JP5586295B2 - 幼児用乗物 - Google Patents
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このような構成の操舵機構を備えている幼児用乗物では、保護者用ハンドルを直進走行方向から左右何れかの方向に操舵すると、それに連動して後側回動部が回動する。後側回動部が回動することによって、一方側のプッシュプルワイヤが前方へ押し出され、他方側のプッシュプルワイヤが後方へ牽引される。すると、前側回動部は、他方側のプッシュプルワイヤの後方への牽引方向に回動される。これにより、乗物の操作ハンドルは、保護者が操舵した方向と同じ左右何れかの方向に操舵される。
そして、一対のプッシュプルワイヤは、それぞれの後端側を、後側回動部の外周一方側(車体幅方向一方側)からと、外周他方側(車体幅方向他方側)から後側回動部にそれぞれ沿わせてその後端部を後側回動部に連結している一方、それぞれの前端側を、前側回動部の外周一方側からと、外周他方側からそれぞれ沿わせてその前端部を前側回動部に連結している。
つまり、従来技術では、前記したように、保護者用ハンドル側と乗物の操作ハンドル側との双方に、一対のプッシュプルワイヤのそれぞれの後端側と前端側を連結させて連動させる後側回動部と前側回動部をそれぞれ備えている構成を採用しているために、構成部品数が多くなり、生産コストが高くなる。
また、構成部品数などによる生産コストの高騰を招く他の要素として、一対のプッシュプルワイヤの長さ(後側回動部と前側回動部との連結長さ)を調整するための長さ調整具、例えば、ブレーキワイヤなどにおいて一般に使用されているねじ込み式などの長さ調整具を必要とする点が挙げられる。
つまり、一対のプッシュプルワイヤは、ブレーキワイヤなどと同じく、使用によって伸びが発生するために、長さを調整する必要がある。従来技術では、後側回動部と前側回動部とを連結する一対のプッシュプルワイヤのそれぞれ途中部位などに長さ調整具を設けて、長さを調整するようにしている。この調整は、長期間使用しても保護者用ハンドルによる車体の操舵安定性を保つものである。
また、特許文献2に記載の操舵機構(操舵システム)の場合では、回動部に備えられている車体幅方向両側の突出部(ガイド部)において、図3に示す直進走行時においても一対のプッシュプルワイヤは屈折されており、特に、左右の何れかの方向に操舵されたときには、図5に示されているように屈折角が略90°近くになるなど、当該部分には局部的に集中して張力が掛かることとなって短期間で破断に至るおそれがある。
つまり、ワイヤはその特性から引張応力や荷重応力に対しては強靭であるが、曲げ方向の応力に対しては劣る弱点がある。
前記操舵機構は、前記車体の後部側に設けられ、前記保護者用ハンドルのハンドル支軸と連動して回動する回動筒部と、平面視で略円盤形状の回動部材と、この回動筒部と、前記操作ハンドルと連動して回動する回動軸部とを連結する一対のプッシュプルワイヤとを備え、前記一対のプッシュプルワイヤは、後端側を、前記回動筒部の外周に、車体幅方向の両側から巻き付けるように沿わせて、その後端部を前記回動筒部にそれぞれ連結する一方、前端側を、前記操作ハンドルの操作と連動して回動する回動軸部の外周に、車体幅方向の両側から巻き付けるように沿わせて、その前端部を前記回動軸部にそれぞれ連結してなり、さらに、前記一対のプッシュプルワイヤの前記前端部は、前記回動軸部に端部連結手段を介して連結され、前記端部連結手段は、前記回動軸部の外周に固定されて、該回動軸部と連動して回動する固定部材と、この固定部材に重ねられた状態で前記回動軸部の外周に回転可能で、かつ、前記固定部材に連結可能と成して、前記一対のプッシュプルワイヤのそれぞれの前記前端部が固定される上下一対の可動部材とからなり、前記上下一対の可動部材は、前記回動軸部の外周両側に巻き付けるように沿わされた前記一対のプッシュプルワイヤの前記前端側を、さらに前記回動軸部の外周前側において巻き付け交差させた状態でその前端部を車体幅方向の両側外方に向けてそれぞれ連結する平面視形状に形成されていることを特徴とする。
前記ハンドル支軸は、下端側にテーパ面部と、このテーパ面部より上部位置にロック溝と、を備え、前記ハンドル支持兼操舵部は、前記ハンドル支軸の下端側が挿入されたときに、該ハンドル支軸と係脱自在に連繋せしめて同ハンドル支軸と連動して回動する前記回動筒部と、前記ハンドル支軸の下端側を係脱自在にロックするロック手段とを備え、前記回動筒部は、外周に平面視で略円盤形状の回動部材を固着備えて、この回動部材の外周に、前記一対のプッシュプルワイヤの後端側を車体幅方向の両側からそれぞれ巻き付けるように沿わせて連結し、前記ロック手段は、前記回動筒部の軸芯と直交する方向からスライド前進させて前記ロック溝に係脱自在に係止させるロック部材と、このロック部材を前記ロック溝に対する係止方向に常時付勢する弾発部材とからなり、前記ロック部材は、前記ハンドル支軸の下端側が前記回動筒部に挿入されたときに、前記テーパ面部が当接して前記弾発部材に抗して前記ロック部材をスライド後退させるとともに、前記ロック溝に係脱自在に係止させる係止縁部と、前記弾発部材に抗して前記ロック部材をスライド後退させるロック解除操作部とを備えていることを特徴とする。
このとき、操作ハンドルと連動して回動する回動軸部の外周に、車体幅方向の両側から巻き付けるように沿わせて前端部が連結されている一対のプッシュプルワイヤの前端側は、車体の直進時における回動軸部の外周に沿う巻き付け円周範囲と変わらぬ巻き付け円周範囲で回動軸部の外周に沿う。つまり、直進のときと、左右何れかの方向に操舵されたときにおいても、一対のプッシュプルワイヤの前端側の回動軸部の外周に沿う巻き付け円周範囲は殆ど変わらない。
保護者用ハンドルを車体から取り外すときには、ロック解除操作部によってロック部材を弾発部材に抗してスライド後退させて、ロック溝に対する係止縁部の係止ロック状態を解除することで、ハンドル支軸を回動筒部(ハンドル支持兼操舵部)から引き抜いて保護者用ハンドルを車体から取り外すことができる。
しかも、保護者用ハンドルの操舵による直進、左右何れか方向へ進行方向を変えた場合においても一対のプッシュプルワイヤが屈折するおそれがないことで、一対のプッシュプルワイヤの破断を防止することができる。
図1は、本実施形態に係る幼児用乗物を示す側面図である。
なお、幼児用乗物としては、一般に知られている三輪車や二輪車などの幼児用自転車、そして足踏みペダルを備えている四輪車(自動車)などを挙げることができる。本実施形態では、図1に示すように、補助輪を備えている幼児用二輪車の場合を一例として説明する。
幼児用二輪車Aは、図1に示すように、車体1と、車体1の前部に取り付けられる操作ハンドル2および前輪3と、車体1の後部に取り付けられる後輪4と、車体1の前後略中央部位に位置して下部側に取り付けられるペダル5、その上部側に取り付けられるサドル6とを備えて構成されている。
また、幼児用二輪車Aは、車体1幅方向の後輪4の両側に補助輪7を備えている。
つまり、前輪フォーク支軸8は、操作ハンドル2と連動して所定の範囲で回動する回動軸部であり、ハンドルボス1bの下端開口部側から挿入させることで、ハンドルボス1b内においてハンドル支軸2aに同軸上に接続されて、操作ハンドル2の操舵に連動して回動するようにハンドルボス1bに支持される。
さらに、幼児用二輪車Aは、保護者用ハンドル10で操作ハンドル2を操舵する操舵機構11を備えている。これにより、保護者が保護者用ハンドル10を操舵することによって、車体1の進行方向を変えることができるようにしている。
図2は、ハンドル支持兼操舵部を部分的に示す拡大縦断面図であり、図3は、同分解斜視図である。
ハンドル支持兼操舵部9は、図1に示すように、車体1のメインフレーム1aに取り付けられて車体1後方に向けた上向き状態にて後輪4前方に位置する車体1の略中央部位に配設されている。
このハンドル支持兼操舵部9は、適宜の太さと長さを有する金属製パイプ材を用いて形成されるケーシング部12と、このケーシング部12の上下開口部に被嵌状に取り付けられる上下のキャップ13,14を備えている。ケーシング部12は、メインフレーム1に溶接などによって取り付けられる。
そして、ハンドル支持兼操舵部9は、保護者用ハンドル10のハンドル支軸10aの下端側が上側キャップ13側からケーシング部12内に同軸芯上に挿入されたときに、ハンドル支軸10aと係脱自在に連繋せしめて同ハンドル支軸10aと連動して回動する回動筒部15と、ハンドル支軸10aの下端側を係脱自在にロックせしめて抜止を図るロック手段とを備えている。
この回動筒部15は、図2に示すように、上下のキャップ13,14によってケーシング部12内に軸芯上に回動可能に支持される。これにより、保護者用ハンドル10を車体1に装着するときに、ハンドル支軸10aの下端側が回動筒部15内にスムーズに挿入されるようにしている。
連繋部17は、ハンドル支軸10aの下端側が回動筒部15内に挿入させたとき、連繋ピン16が回動筒部15の回動方向(外周方向)に対して係脱自在に連繋せしめるものであり、回動筒部15の上部開口部の対向する両縁部から連繋ピン16の軸径よりもやや大きめの開口幅にて筒方向に所定の深さ(長さ)にて側面視で略U字形状に形成されている。
また、回動筒部15は、図に示すように、保護者用ハンドル10の左右双方における操舵回動範囲を規制する規制部18を備えている。
この規制部18は、ケーシング部12の下部開口部に被嵌状に取り付けられる下側のキャップ14側に設けられている左右の規制壁部19へのそれぞれの当接によって、保護者用ハンドル10の左右双方における操舵回動範囲を規制するものであり、図2および図4の(a)に示すように、回動部材30に上下貫通状に取り付けられて回動筒部15の外周の所定部位に位置して設けられるピン部材からなる。
ちなみに、規制部18の左右の規制壁部19への当接による保護者用ハンドル10の操舵回動範囲の規制角度は、図4の(b)に示す直進状態から(c)に示す左右にそれぞれ90°の範囲で、左右双方で180°の操舵回動範囲内である。つまり、保護者用ハンドル10を左右双方で180°の操舵回動範囲内で操舵し得るようにすることができる。
保護者用ハンドル10は、所定の太さ(軸径)を有する長尺なハンドル支軸(押棒)10aを備えている。このハンドル支軸10aの下端側には、図3に示すように、連繋ピン16を備え、さらに、テーパ面部20とロック溝21をそれぞれ備えている。
図5は、ロック手段を部分的に示す縦断面図および横断面図である。ここでは、図3を適宜参照しながら説明する。
ロック手段は、ハンドル支持兼操舵部9の下側のキャップ14側に組み込まれて、ハンドル支軸10aの下端側を係脱自在にロックせしめて抜止を図る。
このロック手段は、ロック部材23と、このロック部材23をハンドル支軸10aのロック溝21に対する係止方向に常時付勢する弾発部材24とからなる。
ロック窓孔23aは、保護者用ハンドル10のハンドル支軸10aの太さと同じか、それよりもやや大きめに開口されているとともに、その開口縁の一部(ロック解除操作部23bと対向する縁部)にハンドル支軸10aのロック溝21に掛脱自在に係止させる直線的な係止縁部25を備えている。
ロック解除操作部23bは、ロック部材23の円弧前端縁から前方突出状に形成されて、図5に示すように、押動キャップ26が取り付けられるようになっている。
これにより、ロック部材23は、ロック解除操作部23bをプレート装着部23−1から下側キャップ14の外周に向けて突出させた状態で回動筒部15の軸芯と直交する方向において弾発部材24によってスライド前進、そして、図5の(a)に示すハンドル支軸10aのテーパ面部20の係止縁部25に対する当接と、図5の(d)および(e)に示すロック解除操作部23bによる押動によってスライド後退する動きをなすようになっている。
つまり、保護者用ハンドル10のハンドル支軸10aの下端側がハンドル支持兼操舵部9内の回動筒部15に挿入され、ハンドル支軸10aの下端テーパ面部20がロック窓孔23aの係止縁部25に当接(接触)したときと、ロック解除操作部23bが押動されたときに、ロック部材23は弾発部材24に抗してスライド後退する。そして、継続するハンドル支軸10aの挿入によってテーパ面部20の係止縁部25への当接が終わり、係止縁部25にハンドル支軸10aのロック溝21が位置すると、スライド部材23は弾発部材24によってスライド前進する。つまり、係止縁部25がロック溝21に係止せしめて、図5の(b)および(c)に示すように、ハンドル支軸10aの抜止を図るロック状態となる。
押動キャップ26は、合成樹脂材料などを用いてロック部材23のロック解除操作部23bの突出形状に沿う大きさに形成されて、図3および図5に示すように、開口両側に設けた係止凸部28を、ロック部材23側に設けられている係止孔部29へ嵌め挿し込むことで、ロック部材23に取り付けられるようになっている。
図6は、操舵機構を示す要部の拡大横断面図である。ここでは、図3を適宜参照しながら説明する。
操舵機構11は、保護者が車体1の後方から保護者用ハンドル10によって操舵することによって、乗り始めて間もない幼児などに代わって車体1の進行方向を操縦するためのものであり、前記したハンドル支持兼操舵部9内の回動筒部15と、操作ハンドル2と連動して回動する前輪フォーク支軸8との間にわたり架け渡すように装着される。
この操舵機構11は、保護者用ハンドル10のハンドル支軸10aと連動して回動する回動部材30と、この回動部材30と、前輪フォーク支軸8とを連結する一対のプッシュプルワイヤ31,32とを備えて構成されている。
また、操舵機構11は、一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端側31a,32aを、前輪フォーク支軸8に連結固定する端部連結手段を備えている。
回動部材30は、図3および図6に示すように、ケーシング部12の内径より小さめで所定の外径と厚さを有する平面視で略円盤形状(略ドーナツ形状)に形成されて、ハンドル支持兼操舵部9内の回動筒部15の外周に溶接やその他の固着手法によって取り付けられるようになっている。
そして、回動部材30は、外周における厚さ内にリング状に連なるガイド溝33を設けて、一対のプッシュプルワイヤ31,32の後端側31b,32bを、車体1幅方向の両側から巻き付けるように沿わせて、その後端部を連結し得るようにしている。
また、回動部材30は、図6に示すように、外周の一部に、ガイド溝33に連通する端部係止部34を設けて、ピン部材35を用いて一対のプッシュプルワイヤ31,32の後端部を回動部材30の外周部に連結するようにしている。ピン部材35は、一対のプッシュプルワイヤ31,32の後端部に固着されている。
なお、端部係止部34は、回動部材30の外周に、該回動部材30を介して取り付けられている規制部18に対し、回動部材30の軸芯を通る対角線上の対向部位において設けられている。つまり、図6に示すように、車体1の直進状態において、回動筒部15の後方(車体1後方)に位置する回動部材30の外周に設けられて、図示省略の止め部材との協同でピン部材35を介して一対のプッシュプルワイヤ31,32の後端部を回転部材30の外周に固定するようにしている。
図7は、前輪フォーク支軸側に取り付けられる操舵機構を示す縦断側面図であり、図8は、同前輪フォーク支軸側の操舵機構を示す分解斜視図である。ここでは、図6を適宜参照しながら説明する。
端部連結手段は、前輪フォーク支軸8の外周に沿わせて巻き付ける一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端側31a,32aの外周巻き付け範囲を、車体1の直進のときと、左右何れかの方向に操舵されたときにおいて殆ど変わらぬ範囲に保つことでき、そして、一対のプッシュプルワイヤ31,32の長さを調整する長さ調整機能を兼ね備えている。
この端部連結手段は、図7および図8に示すように、前輪フォーク支軸8の外周に取り付けられる固定部材36と、この固定部材36に重ねられた状態で前輪フォーク支軸8の外周に回転可能に備えられる上下一対の可動部材37,38とからなる。
連結部37a,38aは、可動部材37,38の中心から所定の円周角度範囲、例えば、略80〜90°角の円周角度範囲にて可動部材37,38の外周に平面視で略円弧形状に形成されている。そして、この連結部37a,38aには、同じく平面視で略円弧形状に開口されたワイヤ長さ調整長孔40,41がそれぞれ備えられている。
端部固定部42,43は、可動部材37,38の外周方向に正対するように形成されているとともに、端部固定孔44を備えて、固定ネジ45とナット46によって一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端部をそれぞれ固定し得るようにしている。
なお、図示を省略しているが、固定ネジ45のネジ部には軸方向と直交する図示省略のワイヤ通し孔が設けられていて、このワイヤ通し孔に一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端側31a.32aを通してナット46を締付けることで、前端部を端部固定部42,43にそれぞれ固定し得るようにしている。
つまり、上下一対の可動部材37,38は、外向き突出状で外周方向に正対させた端部固定部42,43を備えていることで、前輪フォーク支軸8の外周に車体1幅方向両側から巻き付けるように沿わされる一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端側31a,32aを、図6に示すように、さらに前輪フォーク支軸8の外周前側(車体1前方)において巻き付け交差させた状態でその前端部を車体1幅方向の両側外方において固定し得る平面視形状に形成されている。
これにより、上下一対の可動部材37,38を相反する方向、つまり、図6に示す矢印X1方向に上側の可動部材38を、矢印X2方向に下側の可動部材37をそれぞれ回転移動させることで、一対のプッシュプルワイヤ31,32の長さを調整し得るようにしている。そして、上下一対の可動部材37,38側の連結部37a,38aのワイヤ長さ調整長孔40,41から固定部材36側の連結部36aのネジ孔39に固定ネジ47をねじ込み取り付けることで、上下一対の可動部材37,38を固定部材36に締結し得るようにしている。
一対のプッシュプルワイヤ31,32は、ハンドル支持兼操舵部9内の回動筒部15の外周に備えられる回動部材30と前輪フォーク支軸8の外周に備えられる上下一対の可動部材37,38とにわたり両者を連結する長さに形成されている。そして、一対のプッシュプルワイヤ31,32の後端側31b,32bを車体1幅方向の両側外方から回動部材30のガイド溝33に溝両側から溝後側へと巻き付けるように沿わせて、その後端部をピン部材35によって回動部材30に固定する。
一方、一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端側31a,32aのうち、その一方側のプッシュプルワイヤ31の前端側31aを、図6および図7に示すように、前輪フォーク支軸8に固着されている固定部材36の下側において前輪フォーク支軸8の外周一側に車体1幅方向の一側外方から直接巻き付けるように沿わせ、なおかつ、前輪フォーク支軸8の外周前側へとさらに巻き付けるように沿わせて、その前端部を、下側の回動部材37の端部固定部42に固定ネジ45とナット46によって固定する。
そして、他方側のプッシュプルワイヤ32の前端側32aは、上側の回動部材38の上側において前輪フォーク支軸8の外周他側に車体1幅方向の他側外方から直接巻き付けるように沿わせ、なおかつ、前輪フォーク支軸8の外周前側へとさらに巻き付けるように沿わせて、その前端部を、上側の回動部材38の端部固定部43に固定ネジ45とナット46によって固定する。
これにより、一方側のプッシュプルワイヤ31の前端側31aと他方のプッシュプルワイヤ32の前端側32aとは、前輪フォーク支軸8の外周前側において、端部連結手段を挟む下側と上側に分かれた位置関係で交差し、かつ、車体1幅方向の両側外方においてそれぞれの前端部が固定されることで、一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端側31a,32aの前輪フォーク支軸8の外周への外周巻き付け範囲を、図9に示すように、車体1の直進のときと、左右何れかの方向に操舵されたときにおいて殆ど変わらぬ巻き付け範囲に保つことできる。
つぎに、以上のように構成されている操舵機構11を備えた本実施形態に係る幼児用二輪車Aの作用について簡単に説明する。
図9は、操舵機構による操作ハンドル(前輪フォーク支軸)の操舵を概略的に示した平面図である。ここでは、図1、図2、図5を適宜参照しながら説明する。
まず、図1および図2に示すように、保護者用ハンドル10のハンドル支軸10aをハンドル支持兼操舵部9内に挿し込んで、保護者用ハンドル10を斜め上方の車体1後部側に向けた状態に取り付ける。
このとき、ハンドル支軸10aが回動筒部15内に挿入され、回動筒部15の下側に組み込まれているロック部材23の係止縁部25に、ハンドル支軸10aの下端テーパ面部20が当接(接触)することで、図5の(a)に示すように、ロック部材23は弾発部材24に抗してスライド後退する。そして、継続するハンドル支軸10aの挿入によって係止縁部25にハンドル支軸10aのロック溝21が位置することで、図5の(b)および(c)に示すように、スライド部材23は弾発部材24によってスライド前進し、ロック溝21に係止縁部25が係止せしめて、ハンドル支軸10aの抜止を図るロック状態となる。
このとき、図9の(a)に示す直進時における一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端側31a,32aの前輪フォーク支軸8の外周に沿う巻き付け円周範囲、そして、後端側31b,32bの回動部材30のガイド溝33に沿う巻き付け円周範囲と変わらぬ巻き付け円周範囲で前輪フォーク支軸と回動部材の外周に沿う。つまり、図9(a)に示す直進のときと、図9の(b)に示す左右何れかの方向に操舵されたときにおいても、一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端側31a,32aおよび後端側31b,32bの前輪フォーク支軸8の外周および回動部材のガイド溝33に沿うそれぞれの巻き付け円周範囲は殆ど変わらない。
これにより、保護者用ハンドル10の操舵による直進、左右何れか方向へ進行方向を変えた場合においても一対のプッシュプルワイヤ31,32が屈折するおそれがなく、破断のおそれもない。
図10は、操舵機構の他の実施形態を示す横断平面図であり、図11は、同操舵機能の回動部材を回動筒部の外周に取り付けたハンドル支持兼操舵部を部分的に示す斜視図である。
この実施形態に係る操舵機構11−1は、図10に示すように、一対のプッシュプルワイヤ31,32の後端側の回動部材30−1に対する巻き付け形態を、前記実施例詳述の前輪フォーク支軸8の外周に対する一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端側31a,32aの巻き付けと同じく、下側と上側に分かれた位置関係で交差し、かつ、車体1幅方向の両側外方における回動部材30−1の両側にそれぞれの前端部が固定されるようにしている。これ以外の構成要素において前記の実施形態と基本的に同じことから、同じ符合を付することで重複説明は省略する。
そして、上側のガイド溝48に、他方側のプッシュプルワイヤ32の後端側32bを、溝他側から溝後側へと巻き付けるように沿わせ、なおかつ、溝後側から溝一側へとさらに巻き付けるように沿わせて、その後端部を、同溝一側に連通させて設けた端部係止部49にピン部材50を用いて係止せしめて回動部材に固定する。
これにより、図10に示すように、一方側のプッシュプルワイヤ31の後端側31bと他方のプッシュプルワイヤ32の後端側32bとは、回動部材30−1の外周後側(車体1後方側)において、下側と上側に分かれた位置関係で交差し、かつ、車体1幅方向の両側においてそれぞれの後端部が固定される。
例えば、操舵機構11,11−1の一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端側31a,32aを、前輪フォーク支軸8の外周に、前記実施形態詳述の端部連結手段を用いることなく巻き付け連結することができる。
また、操舵機構11,11−1の一対のプッシュプルワイヤ31,32の前端側31a,32aを、操作ハンドル2のハンドル支軸2aの外周に、端部連結手段を介して巻き付け連結することができる。
1 車体
2 操作ハンドル
2a ハンドル支軸
8 前輪フォーク支軸(回動軸部)
9 ハンドル支持兼操舵部
10 保護者用ハンドル
10a ハンドル支軸
11,11−1 操舵機構
15 回動筒部
20 テーパ面部
21 ロック溝
23 ロック部材(ロック手段)
24 弾発部材(ロック手段)
25 係止縁部
30,30−1 回動部材
31,32 プッシュプルワイヤ
31a,32a プッシュプルワイヤの前端側
31b,32b プッシュプルワイヤの後端側
36 固定部材(端部連結手段)
36a 連結部
37,38 可動部材(端部連結手段)
37a,38a 連結部
40,41 ワイヤ長さ調整長孔
Claims (2)
- 車体後部側に保護者用ハンドルを備え、この保護者用ハンドルで車体前部の操作ハンドルを操舵する操舵機構を備えている幼児用乗物であって、
前記操舵機構は、前記車体の後部側に設けられ、前記保護者用ハンドルのハンドル支軸と連動して回動する回動筒部と、
この回動筒部と、前記操作ハンドルと連動して回動する回動軸部とを連結する一対のプッシュプルワイヤと、を備え、
前記一対のプッシュプルワイヤは、後端側を、前記回動筒部の外周に、車体幅方向の両側から巻き付けるように沿わせて、その後端部を前記回動筒部にそれぞれ連結する一方、前端側を、前記操作ハンドルの操作と連動して回動する回動軸部の外周に、車体幅方向の両側から巻き付けるように沿わせて、その前端部を前記回動軸部にそれぞれ連結してなり、
さらに、前記一対のプッシュプルワイヤの前記前端部は、前記回動軸部に端部連結手段を介して連結され、
前記端部連結手段は、前記回動軸部の外周に固着されて、該回動軸部と連動して回動する固定部材と、
この固定部材に重ねられるように前記回動軸部の外周に回転可能で、かつ、前記固定部材に着脱可能に取り付けられて、前記一対のプッシュプルワイヤの前記前端部がそれぞれ連結される上下一対の可動部材と、からなり、
前記上下一対の可動部材は、前記回動軸部の外周両側に巻き付けるように沿わされた前記一対のプッシュプルワイヤの前記前端側を、さらに前記回動軸部の外周前側において巻き付け交差させた状態でその前端部を車体幅方向の両側外方において固定する平面視形状に形成されていることを特徴とする幼児用乗物。 - 前記保護者用ハンドルの前記ハンドル支軸は、車体に備えられているハンドル支持兼操舵部内に下端側を抜き挿し係脱自在となし、
前記ハンドル支軸は、下端側にテーパ面部と、このテーパ面部より上部位置にロック溝と、を備え、
前記ハンドル支持兼操舵部は、前記ハンドル支軸の下端側が挿入されたときに、該ハンドル支軸と係脱自在に連繋せしめて同ハンドル支軸と連動して回動する前記回動筒部と、
前記ハンドル支軸の下端側を係脱自在にロックするロック手段と、を備え、
前記回動筒部は、外周に平面視で略円盤形状の回動部材を固着備えて、この回動部材の外周に、前記一対のプッシュプルワイヤの後端側を車体幅方向の両側からそれぞれ巻き付けるように沿わせて連結し、
前記ロック手段は、前記回動筒部の軸芯と直交する方向からスライド前進させて前記ロック溝に係脱自在に係止させるロック部材と、
このロック部材を前記ロック溝に対する係止方向に常時付勢する弾発部材と、からなり、
前記ロック部材は、前記ハンドル支軸の下端側が前記回動筒部に挿入されたときに、前記テーパ面部が当接して前記弾発部材に抗して前記ロック部材をスライド後退させるとともに、前記ロック溝に係脱自在に係止させる係止縁部と、
前記弾発部材に抗して前記ロック部材をスライド後退させるロック解除操作部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の幼児用乗物。
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