JP5585159B2 - コネクタ、電子装置、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ランドグリッドアレイ(LGA)型パッケージを配線基板に電気接続するコネクタ、該コネクタを含む電子装置、及びその製造方法に関する。
サーバ及びパーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器の高機能化及び高性能化に伴い、多数の端子をパッケージの一方の面に格子状に配置したボールグリッドアレイ(BGA)型又はランドグリッドアレイ(LGA)型の半導体装置が広く使用されている。LGAパッケージは、システムボード等の配線基板上に加圧実装することができる。LGAパッケージの加圧実装は、機械的な接触を利用して電気的に接続されるものであるため、はんだ溶融接合のための高温工程を不要とし、また、半導体装置のリペア作業を容易にする。LGAパッケージの加圧実装においては、一般的に、LGAコネクタ又はLGAインターポーザと呼ばれるコネクタを介して、LGAパッケージのランドと配線基板の電極パッドとの間の電気的な接続が達成される。
図1に、従来のLGAコネクタを含む実装構造の一例を示す。LGAパッケージである半導体装置10がLGAコネクタ30を介してシステムボード20上に搭載されている。LGAパッケージ10及びシステムボード20は、それらの外側に配置された補強板(ボルスタープレート)51とヒートスプレッダ52及びヒートシンクベース53とによって挟まれ、バネ付きネジ54によって締め付けられる。LGAパッケージ10は、パッケージ基板11と、その下面に格子状に配列されたランド12と、半導体チップ13とを有する。システムボード20は、基板21と、その上面に格子状に配列された電極パッド22とを有する。システムボードの電極パッド22は、LGAパッケージのランド12と同様のパターンを有する。なお、実際のサーバやPC等の内部においては一般的に、図1の構成に加えて、放熱フィンを有するヒートシンクや筐体が取り付けられる。
LGAコネクタ30は、支持部材であるフレーム(ソケット等とも呼ばれる)31と、該フレームを貫通し該フレームの両面から突出した複数の接続端子(以下、コラムと称する)40とを有する。コラム40はLGAパッケージのランド12及び配線基板の電極パッド22と同様のパターンに配置されている。コラム40は、導電性フィラーを分散させた導電性ゴムからなり、バネ付きネジ54による加圧によってランド12と電極パッド22との間で圧縮され、これらを電気的に接続することができる。
しかしながら、長期的な加圧及び/又は電子装置の稼動時の発熱によって、コラム40とランド12及び/又は電極パッド22との間の電気接続性が低下してしまい得る。例えば、ゴム材のクリープ等によってコラム40が変形すると、コラム40は半導体チップからの発熱によるLGAパッケージ10及びシステムボード20の反りに追従することができなくなり得る。さらに、LGAパッケージ10及び/又はシステムボード20の反りが増大すると、図2に示すように、コラム40とランド12及び/又は電極パッド22との間にギャップ60が生じ、ランド12と電極パッド22との間の導通を阻害してしまう。
この問題又はその他の問題に関連し、コラムにバネを用いた構成や、コラムにバネとエラストマーとの組み合わせ等の複合部材を用いた構成が知られている。
特表2004−519075号公報 特開2002−100431号公報 特開2004−296301号公報 特開2008−226841号公報
バネ又は複合部材をコラムに用いた既知のコネクタは、しかしながら、以下のような問題を有する。バネなどによる伸縮範囲の拡大によって半導体装置及び/又は配線基板の反りに対する追従性は向上し得るものの、バネを構成する線材の長さ及び細さに起因して抵抗が増大する。また、バネ材自体又は組み合わせるエラストマーにクリープ等による変形が生じ、半導体装置などの形状変化に対する追従性が低下し得る。
よって、半導体装置及び配線基板の形状変化に追従し、加圧実装される半導体装置と配線基板との電気接続性を維持し得る技術が依然として望まれる。
一観点によれば、電気絶縁性のフレ−ムと、フレームから突出した接続端子とを含むコネクタが提供される。フレームに貫通孔が設けられ、貫通孔内に接続端子が配置される。接続端子は、形状記憶合金を含む金属部を備える。
他の一観点によれば、配線基板と、配線基板の上方に設けられた半導体装置と、配線基板と半導体装置とを電気的に接続する接続端子とを有する電子装置が提供される。接続端子は、形状記憶合金を含む金属部を備える。
他の一観点によれば、電子装置の製造方法が提供される。当該方法は、フレ−ムと、該フレームに備えられた貫通孔と、該貫通孔内に配置され且つフレームから突出する接続端子と、を有するコネクタを配線基板上に配置する工程を含む。接続端子は、形状記憶合金を含む金属部を備える。当該方法は更に、コネクタ上に半導体装置を配置し、接続端子を配線基板及び半導体装置と電気的に接続する工程を含む。
半導体装置からの発熱によって半導体装置と配線基板との離間距離が増大するとき、接続端子の金属部が形状記憶効果により伸長することで、接続端子と配線基板及び半導体装置との電気接続性を維持することができる。
従来のLGAコネクタを用いた実装構造を例示する断面図である。 従来のLGAコネクタにおいて見られる問題を模式的に示す断面図である。 第1実施形態に係るLGAコネクタ及び電子装置を例示する断面図である。 コラムの配列パターンを例示する上面図である。 図3のコラム及びその周辺部分を拡大して示す断面図である。 図3のLGAコネクタの効果を模式的に示す断面図である。 金属部の一変形例を示す断面図である。 図3のLGAコネクタの製造方法を例示する断面図である。 第2実施形態に係るLGAコネクタを説明するための断面図である。 図9のLGAコネクタの効果を模式的に示す断面図である。 図9のLGAコネクタの製造方法を例示する断面図である。
以下、添付図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。なお、図面において、種々の構成要素は必ずしも同一の尺度で描かれていない。また、図面全体を通して、同一あるいは対応する構成要素には同一又は類似の参照符号を付する。
(第1実施形態)
先ず、図3及び4を参照して、第1実施形態に従った電子装置100及びコネクタ130の概略構成を説明する。
図3に示すように、電子装置100は、半導体装置110、配線基板120及びコネクタ130を含んでいる。半導体装置110はコネクタ130を介して配線基板120上に搭載されている。そして、半導体装置110及び配線基板120は、それらの外側に配置されたボルスタープレート151と放熱機構(例えば、ヒートスプレッダ152及びヒートシンクベース153)とによって挟まれ、バネ付きネジ154によって締め付けられる。典型的に、電子装置100は3乃至4本のバネ付きネジ154を有する。なお、実際のサーバやPC等の内部において、電子装置100は、例えば、図3の構成に加えて、放熱フィンを有するヒートシンクや筐体を有し得る。
半導体装置110は、パッケージ基板111と、その下面に格子状に配列された複数のパッド(ランド)112と、半導体チップ113とを有する。このような半導体装置はLGAパッケージ等と呼ばれている。LGAパッケージ110はまた、その内部の実装形態に応じて、その他の要素を含み得る。例えば、半導体チップ113がパッケージ基板111にフリップチップ実装される場合、該チップとパッケージ基板111との間にアンダーフィル樹脂が充填され得る。また、半導体チップ113がパッケージ基板111にボンディングワイヤによって接続される場合、該チップ及びボンディングワイヤを封止する封止樹脂等が設けられる。配線基板120は、例えばシステムボードであり、基板121と、その上面に格子状に配列された複数の電極パッド122とを有する。システムボードの電極パッド122は、LGAパッケージのランド112と同様のパターンを有する。一般的に、LGAパッケージのランド112及びシステムボードの電極パッド122は、例えば銅(Cu)めっきにより形成され、表面に金(Au)めっきが施される。
コネクタ130は、支持部材である電気絶縁性のフレーム(ソケット等とも呼ばれる)131と、該フレームを貫通し該フレームの両面から突出した複数の導電性接続端子(以下、コラムと称する)140とを有する。フレーム131は、例えばポリイミド又はガラスクロスを内部に含有する樹脂などを有する。このようなコネクタはLGAコネクタ又はLGAインターポーザ等と呼ばれている。コラム140はフレーム131の面内で、図4の上面図に例示するように、LGAパッケージのランド112及びシステムボードの電極パッド122と同様の2次元パターンに配列されている。故に、コラム140は、バネ付きネジ154による加圧によってランド112と電極パッド122との間に挟持され、相対するランド112と電極パッド122とを電気的に接続することができる。なお、図4に示すように、フレーム131は、コラム140が存在しない部分に開口部131aを有していてもよい。また、例えばコラム数が多い場合など、フレーム131は横方向にバネ付きネジ154を超えて延在し、ネジ154の位置に対応してネジ通過孔を有していてもよい。
続いて、図5の拡大断面図を参照して、LGAコネクタ130が有するコラム140を更に詳細に説明する。
各コラム140は、LGAパッケージ110側に設けられた第1の導電性エラストマー141と、システムボード120側に設けられた第2の導電性エラストマー142と、これら2つのエラストマー間に設けられた金属部143とを有する。金属部143は、フレーム131に形成された貫通孔132に挿通されている。金属部143はまた、フレーム131の厚さより大きい長さを有し、フレーム131のLGAパッケージ側及びシステムボード側の双方から突出している。そして、エラストマー141及び142は、それぞれ、金属部143の突出部を受け入れる挿入孔141a及び142aを有し、該挿入孔の内面で金属部143と接している。また、エラストマー141及び142は例えば円錐の頂部を切断したような外形を有し、それぞれの頂面141b、142bでそれぞれLGAパッケージのランド112、システムボードの電極パッド122と接触する。
第1及び第2のエラストマー141及び142は、例えば銀(Ag)フィラー等の導電性フィラーを分散させた導電性ゴムを含んでいる。また、金属部143は形状記憶合金を含んでいる。故に、各コラム140は、導電性ゴムと形状記憶合金とを連結した複合部材として構成され得る。金属部143の形状記憶合金は、変態点温度を考慮して、例えば、51Ni−49Ti等のニッケルチタン系合金、Cu−Zn−Al等の銅系合金、及びFe−Mn−Si等の鉄系合金などの種々の形状記憶合金から選択し得る。形状記憶合金はまた、温度ヒステリシスが小さいもの及び/又は安価なもの等、その他の点を考慮に入れて選択されてもよい。形状記憶合金は、相変態原理に基づき、マルテンサイト相にあるときは小さな荷重で縮むことができ、変態点温度以上の温度でオーステナイト相(母相)に戻ると、形状記憶効果を発揮して形状回復する。
図6に、このような複合部材として構成されたコラム140を用いることの効果を模式的に示す。図6は、電子装置100の一部を、(a)室温付近、(b)温度上昇時(例えば、80℃付近)の2つの温度域について示している。
室温付近において、形状記憶合金を含む金属部143は、バネ付きネジ154による締め付けによりLGAパッケージ110及びシステムボード120から受ける荷重に応じて圧縮された状態にある。このときの金属部143の長さをL1とする。当然ながら、導電性エラストマー141及び142にも同一の荷重が作用し、エラストマー141及び142はそれぞれLGAパッケージのランド112及びシステムボードの電極パッド122に圧接されている。
電子装置100の稼働時、LGAパッケージ110が含む半導体チップ113の発熱により、LGAパッケージ110、システムボード120及びLGAコネクタ130の温度が上昇し、これらの要素に反りが生じ得る。通常、これらの要素の熱膨張と、バネ付きネジ154による締め付けとにより、図示のように、LGAパッケージ110は上に凸、システムボード120は下に凸の形状に反る傾向にある。故に、LGAパッケージ110とシステムボード120との離間距離が増大する。このとき、形状記憶合金を含む金属部143は、形状記憶効果により、増大した離間距離に追従して長さL2に伸張し(L2>L1)、エラストマー141及び142をそれぞれランド112及び電極パッド122に押し当てるよう作用する。
図6(a)、(b)に示した挙動は、室温付近でマルテンサイト相にあり、且つ反りが発生するような温度上昇時に母相にあるように、形状記憶合金の種類及び組成を選択することにより実現することができる。例えば、金属部143に用いる形状記憶合金の変態点温度を、室温と有意な反りが発生する温度との間の温度、例えば室温と装置設計上の最大動作温度との間の温度、に選択し得る。
斯くして、金属部143を含むコラム140の高さは、形状記憶合金の相変態を利用して、室温付近及び昇温時の双方においてLGAパッケージ110及びシステムボード120の熱変形に追従して変化し得る。故に、コラム140は、ランド112及び電極パッド122との間にギャップが生じることを阻止し、LGAパッケージ110とシステムボード120との間の電気接続性を良好に維持することができる。
また、各コラム140は、導電性エラストマー141及び142を対応するランド112及びパッド122に当接させるため、金属を直接当接させる場合等に見られるランド表面及びパッド表面のAuめっきの損傷を防止することができる。故に、Cuが露出されて酸化することを回避し、この点からも良好な電気接続性の維持に寄与し得る。
図5を再び参照するに、LGAコネクタ130は好ましくは、フレーム131の貫通孔132の内壁に形成された金属膜133を有する。金属膜133は例えばCuめっき膜とし得る。また、LGAコネクタ130は好ましくは、フレーム131のLGAパッケージ110側及びシステムボード120側の双方又は一方の表面に、各貫通孔132を囲む金属パッド134を有する。金属パッド134は例えばAuめっき膜とし得る。存在する場合、金属膜133及びパッド134は連通し、各貫通孔132を取り囲む。
金属膜133又は金属パッド134は、導電性エラストマー141、142及び金属部143を有するコラム140に接触し、LGAパッケージのランド112とシステムボードの電極パッド122との間の導通に寄与する。特に、金属部143の形状記憶合金がその材料及び/又は形状に起因して比較的高い電気抵抗を有する場合、金属膜133及び金属パッド134は、コラム140に寄生する抵抗を有意に低減し、LGAパッケージ110とシステムボード120との間での信号遅延を低減することができる。
なお、本実施形態は、全てのコラム140に形状記憶合金を含む金属部143を設けることに限定されず、一部のコラムのみに金属部143を設けてもよい。一例として、図2及び6(b)に示したような反り形状に対応して、図4に示した格子状のコラム140のうちの内周部のコラムのみに金属部143を設けてもよい。他の一例として、構成要素間の熱膨張係数の不整合などに起因して逆の反り形状が予見される場合、例えば外周部又はコーナー部のコラムのみに金属部143を設けてもよい。
また、金属部143の形状は棒状に限定されず、例えばコイル状又は波板状など、その他の形状を用いてもよい。コイル状又は波板状の形状記憶合金は、一層大きな反り等に対応することが可能な可動範囲を実現し得る。
さらに、金属部143は、その長さがフレーム131の厚さより大きいものに限定されず、予見される反り量などに応じて長さを決定され得る。例えば、必要な形状記憶合金の長さがフレーム厚さより小さい場合、形状記憶合金を貫通孔内の高さ方向の一部のみに位置付け、導電性エラストマー141及び142に、貫通孔に挿入され且つ形状記憶合金に当接あるいは接着される棒状部分を設けてもよい。あるいは、図7に示すようにコラム140’のように、形状記憶合金を有する第1金属部143−1とその他の金属又は合金を有する第2金属部143−2として金属部143’を構成してもよい。第2金属部143−2として例えばCu等の低抵抗金属を用いることにより、コラムの電気抵抗を更に低減することができる。
続いて、図8を参照して、LGAコネクタ130及び電子装置100の製造方法の一例を説明する。
先ず、図8(a)に示すように、ポリイミド又はガラスクロスを内部に含有する樹脂などの絶縁材料を有するフレーム131に、ドリル又はレーザ等によって、LGAパッケージのランドパターンに対応したパターンで貫通孔132を形成する。
次いで、図8(b)に示すように、フレームの貫通孔132の内壁に金属めっき膜133を形成し、めっきされた貫通孔132の周辺に金属パッド134を形成する。例えば、金属めっき膜133をCuめっき膜とし、金属パッド134をAuパッドとし得る。
次いで、図8(c)に示すように、貫通孔132に形状記憶合金を含む金属部143を挿通する。金属部143は、貫通孔132の直径より小さい直径と所望の長さとを有するように予め成形しておくことができる。挿通の際、貫通孔132の挿入側とは反対側から吸引するなどの方法を用いてもよい。形状記憶合金は例えばNiTi合金とし得るが、室温での圧縮状態から電子装置100の稼働温度域で元の形状に回復する物性を有するその他の合金としてもよい。また、コイル状又は波板状などのその他の形状を有する形状記憶合金を用いてもよい。
最後に、図8(d)に示すように、フレーム131から突出した金属部143に、導電性エラストマー141及び142を取り付ける。導電性エラストマー141及び142にそれぞれ形成された挿入孔141a及び142aを用いて、金属部143と導電性エラストマー141及び142とを嵌合させ、且つエラストマー141及び142を金属パッド134に接触させることが可能である。導電性エラストマー141及び142は、例えば、導電性フィラーを含有する導電性ゴムとし得る。一例として、Agフィラーを含有したゴム材を金型に流し入れ、頂部が平坦に切断された円錐状の外形と底面の中心部に設けられた挿入孔とを有する導電性ゴムを成型し得る。しかしながら、その他の導電性フィラー又は導電性粒子や、その他の形状を用いてもよい。
電子装置100の製造においては、システムボード120、LGAコネクタ130及びLGAパッケージ110を、それぞれのパッド122、コラム140及びランド112が整列するように位置合わせして積み重ね、スタックを形成する。そして、該スタックをボルスタープレート151と、ヒートスプレッダ152及びヒートシンクベース153との間に配置し、バネ付きネジ154によって締め付けることによって、パッド122、コラム140及びランド112を十分な接力で接触させることができる。
(実施例1)
厚さ1.95mm程度のフレームに、格子状に配列されたピッチ1.27mm、直径0.75mm程度の貫通孔を形成する。貫通孔の内壁にCuめっきを行い、貫通孔の周辺にAuパッドを形成する。貫通孔に長さ2.15mm程度、直径0.7mm程度の棒状の、Ni:49%、Ti:51%の組成比を有するNiTi合金を挿通する。フレームのLGAパッケージ側及びシステムボード側の双方において、フレームから突出したNiTi合金の部分に、例えばAgフィラーを含有する導電性ゴムを嵌合させる。以上により、非加圧時の総高さが2.3mm程度のコラムを形成する。
このコラムを有するLGAコネクタ(以下、コネクタ1と称する)を用いた場合について、導電性ゴムのみからなるコラムを有するLGAコネクタ(以下、従来コネクタと称する)を用いた場合との比較検討を行った。
室温及び80℃においてLGAパッケージとLGAコネクタのコラムとの間の接触状態を観測したところ、従来コネクタにおいては80℃において10μm〜30μmのギャップが発生したが、コネクタ1においてギャップは見られなかった。NiTi合金の形状回復歪みが3%程度であることから、長さ2.15mm程度の棒状のNiTi合金は温度上昇時の相変態により約65μm伸張することができ、ギャップの発生を阻止することができる。
また、従来コネクタを用いた場合、コラムへの荷重が設計上の上限荷重とした60gを超えて最大70〜90gに達する。そのため、コラムが極度に変形し、温度変化(15℃−80℃)に伴うLGAパッケージとシステムボードとの間の離間距離変化に追従しなくなる。抵抗測定により、LGAコネクタとLGAパッケージ及び/又はシステムボードとの間での接触不良が観測された。一方、コネクタ1を用いた場合、コラムへの荷重が30g〜60gの範囲内に制御される。コラムの変形を小さくすることができ、また、温度変化(15℃−80℃)に伴うLGAパッケージとシステムボードとの間の離間距離変化に追従することができる。その結果、コラムがつぶれてLGAパッケージ及び/又はシステムボードとの間で接触不良を起こすことは観測されなかった。
(第2実施形態)
続いて、図9を参照して、第2実施形態に従ったLGAコネクタ230の構成を説明する。LGAコネクタ230は、図3に示した電子装置100において、LGAコネクタ130に代えて用いることができる。図9は、図5に対応して、コネクタ230の一部と、該コネクタによって接続される半導体装置(LGAパッケージと称する)110及び配線基板(システムボードと称する)120の一部とを示している。なお、コネクタ130とコネクタ230とで共通する要素については、類似の参照符号を付し、その機能及び材料についての詳細な説明を省略する。
LGAコネクタ230は、支持部材である電気絶縁性のフレーム231と、該フレームを貫通し該フレームの両面から突出した複数の導電性接続端子(コラム)240とを有する。コラム240は、外部からの加圧によってLGAパッケージ110のランド112とシステムボード120の電極パッド122との間に挟持され、相対するランド112と電極パッド122とを電気的に接続することができる。
各コラム240は、フレーム231の貫通孔232に挿通された金属部243と、LGAパッケージ110側に設けられた第1の導電性バネ244と、システムボード120側に設けられた第2の導電性バネ245とを有する。金属部243は、フレーム231の厚さより大きい長さを有し、フレーム231のLGAパッケージ側及びシステムボード側の双方から突出している。そして、第1のバネ244は金属部243のLGAパッケージ側の突出部の周りに巻かれ、第2のバネ245は金属部243のシステムボード側の突出部の周りに巻かれている。導電性バネ244及び245としては、例えば銅、リン青銅、ステンレス、ベリリウム銅、ピアノ線などの金属線を用いることができ、例えば金めっき等のめっきが施されていてもよい。
各コラム240は更に、第1のバネ244の先端(LGAパッケージ110側の端部)に取り付けられた第1の導電性パッド246と、第2のバネ245の先端(システムボード120側の端部)に取り付けられた第2の導電性パッド247とを有し得る。導電性パッド246及び247は、それぞれ、少なくともLGAパッケージ110及びシステムボード120との接触面に、例えば導電性フィラーを分散させた導電性ゴム等の導電性エラストマーを有する。第1の導電性パッド246及び第2の導電性パッド247は、それぞれ、第1のバネ244及び第2のバネ245に導電性接着剤を用いて取り付けられ得る。接着に代えて、あるいは加えて、例えば導電性パッド246及び247がそれぞれバネ244及び245の先端と嵌合する成形部を有する等、その他の接続手段が用いられてもよい。
好ましくは、LGAコネクタ230は、フレームの貫通孔232の内壁に形成された金属膜233を有する。金属膜233は例えばCuめっき膜とし得る。また、LGAコネクタ230は更に、フレーム231のLGAパッケージ110側及びシステムボード120側の少なくとも一方の表面に、各貫通孔232の周囲に形成された金属パッド(図11の234参照)を有していてもよい。この金属パッドが存在する場合、金属膜233及び金属パッドは連通し、各貫通孔232を取り囲む。第1及び第2の導電性バネ244及び245の基端(フレーム231側の端部)は、金属膜233又は該金属パッドに電気的に接続されることができる。この電気的な接続は、例えば、導電性バネ244及び245の基端をこれら金属膜233又は金属パッド等に接触させる、あるいは導電性接着剤で接着することによって行い得る。金属膜233は、LGAパッケージのランド112とシステムボードの電極パッド122との間の導通に寄与する。
斯くして、各コラムは、形状記憶合金を含む金属部243と、第1及び第2の導電性バネ244及び245と、導電性エラストマーを含む第1及び第2の導電性パッド246及び247とを含む複合部材として構成され得る。金属部243の形状記憶合金は、第1実施形態の金属部143に関して上述したように、変態点温度等を考慮して、例えば、Ni−Ti系合金、銅系合金及び鉄系合金などの種々の形状記憶合金から選択し得る。形状記憶合金は、相変態原理に基づき、マルテンサイト相にあるときは小さな荷重で縮むことができ、変態点温度以上の温度で母相に戻ると、形状記憶効果を発揮して形状回復する。
図10に、このような複合部材として構成されたコラム240を用いることの効果を模式的に示す。図10は、図6と同様に、電子装置100の一部を、(a)室温付近、(b)温度上昇時(例えば、80℃付近)の2つの温度域について示している。
室温付近において、形状記憶合金を含む金属部243は、外部からの圧力によりLGAパッケージ110及びシステムボード120から受ける荷重に応じて圧縮された状態にある。このときの金属部243の長さをL3とする。また、バネ244及び245もLGAパッケージ110及びシステムボード120から受ける荷重に応じて圧縮された状態にある。当然ながら、導電性エラストマーを含む導電性パッド246及び247にも荷重が作用し、パッド246及び247はそれぞれLGAパッケージのランド112及びシステムボードの電極パッド122に圧接されている。
電子装置100の稼働時、LGAパッケージ110が含む半導体チップ113の発熱により、LGAパッケージ110、システムボード120及びLGAコネクタ130の温度が上昇し、これらの要素に反りが生じ得る。通常、図示のように、LGAパッケージ110は上に凸、システムボード120は下に凸の形状に反る傾向にあり、故に、LGAパッケージ110とシステムボード120との離間距離が増大する。このとき、形状記憶合金を含む金属部243は、形状記憶効果により、増大した離間距離に追従して長さL4に伸張し(L4>L3)、導電性パッド244及び245をそれぞれランド112及び電極パッド122に押し当てるよう作用する。また、バネ244及び245も、それ自体の熱膨張及び弾性作用により、導電性パッド244及び245をそれぞれランド112及び電極パッド122に押し当てるよう作用する。
図10(a)、(b)に示した挙動は、室温付近でマルテンサイト相にあり、且つ反りが発生するような温度上昇時に母相にあるように、形状記憶合金の種類及び組成を選択することにより実現することができる。例えば、金属部243に用いる形状記憶合金の変態点温度を、室温と装置設計上の最大動作温度との間の温度に選択してもよい。
斯くして、金属部243を含むコラム240の高さは、形状記憶合金の相変態を利用して、室温付近及び昇温時の双方においてLGAパッケージ110及びシステムボード120の熱変形に追従して変化し得る。故に、コラム240は、ランド112及び電極パッド122との間にギャップが生じることを阻止し、LGAパッケージ110とシステムボード120との間の電気接続性を良好に維持することができる。
また、各コラム140は、導電性エラストマー141及び142を対応するランド112及びパッド122に当接させるため、金属を直接当接させる場合等に見られるランド表面及びパッド表面のAuめっきの損傷を防止することができる。故に、Cuが露出されて酸化することを回避し、この点からも良好な電気接続性の維持に寄与し得る。
また、コラム240への荷重が金属部243とバネ244、245とに分散されるため、金属部243は、バネ244及び245における過大な荷重による弾性力の消失及び/又はクリープの発生を抑制するよう作用する。故に、仮にLGAパッケージ110及び/又はシステムボード120に予期せぬ大きさの反りが生じた場合にも、コラム240はバネ244及び245の伸張により、LGAパッケージとシステムボードとの間の電気接続性を維持することができる。
さらに、各コラム240は、導電性エラストマーを少なくとも表面に含むパッド246及び247を対応するランド112及びパッド122に当接させるため、ランド表面及びパッド表面のAuめっきの損傷を防止することができる。故に、Cuが露出されて酸化することを回避し、この点からも良好な電気接続性の維持に寄与し得る。
なお、本実施形態においても、必要に応じて、第1実施形態に関連して言及した種々の変形例を適用することができる。例えば、内周部又は外周部のコラムのみが形状記憶合金を含む構成、形状記憶合金とその他の金属とを連結して金属部を形成した構成、及び/又は金属部がコイル状又は波板状などの棒状以外の形状を有する構成を用いてもよい。
続いて、図11を参照して、LGAコネクタ230の製造方法の一例を説明する。
図11(a)−(c)の工程は図8(a)−(c)の工程と同様にして行うことができる。先ず、図11(a)に示すように、絶縁材料を有するフレーム231に、LGAパッケージのランドパターンに対応したパターンで貫通孔232を形成する。次いで、図11(b)に示すように、フレームの貫通孔232の内壁に金属めっき膜233を形成する。また、めっきされた貫通孔232の周辺にパッド234を形成してもよい。次いで、図11(c)に示すように、貫通孔232に形状記憶合金を含む金属部243を挿通する。
次いで、図11(d)に示すように、フレーム231から突出した金属部243に、フレーム231の両側からバネ244及び245を挿通する。バネ244及び245は、例えば銅などの金属細線から予め形成しておくことができる。また、バネ244及び245の基端を、例えば導電性接着剤などでパッド234上に固定し得る。パッド234がない場合、あるいは金属めっき膜233との直接的な導通が可能な場合には、バネ244及び245の基端を金属めっき膜233に固定してもよい。また、この電気接続は、導電性接着剤を用いずに、その他の手法によって行ってもよい。
最後に、図11(e)に示すように、バネ244及び245の先端に、それぞれ、導電性エラストマーを含む導電性パッド246及び247を取り付ける。導電性エラストマーは、例えば導電性シリコーンゴム等、導電性フィラーを含有する導電性ゴムとし得る。導電性パッド246及び247は、例えば、導電性接着剤を用いてバネ244及び245の先端に固定し得る。なお、ここでは、バネ244及び245の基端及び先端のみを固定しているが、必要に応じて、該バネの途中部分を金属部243に固定してもよい。また、フレームの貫通孔232を囲む金属めっき膜233及び金属パッド234を形成しない場合には、バネ244及び245の基端を金属部243に固定してもよい。
(実施例2)
厚さ1.95mm程度のフレームに、格子状に配列されたピッチ1.27mm、直径0.75mm程度の貫通孔を形成する。貫通孔の内壁にCuめっきを行い、貫通孔の周辺にAuパッドを形成する。貫通孔に長さ2.17mm程度、直径0.7mm程度の棒状の、Ni:49%、Ti:51%の組成比を有するNiTi合金を挿通する。フレームのLGAパッケージ側及びシステムボード側の双方において、フレームから突出したNiTi合金を囲むように、30μm〜70μmφの銅線を50μmピッチで巻いた長さ0.18mm程度のバネを配置する。各バネの基端をAuパッドに導電性接着剤で固定する。各バネの先端に、例えば導電性シリコーンゴムパッドを導電性接着剤で固定する。
以上により製造されたコラムを有するLGAコネクタ(以下、コネクタ2と称する)を用いた場合について、上述の従来コネクタ(導電性ゴムのみからなるコラムを有するLGAコネクタ)を用いた場合との比較検討を行った。
室温及び80℃においてLGAパッケージとLGAコネクタのコラムとの間の接触状態を観測したところ、従来コネクタにおいては上述のように80℃において10μm〜30μmのギャップが発生したが、コネクタ2においてギャップは見られなかった。長さ2.17mm程度の棒状のNiTi合金は、温度上昇時の相変態により約65μm伸張することができ、導電性シリコーンゴムパッドに接触して該パッドを突き上げるように作用する。それにより、ギャップの発生を阻止することができる。
また、従来コネクタを用いた場合、上述のように、過大な荷重によりコラムが極度に変形し、温度変化(15℃−80℃)に伴うLGAパッケージとシステムボードとの間の離間距離変化に追従しなくなり、接触不良が発生した。一方、コネクタ2を用いた場合、上述のコネクタ1を用いた場合と同様に、コラムへの荷重が30g〜60gの範囲内に制御される。コラムの変形を小さくすることができ、また、温度変化(15℃−80℃)に伴うLGAパッケージとシステムボードとの間の離間距離変化に追従することができる。その結果、コラムがつぶれてLGAパッケージ及び/又はシステムボードとの間で接触不良を起こすことは観測されなかった。さらに、コネクタ2においては、バネ及び導電性シリコーンゴムパッドを介した電気接続と、NiTi合金及び導電性シリコーンゴムパッドを介した電気接続との双方を実現し、電気接続性を更に向上し得る。
以上、実施形態について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
100 電子装置
110 半導体装置(LGAパッケージ)
111 パッケージ基板
112 パッド(ランド)
113 半導体チップ
120 配線基板(システムボード)
122 電極パッド
130、230 コネクタ(LGAコネクタ)
131、231 フレーム
132、232 貫通孔
133、233 金属膜
134、234 金属パッド
140、240 コラム
141、142 導電性エラストマー
141a、142a 挿入孔
141b、142b 接触面
143、243 金属部(形状記憶合金)
151 ボルスタープレート
152 ヒートスプレッダ
153 ヒートシンクベース
154 バネ付きネジ
244、245 導電性バネ
246、247 導電性パッド

Claims (6)

  1. 電気絶縁性のフレ−ムと、
    前記フレームに備えられた貫通孔と、
    前記貫通孔内に配置され且つ前記フレームから突出する接続端子であり、形状記憶合金を含む金属部を備えた接続端子と
    前記金属部の前記フレームからの突出部の周囲に巻かれたバネと、
    を有することを特徴とするコネクタ。
  2. 前記接続端子は前記フレームからの前記突出部の先端に導電性エラストマーを有する、ことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
  3. 前記金属部は、前記フレームの厚さより大きい長さを有し、且つ前記フレームの両面から突出している、ことを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
  4. 前記貫通孔の内壁に金属膜が形成されている、ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項記載のコネクタ。
  5. 配線基板と、
    前記配線基板の上方に設けられた半導体装置と、
    フレーム及び接続端子を有し、前記配線基板と前記半導体装置とを電気的に接続するコネクタ
    を有し、
    前記接続端子は前記フレームの貫通孔内に配置され且つ前記フレームから突出し、前記接続端子は形状記憶合金を含む金属部を備え、前記金属部の前記フレームからの突出部の周囲にバネが巻かれている、ことを特徴とする電子装置。
  6. フレ−ムと、前記フレームに備えられた貫通孔と、前記貫通孔内に配置され且つ前記フレームから突出する接続端子であり、形状記憶合金を含む金属部を備えた接続端子と、前記金属部の前記フレームからの突出部の周囲に巻かれたバネと、を有するコネクタを配線基板上に配置する工程と、
    前記コネクタ上に半導体装置を配置し、前記接続端子を前記配線基板及び前記半導体装置と電気的に接続する工程と
    を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
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