JP5589861B2 - 高強度、低ヤング率を有するα+β型チタン合金部材およびその製造方法 - Google Patents

高強度、低ヤング率を有するα+β型チタン合金部材およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、β型チタン合金に匹敵するヤング率を有し、かつ、Ti−6Al−4Vと同等の室温強度を有する、低ヤング率と高強度を両立した、α+β型チタン合金部材とその製造方法に関する。
チタンの常温におけるヤング率は、α相が主である工業用純チタン、α型チタン合金、α相とβ相からなるα+β型チタン合金では、約100〜120GPa、β相が主であるβ型チタン合金では約70〜90GPaである。但し、β型チタン合金でもα+β二相域で時効熱処理しα相を析出させた場合には、上記のα型チタン合金やα+β型チタン合金と同様にヤング率は100〜120GPaに増加する。このように、チタンはその合金部材毎に、望まれるヤング率が異なることから、軽量化や耐食性などを目的にチタンが使用される部材毎に望まれるヤング率に合ったチタン合金が選択される。
一般に、自動車、二輪車のサスペンションスプリング、エンジンバルブスプリング、めがねのフレーム、その他板ばね等のように、低ヤング率が望まれる場合には、通常β単相域で熱処理したβ型チタン合金が使用される。代表的なβ型チタン合金として、Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al、Ti―22V−4Al、Ti−15Mo―5Zr−3Al、Ti−10V−2Fe−3Al、Ti−3Al−8V−6Cr−4Mo−4Zr、特許文献1のTi−15Mo−3Alなどがある。さらに、ヤング率が低いチタン合金として、特許文献2に10〜35質量%Zrと8〜14質量%Crを含有したものが、特許文献3に13〜28原子%Nb、0.1〜10原子%Snを含有したものが、特許文献4に30〜60質量%のVa族(バナジウム族)を含有したものが記載されている。
これに対して、α+β型チタン合金では、β安定化元素であるV、Mo、Nbが少ない含有量ですみ、Ti−6Al−4VやTi−4.5Al−3V−2Mo−2Fe(AMS4899)などがある。また、V、Mo、Nbを含有していない廉価なものとして、特許文献5にTi−5Al−2Feが記載されている。また、特許文献6には、Al:3〜7%、C:0.08〜0.25、Mo、V、Cr、Feの1種以上をMo当量で3〜10%含有する合金が記載されている。また、特許文献7には、Al当量が3〜6.5%、全率固溶β安定化元素の少なくとも1種をMo当量で2.0〜4.5%と、共析型β安定化元素のFe当量で0.3〜2.0%を含み、さらにSiを0.1〜1.5%含有する合金が記載されている。また、特許文献8には、Al:4.4〜5.5、Fe:1.4〜2.1、Mo:1.5〜4.5を含有し、不純物としてSiが0.1%未満、Cが0.01%未満に抑制された高強度α+β型チタン合金がある。また、特許文献9では、熱間圧延した線材を810℃以上940℃以下の温度から水冷することによって、ヤング率が75GPa以上100GPa未満であるα+β型チタン合金の製造方法が記載されている。
特開2004−183058号公報 特開2004−353039号公報 特開2005−113227号公報 特許第3375083号公報 特開平07−062474号公報 特開2003−201530号公報 特開2000−204425号公報 特開2005−320618号公報 特開2007−314834号公報
β型チタン合金に代表される低ヤング率を有するTi−15V−3Cr−3Sn−3Al、Ti−22V−4Al、Ti−15Mo−5Zr−3Al、Ti−10V−2Fe−3Al、Ti−15Mo−3Al(特許文献1参照)、また、10〜35質量%Zrと8〜14質量%Crを含有したもの(特許文献2参照)、13〜28原子%Nb、0.1〜10原子%Snを含有したもの(特許文献3参照)、30〜60質量%のVa族(バナジウム族)を含有したもの(特許文献4参照)は、いずれもVに代表されるVa族やMoといった比較的高価な添加元素を10%以も含有しており、且つ密度が高い元素を多量に含有しているためチタン合金そのものの密度が高くなっている。
これに対して、α+β型チタン合金では、Ti−6Al−4VやTi−4.5Al−3V−2Mo−2Fe(AMS4899)、Ti−5Al−2Fe(特許文献5参照)のようにV、Mo、Nbの添加量が少ない。したがって、これらは、合金組成から推測するとβ型チタン合金よりは廉価であると考えられる。しかしながら、これらのα+β型チタン合金のヤング率は上述したように約100〜120GPa程度とβ型チタン合金に比べ非常に高い値である。
また、Al:3〜7%、C:0.08〜0.25、Mo、V、Cr、Feの1種以上をMo当量で3〜10%含有する合金(特許文献6参照)では、室温から500℃レベルの温度域までの強度を高め熱間加工性に影響を及ぼさない元素としてα安定化元素のCを添加している。このCの添加は熱間変形抵抗を低下させるものの、室温延性、冷間加工性を害する問題がある。
また、Al当量が3〜6.5%、全率固溶β安定化元素の少なくとも1種をMo当量で2.0〜4.5%と、共析型β安定化元素のFe当量で0.3〜2.0%を含み、さらにSiを0.1〜1.5%含有する合金(特許文献7参照)では、Siを0.1%以上添加すると、TiとSiの化合物がα相とβ相の境界に析出し、疲労特性や加工性を劣化させる問題がある。
また、4.4〜5.5質量%Al、1.4〜2.1質量%Fe、1.5〜4.5質量%Moを含有し、不純物としてSiが0.1%未満、Cが0.01%未満に抑制された高強度α+β型チタン合金(特許文献8参照)では、810℃以上940℃以下の温度から水冷することによって、ヤング率が75GPa以上100GPa未満と(特許文献9参照)、α+β型チタン合金としては、低ヤング率が得られる。しかしながら、昨今、Moの価格が非常に高騰していること、また、Moが偏析しやすいことが考えられる。
そこで、本発明は、比較的安価な合金組成からなるα+β型チタン合金を用いて、β型チタン合金に匹敵するヤング率を有し、かつ、Ti−6Al−4Vを凌ぐ室温強度を有するα+β型チタン合金部材およびその製造方法を提供する。
上記課題を解決するために本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)質量%で、
Al:4.4〜5.5%未満、
Fe:1.4〜2.1%未満
を含有し、
Cr:2.5%未満、
V :5.0%未満
であって、Cr+Vの総量で1.0〜5.0%未満含有し、
Si:0.1%未満、
C :0.01%未満に抑制し、残部Ti及び不可避的不純物からなることを特徴とする、ヤング率が70〜100GPa未満の高強度α+β型チタン合金部材。
(2)さらに、前記Vに代えてMoを含有し、質量%で、
Mo:1.9%以下であって、Cr+Moの総量を1.0〜5.0%未満含有することを特徴とする、上記(1)に記載の高強度α+β型チタン合金部材。
(3)さらに、質量%で、
Zr:0.5〜3.5%未満を含有することを特徴とする、上記(1)に記載の高強度α+β型チタン合金部材。
(4)ミクロ組織が5%以上49%未満の初析α相を有することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載の、高強度α+β型チタン合金部材。
(5)最終熱処理として、850℃超〜940℃以下の温度から水冷以上の冷却速度で冷却することを特徴とする、上記(1)〜(4)に記載の高強度α+β型チタン合金部材の製造方法。
本発明によって、比較的安価な合金組成からなるα+β型チタン合金を用いて、β型チタン合金に匹敵するヤング率を有し、かつ、Ti−6Al−4Vと同等の室温強度を有する板または棒線等のα+β型チタン合金部材およびその製造方法を提供できるため、産業上の効果は計り知れない。
本発明材であって、900℃から水冷した試料の光学顕微鏡組織写真である。 化学成分は本発明に含まれるが、ヤング率が本発明に含まれない、900℃から空冷した試料の光学顕微鏡組織写真である。
以下に、本発明について詳しく説明する。以降、添加元素の含有量は「質量%」で示す。
本発明の材料指標について説明する。本来チタン合金は工業用純チタンよりも高い強度が必要とされる用途が多い。そこで、代表的なα+β型チタン合金であるTi−6Al−4Vの室温強度を凌駕することとした。且つ、ヤング率は上述したように通常のα+β型チタン合金では低くとも100GPaであることから、本発明では100GPa未満とした。好ましくは、ヤング率は90GPa未満、さらに好ましくは、化学成分および急冷前の保持温度によって変化するα相量の変化幅による品質安定による制約から、85GPa以下を指標とした。
[Alの添加量]
Alは固溶強化能の高い元素であり、添加量を増やすと室温での引張強度が高くなる。且つ、β相内のω相の生成を抑制することよりヤング率の上昇を抑制する。室温でTi−6Al−4Vを凌駕する引張強度を得るため4.4%以上とした。5.5%以上添加すると、熱間および室温延性、冷間加工性が劣化すること、且つ、β安定化元素の添加量を極力少なくすることから、上限を5.5%とした。
[Feの添加量]
一方、Feは、β安定化置換型固溶元素であり、添加量にしたがって強度が上昇することから、1.4%以上とした。しかしながら、添加量の増加に伴いβ相の量が増えて加工性は向上するものの、凝固時に偏析しやすいため数百kg以上の大型インゴットではFeを2.1%以上添加すると偏析が顕著となる。そのため、添加量の上限を2.1%とした。
[Cr、Vの添加量]
ヤング率を低くするためには、ヤング率の低いβ相を室温でより多く残存させる必要がある。CrやVはβ安定化元素であり、添加することによりβ相を室温まで多量に残存させることができる。さらに強度の上昇と加工性向上の両方の効果も有する。CrはMoに比べ、β安定化能が高い元素であり、添加量をより少なくすることができる。しかしながら、Crは凝固時に偏析しやすいため、添加の上限を2.5%とした。それに対して、Vは偏析を生じににくく、製造しやすい特徴を有する。しかしながら、Vは原料として高価であるため添加量を多くするとコストが高くなるという問題があるため、上限を5.0%とした。後にも述べるが、α+β型チタン合金においてヤング率を下げるためには、初析α相の体積率を49%以下に抑える必要がある。そのため、β安定化元素であるCrないしVの添加総量の下限を1.0%とした。一方、添加量が多くなると、偏析の問題やコスト上昇を招くことから、上限を5.0%未満とした。
[Moの添加量]
請求項2に記載の本発明では、VをMoで代替する。MoはCrやVと同様の働きをする元素である。しかし、Moは比較的高価な元素であること、また、凝固時に偏析しやすいことから、上限を3.5%とした。また、上述したようにヤング率を下げるためには多量のβ相が必要であることから、CrとMoの添加総量の下限を1.0%とした。一方、添加量が多くなると、CrもMoも凝固偏析しやすいことから、総量の上限を5.0%未満とした。
[Zrの添加量]
請求項3に記載の本発明では、Zrはα安定化元素にもβ安定化元素にも属さない中性元素であり、添加することにより、α相が固溶強化され強度が上昇する。しかしながら、近年、Zrにはβ安定化元素としての効果も報告されている。Zrの固溶効果は0.5%以上添加しないと得られないことから、下限値を0.5%とした。しかしながら、Zrは比較的高価な元素であることから、コスト上昇を抑制するため上限を3.5%とした。
[SiとCの含有量]
不純物元素として、SiとCは多量に含有すると室温延性、冷間加工性、熱間加工性を低下させてしまう場合があり、Siは0.1%未満、Cは0.01%未満であれば、問題ないレベルであることを見出し、各々の上限とした。なお、Si、Cは不可避的不純物であとして含有が避けられないことから、実質的な含有量の下限値は、通常、Siで0.005%以上、Cで0.0005%以上である。
[初析α相粒の面積率]
ヤング率は合金成分のみで決まらず、上述したようにβ相の残留量によって変化する。たとえば、上記合金成分においても、750℃で焼鈍した場合は、β相が50%を大きく下回ることとなり、ヤング率も約115GPaと通常のα+β型チタン合金と変わらない値である。
まず、β相の残留量の指標を検討した。その結果、初析α相粒の面積率を用いることが比較的容易であることを見出した。β型チタン合金に匹敵するヤング率を有する一方で、かつ、Ti−6Al−4V合金と同等以上の室温強度を確保するためには、初析α相(初析α粒)のミクロ組織(光学顕微鏡組織)における面積率は、5%以上必要である。一方、初析α相のミクロ組織における面積率が49%以上では、β型チタン合金に匹敵するヤング率を確保できなくなる。よって、初析α相のミクロ組織における面積率を5%以上49%未満とする。但し、この初析α相とはβ相粒内以外に生成しているα相であり、低いヤング率を得るためにはβ相粒内にα相が析出していない、或いは、その析出量が非常に少ないことが前提である。これに対して、冷却中にβ相粒内に微細なα相が多く析出した場合、エッチングしたミクロ組織を光学顕微鏡観察するとβ相粒内が黒色を呈しており、さらに、針状のα相が観察される。そのため、初析α相の面積率が小さくてもヤング率は高くなってしまう。本発明の化学成分範囲では、β相粒内に微細なα相が析出した前記黒色を呈する相の面積率が5%以下であると、ヤング率は70GPa以上100GPa未満となる。したがって、本発明では初析α相の面積率を規定する他に、ヤング率を70GPa以上100GPa未満とした。
初析α相粒の面積率の測定方法について説明する。この初析α相は、断面の埋め込み研磨試料を硝フッ酸水溶液でエッチングした光学顕微鏡写真で容易に判別できる。図1に光学顕微鏡写真の例を示す。図1は、本発明の請求項1の例として900℃から水冷した試料である。なお、図1ではエッチングに硝酸濃度が約12%、フッ酸濃度が約1.5%の硝フッ酸水溶液を用いている。図1にて実線矢印で示した粒径約5μmの白抜けしている結晶粒が初析α相である。画像解析装置を用いて、観察測定視野における初析α相粒が占有する総面積率を計測し、その値を初析α相粒の面積率とした。
なお、本発明では図1のように、β相粒内に微細なα相がほとんど析出していないため、硝フッ酸水溶液でエッチングした断面組織にてβ相粒が黒く見えないが、本発明に該当しない、図2に示す900℃から空冷した断面組織では、β相粒内に微細なα相が析出しているため、硝フッ酸水溶液でエッチングするとβ相粒が光学顕微鏡で黒く見え、さらに、針状のα相の析出がみえる。
[本発明チタン合金の製造方法]
本発明の化学組成のチタン合金素材を、通常の製造方法で板または棒線の形状に製造後、最終熱処理として、850℃超〜940℃以下の温度から水冷以上の冷却速度で冷却することで、ヤング率が70〜100GPaでかつ、室温引張り強さが1000MPaを超える高強度のα+β型チタン合金部材を得ることができる。ここで、最終熱処理における冷却を水冷以上の冷却速度で冷却することを前提に、最終熱処理温度が850℃超で、初析α相のミクロ組織における面積率を49%未満にすることができ、また、最終熱処理温度が940℃以下で、初析α相のミクロ組織における面積率を5%以上確保することができる。なお、最終熱処理時に空冷等の緩慢な冷却速度で冷却すると、β相粒内に微細なα相が析出した黒色を呈する相が形成され(図2)、その結果ヤング率が100GPaを超え、または、室温引張り強さが1000MPaを下回ることとなる。一方、最終熱処理時の冷却は水冷以上の冷却速度で冷却すると、図1に示すようにβ相粒内に微細なα相が析出した前記黒色を呈する相の面積率が5%以下となり、結果としてヤング率を70〜100GPaとすることができる。
表1に示す成分のチタン合金をアーク溶解し約100gインゴットを作成し、これらを900−930℃に加熱し、厚み約3mmの板材に熱間鍛造した。また、表1のNo.2,5,7に示す成分のチタン合金において、プラズマ溶解した鋳塊を熱間鍛造した後、直径12mmの棒に熱間鍛造した。
表1の熱間鍛造した材料を表2に示す各々の温度にて大気焼鈍した後、水冷した場合の、初析α相の面積率、引張強度、およびヤング率を示す。以下に各々の測定条件と試験条件を説明する。初析α相の面積率は前記のエッチングした埋め込み試料を用いて、画像解析装置にて測定した。また、β相の形態について、β相粒内に針状α相が析出して黒く見える面積割合についても評価した。ヤング率および室温引張強度は、小型引張試験片(平行部幅12mm、長さ20mm)のおよび丸棒引張試験片(平行部直径6.25mm、長さ25mm)を用いた引張試験で測定した。なお、ヤング率はひずみゲージを付けて測定したデータを用いて求めた。
表2より、請求項1に記載の本発明の合金成分である実施例のNo.1〜6において、850℃以上940℃未満で熱処理したものは、初析α相の面積率がいずれも40%未満となっており、ヤング率においてもいずれも90GPa未満と十分低い値を示している。また、室温引張強度はいずれも1100MPa〜1250MPaとなり、表2のNo.11に示すTi−6Al−4V合金と同等の高強度を有している。
また、請求項2に記載の本発明の合金成分であるVをMoで代替した実施例No.7、8においても、900℃で熱処理したものは、初析α相の面積率が40%未満であり、ヤング率が80GPa以下と十分に低い値を示している。また、室温引張強度も1200MPa前後と上記と同等の高強度を有している。
また、請求項3に記載の本発明の合金成分であるZrを添加した実施例9〜11においても、850℃以上950℃未満で熱処理したものは、初析α相の面積率が40%未満であり、ヤング率も90GPa未満と十分低く、室温引張強度も1150MPaと十分高い。
なお、表2の実施例のNo.1〜11はいずれも、図2に示したようなβ相中に微細なα相が生成した黒色を呈する相の面積率は、図2と同じ倍率、同じ視野の光学顕微鏡像で5%以下であった。
一方、表2の比較例のNo.12はNo.1と同等成分の合金だが、熱処理温度が800℃と低くなっている。そのため、初析α相の面積率が64%と非常に高くなり、ヤング率も100GPa以上と高い。
また、表2の比較例のNo.13は、β安定化元素であるCrを1.0%含有しているが、Alが6.5%と高い。そのため、900℃で熱処理しても、初析α相の面積率が70%と非常に高くなり、ヤング率も100GPa以上と高い。
また、表2の比較例のNo.14はβ安定化元素としてVのみを含有しており、Feを含んでいない。また、Alが5.9%と高い。そのため、初析α相の面積率が65%と高くなっており、ヤング率も117GPaと高い。
また、表2の比較例のNo.14はSiおよびCを多く含んでいる。そのため、室温での伸びが低下している。
表3は、表1のNo.1〜3の素材にて、冷却方法を水冷もしくは空冷した場合の比較したものである。比較例のNo.4〜6は、No.1〜No.3と同成分の合金だが、冷却速度が空冷と遅くなっている。そのため、空冷材のヤング率はいずれも100GPa以上と高い。なお、表3の実施例のNo.1〜3はいずれも、図2に示したようなβ相中に微細なα相が生成した黒色を呈する相の面積率は、図2と同じ倍率、同じ視野の光学顕微鏡像で5%以下であった。一方、表3の比較例No.4〜6は、図2に示したようなβ相中に微細なα相が生成した黒色を呈する相の面積率が5%を超えていた。
表4は、表1のNo.2,5,7の素材にて、素材形状を板から棒線に変更したものである。素材形状を変更しても、大きな特性変化は生じておらず、また、ヤング率はいずれも80GPa前後と低い。なお、表4の実施例のNo.1〜6はいずれも、図2に示したようなβ相中に微細なα相が生成した黒色を呈する相の面積率は、図2と同じ倍率、同じ視野の光学顕微鏡像で5%以下であった。
本発明のβ型チタン合金は、β型チタン合金よりも高価な添加元素であるV、Mo等の添加元素量が少ないα+β型チタン合金において、非常に低いヤング率を有し、Ti−6Al−4V等のα+β型合金と同等レベルの高強度を有していることから、自動車または二輪車のサスペンションスプリングやエンジンバルブスプリングなどの自動車または二輪車用部品材料やメガネのフレーム材として利用することに適しており、これら部品材の軽量化に寄与する。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    Al:4.4〜5.5%未満、
    Fe:1.4〜2.1%未満
    を含有し、
    Cr:2.5%未満、
    V :5.0%未満
    であって、Cr+Vの総量で1.0〜5.0%未満含有し、
    Si:0.1%未満、
    C :0.01%未満に抑制し、残部Ti及び不可避的不純物からなることを特徴とする、ヤング率が70〜100GPa未満の高強度α+β型チタン合金部材。
  2. さらに、前記Vに代えてMoを含有し、質量%で、
    Mo:1.9%以下であって、Cr+Moの総量を1.0〜5.0%未満含有することを特徴とする、請求項1に記載の高強度α+β型チタン合金部材。
  3. さらに、質量%で、
    Zr:0.5〜3.5%未満を含有することを特徴とする、請求項1に記載の高強度α+β型チタン合金部材。
  4. ミクロ組織が5%以上49%未満の初析α相を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の、高強度α+β型チタン合金部材。
  5. 最終熱処理として、850℃超〜940℃以下の温度から水冷以上の冷却速度で冷却することを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の高強度α+β型チタン合金部材の製造方法。
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