JP2005323612A - 光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルを効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
β−ヒドロキシカルボン酸エステルのラセミ体に、エステル結合を不斉加水分解する能力を有する微生物の培養物、菌体又は菌体処理物を作用させることを特徴とする光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルの製造法。
【選択図】なし
本発明は光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルを効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
β−ヒドロキシカルボン酸エステルのラセミ体に、エステル結合を不斉加水分解する能力を有する微生物の培養物、菌体又は菌体処理物を作用させることを特徴とする光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルの製造法。
【選択図】なし
Description
本発明は、医薬、農薬等の有用な合成中間体となる光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルの製造法に関する。
近年、医薬、農薬等の生理活性物質の合成中間体としての光学活性体の需要が急速に高まっており、様々な手法を用いた光学活性体の合成研究が盛んに行われている。脂肪族カルボン酸に属する光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルは、分子内に2種類の官能基を持ち、種々の光学活性物質へ誘導可能である産業的に極めて有用な物質群である。
従来、光学活性β−ヒドロキシカルボン酸の製造法としては、化学的又は微生物的方法としてβ−ケト酸エステルの不斉還元法、光学分割法、1,3−ジオールの酸化法、脂肪酸のβ−水酸化法、直接発酵法等が報告されている。この中で、微生物の代謝経路を利用した各種光学活性β−ヒドロキシカルボン酸の生産が、工業的規模で実施されている(特公昭59−21599号公報、特公昭59−21600号公報、特公昭60−16235号公報、特公昭61−12676号公報等)。これらの微生物の代謝経路を利用した方法は、各種脂肪酸、アルコールを原料として使用し、脂肪酸の主代謝経路であるβ−酸化酵素系や、類縁の分岐状アミノ酸代謝経路と共通すると思われる酵素系を利用するものである。
特公昭59−21599号公報
特公昭59−21600号公報
特公昭60−16235号公報
特公昭61−12676号公報
しかしながら、前述した微生物の代謝経路を利用する方法においては、補酵素の再生系が必要であり、エネルギー源としてATPが必須となるため、代謝系を活性化するため、好気的条件下にグルコース等のエネルギー源を補給しながら培養する必要がある。従って、培養に時間がかかる、高濃度生産が困難である、無菌状態が必要である、菌体の再利用が困難である、といった問題点を有している。これらの問題点を克服できるような光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルの製造方法が望まれていた。
本発明者等は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、β−ヒドロキシカルボン酸エステルのラセミ体に、エステル結合を不斉加水分解する能力を有する微生物の培養物、菌体又は菌体処理物を作用させることにより、光学純度の高い光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルを効率よく生産可能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、β−ヒドロキシカルボン酸エステルのラセミ体に、エステル結合を不斉加水分解する能力を有する微生物の培養物、菌体又は菌体処理物を作用させることを特徴とする光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルの製造法である。
本発明の製造方法により、光学純度の高い光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルを効率よく生産することが可能である。生成したカルボン酸とエステルの分離、精製も容易であり、工業的に有利な方法である。
本発明において基質として使用可能なβ−ヒドロキシカルボン酸エステルとしては、例えば、次式(I):
β−ヒドロキシカルボン酸エステルとして前記式(I)又は前記式(II)で示される化合物を用いた場合、得られる光学活性β−ヒドロキシカルボン酸は、それぞれ、次式(I’):
前記式において、R1又はR2で表されるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。
前記式(I)で示されるβ−ヒドロキシカルボン酸エステルとしては、例えばβ−ヒドロキシイソ酪酸メチル(3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル)が挙げられる。
前記式(II)で示されるβ−ヒドロキシカルボン酸エステルとしては、例えば、β−ヒドロキシ酪酸メチル、β−ヒドロキシ吉草酸メチル、β−ヒドロキシイソカプロン酸メチルが挙げられる。
本発明で用いる微生物は、β−ヒドロキシカルボン酸エステルのラセミ体を不斉加水分解する能力を有するものであれば特に制限はない。代表的なものとして、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロードコッカス(Rhodococcus)属又はエセリキア(Escherichia)属に属する微生物が挙げられる。具体的には、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)MR-2068(FERM BP-3846)、ロードコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IFO 12320、ロードコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IFO 12538、エセリキア・コリ(Escherichia coli)MR-2103(FERM BP-3835)が挙げられる。エセリキア・コリ(Escherichia coli)MR-2103(FERM BP-3835)は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)MR-2068(FERM BP-3846)由来のエステラーゼ遺伝子で形質転換された株である。
本発明で用いる微生物の培養は、液体培地でも固体培地でも行うことができる。培地としては、微生物が通常資化しうる炭素源、窒素源、ビタミン、ミネラル等の成分を適宜配合したものが用いられる。微生物の加水分解能を向上させるため、培地にエステルを少量添加することも可能である。培養は微生物が生育可能である温度、pHで行われるが、使用する菌株の最適培養条件で行うことが好ましい。微生物の生育を促進させるため、通気攪拌を行ってもよい。
加水分解反応を行うに際しては、培養の開始時又は途中で培地にエステルを添加してもよく、予め微生物を培養した後、培養液にエステルを添加してもよい。また増殖した微生物の菌体を遠心分離等により採取し、これをエステルを含む反応媒体に加えてもよい。菌体としては、アセトン、トルエン等で処理した菌体を用いてもよい。
また、菌体の代わりに、培養液等の培養物、菌体破砕物、菌体抽出物、粗酵素、精製酵素等の菌体処理物を用いてもよく、更に、酵素又は微生物を適当な担体に固定化し、反応を行った後に回収再利用することも可能である。
反応媒体としては、例えばイオン交換水、緩衝液が用いられる。反応媒体又は培養液中のエステル濃度としては、0.1〜50重量%が好ましく、更に好ましくは5〜30重量%である。メタノール、アセトン、界面活性剤等を反応系に添加することも可能である。反応液のpHは、2〜11、好ましくは5〜8の範囲である。反応が進行するに従い生成したカルボン酸により反応液のpHが低下してくるが、この場合は適当な中和剤で最適pHに維持することが好ましい。反応温度は5〜70℃が好ましく、30〜60℃が更に好ましい。
このようにして、β−ヒドロキシカルボン酸エステルのラセミ体に、エステル結合を不斉加水分解する能力を有する微生物の培養物、菌体又は菌体処理物を作用させることにより、光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルを製造することができる。生成物の分離精製は、酢酸エチル、クロロホルム、エーテル等の有機溶媒による抽出等により、容易に行うことができる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)β−ヒドロキシカルボン酸エステルのラセミ体を不斉加水分解する能力を有する微生物のスクリーニング法
50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5) に1%(w/w) 濃度の (R)−(−)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル(和光純薬社製) 又は(S)−(+)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル(和光純薬社製) 及び0.01%(w/w) のブロモクレゾールパープルを添加し、基質溶液とした。各種保存菌株をLB培地(1%ポリペプトン、0.5 %酵母エキス、0.5 % NaCl )で培養し、遠心分離により集菌した。得られた菌体を1mlの (R) 体又は(S)体を含む基質溶液に懸濁し、30℃にて8時間酵素反応を行った。反応終了後、ブロモクレゾールパープル(pH指示薬)の色調を青色から黄色に変化させる能力を有するものを加水分解能力を有する株とした。そのなかで(R)体又は(S)体のみを加水分解するものを不斉加水分解能を有する株とした。
スクリーニング結果を表1に示す。
(実施例1)β−ヒドロキシカルボン酸エステルのラセミ体を不斉加水分解する能力を有する微生物のスクリーニング法
50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5) に1%(w/w) 濃度の (R)−(−)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル(和光純薬社製) 又は(S)−(+)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル(和光純薬社製) 及び0.01%(w/w) のブロモクレゾールパープルを添加し、基質溶液とした。各種保存菌株をLB培地(1%ポリペプトン、0.5 %酵母エキス、0.5 % NaCl )で培養し、遠心分離により集菌した。得られた菌体を1mlの (R) 体又は(S)体を含む基質溶液に懸濁し、30℃にて8時間酵素反応を行った。反応終了後、ブロモクレゾールパープル(pH指示薬)の色調を青色から黄色に変化させる能力を有するものを加水分解能力を有する株とした。そのなかで(R)体又は(S)体のみを加水分解するものを不斉加水分解能を有する株とした。
スクリーニング結果を表1に示す。
(実施例2)光学活性β−ヒドロキシイソ酪酸及びその対掌体エステルの製造
エセリキア・コリ(Escherichia coli)MR-2103(FERM BP-3835)を50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地(1%ポリペプトン、0.5 %酵母エキス、0.5 % NaCl )50mlに植菌し、37℃で20時間振盪培養した。培養終了後、培養液を遠心分離し、得られた菌体の全量をイオン交換水で洗浄した後、50mM燐酸緩衝液(pH7.0)50mlに懸濁した。この菌体懸濁液に、(±)−β−ヒドロキシイソ酪酸メチル5g を加え、30℃で24時間反応させた。この間、反応液のpHは、10% NaOH 水溶液を用いて7.0 に調整した。反応終了後、遠心分離により菌体を除き、β−ヒドロキシイソ酪酸メチルを酢酸エチルで抽出した。次いで、水相のpHを希硫酸で2.0 に下げた後、水相中のβ−ヒドロキシイソ酪酸を酢酸エチルで抽出した。各抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、溶媒を蒸発除去した。得られたβ−ヒドロキシイソ酪酸メチル及びβ−ヒドロキシイソ酪酸の比旋光度を測定した(PM101 型旋光度計、ユニオン技研社製) 。測定結果及び収量を表2に示す。この結果より、光学活性β−ヒドロキシイソ酪酸及び対掌体エステルが生成していることがわかる。
エセリキア・コリ(Escherichia coli)MR-2103(FERM BP-3835)を50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地(1%ポリペプトン、0.5 %酵母エキス、0.5 % NaCl )50mlに植菌し、37℃で20時間振盪培養した。培養終了後、培養液を遠心分離し、得られた菌体の全量をイオン交換水で洗浄した後、50mM燐酸緩衝液(pH7.0)50mlに懸濁した。この菌体懸濁液に、(±)−β−ヒドロキシイソ酪酸メチル5g を加え、30℃で24時間反応させた。この間、反応液のpHは、10% NaOH 水溶液を用いて7.0 に調整した。反応終了後、遠心分離により菌体を除き、β−ヒドロキシイソ酪酸メチルを酢酸エチルで抽出した。次いで、水相のpHを希硫酸で2.0 に下げた後、水相中のβ−ヒドロキシイソ酪酸を酢酸エチルで抽出した。各抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、溶媒を蒸発除去した。得られたβ−ヒドロキシイソ酪酸メチル及びβ−ヒドロキシイソ酪酸の比旋光度を測定した(PM101 型旋光度計、ユニオン技研社製) 。測定結果及び収量を表2に示す。この結果より、光学活性β−ヒドロキシイソ酪酸及び対掌体エステルが生成していることがわかる。
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