとなるライン測長値が最小となる条件と一致しているため、本調整用試料6601を用いて電子ビームを調整すれば、被検査パターンの測長に適した条件に調整できることが分かる。しかし、従来の金粒子サンプルを用いた場合は、エッジシャープネスが最小になるように電子ビームを調整しても、被検査パターンの測長に適した条件には調整できない。この原因として、被検査パターンの構造と材料は本調整用試料6601と同等であるが、金粒子サンプルのエッジシャープネスは金粒子と有機膜の材料に依存したコントラストで調整していること、または、金粒子サンプルはチップ状のサンプルであるために、サンプルホルダへの取り付け誤差によって、被検査パターンを測長する場合と比較して、サンプル表面の電界強度分布が変化したためである。
ここで、電子顕微鏡内の真空内の残留ガス等によって、画像取得時や調整時に電子線照射した領域およびその周辺にコンタミネーション等が付着して、本調整用試料のパターン寸法6607や形状が微妙に変化する場合がある。電子線照射によるコンタミネーション付着を抑制するために、本調整用試料の表面を薄く酸化することもできる(図73のステップS7305)。しかし、前記薄い表面のSi酸化膜は電子線照射によって帯電しない程度に薄いSi酸化膜である。
また、本実施例の調整用試料は不規則パターンであるため、一度画像取得した場所を再度観察しても、寸法変動が分解能の評価値や画像歪みの測定結果に大きな影響は無いが、特に精密に測定したい場合には影響が出る場合もある。そこで、一度画像取得した領域を再度評価しないように、調整用試料にいくつかのマークをつけておき、画像の取得位置を確認することも可能である。マークをつけておけば、試料上のどの領域に既に電子線を照射したかどうか、試料上のアドレスによって管理することができる。前記マークは校正用試料の所望の位置に作成しておくため、マークを作成する工程ではリソグラフィでマスクを形成し、ドライエッチングでマーク形状を加工した。マークを作成する工程は、調整用試料の不規則パターンを形成する前でも、不規則パターンを形成した後でも良い。マークを先に加工した後に不規則パターンを加工する場合であれば、例えば、深さ100nm〜1μmの範囲内の凹凸パターンでマークを作成した後、不規則パターンを形成する領域に厚さ10nm以下のSi酸化膜を形成する。その後は図73で示したフローチャートに従って作成できる。不規則パターンを形成した後にマークを形成する場合であれば、図73で示したフローチャートに従って不規則パターンを形成した後、レジストを塗布して不規則パターンを残しておく領域を保護する。そして、マーク加工用のマスクをリソグラフィで形成した後、ドライエッチで例えば100nm〜1μmの範囲の深さの凹凸パターンを加工する。
以上述べたとおり、本実施例によれば、基板表面に高さの揃った半導体材料からなる不規則パターンを形成することにより、半導体装置の製造現場で使用可能な荷電粒子線装置を高精度、且つ、安定して調整することのできる荷電粒子線装置調整用試料およびその製
造方法を提供することができる。
第3の実施例について、図7、11、79及び80を用いて説明する。なお、実施例2に記載され、本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。本実施例では、実施例2で記載した調整用試料6601を用いて電子顕微鏡の性能を測定し、調整する手法について説明する。特に、電子顕微鏡の空間分解能の評価値として、エッジシャープネスを測定する手法について詳細に説明する。
図79は本実施例で使用した走査型電子顕微鏡7900の概略構成図の一例である。電子源7901から引出電極7902によって引き出され、加速電極によって加速された電子ビーム7903は、コンデンサレンズ7904によって集束された後、走査偏向器7905によって、試料7909上を一次元的、或いは二次元的に走査される。電子ビーム7903は試料台7908に印加された負電圧により減速されると共に、対物レンズ7906のレンズ作用によって集束されて試料7909上に照射される。
電子ビーム7903が試料7909に照射されると、当該照射個所から二次電子、及び後方散乱電子が放出される。試料から放出された電子は、電子源方向に加速されて変換電極7912に衝突し、二次電子7911を生じさせる。変換電極7912から放出された二次電子7911は、検出器7913によって検出され、検出された二次電子量によって、検出器7913の出力が変化する。この出力に応じて表示装置7921に表示された二次電子画像の輝度が変化する。例えば二次元像を形成する場合には、走査偏向器7905への偏向信号と、検出器7913の出力との同期をとることで、走査領域の画像を形成する。
また、図79に例示する走査型電子顕微鏡7900には、試料ステージ7920で試料を移動させずに電子ビームの走査領域を移動するためのイメージシフト偏向器が備えられており、電子顕微鏡の視野を微小に移動させることができる。なお、図79の例では試料から放出された電子を変換電極7912にて一端変換して検出する例について説明しているが、無論このような構成に限られることはなく、例えば加速された電子の軌道上に、電子倍像管や検出器の検出面を配置するような構成とすることも可能である。
本実施例で用いた電子光学系を調整するための調整用試料6601を含む試料7918は、図11に例示するように、電子顕微鏡内にて試料1102を配置するための試料台1101上に配置するようにしても良い。試料台に配置する際には、試料台最上面7262と試料高さ7263の違いによって、電界強度分布7265が変化しないように、試料台最上面7262と試料高さ7263の高さが一致するように取り付け、さらに、試料の大きさを5mm角以上とした。また、図79に例示するように、試料室7907に、真空バルブ7914を介して、予備排気室(ロードロック室)7915やミニエンバイロメント7917が接続されるが、例えばミニエンバイロメント7917内に、調整用パターンを含む試料1103を待機させておき、必要に応じて試料室807に搬入するようにしても良い。あるいは、調整用パターンを全面に形成したウエハ(例えば試料1102)を用いて複数装置の調整を行うこともできる。ウエハに形成した調整用試料を用いる利点としては、同一試料を用いて測定条件を調整することによって、使用したサンプル起因による測定誤差が低減できるので、複数装置の機差を正確に測定し、調整できる。また、被検査ウエハを測定するときと完全に同一の電子光学系の設定条件で電子光学系を調整できるので、空間分解能の評価値や画像歪み等の測定精度を向上でき、高精度に装置を調整できる利点がある。
また、制御装置7924は、走査型電子顕微鏡7900の各構成を制御すると共に、検出された電子に基づいて画像を形成する機能や、検出した二次電子の信号強度分布に基づいて、試料上に形成されたパターンの寸法を測定する機能を備えている。また、本制御装置は7924、調整用試料6601に電子線を照射し、取得した画像の信号強度分布から電子顕微鏡の焦点や非点等を調整する機能を備えている。特に、制御装置7924は、取得した画像から画像分解能の評価値として、エッジシャープネスを算出し、算出した評価値が規定した範囲内から外れている場合は、測定した評価値に基づいて走査型電子顕微鏡7900を調整するように電子顕微鏡の各構成を制御する機能を備えている。また、後述するように、複数画像の画像処理によって、画面内の倍率や画像の歪みを計測する機能を備えている。さらに、倍率測定結果や画像歪みの測定結果に基づいて、本走査型電子顕微鏡7900で取得した画像の歪みを補正するための画像処理機能を画像処理部7923に備えている。さらに、倍率測定結果や画像歪みの測定結果に基づいて、本走査型電子顕微鏡7900で取得した画像の歪みを補正するように、走査型電子顕微鏡の各構成を制御する機能を制御装置7924に備えている。
まず、上述の本実施例の調整用試料を用いて、電子顕微鏡の空間分解能の評価値を測定し、測定した評価値に基づいて電子顕微鏡を調整する手法の一実施例を示す。空間分解能の評価値として、例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5で述べた手法を用いることができる。図80に、本調整用試料6601を用いたエッジシャープネス測定フローチャートの一例を示す。まず、走査型電子顕微鏡7900の検査条件を設定する(ステップS8000)。そして、ステージ7920を移動させて、調整用試料6601上の視野に移動する(ステップS8001)。次に、対物レンズ7906の非点の設定値を微小量変えたN個の設定値において、調整用試料6601の画像を取得する(ステップS8002)。制御装置7924は取得したN枚の画像からエッジシャープネスが最小になる設定値を算出し、前記の値に非点の設定値を調整する(ステップS8003)。次に、対物レンズ7906の焦点の設定値を微小量変えたN個の設定値において、調整用試料1の画像を取得する(ステップS8004)。制御装置7924は取得したN枚の画像からエッジシャープネスが最小になる設定値を算出し、前記の値に焦点の設定値を調整する(ステップS8005)。
走査型電子顕微鏡7900の焦点、及び非点を調整した後、空間分解能評価用の画像を取得し、記憶装置7922に記憶させる。そして、制御装置7924にて、取得した画像のエッジシャープネスを算出し、前記エッジシャープネスの値が予め設定された正常値範囲内に入っているかどうかを判定する(ステップS8006)。調整後の画像のエッジシャープネスが正常値範囲内に入っていない場合は、ステップS8001からステップS8006までの工程を繰り返して再調整を実施する。または、アラートを出力する。エッジシャープネスが正常範囲内に入っている場合には測定結果を保存する。更に、必要に応じて機差評価を実施する。
本実施例で用いた調整用試料6601は、実施例2で述べたように、パターン上面に高さの揃った平坦面を持ち、表面に対してほぼ垂直の形状の微細パターンが密集して形成されていることから、画像全体にわたって安定して急峻な電子線プロファイルを得ることができ、試料上の電子線照射位置によらず、正確に安定した空間分解能の評価値を得ることができた。上記のように、本調整用試料6601に電子線を照射して取得した画像から、正確で安定したエッジシャープネスを制御装置7924で計算することができる。計算したエッジシャープネスの値は、記憶装置7922に記憶させる。さらに、走査型電子顕微鏡7900の画像表示装置7921で表示することができる。
さらに、長期にわたって複数台の走査型電子顕微鏡で半導体デバイスの寸法管理を行っている半導体製造ラインにおいては、複数の電子顕微鏡のエッジシャープネスをモニタすることによって、高い空間分解能を維持するだけでなく、各電子顕微鏡の機差も管理することが可能となる。
以下に、図7に例示するようなSEM701〜703がネットワーク上に接続された測定・検査システムを用いて、SEM701〜703間の機差を低減する方法を説明する。まず、それぞれのSEM701〜703が本調整用試料6601を用いて定期的に空間分解能を評価し、その評価値の推移を表示し記憶部(例えば記憶媒体706)に記憶しておく。各々の電子顕微鏡で定期的に評価された分解能評価値は、ネットワークを経由して条件設定装置704において、他の電子顕微鏡からの情報と合わせて集中管理される。測定された空間分解能評価値が設定許容範囲から外れた場合は、その顕微鏡の表示部7921においても、条件設定装置部704においても異常が知らされる。ここで、前記手法によって空間分解能の評価値から異常と識別された電子顕微鏡においては、装置オペレータからの入力や、制御プログラムに組み込まれたプログラムからの指示によって、例えば、検査条件の一つである電子光学系の調整が命令され、この評価値を基にした信号によって該顕微鏡の制御装置7924を介してレンズ系が制御され、空間分解能の評価値が所望の正常範囲内に入るように調整が行われる。このように、それぞれの電子顕微鏡は空間分解能の評価値が所望の正常範囲内に入るように条件設定装置704で集中管理されて、定期的に調整される。これにより、半導体製造ラインを複数の電子顕微鏡で管理している場合でも、一定の正常範囲内の空間分解能を保って測定できるため、装置の機差による測定誤差を低減し、品質の安定化が可能となった。さらに、複数の電子顕微鏡の空間分解能の評価値は規定の正常範囲内に収まっているが、各装置間で微少な機差がある場合がある。そのような場合は、条件設定装置704において、それぞれの装置の測長値に対して、装置間の機差補正係数を求めておき、各装置で測定した測長値を補正する。これによって、半導体デバイス製造の寸法管理において、複数の電子顕微鏡の機差を小さくすることが可能となった。
以上述べたとおり、本実施例によれば、基板表面に高さの揃った半導体材料からなる不規則パターンを有する荷電粒子線装置調整用試料を用いることにより、半導体装置の製造現場で使用可能な、高精度に調整された荷電粒子線装置を提供することができる。また、荷電粒子線装置の性能を随時、モニタして高精度に調整できるため、高精度で安定した測定を行うことが可能となる。さらに、空間分解能の評価値が所望の正常範囲内に入るように調整できるため、半導体製造ラインに導入した複数の荷電粒子線装置での測定値の機差が低減され安定した測定が可能となる。
第4の実施例について、図1、及び図81〜83を用いて説明する。なお、実施例2又は3に記載され、本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。本実施例では、実施例2で記載した調整用試料6601を用いて電子顕微鏡の性能を測定し、調整する手法について説明する。特に、電子顕微鏡で取得した画像内の二次元方向への局所的な倍率変動や画像ひずみを高速、高精度に測定する手法について詳細に説明する。
図1を用いて、本実施例で用いた画像歪みの測定手法について詳細に説明する。本手法は、視野の移動前後で取得した複数の画像を用いて、画像ひずみを二次元方向で測定する手法である。視野の移動前に取得された第1の画像A 101と、移動後に取得された第2の画像B 106との間に部分的な重なり領域を設け、その領域をひずみの評価領域とする。この二つの画像を比較することによって、視野が重なり合っている画像領域内の、倍率ひずみや形状ひずみの分布を一括で計測できる。少ない画像数(少なくとも2枚)を用いた演算によって、短時間で画像ひずみを評価することができる。
まず、試料上のある視野の画像A 101を取得する。次に、視野を例えば右方向に視野の移動量103だけ移動させて、画像B 106を取得する。このとき、画像A 101の視野と画像Bの視野102とが重なり合っている重複視野が存在する。その中に、例えば画像の左領域に丸パターン105、画像の右領域に四角パターン104があるものとする。これらのパターンが各画像内で写っている位置は、画像A 101と画像B 106との間で、視野の移動量103だけずれる。上述のような前提において、例えば、丸パターン105が画像A内で写っている位置は、画像B内では丸パターンの移動量107:X1だけ左方向にずれているとする。同様にして、四角パターンの移動量108:X2が求められたとする。すると、四角パターン104近傍で発生している、横方向の画像歪みは、丸パターン105近傍でのそれに対して、X2/X1%であると測定できる。四角パターン以外にも、特徴的な形状を持つパターンが画像内のその他の位置にあれば、それぞれの位置の近傍における画像歪みの相対的な大きさを測定できる。そのようなパターンが画像内に均一に分布していれば、画像内の画像歪みの分布図を作ることができる。
本方式のメリットは、試料上のパターンに対して、寸法校正が必要ないことである。従って、試料作成に必要なコストを少なくできるメリットがある。また、基本的に2枚の画像から、画面内全体の画像歪み分布を一括して得ることができるので、画像歪み測定に要する時間やコストを少なくできるメリットもある。
上記実施例では、視野移動を横方向にしているが、斜め45度方向にしても良い。そうすれば、横方向と縦方向との視野移動を同時に行うことができる。これにより、横方向と縦方向との画像歪みを同時に測定することが可能となり、測定時間を短縮できるメリットがある。
図81に、画像ひずみ計測に必要な、画像取得のフローチャートを示す。本実施例で使用した走査型電子顕微鏡は、実施例3において図79で説明した走査型電子顕微鏡7900を用いた。
まず、測定開始(ステップS8101)の信号を装置に入力すると、ステージ7920を移動させて、調整用試料6601上の視野Aに移動する(ステップS8102)。視野Aにて画像Aを撮影し、記憶装置に記憶させる(ステップS8103)。次に、視野Aと重複視野を一部に含む視野Bに移動する。(ステップS8104)ここで、視野の移動は、例えば走査型電子顕微鏡7900ではイメージシフトにより行う。あるいは、試料が装着されているステージを移動させて、観察視野を動かしても良い。視野Aから視野Bへ移動するときの移動方向は、例えば視野Aにおいて右斜め上45度の方向である。移動する長さは、例えば視野Aの縦横それぞれの長さの約10分の1に相当する長さである。例えば、視野の大きさが縦横それぞれ0.7μmであれば、右に0.07μmかつ上に0.07μmである。そして、画像Bを撮影し、記憶装置7922に記憶させる(ステップS8105)。
以上の手順により、A像とB像とからなる1組の画像が撮影された。実際の測定では、画像中のノイズの影響などにより生じる誤差を少なくするために、複数組の画像を取得する方が好ましい。そこで、N組(例えばN=10)の画像を取得するまで、上記の手順をループ処理する(ステップS8106)。
視野を移動した画像を取得したら、重複視野内の指定箇所のパターンの移動量を測定し、画像歪みの測定を行う(ステップS8107)。このとき、パターンの移動量の測定は、例えば、パターンマッチング法を用いることができる。パターンマッチング法は、画像A内における指定箇所近傍の画像領域A´を切り出して、パターンマッチング用のテンプレートを作成し、画像B内を探索してテンプレートと類似度の高い画像の位置を測定することで、パターンの移動量を測定できる。
パターンの移動量を測定したら、ステップS8108において、画像歪みが正常範囲かどうかを判断し、N(範囲外)であればアラート又は歪み測定結果に基づき偏向機を調整する。Y(範囲内)であれば、測定結果を保存する(ステップS8109)。
パターンの移動量を測定する他の例として、位相限定相関法を用いて画像マッチングを行うことによって、パターンの移動量を測定することもできる。本測定法の説明図を図82に示す。まず、画像A 8201全体と視野を移動した画像B 8202全体を画像マッチングして画像全体の移動量8203を測定する。そして、重複視野8204内にある指定箇所8205近傍の画像8206を画像Aから切り出し、さらに、画像Bにおける重複視野8204内の指定箇所8205近傍の画像8207を画像Bから切り出す。そして、画像8206と画像8207をマッチングして、指定箇所8205近傍の微小移動量を測定する。次に、画像全体の移動量8203と指定箇所8205近傍の微小移動量を合わせることによって、指定箇所の移動量を求めることができる。本実施例では、重複領域内の局所領域の画像情報を用いて、パターンの移動量を測定している。もちろん、上記以外の画像マッチング法を用いても良い。
従って、本実施例における倍率調整用試料として、実施例2に示したように、視野内全体に均一に特徴的な形状のパターンを形成したものが必要である。さらに、パターンの移動量を求めるには、指定箇所近傍の画像8206および、画像8207内に、画像マッチングで移動量を測定するのに十分な特徴的な形状情報を含んでいることが必要である。さらに、測定する試料の領域によらず、安定して鮮明な電子顕微鏡画像を取得できる試料であることが必要である。実施例2で述べた調整用試料6601は画像全体に隙間なく不規則な形状の微細パターンが形成されており、本実施例で示した画像歪みの測定と校正を行う試料として適している。表1に、本実施例で測定した画像の倍率と指定箇所近傍の画像領域に対応して、調整用試料上に必要なパターン寸法6607の代表値を示す。
Figure 0005596141
一例として、指定箇所近傍の画像領域として、32画素×32画素のブロックを切り出して画像マッチングを行った場合について示した。本調整用試料は不規則パターンであるので、寸法を一意には決定できないが、その寸法に相当する程度に微細なパターンが必要である。画像倍率が5万倍程度であれば、調整用試料上に必要なパターン寸法6607の代表値は230nmであるが、現在の電子顕微鏡では60万倍程度までの画像倍率を使用するため、パターンピッチは20nm程度微細であることが望ましい。本実施例の調整用試料の場合は、試料全面に10〜100nmのピッチの不規則パターンが形成されており、約60万倍までの画像において、視野内の任意の指定箇所において、パターンの移動量を測定できる。
図83には、調整用試料の一画像を二次元フーリエ変換して求めたパワースペクトル8301の一例を示す。パワースペクトル8301の振幅値が最大振幅Lの半分以上になる周波数に相当する寸法を調整用試料の主なパターンピッチとすると、本実施例の場合は、画像内のピッチが17〜44nmの間の成分がピークの成分となっていることが分かる。本サンプルの場合、画像歪みを評価する局所領域を32画素×32画素とすると、およそ60万倍の倍率の画像まで評価できる。
図4には、X方向およびY方向に同時に視野を移動して測定した画像歪みの分布をベクトル表示401で表示した結果を示す。移動量を測定する指定箇所を画面内に多数配置(例えば、図4では、縦に45個、横に14個、合計630個)してあり、測定した歪み量と方向をベクトルで表示することができた。歪みのベクトル表示401によって、像内の局所的なひずみの分布が、一目でわかるように表示できる。各ベクトルのX成分とY成分は、それぞれひずみのX方向成分とY方向成分とを表している。ベクトルによる分布表示図の右下にある矢印の長さが約1%のひずみ比に相当する。このように、本実施例によって、二次元方向に対する画像の局所的な歪みを測定し、表示することが可能となった。
このようにして測定した画像の歪みの測定値は、歪み測定後に取得した画像に対して、画像取得時の検査情報として、電子ファイルに出力される。あるいは、走査型電子顕微鏡7900の記憶装置7922に検査情報として記憶される。
次に、上述のようにして測定した歪み量の測定値を、画像補正等に適用する例について説明する。
まず、測定した画像ひずみを補正する方法の一例として、走査型電子顕微鏡7900の制御装置7924にて、画像から算出した歪み測定値から走査偏向器7905の調整値を算出し、走査偏向器7905の走査偏向量を調整し、検査時の画像歪みを補正することが可能である。
測定した画像ひずみの補正方法の他の一例として、例えば、上記のようにして得られた指定箇所のベクトル分布に基づいて画像全体を反対方向に歪ませて補正する方法がある。指定箇所の歪みベクトルに基づいて画像のピクセル毎に歪みベクトルを算出し、さらに、ピクセル毎に歪みベクトルの符号を反転させて補正ベクトルを得る。補正ベクトルに従って、ピクセル毎に画像を歪ませることによって、歪みの無い画像に補正することができる。
また、測定した画像ひずみの補正方法の他の一例として、画像から得られる位置情報を補正して、正しい位置情報を取得する方法がある。例えば、電子線画像に観察された構造物の輪郭線を抽出し、その輪郭線を構成する輪郭点での位置情報を算出する。さらに、算出した位置での歪みベクトルを、上記のように測定した指定箇所の歪みベクトルに基づいて算出する。さらに、それぞれの輪郭点での歪みベクトルの符号を反転させて補正ベクトルを得る。補正ベクトルに従って、輪郭線の位置を補正することによって、画像ひずみに依らない正確な輪郭線を得ることができる。
次に、複数の電子顕微鏡にて画像ひずみの評価を行って半導体製造ラインの管理を行う例を説明する。図7に例示する測定、検査システムには、一例として、3台のSEM701〜703が接続されている。複数の電子顕微鏡にて同じパターンを測定したときに、同じ測定結果が出力されることが望ましいが、各装置の機差が存在すると、測定結果が一様ではなくなる場合がある。そのような場合、それぞれの電子顕微鏡において、本実施例による画像歪み評価を行い、画像歪みの評価結果と機差を記憶部に記憶しておく。各々の電子顕微鏡で定期的に評価された画像歪み評価結果は、ネットワークを経由して条件設定装置704において、他の電子顕微鏡からの情報と合わせて集中管理される。さらに、個々の電子顕微鏡の画像歪みの測定結果に基づいて、画像歪みを補正した測定を行うことによって、複数の電子顕微鏡で同じ測定結果が得られるようになる。画像歪みの補正は、個々の走査型電子顕微鏡7900内の制御装置7924で行っても良いし、ネットワークを経由して、複数の電子顕微鏡から送られる画像または測定結果を、条件設定装置704で集中補正を行っても良い。このように、半導体製造ライン内の全ての電子顕微鏡の画像歪みを補正して計測することによって、電子顕微鏡の機差を無くすことが可能となり、半導体ウエハの測定精度を向上できる。調整用試料は、例えば、図79に示したように、複数のSEM内に1台に一つずつ配置しておくようにしても良い。あるいは、例えばミニエンバイロメント7917内に、調整用試料を含む試料7918を一つずつ待機させておき、必要に応じて試料室7907に搬入するようにしても良い。あるいは、微細凹凸パターンを全面に形成したウエハ状の調整用試料7919を作成して、同一ウエハで複数装置の調整を行なっても良い。ウエハに形成した調整用試料7919を用いる利点としては、同一試料を用いて測定条件を調整することができるので、使用したサンプルによる測定誤差が低減できるので、複数装置の機差を小さく調整できる。また、検査ウエハを測定するときと完全に同一の電子光学系の設定条件で調整できるので、画像歪みの測定精度、および、調整精度を向上できる利点がある。
以上のような手法によれば、画像歪みの存在の由来を適正に判定することができ、更に画像歪みによらず安定して機差測定を行うことができる。
なお、実施例においては走査型電子顕微鏡を例に説明したが、荷電粒子線を用いた装置全般に適用することができる。
以上述べたとおり、本実施例によれば、基板表面に高さの揃った半導体材料からなる不規則パターンを有する荷電粒子線装置調整用試料を用いることにより、半導体装置の製造現場で使用可能な、高精度に調整された荷電粒子線装置を提供することができる。また、荷電粒子線装置の性能を随時、モニタして高精度に調整できるため、高精度で安定した測定を行うことが可能となる。さらに、局所的な倍率変動や画像ひずみの評価値が所望の正常範囲内に入るように調整できるため、半導体製造ラインに導入した複数の荷電粒子線装置での測定値の機差が低減され安定した測定が可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
701,702,703 SEM
704 条件設定装置
705 シミュレーター
706 記憶媒体
710 制御装置
801 電子源
802 引出電極
803 電子ビーム
804 コンデンサレンズ
805 走査偏向器
806 対物レンズ
807 試料室
808 試料台
809 試料
810 電子
811 二次電子
812 変換電極
813 検出器

Claims (29)

  1. 撮像対象の第1の領域を撮像した第1の画像について、前記撮像対象の特定領域に相当する第1の部分を切り出してパターンマッチング用のテンプレートを作成するテンプレート設定部と、当該テンプレート設定部にて作成されたテンプレートを用いてマッチング処理を実行するマッチング実行部を備えた画像処理装置において、前記第1の領域とその位置が異なると共にその一部が前記第1の領域と重畳する撮像対象の第2の領域を撮像した第2の画像内の前記第1の画像の前記第1の部分の座標位置に相当する測定点と、当該第2の画像内の前記特定領域に相当する第2の部分との間の距離を演算する演算部を備え、当該演算部は、前記測定点と前記第2の部分との間の距離を、前記重畳領域の複数の特定領域について求めることを特徴とする画像処理装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1の領域の大きさと、前記第2の領域の大きさは同じであることを特徴とする画像処理装置。
  3. 請求項1において、
    前記演算部は、所定の基準位置における前記測定点と前記第2の部分との間の距離と、
    前記基準位置以外の複数の移動量評価位置における前記測定点と前記第2の部分との間の距離を求めることを特徴とする画像処理装置。
  4. 請求項3において、
    前記演算部は、所定の基準位置における前記測定点と前記第2の部分間の距離と、前記移動量評価位置における前記測定点と前記第2の部分間の距離との差、或いは比を求めることを特徴とする画像処理装置。
  5. 請求項3において、
    前記第1の画像の基準位置、及び移動量評価位置の画像を切り出して、前記テンプレートとすることを特徴とする画像処理装置。
  6. 請求項5において、
    前記演算部は、前記テンプレートによるテンプレートマッチングに基づいて、前記基準位置における前記測定点と前記第2の部分との距離と、複数の移動量評価位置における前記測定点と前記第2の部分との距離を求めることを特徴とする画像処理装置。
  7. 請求項1において、
    前記画像処理装置は、走査幅が校正された装置条件に基づいて、前記第1の画像、及び前記第2の画像を取得することを特徴とする画像処理装置。
  8. 荷電粒子源と、当該荷電粒子源から放出されたビームの照射位置を移動する視野移動用の偏向器を備えた荷電粒子線装置において、
    試料上の特定領域を第1の部分とする第1の領域の第1の画像と、当該第1の領域とは異なる位置であって、その一部が前記第1の領域と重畳する第2の領域の第2の画像を取得するための装置条件を設定する装置条件設定部と、
    前記第2の画像内の前記第1の画像の第1の部分の座標位置に相当する測定点と、当該第2の画像内の前記特定領域に相当する第2の部分との間の距離を演算する演算部を備え、当該移動量演算部は、前記測定点と前記第2の部分との間の距離を、前記重畳領域の複数の特定領域について求めることを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項8において、
    前記第1の領域の大きさと、前記第2の領域の大きさは同じであることを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 請求項8において、
    前記演算部は、所定の基準位置における前記測定点と前記第2の部分との間の距離と、前記基準位置以外の複数の移動量評価位置における前記測定点と前記第2の部分との間の距離を求めることを特徴とする荷電粒子線装置。
  11. 請求項10において、
    前記演算部は、所定の基準位置における前記測定点と前記第2の部分間の距離と、前記移動量評価位置における前記測定点と前記第2の部分間の距離との差、或いは比を求めることを特徴とする荷電粒子線装置。
  12. 請求項10において、
    前記装置条件設定部は、前記基準位置に基準パターンを位置づけたときに得られる画像に基づいて、前記ビームの走査幅を校正し、当該校正後の装置条件に基づいて、前記第1の画像、及び前記第2の画像を取得するための装置条件を設定することを特徴とする荷電粒子線装置。
  13. 請求項8において、
    前記試料を載置するための試料台を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  14. 請求項8において、
    前記試料を試料室外に配置すると共に、前記第1の画像と前記第2の画像の取得の際に、試料室に当該試料を搬入することを特徴とする荷電粒子線装置。
  15. 撮像した画像、及び当該撮像した画像内でパターンマッチングを行うためのテンプレートを記憶する記憶媒体にアクセス可能、或いは当該記憶媒体を内蔵するコンピュータに、撮像対象の第1の領域を撮像した第1の画像について、前記撮像対象の特定領域に相当する第1の部分を切り出してパターンマッチング用のテンプレートを作成させ、当該作成されたテンプレートを用いてマッチング処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、
    当該プログラムは前記コンピュータに、前記第1の領域とその位置が異なると共に、その一部が重畳する撮像対象の第2の領域を撮像した第2の画像内の前記第1の画像の第1の部分に相当する測定点と、当該第2の画像内の前記特定領域に相当する第2の部分との間の距離を演算させると共に、前記測定点と前記第2の部分との間の距離を、前記重畳領域の複数の特定領域について求めさせることを特徴とするコンピュータプログラム。
  16. 荷電粒子線装置によって取得された画像の歪みを測定する画像処理装置において、
    前記画像の基準位置および複数の移動評価位置における移動量から、異なる複数の個所の歪みを計測する画像歪み量演算部を備え、撮像された画像の歪みによる位置ずれまたは位置ずれ分布を計測することを特徴とする画像処理装置。
  17. 基板と、
    前記基板表面に形成され、半導体材料からなる凹凸パターンとを有し、
    前記凹凸パターンは、二次元方向に不規則なパターンであり、
    前記凹凸パターンの凸部上面は、高さの揃った平坦面であることを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料。
  18. 請求項17記載の荷電粒子線装置調整用試料であって、
    前記半導体材料は、Siであることを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料。
  19. 請求項17記載の荷電粒子線装置調整用試料であって、
    前記不規則な凹凸パターンは、3nm〜200nmの範囲の寸法を含むことを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料。
  20. 請求項17記載の荷電粒子線装置調整用試料であって、
    前記基板はSi基板であり、
    前記凹凸パターンの凸部上面の平坦面は、前記凹凸パターン形成前の前記Si基板の最表面で構成されることを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料。
  21. 請求項17記載の荷電粒子線装置調整用試料であって、
    前記凹凸パターンに荷電粒子線を照射して得られる荷電粒子線装置画像の画像階調のヒストグラムにおいて、前記凹凸パターンの凸部からの信号ピークの階調ばらつきが前記凹凸パターンの凹部からの信号ピークの階調ばらつきの2倍以下であることを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料。
  22. 請求項17記載の荷電粒子線装置調整用試料であって、
    前記高さが揃った平坦面とは、高さのばらつきが10nm以下の場合を含むことを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料。
  23. パターニングしていない厚さ10nm〜0.1nmの範囲の膜厚で均一なSi酸化膜をSi基板上に形成する工程と、
    プラズマ式ドライエッチング装置を用い、Si酸化膜に対する選択比が高い条件にて前記Si基板に微細パターンを形成する工程とを含み、
    前記ドライエッチング前のSi基板の最表面は、前記微細パターン上面の平坦面を構成することを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料の製造方法。
  24. 請求項23記載の荷電粒子線装置調整用試料の製造方法であって、
    前記微細パターンを形成する工程において、前記プラズマ式ドライエッチング装置に少なくともCl2、および、O2ガスを含む混合ガスを導入することを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料の製造方法。
  25. 請求項17記載の荷電粒子線装置調整用試料を用いて、焦点、非点、画像分解能、エッジシャープネス、画像倍率、画像歪みの少なくとも一つを測定し、前記測定した値が予め設定した値の範囲に入るように調整したことを特徴とする荷電粒子線装置。
  26. 請求項17記載の荷電粒子線装置調整用試料を用いて、複数の荷電粒子線装置における画像分解能、エッジシャープネス、画像倍率、または、画像歪みの少なくとも一つを測定し、前記複数の荷電粒子線装置において、測定した結果が予め設定した値の範囲に入るように調整したことを特徴とする荷電粒子線装置。
  27. 請求項17記載の荷電粒子線装置調整用試料を用いて、荷電粒子線装置の画像分解能、エッジシャープネス、画像倍率、または、画像歪みの少なくとも一つを測定し、前記測定値に基づいて、前記荷電粒子線装置を用いて測定した画像または前記画像を処理して得たデータを補正する機能を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  28. 請求項17記載の荷電粒子線装置調整用試料であって、
    前記凹凸パターンの凸部の側壁は垂直形状を有することを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料。
  29. 請求項17記載の荷電粒子線装置調整用試料であって、
    前記凹凸パターンの表面は帯電しないような薄いSi酸化膜で覆われていることを特徴とする荷電粒子線装置調整用試料。
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