JP5594326B2 - 酸化亜鉛微粒子の分散体 - Google Patents
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本発明の酸化亜鉛微粒子の製造方法は、亜鉛化合物と酢酸とグリコールと水を混合して混合液を調製し、調製した混合液を50〜200℃の温度で0.5〜5時間保持することにより、平均粒径が200nm以下の酸化亜鉛微粒子を生成させることを特徴とする。
原料として酢酸を使用することとしたのは、酢酸以外の他の有機酸では、加熱しても酸化亜鉛微粒子が生成せず、その有機酸からなる亜鉛錯体のままで反応が進まないためである。
本発明の酸化亜鉛微粒子の製造方法について説明する。
本発明の製造方法により、生成させた平均粒径が200nm以下の酸化亜鉛微粒子は、球状、針状、板状、多角形状、多角錐状、多角体状及び棒状からなる群より選ばれた少なくとも一つの形状を有することができる。このうち、生成させた酸化亜鉛微粒子が球状粒子の他に、針状、板状、多角形状、多角錐状、多角体状及び棒状からなる群より選ばれた少なくとも一つの形状を有する粒子を含む、2種類以上の粒子形状から構成される。針状、板状、多角形状、多角錐状、多角体状及び棒状の形状からなる微粒子の場合、その最も長い部分の径が、200nm以下となることが分散体の安定性や分散体や膜の透明性の理由から好ましい。
<実施例1>
先ず、亜鉛化合物として平均粒径が0.5μmの酸化亜鉛粗粒子を、溶媒としてエチレングリコールをそれぞれ用意した。また、酢酸と水を用意した。次いで、フラスコにエチレングリコール300g、酸化亜鉛粗粒子15gを順に投入し、更に酢酸と水を適量添加し、混合して混合液を調製した。続いて、調製した混合液をオイルバス中で、マグネチックスターラで攪拌し、還流しながら、150℃まで加熱した。この加熱の際、145℃に達した時点でフラスコ中に白色の粒子が析出した。この150℃の加熱を2時間保持した後、自然放冷した。次に、得られた白色反応液を1000Gにて5時間遠心分離することで、反応液から白色沈殿物を分離した。更に、分離した白色沈殿物をエタノールに再分散させ、この分散液を遠心分離して、分散液から白色沈殿物を分離する工程を3回繰り返すことにより、白色沈殿物を洗浄した。最後に、洗浄した白色沈殿物を50℃で真空乾燥して所望の白色粉末を得た。
溶媒としてエチレングリコールの代わりにプロピレングリコールを用いた以外は実施例1と同様の方法により白色粉末を得た。
得られた白色粉末をXRD測定したところ、その測定ピーク位置は六方晶酸化亜鉛と完全に一致し、得られた粉末が酸化亜鉛粉末であることが確認された。また、この測定で得られたX線回折パターンにおける最大ピークである(101)面による回折ピークの半値幅は0.38度と非常に狭く、結晶性の高い酸化亜鉛粒子であることが判った。また、得られた白色粉末のTEM観察及びSEM観察を行ったところ、粒径が30nmの球状の粒子の中に、一部、一辺が約50nmの鱗片形状の粒子が見られた。その結果を次の表1に示す。
溶媒としてエチレングリコールの代わりに1,3−プロパンジオールを用いた以外は実施例1と同様の方法により白色粉末を得た。
得られた白色粉末をXRD測定したところ、その測定ピーク位置は六方晶酸化亜鉛と完全に一致し、得られた粉末が酸化亜鉛粉末であることが確認された。また、この測定で得られたX線回折パターンにおける最大ピークである(101)面による回折ピークの半値幅は0.27度と非常に狭く、結晶性の高い酸化亜鉛粒子であることが判った。また、得られた白色粉末のTEM観察及びSEM観察を行ったところ、粒径が50nmの球状の粒子が確認された。その結果を次の表1に示す。
溶媒としてエチレングリコールの代わりにジエチレングリコールを用いた以外は実施例1と同様の方法により白色粉末を得た。
得られた白色粉末をXRD測定したところ、その測定ピーク位置は六方晶酸化亜鉛と完全に一致し、得られた粉末が酸化亜鉛粉末であることが確認された。また、この測定で得られたX線回折パターンにおける最大ピークである(101)面による回折ピークの半値幅は0.31度と非常に狭く、結晶性の高い酸化亜鉛粒子であることが判った。また、得られた白色粉末のTEM観察及びSEM観察を行ったところ、長軸が100nm、短軸が40nmの棒状の粒子が確認された。その結果を次の表1に示す。
溶媒としてエチレングリコールの代わりに1,3−ブタンジオールを用いた以外は実施例1と同様の方法により白色粉末を得た。
得られた白色粉末をXRD測定したところ、その測定ピーク位置は六方晶酸化亜鉛と完全に一致し、得られた粉末が酸化亜鉛粉末であることが確認された。また、この測定で得られたX線回折パターンにおける最大ピークである(101)面による回折ピークの半値幅は0.27度と非常に狭く、結晶性の高い酸化亜鉛粒子であることが判った。また、得られた白色粉末のTEM観察及びSEM観察を行ったところ、粒径が50nmの球状の粒子が確認された。その結果を次の表1に示す。
先ず、亜鉛化合物として平均粒径が0.5μmの酸化亜鉛粗粒子を、溶媒としてメタノールを、アルカリとして水酸化カリウムをそれぞれ用意した。また、酢酸と水を用意した。次いで、フラスコにメタノール及び酢酸を順に適量投入し、更にイオン交換水5gと酸化亜鉛粗粒子21.5gとを添加し還流しながら60℃まで加熱し、その後、23%水酸化カリウムメタノール溶液をあらかじめ60℃に加熱していたフラスコ中の酸化亜鉛メタノール溶液に滴下した。滴下直後に反応液は白濁した。次に、得られた白色反応液を500Gにて30分間遠心分離することで、反応液から白色沈殿物を分離した。更に、分離した白色沈殿物をエタノールに再分散させ、この分散液を遠心分離して、分散液から白色沈殿物を分離する工程を3回繰り返すことにより、白色沈殿物を洗浄した。最後に、洗浄した白色沈殿物を50℃で真空乾燥して所望の白色粉末を得た。
得られた白色粉末をXRD測定した。得られたX線回折パターンを図2に示す。図2から、その測定ピーク位置は六方晶酸化亜鉛と完全に一致し、得られた粉末が酸化亜鉛粉末であることが確認された。しかしながら、ピークは実施例1のピークと比較するとブロードであった。この測定で得られたX線回折パターンにおける最大ピークである(101)面による回折ピークの半値幅は1.1度と非常に広く、結晶性の低い酸化亜鉛粒子であることが判った。また、得られた白色粉末のTEM観察及びSEM観察を行ったところ、粒径が10nmの球状の粒子が確認された。その結果を次の表1に示す。
酢酸の代わりに蟻酸を用いた以外は実施例3と同様の方法により酸化亜鉛微粒子の合成を試みたが、加熱を継続しても蟻酸と亜鉛との化合物のままで存在し、酸化亜鉛微粒子は発生しなかった。その結果を次の表1に示す。
酢酸の代わりに2−エチルヘキサン酸を用いた以外は実施例3と同様の方法により酸化亜鉛微粒子の合成を試みたが、加熱を継続しても2−エチルヘキサン酸と亜鉛の化合物のままで存在し、酸化亜鉛微粒子は発生しなかった。その結果を次の表1に示す。
酢酸の代わりにプロピオン酸を用いた以外は実施例3と同様の方法により酸化亜鉛微粒子の合成を試みたが、加熱を継続してもプロピオン酸と亜鉛の化合物のままで存在し、酸化亜鉛微粒子は発生しなかった。その結果を次の表1に示す。
溶媒としてグリコールの代わりに2−n−ブトキシエタノールを用いた以外は実施例1と同様の方法により白色粉末を得た。
得られた白色粉末をXRD測定した。得られたX線回折パターンを図3に示す。図3から、その測定ピーク位置は六方晶酸化亜鉛と完全に一致し、得られた粉末が酸化亜鉛粉末であることが確認された。しかしながら、この測定で得られたX線回折パターンにおける最大ピークである(101)面による回折ピークの半値幅は0.62度と広く、結晶性に劣る酸化亜鉛粒子であることが判った。また、得られた白色粉末のTEM観察及びSEM観察を行ったところ、粒径が5nmの球状の粒子が確認された。その結果を次の表1に示す。
溶媒としてグリコールの代わりにエタノールを用いた以外は実施例1と同様の方法により白色粉末を得た。
得られた白色粉末をXRD測定した。得られたX線回折パターンを図4に示す。図4から、その測定ピーク位置は六方晶酸化亜鉛と完全に一致し、得られた粉末が酸化亜鉛粉末であることが確認された。しかしながら、この測定で得られたX線回折パターンにおける最大ピークである(101)面による回折ピークの半値幅は0.78度と広く、結晶性に劣る酸化亜鉛粒子であることが判った。また、得られた白色粉末のTEM観察及びSEM観察を行ったところ、粒径が20nmの球状の粒子が確認された。その結果を次の表1に示す。
実施例1で得られた酸化亜鉛微粒子を濃度が1重量%となるようにエタノールに添加し、この添加液に超音波を約20分ほどかけて微粒子を分散させることにより、酸化亜鉛微粒子分散液を得た。
実施例6で得られた酸化亜鉛微粒子分散液を静置し、その際に分散液に生じる沈降物の有無によって分散液の分散性を評価したところ、2週間後でも分散液中には沈降物がなく、非常に分散性に優れた分散液であることが確認された。
また、得られた分散液中の酸化亜鉛微粒子のTEM観察を行ったところ、三角形状の粒子と球状の粒子とが観察された。同様に得られた分散液中の酸化亜鉛微粒子のSEM観察を行ったところ、TEM観察で見られた三角形状の粒子は、三角錐状の粒子であることが確認された。三角錐状粒子の粒子全体に対する割合は、22%であった。
実施例6で得られた酸化亜鉛微粒子分散液を用いて蛍光測定を行った。その結果を図5に示す。
図5より明らかなように、発光及び吸収スペクトルにおいては、波長400〜600nm間の緑色発光ピークは見られず、発光ピーク波長は380nm付近の紫外線発光のみであった。
Claims (3)
- 酸化亜鉛微粒子を分散媒に分散させた分散体であって、
前記酸化亜鉛微粒子が亜鉛化合物と酢酸とグリコールを混合して混合液を調製し、前記調製した混合液を50〜200℃の温度で0.5〜5時間保持することにより、前記混合液を反応させ、得られた反応液を遠心分離して前記反応液から白色沈殿物を分離し、この分離した白色沈殿物を溶媒に再分散させた後、この分散液を遠心分離し、この分離工程を複数回繰り返して前記白色沈殿物を洗浄し、この洗浄した白色沈殿物を25〜60℃で乾燥することにより生成され、
前記酸化亜鉛微粒子が平均粒径が200nm以下の球状、三角錐状及び棒状からなる群より選ばれた少なくとも一つの形状を有する微粒子であって、前記微粒子をX線回折により測定したとき、測定で得られたX線回折パターンにおける最大ピークの半値幅が0.5度以下であることを特徴とする酸化亜鉛微粒子の分散体。 - 前記酸化亜鉛微粒子が少なくとも三角錐状と球状の双方の形状を含み、前記微粒子を構成する全ての形状を100%とするとき、前記三角錐状の形状が含まれる割合が10〜40%の範囲である請求項1記載の分散体。
- 前記酸化亜鉛微粒子が少なくともアスペクト比が3〜10の棒状の形状を含み、前記微粒子を構成する全ての粒子を100%とするとき、前記棒状粒子の含まれる割合が80〜99%の範囲である請求項1記載の分散体。
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