JP5595400B2 - 光学活性3−置換グルタル酸モノアミドの製造法 - Google Patents

光学活性3−置換グルタル酸モノアミドの製造法 Download PDF

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Description

本発明は、医薬品中間体として有用な光学活性3−置換グルタル酸モノアミドの製造法に関する。
光学活性3−置換グルタル酸モノアミドの製造法として、例えば、以下の方法が知られている。
1)ラセミ体3−置換グルタル酸モノアミドを造塩晶析等で光学分割することによる光学活性3−置換グルタル酸モノアミドを取得する方法(特許文献1、非特許文献1)。
2)エステラーゼやリパーゼを用いた3−置換グルタル酸ジエステルの不斉加水分解反応により光学活性3−置換グルタル酸モノエステルを得た後に、これをアミド化することによる光学活性3−置換グルタル酸モノアミドを取得する方法(非特許文献2)。
しかし、1)の方法は光学分割法であるため50%以上の収率が望めず、一方、2)の方法では不斉加水分解反応後のアミド化工程において高圧、低温条件が必要である。
このように、現在知られている光学活性3−置換グルタル酸モノアミドの製造方法は、収率面、反応条件の面で、工業的生産に有利な方法とは言い難い。
国際公開第97/22578号
Jounal of the Chemical Society,Perkin Transactions 2: 1997(4), 763-768 Can. J. Chem., 72, 2312 (1994)
上記に鑑み、本発明の目的は、医薬品中間体として有用な光学活性3−置換グルタル酸モノアミドを高収率にて製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題に基づき鋭意検討を行った結果、3−置換グルタル酸ジアミドを立体選択的に不斉加水分解する微生物を取得することにより、圧力・温度ともに温和な反応条件において、50%に留まらない高収率の光学活性3−置換グルタル酸モノアミド取得を可能にし、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は下記式(1);
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜8のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜20のアラルキル基を示す。)で表される3−置換グルタル酸ジアミドに、当該化合物を不斉加水分解する活性を有する酵素源を作用させることを特徴とする、下記式(2);
(式中、*は不斉炭素原子を表す。Rは前記に同じ。)で表される光学活性3−置換グルタル酸モノアミド化合物の製造法に関する。
本発明により、プロキラルな3−置換グルタル酸ジアミドを原料として、50%以上の高収率で光学活性3−置換グルタル酸モノアミドを製造できる。
以下、本発明を、実施形態を用いて詳細に説明する。本発明はこれらにより限定されるものではない。
本発明の原料である3−置換グルタル酸ジアミドは下記式(1);
で表される。前記式(1)において、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜8のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜20のアラルキル基を示す。
前記炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であっても良く、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンタニル基、ヘキサニル基、ヘプタニル基、オクタニル基等が挙げられる。
前記炭素数2〜8のアルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。
前記炭素数2〜8のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基等が挙げられる。
前記炭素数4〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、インダニル基、インデニル基等が挙げられる。
前記炭素数5〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、ナフチルメチル基、アントラニルメチル基、ピリジルメチル基、ピリミジルメチル基、インダニルメチル基、インデニルメチル基等が挙げられる。
上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びアラルキル基は置換基を有していても良く、置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。
前記式(1)で表される3−置換グルタル酸ジアミドとして、具体的には、3−プロピルグルタル酸ジアミド、3−イソブチルグルタル酸ジアミド、3−フェニルグルタル酸ジアミド、3−(4−クロロフェニル)グルタル酸ジアミド等が挙げられる。
本発明の生成物である光学活性3−置換グルタル酸モノアミドは下記式(2);
で表される。前記式(2)におけるRは、前記式(1)におけるRと同様である。
前記式(2)で表される化合物は、絶対配置がRであってもSであっても良く、具体的には、絶対配置がRである3−プロピルグルタル酸モノアミド、3−イソブチルグルタル酸モノアミド、3−フェニルグルタル酸モノアミド、3−(4−クロロフェニル)グルタル酸モノアミド、絶対配置がSである3−プロピルグルタル酸モノアミド、3−イソブチルグルタル酸モノアミド、3−フェニルグルタル酸モノアミド、3−(4−クロロフェニル)グルタル酸モノアミド等が挙げられる。
本発明で用いる「酵素源」とは、3−置換グルタル酸ジアミドを不斉加水分解する活性を有する微生物の菌体およびその処理物が含まれる。
「微生物の菌体」とは、菌体そのものの他、菌体を含む培養液あるいは菌体懸濁液を含めて意味する。なお、微生物としては、野生株の他、変異を生じさせて有利な性質を得た変異株も含み、さらには、該微生物由来の上記不斉加水分解活性を有する酵素をコードするDNAが導入された形質転換株も含む。
「菌体の処理物」とは、例えば、粗抽出液、凍結乾燥菌体、アセトン乾燥菌体、又はそれら菌体の破砕物等を意味し、さらには、3−置換グルタル酸ジアミドを不斉加水分解する活性を有する酵素自体、或いは部分精製酵素であってもよい。さらにそれらは、酵素自体あるいは菌体を固定化し、固定化酵素あるいは固定化菌体として用いることもできる。固定化は、当業者に周知の方法(例えば架橋法、物理的吸着法、包括法等)で行うことができる。
本明細書で後述する各微生物は、特許生物寄託機関やその他研究機関から入手可能であり、更には、自然界から分離することもできる。例えば、NBRC番号で特定される微生物は、独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門より、FERM番号で特定される微生物は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターより、IAM番号で特定される微生物は、東京大学分子細胞生物学研究所細胞機能情報研究センターより、JCM番号で特定される微生物は、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室より入手可能である。
また、3−置換グルタル酸ジアミドや酵素生産を誘導するための誘導剤を用いて集積培養することにより、自然界から分離することもできる。
前記3−置換グルタル酸ジアミドに不斉加水分解活性を有する酵素源としては、例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、コマモナス(Comamonas)属、デルフチア(Delftia)属、ノカルディア(Nocardia)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、又はステノトロホモナス(Stenotrophomonas)属からなる群から選ばれた微生物由来の酵素源が挙げられる。
前記酵素源のうち、絶対配置がSである3−置換グルタル酸モノアミドを製造する能力を有する酵素源としては、例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、デルフチア(Delftia)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、又はステノトロホモナス(Stenotrophomonas)属からなる群から選ばれた微生物由来の酵素源が挙げられる。
好ましくは、アクロモバクター スピーシーズ(Achromobacter sp.)、アクロモバクター キシロソキシダンス サブスピーシーズ デニトリフィカンス(Achromobacter xylosoxidans subsp. denitrificans)、アルカリゲネス キシロソキシダンス サブスピーシーズ デニトリフィカンス(Alcaligenes xylosoxidanssubsp. denitrificans)、アースロバクター スピーシーズ(Arthrobacter sp.)、アシネトバクター スピーシーズ(Acinetobacter sp.)、セルロモナス フィミ(Cellulomonasfimi)、デルフチア アシドボランス(Delftia acidovorans)、シュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)、又はステノトロホモナス スピーシーズ(Stenotrophomonas sp.)由来の酵素源である。
より好ましくはアクロモバクター キシロソキシダンス サブスピーシーズ デニトリフィカンス(Achromobacter xylosoxidans subsp. denitrificans)IFO15125、アクロモバクター キシロソキシダンス サブスピーシーズ デニトリフィカンス(Achromobacter xylosoxidans subsp. denitrificans)IFO12669、セルロモナス フィミ(Cellulomonas fimi)IFO15513、デルフチア(Delftia)NBRC13582、デルフチア(Delftia)NBRC14950由来の酵素源である。
また、前記酵素源のうち、絶対配置がRである3−置換グルタル酸モノアミドを製造する能力を有する酵素源としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、コマモナス(Comamonas)属、ノカルディア(Nocardia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、又はシュードモナス(Pseudomonas)属、からなる群から選ばれた微生物由来の酵素源が挙げられる。
好ましくは、アルカリゲネス スピーシーズ(Alcaligenes sp.)、アシネトバクター スピーシーズ(Acinetobacter sp.)、コマモナス スピーシーズ(Comamonas sp.)、ノカルディア グロベルラ(Nocardia globerula)、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)、又はシュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)由来の酵素源である。
より好ましくはアルカリゲネス スピーシーズ(Alcaligenes sp.)IFO14130、コマモナス スピーシーズ(Comamonas sp.)KNK3−7(NITE BP−963)、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IFO12538、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IFO12539、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IAM1440、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IAM1452、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IAM1474、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IAM12122、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)NBRC15564、又はシュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)KNK24−9(NITE BP−962)由来の酵素源である。
なお、前記のコマモナス スピーシーズ(Comamonas sp.)KNK3−7株(NITE BP−963)、及び、シュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)KNK24−9株(NITE BP−962)は、本発明者らによって土壌から分離された菌株であり、それぞれ前記の受託番号で、平成22年7月7日付けで、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に寄託されている。
また、本発明の酵素源となりうる微生物としては、野生株又は変異株のいずれでもよい。あるいは細胞融合又は遺伝子操作等の遺伝学的手法により誘導される微生物も用いることができる。
例えば、遺伝子操作された微生物であれば、上記で例示した微生物から3−置換グルタル酸モノアミドを不斉加水分解しうる酵素を単離及び/又は精製して酵素のアミノ酸配列の一部又は全部を決定する工程、このアミノ酸配列に基づいて酵素をコードするDNA配列を得る工程、このDNAを他の微生物に導入して組換え微生物を得る工程、及びこの組換え微生物を培養して、本酵素を得る工程を含有する方法等により得ることができる。これらの各工程は、当業者に周知の遺伝子組換え技術により、実施することができる。
上記のような組換え微生物としては、前記加水分解酵素をコードするDNAを有するプラスミドで形質転換された形質転換微生物が挙げられる。また、宿主微生物としてはエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)が好ましい。
酵素源として用いる微生物の為の培養培地は、その微生物が増殖し得るものである限り特に限定されない。例えば、炭素源として、グルコース、シュークロース等の糖質、エタノール、グリセロール等のアルコール類、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸及びそのエステル類、菜種油、大豆油等の油類、窒素源として、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、ペプトン、カザミノ酸、コーンスティープリカー、ふすま、酵母エキスなど、無機塩類として、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、燐酸1水素カリウム、燐酸2水素カリウムなど、他の栄養源として、麦芽エキス、肉エキス等を含有する通常の液体培地を使用することができる。
また、微生物の酵素生産を誘導するために誘導剤を培地に添加してもよい。誘導剤としては、ニトリル、ラクタム化合物、アミド等が挙げられる。例えば、ニトリルとしては、アセトニトリル、イソバレロニトリル、プロピオニトリル、ピバロニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル、n−カプロニトリル、3−ペンテンニトリルなどが挙げられ、ラクタム化合物としては、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタムなどが挙げられ、アミドとしては、クロトンアミド、ベンズアミド、プロピオンアミド、アセトアミド、n−ブチルアミド、イソブチルアミド、n−バレルアミド、n−カプロンアミド、メタクリルアミド、フェニルアセトアミド、シクロヘキサンカルボキサミドなどが挙げられる。
これら誘導剤の培地への添加量は0.05%〜2.0%、好ましくは0.1%〜1.0%である。培養は好気的に行い、通常、培養時間は1〜5日間程度、培地のpHが3〜9、培養温度は10〜50℃で行うことができる。
本発明において、3−置換グルタル酸ジアミド(1)の立体選択的な加水分解反応は、適当な溶媒中に原料である3−置換グルタル酸ジアミド(1)、及び前記微生物の菌体又はその処理物等を添加し、pH調整下攪拌することにより行うことができる。
反応条件は用いる酵素、微生物又はその処理物、基質濃度等によって異なるが、通常、基質濃度は約0.1〜99重量%、好ましくは1〜60重量%であり、反応温度は10〜60℃、好ましくは20〜50℃であり、反応のpHは4〜11、好ましくは6〜9であり、反応時間は1〜120時間、好ましくは1〜72時間で行うことができる。基質は一括、又は連続的に添加して行うことができる。反応はバッチ方式又は連続方式で行うことができる。
反応で生じた光学活性3−置換グルタル酸モノアミドは、常法により、それぞれを単離、精製できる。例えば、加水分解反応で生じた光学活性3−置換グルタル酸モノアミドを含む反応液を、酢酸エチル、トルエン等の有機溶媒で抽出し、有機溶媒を減圧下で留去した後、蒸留、再結晶、又は、クロマトグラフィー等の処理を行うことにより、単離、精製できる。また、反応液から微生物菌体を除去したろ液を、硫酸等を用いて中和晶析し、析出した目的物をろ別することによっても単離、精製できる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)3−プロピルグルタル酸ジアミドの立体選択的加水分解
表1及び表2に示した各微生物を、試験管内で滅菌した8mlの培地(グリセロール1.0%、ペプトン0.5%、モルトエキス0.3%、イーストエキス0.3%、ε−カプロラクタム0.1%、pH7.0)に植菌して、30℃で72時間、振とう培養した。培養終了後、遠心分離により菌体を集め、2mlの100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。
この菌体懸濁液1mlと、(参考例1)に記載した方法で合成した基質3−プロピルグルタル酸ジアミド2mgを混合し、30℃にて24時間振とうした。反応終了後、遠心分離にて固形物を除去し、反応液中の基質及び生成物を高速液体クロマトグラフィーにて分析することにより、変換率(%)を求めた。
さらに、反応液中生成物を、フェナシルブロマイドを用いて誘導化することで取得した誘導体を高速液体クロマトグラフィーにて分析することにより、光学純度(%ee)を求めた。
その結果を表1及び2に示す。
・変換率(%)=生成物量/(基質量+生成物量)×100
・光学純度(%ee)=(A−B)/(A+B)×100 (A及びBは対応する鏡像異性体量を表し、A>Bである)
<高速液体クロマトグラフィー分析条件>
[変換率の分析]
・カラム:5C18−ARII(4.6mmφ×250mm、ナカライテスク社製)
・溶離液:20mMリン酸水溶液(pH2.5)/アセトニトリル=8/2
・流速:1.0ml/分、カラム温度:30℃、測定波長:210nm
[光学純度の分析]
・カラム:CHIRALPAK AD−RH(4.6mmφ×150mm、ダイセル化学社製)
・溶離液:20mMリン酸水溶液(pH2.5)/アセトニトリル=1/1
・流速:0.5ml/分、カラム温度:室温、測定波長:210nm。
(実施例2)3−(4−クロロフェニル)グルタル酸ジアミドの立体選択的加水分解
表3及び表4に示した各微生物を、試験管内で滅菌した8mlの培地(グリセロール1.0%、ペプトン0.5%、モルトエキス0.3%、イーストエキス0.3%、ε−カプロラクタム0.1%、pH7.0)に植菌して、30℃で72時間、振とう培養した。培養終了後、遠心分離により菌体を集め、2mlの100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。
この菌体懸濁液1mlと、(参考例2)に記載した方法で合成した基質3−(4−クロロフェニル)グルタル酸ジアミド2mgを混合し、30℃にて24時間振とうした。反応終了後、遠心分離にて固形物を除去し、反応液中の基質及び生成物を高速液体クロマトグラフィーにて分析することにより、変換率(%)及び光学純度(%ee)を求めた。
その結果を表3及び4に示す。
・変換率(%)=生成物量/(基質量+生成物量)×100
・光学純度(%ee)=(A−B)/(A+B)×100 (A及びBは対応する鏡像異性体量を表し、A>Bである)
<高速液体クロマトグラフィー分析条件>
[変換率の分析]
・カラム:5C18−ARII(4.6mmφ×250mm、ナカライテスク社製)
・溶離液:20mMリン酸水溶液(pH2.5)/アセトニトリル=7/3
・流速:1.0ml/分、カラム温度:30℃、測定波長:210nm
[光学純度の分析]
・カラム:SUMICHIRAL OA−7000(4.6mmφ×250mm、住化分析センター社製)
・溶離液:20mMリン酸水溶液(pH2.5)/アセトニトリル=8/2
・流速:0.5ml/分、カラム温度:室温、測定波長:210nm。
(参考例1)3−(4−クロロフェニル)グルタル酸ジアミドの合成
3−(4−クロロフェニル)グルタル酸(10.0g、41.2mmol)をメタノール(60ml)に溶解させ、塩化チオニル(12.3g、103mmol)を滴下した。滴下終了後、2時間攪拌した後、減圧下にて溶媒を留去することにより、3−(4−クロロフェニル)グルタル酸ジメチルの白色固体(11.1g、41.2mmol)を得た。
上記の3−(4−クロロフェニル)グルタル酸ジメチルの固体(8.0g、30.0mmol)を耐圧容器に入れ、アンモニア/メタノール溶液(有姿80g、800mmol)を加えた後、密閉系にて80℃に加熱した。
3日間攪拌した後、内容物を粗濃縮し、析出した固体を濾別した。濾別した固体を減圧下にて乾燥することにより、3−(4−クロロフェニル)グルタル酸ジアミドの白色固体(6.5g、27.0mmol)を得た。
(参考例2)3−プロピルグルタル酸ジアミドの合成
3−プロピルグルタル酸(8.0g、45.9mmol)をメタノール(50ml)に溶解させ、塩化チオニル(13.7g、115mmol)を滴下した。滴下終了後、2時間攪拌した後、減圧下にて溶媒を留去することにより、3−プロピルグルタル酸ジメチルの油状物(9.3g、45.9mmol)を得た。
上記の3−プロピルグルタル酸ジメチルの油状物(9.0g、44.5mmol)を耐圧容器に入れ、アンモニア/メタノール溶液(有姿90g、900mmol)を加えた後、密閉系にて80℃に加熱した。
5日間攪拌した後、内容物を粗濃縮し、析出した固体を濾別した。濾別した固体を減圧下にて乾燥することにより、3−プロピルグルタル酸ジアミドの固体(2.3g、13.4mmol)を得た。

Claims (7)

  1. 下記式(1);
    (式中、Rはプロピル基、イソブチル基、フェニル基又は4−クロロフェニル基を示す。)で表される3−置換グルタル酸ジアミドに、当該化合物を不斉加水分解する活性を有する酵素源を作用させることを特徴とする、下記式(2);
    (式中、*は不斉炭素原子を表す。Rは前記に同じ。)で表される光学活性3−置換グルタル酸モノアミドの製造法。
  2. 酵素源が、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、コマモナス(Comamonas)属、デルフチア(Delftia)属、ノカルディア(Nocardia)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、又はステノトロホモナス(Stenotrophomonas)属からなる群から選択される少なくとも1種の微生物の菌体及び/又はその処理物である請求項1記載の製造法。
  3. 酵素源が、アクロモバクター スピーシーズ(Achromobacter sp.)、アクロモバクター キシロソキシダンス サブスピーシーズ デニトリフィカンス(Achromobacter xylosoxidans subsp. denitrificans)、アルカリゲネス スピーシーズ(Alcaligenes sp.)、アルカリゲネス キシロソキシダンス サブスピーシーズ デニトリフィカンス(Alcaligenes xylosoxidans subsp. denitrificans)、アースロバクター スピーシーズ(Arthrobacter sp.)、アシネトバクター スピーシーズ(Acinetobacter sp.)、セルロモナス フィミ(Cellulomonas fimi)、コマモナス スピーシーズ(Comamonas sp.)、デルフチア アシドボランス(Delftia acidovorans)、ノカルディア グロベルラ(Nocardia globerula)、シュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)、ステノトロホモナス スピーシーズ(Stenotrophomonas sp.)からなる群から選択される少なくとも1種の微生物の菌体及び/又はその処理物である請求項1又は2に記載の製造法。
  4. 酵素源として、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、デルフチア(Delftia)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、又はステノトロホモナス(Stenotrophomonas)属からなる群から選択される少なくとも1種の微生物の菌体及び/又はその処理物を用いて絶対配置がSである3−置換グルタル酸モノアミド化合物を製造する請求項に記載の製造法。
  5. 酵素源として、アクロモバクター スピーシーズ(Achromobacter sp.)、アクロモバクター キシロソキシダンス サブスピーシーズ デニトリフィカンス(Achromobacter xylosoxidans subsp. denitrificans)、アルカリゲネス キシロソキシダンス サブスピーシーズ デニトリフィカンス(Alcaligenes xylosoxidans subsp. denitrificans)、アースロバクター スピーシーズ(Arthrobacter sp.)、アシネトバクター スピーシーズ(Acinetobacter sp.)、セルロモナス フィミ(Cellulomonas fimi)、デルフチア アシドボランス(Delftia acidovorans)、シュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)、又はステノトロホモナス スピーシーズ(Stenotrophomonas sp.)属からなる群から選択される少なくとも1種の微生物の菌体及び/又はその処理物を用いて絶対配置がSである3−置換グルタル酸モノアミド化合物を製造する請求項に記載の製造法。
  6. 酵素源として、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、コマモナス(Comamonas)属、ノカルディア(Nocardia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、又はシュードモナス(Pseudomonas)属からなる群から選択される少なくとも1種の微生物の菌体及び/又はその処理物を用いて絶対配置がRである3−置換グルタル酸モノアミドを製造する請求項に記載の製造法。
  7. 酵素源として、アルカリゲネス スピーシーズ(Alcaligenes sp.)、アシネトバクター スピーシーズ(Acinetobacter sp.)、コマモナス スピーシーズ(Comamonas sp.)、ノカルディア グロベルラ(Nocardia globerula)、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)、又はシュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)からなる群から選択される少なくとも1種の微生物の菌体及び/又はその処理物を用いて絶対配置がRである3−置換グルタル酸モノアミドを製造する請求項に記載の製造法。
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