JP2019123146A - タイヤ加硫金型及びベントプラグ - Google Patents
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Abstract
【課題】ステム抜けを効果的に抑制する。【解決手段】タイヤ加硫金型用ベントプラグ24は、ベントホール22に装着される筒状のハウジング26と、ハウジングに挿入されてその開口部34を開閉する弁体となるステム28と、開口部34が開状態となるようにステム28を金型内側に向けて付勢するスプリング30と、を備える。ハウジング26は、開口部34と反対側の端部に内向きに突出するストッパ36を有する。ステム28は、一端部に開口部34を開閉する頭部42を有するとともに、他端部にストッパ36に当接することによりステム28の金型内側への抜けを防止する抜け止め突起44を有し、該抜け止め突起のストッパに対する当接側の面が軸方向Xに対して鋭角をなす傾斜面44Aに形成されている。【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、タイヤ加硫金型用ベントプラグ、及び、それを備えたタイヤ加硫金型に関する。
タイヤ加硫金型では、タイヤの外表面に接する成型面に多数の排気孔、即ちベントホールが設けられており、加硫成型時、タイヤと成型面との間に溜まった空気を、ベントホールを介して外部に排出するようにしている。ベントホールには、スピューと呼ばれるゴム突起が形成されるのを防ぐために、ベントプラグが装着されることがある。
例えば、特許文献1には、ベントホールに嵌合する筒状のハウジングと、ハウジングに挿入されて軸方向に移動することによりハウジングの開口部を開閉する弁体となるステムと、ハウジングの開口部が開状態となるようにステムを付勢するスプリングと、を備えたベントプラグが開示されている。ステムは、金型内側への抜けを防止するための抜け止め突起を下端部に備え、この抜け止め突起をハウジング底部の貫通孔に貫通させた状態でハウジング内に装着されている。
かかるベントプラグは、加硫成型の初期段階ではハウジングの開口部を開いて空気を外側に排出し、タイヤが成型面に接触した後は、その接触圧を利用してステムをスプリングの付勢力に抗して押し込むことでハウジングの開口部を閉じ、これによりスピューの発生を防止する。そのため、ステムは、スプリングの付勢力によりその下端の抜け止め突起がハウジングの貫通孔周りのストッパに当接して係止された状態と、タイヤに押されて該抜け止め突起がストッパから離れた状態とを繰り返すことになる。それ故、タイヤの量産時に、ステムの抜け止め突起が摩耗してステムが金型内側に抜け落ちること、いわゆるステム抜けが発生することがあり、ベントプラグ本来の機能が損なわれ、加硫金型の可動率を低下させる要因にもなる。
本発明の実施形態は、以上の点に鑑み、ステム抜けを効果的に抑制することができるタイヤ加硫金型用ベントプラグを提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係るタイヤ加硫金型用ベントプラグは、タイヤ加硫金型に設けられたベントホールに装着される筒状のハウジングと、前記ハウジングに挿入されて軸方向に移動することにより前記ハウジングの金型内への開口部を開閉する弁体となるステムと、前記開口部が開状態となるように前記ステムを金型内側に向けて付勢するスプリングと、を備える。前記ハウジングは、前記開口部と反対側の端部に内向きに突出するストッパを有する。前記ステムは、軸方向の一端部に前記開口部を開閉する頭部を有するとともに、軸方向の他端部に前記ストッパに当接することにより前記ステムの金型内側への抜けを防止する抜け止め突起を有し、前記抜け止め突起の前記ストッパに対する当接側の面が前記ステムの軸方向に対して鋭角をなす傾斜面に形成されている。
本発明の実施形態に係るタイヤ加硫金型は、タイヤ加硫成型時に金型とタイヤとの間に溜まった空気の排出するためのベントホールを備えるタイヤ加硫金型において、前記ベントホールに前記ベントプラグが装着されたものである。
本発明の実施形態によれば、ハウジングのストッパに当接する抜け止め突起をステムに設け、該抜け止め突起を鋭角状に形成したことにより、タイヤ量産時におけるステム抜けを効果的に抑えることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る金型10の断面図である。この金型10は、空気入りタイヤを加硫成型するための金型、即ちタイヤ加硫金型である。金型10は、タイヤのトレッド部を成型するための環状のトレッド型部12と、タイヤのサイドウォール部を成型するための上下一対のサイド型部14,14と、タイヤのビード部を成型するための上下一対のビードリング16,16とを備え、空気入りタイヤの成型空間であるキャビティ18を形成する。
タイヤ外表面を成型する成型面である金型内面20には、金型10の外部に連通するベントホール22が多数設けられている。ベントホール22は、タイヤ加硫成型時に金型10とタイヤとの間に溜まった空気を排出するための排気孔であり、この例では横断面円形状の孔である。
図2に示すように、各ベントホール22には、排気を可能にしつつタイヤ表面でのスピュー形成を抑制するためのベントプラグ24が装着されている。ベントプラグ24は、ベントホール22における金型内面20への開口部に取り付けられている。
ベントプラグ24は、いわゆるスプリングベントとして構成されている。詳細には、ベントプラグ24は、ベントホール22に装着される筒状のハウジング26と、ハウジング26内に挿入される弁体としてのステム28と、ステム28を金型10の内側に向けて付勢するスプリング30とを備えてなる。ベントプラグ24の装着は、例えば、ベントホール22にハウジング26を嵌合させた後、スプリング30とともにステム28をハウジング26内に挿入して取り付けるようにしてもよい。
ハウジング26は、排気路32を内部に有する筒状をなし、その中空部により排気路32が形成されている。この例では、ハウジング26は、ベントホール22内に嵌合する円筒状をなしている。
ハウジング26は、一端部(上端部)に金型10内への開口部34を有する。ハウジング26の開口部34は、その頂面(上面)34Aがキャビティ18に面しており、頂面34Aは金型内面20と面一になっている。開口部34の内面34Bは、キャビティ18側ほど開口面積が漸次大きくなる逆テーパ状に形成されており、弁座を構成している。
ハウジング26は、開口部34と反対側の端部(下端部)に内向き(即ち、径方向内側)に突出するストッパ36を有する。ストッパ36は、ハウジング26の下端において全周にわたって環状に設けられた内鍔状の凸部であり、その内周側にステム28の下端部が貫通する円形の貫通孔38が設けられている。
ステム28は、ハウジング26内をその軸方向(図2における上下方向)に移動することによりハウジング26の開口部34を開閉する弁体であり、従って排気路32を開閉する。詳細には、ステム28は、スプリング30により金型10の内側(図2では上方)に向かって付勢されることで、開口部34を開放する開状態となり、タイヤ加硫成型時にタイヤによりスプリング30の付勢力に抗して金型10の外側(図2では下方)に向かって押圧されることで、開口部34を閉鎖する閉状態となる。
ステム28は、ハウジング26の軸方向に延びる柱状の胴部40と、ハウジング26の開口部34を開閉する弁部としての頭部42とを有する。胴部40はこの例では円柱状に形成されている。
頭部42は、ステム28の軸方向X(ハウジング26の軸方向と同じ)の一端部(上端部)において胴部40よりも大径に形成されており、ハウジング26の開口部34の逆テーパ状の内面34Bに嵌合して開口部34を閉鎖できるように先端ほど漸次径大の逆テーパ状の外周面42Aを備える。また、頭部42は、キャビティ18に面する頂面(先端面)42Bが平面状に形成されている。なお、符号28Aは、ステム28の軸を示す。
ステム28の軸方向Xの他端部(下端部)には、ステム28の金型10内側への抜けを防止するための抜け止め突起44が設けられている。抜け止め突起44は、ハウジング26のストッパ36の内側を貫通して下側に延在する胴部40の下端部において外向き(即ち、径方向外側)に突出形成されており、この例では全周にわたって突出する環状突起として設けられている。
抜け止め突起44は、ストッパ36の内側の貫通孔38よりも大径であり、そのため、ストッパ36に当接することによりステム28の上方、すなわち金型10内側への抜けを防止する。なお、ステム28をハウジング26に装着する際に抜け止め突起44がストッパ36の内側を通過し易くするために、ステム28の下端部に不図示のスリットを設けておき、装着時にスリットを閉じるように弾性変形させるようにしてもよい。
スプリング30は、ハウジング26とステム28との間に配置されて、ハウジング26の開口部34が開状態となるようにステム28を金型10内側に向けて付勢する。この例では、スプリング30は、ステム28の胴部40を取り囲むように配置されたコイルバネであり、頭部42とストッパ36との間に介在してステム28を付勢する。
そのため、ステム28は、スプリング30を介して軸方向Xに往復動可能に装着されており、抜け止め突起44がハウジング26のストッパ36に当接して係止されるまでを限度として、スプリング30の弾性力によりキャビティ18側に向けて付勢され、この状態で頭部42とハウジング26の開口部34との間に排気のための隙間46が形成されている。
図3に示すように、本実施形態では、ステム28の抜け止め突起44が、ステム28の抜け方向に対する抵抗力を高めるように、かえりとして鋭角状に形成されている。すなわち、抜け止め突起44のストッパ36に対する当接側の面がステム28の軸方向Xに対して鋭角をなす傾斜面44Aに形成されている。傾斜面44Aは、ストッパ36の下面であるストッパ面36Aに対向する抜け止め突起44の上面(即ち、胴部40の外周面から立ち上がる面)であり、その先端部がストッパ面36Aに当接する。
図3に示す断面形状において、ステム28の軸方向Xと傾斜面44Aとのなす角度θが鋭角に形成されており、従って、傾斜面44Aは、先端側(即ち、外径側)ほどストッパ面36Aに近づくように傾斜している。ステム28の軸方向Xに対する傾斜面44Aの角度θは、45°〜70°であることが好ましい。
抜け止め突起44の突出量Aは、特に限定されず、例えば、ステム28の直径Dの30〜50%でもよく、抜け止め突起44の耐久性を向上することができる。また、抜け止め突起44の位置は、特に限定されず、例えば、ステム28の全長に対して先端(下端)から10〜30%の範囲内に設けてもよく、ステム28の可動範囲を適切に設定することができる。
以上よりなる金型10を用いて空気入りタイヤを製造する際には、金型10内に未加硫タイヤ(グリーンタイヤ)をセットして型閉めした後、内側に配置した不図示のブラダーを膨張させて、タイヤを金型内面20に押し当て、加熱状態に保持することにより未加硫タイヤが加硫成形される。
その際、タイヤと金型10との間に溜まった空気をベントホール22で排気しながらタイヤを加硫成形する。詳細には、タイヤを金型内面20に押し当てる際、初期段階では、図2に示すように、ベントプラグ24のステム28はその頭部42がハウジング26の開口部34に対して開放位置にあるので、頭部42と開口部34との隙間46を通じてキャビティ18内の空気がベントホール22へ流れ込み、金型10外部へ排気される。その後、タイヤが金型内面20に達したときには、タイヤがステム28の頂面42Bを押圧することにより、ステム28が押し込まれて隙間46がなくなり、開口部34が閉鎖されるので、ベントホール22へのゴム材料の浸入が阻止される。
本実施形態であると、ハウジング26のストッパ36に当接する抜け止め突起44をステム28に設け、該抜け止め突起44を鋭角状に形成したことにより、タイヤ量産時におけるステム28の金型10内側への抜け落ちを効果的に抑えることができる。詳細には、抜け止め突起44はタイヤ量産時にストッパ36との当接を繰り返すことにより摩耗するが、鋭角状をなしていることにより、摩耗しても外径側が下がった抜けやすい形状にはなりにくく、そのため、抜け止め突起44がストッパ36を越えて金型10内側に抜けるのを防ぐことができる。
このようにベントホール22に装着されるベントプラグ24におけるステム28の抜け落ちを抑制することができるので、ベントプラグ24本来の機能が損なわれることによる動作不具合を抑制することができ、金型10の可動率向上を図ることができる。
上記実施形態では、ステム28の抜け止め突起44を1つ設けたが、抜け止め突起44は、ステム28の下端部において軸方向Xに複数設けてもよい。例えば、図4に示す例では、軸方向Xに2つの抜け止め突起44,44が設けられている。このように、抜け止め突起44を軸方向Xにおいて上下2段に設けることにより、ステム28の金型10内側への抜け落ちをより効果的に抑えることができる。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…タイヤ加硫金型、22…ベントホール、24…ベントプラグ、26…ハウジング、28…ステム、30…スプリング、34…開口部、36…ストッパ、42…頭部、44…抜け止め突起、44A…傾斜面、X…ステムの軸方向
Claims (4)
- タイヤ加硫金型に設けられたベントホールに装着される筒状のハウジングと、前記ハウジングに挿入されて軸方向に移動することにより前記ハウジングの金型内への開口部を開閉する弁体となるステムと、前記開口部が開状態となるように前記ステムを金型内側に向けて付勢するスプリングと、を備え、
前記ハウジングは、前記開口部と反対側の端部に内向きに突出するストッパを有し、
前記ステムは、軸方向の一端部に前記開口部を開閉する頭部を有するとともに、軸方向の他端部に前記ストッパに当接することにより前記ステムの金型内側への抜けを防止する抜け止め突起を有し、前記抜け止め突起の前記ストッパに対する当接側の面が前記ステムの軸方向に対して鋭角をなす傾斜面に形成された、
タイヤ加硫金型用ベントプラグ。 - 前記ステムの軸方向に対する前記傾斜面の角度が45°〜70°である、請求項1に記載のタイヤ加硫金型用ベントプラグ。
- 前記抜け止め突起が前記ステムの他端部において軸方向に複数設けられた、請求項1又は2に記載のタイヤ加硫金型用ベントプラグ。
- タイヤ加硫成型時に金型とタイヤとの間に溜まった空気の排出するためのベントホールを備えるタイヤ加硫金型において、前記ベントホールに請求項1〜3のいずれか1項に記載のベントプラグが装着されたタイヤ加硫金型。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018005136A JP2019123146A (ja) | 2018-01-16 | 2018-01-16 | タイヤ加硫金型及びベントプラグ |
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Cited By (1)
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CN114654629A (zh) * | 2022-03-24 | 2022-06-24 | 安徽坤擎机械科技有限公司 | 一种耐高温弹簧气孔套 |
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2018
- 2018-01-16 JP JP2018005136A patent/JP2019123146A/ja active Pending
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