JPH1198981A - 新規エステル加水分解酵素 - Google Patents

新規エステル加水分解酵素

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JPH1198981A
JPH1198981A JP10215876A JP21587698A JPH1198981A JP H1198981 A JPH1198981 A JP H1198981A JP 10215876 A JP10215876 A JP 10215876A JP 21587698 A JP21587698 A JP 21587698A JP H1198981 A JPH1198981 A JP H1198981A
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JP
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ester
aminochroman
compound
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acetic acid
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JP10215876A
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Toshihiro Oikawa
利洋 及川
Nobuhiro Fukuhara
信裕 福原
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬原料として有用な光学活性6-アミノクロ
マン-3-酢酸類及びそのエステルを製造する触媒として
有用な光学選択的エステル加水分解酵素を提供するこ
と。 【解決手段】 シュウドノカルディア(Pseudonocardi
a)属に属する微生物から、6-アミノクロマン-3-酢酸エ
ステルに対して(R)体を優先的に加水分解する酵素活
性を有し、温度安定性及びpH安定性に優れたエステル
粕分解酵素を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エステルを加水分
解する触媒として有用な新規エステル加水分解酵素に関
するものである。特に、医薬原料として有用な化合物で
ある光学活性な6-アミノクロマン-3-酢酸類を製造する
際の触媒として有用なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、酵素を有機合成に応用する試みが
盛んに行われている。特に、高い基質選択能を有するエ
ステラーゼを用い、各種のエステル化合物を光学選択的
に加水分解し、光学活性化合物を取得することなどは工
業的に有用性が高い。
【0003】このような目的に供されるエステラーゼと
しては、豚肝臓由来エステラーゼなどが一般的である
が、高価であり量的な供給にも制限があり工業的使用に
は不利である。豚肝臓エステラーゼの代わりに微生物起
源のエステラーゼを用いる方法も試みられている。生産
する生物の起源が異なる場合、各々特徴的な基質特異性
を有するため、適用する化合物によって選択性や反応速
度が大きく異なる。
【0004】6-アミノクロマン-3-酢酸エステルはヨー
ロッパ公開特許公報EP0709370及びEP076
0364において知られ、抗血小板薬の有用な中間体で
ある。しかしながら、6-アミノクロマン-3-酢酸エステ
ル化合物に対し高い光学選択性を示し且つ効率よく加水
分解するエステル加水分解酵素は知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、医薬
原料として有用な光学活性6-アミノクロマン-3-酢酸類
及びそのエステルを製造する触媒として有用な光学選択
的エステル加水分解酵素を見い出すことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、シュウドノカル
ディア属に属する微生物が(3R)6-アミノクロマン-3
-酢酸エステル化合物を光学選択的に且つ効率的に加水
分解することを見い出した。さらに、各種の精製技術を
利用して、この微生物から光学選択的加水分解能を示し
且つ熱安定性の高い新規なエステル加水分解酵素を単離
することに成功し、本発明を完成した。
【0007】本発明のエステル加水分解酵素は、後述す
る理化学的特性を有することを特徴とする。本発明のエ
ステル加水分解酵素は、常温常圧の条件下で極めて微量
の触媒量でエステル加水分解反応を促進させることがで
きるものであり、温度安定性・pH安定性にも優れ、さ
らに医薬中間体として有用なクロマン-3-酢酸類及びそ
のエステル光学選択的に加水分解することができ、これ
らの化合物の製造に極めて有用である。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明を詳細に説明する。 (1)酵素を含有する微生物及びこの培養方法 本発明のエステル加水分解酵素は、例えば、シュウドノ
カルディア属に属する微生物から得ることができる。本
発明のエステル加水分解酵素の取得に好適な菌株として
は、シュウドノカルディア・サーモフィラ(Pseudonoca
rdia thermophila)FERM BP-6275、ATCC 19285等を挙げ
ることができる。FERM BP-6275は、通産省工業技術院生
命工学工業研究所に、平成10年2月27日付でブタペ
スト条約下に国際寄託されている。また、ATCC 19285は
アメリカン タイプ カルチャーコレクションに寄託さ
れており、この菌株については公的に入手可能である。
【0009】これらの微生物の培養は、公知の培養方法
に準じて行うことができる。使用する培地は、一般微生
物の栄養源として公知のものが使用でき、肉エキス、酵
母エキス、麦芽エキス、ペプトン、NZアミン等の有機
栄養源、グルコース、マルトース、しょ糖、でんぷん、
有機酸等の炭素源、硫酸アンモニウム、尿素、塩化アン
モニウム等の窒素源、リン酸塩、マグネシウム、カリウ
ム、鉄等の無機栄養源、ビタミン類を適宜組み合わせて
使用できる。培地のpHは6〜9の範囲で選べばよく、
培養温度は30〜60℃、好ましくは45〜55℃であ
る。培養日数は1〜7の範囲で目的のエステル加水分解
酵素の含量が最大になるまで培養すればよい。
【0010】(2)酵素の精製 酵素の精製は、通常の酵素精製法を用いることができ
る。培養終了液より遠心分離等により菌体を集め、超音
波処理、フレンチプレス、ダイノミル等の機械的方法に
よって菌体を破砕する。細胞片等の固形物を遠心分離に
よって除き、粗酵素液を得る。次に硫酸アンモニウム等
による塩析、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィ
ー、疎水クロマトグラフィー、結晶化等を行うことによ
り精製される。これについては実施例にて1例を記載す
る。
【0011】(3)酵素活性の測定法 (RS)6-アミノクロマン-3-酢酸メチルエステル10
μmol、リン酸カリウム緩衝液(pH7.2)0.1
mmol、及び適当量の酵素液を加え1.0mlになる
よう混合して、55℃で30分反応する。反応終了後、
反応液の一部を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH
6.0)−30%アセトニトリル溶液で希釈し、高速液
体クロマトグラフィーで6-アミノクロマン-3-酢酸メチ
ルエステル及び6-アミノクロマン-3-酢酸をそれぞれ定
量した。分析条件としては、イナートシルODS−2
(GLサイエンス製)のカラムで、10mMリン酸ナト
リウム緩衝液(pH6.0)−30%アセトニトリルを
キャリアとして、流速を1分間に0.7mlで溶出し、
254nmの吸光度にて検出した。さらに残りの反応液
に等量のクロロホルムを加え、残存する6-アミノクロマ
ン-3-酢酸メチルエステルを抽出する。次に、減圧下ク
ロロホルムを留去し、残さをエタノールに溶解し、さら
にヘキサン/エタノール=3:2(容量比)で希釈し、
高速液体クロマトグラフィーで(3S)-6-アミノクロ
マン-3-酢酸メチルエステル及び(3R)-6-アミノクロ
マン-3-酢酸メチルエステルをそれぞれ定量した。分析
条件としては、キラルセルOD−H(ダイセル(株))
の光学分割カラムで、ヘキサン/エタノール=3:2
(容量比)をキャリアとして、流速を1分間に0.5m
lで溶出し、254nmの吸光度にて検出した。
【0012】加水分解によって生成した6-アミノクロマ
ン-3-酢酸量または残存する6-アミノクロマン-3-酢酸メ
チルエステル量から算出された6-アミノクロマン-3-酢
酸メチルエステル加水分解量から、単位時間、単位酵素
量当たりの活性を算出した。
【0013】1分間に1μmolの6-アミノクロマン-3
-酢酸メチルエステルを加水分解する酵素量を1単位と
した。
【0014】(4)酵素の均一性 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動をトリス−グ
リシン緩衝液を用い10−20%ゲルにて、J.Bio
l.Chem.244.4406.(1969)の方法で行
った。均一な1本のタンパクバンドが見られ、公知の標
準タンパクとの比較から、このタンパクの分子量は、5
0000±2000となった。
【0015】(5)酵素の性質 本発明のエステル加水分解酵素は次の性質を有すること
が解った。 酵素作用 エステル化合物をカルボン酸基とアルコールに加水分解
する反応およびエステル化合物とアルコールとのエステ
ル交換反応の触媒としての機能を示す。 基質特異性 6-アミノクロマン-3-酢酸エステルに対しては、(R)
体を優先的に加水分解する。直鎖状脂肪酸とP-ニトロフ
ェノールのエステルに対しては、脂肪酸の炭素数が少な
いものほど強く作用する。p-ニトロフェニルラウリン酸
エステルに対する加水分解活性は、p-ニトロフェニル酢
酸エステルに対する加水分解活性の1%以下である。 分子量 分子量は50000±2000(SDS−PAGE)で
ある。 至適pH pH7〜pH10で加水分解作用は至適である。 至適温度 55〜60℃が加水分解作用の至適温度である。 温度安定性 pH7.2で60℃以下の温度においては、30分間放
置しても加水分解活性は95%以上残存している。 pH安定性 pH5〜10が安定領域である。 阻害剤 0.1Mりん酸緩衝液(pH7.2)中で、30℃、3
0分間処理すると、硫酸銅(1mM)で30%、フェニ
ルメチルスルホニル・フルオリド(0.1mM)で85
%、イソプロピルフルオロリン酸(0.5mM)で15
%に活性が低下する。ラウリル硫酸ナトリウム(5m
M)、デオキシコール酸ナトリウム(5mM)では活性
低下しない。これについては実施例に記載する。
【0016】以上のように、本酵素は6-アミノクロマン
-3-酢酸エステルに光学選択的に作用するエステル加水
分解酵素であり、さらに耐熱性、pH安定性に優れた酵
素である。
【0017】
【実施例】次に、実施例により本発明を詳細に説明す
る。ただし、これら実施例は本発明の範囲を限定するも
のではない。
【0018】実施例1(エステル加水分解酵素含有菌体
の培養法) 酵母エキス0.1%、肉エキス(エルリッヒ)0.1
%、NZアミン(TYPE1)0.2%、塩化ナトリウ
ム0.5%、リン酸1カリウム0.05%、リン酸2カ
リウム0.1%、硫酸マグネシウム0.01%、溶性で
んぷん1.0%を含み、pHを7.4とした殺菌培地1
Lに、上記培地で培養したシュードノカルディア・サー
モフィラ(Pseudonocardia thermophila)FERM-BP-6275
を5%植菌し、52℃で96時間培養した。遠心分離で
湿菌体を10g得た。
【0019】実施例2(エステル加水分解酵素の精製) 実施例1で得た菌体を、0.05Mリン酸カリウム緩衝
液(pH7.2){以後バッファーと略す}100ml
に懸濁した。超音波処理で菌体を分散させた後、フレン
チプレスで菌体を破砕した。破砕菌体は15000×
g,20分間遠心分離で除去し、無細胞抽出液を得た。
これに硫酸アンモニウムが60%になるよう添加し、遠
心分離により活性画分である沈殿物を取得した。この沈
殿を、10mlのバッファーに溶解し、ウルトロゲルA
CA54(ファルマシア製)を担体としたゲル濾過にか
けた。活性画分を集め、DEAEトヨパール650M
(東ソー製)カラムに通過させ、バッファーと0.6M
NaClを含むバッファーの直線的な濃度勾配で溶出さ
せた。活性画分をフェニルトヨパール650M(東ソー
製)カラムに通過させ、0.8M硫酸アンモニウムを含
むバッファーとバッファーの直線的な濃度勾配で溶出さ
せた。活性画分を限外濾過により濃縮し、バッファーで
透析した。このようにして、エステル加水分解酵素を均
一に精製した。この精製過程を表1に示す。
【0020】
【表1】 実施例3 (ラセミ体6-アミノクロマン-3-酢酸メチルエステルの
光学選択的加水分解)実施例2で均一に精製されたエス
テル加水分解酵素を用いて、以下の条件でラセミ体6-ア
ミノクロマン-3-酢酸メチルエステルの加水分解を行っ
た。0.1mmolリン酸カリウム緩衝液(pH7.
2)、10μmolラセミ体6-アミノクロマン-3-酢酸
メチルエステル、及び適量のエステル加水分解酵素を含
む反応液1mlを55℃で30分間反応した。反応終了
後1mlのトルエンを添加し、残存するエステルを抽出
した。抽出液を減圧乾燥し、(3S)6-アミノクロマン
-3-酢酸メチルエステルを得た。(3S)6-アミノクロ
マン-3-酢酸メチルエステルの光学純度は99%ee、
収率は40%であった。
【0021】実施例4 (ラセミ体6-アミノクロマン-3-酢酸エチルエステルの
光学選択的加水分解)実施例2で均一に精製されたエス
テル加水分解酵素を用いて、以下の条件でラセミ体6-ア
ミノクロマン-3-酢酸エチルエステルの加水分解を行っ
た。0.1mmolリン酸カリウム緩衝液(pH7.
2)、10μmolラセミ体6-アミノクロマン-3-酢酸
エチルエステル、及び適量のエステル加水分解酵素を含
む反応液1mlを55℃で30分間反応した。反応終了
後1mlのトルエンを添加し、残存するエステルを抽出
した。抽出液を減圧乾燥し、(3S)6-アミノクロマン
-3-酢酸エチルエステルを得た。(3S)6-アミノクロ
マン-3-酢酸エチルエステルの光学純度は99%ee、
収率は38%であった。
【0022】実施例5(至適pHの検討) 実施例2で均一に精製されたエステル加水分解酵素を用
いて、至適pHを検討した。
【0023】(RS)6-アミノ-クロマン-3-酢酸メチル
エステル10μmol、各種緩衝液0.1mmol、及
びエステル加水分解酵素0.1単位を加え1.0mlに
なるよう混合して、55℃で30分反応した。反応後等
量のクロロホルムで残存する(RS)6-アミノクロマン
-3-酢酸メチルエステルを抽出した。次に、減圧下クロ
ロホルムを留去し、残さをエタノールに溶解し、さらに
ヘキサン/エタノール=3:2(容量比)で希釈し、高
速液体クロマトグラフィーで(3S)-6-アミノクロマ
ン-3-酢酸メチルエステル及び(3R)-6-アミノクロマ
ン-3-酢酸メチルエステルをそれぞれ定量し、6-アミノ-
クロマン-3-酢酸メチルエステルの減少量から活性を求
めた。
【0024】pH5.0〜7.2はリン酸カリウム緩衝
液、pH8.0〜9.5はトリス塩酸緩衝液、pH1
0.0はCAPS緩衝液(Goodバッファー)を用い
た。結果は、表2に示すとおりで、至適pHは8.0〜
10.0であった。
【0025】実施例6(pH安定性の検討) 実施例2で均一に精製されたエステル加水分解酵素を用
いて、pH安定性を検討した。
【0026】エステル加水分解酵素0.5単位を0.1
Mの実施例5で用いた各種緩衝液に入れ、30℃、30
分間放置した後、0.1単位分を0.1mmolリン酸
カリウム緩衝液(pH7.2)、10μmolラセミ体
6-アミノクロマン-3-酢酸メチルエステルを含む反応液
1mlに混合して、55℃で30分反応した。実施例5
と同様に高速液体クロマトグラフィーで(3S)-6-ア
ミノクロマン-3-酢酸メチルエステル及び(3R)-6-ア
ミノクロマン-3-酢酸メチルエステルをそれぞれ定量
し、6-アミノ-クロマン-3-酢酸メチルエステルの減少量
から活性を求めた。pH処理をしない際のエステル加水
分解活性を100として相対活性値を表2に示した。そ
の結果pH5.0〜10.0でほとんど活性が変化しな
かった。
【0027】
【表2】 #:pH10での活性を100とした時の相対活性を表す。 *:活性測定のための反応は、各pHで30分間保温した後pH7.2で行い、 pH8.0処理での活性を100とした時の相対活性を表す。
【0028】実施例7(至適温度の検討) 0.1mmolリン酸カリウム緩衝液(pH7.2)、
10μmolラセミ体6-アミノクロマン-3-酢酸メチル
エステル、及び適量のエステル加水分解酵素を含む反応
液1mlを、反応温度30、40、50、55、60、
70℃で30分間反応を行った。実施例5と同様に高速
液体クロマトグラフィーで(3S)-6-アミノクロマン-
3-酢酸メチルエステル及び(3R)-6-アミノクロマン-
3-酢酸メチルエステルをそれぞれ定量し、6-アミノ-ク
ロマン-3-酢酸メチルエステルの減少量から活性を求め
た。その結果60℃で最も高い活性値を示した。結果
は、60℃の活性値を100として相対活性値で示した
(表3)。
【0029】実施例8(温度安定性の検討) 実施例2で均一に精製されたエステル加水分解酵素を用
いて、温度安定性を検討した。0.1mmolリン酸カ
リウム緩衝液(pH7.2)、及びエステル加水分解酵
素0.1単位を加え0.95mlになるよう混合して、
30、40、50、55、60または70℃で30分放
置した。この溶液に0.05mlの0.2Mラセミ体6-
アミノクロマン-3-酢酸メチルエステルを添加し、55
℃で30分間反応を行い、実施例5と同様に高速液体ク
ロマトグラフィーで(3S)-6-アミノクロマン-3-酢酸
メチルエステル及び(3R)-6-アミノクロマン-3-酢酸
メチルエステルをそれぞれ定量し、6-アミノ-クロマン-
3-酢酸メチルエステルの減少量から活性を求めた。熱処
理をしない際のエステル加水分解活性を100として相
対活性値で表3に結果を示した。その結果60℃までの
熱処理では90%以上活性を保持した。
【0030】
【表3】 #:60℃での活性を100とした時の相対活性を表す。 *:活性測定のための反応は各温度で30分間保温した後55℃で行い、30℃ 処理での活性を100とした時の相対活性を表す。
【0031】実施例9(阻害剤の検討) 実施例2で均一に精製されたエステル加水分解酵素を用
いて、各種阻害剤の影響を検討した。0.1mmolリ
ン酸カリウム緩衝液(pH7.2)、エステル加水分解
酵素0.1単位、及び各種阻害剤を加え0.95mlに
なるよう混合して、30℃,30分間放置した。この溶
液に0.05mlの0.2Mラセミ体6-アミノクロマン
-3-酢酸メチルエステルを添加し、55℃で30分間反
応を行い、実施例5と同様に高速液体クロマトグラフィ
ーで(3S)-6-アミノクロマン-3-酢酸メチルエステル
及び(3R)-6-アミノクロマン-3-酢酸メチルエステル
をそれぞれ定量し、6-アミノ-クロマン-3-酢酸メチルエ
ステルの減少量から活性を求めた。阻害剤を添加しない
際のエステル加水分解活性を100として相対活性値で
結果を表4に示した。硫酸銅(1mM)で30%、フェ
ニルメチルスルホニル・フルオリド(0.1mM)で8
5%、イソプロピルフルオロリン酸(0.5mM)で1
5%に活性が低下した。ラウリル硫酸ナトリウム(5m
M)、デオキシコール酸ナトリウム(5mM)では活性
が低下しなかった。
【0032】
【表4】 1)PMSF:フェニルメチルスルホニル・フルオリド 2)DFP:イソプロピルフルオロリン酸 3)DTT:ジチオスレイトール 4)SDS:ラウリル硫酸ナトリウム
【0033】
【発明の効果】常温常圧の条件下で極めて微量の触媒量
でエステル加水分解反応を促進させることができ、温度
安定性・pH安定性に優れ、さらに医薬中間体として有
用なクロマン-3-酢酸類及びそのエステル光学選択的に
加水分解することができる新規なエステル加水分解酵素
を見いだすに至った。このエステル加水分解酵素を用い
ることにより、医薬中間体として有用な光学活性クロマ
ン-3-酢酸類及びそのエステルを簡便且つ効率的に製造
することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有するエステル加
    水分解酵素 (1)酵素作用 エステル化合物をカルボン酸基を有する化合物とアルコ
    ール化合物に加水分解する反応およびエステル化合物と
    アルコール化合物とのエステル交換反応の触媒としての
    機能を示す。 (2)基質特異性 6-アミノクロマン-3-酢酸エステルに対しては、(R)
    体を優先的に加水分解する。直鎖状脂肪酸とP-ニトロフ
    ェノールのエステルに対しては、脂肪酸の炭素数が少な
    いものほど強く作用する。 (3)分子量 分子量は50000±2000(SDS−PAGE)で
    ある。 (4)至適pH pH7〜pH10で加水分解作用は至適である。 (5)至適温度 55〜60℃が加水分解作用の至適温度である。 (6)温度安定性 pH7.2で60℃以下の温度においては、30分間放
    置しても加水分解活性は90%以上保持している。 (7)pH安定性 pH5〜10が安定領域である。 (8)阻害剤 0.1Mりん酸緩衝液(pH7.2)中で、30℃、3
    0分間処理すると、硫酸銅(1mM)で30%、フェニ
    ルメチルスルホニル・フルオリド(0.1mM)で85
    %、イソプロピルフルオロリン酸(0.5mM)で15
    %に活性が低下する。ラウリル硫酸ナトリウム(5m
    M)、デオキシコール酸ナトリウム(5mM)では活性
    低下しない。
  2. 【請求項2】 シュウドノカルディア(Pseudonocardi
    a)属に属する微生物から調製される請求項1記載のエ
    ステル加水分解酵素。
  3. 【請求項3】 シュウドノカルディア(Pseudonocardi
    a)属に属する微生物がシュウドノカルディア・サーモ
    フィラ(Pseudonocardia thermophila)FERM-BP-6275で
    ある請求項2記載のエステル加水分解酵素。
JP10215876A 1997-08-01 1998-07-30 新規エステル加水分解酵素 Pending JPH1198981A (ja)

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