JP5584983B2 - 化粧板製造方法及びその方法により得られた化粧板 - Google Patents

化粧板製造方法及びその方法により得られた化粧板 Download PDF

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本発明は、住宅用部材、家具、扉等の建材に用いられる化粧板の製造方法であり、特に高い鏡面性を持つ鏡面化粧板に関する製造方法及びそれを用いて製造した化粧板に関する。
従来、鏡面性の高い化粧板は、塗装方法が広く使われていた。しかし、塗装工程には、下塗り、中塗り等が必要であり、また、塗装と研磨を交互に繰り返すため、工数が多く、生産性が悪い。
そこで、生産効率を向上するために、接着剤を介して鏡面の化粧シートと基材を貼り合せて塗装品と同等の鏡面性を得る製造方法が行われている。この方法により化粧板を製造する場合には、接着剤として反応型ホットメルト接着剤が用いられている。この反応型ホットメルト接着剤は、常温では固体であり、加熱して融解させた状態で基材又はシートに塗布し、基材と化粧シートとを貼り合せる。
上記反応型ホットメルト接着剤の代表例であるウレタン系反応型ホットメルト(以下、「PUR」という。)は、成分の中に水分と反応する官能基(イソシアネート基)を含んでおり、冷却硬化後、基板や化粧シートに付着している水分やそれらを通して与えられる水分と反応する。反応後は、加熱をしても溶融せず、高い接着強度を有するという特徴がある。
このPURを用いた製造方法に関して、特許文献1は、合成樹脂のベースシートの表面に合成樹脂の透明層を備えた合成樹脂の鏡面シートを基板にラミネートロールによりラミネートする鏡面部材の製造方法を提案している。この方法は、ラミネートの手前で、鏡面シートの裏面に塗布したPURよりなる接着剤を軟化温度以上になるように加熱すると共に基板を加熱し、その後、ラミネートロールによりラミネートして表面が鏡面となった鏡面部材を製造する。
しかしながら、PURよりなる接着剤を軟化温度以上になるように加熱するためラミネートロールの前段に加熱ロールを設け、後段に冷却ロールを設けるものであり、ラミネート時の圧着時間制御についての考慮がなされていなかった。
また、特許文献2では、芯材及び/若しくは化粧材に接着剤を塗工する接着剤塗工手段、並びに化粧材を芯材に貼り合わせる押圧手段を有して成るラミネート部材製造装置が開示されており、押圧手段は化粧材表面を芯材に押圧する化粧材押圧部を有して成り、化粧材押圧部の化粧材との接触面はクッション性素材で形成され、化粧材押圧部は化粧材との相対運動により化粧材との接触面ですべる構造となっている。この方法においても、反応性ホットメルト接着剤を100〜130℃に加熱することで溶融して塗工するとあるのみであり、押圧時の圧着時間制御についての考慮がなされていなかった。
さらに、これらの方法では、化粧板の表面がゆらぐような(ゆず肌)外観変化を起こすことがあり、化粧板の鏡面性が損なわれる場合があった。
特開2002−248689号公報 特開2005−288788号公報
レオロジー工学とその応用技術(発行:フジテクノシステムズ、監修:中江利昭 他)
本発明は、上述の現況に鑑み、化粧板の表面がゆらぐような(ゆず肌)外観変化を解消し、鏡面性に優れた化粧板の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、押圧時の圧着時間によっては、押圧手段から取り出した後に基材の凹凸が化粧板表面に表出し、ゆず肌現象を起こすことがあることを知見した。そこで、押圧時の圧着条件を綿密に検討した結果、押圧時の圧着時間を適切に制御することによって、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)接着剤を介して化粧シートと基材とを押圧手段としてプレスロールを用いて圧着して貼り合せる工程を含む化粧板製造方法であって、該接着剤を介して該化粧シートと該基材とを圧着する積算時間S(秒)を圧着時温度及び圧着時歪における接着剤の緩和時間τ0(秒)よりも長くすることを特徴とする化粧板製造方法。
[緩和時間τ0(秒)の測定条件:パラレルプレート型レオメータを用いる動的試験により、測定温度:60℃、70℃及び80℃、周波数測定範囲:0.01〜100Hz、動歪ε:10%及び30% にて動的粘弾性(周波数依存性)を測定して下記式(1)から緩和時間τ0を求めた。下記式(1)中、G”(ω)ω=(1/τ)はω=(1/τ)のときの損失弾性率G”(ω)である。
H(τ)0=(2/π)G”(ω)ω=(1/τ) ・・・(1)]
(2)前記接着剤が、反応型ホットメルト接着剤であることを特徴とする上記(1)に記載の化粧板製造方法、
(3)前記押圧手段表面の温度が一定に制御されることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の化粧板製造方法、
(4)前記積算時間Sが0.06〜0.18秒である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧板製造方法、及び
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法で製造したことを特徴とする化粧板
を提供するものである。
本発明の製造方法により、化粧板の表面がゆらぐような(ゆず肌)外観変化を解消し、鏡面性に優れた化粧板を得ることができる。
本発明の製造方法の1例を示す模式図である。 本発明の製造方法の図1の例のプレスロールAにおける圧着状態を示す拡大模式図である。 本発明の製造方法のプレスロール構成の1例を示す模式図である。 本発明における動的試験の測定機と測定方法の概要を示す模式図である。 本発明の製造方法に係る接着剤の動的粘弾性の測定例を示す図である。 本発明の製造方法に係る接着剤の緩和スペクトル(60℃、 70℃及び 80℃ )の測定例を示すスペクトル図である。 本発明の製造方法で得られる化粧板の1例の断面を示す模式図である。
本発明の化粧板製造方法は、接着剤を介して化粧シートと基材とを押圧手段で圧着して貼り合せる工程を含む化粧板製造方法であって、該接着剤を介して該化粧シートと該基材とを圧着する積算時間S(秒)を圧着時温度及び圧着時歪における接着剤の緩和時間τ0(秒)よりも長くすることを特徴とする。
但し、緩和時間τ0(秒)は、パラレルプレート型レオメータを用いる動的試験により、測定温度:60℃、70℃及び80℃、周波数測定範囲:0.01〜100Hz、動歪ε:10%及び30% にて動的粘弾性(周波数依存性)を測定して下記式(1)から求める。下記式(1)中、G”(ω)ω=(1/τ)はω=(1/τ)のときの損失弾性率G”(ω)である。
H(τ)0=(2/π)G”(ω)ω=(1/τ) ・・・(1)
以下、本発明の化粧板製造方法を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の製造方法の1例を示す模式図である。
図1に示すように、本発明の製造方法10の圧着工程において、工程ライン上流から搬送ロール11により基材60が搬送され、押圧手段(ここでは、プレスロール16)に導かれる。また、化粧シート供給ロール12から供給される化粧シート40は、接着剤供給装置13の接着剤コーティングヘッド13aから供給される接着剤をバックアップロール14上で塗布されて、保温装置15により接着剤を所定の温度に保温されてプレスロール16に供給される。塗布された接着剤を介して、化粧シート40と基材60とが、プレスロールA16a、プレスロールB16b、プレスロールC16cを通過して圧着され貼り合わされる。このとき、接着剤を介して化粧シート40と基材60とをプレスロールA16a、プレスロールB16b、プレスロールC16cにより圧着する積算時間S(秒)が、圧着時温度及び圧着時歪における接着剤の緩和時間τ0(秒)よりも長くすることにより、鏡面性に優れた化粧板30が得られることになる。
図1により、押圧手段がプレスロールである場合を説明したが、押圧手段として平台プレスを用いても良い。
本発明の化粧板製造方法においては、プレスロール16は、1つのプレスロールにより構成されていても良いが、2以上のプレスロールから構成されることが好ましく、例えば、2〜10のプレスロールが好ましく用いられる。プレスロール16の内、最初に圧着するプレスロールA16aはゴムロールが好ましく、例えば、シリコーンゴムロールが好ましく用いられる。また、2番目以降に圧着するプレスロールには金属ロールを用いても良い。が好ましく用いられる。
また、保温装置15は、非接触型の保温装置が好ましく、例えば、赤外線ヒーターは、温度制御が容易であり好ましく用いられる。図1において、保温装置15は、バックアップロール14近辺に設置されているのみならず、図示していないが、プレスロール16近辺にも設置されている。
本発明においては、押圧手段表面の温度が一定に制御されることが好ましく、この観点からも押圧手段近辺に保温装置15が設置されていることが好ましい。
図2は、本発明の製造方法の図1の例のプレスロールA16aにおける圧着状態を示す拡大模式図である。所定の温度t℃で制御された接着剤層50付きの化粧シート40は上下のプレスロールA16aにより所定の圧着時歪にて圧着される。このとき、化粧シート40側のプレスロールA16a表面は(t±α℃)に制御されていることが好ましい。
ここで、αは10以下が好ましく、5以下がより好ましく、1以下が特に好ましい。
また、プレスロールA16aに圧着される前の厚さが例えば100μmであり、圧着時90μmに圧縮された場合、接着剤層50の圧着時歪(%)は、{(100−90)/100}×100=10%となる。
本発明においては、接着剤層50の表面温度が、接着剤層50の温度であると見做す。
図3は、本発明の製造方法のプレスロール構成の1例を示す模式図である。図3においては、プレスロールA16a〜プレスロールF16fの6つのロールによりプレスロールが構成されている。プレスロールA16a〜プレスロールF16cの3つのロールは、上下ともシリコーンゴムロールからなり、プレスロールA16d〜プレスロールF16fの3つのロールは、化粧シート40側のロールがシリコーンゴムロールからなり、基材60側のロールが金属ロールからなっている。この貼り合せ工程全体にわたって保温装置15が設置され、接着剤層50はt℃に保温され、プレスロールA16a〜プレスロールF16fの6つのロール表面は(t±α)℃に保温されている。
このように、押圧手段が、プレスロール16の場合、構成する全てのロール表面が同一温度で保温されていることが好ましく、いずれも(t±10)℃以内に保温されていることが好ましく、(t±5)℃以内に保温されていることがより好ましく、(t±1)℃以内に保温されていることが特に好ましい。
本発明の化粧板製造方法における積算時間S(秒)は、押圧手段が平台プレスのときは、プレス時間そのもので良い。平台プレスにより複数回圧着するときは、それらの合計プレス時間である。
また、押圧手段であるプレスロールが複数のロールで構成されている場合は、個々のロールでの圧着時間を総計して、プレスロール全体での積算時間Sとして算出する。
個々のロールでの圧着時間(秒)は、{(ロールのニップ巾(m))/(工程のライン速度(m/min))}×60(秒)により算出される。
ここで、ニップ巾とは、一般に印刷機における二本のロールに圧力をかけることによりできる接触幅のことをいう。
図4は、本発明における動的試験の測定機と測定方法の概要を示す模式図であり、温度制御機能付きパラレルプレート型レオメータを示す。可動プレート(直径25mm)21と固定プレート22とは平行であり、ギャップは1mmである。接着剤はこのギャップ間に充填され、駆動及び検出装置23により動歪が与えられ、動的応力が検出される。
本発明における緩和時間τの測定方法をさらに詳細に説明する。
まず、図4に示すパラレルプレート型レオメータ20を用いる動的試験により、動的粘弾性(周波数依存性)を測定する。測定条件は、測定温度:60℃、70℃及び80℃、周波数測定範囲:0.01〜100Hz、動歪ε:10%及び30%である。この動的粘弾性(周波数依存性)測定から緩和スペクトルH(τ)を求め、上記式(1)で示すようにω=(1/τ)におけるH(τ)0のときのτを緩和時間τ0として求める。より具体的には緩和スペクトルH(τ)のピーク時のτを緩和時間τ0として求める。但し、緩和スペクトルH(τ)のピークが複数あるときは、緩和時間が長い方のピークにおける緩和時間を緩和時間τ0として求める。
なお、上記式(1)は非特許文献1の第65頁に記載されている式(9)を用いた。
図5は、本発明の製造方法に係る接着剤の動的粘弾性の測定例を示す図である。また、図6は、本発明の製造方法に係る接着剤の緩和スペクトル(60℃、 70℃及び 80℃ )の測定例を示すスペクトル図である。図中の○マークは、緩和時間τ0の位置を示す。図6に示すように、温度及び歪のいずれが変化しても緩和時間が変化することとなる。
次に、本発明の化粧板製造方法において得られる化粧板の典型例を図面に基づき説明する。図7は、本発明の製造方法で得られる化粧板の1例の断面を示す模式図である。
図7に示すように、本発明の製造方法で得られる化粧板30は、化粧シート40と基材60とを反応型ホットメルト接着剤等(例えば、PUR接着剤)からなる接着剤層50を介して積層してなる。
本発明で用いられる接着剤としては、反応型ホットメルト接着剤が好適に用いられる。この反応型ホットメルト接着剤の内、PUR接着剤が特に好ましい。
PUR接着剤で使用可能なポリオール成分としては、例えば、ポリエステルジオール等のポリエステルポリオール、ポリエーテルジオール等のポリエーテルポリオール、又はこれらの混合物若しくは共重合物等が挙げられる。更に、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、多価アルコール等、又はこれらの混合物若しくは共重合物が挙げられる。
また、ポリイソシアネート成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンイソシアネート等の脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。これらの中で、加熱時の蒸気圧が低いジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることが好ましい。
本実施形態で使用されるPUR接着剤としては、100〜130℃で溶融し、粘度が1000〜30000mPa・sのものが好ましく、その中でも特に初期接着力に優れることからポリエステルポリオールベースのPUR接着剤が好適である。特に、かかるPUR接着剤は、ポリエステルポリオールにポリエーテルポリオールやその他のポリオール、例えばアクリルポリオールを併用して得られるものが好適である。
なお、ポリウレタン反応性ホットメルトは市販されているものも利用することができ、例えばDIC(株)製、タイホースFH−100が挙げられる。
PUR接着剤の塗布量は、例えば、接着剤層50の厚さとして50〜150μmである。
本発明で用いられる基材60は、特に限定されず種々の板状の材料を用いることができる。例えば、高密度木質系繊維板、中密度木質系繊維板{MDF(中密度繊維版)}、低密度木質系繊維板、パーティクルボード、木粉プラスチックパーティクルボード及び木粉プラスチックボード等の木質系板、プラスチック板(樹脂板)、紙積層板等を用いることができる。
基材60の厚さは、特に制限はないが、製造上の制限、及び重量の観点から、1〜50mmが好ましく、2.5〜30mmがより好ましく、4〜30mmがさらに好ましい。
高密度木質系繊維板は、JIS A5905−2003に規定される繊維板のうち、密度0.80g/m2以上の木質系繊維板のことをいう。前記JISで規定される木質系繊維板は、主に木材等の植物繊維を成型したボードであり、一般に表面の硬度が高く、適切な密度のものを選択すれば、物体が衝突した際の凹みに対して強い、有用な材料である。また、材料のコストも、プラスチックと比較して安価に入手可能である。
このような高密度木質系繊維板としては、HDF(高密度繊維板)、ハードボード等が好ましく挙げられる。
低密度木質系繊維板は、JIS A5905−2003に規定される繊維板のうち、密度0.35g/m2未満の木質系繊維板のことをいう。このような低密度木質系繊維板としては、インシュレーションボード、タタミボード、シージングボード等が挙げられる。
本発明で用いられる化粧シート40は、少なくとも着色樹脂層41及び/又は絵柄印刷層42を有するものであれば良く、その層構成は限定されない。図7は、本発明の製造方法で用いられる化粧シート40の1例の断面を示すものである。図7で示される化粧シート40は、着色樹脂層41、絵柄印刷層42、プライマー層43、透明樹脂層44及び表面保護層45がその順に積層されている。
化粧シート40の厚さは35〜400μmであることが好ましい。
本発明で用いられる化粧シート40において所望により積層される着色樹脂層41は、意匠効果を奏するため、及び/又は基材60の色を隠蔽するために設けられるものであり、着色樹脂層41により意匠効果を得る必要がなく且つ基材60の色を隠蔽する必要がない場合は設けなくても良い。
本発明に係る化粧シート40において所望により積層される絵柄印刷層42は、意匠効果を奏するために設けられ、着色樹脂層41により意匠効果を十分奏する場合は設けなくても良い。
上記絵柄印刷層42は、模様や文字等とパターン状の絵柄を表現する層である。絵柄印刷層42の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字等からなる絵柄である。絵柄印刷層42は、通常は、印刷インキでグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インキジェット印刷等公知の印刷法により形成する。
着色樹脂層41の厚さは35〜200μmであることが好ましく、絵柄印刷層42の厚さは、絵柄模様に応じて適宜選択すれば良い。
本発明に係る着色樹脂層41及び/又は絵柄印刷層42に用いられるインキ又は塗料のバインダーとして、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、あるいは、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン樹脂等を、1種又2種以上混合して用いる。上記インキ又は塗料は、上述の各種樹脂よりなるバインダーに加えて、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
上記インキ又は塗料に用いる着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(あるいは染料も含む)、アルミニウム、真鍮、等の金属粉末からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料、蛍光顔料等を、1種又は2種以上混合して用いる。
上述の着色樹脂層41又は絵柄印刷層42は、金属薄膜層等でも良い。金属薄膜層の形成は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜する。あるいはこれらの組み合わせでも良い。該金属薄膜層は、全面に設けても、あるいは、部分的にパターン状に設けても良い。
本発明に係る化粧シート40において所望により積層されるプライマー層43は、着色樹脂層41及び/又は絵柄印刷層42と所望により設けられる透明樹脂層44及び/又は表面保護層45との間に上下の層の接着を高めるため所望により設けられる。このプライマー層43を構成するプライマー組成物は、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル・ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が用いられる。
ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とする2液型ポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が使用される。前記イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、あるいはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが用いられる。また、ウレタン樹脂とブチラール樹脂を混ぜて構成することも可能である。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる(メタ)アクリル樹脂が好適に用いられる。
ここで(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルを意味する。
(メタ)アクリル・ウレタン共重合体樹脂としては、例えばアクリル/ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂が好ましい。硬化剤としては、上記の各種イソシアネートが用いられる。アクリル/ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂は所望により、アクリル/ウレタン比(質量比)を好ましくは(9/1)〜(1/9)、より好ましくは(8/2)〜(2/8)の範囲で調整し、種々の加飾シートに用いることができる。
本発明に係るプライマー層43の厚さは0.1μm〜10μmであることが好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。
プライマー層43の形成方法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等のコーティング法によって形成することができ、また、転写法を用いることも可能である。
本発明に係る化粧シート40において所望により積層される透明樹脂層44は、絵柄印刷層42又は着色樹脂層41が透視可能な様に、透明又は半透明(無着色又は着色)である樹脂層であって、ポリオレフィン系樹脂からなるものであっても良いが、ポリエステル樹脂、特に非晶質ポリエステル樹脂からなることが好ましい。
非晶質ポリエステル樹脂としては、市販されているものとして、例えば、イースト
マンケミカル社製の商標「Eastar PETG 6763」(商品名)(押出グレード)が使用出来る他、既に樹脂シートとなっているものとしては、鐘紡株式会社による「カネボウPETシート」(商品名)、帝人株式会社による「テイジンテトロンシート」(商品名)、電気化学工業株式会社による「デンカA−PETシート」(商品名)、東洋紡績株式会社による「東洋紡PETMAXシート」(商品名)、長瀬産業株式会社による「NAGASE A−PETシート」(商品名)、ポリテック株式会社による「ポリテックA−PETシート」(商品名)、SAEHAN社による「SAEHAN APET SEET」(商品名)、三菱化学株式会社による「ノバクリアー」(商品名)、三井・デュポンポリケミカル社による「シーラーPT」(商品名)等が使用できる。なお、包装材料分野でA−PET(APETと表記することもある)と呼ばれている樹脂又は樹脂シートは、非晶質ポリエステル樹脂であり、PET−G(PETGと表記することもある)と呼ばれている樹脂又は樹脂シートも、非晶質ポリエステル樹脂である。
一方、透明樹脂層44に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(低密度、中密度、又は高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレンランダム共重合体(例えば、メタロセン触媒アイソタクチックエチレン−プロピレンランダム共重合体)、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂、あるいは各種のオレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられる。
透明樹脂層44の形成は、着色樹脂層41及び/又は絵柄印刷層42を積層した上に、予め熔融押出法、カレンダー法等の公知の成膜方法によってシート(フィルム)化した樹脂シートをドライラミネーション、又は熱融着によって積層する事で形成できる。あるいは、透明樹脂層44を構成する樹脂を、着色樹脂層41及び/又は絵柄層122を積層した上に、熔融押出塗工法(EC法)によって成膜と同時に形成しても良い。
なお、透明樹脂層(単層ではなく、多層の場合は全体として)の厚さは、用途、層構成
(単層、多層)等によるが、通常は35〜250μm程度である。
また、透明樹脂層44中には、その透明性又は半透明性を損なわない範囲で必要に応じ、充填剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤を添加しても良い。透明樹脂層44を半透明な層として用いる場合は、例えば、透明樹脂層44中に微粒子シリカ等を適宜添加し、半透明にすれば良い。
なお、上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系等の有機物の紫外線吸収剤の他に、粒径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることができる。光安定剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
本発明に係る化粧シート40に所望により積層される表面保護層45は、電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを100:0〜25:75の比率(質量比)で含む樹脂組成物を架橋硬化したものであることが好ましい。ここで、電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
表面保護層45の厚さは1〜20μmであること好ましい。1μm以上であれば、耐摩耗性及び耐擦傷性が向上する。20μm以下であれば、成形性が向上し、自動車内装用途等の複雑な3次元形状への高い追従性を得ることができる。
上記の重合性モノマーとしては、代表的には、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであれば良く、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等が挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
表面保護層45を構成する樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール(ブチラール樹脂)、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン,α−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン等のアセタール樹脂、エチレン−4フッ化エチレン共重合体等のフッ素樹脂、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリビニルアセタール樹脂、液晶性ポリエステル樹脂等が挙げられ、これらは1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いても良い。2種以上組み合わせる場合は、これらの樹脂を構成するモノマーの共重合体でも良いし、それぞれの樹脂を混合して用いても良い。
上記熱可塑性樹脂のうち、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体等の(メタ)アクリル系樹脂を主成分とするものが好ましく、なかでもモノマー成分として少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体を重合してなるものが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等が挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
本発明に係る電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
表面保護層45の形成は上述の表面保護層形成用樹脂組成物を含有する塗工液を調製し、これを塗布し、架橋硬化することで得ることができる。なお、塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であれば良く、特に制限はない。
本発明においては、調製された塗工液を、着色樹脂層41等の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。
本発明に用いられる化粧シート40においては、上記のようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材11として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材11への余分な電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
評価方法
(1)緩和時間τ0
上述の方法により測定した。
(2)プレスロール表面温度及び接着剤圧着時温度
接触式赤外放射温度計(アズワン(株)製、商品名「デジタル温度計IT−2000(K式熱伝対IK−500)」)により測定した。
(4)ニップ巾
ニップ巾測定装置(富士フィルム(株)製、商品名「プレスケール」)により測定した。
(5)鏡面性
化粧シートをラミネートされた化粧板の表面に蛍光ランプの光を斜めに写し、その写像の歪みを目視観察することよって下記○、△、及び×の基準で官能的に表現した。
○: 鏡面性が得られた。
△: 鏡面性がやや劣った。
×: 鏡面性が得られなかった。
実施例1〜3及び比較例1〜3
鏡面化粧シート(大日本印刷(株)製、商品名「PIAFORTE」)を化粧シート供給ロールから巻き出し、接着剤供給装置の接着剤コーティングヘッドから供給される第1表記載のPUR接着剤(DIC(株)製、ポリエステル系)を厚さ100μm塗布した。塗布時のPUR接着剤の温度は、80〜130℃であった。これを赤外線ヒーターで60℃になるように保温しプレスロールに供給した。プレスロールは、図3に示す構成であり、6つのロール全ての表面は60±0.5℃に制御されていた。これら6つのロールの全ての圧着時において、接着剤の圧着時温度は60℃であり、圧着時の動歪は10%であった。各ロールでの処理ライン速度と、シリコーンゴムロールニップ巾及び金属ロールニップ巾から、各々のロールにおける貼り合せ時間を算出し、プレスロール全体の貼り合せ積算時間Sを求めた。
一方、工程ライン上流から搬送ロール11によりMDF(中密度繊維板)からなる基材を搬送し、プレスロールに供給し、プレスロールにおいてPUR接着剤を介して鏡面化粧シートと基材とを接着した。
得られた実施例1〜3及び比較例1〜3の化粧板の鏡面性を評価した。結果を第1表に示す。
Figure 0005584983
実施例1〜3の製造方法で得られた化粧板はいずれもゆず肌が全く認められず、比較例1〜3の製造方法で得られた化粧板と比較して著しく鏡面性に優れていた。
本発明の化粧板製造方法は、鏡面性に優れた化粧板が得られるので、キッチン、室内間仕切り用扉、家具、テーブル等の建材又は室内備品用部材、あるいは住宅や商業施設、病院、介護施設等の内装及び外装の壁面等の建材に使用される化粧板の製造方法として好適に用いられる。
10.本発明の製造方法
11.搬送ロール
12.化粧シート供給ロール
13.接着剤供給装置
13a.接着剤コーティングヘッド
14.バックアップロール
15.保温装置
16.プレスロール
16a.プレスロールA
16b.プレスロールB
16c.プレスロールC
16d.プレスロールD
16e.プレスロールE
16f.プレスロールF
20.パラレルプレート型レオメータ
21.可動プレート
22.固定プレート
23.駆動及び検出装置
30.化粧板
40.化粧シート
41.着色樹脂層
42.絵柄印刷層
43.プライマー層
44.透明樹脂層
45.表面保護層
50.接着剤層
60.基材

Claims (5)

  1. 接着剤を介して化粧シートと基材とを押圧手段としてプレスロールを用いて圧着して貼り合せる工程を含む化粧板製造方法であって、該接着剤を介して該化粧シートと該基材とを圧着する積算時間S(秒)を圧着時温度及び圧着時歪における接着剤の緩和時間τ0(秒)よりも長くすることを特徴とする化粧板製造方法。
    [緩和時間τ0(秒)の測定条件:パラレルプレート型レオメータを用いる動的試験により、測定温度:60℃、70℃及び80℃、周波数測定範囲:0.01〜100Hz、動歪ε:10%及び30% にて動的粘弾性(周波数依存性)を測定して下記式(1)から緩和時間τ0を求めた。下記式(1)中、G”(ω)ω=(1/τ)はω=(1/τ)のときの損失弾性率G”(ω)である。
    H(τ)0=(2/π)G”(ω)ω=(1/τ) ・・・(1)]
  2. 前記接着剤が、反応型ホットメルト接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の化粧板製造方法。
  3. 前記押圧手段表面の温度が一定に制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧板製造方法。
  4. 前記積算時間Sが0.06〜0.18秒である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で製造したことを特徴とする化粧板。
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