本発明の幾つかの実施の形態の特徴は、物体を取付け可能な台、以下“支持台”と、台を正確に移動および位置決めするためにモータを制御できるように、モータと台を連結する伝動システムとを備えた搬送システムを提供することに関する。
本発明の幾つかの実施の形態の特徴によれば、伝動システムは圧電モータを台に連結するように構成されている。
本発明の幾つかの実施の形態の特徴は、支持台と、軸線回りに回転可能で支持台に連結された管からなる伝動装置、以下“駆動管”とを備えた搬送システム、以下“タレット駆動型システム”を提供することに関する。
駆動管の円筒面のねじに螺合するねじが支持台に形成され、支持台は少なくとも1本の直線ガイドに連結され、この直線ガイドに沿って自由にスライドまたは転動可能である。少なくとも1本のガイドレールは、駆動管の回転時に支持台の回転を防止する。その結果、駆動管が回転しても、支持台は駆動管の軸線に沿って並進する。任意選択的な圧電モータは駆動管に連結され、駆動管を回転し、それによって駆動管の軸線に沿った支持台とそれに取付けた要素の変位を制御するために制御可能である。
本発明の幾つかの実施の形態の特徴は、支持台と、支持台を取付けた少なくとも1本の駆動レールを有する伝動システムとを備えた搬送システム、以下“よじ登り駆動型システム”と呼ぶ、を提供することに関する。
本発明の実施の形態によれば、モータの連結面が少なくとも1本の駆動レールのうちの1本の駆動レールに弾性的に押し付けられるように、少なくとも1個の圧電モータが支持台に取付けられている。モータはその連結面に振動を発生させるために制御可能であり、この振動はモータ、ひいては台を“よじ登らせて”、駆動レールに沿って並進させる。任意選択的に、少なくとも1本の駆動レールは複数の駆動レールであり、少なくとも1個のモータは複数のモータである。任意選択的に、各モータは、モータ連結面が駆動レールに押し付けられるように、複数の駆動レールの異なる1本の方に弾性的に押し付けられている。任意選択的に、伝動システムは少なくとも1本のガイドを備え、このガイドレールに沿って支持台が自由にスライドまたは転動するように形成されている。ガイドレールは台の方向を安定させ、正確に制御して台を移動および位置決めするために寄与する。任意選択的に、少なくとも1個のモータが台に取付けられ、駆動レールの方へ押し付けられ、それによって、台を調節し、少なくとも1本の駆動レールおよび/またはガイドレールに対して台を整列させるために寄与するトルクを発生する。
本発明の幾つかの実施の形態の特徴は、支持台に形成された対応ねじに螺合するねじを形成したロッド、以下“ウォーム駆動軸”を備えた以下“ウォーム駆動型システム”と呼ぶ搬送システムを提供することに関する。任意選択的な圧電モータはウォーム駆動軸に連結され、ウォーム駆動軸に沿って支持台を並進させる目的でウォーム駆動軸を回転させるために制御可能である。
本発明の幾つかの実施の形態の特徴は、以下“変形駆動型システム”と呼ぶ搬送システムを提供することに関する。この変形駆動型システムでは、支持台が少なくとも1個の変形可能要素、以下“変形可能カプラ”に連結されている。任意選択的に、圧電モータは支持台を移動させその位置を制御するために少なくとも1個の変形可能カプラを選択的に変形または戻し変形するために制御される。
本発明の実施の形態の特徴は、支持台の位置および/または運動を決定するための第1と第2の周期パターンによって発生させられるモアレパターンを有するモアレエンコーダを提供することに関する。本発明の実施の形態によるエンコーダは、少なくとも第1と第2の光検出器を備えている。この光検出器は任意選択的に直交信号を供給し、製造が比較的に容易であり、第1と第2の周期パターンの相対的配向の乱れに対して、慣用のモアレエンコーダよりも鈍感である。
本発明の実施の形態では、モアレパターンを形成するために使用される第1と第2の周期パターンの少なくとも一方に、周期パターンの他の部分に対して任意選択的に4分の1周期だけずらされた領域が形成されている。その結果、モアレパターンはその中の縞の第2領域に対して90°だけ位相を空間的にずらした縞の第1領域を有する。第1と第2の光検出器はそれぞれ第1と第2領域内の縞を感知するために位置決めされ、それによって第1と第2の周期パターンの相対的な運動方向を決定するために使用可能な直交信号を提供する。
第1と第2の周期パターンの少なくとも一方に、位相をずらした領域を形成することにより、第1と第2の光検出器の位置決めの精度の制限は、先行技術のモアレエンコーダにおける直交検出器の位置決めの精度の制限に比べて緩和される。更に、本発明の実施の形態によるエンコーダは、第1と第2の周期パターンの相対方向の乱れに対して鈍感である。
本発明の幾つかの実施の形態の特徴は、光学系の少なくとも1個の要素を移動および位置決めするための、本発明の実施の形態による搬送システムを備えた光学系を提供することに関する。任意選択的に、要素は光学系に含まれるレンズまたはレンズ群(以下、ここで使用されるレンズは1個のレンズおよび/またはレンズ系と呼ぶ)である。任意選択的に、光学系はカメラに含まれている。任意選択的に、カメラは携帯電話に組み込まれている。
従って、本発明の実施の形態に従い、回転軸線を有し、表面の少なくとも一部にねじを形成した管と、管のねじに螺合するねじを有する、物体を取付け可能な少なくとも1個の台と、少なくとも1個の直線ガイドとを具備し、少なくとも1個の台がこの直線ガイドに沿って自由に移動し、管がその回転軸線回りに回転するときに直線ガイドが少なくとも1個の台の回転を防止し、更に、管を回転させ、それによって少なくとも1個の台を管の回転軸線に沿って両方向に選択的に並進させるために制御可能である圧電モータを具備する、物体を移動および位置決めするための搬送システムが提供される。
任意選択的に、管のねじは管の少なくとも内面領域のねじである。任意選択的に、少なくとも1個の台はねじを有する台であり、このねじは内面のねじに螺合する。
本発明の実施の形態では、管のねじは管の少なくとも外面領域のねじである。任意選択的に、少なくとも1個の台はねじを有する台であり、このねじは外面のねじに螺合する。
本発明の実施の形態では、搬送システムは、管のねじに螺合するねじを有していない少なくとも1個の他の台を備えている。任意選択的に、搬送システムは、管の軸線に沿った少なくとも1つの予め定めた位置に、他の台を固定するための操作可能であるラッチを備えている。任意選択的に、ラッチは少なくとも1個の弾性的な止め具と、搬送システムの表面に形成された、この止め具に合う少なくとも1つのノッチとを備え、この止め具とノッチは少なくとも1つの予め定めた位置に他の台を固定するために協働する。任意選択的に、他の台は少なくとも1個の弾性止め具のうちの1個の止め具を備えている。その代わりにまたはそれに加えて、少なくとも1つのノッチのうちの1つのノッチが他の台に形成されている。
本発明の実施の形態では、少なくとも1個の直線ガイドが少なくとも1個の止め具のうちの1個の弾性止め具を備えている。本発明の実施の形態では、少なくとも1つのノッチのうちの1つのノッチが少なくとも1個の直線ガイドに形成されている。
本発明の実施の形態では、少なくとも1つの予め定めた位置が複数の位置である。任意選択的に、管のねじに螺合するねじを有する少なくとも1個の台のうちの1個の台の運動が、予め定めた位置のうちの異なる位置の間で他の台を移動させる。
本発明の幾つかの実施の形態では、圧電モータが管の接触面領域に押し付けられる連結面を有し、モータが管を回転させる連結面に運動を発生させるために制御される。任意選択的に、管は管の軸線と同心的な環状カラーを備え、モータの連結面が押し付けられる面領域はカラーの面領域である。
任意選択的に、圧電モータの連結面は摩擦コブを有する。それに加えてまたはその代わりに、圧電モータは比較的に大きくて平行な2つの環状面を有する環状圧電本体を備え、モータ連結面は1つの環状面領域の少なくとも一部を有し、環状圧電本体内で励起こされる進行波は管を回転させる。
更に、本発明の実施の形態では、物体を取付け可能な少なくとも1個の台と、少なくとも1個の台の各々に取付けられ、モータから可動本体に運動エネルギーを伝えるための連結面を有する少なくとも1個の圧電モータと、少なくとも1本の駆動レールと、少なくとも1本の駆動レールのうちの1本の駆動レールに接触させるために連結面を押圧する弾性体と、駆動レールに対して平行な少なくとも1本のガイドレールとを具備し、台がこのガイドレールに沿って実質的に自由に移動し、ガイドレールが駆動レールと相対的な台の回転を防止し、駆動レールに沿って両方向に台を選択的に並進させる目的で、駆動レールに力を加えるために、圧電モータが制御可能である、物体を移動および位置決めするための搬送システムが提供される。
任意選択的に、少なくとも1本の駆動レールは複数の平行な駆動レールである。任意選択的に、少なくとも1個の台のうちの1個の台は、各駆動レールのために台に取付けられた異なる圧電モータを備えている。任意選択的に、各モータの連結面とこの連結面を押し付ける駆動レールとの間で弾性体によって発生させられる力が、台をガイドレールの方へ付勢するトルクを発生する。任意選択的に、弾性体は台の一体部分として形成されている。任意選択的に、台の一部は比較的に細い弾性首部によって台の残りの部分に連結されている。任意選択的に、一部と首部は台に形成された長穴によって画成されている。
本発明の幾つかの実施の形態では、台が少なくとも1本のガイドレールに沿って転動する要素を有する少なくとも1個の軸受を備えている。任意選択的に、転動する要素とガイドレールは対応する相補的な面を有し、この面はガイドレールに対して横向きの、ガイドレールと転動要素とガイドレールの変位を実質的に防止する。
任意選択的に、相補的な面の一方は凸面であり、他方は凹面である。それに加えてまたはその代わりに、転動要素が車輪からなっている。任意選択的に、車輪に溝が形成され、この溝がガイドレールの相補的な面の形に適合している。
更に、本発明の実施の形態によれば、少なくとも1つのねじ付き穴を形成した、物体を取付け可能な少なくとも1個の台と、少なくとも1つのねじ付き穴のうちの1つのねじ付き穴のねじに螺合するねじを形成した少なくとも1本の軸と、接触面が回転するときに軸が回転するように、少なくとも1本の軸の各々に連結された接触面と、実質的に自由に移動するように台を案内し、軸と相対的な台の回転を防止する、軸に対して平行な少なくとも1個の直線ガイドと、軸に沿って両方向に台を選択的に並進させる目的で、接触面ひいては軸を回転させるために制御可能である圧電モータとを具備する、物体を位置決めするための搬送システムが提供される。
任意選択的に、少なくとも1本の軸は複数のねじ付き軸である。任意選択的に、少なくとも1個の台は複数の台である。任意選択的に、複数の軸のうちの少なくとも2本の軸のねじは、異なる支持台のみの穴のねじに螺合する。任意選択的に、各軸のねじは1個のみの台のねじ付き穴のねじに螺合する。
本発明の幾つかの実施の形態では、接触面が軸の軸線に対して平行な垂線を有する平らな面である。本発明の幾つかの実施の形態では、接触面が駆動軸の軸線に一致する回転軸線を有する円筒面である。
更に、本発明の実施の形態では、少なくとも2つのねじ付き穴を形成した、物体を取付け可能な少なくとも1個の台と、少なくとも2つのねじ付き穴のうちの1つのねじ付き穴のねじに螺合するねじを形成した少なくとも2本の軸と、接触面が回転するときに軸が回転するように、少なくとも2本の軸の各々に連結された接触面と、軸に沿って両方向に台を選択的に並進させる目的で、各軸の接触面ひいては軸を回転させるために制御可能である圧電モータとを具備する、物体を位置決めするための搬送システムが提供される。
更に、本発明の実施の形態では、物体を取付け可能な少なくとも1個の台と、台に連結された変形可能な形を有する少なくとも1個の支持構造体と、少なくとも1個の支持構造体を変形させるために操作可能である少なくとも1個の圧電モータとを具備し、台を第1の位置から第2の位置に移動させるために、少なくとも1個の圧電モータが支持構造体の形を第1の形から第2の形に変形する、物体を位置決めするための搬送システムが提供される。
任意選択的に、支持構造体は平行四辺形である。任意選択的に、圧電モータは支持構造体の形を変えるために、平行四辺形の高さを変更する。
本発明の幾つかの実施の形態では、システムが少なくとも1個の圧電モータを除いて、1つの一体部品として形成されている。
更に、本発明の実施の形態では、前述の請求項にいずれかに記載の搬送システムと、この搬送システムの台に取付けられた少なくとも1個の光学要素と、台ひいては光学要素を移動および位置決めするために搬送システムを制御するコントローラとを具備する光学系が提供される。任意選択的に、光学要素はレンズである。任意選択的に、レンズはズームレンズ系の構成要素である。
更に、本発明の実施の形態では、本発明の実施の形態による光学系を有するカメラが提供される。
更に、本発明の実施の形態では、本発明の実施の形態によるカメラを有する携帯電話が提供される。
更に、本発明の実施の形態では、第1と第2の周期パターン領域を有し、第1周期パターン領域が第2周期パターンに対して位相をずらされている第1周期パターンと、第1と第2の縞領域を有するモアレパターンを発生するために、第1と第2のパターン領域に干渉する第2周期パターンと、それぞれモアレパターンの第1と第2の領域の縞に反応する信号を発生する第1と第2の光検出器とを具備し、第1と第2の周期パターンの1つが可動の物体に対して固定されている、可動物体の位置を監視するためのモアレエンコーダが提供される。任意選択的には、第1と第2のパターン領域は同じ周期を有する。任意選択的には、第2周期パターンは第1と第2のパターン領域の周期と同じ周期を有する。
本発明の幾つかの実施の形態では、第1と第2のパターン領域が互いに4分の1周期だけずらされている。
本発明の幾つかの実施の形態では、第1と第2の領域の周期の方向が平行である。任意選択的に、第1と第2のパターン領域は、パターンの周期の方向に対して垂直な方向に沿って、互いにずらされている。任意選択的には、第1と第2のパターン領域は、パターンの周期の方向に対して平行な方向に沿って、互いにずらされている。
本発明の幾つかの実施の形態では、第1パターン領域が等間隔平行線の格子からなっている。本発明の幾つかの実施の形態では、第2周期領域が等間隔平行線の第2の格子からなっている。本発明の幾つかの実施の形態では、第2周期パターンが等間隔平行線の第2の格子からなっている。
以下において、添付の図を参照して、本発明の限定されない実施の形態を説明する。この段落に続いてリストアップされた図の2つ以上に示した同一の構造体、要素または部品には、それらを示したすべての図において、概ね同じ番号が付けてある。図に示した構成要素および特徴づけるものの寸法は、表示の都合上および表示を明確にするために選定されており、必ずしも一定の比率に応じて示されていない。
図1A,1Bはそれぞれ、本発明の実施の形態によるタレット駆動型システム20の概略的な分解図と、組み立てられたシステムを概略的に示す図である。
タレット駆動型搬送システム20は任意選択的に、それによって移動させられる物体を取付けた支持台22と、駆動管24と、ベース26と、少なくとも1本のガイドレール28を備えている。
支持台22には、各ガイドレール28に適合する通し穴または通し溝30が形成されている。支持台の表面32の少なくとも一部は円筒形であり、ねじ34が形成されている。駆動管24は任意選択的にその内面に形成されたねじ36を有する。このねじ36はねじ34に螺合し、それによって支持台22を駆動管内にねじ込むことができる。任意選択的に、駆動管24は駆動カラー40を備えている。ベース26には任意選択的に円形竪穴42とこの円形竪穴と同心的な環状凹部44が形成されている。この環状凹部内で任意選択的に、車輪46によって示す、当該技術において知られている適当な構造の4個のころがり軸受が取付けられている。竪穴42とそれに関連する凹部44と軸受46は、駆動管24が駆動カラー40を軸受に載せて竪穴内に着座することができ、着座時に駆動管が容易に回転するように構成されている。
タレット駆動装置20を組み立てるために、支持台22を駆動管24内にねじ込み、支持台の溝30をガイドレール28と整列させる。そして、駆動カラー40が軸受46に接触して軸受に“載る”まで、ガイドレール28を溝30に挿通させて駆動管を竪穴42内に着座させる。
少なくとも1個の圧電モータ50が任意選択的に駆動カラー40に連結されている。圧電モータ50は任意選択的には上述の米国特許第5,616,980号明細書またはPCTのWO 00/74153に記載されたタイプまたはその変形である。一例としておよび説明の便宜上、図1A,1Bの圧電モータ50と他の図に概略的に示した圧電モータは、特許文献1に示されたタイプの圧電モータに類似している。図示したタイプの圧電モータの代わりに、当該技術において知られている他の圧電モータを使用することができる。
圧電モータ50は任意選択的に長方形の薄い圧電振動子51を備えている。比較的に大きな第1表面52は任意選択的に対称のチェッカー盤模様をなして表面に配置された4個の象限電極53を備えている。任意選択的に、表面52とは反対側の第2表面54に、1個の大きな電極(図示せず)が配置されている。圧電モータ50は任意選択的に、振動子51の短い端面57に、摩擦コブ56を備えている。この摩擦コブは好ましくは端面の中央に配置されている。摩擦コブ56は任意選択的に、酸化アルミニウムやステンレス鋼のような耐摩耗性の強い材料またはPEEK(ポリエチル エチル ケトン)のような耐摩耗性および高衝撃性プラスチックによって形成されている。
圧電モータ50は、摩擦コブ56がカラーの表面領域60に押し付けられるように、モータをカラーに弾性的に付勢することによって駆動カラー40に連結されている。圧電モータ50をカラー40に弾性的に付勢するために、当該技術において知られている種々の装置および方法のすべてを使用可能である。一例として、図1Bには“蹄鉄”フレーム70に取付けられた圧電モータ50が概略的に示してある。この蹄鉄フレームは摩擦コブ56をカラーに弾性的に押し付けるようにカラー40の方にモータを付勢する弾性部材72を備えている。任意選択的に、少なくとも1個の圧電モータ50はそれぞれ、軸受46がカラーに接触する位置とは反対側の位置で、その摩擦コブ56がカラー40に押し付けられるように位置決めされている。任意選択的に、摩擦コブ56がカラー40に押し付けられる表面領域60は耐摩耗性の強い材料によって形成または保護され、任意選択的に摩擦コブを形成している材料と同じ材料によって形成または保護されている。
電極53は摩擦コブ46に振動および/または運動を励起するために当該技術において知られているすべての運転方法に従って通電される。この摩擦コブはカラー40と駆動管24を時計回りまたは反時計回りに選択的に回転させるためにトルクを加える。比較的に大きな回転角度にわたって駆動管24を回転させるために、電極53はAC電圧によって通電されて摩擦コブ46に楕円振動を発生するかあるいは上述した米国特許第5,616,980号明細書に記載されているように、単極電圧がパルス化してかけられて摩擦コブのパルス運動を発生する。正確に制御された比較的に小さな回転角度にわたって駆動管24を回転させるために、圧電モータ50は任意選択的に、上述のPCT/IL03/00603に記載されているように、DCモードで運転される。
圧電モータ50が駆動管24を回転させるために制御されているときに、ガイドレール28が支持台22の回転を防止するので、支持台は駆動管の長さに沿って並進する。正確に制御された時計回りまたは反時計回りの回転角度にわたって選択的に駆動管を回転させるために圧電モータ50を制御することにより、支持台22は駆動管に沿って両方向に選択的に並進され、駆動管に沿って正確に位置決め可能である。例えば、(図1Aに示すように)ねじ34とこのねじに螺合するねじ36が左ねじであると仮定する。そして、圧電モータ50がタレット駆動装置20の頂部(すなわち、タレット駆動装置の支持台側)から見て駆動管24を時計回りに回転させるために制御されるとき、支持台22はベース26の方に移動する。モータが駆動管24を反時計回りに回転させるために制御されるとき、支持台はベースから離れるように移動する。
任意選択的に、タレット駆動装置20は駆動管24の回転を監視する監視システムを備えている。駆動管24の回転角度を監視するために、当該技術で知られている種々の位置監視センサおよびシステムを使用することができる。任意選択的に、監視システムは駆動管24上に位置する基準マーキングと、この基準マーキングの位置および/または動きを感知するセンサを備えている。一例として、タレット駆動装置20において、駆動管24の回転を監視するために、光検出器64が駆動カラー40に設けられた目盛罫線62を感知する。本発明の幾つかの実施の形態では、光検出器64はモアレエンコーダの構成要素であり、目盛罫線62は定置された第2回析格子と関連して使用される第1回析格子の罫線である。この第2回析格子は縞のモアレパターンを形成するために光検出器(図示せず)に入る光をろ波する。縞の動きは光検出器64によって感知され、駆動管24ひいては支持台22の回転および位置を監視するために使用される。任意選択的に、モアレエンコーダは慣用のモアレエンコーダであり、モアレパターンは慣用のモアレパターンである。任意選択的に、モアレエンコーダは本発明の実施の形態によるエンコーダであり、モアレパターンは以下に説明するようにモアレパターン第2領域の縞に対して任意選択的に位相を90°ずらされた縞第1領域を有するモアレパターンである。任意選択的に、監視システムは圧電モータ50を制御するために閉ループ制御システムで使用される信号を発生する。
位置監視システムが特にタレット駆動装置に関連して使用されるのに対し、モアレエンコーダのような位置監視システムは、搬送システムの構成要素および/または搬送システムに含まれる支持台の位置を直接的または間接的に測定するために、本発明の実施の形態によるすべての搬送システムと共に使用可能である。
タレット駆動装置20は、駆動管24に沿って支持台を位置決めするために構成要素を支持台22に取付けて少なくとも1個の圧電モータ50を制御することにより、構成要素の並進および正確な位置決めが要求される種々の用途に有利に使用可能である。本発明の実施の形態では、図示した例として、タレット駆動装置20は、図1Cに部分的に切断して略示したカメラ100の少なくとも1個のレンズの位置を制御するために使用される。
カメラ100は図1Aおよび図1Bに示したタレット駆動型システムに類似したタレット駆動型システム102と、このタレット駆動型システムの竪穴42の底に取付けた、CCDまたはCMOS光電面のような、光電性の面104とを備えている。レンズ106によって示した第1の対物レンズまたは対物レンズ系は、駆動管システム24に取付けてもよいし、タレット駆動装置102および光電面104と相対的な所定の正確な位置にレンズを保持する構造体に取付けてもよい。図1Cの例では、レンズ106は駆動管24に取付けられている。レンズ108によって示した第2の焦点合わせレンズまたは焦点合わせレンズ系は、図1Aおよび図1Bの図示に類似して、支持台22に取付けられている。この支持台はレンズを保持するために貫通穴を備えている。圧電モータ50は駆動管24を回転させ、駆動管に沿って支持台22の位置、ひいては光電面104からのレンズ108の距離を変更するために制御される。このレンズの距離の変更は、光電面上でカメラ100によって撮像されるシーンの焦点合わせのために要求される。光電面104上のシーンの焦点合わせのために焦点合わせレンズ108を位置決めするのにふさわしい距離を、所定のシーンについて決定するための、当該技術で知られている種々の方法および装置が、圧電モータ50を制御するために使用可能である。
他の例として、図1Dは、本発明の実施の形態に従ってカメラ112内の機械的に補正されるズームレンズ系を制御するために使用される、タレット駆動型システム20に似たタレット駆動型システム110を概略的に示している。
カメラ112は光電面104と、駆動管24に取付けられた“固定された”対物レンズまたは対物レンズ系114を任意選択的に有するズームレンズ系と、移動可能な2個のレンズまたはレンズ系115,116を備えている。(カメラ112が任意選択的に構成され、対物レンズ114が駆動管24に取付けられ、駆動管と共に回転するがしかし、“固定された”と見なされる。というのは、光電面104からの距離が任意選択的に固定されているからである。)移動可能なレンズ116は図1Cに示した支持台22に類似する支持台126に取付けられている。移動可能なレンズ115は駆動管24のねじ36に螺合するねじを任意選択的に有していない支持台125に取付けられている。支持台125はねじ36の頂部に接触する外面128を有する。その結果、支持台125は駆動管24の回転軸線(図示せず)に対して比較的に正確に一直線に揃えられるがしかし、駆動管の回転は支持台125を駆動管の長さに沿って並進させない。
本発明の実施の形態に従って、支持台126は支持台125に連結され、並進のために支持台125を“ピギーバック方式”で搬送し、駆動管24の長さに沿って支持台125を位置決めする。支持台125は所望の位置で支持台126によって位置決めされるときに、支持台125に配置された少なくとも1個の弾性的な止め具によってこの位置に任意選択的に“ロック”させられる。この止め具はタレット駆動装置112に含まれるガイドレール130に任意選択的に形成されたノッチに係合する。
タレット駆動装置112に含まれるガイドレール130は図1A,1Cに示したガイドレール28に似ているがしかし、本発明の実施の形態に従って少なくとも1本のガイドレール130に溝131が形成されている。この溝はその中に形成された少なくとも1つの“溝”ノッチ132を有する。挿入画134はガイドレール130の細長い部分を示し、このガイドレールは溝131と、この溝内に形成されたノッチ132を備えている。任意選択的に、溝131と少なくとも1つの“溝ノッチ”132が両ガイドレール130に形成されている。そして、一方の溝131には、他のガイドレールの少なくとも1つの溝ノッチ132の鏡像の溝ノッチが形成されている。一例として、タレット駆動装置112において、各ガイドレール130には、多数の溝ノッチ132が形成されていると仮定される。
各溝131のために、支持台125は弾性的な“溝止め具”136を備えている。この溝止め具は溝に挿入され、溝内のノッチ132にスナップ作用によって係合する。支持台125の溝止め具136は挿入画138に示してある。この挿入画は支持台の一部を拡大して示す。本来なら挿入透視図138では見えない溝止め具136の一部は、ゴーストラインで示してある。溝止め具136が溝130に沿った所定の位置に配置された溝ノッチ132に係合すると、支持台125は光電面104から所定の間隔をおいて“ロック”される。支持台125の“ノッチ位置”はレンズ115の位置に対応している。この位置のために、レンズ114,115,116は所望な倍率を生じ、光電面104上にカメラによって撮像されたシールを満足できるように焦点合わせする。
支持台126は一対の支持台止め具140を備えていてもよい。この支持台止め具は支持台126に形成された支持台ノッチ142に係合するように形成され、支持台126を支持台125に連結する。止め具140をノッチ142に係合させ、支持台125を支持台126にロックするために、本発明の実施の形態に従って、駆動管24は比較的に高速で回転させられ、支持台126を支持台125に“衝突”させる。支持台125の慣性と、溝止め具136と溝ノッチ132の間に生じる摩擦および力は、支持台止め具140を変形させる“衝突”力を発生し、それによって支持台止め具は外側に曲がり、支持台ノッチ142に滑り込んで係合する。支持台126から支持台125を連結解除するために、本発明の実施の形態に従って、駆動管24は充分に高い速度で回転させられ、支持台125を支持台126から“急に引き離す”。溝止め具とノッチ136,132によって生じる慣性、摩擦および力は、支持台止め具140を変形させる“急に引き離す”力を生じる。それによって、支持台止め具は外側に曲がり、支持台ノッチ142から滑り出て係合解除する。
支持台126が一旦支持台125に連結されると、本発明の実施の形態に従って両支持台が連結解除されないように、駆動管24を充分に遅く回転させることができ、支持台126の運動は或るノッチ位置から支持台125を係合解除させ、他の所望なノッチ位置に支持台125をピギーバックさせることができる。
任意選択的に、溝ノッチ132の位置はレンズ115のための多数の位置を提供する。このレンズ115のための多数の位置は、レンズ115が小さな倍率とシーンの広角視界を生じる位置(レンズ116は駆動管24に沿った補正位置)と、レンズ115,116が大きな倍率とシーンの望遠視界を生じる位置との間で提供される。図1E,1Fは図1Dに示したカメラ112の断面を概略的に示している。図1E,1Fはそれぞれ支持台125とレンズ115の広角ノッチ位置と望遠ノッチ位置を示し、そしてレンズ126の対応補正位置を示している。
図1Gは本発明の実施の形態に従って、2個の支持台を備えたタレット駆動型システム150の破断図である。この支持台はそれぞれ、駆動管のねじに連結されている。図には一例として、タレット駆動装置150がカメラ151内に設けられ、本発明の実施の形態に従って、連続した倍率範囲を生じるカメラの機械補正式ズームレンズ系のレンズを動かして位置決めする。
タレット駆動装置152は駆動管154を備え、この駆動管の内側にはねじの第1セット156が形成され、外側にはねじの第2セット158が形成されている。駆動管は任意選択的にベース162の竪穴160内に着座し、ベース162内に取付けられた軸受166に載っている回転カラー164を備えている。それによって、駆動管はその軸線回りに自由に回転可能である。任意選択的に、駆動管154はその内側で竪穴160の底に配置された圧電モータ50によって回転させられ、圧電モータの摩擦コブ56は駆動管154の内面領域167に接触する。
カメラ151は圧電モータ50の上に位置する支持台173上に配置された光電面170を備えている。ズームレンズ系は任意選択的に、定置された焦点合わせレンズまたは焦点合わせレンズ系180と、第1と第2の可動レンズまたは可動レンズ系181,182を備えている。第1可動レンズ181は駆動管154の内側に配置された第1支持台183に取付けられている。この第1支持台は第1ねじ156に螺合するねじ184を有する。第2可動レンズ182は駆動管154上に装着された管187を有する第2支持台186に取付けられている。この管には、駆動管の第2ねじ158に螺合するねじ188が形成されている。駆動管154が回転するときに、支持台183,186はガイドレール190によって回転を阻止される。駆動管154が回転するときに、支持台186はガイドレール191によって回転を阻止することが可能である。このガイドレール191は支持台に取付けられ、そしてガイドレール190に形成された穴192に装着されている。
圧電モータ50が回転すると、駆動管154と第1および第2のレンズ181,182がそれぞれねじ156,158のピッチによって決定される速度で駆動管154に沿って並進させられる。このピッチは、レンズ181,182の位置が連続した倍率範囲のためにシーンの像の満足できる焦点合わせを提供するように、当該技術において知られている方法を用いて決定される。一例として、図1Gでは、駆動管のねじ158が比較的に大きなピッチを有し、駆動管のねじ156が比較的に小さなピッチを有する。その結果、一般的に機械補正式ズームレンズ系において要求されるように、“対物”レンズ182は駆動管154の1回転あたり、カメラ151によって撮影されるシーンの方へまたはシーンから離れる方へ、レンズ181よりも大きな距離を移動する。
図1H,1Iは、本発明の実施の形態による他のタレット駆動型システム200の概略的な分解図と組み立て図である。
タレット駆動型システム200はタレット駆動型システム20に類似し、駆動カラー40を有する駆動管24と、ベース26とを備えている。このベースは竪穴42とガイドレール28(図1H)を備えている。しかしながら、タレット駆動型システム200では、駆動管24が竪穴42のリムの周りに配置された環状の圧電モータ202(図1H)によって駆動される。組み立てられると(図1I)、駆動カラー40は多数の軸受によって環状圧電モータ202に弾性的に押し付けられる。この軸受は図1Iにおいて車輪204によって概略的に示してある。駆動管24を時計回りと反時計回りに選択的に回転させ、駆動管に沿って支持第22を並進させるために、時計回りと反時計周りの進行波が環状モータ202に選択的に励起こされる。
図2A,2Bはそれぞれ、本発明の実施の形態によるよじ登り駆動装置220の斜視図および平面図である。よじ登り駆動装置220は支持台222を備え、更に任意選択的に2本の駆動レール224と2本のガイドレール226を備えている。
本発明の実施の形態に従い、各ガイドレール226のために、支持台222はガイドレールに沿って移動する少なくとも1個の案内車輪228を備えている。任意選択的に、支持台222には2つの長穴230が形成されている。この長穴はそれぞれ、比較的に細い首部234によって支持台の本体に取付けられたアーム232を形成している。圧電モータ50は各アーム232の凹部233内に取付けられている。
長穴230と、アーム232に関連して設けられた比較的に細い首部234は、支持台222の平面に対してほぼ垂直な軸線回りにアームを弾性的に曲げることができる。この軸線は首部234の領域に位置している。本発明の実施の形態に従い、支持台222がレールに取付けられているときに、アーム232が曲がり、支持台222の本体の方へ“押し付けられる”ように、長穴230および/またはアーム232が形成され、および/または駆動レール224とガイドレール226が位置決めされている。その結果、アームは圧電モータ50をそれに関連する駆動レール224の方に付勢する弾性的なトルクを発生する。この付勢により、圧電モータの摩擦コブ56が駆動レールに弾性的に接触し、案内車輪228がガイドレール226に弾性的に押し付けられる。案内車輪228とガイドレール226は、レールと相対的な案内車輪の横向きの動きを最小限に抑え、駆動レールおよびガイドレールに対して正確に示された支持台222の位置を維持する。任意選択的に、これは各案内車輪228の円形面の形成によって達成される。この案内車輪は溝229を有し(図2Bに示す)、この溝には、それに関連するガイドレールが装着されている。
圧電モータ50の電極に通電し、適当な振動、任意選択的には楕円振動を摩擦コブ56に励起することにより、支持台222は駆動レール224とガイドレール226を上下に選択的に動かすために制御される。この振動はモータひいては支持台をそれぞれ、レールに沿って“よじ登らせる”かまたは下降させる。任意選択的に、駆動レール224は耐摩耗性材料によって作られ、および/または摩擦コブ56に接触する駆動レールに沿った領域は保護耐摩耗性材料によって被覆されている。
図2A,2Bには1個の支持台222を備えたよじ登り駆動装置220が示してあるが、本発明の幾つかの実施の形態では、多数の支持台が1個のよじ登り駆動装置に設けられている。この支持台は支持台222に類似していてもよい。よじ登りシステムのガイドレールと駆動レールに沿った各支持台の位置は、支持台に取付けられたモータによって個別的に制御される。本発明の実施の形態による多数の支持台を有するよじ登り駆動装置は、ズームレンズ系の多数の可動レンズの各レンズ位置を、系内の他のレンズの位置とは無関係に制御することができる。従って、このようなよじ登り駆動装置を使用するズームレンズ系は一般的に、タレット駆動装置を使用するズームレンズ系よりも一層フレキシブルであり、一般的にタレット駆動装置によって動かされるズームレンズ系よりも大きな連続倍率範囲を提供するように形成可能である。
本発明の幾つかの実施の形態では、多数の駆動レールおよびガイドレールが図2A,2Bに示すものと異なっており、および/または圧電モータを駆動レールに連結する方法が図に示したものと異なっている。
図2C,2Dはよじ登り駆動型システム250の概略的な斜視図と平面図である。このよじ登り駆動型システムでは、支持台252が1本の駆動レール254および1本のガイドレール256に連結され、1個の圧電モータ50によって駆動される。
モータ50は支持台252に形成された長穴258内に任意選択的に取付けられ、板ばね262の爪260によって所定の位置に保持されている。板ばねの主帯部264は当該技術において知られている種々の方法を用いて支持台252に取付けられ、そして摩擦コブ56がレールに弾性的に押し付けられるように、モータを駆動レール254の方に付勢している。本発明の実施の形態では、駆動レール254が支持台252に形成された穴270を通過している。それによって、穴の一部を形成する壁の比較的に狭い領域がこのレールに接触し、低摩擦の“バックストップ”を提供する。駆動レールは摩擦コブ56によってこのバックストップに押し付けられる。任意選択的に、穴270は2つの壁273によって形成された角272を有するように形成されている。駆動レール254は摩擦コブ56で駆動レールに加えられる力によって角に押し付けられ、駆動レールは比較的に狭い領域で各々の壁273に接触する。本発明の幾つかの実施の形態では、板ばね262が駆動レール254を、穴270の領域の代わりに、少なくとも1個の軸受に押し付けている。この軸受は支持台252に取付けられている。少なくとも1個の軸受は、ガイドレールを安定させてその長さ方向に対して垂直に横方向変位させないように形成されている。
図2A乃至2Dでは駆動レールとガイドレールが真っ直ぐであるが、本発明の幾つかの実施の形態では、ガイドレールと駆動レールが湾曲している。更に、図1A乃至2Dと以下の図に示した支持台が平面の台であるが、本発明は平面の台に限定されない。本発明の実施の形態による搬送システムに含まれる支持台は、平らではない面を有していてもよいし、および/または物体を支持台に取付けるために使用され、支持台の二次元対称性を破る隆起のようなものを支持台に形成してもよい。
図3Aは本発明の実施の形態によるウォーム駆動型システム300を略示している。
ウォーム駆動型システム300は少なくとも1つのねじ穴334を形成した少なくとも1個の支持台332と、穴を通過し、この穴のねじに螺合するねじを有する“ウォーム駆動”軸336とを備えている。任意選択的に、少なくとも1本のガイドレール338が支持台332の隙間付き穴(クリアランスホール)340を通過していてもよい。一例として、ウォーム駆動型システム300は1本のウォーム駆動軸336および1本のガイドレール238に連結された1個の支持台332を備えている。
ウォーム駆動軸336は少なくとも1個の圧電モータに連結されている。この圧電モータは駆動軸の軸線の回りにウォーム駆動軸を時計回りまたは反時計回りに選択的に回転させるために制御可能である。ガイドレール338が支持台332の回転を防止するので、圧電モータは支持台を駆動軸に沿って両方向に選択的に並進させる。任意選択的に、駆動軸を図1A,1Bに示した圧電モータ50に類似する圧電モータに連結することができる。モータは駆動軸に取付けられたまたは設けられた接触面の方へ付勢され、モータの摩擦コブが接触面に弾性的に接触する。駆動軸を回転させるためにモータはこの接触面を回転させる。任意選択的に、接触面は駆動軸336の軸線に対して平行な垂線を有する平らな面である。任意選択的に、図3Aに示すように、平らな接触面は駆動軸336に取付けられたまたは一体に形成された円板344の平らな面342である。本発明の幾つかの実施の形態では、接触面は駆動軸336の軸線と一致する回転軸線を有する円筒面である。任意選択的に、円筒面は円板344の面345のような円板の円筒側面である。任意選択的に、接触面はねじを形成していない駆動軸336の領域である。この領域は任意選択的に、摩擦コブ56に接触するのに適した耐摩耗材料で被覆されている。モータを位置決めし、接触面の方に付勢するために、当該技術において知られた多くの種々の装置と方法を使用することができる。
図3Bは2個の支持台352を備えたウォーム駆動型システム350を略示している。この支持台にはそれぞれ、圧電モータ50によって回転させられる異なるウォーム駆動軸354が連結されている。任意選択的に、ウォーム駆動型システム350は各支持台352の隙間付き穴を通過する少なくとも1本のガイドレールを備えている。一例として、ウォーム駆動型システム350は2本のガイドレール356を備え、このガイドレールはそれぞれ両支持台を通過しているが、両ウォーム駆動軸354は各支持台の穴358を通過し、ウォーム駆動軸が通過する各支持台の穴358の1つのみに、軸のねじに螺合するねじが形成されている。他の穴358は隙間付き穴として機能する。更に、各ウォーム駆動軸354は1個のみの支持台352のねじ付き穴358を通過している。従って、各駆動軸354は1個のみの支持台352の運動と位置を制御するために連結され、各支持台352の運動と位置は、連結されている特別な駆動軸354を回転させることによって、他の支持台の運動および位置と無関係に制御可能である。
本発明の実施の形態によるウォーム駆動型システムは、図3A,3Bに示したものと異なる構造を有していてもよい。例えば、図3Bに示したものに類似する、本発明の或る実施の形態によるウォーム駆動型システムは、2個よりも多い支持台を備えることができる。この各支持台の運動と位置が、異なる駆動軸と関連する圧電モータによって、他の支持台の運動と位置に関係なく制御可能である。他の例では、同一の1個の支持台を複数の駆動軸に連結することができる。この駆動軸はそれぞれ、支持台の異なるねじ付き穴に連結されている。駆動軸は同期的に協力して、支持台を動かし、位置決めする。
ウォーム駆動型システムは本発明の実施の形態による他の搬送システムのように、種々の運動用途に適応可能である。特に、ウォーム駆動型システムはカメラ内の光学系のような光学系のレンズを動かして位置決めすることができる。
図4A,4Bはそれぞれ、本発明の実施の形態による変形駆動型システム360の概略的な分解図と組み立て図である。
変形駆動型システム360はベース板362と、支持台取付けパネル366に連結可能な支持台364と、変形可能な2個の連結器370を備えることができる。各変形可能連結器370は任意選択的な長方形または正方形のフレーム372を備えている。このフレームは以下“変形アーム”と呼ぶ上部と底部374と、以下それぞれベース側部376および運動側部377と呼ぶ側部376,377を有する。
変形可能な“フレーム”370とベース板362と支持台取付けパネル366は、当該技術において知られている方法を用いて互いに組み立てられ、図4Bに示すような構造の変形駆動型システム360を形成する。例えば、種々の構成要素を、その材料に依存して、接着、溶接および種々のタイプのスナップロックを用いてスナップ止め可能である。図4A,4Bに示すように、任意選択的に、トング380およびこのトングに適合する溝381を用いて、組み立てを補助することができる。このトングと溝は任意選択的に、図示のものに類似する形を有する。一例として、変形可能なフレーム370とベース板362と取付けパネル366はプラスチックによって製作されていると仮定すると、これらはトングと溝を用いて組み立てられ、そして超音波溶接可能である。
変形可能フレーム370の各変形アーム374はその各々の端部近くに、フレームの平面に対して平行な寸法に沿って比較的に細い部分382を備えている。従って、フレームはその平面内で、高さ、すなわち変形アーム374の間隔の異なる平行四辺形に、比較的に容易に変形可能である。任意選択的に、変形可能フレーム370はそれぞれ、ベース側部376から延びる2本の取付けアーム384の間に保持された圧電モータ50を備えている。フレーム370の運動側部377は任意選択的に、耐摩耗材料によって製作された接触板386を備えている。圧電モータ50はフレーム370のベース側部376に配置された弾性部材によって接触板386の方へ弾性的に付勢されている。それによって、摩擦コブ56が接触板に接触する。任意選択的に、弾性部材はベース側部376に形成または取付けられた一対の尖端部材388によって構成されている。この尖端部材は弾性的な力を圧電モータ50のエッジ390に加える。任意選択的に、変形可能フレーム370は、接触板386および圧電モータ50を除いて、適当な弾性プラスチックから1個の一体製品として形成されている。例えば、変形可能フレーム370は単一部品として鋳造可能である。
各圧電モータ50は所望な高さの平行四辺形にフレーム370を変形させる接触板386に力を加えるために操作可能である。変形フレーム370によって、支持台とそれに取付けられた構成要素は、支持台の平面に対して垂直に所望な距離だけ移動および変位可能である。
変形可能フレーム370を変形し、支持台364を変位させるための圧電モータ50の操作は、図4C乃至4Eに示してある。これらの図は変形駆動型システム360の概略的な側面図である。図4Cにおいて、圧電モータ50は変形可能フレーム374を変形させるために操作されていない。フレームは変形されていない形状、任意選択的には長方形であり、支持台364は“元の”位置に位置決めされている。図4D,4Eにおいて、圧電モータ50は接触板386に力加えるために操作可能であり、この力は変形可能フレーム374の運動側部377を上下させ、フレームを平行四辺形に変形させ、そして支持台364を上下させる。
変形駆動型システム360は支持台364のための動的運動範囲を有する。この運動範囲は一般的に、本発明の実施の形態による他の搬送駆動システムによって生じる動的運動範囲よりもかなり小さい。しかし、本発明の実施の形態による変形駆動型システムによって得られる動的範囲は多くの場合、携帯電話に設けられたカメラのような小さなシステムで使用するのに適している。このようなカメラの光学系は、1ミリメートルまたは数ミリメートルの動的範囲にわたって動かされるレンズのような要素を備えている。このような動的範囲は本発明の実施の形態による変形駆動型システムによって容易に得られる。
変形駆動型システム360は別個の部材である変形可能フレームと適合するベースと台とから組み立てられる。本発明の幾つかの実施の形態では、変形駆動型システム360に類似する本発明の実施の形態による変形駆動型システムは、圧電モータ50と接触板386を除いて、1つの一体ユニットとして形成されている。
図5は一例として、本発明の実施の形態による変形駆動型システム400を略示している。この変形駆動型システムは圧電モータ50と接触板386を除いて、例えばプラスチックから1つの一体部品として鋳造するのに適している。
図6A,6Bはそれぞれ、本発明の実施の形態による他の変形駆動型システム410の概略的な分解図および組み立て図である。変形駆動型システム360,400(図4A,4Bと図5)では変形可能フレーム370を変形させる圧電モータ50がフレームの内側に配置されているのに対し、変形駆動型システム410では圧電モータ50はフレームの外側に配置されている。変形フレームの外側に圧電モータを配置すると、モータの大きさおよび配置方向の選択に一層融通が利く。
変形駆動型システム410は支持台ユニット412と駆動パネル414を備えている。この駆動パネル414は任意選択的に、駆動パネルフレーム416と2個の鏡像型圧電モータ50とを備えている。この圧電モータはフレームに取付けられ、その各々の摩擦コブ56は互いに向き合っている。任意選択的に、フレーム416に一体形成された弾性尖端部材418が圧電モータ50を相互の方に付勢している。支持台ユニット412は2個の変形可能フレーム422に取付けられた支持台420を備えている。この変形可能フレームはそれぞれベースアーム424に取付けられている。各ベースアーム424の端部425には任意選択的に、駆動パネルフレーム416の溝428に係合する形のトング426と、溝428に挿入可能なトング426の挿入深さを制限するストッパー430が形成されている。任意選択的に、取付けパネル432が変形可能フレーム422と支持台420を連結している。駆動フィン434は任意選択的に、パネルの側方エッジの間の中央において取付けパネル432に取付けられている。駆動フィン434は圧電モータ50のための接触面として使用される、耐摩耗性材料によって形成された面435を有する。
駆動パネルフレーム416は図6Aに示すように、1個のユニット部品として形成可能であるように構成されている。駆動パネルフレームは任意選択的にプラスチック材料から任意選択的にダイカストによって形成されている。支持台ユニット412は図6Aに示すように、駆動フィン434を除いて、任意選択的に鋳造によって、1個のユニット部品として形成可能であるように構成されている。任意選択的に、支持台ユニット412はプラスチックからダイカストによって製造される。
変形駆動型システム410は支持台ユニット412を駆動パネル414に連結することによって組み立てられる。連結は支持台ユニット412のベースアームトング426を駆動パネルフレーム416の溝428に挿入し、駆動フィン434を圧電モータ50の摩擦コブ56の間に挿入することによっておよび任意選択的にトングを溝内で接着することによって達成される。この接着は任意選択的に、トング426と溝428の面を形成した材料と共に使用するのに適した接着剤を用いて行われる。駆動パネルフレーム416と支持台ユニット412がプラスチックで製作されている場合に任意選択的に、超音波溶接を用いてトングと溝を接着することができる。
変形駆動型システム410は鏡像型圧電モータ50を制御して駆動フィン434を要求されるように上下に変位させることによって支持台420を動かして位置決めするために制御される。所望な量だけ駆動フィンを上下に変位させると、変形可能フレーム422が変形し、所望な変位だけ支持台420が変位する。
図7A,7Bは本発明の実施の形態による他の変形駆動型システム450の概略的な分解図と組み立て斜視図である。変形駆動型システム450は変形駆動型システム410に似ており、駆動フィン434を有する支持台ユニット412と駆動パネル452を備えている。しかしながら、駆動パネル452は、図6A,6Bに示した変形駆動型システム410の駆動パネル416内に設けられた2個の鏡像型モータ50ではなく、1個の圧電モータ50を備えている。車輪454によって略示されたバックストップ軸受は、駆動フィン434の自由な上下運動を許容しながら、駆動フィンを圧電モータ50の摩擦コブ56に押し付けた位置に保持する。
図4A乃至4Bに示した変形駆動型システムが駆動フィンを用いて圧電モータに連結されているのに対し、本発明の実施の形態では変形駆動型システムを他の方法で圧電モータに連結することができる。例えば、取付けパネル432(図6A,6B)のような取付けパネルが、駆動フィン434ではなくまたは駆動フィンに加えて、ねじ付き穴を有する。穴に螺合され圧電モータによって駆動されるねじ付き駆動軸は、取付けパネルを動かすために任意選択的に使用される。
更に、本発明の実施の形態に従って、圧電モータに連結するための駆動フィンを、変形駆動型システム以外で使用可能である。例えば、ガイドレールに取付けられた支持台は少なくとも1個の圧電モータに連結された駆動フィンを備えていてもよい。少なくとも1個のモータは支持台を並進させるために駆動フィンを並進させる。
上述したように、本発明の実施の形態では搬送システムに設けられた支持台の動きおよび/または位置を決定および/または制御するために、モアレパターン型オプティカルエンコーダが使用される。任意選択的に、モアレパターン型オプティカルエンコーダは慣用のエンコーダである。任意選択的に、エンコーダは本発明の実施の形態によるエンコーダである。
可動の物体の動きと位置を感知するためのモアレパターン型オプティカルエンコーダでは、物体の動きと位置を検出するために光検出器が明るい縞と暗い縞のモアレパターンの動きを検出する。モアレ縞は物体に形成または取付けられ物体と共に動く実質的に周期的なパターンと、光検出器に入る光をろ波する実質的に周期的なパターンとによって発生させられる。これらのパターンは互いに接近しておよび方向づけして位置決めされる。この方向づけは、パターンの周期の方向が小さな角度、以下“モアレ角度”だけ互いに角度をなすように行われる。物体に関連するパターンは以下“可動パターン”と呼び、光検出器に関連するパターンは以下“定置パターン”と呼ぶ。
一般的に、定置と可動の周期パターンは同じ周期を有する。このパターンによって生じる明るいモアレ縞と暗いモアレ縞は周期的であるがしかし、可動パターンまたは定置パターンのどちらかの周期よりも大きな周期を有する。(モアレパターン縞の周期はほぼD/sinθに等しい。ここで、Dは定置および可動周期パターンの周期で、θはそれらのモアレ角度である。)可動パターンの周期方向に対して平行な方向への可動物体とそれに関連する可動パターンの並進は、可動および定置のパターンの周期に対するモアレパターンの周期の比に等しいモアレ縞の並進を発生する。その結果、検出器は比較的に高い精度で可動物体の位置の比較的に小さな変化を検出するために使用可能である。説明の便宜上、可動および定置のパターンはそれぞれ平行な直線の格子であると仮定する。
1個の光検出器が位置の変化を比較的に高い精度で検出できるのに対し、1個の検出器で生じた信号は一般的に、それだけでは、周期の方向に沿った2つの平行な方向のどちらの方向に位置の変化が起こっているかを決定するのには充分ではない。一般的に、方向の検出には、モアレパターンを検出するために2個の光検出器が使用される。光検出器は、モアレパターンの波長の4分の1に等しい距離だけ、モアレパターンの周期の方向に沿って離れている。その結果、検出器は互いに90°だけ位相がずれている“直交信号”を発生する。この直交信号は運動方向を決定するために使用される。
直交信号を提供するための光検出器の正確な位置決めはたいていの場合、骨が折れ費用のかかる作業である。加えて、可動物体の位置を監視するために一旦位置決めすると、物体の方向の比較的に小さな変化でも、定置パターンと可動パターンの間のモアレ角度に摂動を起こし、それによってモアレ縞の周期に摂動を起こし得る。モアレパターンの周期の摂動は光検出器の間の相対位相を、所望な90°の直角位相差から変化させる。
図8A,8Bは、先行技術によるオプティカルエンコーダのためのモアレパターンを発生するために使用される定置および可動ライン格子501,502を概略的に示している。格子501に含まれる格子ライン503は、任意水平499に対してゼロ傾斜を有し“D”だけ離れているラインとして示されている。動く格子502に含まれる格子ライン504は同じ距離Dだけ任意選択的に離れていて、例えば水平499に対してモアレ角度θ=3.5°だけ傾斜している。
図8Cはモアレパターン510を備えたモアレエンコーダ509を略示している。このモアレパターンは明るい縞511と暗い縞512と、周期波長λ(〜D/sinθ)を有する。この周期波長は格子501,502によって発生する。モアレエンコーダは更に、可動格子502の並進を示すモアレパターンの変化を感知するための1対の直交光検出器513,514を備えている。ブロック矢印505によって示した方向の格子ラインに対して垂直な方向の可動格子502の並進は、明るい格子511と暗い格子512を右側へ並進させる。光検出器513,514は明るい縞511および暗い縞512に対して垂直な方向に沿って距離0.25λだけ分離されている。
先行技術のモアレエンコーダで直交検出器が位置決めされ維持される精度を低減するために、可動または定置の周期パターン、以下“位相ずれパターン”を提供することにより、本発明の実施の形態による直交検出が行われる。この位相ずれパターンはパターンの他の領域に対して周期の4分1だけ空間的にずらした領域を有する。位相ずれパターンは、縞のモアレパターンを発生するために位相をずらしていない周期パターンと共に使用されるときに、モアレパターンの他の領域に対して90°だけ位相をずらした縞の領域を有するモアレパターンを発生する。本発明の実施の形態によるモアレエンコーダは、モアレパターンの位相ずれ領域の縞の動きに対応する信号を発生する少なくとも1個の光検出器と、モアレパターンの位相をずらしていない領域の縞の動きに対応する信号を発生する少なくとも1個の光検出器を備えている。モアレパターン縞の位相のずれが90°であるため、2個の光検出器によって発生する信号は、90°だけ位相がずれており、物体の運動方向の決定のための使用に適した直交信号を生じる。この物体には、モアレパターンを発生するために使用される1個の周期パターンが取付けられている。以下に説明するように、位相のずれたモアレパターンの提供は本発明の実施の形態に従い、一般的に、エンコーダの光検出器を位置決めする精度の許容誤差を大きくし、かつモアレパターンを発生する周期的なパターンの間のモアレ角度の変化に対するエンコーダ信号の感度を低減する。
一例として、位相をずらしたモアレパターンを発生するために使用される定置および可動のパターンが本発明の実施の形態に従い、同じ周期を有する、すなわち同じ距離だけ分離されている平行なラインからなる格子であり、可動の格子が4分の1周期だけずらした領域を有する位相ずれ格子であると仮定する。格子の隣接領域に対して所望な量だけ正確に位相をずらした領域を有する位相ずれライン格子を、例えば印刷またはエッチングによって形成することは、当該技術において知られている多くの種々の技術を用いると比較的に容易である。4分の1周期位相ずれを含むことは、
図9Aは、本発明の実施の形態による、モアレエンコーダで使用するためのモアレパターンを発生するための定置位相ずれライン格子520を略示している。このライン格子は図8Bに、更に便宜のために図9Bに示した可動格子502と共に任意選択的に使用可能である。位相格子520は、2つの部分、すなわちライン522を有する、括弧521で示した上側部分と、ライン524を有する、括弧523で示した下側部分とを含んでいることを除いて、図8Aに示した格子503に似ている。(数字521と522は、これらの部分を示す括弧と同様に、格子520の上側部分と下側部分を示すために使用される。)ライン522とライン524は同じ距離Dだけ任意選択的に離してある。しかしながら、下側部分523は上側部分521に対して周期の4分の1だけ空間的にずらされている。ずれは、上側部分521の底ライン526が距離0.75Dだけ底部分523の上側ライン527から分離されるように、ブロック矢印525によって示される領域に沿って0.25Dに等しい距離だけ、任意選択的に上側部分521の方へ下側部分523をずらすことによって(または上側部分521を下方へずらすことによって)もたらされる。
図9Cは、本発明の実施の形態に従い、定置の位相ずれライン格子520と可動のライン格子502と光検出器540,541によって発生した縞のモアレパターン530を有するモアレエンコーダ529を概略的に示している。モアレパターン530は明るい縞532と暗い縞533を有する、括弧531によって示す上側領域と、明るい縞535と暗い縞536を有する下側領域534を備えている。“上側”縞532,533は周期λを有し、下側縞535,536は同じ周期λを有する。しかしながら、位相ずれ格子520における上側部分521と下側部分523の間の4分1周期のずれのために、下側モアレ縞535,536は上側モアレ縞532,533に対して、4分の1周期だけずらされている。
直交光検出器540,541は、本発明の実施の形態に従い、その間のライン542が縞532,533,535,536に対してほぼ平行であり、検出器がそれぞれ位相ずれ格子520(図9A)の上側と下側部分521,523によってろ波されるように位置決めされている。ライン542が縞532,535に対して平行である限り、第1と第2の検出器540,542は、互いにほぼ90°位相をずらした直交信号を提供する。
本発明の実施の形態に従って検出器540,541によって発生する信号の間の、公称90°の相対的な“直交”位相は一般的に、先行技術の検出器513,514によって発生する信号の間の相対位相よりも、格子520と格子502の間のモアレ角度の変化に対して敏感でない。例えば、Δθに等しいモアレ角度θの変化は、先行技術の直交光検出器513,514(図8C)によって発生する信号間の相対位相“ψ”における約100Δθ/θに等しい百分率変化を発生する。他方では、モアレエンコーダ(図9C)のために、本発明の実施の形態に従い、モアレ角度θの同じ変化Δθは、検出器540,541によって生じる信号について100(Δθ/90°)(L/2λ)にほぼ等しいψの百分率変化を発生する。百分率変化についての表現では、Lは540と541の間の距離であり、λはモアレパターン530の波長である。90°≫θであるので、本発明によるψの百分率変化は、先行技術における百分率変化よりもかなり小さい。更に、モアレ角度θの変化に対する敏感度は、係数(L/2λ)が1よりも小さくなるように比較的に近接させて検出器540,541を位置決めすることによって更に低減することができる。モアレ縞532,533に対して平行な状態から角度Δαだけライン542を回転すると、相対信号位相ψの変化を生じるがしかし、この変化は比較的に小さく、約100(Δα/90°)(L/λ)に等しいと推定される。
図10Aは本発明による他の位相ずれ格子550を略示している。位相ずれ格子550は格子ライン552を有する左側部分551と、格子ライン554を有する、括弧553によって示した右側部分とからなっている。格子ライン554は、格子ラインに対して垂直なライン555に沿って格子ライン552と相対的に4分の1周期だけずらされている。図10Bは位相ずれ格子550と定置格子502(図8B,9B)によって発生するモアレパターン560を略示している。光検出器561,562は本発明の実施の形態に従ってライン555の両側に位置決めされる。この位置決めは、光検出器がラインから等距離にあり、検出器を結ぶライン556がライン555に対してほぼ垂直になるように行われる。ライン554に対するライン552の4分の1周期のずれのために、検出器561,562は90°の相対位相を有する直交信号を発生する。光検出器560,561は、それらの信号の相対位相に影響を及ぼすことなく、ライン555に対して平行に一緒に並進可能である。モアレパターン530と検出器540,541の場合のように、検出器561,562はモアレパターン560を感知するときに、相対位相を有する信号を提供する。この相対位相は位相ずれ格子550と格子502の間のモアレ角度θの変化に対して比較的に鈍感である。
モアレパターンの上記の模範的な実施の形態では位相ずれ格子が定置格子として使用され、“慣用”の格子が可動格子として使用されたが、本発明の幾つかの実施の形態では、位相ずれ格子を可動格子として使用し、慣用の格子を定置格子として使用することができる。
本出願の明細書および特許請求の範囲には、動詞“からなっている”、“含む”および“有する”そしてこれらの動詞の活用形はそれぞれ、動詞の目的語が動詞の主語の部材、構成要素、要素または部品を完全に列挙する必要がないことを示すために使用されている。
本発明の実施の形態を詳細に説明して本発明を説明したが、この実施の形態は例を挙げるために提供したものであり、本発明の権利範囲を制限するものではない。説明した実施の形態はいろいろな特徴を有するが、そのすべてが本発明のすべての実施の形態で必要であるとは限らない。本発明の幾つかの実施の形態は幾つかの特徴のみあるいは特徴の組み合わせのみを使用する。当業者にとって、説明した本発明の実施の形態の変形と、上記の実施の形態で説明したものとは異なる特徴の組み合わせを有する本発明の実施の形態が考えられる。本発明の範囲は次の特許請求の範囲によってのみ制限される。