JP5593688B2 - タイヤ成形金型用プラグ、タイヤ成形金型及びタイヤ - Google Patents

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Description

本発明はタイヤ成形金型用プラグ、タイヤ成形金型及びタイヤに関し、更に詳しくは、使用寿命を延長したタイヤ成形金型用プラグと、それによりメンテナンスの省力化を図ったタイヤ成形金型、及びそのタイヤ成形金型を用いることで外観形状の劣化を防止したタイヤに関する。
タイヤの加硫成形工程で用いられるタイヤ成形金型には、加硫成形時にタイヤと金型との間に存在するエアーや、タイヤから発生するガスなどを外部に排気するための排気孔(ベントホール)が複数形成されている。それらのベントホールには、加硫成形中にタイヤ表面のゴム組成物がベントホールへ流れ込んで針状の突起(スピュー)を形成するのを防ぐために、例えば特許文献1に示すようなプラグが装着されている。このプラグは、筒状のホルダ内に取り付けられた栓部材を金型内側へ向けてスプリングで付勢することにより、加硫成形の初期段階ではベントホールを開放してエアーやガスを外部へ排気し、タイヤが金型内側に接触した後は、その接触圧を利用してベントホールを閉止して、スピューの発生を防止するようになっている。
しかしながら、上記特許文献1のプラグは、ホルダと栓部材との間の隙間を排気経路とし、その隙間を開閉することでベントホールの開放及び閉止を行うようにしているため、タイヤから発生するガスに含まれる粘性の物質が、隙間を挟んで対向するホルダ内面や栓部材の外面に付着して、隙間のスムーズな開閉動作を徐々に妨げるという問題があった。プラグの開閉動作が鈍くなると、プラグを清掃するなどのメンテナンスの手間が増えるばかりでなく、スピューが発生してタイヤの外観形状が劣化してしまう。
特開2006−168253号公報
本発明の目的は、使用寿命を延長することができるタイヤ成形金型用プラグ、それによりメンテナンスの省力化を図ることができるタイヤ成形金型、及び外観形状の劣化を防止することができるタイヤを提供することにある。
上記の目的を達成する本発明のタイヤ成形金型用プラグは、タイヤの加硫成形用のタイヤ成形金型の排気孔に嵌合する筒状のプラグに、前記プラグの端部から離間するように前記タイヤ成形金型の内側へ向けて常時付勢される弁部材を取り付けて、前記タイヤの接触圧により前記弁部材が前記プラグの端部に当接するようにしたタイヤ成形金型用プラグにおいて
(A)前記弁部材の前記タイヤと接触する面凸部又は凹部を形成すると共に、前記凸部又は凹部の側面に段部を設け、
(B)前記弁部材の前記タイヤと接触する面に凸部を形成すると共に、前記凸部に前記弁部材の付勢方向と直交する方向に貫通する貫通孔を設け、
(C)前記弁部材の前記タイヤと接触する面に凸部を形成すると共に、前記凸部の軸方向の断面形状をその先端側ほど広くなる台形とし、或いは、
(D)前記弁部材の前記タイヤと接触する面に凹部を形成すると共に、前記凹部の軸方向の断面形状をその底側ほど広くなる台形とした
ことを特徴とするものである。
上記の目的を達成する本発明のタイヤ成形金型は、内外を貫通する排気孔を有するタイヤの加硫成形用のタイヤ成形金型において、前記排気孔に本発明のタイヤ成形金型用プラグを装着したことを特徴とするものである。
上記の目的を達成する本発明のタイヤは、本発明のタイヤ成形金型で加硫成形したことを特徴とするものである。
本発明のタイヤ成形金型用プラグによれば、弁部材のタイヤと接触する面に凸部又は凹部を形成したので、加硫成形中に弁部材が凸部又は凹部を通じてタイヤに保持され、加硫成形後のタイヤの取り出し時に弁部材が強制的にホルダから引き離されて通常の状態に戻るため、次回の加硫成形時においてプラグの開閉動作が妨げられることがないので、プラグの使用寿命を延長することができる。
また、上記のタイヤ成形金型用プラグを排気孔に装着するようにしたので、プラグの使用寿命が延びて、少なくともプラグの清掃の手間を省くことができるため、タイヤ成形金型のメンテナンスの省力化を図ることができる。
更に、このようなプラグを備えたタイヤ成形金型によりタイヤを加硫成形するようにしたので、タイヤの表面には極く小さな穴又は突起しか残らないので、タイヤの外観形状が劣化することはない。
本発明の基礎となるタイヤ成形金型用プラグをタイヤ成形金型に装着したときの断面図である。 タイヤ成形金型用プラグの機能を説明する断面図であって、(a)は加硫成形の初期段階を、(b)はタイヤが金型内面に接触したときを、(c)は加硫成形後にタイヤの取り出しを開始したときを、(d)はタイヤの取り出しを行っているときを、それぞれ示す。 図1に示すX−X矢視の断面図の例であって、(a)は凸部の弁部材付勢方 向と直交する方向の断面形状が丸形の場合を、(b)は矩形の場合を、それぞれ示す。 弁部材の一部拡大断面図であって、(a)は凸部の軸方向の断面形状が逆台形の場合を、(b)は途中に窪み部を形成した場合を、(c)は途中に貫通孔を形成した場合を、(d)は側面をジグザグ形状にした場合を、それぞれ示す。 弁部材の一部拡大断面図の別の例である。 本発明の基礎となる他のタイヤ成形金型用プラグをタイヤ成形金型に装着したときの断面図である。 弁部材の一部拡大断面図であって、(a)は凹部の軸方向の断面形状が逆台形の場合を、(b)は途中に出っ張り部を形成した場合を、(c)は内側面をジグザグ形状にした場合を、それぞれ示す。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の基礎となるタイヤ成形金型用プラグを示す。
このタイヤ成形金型用プラグ1(以下、単に「プラグ1」という。)は、タイヤ成形金型2の排気孔3(ベントホール)に嵌合するホルダ4と、そのホルダ4内に摺動可能に取りつけられる弁部材5と、ホルダ4内に収納されたスプリング6とから主に構成される。
ホルダ4は、一端部が開口した有底円筒体の底面7に貫通孔8を形成したものである。開口端部9には、内側へ向けて徐々に開口面積が狭くなるようにテーパ10が設けられている。弁部材5は、棒状体の両端部にそれぞれヘッド部11及び係止部12を設けると共に、そのヘッド部11の近傍に環状突起13を形成した構造を有している。ヘッド部11の上面14の中央部には凸部15が設けられており、周縁部にはホルダ4のテーパ10に当接できる逆向きのテーパ16が形成されている。この弁部材5は、係止部12が外側に位置するようにホルダ底面7の貫通孔8を貫通し、かつ環状突起13とホルダ底面7との間でスプリング6が挟持されるようにしてホルダ4に取りつけられる。弁部材5は、係止部12がホルダ4の底面7の外側に係止するまでを限度として、スプリング6の弾性力により常にホルダ4の開口端部9側へ向けて付勢され、通常の状態ではヘッド部11のテーパ16とホルダの開口端部9のテーパ10との間に隙間17が形成される。このようなプラグ1は、ホルダ4の開口端部9が、金型内面18と面一になるようにタイヤ成形金型2の排気孔3に装着される。
このようなプラグ1の機能を図2に基づいて以下に説明する。
タイヤ19の加硫成形の初期においては、図2(a)に示すように、弁部材5のヘッド部11とホルダとの間の隙間17を通じて、金型2内部からエアーやガスが排気孔3へ流れ込み、金型2外部へ排気される。
そして、図2(b)に示すように、タイヤ19が金型内面18に接触すると、その接触圧により弁部材5のヘッド部11が押し込まれてスプリング6が縮み、ヘッド部11のテーパ16とホルダ4の開口端部9のテーパ10とが当接して隙間17がなくなることにより排気孔3が閉止してスピューの発生が防止される。このとき、弁部材5の凸部15がタイヤ19の表面に食い込む。
そして、加硫成形が終了すると、タイヤ19が硬化してヘッド部11の凸部15がゴムの弾性力によりタイヤ19に保持されるため、タイヤ19を金型から取り出すべく移動させると、図2(c)に示すように、タイヤ19と共に弁部材5は上方(金型2内側方向)へ強制的に引き上げられる。弁部材5は、図2(d)に示すように、係止部12がホルダ4の底面7の外側に係止するまで引き上げられ、その後にタイヤ19は弁部材5から離れる。
従って、図2(a)の工程において、ヘッド部11とホルダ4との間の隙間17を形成するテーパ10、16の表面に、ガス中に含まれる粘性の物質が付着して、図2(b)の状態で互いに密着した場合でも、加硫成形後のタイヤ19の取り出し時において、図2(c)のように、ヘッド部11がホルダ4から強制的に引き離されて通常の状態に戻るため、次回の加硫成形時においてプラグ1の開閉動作が妨げられることがないので、プラグ1の使用寿命を延長することができる。
また、プラグ1の使用寿命が延びるため、少なくともプラグ1の清掃の手間を省くことができるので、タイヤ成形金型2のメンテナンスの省力化を図ることができる。
このようなプラグ1を備えたタイヤ成形金型2によりタイヤ19を加硫成形すると、タイヤ19表面にヘッド部11の凸部15の痕跡(穴)が残ることになるが、凸部15の外径は1mmにも満たない大きさであり、かつ弁部材5と離れた後はゴムの弾性力が開放されて穴が縮径して目立ちにくくなるため、タイヤ19の外観形状が劣化することはない。
ヘッド部11の凸部15の形状は、特に限定するものではなく、例えば弁部材5の付勢方向と直交する方向の断面形状を丸形(図3(a))や矩形(図3(b))にすることができる。また、タイヤ19に確実に保持されるようにするには、軸方向の断面形状を逆台形にしたり(図4(a))、環状の窪み部20や穴21(貫通していなくとも良い)を途中に形成したり(図4(b)、(c))、側面をジグザグ形状にしたり(図4(d))するのがよい。更に、凸部15の個数についても制限はなく、例えば、図5に示すように、凸部15を2個設けるようにしてもよい。
図6は、本発明の基礎となる他のプラグ1を示す。なお、図1と同じ部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
このプラグ1は、ヘッド部11の上面14の中央部に凹部22を形成したものであり、加硫成形中にタイヤ19が凹部22に流入して硬化することにより、タイヤ19が弁部材5を保持するので、上記の実施形態の場合と同様に、タイヤ19の取り出し時に弁部材5を強制的に引き上げることができる。
このヘッド部11の凹部22の形状についても、特に限定するものではなく、弁部材5の付勢方向と直交する方向の断面形状を丸形や矩形にしたりすることができる。また、タイヤ19に確実に保持されるために、軸方向の断面形状を逆台形にしたり(図7(a))、出っ張り部23を途中に形成したり(図(b))、内側面をジグザグ状にしたり(図(c))するのがよい。更に、凹部22の個数についても制限はなく、複数個を設けるようにしてもよい。
このようなプラグ1を装着したタイヤ成形金型2によりタイヤ19を加硫成形すると、タイヤ19表面にヘッド部11の凹部22の痕跡(突起)が残ることになるが、凹部22の外径は1mmにも満たない大きさであり、その高さはタイヤ19の溝深さに比べて非常に小さいため、タイヤ19の外観形状が劣化することはない。
上記のいずれの実施形態においても、ヘッド部11とホルダ4との間の隙間17を形成するテーパ10、16の表面を、撥水性の被膜で被覆することが望ましい。そのようにすることで、ガス中に含まれる粘性の物質の付着を抑制して、プラグ1の使用寿命を延長することができる。
撥水性の被膜の生成方法としては、撥水性の物質を塗布して熱乾燥させる方法や、撥水性の物質を蒸着して薄膜を形成する方法などが代表的である。前者の方法としては、特許3933777号公報や特開2007−217739号公報に記載されているような、フルオロアルキル基を有するシランカップリング剤を塗布して加熱処理するものが例示される。また、後者の方法としては、トリアジンオール誘導体を蒸着するもの(特許3672519号公報)、炭化水素ガスのプラズマ中で固体アルミニウムを蒸着するもの(特開2004−10741号公報)又はフッ素化水素化合物をプラズマ化してフッ素化ダイヤモンドライクカーボンの皮膜を形成するもの(特開2007−213715号公報)などが例示される。なお、撥水性の皮膜は、テーパ10、16の表面以外の部分、例えばプラグ4の内面やスプリング6の表面に施すようにしてもよいことは勿論である。
また、上記のいずれの実施形態においても、凸部15又は凹部22の径方向の断面積(複数の場合にはそれらの合計断面積)は、ヘッド部11の上面14の面積(凸部15又は凹部22がない場合)に対して1/3〜1/2の大きさとすることが好ましい。この範囲を外れると、タイヤ19に保持される力が不足したり、加硫成形後のタイヤ19表面の痕跡が目立ってしまうようになる。
更に、ヘッド部11の上面14の表面粗さを大きくして、タイヤ19と密着しやすくするようにしてもよい。
1 タイヤ成形金型用プラグ
2 タイヤ成形金型
3 排気孔
4 ホルダ
5 弁部材
6 スプリング
7 底面
8 貫通孔
9 開口端部
10 (プラグの)テーパ
11 ヘッド部
12 係止部
13 環状突起
14 上面
15 凸部
16 (弁部材の)テーパ
17 隙間
18 金型内面
19 タイヤ
20 窪み部
21 穴
22 凹部
23 出っ張り部

Claims (7)

  1. タイヤの加硫成形用のタイヤ成形金型の排気孔に嵌合する筒状のプラグに、前記プラグの端部から離間するように前記タイヤ成形金型の内側へ向けて常時付勢される弁部材を取り付けて、前記タイヤの接触圧により前記弁部材が前記プラグの端部に当接するようにしたタイヤ成形金型用プラグにおいて、
    前記弁部材の前記タイヤと接触する面凸部又は凹部を形成すると共に、前記凸部又は凹部の側面に段部を設けたことを特徴とするタイヤ成形金型用プラグ。
  2. タイヤの加硫成形用のタイヤ成形金型の排気孔に嵌合する筒状のプラグに、前記プラグの端部から離間するように前記タイヤ成形金型の内側へ向けて常時付勢される弁部材を取り付けて、前記タイヤの接触圧により前記弁部材が前記プラグの端部に当接するようにしたタイヤ成形金型用プラグにおいて、
    前記弁部材の前記タイヤと接触する面に凸部を形成すると共に、前記凸部に前記弁部材の付勢方向と直交する方向に貫通する貫通孔を設けたことを特徴とするタイヤ成形金型用プラグ。
  3. タイヤの加硫成形用のタイヤ成形金型の排気孔に嵌合する筒状のプラグに、前記プラグの端部から離間するように前記タイヤ成形金型の内側へ向けて常時付勢される弁部材を取り付けて、前記タイヤの接触圧により前記弁部材が前記プラグの端部に当接するようにしたタイヤ成形金型用プラグにおいて、
    前記弁部材の前記タイヤと接触する面に凸部を形成すると共に、前記凸部の軸方向の断面形状をその先端側ほど広くなる台形としたことを特徴とするタイヤ成形金型用プラグ。
  4. タイヤの加硫成形用のタイヤ成形金型の排気孔に嵌合する筒状のプラグに、前記プラグの端部から離間するように前記タイヤ成形金型の内側へ向けて常時付勢される弁部材を取り付けて、前記タイヤの接触圧により前記弁部材が前記プラグの端部に当接するようにしたタイヤ成形金型用プラグにおいて、
    前記弁部材の前記タイヤと接触する面に凹部を形成すると共に、前記凹部の軸方向の断面形状をその底側ほど広くなる台形としたことを特徴とするタイヤ成形金型用プラグ。
  5. 前記プラグと前記弁部材との当接面を撥水性皮膜で被覆した請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ成形金型用プラグ。
  6. 内外を貫通する排気孔を有するタイヤの加硫成形用のタイヤ成形金型において、前記排気孔に請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ成形金型用プラグを装着したタイヤ成形金型。
  7. 請求項6に記載のタイヤ成形金型で加硫成形したタイヤ。
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