JP2014095000A - ポリアセタール共重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリアセタール共重合体を製造するにあたり、触媒の失活が簡易かつ効率的にし、洗浄工程も不要な設備及び運転技術としてもシンプルなプロセスで、高い重合収率かつ高い品質を実現する。
【解決手段】本発明は、トリオキサンを主モノマー(a)とし、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマー(b)とする、ポリアセタール共重合体の製造方法である。この方法は、重合触媒(c)に所定のヘテロポリ酸を使用して共重合を行い、反応生成物に所定のグアニジン塩(d)を添加し、溶融混練処理して、重合触媒(c)を失活させる。上記ヘテロポリ酸は、リンモリブデン酸、リンタングステン酸等から選択されることが好ましく、上記グアニジン塩(d)は、炭酸グアニジン又は重炭酸アミノグアニジンから選択されることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、トリオキサンを主モノマー(a)とし、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマー(b)とする、ポリアセタール共重合体の製造方法である。この方法は、重合触媒(c)に所定のヘテロポリ酸を使用して共重合を行い、反応生成物に所定のグアニジン塩(d)を添加し、溶融混練処理して、重合触媒(c)を失活させる。上記ヘテロポリ酸は、リンモリブデン酸、リンタングステン酸等から選択されることが好ましく、上記グアニジン塩(d)は、炭酸グアニジン又は重炭酸アミノグアニジンから選択されることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明はポリアセタール共重合体の製造方法に関する。
従来、ポリアセタール共重合体の製造法として、トリオキサンを主モノマーとし、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとするカチオン共重合が知られている。これら共重合に用いるカチオン活性触媒としては、ルイス酸、殊にホウ素、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物、例えば三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素及び五フッ化アンチモン、及びその錯化合物又は塩の如き化合物;プロトン酸、例えば、パークロル酸;プロトン酸のエステル、殊にパークロル酸と低級脂肪族アルコールとのエステル、例えばパークロル酸−3級ブチルエステル;プロトン酸の無水物、特にパークロル酸と低級脂肪族カルボン酸との混合無水物、例えばアセチルパークロラート、或いは又トリメチルオキソニウムヘキサフルオルホスファート、トリフェニル−メチルヘキサフルオルアルゼナート、アセチルテトラフルオルボラート、アセチルヘキサフルオルホスファート及びアセチルヘキサフルオルアルゼナート等が提案されている。中でも三フッ化ホウ素、或いは三フッ化ホウ素と有機化合物、例えばエーテル類との配位化合物は、トリオキサンを主モノマーとする重合触媒として最も一般的であり、工業的にも広く用いられている。
しかしながら、三フッ化ホウ素系化合物等の一般に使用される重合触媒では、重合に比較的多量(例えば全モノマーに対し40ppm又はそれ以上)の触媒を必要とする。このため、重合後の触媒失活処理を十分に行い難く、また、失活化させたとしても触媒に由来する物質が共重合体中に残存し、共重合体の分解が促進される等の問題が生じる場合がある。また、触媒の失活工程はトリエチルアミン等の塩基性化合物を含む多量の水溶液中で行うのが一般的であり、触媒失活後に共重合体を処理液と分離し乾燥すること、処理液中に溶解した未反応モノマーを回収すること等、煩雑な工程を必要とするものであり、経済的にも課題を含むものであった。
このような触媒の失活処理に伴う煩雑さを省くため、生成共重合体に三価のリン化合物を添加する方法(例えば、特許文献1等を参照)やヒンダードアミン化合物を添加する方法(特許文献2等を参照)の提案もなされているが、期待されるほどの効果は得られていない。
これに対し、ヘテロポリ酸を触媒に使用したポリアセタール共重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3等を参照)。また、ヘテロポリ酸を触媒とした共重合により粗ポリアセタール共重合体の調製を行った後、反応生成物にアミノ基又は置換アミノ基を有するトリアジン環含有化合物及びポリアミドから選ばれた少なくとも一種である固体塩基性化合物を添加し、溶融混練処理して触媒の失活化を行うポリアセタール共重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献4等を参照)。この方法によれば、ヘテロポリ酸が高活性であることから極めて少量の触媒量によって重合が可能となり、高品質のポリアセタール共重合体を提供できる。また、実質的に溶液を使用せず、溶融混練処理によって触媒の失活化を行うため、前記のような煩雑な工程を必要とせず、経済性にも優れる。
近年、特に優れた熱安定性を有し、ホルムアルデヒド発生量が極めて少ない高品質のポリアセタール共重合体が求められているが、特許文献1〜4に記載の方法では、その要求に応えることが厳しい状況になってきている。この要求に応えるためには、触媒のより効率的な失活化、そして、触媒失活後の粗ポリアセタール共重合体の不安定末端部のより完全な分解処理による安定化等の更なる改善が求められている。
本発明の目的は、触媒、触媒失活剤、不安定末端処理剤の選択或いはそれらの選択的な組合せによって、触媒の失活が簡易かつ効率的であり、洗浄工程も不要な設備及び運転技術としてもシンプルなプロセスで、重合収率も高く、さらに不安定末端部が極めて少なく、熱的にも極めて安定で、ホルムアルデヒド放出量の極めて少ない、安定化ポリアセタール共重合体を製造する方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成すべく触媒の種類とこれに対応した触媒失活法及び不安定末端処理法について鋭意検討の結果、触媒として下記一般式(1)で示されるヘテロポリ酸を用いると共に、触媒失活及び不安定末端処理のために下記一般式(2)で示されるグアニジン塩を用いて溶融混練処理することにより、触媒の重合活性が高いにもかかわらず、確実に触媒の失活及び不安定末端の低減・安定化させることが可能であり、さらに、設備及び運転技術も容易で上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明は、トリオキサンを主モノマー(a)とし、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマー(b)として、ポリアセタール共重合体を製造するにあたり、重合触媒(c)に下記一般式(1)で示されるヘテロポリ酸を使用して共重合を行い、反応生成物に下記一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)を添加し、溶融混練処理して、重合触媒(c)を失活させる、ポリアセタール共重合体の製造方法である。
(2)また、本発明は、前記コモノマー(b)が1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン又はエチレンオキサイドから選択される少なくとも一種である、(1)記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
(3)また、本発明は、前記ヘテロポリ酸がリンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸又はケイモリブドタングストバナジン酸から選択される少なくとも一種である、(1)又は(2)に記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
(4)また、本発明は、前記グアニジン塩が炭酸グアニジン又は重炭酸アミノグアニジンから選ばれた少なくとも一種である、(1)から(3)のいずれかに記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法である。
(5)また、本発明は、前記主モノマー(a)、前記コモノマー(b)及び前記重合触媒(c)の溶液を、あらかじめ液相状態で混合させた後、重合装置に供給する、(1)から(4)のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
(6)また、本発明は、溶融混練処理による前記重合触媒(c)の失活を酸化防止剤の存在下で行う、(1)から(5)のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
本発明によれば、熱安定性に優れ、ホルムアルデヒド発生量の極めて少ない高品質のポリアセタール共重合体を、簡易な製造工程により、経済的に製造することができる。
また、本発明によれば、従来のウェット式の失活方法と比較してドライ式方法にしたことで、失活工程の簡略化及び洗浄工程が省略されている極めて合理化された工程で、重合触媒の速やかで完全な失活についで不安定末端部の安定化も行うことができる。その結果、触媒に由来する分解、変質等の支障がなく、熱的に安定で、かつ不安定末端部及びホルムアデヒド放出量の極めて少ない優れた品質のポリアセタール共重合体を経済的に製造することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<ポリアセタール共重合体の製造方法>
本発明では、ホルムアルデヒドの環状三量体であるトリオキサンを主モノマー(a)とし、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマー(b)として、ポリアセタール共重合体を製造するにあたり、重合触媒(c)に所定のヘテロポリ酸を使用して共重合を行い、反応生成物に所定のグアニジン塩(d)を添加し、溶融混練処理して、重合触媒(c)を失活させる。
本発明では、ホルムアルデヒドの環状三量体であるトリオキサンを主モノマー(a)とし、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマー(b)として、ポリアセタール共重合体を製造するにあたり、重合触媒(c)に所定のヘテロポリ酸を使用して共重合を行い、反応生成物に所定のグアニジン塩(d)を添加し、溶融混練処理して、重合触媒(c)を失活させる。
[コモノマー(b)]
コモノマー(b)として、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物が使用される。コモノマー(b)として使用する化合物の代表的な例として、例えば、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン等が挙げられる。中でも、重合の安定性から考慮して、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン、エチレンオキシド等が好ましい。さらに、環状エステル、例えばβ−プロピオラクトンや、ビニル化合物、例えばスチロール等も使用できる。また、コモノマーとして、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルの如き、置換基単位を有する単官能の環状エーテルや環状ホルマールを用いることも可能である。さらに、コモノマーとして、アルキレングリコールのジグリシジルエーテルやジホルマールの如き2個の重合性環状エーテル基又は環状ホルマール基を有する化合物、例えば、ブタンジオールジメチリデングリセリルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル等や、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の如き3個以上の重合性環状エーテル基又は環状ホルマール基を有する化合物を用いることもできる。また、分岐構造や架橋構造が形成されたポリアセタール共重合体も本発明の範囲に含まれる。
コモノマー(b)として、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物が使用される。コモノマー(b)として使用する化合物の代表的な例として、例えば、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン等が挙げられる。中でも、重合の安定性から考慮して、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン、エチレンオキシド等が好ましい。さらに、環状エステル、例えばβ−プロピオラクトンや、ビニル化合物、例えばスチロール等も使用できる。また、コモノマーとして、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルの如き、置換基単位を有する単官能の環状エーテルや環状ホルマールを用いることも可能である。さらに、コモノマーとして、アルキレングリコールのジグリシジルエーテルやジホルマールの如き2個の重合性環状エーテル基又は環状ホルマール基を有する化合物、例えば、ブタンジオールジメチリデングリセリルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル等や、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の如き3個以上の重合性環状エーテル基又は環状ホルマール基を有する化合物を用いることもできる。また、分岐構造や架橋構造が形成されたポリアセタール共重合体も本発明の範囲に含まれる。
本発明において、コモノマーとして用いる環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物(b)の量は、全モノマー(主モノマーとコモノマーの合計量)中の割合として0.1〜20モル%であり、好ましくは0.2〜10モル%である。0.1モル%未満では、重合によって生成する粗ポリアセタール共重合体の不安定末端部が増加して安定性が悪くなり、またコモノマー量が過大になると生成共重合体が軟質となり融点の低下を生じて好ましくない。
[重合触媒(c)]
本発明は、上記のようなポリアセタール共重合体の製造において、重合触媒(c)としてヘテロポリ酸を使用することを特徴の1つとする。
本発明は、上記のようなポリアセタール共重合体の製造において、重合触媒(c)としてヘテロポリ酸を使用することを特徴の1つとする。
本発明において、重合触媒(c)として使用するヘテロポリ酸とは、異種の酸素酸が脱水縮合して生成するポリ酸の総称をいい、中心に特定の異種元素が存在し、酸素原子を共有して縮合酸基が縮合してできる単核又は複核の錯イオンを有している。このような異核縮合酸は、下記一般式(1)で表すことができる。
式(1)中、M1はP及びSiより選ばれた一種又は二種の元素から成る中心元素を示す。M2はW、Mo及びVより選ばれた一種以上の配位元素を示す。xは1以上10以下の整数を示し、yは6以上40以下の整数を示し、zは10以上100以下の整数を示し、mは1以上の整数を示し、nは0以上50以下の整数を示す。
上記へテロポリ酸の具体例として、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステントバナジン酸等が挙げられる。中でも、重合の安定性、ヘテロポリ酸自体の安定性から考慮して、である点で、へテロポリ酸は、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸又はリンタングステン酸のいずれか1以上であることが好ましい。
本発明において、上記へテロポリ酸の使用量は、その種類によっても異なり、又、適当に変えて重合反応を調節することができるが、一般には重合されるべきモノマーの総量に対し0.05〜100ppm(以下重量/重量ppmを示す。)の範囲であり、好ましくは0.1〜50ppmである。又、リンモリブデン酸、リンタングステン酸等の如き非常に強く作用するヘテロポリ酸は、0.1〜10ppmの使用量で十分である。この様な少量の触媒でも共重合が可能なことは、触媒による重合体の主鎖分解、解重合等の好ましくない反応を僅少に留め、不安定なホルメート末端基(−O−CH=O)、ヘミアセタール末端基(−O−CH2−OH)等の生成を抑制するのに効果的であり、又、経済的にも有利である。
反応を均一に行うために、重合触媒は、重合に悪影響のない不活性な溶媒で希釈して、主モノマー及び/又はコモノマーに添加して使用することが望ましい。上記不活性な溶媒として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の炭素数1〜10の低分子量カルボン酸と、メタノール、エタノール、1−プロバノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−へキサノール等の炭素数1〜10の低分子量のアルコールが縮合して得られるエステル;アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−へキサノン、メチルイソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン等の炭素数1〜10の低分子量のケトン類が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。工業的な入手しやすさ等も勘案すると、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等が最も好適である。重合触媒は、上記不活性な溶媒に、好適には濃度1〜30重量/重量%で溶解されるが、これに限定されるものではない。また、前述した主モノマー、コモノマー、分子量調節剤等の何れか一種又は複数種の一部量又は全量に、上記重合触媒の所定量を予め混合し、この溶液を重合系に添加して重合を行う方法も好ましい。
[共重合体の調製]
本発明において、重合による粗ポリアセタール共重合体の調製は、従来から公知のトリオキサンの共重合と同様の設備と方法で行うことができる。即ち、バッチ式、連続式、半連続式の何れも可能であり、液体モノマーを用い、重合の進行とともに固体粉塊状のポリマーを得る方法が一般的である。本発明に用いられる重合装置としては、バッチ式では一般に用いられる撹拌機付きの反応槽が使用でき、又、連続式としては、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混合機、2軸パドルタイプの連続混合機、その他、これまでに提案されているトリオキサン等の連続重合装置が使用可能であり、また2種以上のタイプの重合機を組み合わせて使用することもできる。
本発明において、重合による粗ポリアセタール共重合体の調製は、従来から公知のトリオキサンの共重合と同様の設備と方法で行うことができる。即ち、バッチ式、連続式、半連続式の何れも可能であり、液体モノマーを用い、重合の進行とともに固体粉塊状のポリマーを得る方法が一般的である。本発明に用いられる重合装置としては、バッチ式では一般に用いられる撹拌機付きの反応槽が使用でき、又、連続式としては、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混合機、2軸パドルタイプの連続混合機、その他、これまでに提案されているトリオキサン等の連続重合装置が使用可能であり、また2種以上のタイプの重合機を組み合わせて使用することもできる。
重合方法は特に限定されるものではないが、先に提案されているように、トリオキサン、コモノマー及び重合触媒としてのヘテロポリ酸を、あらかじめ液相状態を保ちつつ十分に混合し、得られた反応原料混合液を重合装置に供給して共重合反応を行えば、必要触媒量の低減が可能となり、結果としてホルムアルデヒド放出量のより少ないポリアセタール共重合体を得るのに有利であり、より好適な重合方法である。重合温度は、60〜120℃の温度範囲で行なわれる。
本発明において、上記の主モノマー(a)とコモノマー(b)とを重合してポリアセタール共重合体を調製するにあたり、重合度を調節するため公知の連鎖移動剤、例えばメチラールの如き低分子量の線状アセタール等を添加することも可能である。
また、重合反応は活性水素を有する不純物、例えば水、メタノール、ギ酸等が実質的に存在しない状態、例えばこれらが夫々10ppm以下の状態で行うのが望ましく、このためには、これらの不純物成分を極力含まないように調製されたトリオキサン、環状エーテル及び/又は環状ホルマールを、主モノマーやコモノマーとして使用するのが望ましい。
[グアニジン塩(d)]
本発明は、上記のように共重合して得られ、重合触媒を含有すると共に、その末端に不安定な部分を有するポリアセタール共重合体(粗共重合体)に、下記一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)を添加し、溶融混練して、重合触媒の失活を行うと共にポリアセタール共重合体(粗共重合体)が有する不安定末端基を低減して安定化することを特徴とする。かかる安定化処理は、共重合反応によって得られた粗ポリアセタール共重合体を、洗浄等を行うことなく、そのまま一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)を添加して処理することにより、より簡便かつ効率的に行うことができる。
本発明は、上記のように共重合して得られ、重合触媒を含有すると共に、その末端に不安定な部分を有するポリアセタール共重合体(粗共重合体)に、下記一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)を添加し、溶融混練して、重合触媒の失活を行うと共にポリアセタール共重合体(粗共重合体)が有する不安定末端基を低減して安定化することを特徴とする。かかる安定化処理は、共重合反応によって得られた粗ポリアセタール共重合体を、洗浄等を行うことなく、そのまま一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)を添加して処理することにより、より簡便かつ効率的に行うことができる。
なお、本明細書では、グアニジン塩(d)の化学式を上記一般式(2)のように記載するが、グアニジン塩(d)が下記一般式(2’)に示すように共鳴安定化されている場合も本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
上記グアニジン塩(d)の具体例として、炭酸グアニジン又は重炭酸アミノグアニジンから選ばれた少なくとも一種であるが挙げられる。グアニジン塩(d)は、一種類であってもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
上記グアニジン塩(d)の含有量は、粗ポリアセタール共重合体1kgに対し、グアニジン骨格(R1〜R5は水素とした)に換算して、一般的には0.005〜3.5mmol、好ましくは0.01〜3.0mmol、特に好ましくは0.02〜2.5mmolであるが、触媒量(特に、ポリマー中に残存する触媒量)や、重合の諸条件によって生じる不安定末端基の種類や量に応じて適宜その添加量を変えるのが好ましく、使用するグアニジン塩(d)の活性の程度や処理条件(温度、時間、接触速度等)によってもその添加量を調整するのが望ましい。
[触媒の失活処理]
本発明においては、重合後、触媒の失活処理を行うにあたり、未反応モノマーが少ない程好ましく、未反応モノマー(主モノマーとコモノマーとの合計を示す)は粗共重合体中に10重量%以下、さらに5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下である。これにより、重合によって生成した粗ポリアセタール共重合体を、洗浄を行うことなく処理するという、本発明の特に望ましい態様を達成することができる。未反応モノマーを低減するには、一般には重合率を一定以上に上げればよく、これは本発明の場合、使用する触媒の量と重合時間(連続式においては滞留時間)を適宜調節することにより容易に達成され、活性が高いヘテロポリ酸触媒を使用するので少量の触媒でも比較的短時間に達成することができる。又、共重合反応後、一部の残存モノマーを蒸発、気化させて除去し、所定の残存モノマー量になるようにしてもよい。なお、共重合中又は共重合後、気体として回収された未反応トリオキサン及びコモノマーは液化したりして、そのまま原料モノマーの一部として再使用することも可能であり、この場合はより経済的である。
本発明においては、重合後、触媒の失活処理を行うにあたり、未反応モノマーが少ない程好ましく、未反応モノマー(主モノマーとコモノマーとの合計を示す)は粗共重合体中に10重量%以下、さらに5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下である。これにより、重合によって生成した粗ポリアセタール共重合体を、洗浄を行うことなく処理するという、本発明の特に望ましい態様を達成することができる。未反応モノマーを低減するには、一般には重合率を一定以上に上げればよく、これは本発明の場合、使用する触媒の量と重合時間(連続式においては滞留時間)を適宜調節することにより容易に達成され、活性が高いヘテロポリ酸触媒を使用するので少量の触媒でも比較的短時間に達成することができる。又、共重合反応後、一部の残存モノマーを蒸発、気化させて除去し、所定の残存モノマー量になるようにしてもよい。なお、共重合中又は共重合後、気体として回収された未反応トリオキサン及びコモノマーは液化したりして、そのまま原料モノマーの一部として再使用することも可能であり、この場合はより経済的である。
また、必要に応じて、従来公知の触媒失活剤や不安定末端の分解処理剤を上記グアニジン塩(d)と併用することができる。
本発明において、失活剤・安定化処理剤として機能する一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)の添加は、粗ポリアセタール共重合体の溶融前又は溶融後のいずれの段階で行ってもよく、その両方の段階で行ってもよい。また、一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)の添加方法としては分割し、多段で供給してもよい。
なお、溶融前の粗共重合体に失活・安定化処理剤としての一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)を添加する方法としては、粗共重合体に対して所定量、できるだけ均一に添加した後に混合する。混合には、水平円筒型、V型、リボン型、パドル型、高速流動型等の一般的な混合機を用いることができる。なお、混合物はそのまま溶融処理しても、加熱、減圧等により溶媒を留去した後溶融処理してもよい。また、失活・安定化剤溶液を、押出機のフィード口及び/又は途中からインジェクション等により供給したりしてもよい。この際、失活・安定化剤溶液を、多段で分割供給してもよい。
粗共重合体を溶融させた後に、失活・安定化剤を溶融状態のポリアセタール樹脂に添加する方法としては、上記失活・安定化剤と溶媒を別々にもしくは溶液にしてフィード及び/又はインジェクションすることができる。
また、一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)を水に溶解させ、水溶液として粗共重合体に加えてスラリーとし、濾過、乾燥して粗共重合体に失活・安定化剤を付着させる方法で処理剤を添加することもできる。
また、失活・安定化処理剤として一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)を添加する場合に、粗共重合体が細かな粉粒体であることが好ましく、このためには反応機が塊状重合物を十分粉砕する機能を有するものが好ましいが、重合後の反応物を別に粉砕機を用いて粉砕してもよい。失活処理における粗共重合体の粒度は、少なくとも90重量%以上が10mm以下、好ましくは4mm以下、さらに好ましくは2mm以下である。
溶融混練処理装置については特に限定されないが、溶融した共重合体を混練する機能を有し、好ましくはベント機能を有するものであり、例えば、少なくとも1つのベント孔を有する単軸又は多軸の連続押出し混練機、コニーダー等が挙げられる。本発明はこの溶融混練処理において、重合触媒の完全な失活及び不安定末端部の低減安定化が行なわれる。溶融混練処理は、共重合体の融点以上260℃までの温度範囲が好ましい。260℃より高いと重合体の分解劣化が生じ好ましくない。
本発明において、上記の溶融混練処理は酸化防止剤の存在下で行うことが好ましい。酸化防止剤としては、従来のポリアセタール樹脂の安定剤として公知の物質、例えば各種のヒンダードフェノール系酸化防止剤等が用いられる。例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−へキサンジオール−ビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシナマミド)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス〔2−{(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1’−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン等が例示される。尚、これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤は、その一部又は全部を重合前の主モノマー又はコモノマー中に予め添加して重合させてもよく、これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤は添加量が特に過大でない限り重合触媒の活性に悪影響はなく、好ましい実施態様の一つである。
さらに、この段階で必要に応じ、各種のポリアセタール樹脂の安定剤として公知の物質を添加しても何ら差し支えない。さらに、例えばガラス繊維の如き無機充填剤、結晶化促進剤(核剤)、離型剤、抗酸化剤等を添加してもよい。
上記のように、粗共重合体に失活・安定化処理剤として一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)を添加し、溶融混練処理した後、通常、分解して生じたホルムアルデヒドガス、未反応モノマー、オリゴマー、失活・安定化剤等が押出機のベント部より減圧下で除去され、ペレット等に成形されて樹脂加工用の製品となる。ペレットは必要に応じて乾燥される。乾燥する場合、例えば、135℃、4時間程度乾燥させる。
以下、実施例及び比較例を示し具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜6>
[主モノマー(a)であるトリオキサンと、コモノマー(b)である環状エーテル及び/又は環状ホルマールとの共重合]
重合反応装置として連続式二軸重合機を用いた。この重合機は、外側に加熱用又は冷却用の媒体を通すためのジャケットが付いており、その内部には撹拌、推進用の多数のバドルを付した2本の回転軸が長手方向に設けられている。この二軸重合機のジャケットに80℃の温水を通し、2本の回転軸を一定の速度で回転させながら、その一端に、連鎖移動剤としてのメチラールを1200ppm含有する、主モノマー(a)としてのトリオキサン96.5重量%と、表1に示すコモノマー(b)3.5重量%とを含有する混合液を連続的に供給するとともに、上記混合液に、重合触媒(c)として、表1に示すヘテロポリ酸を0.3重量%含む蟻酸メチル溶液を、全モノマーに対して表1に示した量で連続添加して共重合を行った。表1において、重合触媒の添加量は全モノマーの合計に対する重量比率(単位:ppm)である。
[主モノマー(a)であるトリオキサンと、コモノマー(b)である環状エーテル及び/又は環状ホルマールとの共重合]
重合反応装置として連続式二軸重合機を用いた。この重合機は、外側に加熱用又は冷却用の媒体を通すためのジャケットが付いており、その内部には撹拌、推進用の多数のバドルを付した2本の回転軸が長手方向に設けられている。この二軸重合機のジャケットに80℃の温水を通し、2本の回転軸を一定の速度で回転させながら、その一端に、連鎖移動剤としてのメチラールを1200ppm含有する、主モノマー(a)としてのトリオキサン96.5重量%と、表1に示すコモノマー(b)3.5重量%とを含有する混合液を連続的に供給するとともに、上記混合液に、重合触媒(c)として、表1に示すヘテロポリ酸を0.3重量%含む蟻酸メチル溶液を、全モノマーに対して表1に示した量で連続添加して共重合を行った。表1において、重合触媒の添加量は全モノマーの合計に対する重量比率(単位:ppm)である。
[重合触媒(c)の失活]
共重合による反応生成物は、重合機の他端に設けられた吐出口より排出し、触媒の失活のために表1に示した一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)を添加した。次いで、酸化防止剤としてとしてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェール)プロピオネート〕0.3重量%を添加し、ベント付き2軸押出機を用いて温度220℃、ベント部の真空度5mmHgで溶融混練して押し出し、実施例1〜12に係るポリアセタール共重合体のペレットを調製した。
共重合による反応生成物は、重合機の他端に設けられた吐出口より排出し、触媒の失活のために表1に示した一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)を添加した。次いで、酸化防止剤としてとしてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェール)プロピオネート〕0.3重量%を添加し、ベント付き2軸押出機を用いて温度220℃、ベント部の真空度5mmHgで溶融混練して押し出し、実施例1〜12に係るポリアセタール共重合体のペレットを調製した。
<比較例1>
重合触媒として三フッ化ホウ素ブチルエーテラート0.5重量%のシクロヘキサン溶液を使用し、失活剤として、公知のトリフェニルホスフインを使用したこと以外は、実施例1と同じ方法にて、比較例1に係るポリアセタール共重合体のペレットを調製した。なお、重合触媒が三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートである場合、重合触媒の添加量は三フッ化ホウ素(BF3)としての値である。
重合触媒として三フッ化ホウ素ブチルエーテラート0.5重量%のシクロヘキサン溶液を使用し、失活剤として、公知のトリフェニルホスフインを使用したこと以外は、実施例1と同じ方法にて、比較例1に係るポリアセタール共重合体のペレットを調製した。なお、重合触媒が三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートである場合、重合触媒の添加量は三フッ化ホウ素(BF3)としての値である。
<比較例2>
重合触媒として三フッ化ホウ素ブチルエーテラート0.5重量%のシクロヘキサン溶液を用い、実施例1と同様に重合を行った。吐出口より排出された反応生成物をトリエチルアミン0.1重量%水溶液中に導入して反応生成物20重量%を含むスラリーを調製し、80℃で1時間撹拌して触媒の失活処理を行った後、ろ過し、100℃で1時間乾燥した。次いで酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−1−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量%を添加することで、比較例2に係るポリアセタール共重合体のペレットを調製した。
重合触媒として三フッ化ホウ素ブチルエーテラート0.5重量%のシクロヘキサン溶液を用い、実施例1と同様に重合を行った。吐出口より排出された反応生成物をトリエチルアミン0.1重量%水溶液中に導入して反応生成物20重量%を含むスラリーを調製し、80℃で1時間撹拌して触媒の失活処理を行った後、ろ過し、100℃で1時間乾燥した。次いで酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−1−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量%を添加することで、比較例2に係るポリアセタール共重合体のペレットを調製した。
<比較例3>
表1に示す種類及び量のヘテロポリ酸を使用し、実施例1と同様にして重合を行った。吐出口より排出された反応生成物は、比較例2と同様にしてスラリー状態で処理し、さら
に酸化防止剤を添加して押出を行った。これにより、比較例3に係るポリアセタール共重合体のペレットを調製した。
表1に示す種類及び量のヘテロポリ酸を使用し、実施例1と同様にして重合を行った。吐出口より排出された反応生成物は、比較例2と同様にしてスラリー状態で処理し、さら
に酸化防止剤を添加して押出を行った。これにより、比較例3に係るポリアセタール共重合体のペレットを調製した。
<評価>
実施例及び比較例に係るポリアセタール共重合体のペレットを135℃、4時間の条件で乾燥した後、メルトインデックス(MI)、アルカリ分解率及びホルムアルデヒド放出量を測定した。
実施例及び比較例に係るポリアセタール共重合体のペレットを135℃、4時間の条件で乾燥した後、メルトインデックス(MI)、アルカリ分解率及びホルムアルデヒド放出量を測定した。
[メルトインデックス(MI)の評価]
メルトインデックス測定装置Melt Indexer L202型(株式会社タカラサーミスタ社製)を用いて荷重2.16kg、温度190℃、7分の条件で測定したときの値をメルトインデックス(g/10min)とした。結果を表2に示す。本実施例では、メルトインデックス(MI)を分子量に対応する特性値とした。すなわち、MIが低いほど分子量が高いと判断し、MIが高いほど分子量が低いと判断した。本実施例では、MIが10g/10min未満である場合は、重合触媒の失活が十分に行われていると判断し、MIが10g/10min以上である場合は、重合触媒の失活が十分に行われていないと判断した。
メルトインデックス測定装置Melt Indexer L202型(株式会社タカラサーミスタ社製)を用いて荷重2.16kg、温度190℃、7分の条件で測定したときの値をメルトインデックス(g/10min)とした。結果を表2に示す。本実施例では、メルトインデックス(MI)を分子量に対応する特性値とした。すなわち、MIが低いほど分子量が高いと判断し、MIが高いほど分子量が低いと判断した。本実施例では、MIが10g/10min未満である場合は、重合触媒の失活が十分に行われていると判断し、MIが10g/10min以上である場合は、重合触媒の失活が十分に行われていないと判断した。
[アルカリ分解率(不安定部分の存在量)の評価]
実施例及び比較例における共重合体ペレットを粉砕し、その約1gを精秤し、0.5重量%の水酸化アンモニウムを含む50%メタノール水溶液100mLと共に密閉可能な容器に入れて密閉し、180℃で45分間加熱した後、液中に分解溶出したホルムアルデヒドの量を定量分析した。結果を表2に示す。アルカリ分解率は、共重合体ペレット100重量%に対する割合(単位:%)で示す。
実施例及び比較例における共重合体ペレットを粉砕し、その約1gを精秤し、0.5重量%の水酸化アンモニウムを含む50%メタノール水溶液100mLと共に密閉可能な容器に入れて密閉し、180℃で45分間加熱した後、液中に分解溶出したホルムアルデヒドの量を定量分析した。結果を表2に示す。アルカリ分解率は、共重合体ペレット100重量%に対する割合(単位:%)で示す。
[ホルムアルデヒド放出量の評価]
実施例及び比較例における試料を200℃に保ったシリンダーに充填して、5分間で溶融後、溶融物をシリンダーから密閉容器内に押出した。この密閉容器に窒素ガスを流し、出てきた窒素ガスに含まれるホルムアルデヒドを水に溶かして捕集し、水中のホルムアルデヒド濃度を測定することにより、溶融物から放出されたホルムアルデヒドの重量を求めた。このホルムアルデヒド重量を溶融物の重量で除してホルムアルデヒド放出量(単位ppm)とした。結果を表2に示す。
実施例及び比較例における試料を200℃に保ったシリンダーに充填して、5分間で溶融後、溶融物をシリンダーから密閉容器内に押出した。この密閉容器に窒素ガスを流し、出てきた窒素ガスに含まれるホルムアルデヒドを水に溶かして捕集し、水中のホルムアルデヒド濃度を測定することにより、溶融物から放出されたホルムアルデヒドの重量を求めた。このホルムアルデヒド重量を溶融物の重量で除してホルムアルデヒド放出量(単位ppm)とした。結果を表2に示す。
本発明は、重合触媒が上記一般式(1)で示されるヘテロポリ酸であり、このヘテロポリ酸の失活剤が上記一般式(2)で示されるグアニジン塩(d)であるため、極めて少量で高重合収率が得られ、しかも重合後、粗共重合体に上記グアニジン塩を添加し、溶融混練するだけで簡単に、極めて高品質のポリアセタール共重合体を製品として提供できることが確認された(実施例1〜6)。
また、重合触媒が三フッ化ホウ素系である場合、触媒量が多いために失活を完了させるのに多数の工程を必要とするだけでなく、その失活処理後も触媒に由来する物質による分解等の有害な作用を避け難いことが確認された(比較例1及び2)。また、重合触媒の失活剤がトリエチルアミンである場合、実施例ほど十分に重合触媒を失活させることができないとともに、アルカリ分解率が高く、実施例に比べてポリアセタール共重合体の品質が劣ることが確認された(比較例2及び3)。また、重合触媒の失活剤がトリエチルアミンである場合、トリエチルアミン水溶液を多量に使うため、触媒失活後に共重合体を処理液と分離し乾燥すること、処理液中に溶解した未反応モノマーを回収すること等、煩雑な工程を必要とするものであり、経済的にも課題を残す。
Claims (6)
- 前記コモノマー(b)は、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン又はエチレンオキサイドから選択される少なくとも一種である、請求項1記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
- 前記ヘテロポリ酸は、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸又はケイモリブドタングストバナジン酸から選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
- 前記グアニジン塩は、炭酸グアニジン又は重炭酸アミノグアニジンから選ばれた少なくとも一種である、請求項1から3のいずれかに記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
- 前記主モノマー(a)、前記コモノマー(b)及び前記重合触媒(c)の溶液を、あらかじめ液相状態で混合させた後、重合装置に供給する、請求項1から4のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
- 溶融混練処理による前記重合触媒(c)の失活を酸化防止剤の存在下で行う、請求項1から5のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
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-
2012
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