JP5588598B2 - ポリアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献5では、135〜300℃の温度範囲でトリオキサンを塊状重合させ、重合中に単量体および重合体を溶融状態で存在させることにより、分子量20,000以上のポリアセタール樹脂を得る別な製法を提案している。
また、特許文献6では、トリオキサンとポリアセタール樹脂が重合中に溶融状態である製造法において、スタティックミキサーを使用することを提案している。また、特許文献7では、トリフルオロメタンスルホン酸などのプロトン酸を用いて撹拌を行い、重合する方式を提案している。また、カチオン性重合触媒を失活させるために、ポリマーに対して0.05〜1.0%(w/w)のトリエチルアミンなどの塩基性化合物を用いることを提案している。
また、特許文献7に示されるように、失活剤としてトリエチルアミンなどの揮発性の塩基を使用した場合、未反応のトリオキサンを回収すると、回収トリオキサン中にトリエチルアミンなどが含まれ、重合に使用するにはさらなる精製を必要とする。なお、未反応のトリオキサンは、通常仕込みのトリオキサンに対して、20〜40質量%程度あることが特許文献5、あるいは特許文献7で明らかになっている。
また、トリオキサンを溶融状態で重合する場合、重合装置が簡略であり、粉砕器等の設備が不要である等の工業上のメリットが認められる。しかしながら、失活化後の不安定末端部がまだ満足するレベルにないなどの問題点を持っている。さらに、溶融重合法では、未反応のトリオキサンが20〜40質量%あり、その回収工程が煩雑であるなどの問題点がある。
すなわち、本発明は下記の通りである。
1.トリオキサンの重合、もしくはトリオキサンと環状ホルマールとの共重合を一般式R1OCH2OR2(R1,R2は炭素数8以下のアルキル基)で示される化合物の存在下で、ヘテロポリ酸、もしくはその酸性塩からなるカチオン性重合触媒を用いて、重合温度を130℃〜200℃とし、加圧条件下で連続的に重合反応を行い、得られた溶融状態の重合体を含む重合反応混合物に、以下の(1)及び/又は(2)のイオン吸着体と、(3)該イオン吸着体の混合媒体とからなる混合物(I)を連続的に添加混合し、カチオン性重合触媒を吸着させることにより触媒活性を失活化させることを特徴とするポリアセタール樹脂の製造方法。
(1)アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物より選ばれる少なくとも1種の酸化物と、3価および4価元素の酸化物より選ばれる少なくとも1種の酸化物よりなる2種以上の酸化物を主成分とするイオン吸着体、
(2) 一般式(A)
(M1)1−x(M2)x(OH)2An− x/n・mH2O (A)
(式中、M1はアルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種の2価金属を示し、M2は3価金属を示し、An−は、n価のアニオンを示す。また、xは0<x≦0.5であり、mは正の数である。)で表されるイオン吸着体、
(3)トリオキサン及び/又はトリオキサンに可溶な化合物からなるイオン吸着体の混合媒体。
3.重合体のポリマー末端に存在する不安定末端を除去する工程を更に有することを特徴とする上記1〜2のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂の製造方法。
4.前記(3)のイオン吸着体の混合媒体が、トリオキサン及び/又はポリアセタール樹脂コポリマーからなることを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂の製造方法。
5.前記イオン吸着体が、生成重合体に対して0.001質量%以上1.0質量%以下の範囲で添加混合させることを特徴とする上記1〜4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂の製造方法。
本発明では、トリオキサンの重合、もしくはトリオキサンと環状ホルマールの共重合を、一般式R1OCH2OR2(R1、R2は炭素数8以下のアルキル基)で示される化合物の存在下で、カチオン性重合触媒を用いて、重合温度を130℃〜200℃とし、加圧条件下で連続的に重合反応を行い、溶融状態であるトリオキサンおよび重合体を含む重合反応混合物を得る。なお、ここで、溶融状態であるトリオキサンおよび重合体を含む重合反応混合物には、一部に結晶化したポリアセタール樹脂、もしくはポリアセタール樹脂コポリマーを含んでいても良い。本発明の溶融状態とは、重合反応混合物が流動状態であることを意味している。
また、分子量調節剤として使用するR1OCH2OR2で示される化合物(ただし、ここでR1、R2、は炭素数8以下のアルキル基とする。)は、通常はメチラール、ブチラールが好ましい。中でも特に、メチラールが好ましい。メチラールの添加量は、通常はトリオキサン1モルに対して、0.1×10−3モルから6×10−3モルの範囲で用いられる。
また、共重合体のコモノマーとして用いる環状ホルマールは、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールなどが好ましい。通常これらのコモノマーは、トリオキサン1モルに対して1×10−3モルから1×10−1モルの範囲で使用される。
Hx[Mm・M‘nOp]yH2O ・・・・(B)
(ただし、Mは、P、Siより選ばれた1種、または2種の元素からなる中心元素を示す。
また、M‘は、W、Mo、Vより選ばれた1種以上の配位元素を示す。
また、mは1〜10、nは6〜40、pは10〜100、xは1以上の整数、yは0〜50である。)
本発明に用いられるイオン吸着体の例は、特許文献3、あるいは特許文献4において述べられている。
(M1)1−x(M2)x(OH)2An− x/n・mH2O (A) 上記一般式(A)において、M1は、アルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種の2価金属を示し、好ましい例としては、Mg、Caを挙げることができる。また、上記一般式(A)において、M2は3価金属を示し、B、Al、Ga、In、Ti、TI等を示し、好ましい例としてはAlを挙げることができる。さらに上記式(A)において、An−は、n価のアニオンを示し、例えば、CO3 −2、OH−、HCO3 −、H2PO4 −、NO3 −、I−、サリチル酸イオン−、クエン酸イオン−、酒石酸イオン−等を挙げることができる。中でも好ましくは、CO3 −2、OH−である。このようなイオン吸着体の具体的な例としては、例えば、Mg0.75Al0.25(OH)2CO3 0.125・0.5H2OMg6Al2(OH)16CO3・4H2Oで示されるハイドロタルサイトである。
これらイオン吸着体は、イオン吸着体(1)および(2)から選ばれる1種が用いられ、(1)と(2)を併用して用いることも可能である。
これらのイオン吸着体(1)、(2)の中で、Mg0.75Al0.25O1.125、A12O3・Na2O・2CO3・H2O、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg0.75Al0.25(OH)2CO3 0.125・0.5H2Oが好ましい。
量%の範囲である。
本発明の次工程とは、重合反応混合物からトリオキサンなどの未反応の揮発性成分を除く工程である。また、重合反応混合物中の重合体の不安定部を、塩基性物質を添加して熱分解、あるいは加水分解、あるいはアルコール分解し、ついで揮発性成分を除去する工程も含まれる。
揮発性成分が除去された溶融状態の重合体は必要により、次なる工程に回して、さらに減圧条件下で微量の残存する揮発性成分を除去することもできる。あるいは、重合体のポリマー末端に存在する不安定部を除去する工程にかけることもできる。
[実施例1]
1,3−ジオキソラン5モル%を溶解したトリオキサン溶融物を、外側のジャケットが135℃に加熱されたパイプ型リアクターに、毎時5kgで連続的に供給した。パイプ型リアクター内は、スタティックミキサーで内容物を均一に混合されるようになっている。パイプ型リアクターは、前段混合部分、主重合部分、および触媒失活部分の3部より構成されている。このパイプ型リアクターに、600ppmのリンタングステン酸を含有するメチラールを、連続的に毎時8.4g供給した。なお、1,3−ジオキソラン5モル%を溶解したトリオキサン溶融物と600ppmのリンタングステン酸を含有するメチラールは、パイプ型リアクターの前段混合部で均一に混合され、そのまま次の重合部分に供給され、パイプ型リアクター内で重合反応を行った。前段の触媒混合および重合反応は、135℃とした。パイプ型リアクター内での重合部分の反応混合物の平均滞留時間は1分であった。
次に、この重合反応混合物に1質量%のMg0.75Al0.25O1.125を含む135℃のイオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)を、毎時20g連続的にパ
イプ型リアクターに供給した。重合反応混合物とMg0.75Al0.25O1.125を含む135℃のイオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)を均一に混合し、カチオン性重合触媒をイオン吸着体であるMg0.75Al0.25O1.125に吸着させ、触媒活性を失活化させた。なお、触媒失活部の平均滞留時間は、30秒である。
次に、このトリオキサン、ホルムアルデヒド、重合体を含む重合反応混合物をジャケット温度180℃に加熱した熱管を通して加熱し、ついで、内温を180℃に維持したフラッシュポットに導入して、ホルムアルデヒド、トリオキサンを含む揮発性成分を蒸発させた。さらに、溶融状態の重合体を2軸の押出機に導入し、220℃の樹脂温度、減圧条件下でさらに揮発性成分を除去し、毎時3.6kgのポリアセタール樹脂コポリマーを得た。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.2質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、23g/10minであった。
実施例1において、イオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)の混合媒体をトリオキサンに溶解しない流動パラフィンに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の92.1質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、92g/10minであった。イオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)の混合媒体を流動パラフィンに変更した場合、生成重合体の加熱減量が大きく、メルトインデックス値も高い(得られる重合体の分子量が低下している。すなわち、ポリマー主鎖が切断している)。これらの結果から、流動パラフィンはトリオキサンへの溶解性が乏しい為にイオン吸着体による重合触媒の失活化がうまくいかないことを示している。
実施例1において、重合反応混合物中の重合触媒を失活化した後、フラッシュポットから蒸発したトリオキサンを含む揮発性成分を120℃加圧条件下で液化させ、ついで、液化物を再度135℃でリサイクルさせた。なお、ここでは、カチオン性重合触媒およびカチオン性触媒の失活剤は、次の通りに変更した。600ppmのリンタングステン酸を含有するメチラールを連続的に毎時11g供給し、1質量%のMg0.75Al0.25O1.125を含む135℃のイオン吸着体とトリオキサンとの混合物(I)を、毎時26g連続的にパイプ型リアクターに供給した。その他は、実施例1と同様の装置を用いた。この重合体を、230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.1質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、20g/10minであった。
実施例2において、イオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)の混合媒体をトリオキサンに溶解しない流動パラフィンに変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の92.3質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、94g/10minであった。イオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)の混合媒体に流動パラフィンを用いた場合、生成重合体の加熱減量が大きく、メルトインデックス値も高い(得られる重合体の分子量が低下している。すなわち、ポリマー主鎖が切断している)。これらの結果から、流動パラフィンは、トリオキサンへの溶解性が乏しい為にイオン吸着による重合触媒の失活化がうまくいかないことを示している。
実施例2において、イオン吸着体とトリオキサンとの混合物(I)の混合媒体を135℃のトリオキサンから145℃のトリオキサン/ポリアセタール樹脂コポリマー(50/50、質量比)に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.2質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、20g/10minであった。
実施例3において、イオン吸着体とトリオキサン/ポリアセタール樹脂コポリマーからなる混合物(I)の混合媒体を流動パラフィン/ポリエチレン(50/50、質量比)に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行った。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の91.9質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、99g/10minであった。
イオン吸着体との混合物(I)の混合媒体が流動パラフィン/ポリエチレンを用いた場合、生成重合体の加熱減量が大きく、メルトインデックス値も高い(得られる重合体の分子量が低下している。すなわち、ポリマー主鎖が切断している)。これらの結果から、流動パラフィン/ポリエチレンは、トリオキサンへの溶解性が乏しい為にイオン吸着による重合触媒の失活化がうまくいかないことを示している。
実施例2において、イオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)の混合媒体を135℃のトリオキサンから180℃のポリアセタール樹脂コポリマー(mp:165℃、メルトインデックス:80g/10min)に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.5質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、26g/10minであった。
実施例4において、イオン吸着体とポリアセタール樹脂コポリマーからなる混合物(I)の混合媒体をポリエチレン(低密度ポリエチレン、メルトインデックス:80g/10min)に変更した以外は、実施例4と同様の操作を行った。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の91.6質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、115g/10minであった。イオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)の混合媒体がポリエチレンである場合、生成重合体の加熱減量が大きく、メルトインデックス値が高い(得られる重合体の分子量が低下している。すなわち、ポリマー主鎖が切断している)。これらの結果から、ポリエチレンは、トリオキサンへの溶解性が乏しい為にイオン吸着による重合触媒の失活化がうまくいかないことを示している。
実施例2において使用した重合触媒をリンタングステン酸の代わりにリンモリブデン酸に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。なお、リンモリブデン酸のメチラール中の濃度は290ppmである。この条件で得られた重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.2質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、22g/10minであった。
実施例1において、イオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)の混合媒体をポリエチレングリコールジメチルエーテル(分子量300)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.3質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、20g/10minであった。
実施例2において使用したイオン吸着体をMg0.75Al0.25O1.125の代わりにA 12O3・Na2O・2CO3・H2Oに変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.6質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、20g/10minであった。
実施例2において使用したイオン吸着体をMg0.75Al0.25O1.125の代わりに、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oに変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。この重合体を230℃で真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.7質量%であり、190℃でのメルトインデックス値は、20g/10minであった。
実施例2において使用したイオン吸着体をMg0.75Al0.25O1.125の代わりに、Mg0.75Al0.25(OH)2CO3 0.125・0.5H2Oに変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。この重合体を230℃で真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.7質量%であり、190℃でのメルトインデックス値は、20g/10minであった。
実施例2において、使用したイオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)を13gに変更し連続的に供給した以外は、実施例2と同様の操作を行った。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.5質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、20g/10minであった。
実施例2において使用したイオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)を7gに変更し連続的に供給した以外は、実施例2と同様の操作を行った。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.5質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、20g/10minであった。
実施例1のパイプ型リアクターの重合触媒失活部に引き続いて、末端不安定部除去部をつけた。イオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)の添加までは実施例1と同様の操作を行い、カチオン性重合触媒の失活化を行った。重合触媒失活部の平均滞留時間は30秒であった。次に、この溶融状態の重合反応混合物を、180℃に加熱されたパイプ型リアクターよりなる末端不安定部の除去工程部に導入した。この工程の入り口に、毎時5gのトリエチルアミン/水(1/4、質量比)を供給した。末端不安定部の除去工程部の滞留時間は10分であった。ここで得られた溶融状態の重合反応混合物を2軸の押出機
に導入し、ホルムアルデヒド、トリオキサンを含む揮発性成分を減圧条件下で除去し、ポリアセタール樹脂コポリマーを得た。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.9質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、20g/10minであった。
実施例2の未反応トリオキサンの除去・回収部に引き続いて、末端不安定部除去部をつけた。この溶融状態の重合反応混合物を180℃に加熱されたパイプ型リアクターよりなる末端不安定部の除去工程部に導入した。この工程の入り口に、毎時6gのトリエチルアミンを供給した。末端不安定部の除去工程部の滞留時間は、7分であった。ここで得られた溶融状態の重合反応混合物を2軸の押出機に導入し、ホルムアルデヒド、トリオキサンを含む揮発性成分を減圧条件下で除去し、アセタール樹脂コポリマーを得た。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.9質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、20g/10minであった。
実施例13の6gのトリエチルアミンの代わりに、6gのトリエチルアミン/水(1/4、質量比)に変更した以外は、実施例11と同様の操作を行い、ポリアセタール樹脂コポリマーを得た。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.9質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、20g/10minであった。
実施例13の6gのトリエチルアミンの代わりに、6gのトリエチルアミン/メタノール(1/4、質量比)に変更した以外は、実施例11と同様の操作を行い、ポリアセタール樹脂コポリマーを得た。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.9質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、20g/10minであった。
トリオキサン溶融物を、外側のジャケットが135℃に加熱されたパイプ型リアクターに毎時5kgで連続的に供給した。パイプ型リアクター内は、スタティックミキサーで内容物が均一に混合されるようになっている。パイプ型リアクターは、前段混合部分、主重合部分、および触媒失活部分の3部より構成されている。また、このパイプ型リアクターに600ppmのリンタングステン酸を含有するメチラールを連続的に毎時11g供給した。なおトリオキサン溶融物と600ppmのリンタングステン酸を含有するメチラールは、パイプ型リアクターの前段混合部で混合され、そのまま次の重合部分に供給され、重合反応を行った。前段の重合触媒の混合および重合反応は、135℃で行われた。
次に、この重合反応混合物に1質量%のMg0.75Al0.25O1.125を含む135℃のイオン吸着体とトリオキサンからなる混合物(I)を、毎時26g連続的にパイプ型リアクターに供給した。重合反応混合物とMg0.75Al0.25O1.125を含む135℃のイオン吸着体とトリオキサンとの混合物(I)は均一混合され、カチオン性重合触媒の触媒活性を失活させた。
重合反応混合物中のカチオン性重合触媒を失活化させた後、フラッシュポットから蒸発させたトリオキサンを含む揮発性成分を蒸発させ、120℃加圧条件下で液化させ、この液化物を再度135℃の温度に加温し重合系に供給し、トリオキサンと混合させリサイクさせた。
未反応のトリオキサンの除去・回収部に引き続いて、重合反応混合物を180℃に加熱されたパイプ型リアクターの末端不安定部の除去工程部に導入した。この工程の入り口か
ら毎時6gのトリエチルアミン/水(1/4質量比)を供給した。末端不安定部の除去工程部の滞留時間は、7分であった。ここで得られた溶融状態の重合反応混合物を2軸の押出機に導入し、ホルムアルデヒド、トリオキサンを含む揮発性成分を減圧条件下で除去し、ポリアセタール樹脂を得た。この重合体を230℃の真空下で60分加熱した。
得られた重合体の加熱後のポリマー残量は、加熱前の99.7質量%であり、190℃でのメルトインデクッス値は、20g/10minであった。
Claims (4)
- トリオキサンの重合、もしくはトリオキサンと環状ホルマールとの共重合を一般式R1OCH2OR2(R1,R2は炭素数8以下のアルキル基)で示される化合物の存在下で、ヘテロポリ酸、もしくはその酸性塩からなるカチオン性重合触媒を用いて、重合温度を130℃〜200℃とし、加圧条件下で連続的に重合反応を行い、得られた溶融状態の重合体を含む重合反応混合物に、以下の(1)及び/又は(2)のイオン吸着体と、(3)該イオン吸着体の混合媒体とからなる混合物(I)を連続的に添加混合し、カチオン性重合触媒を吸着させることにより触媒活性を失活化させることを特徴とするポリアセタール樹脂の製造方法。
(1)アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物より選ばれる少なくとも1種の酸化物と、3価および4価元素の酸化物より選ばれる少なくとも1種の酸化物よりなる2種以上の酸化物を主成分とするイオン吸着体、
(2) 一般式(A)
(M1)1−x(M2)x(OH)2An− x/n・mH2O (A)
(式中、M1はアルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種の2価金属を示し、M2は3価金属を示し、An−は、n価のアニオンを示す。また、xは0<x≦0.5であり、mは正の数である。)で表されるイオン吸着体、
(3)トリオキサン、ポリアセタール樹脂コポリマー又はトリオキサンとポリアセタール樹脂コポリマーの混合物からなるイオン吸着体の混合媒体。 - カチオン性重合触媒を吸着させることにより失活せしめた後に、トリオキサンを含む揮発性成分を蒸発させ、この揮発性成分を冷却して液体状態にした後、この液体成分を重合系に回し重合成分として再利用することを特徴とする特許請求1記載のポリアセタール樹脂の製造方法。
- 重合体のポリマー末端に存在する不安定末端を除去する工程を更に有することを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂の製造方法。
- 前記イオン吸着体が、生成重合体に対して0.001質量%以上1.0質量%以下の範囲で添加混合させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂の製造方法。
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