以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。本実施形態の画像形成装置1はタンデム型のカラープリンターであり、回転自在である感光体ドラム11a〜11dは、例えば有機感光層が形成された有機感光体(OPC感光体)やアモルファスシリコン感光層が形成されたアモルファスシリコン感光体が用いられ、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックの各色に対応させて配設される。各感光体ドラム11a〜11dの周囲に、現像装置2a〜2d、露光ユニット12、帯電器13a〜13d及びクリーニング装置14a〜14dが配設される。
現像装置2a〜2dは、感光体ドラム11a〜11dの右方に夫々対向して配置され、感光体ドラム11a〜11dにトナーを供給する。帯電器13a〜13dは、感光体回転方向に対し現像装置2a〜2dの上流側であって感光体ドラム11a〜11dの表面に対向して配置され、感光体ドラム11a〜11d表面を一様に帯電させる。
露光ユニット12は、パーソナルコンピューター等から画像入力部(図略)に入力された文字や絵柄などの画像データに基づいて、各感光体ドラム11a〜11dを走査露光するためのものであり、現像装置2a〜2dの下方に設けられる。露光ユニット12には、レーザー光源、ポリゴンミラーが設けられ、各感光体ドラム11a〜11dに対応して反射ミラー及びレンズが設けられる。レーザー光源から出射されたレーザー光が、ポリゴンミラー、反射ミラー及びレンズを介して、帯電器13a〜13dの感光体回転方向下流側から、各感光体ドラム11a〜11dの表面に照射される。照射されたレーザー光により、各感光体ドラム11a〜11d表面には静電潜像が形成され、この静電潜像が各現像装置2a〜2dによりトナー像に現像される。
無端状の中間転写ベルト17は、テンションローラー6、駆動ローラー25及び従動ローラー27に張架されている。駆動ローラー25は図示しないモーターによって回転駆動され、中間転写ベルト17は駆動ローラー25の回転によって循環駆動させられる。
この中間転写ベルト17に接触するように各感光体ドラム11a〜11dが中間転写ベルト17の下方で搬送方向(図1の矢印方向)に沿って隣り合うように配列されている。各一次転写ローラー26a〜26dは、中間転写ベルト17を挟んで各感光体ドラム11a〜11dと対向し、中間転写ベルト17に圧接して一次転写部を形成する。この一次転写部において、中間転写ベルト17の回転とともに所定のタイミングで各感光体ドラム11a〜11dのトナー像が中間転写ベルト17に順次転写される。これにより、中間転写ベルト17表面にはマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたフルカラートナー像が形成される。
2次転写ローラー34は、中間転写ベルト17を挟んで駆動ローラー25と対向し、中間転写ベルト17に圧接して二次転写部を形成する。この二次転写部において、中間転写ベルト17表面のトナー像が用紙Pに転写される。転写後に、ベルトクリーニング装置31が中間転写ベルト17に残存するトナーを清掃する。
画像形成装置1内の下方には、用紙Pを収納する給紙カセット32が配設され、給紙カセット32の右方には、手差しの用紙を供給するスタックトレイ35が配設される。給紙カセット32の左方には、給紙カセット32から繰り出された用紙Pを中間転写ベルト17の二次転写部に搬送する第1用紙搬送路33が配設される。また、スタックトレイ35の左方には、スタックトレイ35から繰り出された用紙を二次転写部に搬送する第2用紙搬送路36が配設される。更に、画像形成装置1の左上方には、画像が形成された用紙Pに対して定着処理を行う定着部18と、定着処理の行われた用紙を用紙排出部37に搬送する第3用紙搬送路39とが配設される。
給紙カセット32は、画像形成装置1本体の外部(図1の表面側)に引き出すことにより用紙の補充を可能にしたもので、収納されている用紙Pがピックアップローラー33b及び捌きローラー33aにより1枚ずつ第1用紙搬送路33側に繰り出される。
第1用紙搬送路33と第2用紙搬送路36とはレジストローラー対33cの手前で合流しており、レジストローラー対33cにより、中間転写ベルト17における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取って、用紙Pが二次転写部に搬送される。二次転写部に搬送された用紙Pは、バイアス電位が印加された二次転写ローラー34によって、中間転写ベルト17上のフルカラーのトナー像を二次転写され、定着部18に搬送される。
定着部18は、ヒーターにより加熱される定着ベルトと、定着ベルトに内接する定着ローラーと、定着ベルトを挟んで定着ローラーに圧接して配設された加圧ローラー等とを備え、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することにより定着処理を行う。用紙Pは、トナー像が定着部18で定着された後、必要に応じて第4用紙搬送路40で反転されて用紙Pの裏面にも二次転写ローラー34でトナー像が二次転写され、定着部18で定着される。トナー像が定着された用紙Pは第3用紙搬送路39を通って、排出ローラー対19により用紙排出部37に排出される。
図2は、上述の画像形成装置1に用いられる現像装置の構成を示す断面平面図である。なお、図2の説明では、図1に示す感光体ドラム11aに対応する現像装置2aの構成及び動作について説明するが、現像装置2b〜2dの構成及び動作については現像装置2aと同様であり、説明を省略し、また各色の現像装置及び感光体を示すa〜dの符号を省略する。
図2に示すように、現像装置2は、現像ローラー20と、磁気ローラー21と、規制ブレード24と、攪拌搬送部材42、及び現像容器22等により構成されている。
現像容器22は、現像装置2の外郭を構成し、その下部で仕切り部22bによって第1搬送室22cと第2搬送室22dに仕切っている。第1搬送室22c及び第2搬送室22dには、キャリアとトナーからなる現像剤が収容される。また、現像容器22は、攪拌搬送部材42と磁気ローラー21及び現像ローラー20を回転可能に保持している。更に、現像容器22には、現像ローラー20を感光体ドラム11に向けて露出させる開口22aが形成されている。
現像ローラー20は、感光体ドラムに対向し、一定の間隔を設けて感光体ドラム11の右方に配設される。また、現像ローラー20は、感光体ドラム11に接近した対向位置において、感光体ドラム11にトナーを供給する現像領域Dを形成している。磁気ローラー21は、一定の間隔を設けて現像ローラー20に対向し、現像ローラー20の右斜め下方に配設される。また、磁気ローラー21は、現像ローラー20に接近した対向位置において、現像ローラー20にトナーを供給する。攪拌搬送部材42は磁気ローラー21の略下方に配設される。また、規制ブレード24は磁気ローラー21の左斜め下方にて現像容器22に固定保持されている。
攪拌搬送部材42は、第1スパイラル43と第2スパイラル44の2本で構成される。第2スパイラル44が磁気ローラー21の下方で、第2搬送室22d内に設けられ、第1スパイラル43が第2スパイラル44の右方に隣接して、第1搬送室22c内に設けられる。
第1及び第2スパイラル43、44は現像剤を攪拌して現像剤中のトナーを所定のレベルに帯電させる。これによりトナーはキャリアに保持される。また、第1搬送室22cと第2搬送室22dを仕切る仕切り部22bの長手方向(図2の紙面表裏方向)の両端部分には、連通部(図略)が設けられており、第1スパイラル43が回転すると、帯電した現像剤が仕切り部22bに設けた一方の連通部から第2スパイラル44に搬送され、現像剤が第1搬送室22c内と第2搬送室22d内とを循環する。そして、第2スパイラル44から磁気ローラー21に現像剤が供給される。
磁気ローラー21は、ローラー軸21aと磁極部材M及び非磁性材からなる非磁性スリーブ21bを備え、攪拌搬送部材42により供給された現像剤を担持し、担持した現像剤からトナーのみを現像ローラー20に供給するものである。磁極部材Mは、断面扇形に形成された外周部の極性の異なる複数の磁石が交互に配設され、ローラー軸21aに接着等により固着される。ローラー軸21aは、非磁性スリーブ21b内で、磁極部材Mと非磁性スリーブ21bの間に所定の間隔を設けて、現像容器22に回転不能に支持される。非磁性スリーブ21bは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、現像ローラー20と同方向(図2の時計回り方向)に回転し、また直流電圧56aに交流電圧56bを重畳したバイアス56を印加される。非磁性スリーブ21b表面において、帯電した現像剤は磁極部材Mの磁力によって磁気ブラシを形成して担持され、磁気ブラシは規制ブレード24によって所定の高さに調節される。
非磁性スリーブ21bが回転すると、磁気ブラシは、磁極部材Mによって非磁性スリーブ21b表面に担持されて搬送され、現像ローラー20に接触すると、磁気ブラシのトナーのみが、非磁性スリーブ21bに印加されたバイアス56に応じて、現像ローラー20に供給される。
現像ローラー20は、固定軸20aと、磁極部材20bと、非磁性の金属材料で円筒状に形成される現像スリーブ20c等を備えて構成されている。
固定軸20aは現像容器22に回転不能に支持される。この固定軸20aには、現像スリーブ20cが回転自在に保持され、更に、磁石よりなる磁極部材20bが磁気ローラー21と対向する位置に現像スリーブ20cと所定の間隔を設けて、接着等により固着される。現像スリーブ20cは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、図2の矢印方向(時計回り方向)に回転させられる。また、現像スリーブ20cには、直流電圧55aに交流電圧55bを重畳した現像バイアス55が印加される。
現像バイアス55を印加された現像スリーブ20cが図2の時計回り方向に回転すると、現像領域Dにおいて、現像バイアス電位と感光体ドラム11の露光部位の電位との電位差により、現像スリーブ20c表面に担持されたトナーが感光体ドラム11に飛翔する。飛翔したトナーは矢印A方向(反時計回り方向)に回転する感光体ドラム11上の露光部位に順次付着し、感光体ドラム11上の静電潜像が現像される。
次に、図3を用いて、現像装置の攪拌部について詳しく説明する。図3は現像装置の攪拌部を示す平面断面図(図2のXX′矢視断面図)である。
現像容器22には、前述のように、第1搬送室22cと、第2搬送室22dと、仕切り部22bと、上流側連通部22e、及び下流側連通部22fが形成され、その他に、現像剤補給口22gと、現像剤排出部22hと、上流側壁部22i、及び下流側壁部22jが形成されている。なお、第1搬送室22cにおいて、図3の左側を上流側、図3の右側を下流側とし、また、第2搬送室22dにおいて、図3の右側を上流側、図3の左側を下流側とする。従って、連通部及び側壁部は、第2搬送室22dを基準として、上流及び下流と呼称している。
仕切り部22bは、現像容器22の長手方向に延びて第1搬送室22cと第2搬送室22dを並列させるように仕切っている。仕切り部22bの長手方向の右側端部は、上流側壁部22iの内壁部とともに上流側連通部22eを形成し、一方、仕切り部22bの長手方向の左側端部は、下流側壁部22jの内壁部とともに下流側連通部22fを形成している。そして現像剤は、第1搬送室22cと、上流側連通部22eと、第2搬送室22d、及び下流側連通部22f内を循環することが可能である。
現像剤補給口22gは、現像容器22の上部に設けられた現像剤補給容器(図略)から新たなトナー及びキャリアを現像容器22内に補給するための開口であり、第1搬送室22cの上流側(図3の左側)に配置される。
現像剤排出部22hは、現像剤の補給によって、第1及び第2搬送室22c、22d内で余剰となった現像剤を排出するための部分であり、第2搬送室22dの下流側で第2搬送室22dの長手方向に連続して設けられる。
第1搬送室22c内には第1スパイラル43が配設され、第2搬送室22d内には第2スパイラル44が配設されている。
第1スパイラル43は、回転軸43bと、回転軸43bに一体に設けられ、回転軸43bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1螺旋羽根43aとを有する。また、第1螺旋羽根43aは、第1搬送室22cの長手方向の両端部側まで延び、上流側及び下流側連通部22e、22fにも対向して設けられている。回転軸43bは現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。
第2スパイラル44は、回転軸44bと、回転軸44bに一体に設けられ、回転軸44bの軸方向に第1螺旋羽根43aと同じピッチで第1螺旋羽根43aとは逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成される第2螺旋羽根44aとを有する。また、第2螺旋羽根44aは、磁気ローラー21の軸方向長さ以上の長さを有し、更に、上流側連通部22eに対向する位置まで延びて設けられている。回転軸44bは、回転軸43bと平行に配置され、現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。
また、回転軸44bには、第2螺旋羽根44aとともに、減速搬送部51、規制部52及び排出羽根53が一体に配設されている。
減速搬送部51は、第2螺旋羽根44aと同方向を向く複数(ここでは3枚)の羽根で螺旋状に形成されている。減速搬送部51を構成する螺旋羽根は、第2螺旋羽根44aの外径と同じサイズで第2螺旋羽根44aのピッチより小さく設定されている。減速搬送部51の羽根ピッチは第2螺旋羽根44aのピッチの1/6〜1/3となっており、これらの螺旋羽根が下流側連通部22fの長手方向の開口幅に対向している。なお、減速搬送部51の螺旋羽根は下流側連通部22fの開口の全幅に対向しなくともよいが、この場合には、規制部52側の羽根が下流側連通部22fの開口に対向しているのがよい。
規制部52は、第2搬送室22d内で下流側に搬送された現像剤を塞き止め、且つ、所定量以上になった現像剤を現像剤排出部22hに搬送することを可能にするものである。規制部52は、回転軸44bに設けられる螺旋羽根からなり、第2螺旋羽根44aと逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成され、且つ、第2螺旋羽根44aの外径と略同じで第2螺旋羽根44aのピッチより小さく設定されている。また、規制部52は、下流側壁部22j等の現像容器22の内壁部と規制部52の外周部において所定量の隙間を形成している。この隙間から余剰の現像剤が排出されることになる。
回転軸44bは現像剤排出部22h内まで延びている。現像剤排出部22h内の回転軸44bには排出羽根53が設けられている。排出羽根53は、第2螺旋羽根44aと同じ方向を向く螺旋状の羽根からなるが、第2螺旋羽根44aよりピッチが小さく、また羽根の外周が小さくなっている。従って、回転軸44bが回転すると、排出羽根53も回転し、規制部52を乗り越えて現像剤排出部22h内に搬送された余剰現像剤は、図3の左側に送られて、現像容器22外に排出されるようになっている。なお、排出羽根53、規制部52、及び第2螺旋羽根44aは合成樹脂によって回転軸44bと一体に成型される。
また、現像剤排出部22hの下部には搬送パイプ82の連結部82a〜82d(図6参照)に連通する排出口65が形成されており、現像剤排出部22hには排出口65を開閉するシャッター部材70が装着されている。
現像容器22の外壁には、歯車61〜64が配設されている。歯車61、62は回転軸43aに固着され、歯車64は回転軸44bに固着され、歯車63は現像容器22に回転可能に保持されて、歯車62、64に噛合している。
図4は、図3における現像剤排出部周辺の拡大図である。第2スパイラル44には現像剤搬送方向(図4の白矢印方向)に対し規制部52の上流側直近において下流側連通部22fに対向するように減速搬送部51が設けられている。
この構成によって、回転軸44bが回転すると、第2螺旋羽根44aによって、第2搬送室22d内で現像剤が比較的に速く搬送されるが、減速搬送部51の羽根ピッチが第2螺旋羽根44aのピッチより小さいので、減速搬送部51が設けられている第2搬送室22d内では、第2螺旋羽根44aよりも現像剤の搬送速度が低下することになる。従って、搬送される現像剤は、第2螺旋羽根44aの羽根の外周に倣い波打つように搬送路内を移動するが、螺旋羽根のピッチが比較的に大きいと、現像剤の嵩高が大きく変動しながら現像剤が速く移動する。一方、減速搬送部51のように螺旋羽根のピッチが比較的に小さいと、現像剤の嵩高の変動は小さく現像剤がゆっくりと移動することになる。
従って、新たに現像剤を補給していない現像時には、モーター等の駆動源によって、歯車61が回転すると、回転軸43bとともに第1螺旋羽根43aが回転し、第1螺旋羽根43aによって、現像剤は、第1搬送室22c内の現像剤を矢印P方向に搬送され、その後、上流側連通部22eを通って第2搬送室22d内に搬送される。更に、回転軸44bと連動する回転軸44bとともに第2螺旋羽根44aが回転すると、第2螺旋羽根44aによって、現像剤は、第2搬送室22d内の現像剤を矢印Q方向に搬送され、減速搬送部51に搬送される。
第1及び第2螺旋羽根43a、44aの回転によって、現像剤はその嵩高を大きく変動させながら比較的に速く搬送される。一方、減速搬送部51近傍では、現像剤の嵩高の変動が小さく、現像剤は比較的にゆっくりと搬送されることによって、現像剤が規制部52に衝突しても、現像剤の跳ね上がりが抑えられて、規制部52の外周部を乗り越えることがない。その結果、現像剤は、規制部52を乗り越えることなく下流側連通部22fを通って第1搬送室22cに搬送される。
このように現像剤は、第1搬送室22cから、上流側連通部22e、第2搬送室22d、及び下流側連通部22fと循環しながら攪拌されて、攪拌された現像剤が磁気ローラー21に供給される。
次に、現像剤補給口22gから現像剤が補給される場合について説明する。現像によってトナーが消費されると、現像剤補給口22gから第1搬送室22c内にキャリアを含む現像剤が補給される。
補給された現像剤は、現像時と同様に、第1螺旋羽根43aによって、第1搬送室22c内を矢印P方向に搬送され、その後、上流側連通部22eを通って第2搬送室22d内に搬送される。更に、第2螺旋羽根44aによって、現像剤は、第2搬送室22d内の現像剤を矢印Q方向に搬送され、減速搬送部51に搬送される。回転軸44bの回転にともなって規制部52が回転すると、規制部52によって、第2螺旋羽根44aによる現像剤搬送方向とは逆方向の搬送力が現像剤に付与される。減速搬送部51において搬送速度が減速された現像剤は、規制部52の上流側に位置する減速搬送部51近傍で塞き止められて嵩高となり、余剰の現像剤(現像剤補給口22gから補給された現像剤とほぼ同量)が規制部52を乗り越えて現像剤排出部22hを介して現像容器22外に排出される。
また、第2搬送室22d内には現像剤搬送方向(図4の白矢印方向)に対し減速搬送部51の上流側に隣接してトナー濃度検知センサー71が配置されている。なお、図4では第2スパイラル44がトナー濃度検知センサー71の手前側に位置するため、トナー濃度検知センサー71を破線で表示している。
トナー濃度検知センサー71としては、現像容器22内における現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。トナー濃度検知センサー71により現像剤の透磁率が検出されると、その検出結果に相当する電圧値を制御部(図示せず)に出力するよう構成されており、制御部によってトナー濃度検知センサー71の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。
センサー出力値はトナー濃度に応じて変化し、トナー濃度が高くなるほど磁性キャリアに対するトナーの比率が高くなり、磁気を通さないトナーの割合が増加するため出力値が低くなる。一方、トナー濃度が低くなるほどキャリアに対するトナーの比率が低くなり、磁気を通すキャリアの割合が増加するため出力値が高くなる。
また、第2スパイラル44には、トナー濃度検知センサー71に対向する部分にスクレーパー73が設けられている。スクレーパー73は、例えば基材となる可撓性のフィルムに不織布を積層したものが用いられ、搬送スパイラル44の回転軸44bに形成されたスクレーパー支持部(図示せず)に回転軸44bに対し平行に貼り付けられている。回転軸44bの回転に伴いスクレーパー73が回転することで、トナー濃度検知センサー71の検知面が摺擦されて清掃されるとともに、センサー配置部における現像剤の滞留が促進される。
シャッター部材70は、現像剤排出部22hに対し軸方向(矢印AA′方向)に摺動可能に外挿される円筒状の部材であり、外周面には突起70aが形成されている。シャッター部材70と現像容器20との間には第1コイルバネ75が配置されている。シャッター部材70は第1コイルバネ75によって矢印A方向に付勢されており、通常は図4に示すように、現像剤排出部22hの排出口65と重なり合う位置に配置されることにより排出口65を閉鎖している。
図5は、画像形成装置の前面側の外装カバー(図示せず)を開放した状態を示す部分斜視図であり、図6は、図5のインナーカバー85を取り外して現像剤回収機構を露出した状態を示す斜視図、図7は、現像剤回収機構の側面断面図である。なお、図6では現像装置3a〜3dの記載を省略している。また、図7では現像装置2aに対応する位置の断面を示している。
現像剤回収機構80は、内部に搬送スクリュー81が配置された搬送パイプ82と、搬送パイプ82を介して搬送されてきた現像剤が貯留される回収容器83とを有している。回収容器83は引き出し可能なトレイ84(図5では不図示)内に収納されている。また、搬送パイプ82には各現像装置2a〜2dの現像剤排出部22h(図4参照)に連結される連結部82a〜82dが形成されている。
また、各現像装置2a〜2dのシャッター部材70に対応する位置には押圧部材86a〜86dが設けられている。押圧部材86a〜86dは頭部87と軸部88とで構成されるネジ形状であり、軸部88は画像形成装置1の筐体に形成された貫通孔90を貫通してシャッター部材70の突起70aに当接している。インナーカバー85には押圧部材86a〜86dの頭部87が露出する窓部85a〜85dが形成されている。押圧部材86a〜86dは、第1コイルバネ75(図4参照)によって付勢される突起70aによりインナーカバー85方向(矢印A方向)に押圧されている。
図5〜図7は、画像形成装置1の輸送時(出荷時)の状態を示しており、現像装置2aを画像形成装置1に装着した状態では、図7に示すように現像剤排出部22hの排出口65がシャッター部材70によって閉じられている。そのため、この状態で画像形成装置1を輸送しても、現像装置2a〜2d内に充填された現像剤が輸送中の振動や衝撃によって排出口65から漏出するおそれはない。
画像形成装置1がユーザーの元へ搬入され、サービスマンによりセットアップ(初期設定)を行う際には、押圧部材86a〜86dの頭部87にドライバーを差し込んで回転させながらインナーカバー85内に押し込む。このとき、押圧部材86a〜86dの軸部88と貫通孔90とは、図8(a)に示すように鍵と鍵穴の関係を有しているため、軸部88を貫通孔90に押し込んで図8(b)に示すように90°回転させることにより、押圧部材86a〜86dが押し込まれた位置で固定される。
図9は、シャッター部材70により排出口65が開放された状態を示す現像剤回収機構の側面断面図であり、図10は、図9における現像剤排出部周辺の拡大図である。押圧部材86a〜86dがインナーカバー85内に押し込まれると、図9及び図10に示すように、シャッター部材70の突起70aが押圧部材86a〜86dの軸部88に押され、シャッター部材70は第1コイルバネ75を圧縮しながら矢印A′方向に移動して排出口65を開放する。これにより、現像剤排出部22hの排出口65と搬送パイプ82とが連通して排出口65からの現像剤の排出が可能となる。現像剤排出部22hの排出口65から排出された現像剤は、搬送スクリュー81により搬送パイプ82内を搬送されて回収容器83内に貯留される。
本実施形態の構成により、現像装置2a〜2d内に現像剤を充填した状態で画像形成装置1を輸送(出荷)したときの、現像剤排出部22hからの現像剤の漏出による画像形成装置1内部の汚染を、簡易な構成で確実に防止することができる。また、セットアップ時には簡単な操作で排出口65を開放することができる。
ところで、画像形成装置1のセットアップ時に押圧部材86a〜86dの操作を忘れた場合、現像装置2a〜2dに新たな現像剤が補給されても余剰の現像剤が排出されず、キャリアの帯電性能が低下したり、現像剤の詰まりやオーバーフローが発生したりするおそれがある。そこで、押圧部材86a〜86dの操作を促してシャッター部材70の開放忘れを防止する誤操作防止機構を設けることが好ましい。
図11は、押圧部材86a〜86dの誤操作防止機構をインナーカバー85の裏面側から見た斜視図であり、図12は、図11におけるロック部材95付近(図11の破線円S内)の部分拡大図である。なお、図11及び図12では押圧部材86a〜86dに対応するシャッター部材70は記載を省略している。押圧部材86b〜86dの下方には、押圧部材86b〜86dの移動方向(矢印AA′方向)に垂直な方向(矢印BB′方向)に摺動可能なスライドバー91が配置されており、スライドバー91には4枚の規制板92a〜92dが固定されている。
規制板92cの裏面には、下段部93aと、上段部93bと、下段部93aと上段部93bとを連結する傾斜部93cとで構成される段差リブ93が形成されており、規制板92cの下方には第2コイルバネ94によって段差リブ93の下面に圧接されるロック部材95が上下に移動可能に配置されている。スライドバー91、規制板92a〜92d、及びロック部材95は、押圧部材86a〜86dの誤操作防止機構を構成する。
画像形成装置1の輸送時においては、押圧部材86a〜86dはシャッター部材70の突起70aを押圧しない位置に配置されており、押圧部材86a〜86dの頭部87は規制板92a〜92dが往復移動する直線上に位置している。そのため、規制板92a〜92dと押圧部材86a〜86dの頭部87との干渉によりスライドバー91の矢印B′方向への移動が規制されている。
この状態ではロック部材95が規制板92cの段差リブ93の下段部93aに当接しているため、ロック部材95の下端部95aは回収容器83の上面(図14参照)よりも下方に突出している。これにより、トレイ84(図5参照)内に回収容器83を配置した状態でトレイ84を挿入しようとしても、ロック部材95によりトレイ84の挿入が不可能となっている。
図13は、画像形成装置1のセットアップ時における押圧部材86a〜86dの誤操作防止機構の配置をインナーカバー85の裏面側から見た斜視図であり、図14は、図13におけるロック部材95付近(図13の破線円S内)の部分拡大図である。
セットアップ時においては、押圧部材86a〜86dをシャッター部材70の突起70aを押圧する位置に配置することにより、押圧部材86a〜86dの頭部87は規制板92a〜92dが往復移動する直線上から退避する。これにより、規制板92a〜92dと押圧部材86a〜86dの頭部87とが干渉せず、スライドバー91が矢印B′方向に移動可能となる。
そして、規制板92cのツマミ部96(図15参照)を摘んでスライドバー91を矢印B′方向に移動させ、固定ネジ(図示せず)により規制板92cをインナーカバー85に固定する。その結果、図14に示すように、ロック部材95は第2コイルバネ94の付勢力によって段差リブ93の下段部93aから傾斜部93cを通過して上段部93bに移動するため、ロック部材95の下端部95aは回収容器83の上面よりも上方へ移動する。
画像形成装置1は、回収容器83を配置したトレイ84を挿入しないと画像形成動作を開始できない構成となっている。そのため、押圧部材86a〜86dを所定の位置に押し込み、スライドバー91を矢印B′方向に移動させてロック部材95によるロックを解除した状態で、初めて回収容器83を配置したトレイ84の挿入、即ち画像形成動作が可能となる。
従って、画像形成装置1のセットアップ時に押圧部材86a〜86dの操作を忘れた状態で画像形成動作を開始するおそれがなくなり、現像装置2a〜2dにおける現像剤の詰まりやオーバーフローの発生を未然に防止することができる。
また、スライドバー91を矢印B′方向に移動させた状態では、図15に示すように、インナーカバー85の窓部85a〜85dの一部が規制板92a〜92dによって閉じられるため、押圧部材86a〜86dの操作が不可能となる。従って、セットアップ後に押圧部材86a〜86dを誤操作することによりシャッター部材70が移動し、排出口65が閉鎖される心配もない。
なお、セットアップ後に画像形成装置1の設置場所を変更する際は、規制板92cの固定ネジを弛め、ツマミ部96を摘んで規制板92cを矢印B方向に移動させることにより、規制板92a〜92dによって閉じられていた窓部85a〜85dが開放されるため、窓部85a〜85dから押圧部材86a〜86dの頭部87を操作して、軸部88を図8(a)に示した位置まで回転させることにより、第1コイルバネ75の付勢力によって押圧部材86a〜86dが矢印A方向に移動し、シャッター部材70が再び排出口65を閉鎖する。この状態で画像形成装置1の設置場所を変更すれば、運搬時の振動や衝撃による現像剤の漏出を防止することができる。
また、ここでは第2コイルバネ94の付勢力によってロック部材95を段差リブ93の下面に押圧することにより、ロック部材95を段差リブ93に沿って上下に移動させる構成としたが、例えば、ロック部材95に段差リブ93を上下から挟み込む挟持部を設けることにより、第2コイルバネ94を用いずにロック部材95を段差リブ93に沿って上下に移動させる構成としても良い。
図16は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。本実施形態の画像形成装置1はモノクロプリンターであり、一つの感光体ドラム11の周囲に、現像装置2、露光ユニット12、帯電器13及びクリーニング装置14が配設される。また、感光体ドラム11a上に形成されたトナー像は第1用紙搬送路33を搬送されてくる用紙P上に直接転写されるため、中間転写ベルト及び一次転写ローラーは設けられていない。他の部分の構成は図1に示した第1実施形態の画像形成装置1と同様であるため説明を省略する。
図17は、第2実施形態の画像形成装置の前面側の外装カバー(図示せず)を開放した状態を部分的に示す正面図であり、図18は、第2実施形態の画像形成装置に用いられるダクト部材97の斜視図である。本実施形態では、一つの現像装置2のみが配置されるため、押圧部材86a及び規制板92aも一つずつ設けられている。また、現像装置2を含む画像形成部を冷却する空気を吸入するダクト部材97が配設されている。現像装置2の構成、及び押圧部材86aによるシャッター部材70(図4参照)の開閉動作については第1実施形態と同様である。
ダクト部材97は、規制板92aの移動方向(矢印BB′方向)に延びる水平部97aを有しており、水平部97aの端部に吸気ファン89が連結される。水平部97aの上部には規制板92aの配置(シャッター部材70の開閉状態)を検知するためのPIセンサー100(図22参照)を支持する支持部97bが突設されている。
図19は、ダクト部材97の水平部97aの部分拡大図である。水平部97aの外壁部98には規制板92aの下端部99a(図20参照)を支持する支持片98aが形成されている。また、外壁部98の上端は上方に延長されており、規制板92aのリブ99b(図21参照)が挿入されるスリット98bと、規制板92aのフック99c(図21参照)が係合する係合部98cとが形成されている。さらに、押圧部材86の頭部87(図25参照)が露出する窓部98dがスリット98bに連続して形成されている。即ち、ダクト部材97の外壁部98は、第1実施形態におけるインナーカバー85として機能している。
図20及び図21は、本実施形態に用いられる規制板92aを表面側及び裏面側から見た斜視図である。規制板92aの表側にはツマミ部96が形成されており、裏側には水平部97aのスリット98bに挿入されるリブ99bと、水平部97aの係合部98cに係合するフック99cとが形成されている。また、規制板92aの上部にはPIセンサー100の光路を遮光する遮光部101と、規制板92aを固定する固定ネジ103(図25参照)が螺入されるネジ孔102が形成されている。
図22及び図23は、水平部97aに規制板92aを装着した状態を表面側及び裏面側から見た斜視図であり、図24は、水平部97aに規制板92aを装着した状態を示す断面図(図23のXX′矢視断面図)である。図22〜図24に示すように、規制板92aのリブ99bをスリット98bに挿入するとともに、フック99cを係合部98cに係合させることにより、規制板92aは水平部97aの外壁部98にスライド可能に装着される。規制板92aの下端部99aは支持片98aに支持される。水平部97aの裏面側には押圧部材86aの軸部88(図7参照)が挿入される貫通孔90が形成されている。貫通孔90は窓部98d(図19参照)に連通している。
上記の構成により、ダクト部材97の水平部97aを利用して規制板92aのガイド機構を設けることができ、ガイド部材を別途設ける構成に比べて部材点数を削減することができる。また、外壁部98の上端部を上方に延長した部分にスリット98b及び係合部98cを形成したので、ダクト部材97に穴を開けずにガイド機構を設けることができ、ダクト部材97からの空気流の漏出を防止することができる。
次に、第2実施形態の画像形成装置におけるシャッター部材70の開閉動作について説明する。画像形成装置1の輸送時においては、押圧部材86aはシャッター部材70の突起70aを押圧しない位置に配置されており、図25に示すように、押圧部材86aの頭部87は規制板92aが往復移動する軌道上に突出している。そのため、規制板92aと押圧部材86aの頭部87との干渉により規制板92aの矢印B′方向への移動が規制されている。
また、図25の状態では、規制板92aの遮光部101がPIセンサー100の光路を遮断しているため、シャッター部材70が閉鎖状態であることが検知されている。そして、この状態では画像形成装置1の駆動が不可能となっている。
画像形成装置1のセットアップ時においては、押圧部材86aをシャッター部材70の突起70aを押圧する位置に配置することにより、押圧部材86aの頭部87は規制板92aが往復移動する軌道上から退避する。これにより、規制板92aと押圧部材86aの頭部87とが干渉せず、規制板92aが矢印B′方向に移動可能となる。
そして、規制板92aを固定している固定ビス103を弛め、図26に示すように、規制板92aのツマミ部96を摘んでスライドバー91を矢印B′方向に移動させ、固定ネジ103により規制板92cを固定する。この状態では、規制板92aの遮光部101がPIセンサー100の光路を開放するため、シャッター部材70が開放状態であることが検知され、画像形成動作が可能となる。
従って、第1実施形態と同様に、画像形成装置1のセットアップ時に押圧部材86aの操作を忘れた状態で画像形成動作を開始するおそれがなくなり、現像装置2における現像剤の詰まりやオーバーフローの発生を未然に防止することができる。
また、押圧部材86aを矢印B′方向に移動させた状態では、図26に示すように、規制板92aが押圧部材86の頭部87に重なるため、押圧部材86aの操作が不可能となる。従って、セットアップ後に押圧部材86aを誤操作することによりシャッター部材70が移動し、排出口65が閉鎖される心配もない。
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明は図2に示したような磁気ローラー21と現像ローラー20を備えた現像装置に限定されるものではなく、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を補給するとともに、余剰現像剤を排出する現像剤排出部を備えた種々の現像装置を搭載する画像形成装置に適用可能である。例えば、上記実施形態では現像容器22内の現像剤循環経路として、互いに並列配置される第1搬送室22cと第2搬送室22dとを備えた2軸搬送式の現像装置について説明したが、磁気ローラー21から引き剥がされた現像際を回収して第2搬送室22dに合流させる回収搬送室を備えた3軸搬送式の現像装置にも適用可能である。
また、シャッター部材70の開放忘れを防止する誤操作防止機構として、第1実施形態では回収容器83の挿入を不可とするロック部材95を設け、第2実施形態ではシャッター部材70の開閉状態を検知するPIセンサー100を設けたが、第1実施形態の画像形成装置1(カラープリンター)にPIセンサー100を設け、第2実施形態の画像形成装置1(モノクロプリンター)に回収容器83の挿入を不可とするロック部材95を設けることもできる。
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンターや、図16に示したモノクロプリンターに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、カラー複写機、ファクシミリ等、二成分現像方式を用いた種々の画像形成装置に適用可能である。