JP5584980B2 - レジスト材料、レジスト組成物、微細パターンが形成された基板の製造方法、およびレジスト用重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
本願は、2006年12月27日に、日本に出願された特願2006−350766号及び2007年2月23日に、日本に出願された特願2007−043981号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
最近では、KrFエキシマレーザー(波長:248nm)リソグラフィー技術が導入され、さらなる短波長化を図ったArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィー技術およびEUVエキシマレーザー(波長:13nm)リソグラフィー技術が研究されている。さらに、これらの液浸リソグラフィー技術も研究されている。また、これらとは異なるタイプのリソグラフィー技術として、電子線リソグラフィー技術についても精力的に研究されている。
例えば、ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいて用いられる化学増幅型レジスト用重合体として、波長193nmの光に対して透明なアクリル系重合体が注目されている。該アクリル系重合体としては、例えば、エステル部にアダマンタン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとエステル部にラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとの重合体が提案されている(特許文献1、2等)。
例えば、共重合体全体として構成単位連鎖分布を均一にし、共重合組成分布を狭くすることが提案されている(特許文献3)。しかしながら、該重合体を用いたレジスト組成物から形成されるレジスト膜は、解像度、焦点深度(DOF)、ディフェクトの点が十分ではなかった。
P[B]/PH[B]≦0.99・・・(1)
P[C]/PH[C]≦0.99・・・(2)
(P[B]:重合体(P)中のラクトン骨格の含有量率、
PH[B]:重合体(PH)中のラクトン骨格の含有量率、
P[C]:重合体(P)中の親水性基の含有量率、
PH[C]:重合体(PH)中の親水性基の含有量率、
重合体(PH)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって重合体(P)から分取した、重合体(P)の質量平均分子量(Mw(P))よりも分子量の大きい重合体であり、重合体中のラクトン骨格、親水性基の含有量率は、NMRによって測定した重合体の全ピークの積分値の和に対するラクトン骨格または親水性基のピークの積分値の比率である)。
さらに、本発明の第3の要旨は、前記レジスト材料を含むレジスト組成物である。
本発明の第4の要旨は、前記レジスト組成物を被加工基板上に塗布し、レジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜に250nm以下の波長の光を照射して潜像を形成する工程と、潜像が形成されたレジスト膜を現像液で現像処理する工程とを有する、微細パターンが形成された基板の製造方法である。
本発明の第5の要旨は、酸脱離性基を有する単量体を含まず、ラクトン骨格を有する単量体または親水性基を有する単量体を含む反応開始前の重合溶媒に、酸脱離性基を有する単量体と重合開始剤を供給し、溶液ラジカル重合を行うレジスト用重合体の製造方法にある。
本発明の第6の要旨は、得られる重合体(P)が、下記(1)式または(2)式を満足する、前記第5の要旨のレジスト用重合体の製造方法にある。
P[B]/P H [B]≦0.99・・・(1)
P[C]/P H [C]≦0.99・・・(2)
(P[B]:重合体(P)中のラクトン骨格の含有量率、
P H [B]:重合体(P H )中のラクトン骨格の含有量率、
P[C]:重合体(P)中の親水性基の含有量率、
P H [C]:重合体(P H )中の親水性基の含有量率、
重合体(P H )は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって重合体(P)から分取した、重合体(P)の質量平均分子量(Mw(P))よりも分子量の大きい重合体であり、重合体中のラクトン骨格、親水性基の含有量率は、NMRによって測定した重合体の全ピークの積分値の和に対するラクトン骨格または親水性基のピークの積分値の比率である)。
また、本発明のレジスト用重合体の製造方法は、このような特性を有するレジスト用重合体を生産性よく製造することができる。
さらに、本発明のレジスト用重合体およびレジスト組成物は、DUVエキシマレーザーリソグラフィー、これらの液浸リソグラフィーおよび電子線リソグラフィー、特にArFエキシマレーザーリソグラフィーおよびこの液浸リソグラフィーに好適に用いることができる。
また、本発明のパターン製造方法により高精度の微細なレジストパターンを形成することができ、これにより高精度の微細なパターンが形成された基板を製造することができる。
酸脱離性基(A)は、酸により開裂する結合を有する基であり、該結合の開裂により酸脱離性基の一部または全部が重合体の主鎖から脱離する基である。該酸脱離性基を有する重合体は、レジスト用組成物として用いた場合、酸によってアルカリに可溶となり、レジストパターン形成を可能とする作用を奏する。
さらに本発明のレジスト用重合体は、ラクトン骨格(B)または親水性基(C)を有していることが必要である。
また、ラクトン骨格を有することにより、レジスト組成物の基板への密着性が向上し、親水性基を有することにより、レジスト組成物のディフェクト低減、パターン矩形性が改善される。
本願発明では、ラクトン骨格(B)または親水性基(C)が、下記(1)式または(2)式を満足することが必要である。
P[B]/PH[B]≦0.99・・・(1)
P[C]/PH[C]≦0.99・・・(2)
(P[B]:重合体(P)中のラクトン骨格の含有量率、
PH[B]:重合体(PH)中のラクトン骨格の含有量率、
P[C]:重合体(P)中の親水性基の含有量率、
PH[C]:重合体(PH)中の親水性基の含有量率、
重合体(PH)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって重合体(P)から分取した、重合体(P)の質量平均分子量(Mw(P))よりも分子量の大きい重合体、及び
重合体中のラクトン骨格、親水性基の含有量率は、NMRによって測定した重合体の全ピークの積分値の和に対するラクトン骨格または親水性基のピークの積分値の比率。)
また(2)式を満足する場合、重合体(P)の質量平均分子量以下の分子量の重合体(PL)と質量平均分子量よりも分子量の大きい重合体(PH)を比較した場合、重合体(PH)のほうが親水性基(C)をより多く含んでいることを意味する。
本発明では、重合体(P)の質量平均分子量よりも分子量の大きい重合体(PH)に、極性の大きいラクトン骨格(B)または親水性基(C)が多く含まれることにより現像特性が改善され、本発明の重合体をレジスト組成物に用いた場合、従来にない高解像度、かつ焦点深度(DOF)に優れたレジスト膜を形成できる。
また、P[B]/PH[B]、P[C]/PH[C]は高解像度で、ディフェクト低減に優れたレジスト組成物を得ることができる点で0.98以下が好ましく、レジスト用溶媒への溶解性の点から、0.2以上が好ましい。
なお、重合体(P)中のラクトン骨格の含有量率はレジスト組成物の感度および解像度の点で60モル%以下が好ましく、基板への密着性の点から、20モル%以上が好ましい。
なお、ラクトン骨格としては、特に限定されず、例えば4〜20員程度のラクトン骨格が挙げられ、ラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に非芳香族性又は芳香族性の炭素環又は複素環が縮合していてもよい。
また、親水性基とは、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、カルボキシ基およびアミノ基の少なくとも1種である。
(i)重合体(P)の質量平均分子量(Mw(P))を求める。
(ii)標準ポリスチレンを用いて検量線(溶出時間と分子量との関係)を求める。
(iii)検量線において、分子量が手順(i)で求めたMw(P)となる溶出時間Tを求める。
(iv)分取カラムに重合体(P)の溶液を注入し、手順(iii)で求めた溶出時間Tより前に溶出してきた成分を重合体(PH)として分取し、溶出時間T以降に溶出してきた成分を重合体(PL)として分取する。
(v)重合体(P)中のラクトン骨格の含有量率および親水性基の含有量率、重合体(PH)中のラクトン骨格の含有量率および親水性基の含有量率を求める。
重合体(P)の質量平均分子量(Mw(P))は、下記GPC条件IにてGPCにより求めたポリスチレン換算値である。
〔GPC条件I〕
装置:東ソー社製、東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC(商品名)、
分離カラム:昭和電工社製、Shodex GPC K−805L(商品名)を3本直列に連結したもの、
測定温度:40℃、
溶離液:テトラヒドロフラン(以下、THFと記す。)、
試料:重合体(P)約20mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液、
流量:1mL/分、
注入量:0.1mL、
検出器:示差屈折計、
検量線I:標準ポリスチレン約20mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液を用いて、上記条件で分離カラムに注入し、溶出時間と分子量との関係を求める。標準ポリスチレンは、下記東ソー社製の標準ポリスチレン(いずれも商品名)を用いる。
F−80(Mw=706,000)、
F−20(Mw=190,000)、
F−4(Mw=37,900)、
F−1(Mw=10,200)、
A−2500(Mw=2,630)、
A−500(Mw=682、578、474、370、260の混合物)。
GPC条件をGPC条件IIに変更し、標準ポリスチレンを用いて検量線II(溶出時間と分子量との関係)を求める。
〔GPC条件II〕
装置:東ソー社製、東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC(商品名)、
分取カラム:昭和電工社製、Shodex GPC K−2005(商品名)を2本直列に連結したもの、
測定温度:40℃、
溶離液:THF、
試料:重合体(P)約120mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液、
流量:4mL/分、
注入量:1mL、
検出器:示差屈折計、
検量線II:標準ポリスチレン約120mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液を用いて、上記条件で分取カラムに注入し、溶出時間と分子量との関係を求める。標準ポリスチレンは、下記東ソー社製の標準ポリスチレン(いずれも商品名)を用いる。
F−80(Mw=706,000)、
F−20(Mw=190,000)、
F−4(Mw=37,900)、
F−1(Mw=10,200)、
A−2500(Mw=2,630)、
A−500(Mw=682、578、474、370、260の混合物)。
検量線IIにおいて、分子量が手順(i)で求めたMw(P)となる溶出時間Tを求める。
分取カラムに重合体(P)の溶液を注入し、GPC条件IIにて、手順(iii)で求めた溶出時間Tより前に溶出してきた成分を重合体(PH)として分取し、溶出時間T以降に溶出してきた成分を重合体(PL)として分取する。
重合体中のラクトン骨格、親水性基の含有量率は、NMRによって測定した重合体の全ピークの積分値の和に対するラクトン骨格または親水性基のピークの積分値の比率である。各含有率は、1H−NMR測定で求めることができる場合には1H−NMR測定により求め、プロトンピークの重なり等により1H−NMR測定で求めることができない場合には、13C−NMR測定により求める。
1H−NMR測定は、日本電子社製、GSX−400型FT−NMR(商品名)を用いて、約5質量%の重合体(P)または重合体(PH)の溶液(重水素化クロロホルム溶液または重水素化ジメチルスルホキシド溶液)を直径5mmφの試験管に入れ、観測周波数400MHz、シングルパルスモードにて、64回の積算で行う。なお、測定温度は、重水素化クロロホルムを溶媒とした場合は40℃、重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とした場合は60℃で行う。
13C−NMR測定は、バリアンテクノロジーズ社製、UNITY−INOVA型FT−NMR(商品名)を用いて、約20質量%の重合体(P)または重合体(PH)の重水素化ジメチルスルホキシドの溶液を直径5mmφの試験管に入れ、測定温度60℃、観測周波数125MHz、核オーバーハウザー効果(NOE)が除去されたプロトン完全デカップリング法にて、50000回の積算で行う。
次に、本願発明のレジスト用重合体の製造方法を説明する。
本願発明のレジスト用重合体は、酸脱離性基を有する単量体と、ラクトン骨格を有する単量体または親水性基を有する単量体を共重合することによって得られる。
重合方法としては、例えば、ラクトン骨格を有する単量体または親水性基を有する単量体を含む反応開始前の重合溶媒に、酸脱離性基を有する単量体と重合開始剤を供給し溶液ラジカル重合を行う方法が挙げられる。
溶液ラジカル重合では、重合初期に高分子量の重合体が生成し、その後、重合が進むにつれて低分子量の重合体が生成する。
また本発明では、反応開始前の重合溶媒に、少なくとも酸脱離性基を有する単量体を供給して重合を行えば、酸脱離性基を有する単量体以外の単量体を供給しても良く、ラクトン骨格を有する単量体または親水性基を有する単量体を供給しても良い。
また、ラクトン骨格を有する単量体は、基板への密着性の点から、重合体(P)の全構成単位(100モル%)中、30モル%以上が好ましく、35モル%以上がより好ましい。また、感度および解像度の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
親水性基を有する単量体としては、中でも、レジスト組成物材料に使用したときの重合体の基板に対する密着性の点から、1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン等が好ましい。
これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、親水性基を有する単量体は、レジストパターン矩形性の点から、重合体(P)の全構成単位(100モル%)中、5〜30モル%が好ましく、10〜25モル%がより好ましい。
該(メタ)アクリル酸エステルには、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有すると共に、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子との結合部位に第3級炭素原子を有する(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
前記脂環式炭化水素基は、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子と直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
このような酸脱離性基を有する単量体として、具体的には、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート等が挙げられる。
これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、酸脱離性基を有する単量体は、感度および解像度の点から、重合体(P)の全構成単位(100モル%)中、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、基板表面等への密着性の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
これらの単量体、重合開始剤の反応容器への供給は、連続供給でも滴下供給でも良く、滴下供給を行う滴下重合法においては、重合容器内を所定の重合温度まで加熱した後、単量体および重合開始剤を、それぞれ独立に、または任意の組み合わせで、重合容器内に滴下する。
有機溶媒(以下、「仕込み溶媒」とも記す。)をあらかじめ重合容器に仕込んでもよく、仕込み溶媒をあらかじめ重合容器に仕込まなくてもよい。仕込み溶媒をあらかじめ重合容器に仕込まない場合、単量体または重合開始剤は、仕込み溶媒がない状態で重合容器中に滴下される。
重合開始剤は、単量体に直接に溶解させてもよく、単量体溶液に溶解させてもよく、滴下溶媒のみに溶解させてもよい。
単量体および重合開始剤は、同じ貯槽内で混合した後、重合容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合容器に供給する直前で混合し、重合容器中に滴下してもよい。
単量体および重合開始剤は、一方を先に滴下した後、遅れて他方を滴下してもよく、両方を同じタイミングで滴下してもよい。
滴下は、連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよい。
重合温度は、50〜150℃が好ましい。
本発明のレジスト組成物は、重合体(P)を溶媒に溶解したものである。また、本発明のレジスト組成物を化学増幅型レジスト組成物として用いる場合は、さらに光酸発生剤を溶解したものである。
光酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物の光酸発生剤として使用可能なものの中から任意に選択できる。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化学増幅型レジスト組成物は、含窒素化合物を含んでいてもよい。含窒素化合物を含むことにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等がさらに向上する。つまり、レジストパターンの断面形状が矩形により近くなり、また、レジスト膜に光を照射し、ついでベーク(PEB)した後、次の現像処理までの間に数時間放置されることが半導体素子の量産ラインではあるが、そのような放置(経時)したときにレジストパターンの断面形状の劣化の発生がより抑制される。
化学増幅型レジスト組成物は、有機カルボン酸、リンのオキソ酸またはその誘導体(以下、これらをまとめて酸化合物と記す。)を含んでいてもよい。酸化合物を含むことにより、含窒素化合物の配合による感度劣化を抑えることができ、また、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等がさらに向上する。
本発明のレジスト組成物には、必要に応じて、界面活性剤、その他のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。これら添加剤は、当該分野で公知のものであればいずれも使用可能である。また、これら添加剤の量は、特に限定されず、適宜決めればよい。
本発明の、微細パターンが形成された基板の製造方法の一例について説明する。
まず、所望の微細パターンを形成しようとするシリコンウエハー等の被加工基板の表面に、本発明のレジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、該レジスト組成物が塗布された被加工基板を、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥することにより、基板上にレジスト膜を形成する。
ついで、レジスト膜に、フォトマスクを介して、250nm以下の光を照射して潜像を形成する(露光)。照射光としては、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUVエキシマレーザーが好ましく、ArFエキシマレーザーが特に好ましい。また、電子線を照射してもよい。
露光後、適宜熱処理(露光後ベーク、PEB)し、レジスト膜にアルカリ現像液を接触させ、露光部分を現像液に溶解させ、除去する(現像)。アルカリ現像液としては、公知のものが挙げられる。
現像後、基板を純水等で適宜リンス処理する。このようにして被加工基板上にレジストパターンが形成される。
レジストパターンが形成された基板は、適宜熱処理(ポストベーク)してレジストを強化し、レジストのない部分を選択的にエッチングする。
エッチング後、レジストを剥離剤によって除去することによって、微細パターンが形成された基板が得られる。
また、以下のようにして、重合体の共重合性、重合体およびレジスト組成物を評価した。
1.重合体の質量平均分子量Mwの測定
重合体(P)の質量平均分子量(Mw(P))は、下記の条件(GPC条件I)でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で求めた。
装置:東ソー(株)製、東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC(商品名)
分離カラム:昭和電工製、Shodex GPC K−805L(商品名)を3本直列に連結したもの、
測定温度:40℃、
溶離液:THF、
試料:重合体(P)約20mgを5mlのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液、
流量:1ml/分、
注入量:0.1ml、
検出器:示差屈折計、
検量線I:標準ポリスチレン約20mgを5mlのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液を用いて、上記の条件で分離カラムに注入し、溶出時間と分子量の関係を求めた。標準ポリスチレンは、以下の東ソー製の標準ポリスチレン(いずれも商品名)を用いた。
F−80(Mw=706,000)、
F−20(Mw=190,000)、
F−4(Mw=37,900)、
F−1(Mw=10,200)、
A−2500(Mw=2,630)、
A−500(Mw=682、578、474、370、260の混合物)。
重合体(P)の質量平均分子量(Mw(P))より大きい分子量である重合体(PH)および重合体(P)の質量平均分子量(Mw(P))以下の分子量である重合体(PL)は、以下の方法(手順(1)〜(4))によって、重合体(P)から分取した。
(1)重合体(P)の質量平均分子量(Mw(P))を前記GPC条件Iによって求めた。
(2)GPCの条件を下記GPC条件IIに変更し、標準ポリスチレンを用いて検量線II(溶出時間と分子量の関係)を求めた。
(3)検量線IIにおいて、分子量が、上記(1)で求めたMw(P)となる溶出時間Tを求めた。
(4)下記GPC条件IIにおいて、分取カラムに重合体(P)の溶液を注入し、上記(3)で求めた溶出時間Tより前に溶出してきた成分をPHとして分取し、当該溶出時間T以降に溶出してきた成分をPLとして分取した。
装置:東ソー(株)製、東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC(商品名)
分取カラム:昭和電工製、Shodex GPC K−2005(商品名)を2本直列に連結したもの
測定温度:40℃
溶離液:THF
試料:重合体(P)約120mgを5mlのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液
流量:4ml/分
注入量:1ml
検出器:示差屈折計
検量線II:標準ポリスチレン約120mgを5mlのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液を用いて、上記の条件で分取カラムに注入し、溶出時間と分子量の関係を求めた。標準ポリスチレンは、以下の東ソー製の標準ポリスチレン(いずれも商品名)を用いた。
F−80(Mw=706,000)、
F−20(Mw=190,000)、
F−4(Mw=37,900)、
F−1(Mw=10,200)、
A−2500(Mw=2,630)、
A−500(Mw=682、578、474、370、260の混合物)。
各構成単位の含有率は、1H−NMR測定で求めることができる場合には1H−NMR測定により求め、プロトンピークの重なり等により1H−NMR測定で求めることができない場合には、13C−NMR測定により求めた。
1H−NMRの測定は、日本電子(株)製、GSX−400型FT−NMR(商品名)を用いて、約5質量%の重合体の溶液(重水素化クロロホルム溶液または重水素化ジメチルスルホキシド溶液)を直径5mmφの試験管に入れ、観測周波数400MHz、シングルパルスモードにて、64回の積算で行った。なお、測定温度は、重水素化クロロホルムを溶媒とした場合は40℃、重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とした場合は60℃で行った。
重合体中のラクトン骨格、親水性基の含有量率は、重合体(P)と重合体(P)から分取した重合体(PH)それぞれについて、NMRによって測定した重合体の全ピークの積分値の和に対するラクトン骨格または親水性基のピークの積分値の比率として求めた。
得られたポリマー溶液について、ポリマー溶液400部と、光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフレート2部と、重合体濃度が12.5質量%になるように溶媒であるPGMEAを混合して均一溶液とした後、孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過し、レジスト組成物溶液を調製する。得られた組成物をシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃、60秒間プリベークを行い、膜厚0.3μmのレジスト膜を製造する。それにマスクを介して波長193nmのArFエキシマレーザーで露光した後、ホットプレートを用いて120℃、60秒間露光後ベークを行う。次いで、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて室温で現像し、純水で洗浄し、乾燥してレジストパターンを製造する。レジストパターンを下記基準に基づき評価する。
ディフェクト:欠陥検出装置で、比較例1のディフェクトを100%として評価する。
○:ディフェクト10%以下
△:ディフェクト70%以下
×:100%
パターン鮮明さ:レジストパターンのSEM写真から、0.16μmのライン・アンド・スペースパターンを比較例1のものを、基準に目視で判断する。
○:パターンが鮮明に精度良く得られる。
△:比較例1よりも鮮明。
×:比較例1と同等。パターンが不鮮明。
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン(ラクトン骨格を有する単量体、以下、GBLMAと記す。)393.0部、乳酸エチル7740部を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記混合物を滴下漏斗より4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。
GBLMA2570部、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(酸脱離性基を有する単量体。以下、MAdMAと記す。)3931部、3−ヒドロキシアダマンチルメタクリレート(親水性基を有する単量体、以下、HAdMAと記す。)1982部、乳酸エチル12730部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業社製、V601(商品名))1020部。
重合体溶液を減圧下で加熱してメタノールおよび水を留去し、さらにPGMEAを留去し、重合体の濃度が25質量%の重合体P1溶液を得た。この際、最高到達真空度は0.7kPa、最高溶液温度は65℃、留去時間は8時間であった。
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、HAdMA198.0部、乳酸エチル7610部を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記混合物を滴下漏斗より4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。
GBLMA2856部、
MAdMA3931部、
HAdMA1784部、
乳酸エチル12860部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業社製、V601(商品名))1062部。
また、重合体P2を用いて実施例1と同様の操作を行い、重合体P2溶液を得た。
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、GBLMA(単量体(a))286.0部、HAdMA(単量体(c))198.0部、乳酸エチル7973部を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記混合物を滴下漏斗より4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。
GBLMA2570部、
MAdMA3931部、
HAdMA1784部、
乳酸エチル12428部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業社製、V601(商品名))1062部。
また、重合体P3を用いて実施例1と同様の操作を行い、重合体P3溶液を得た。
滴下溶液のうち、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業(株)製、V601(商品名))の使用量を250部に変更した以外は、実施例1と同様の操作で、重合体P4を得た。得られた重合体P4の各物性を表1に示す。P[B]/PH[B]は、式(1)を満足していた。さらに、P[C]/PH[C]は、式(2)を満足していた。
また、重合体P4を用いて実施例1と同様の操作を行い、重合体P4溶液を得た。
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、乳酸エチル7310部を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記混合物を滴下漏斗より4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。
GBLMA2856部、
MAdMA3931部、
HAdMA1982部、
乳酸エチル13150部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業社製、V601(商品名))1062部。
また、重合体P’1を用いて実施例1と同様の操作を行い、重合体P’1溶液を得た。
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、MAdMA393.0部、乳酸エチル7900部を全量入れ、攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記の混合物を滴下漏斗より4時間かけてフラスコ内に滴下して重合させ、さらに3時間その温度で重合させた。
GBLMA2856部、
MAdMA3538部、
HAdMA1982部、
乳酸エチル12560部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業(株)製、V−601(商品名))250部。
また、重合体P’2を用いて実施例1と同様の操作を行い、重合体P’2溶液を得た。
滴下溶液のうち、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業(株)製、V601(商品名))の使用量を261部に変更した以外は、比較例1と同様の操作で、重合体P’2を得た。重合体P’2の評価結果を表1に示す。P[B]/PH[B]は、式(1)を満足していなかった。さらに、P[C]/PH[C]は、式(2)を満足していなかった。
また、重合体P’2を用いて実施例1と同様の操作を行い、重合体P’2溶液を得た。
実施例のポリマーを用いた場合は何れも解像度、焦点深度(DOF)、ディフェクトに優れ、0.16μmのライン・アンド・スペースパターンが鮮明に精度良く得られる。しかし、比較例のポリマーを用いた場合には、解像度、焦点深度(DOF)が悪く、該パターンの鮮明さに欠けている。
また、本発明のレジスト用重合体の製造方法は、このような特性を有するレジスト用重合体を生産性よく製造することができる。
さらに、本発明のレジスト用重合体およびレジスト組成物は、DUVエキシマレーザーリソグラフィー、これらの液浸リソグラフィーおよび電子線リソグラフィー、特にArFエキシマレーザーリソグラフィーおよびこの液浸リソグラフィーに好適に用いることができる。
また、本発明のパターン製造方法により高精度の微細なレジストパターンを形成することができ、これにより高精度の微細なパターンが形成された基板を製造することができる。
Claims (6)
- ラクトン骨格を有する単量体または親水性基を有する単量体を含む反応開始前の重合溶媒に、酸脱離性基を有する単量体と重合開始剤を供給し、溶液ラジカル重合を行うことで得られる重合体からなるレジスト材料。
- 得られる重合体(P)が、下記(1)式または(2)式を満足する、請求項1記載のレジスト材料。
P[B]/PH[B]≦0.99・・・(1)
P[C]/PH[C]≦0.99・・・(2)
(P[B]:重合体(P)中のラクトン骨格の含有量率、
PH[B]:重合体(PH)中のラクトン骨格の含有量率、
P[C]:重合体(P)中の親水性基の含有量率、
PH[C]:重合体(PH)中の親水性基の含有量率、
重合体(PH)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって重合体(P)から分取した、重合体(P)の質量平均分子量(Mw(P))よりも分子量の大きい重合体であり、重合体中のラクトン骨格、親水性基の含有量率は、NMRによって測定した重合体の全ピークの積分値の和に対するラクトン骨格または親水性基のピークの積分値の比率である)。 - 請求項1または2に記載のレジスト材料を含む、レジスト組成物。
- 請求項3に記載のレジスト組成物を被加工基板上に塗布し、レジスト膜を形成する工程と、
該レジスト膜に250nm以下の波長の光を照射して潜像を形成する工程と、
潜像が形成されたレジスト膜を現像液で現像処理する工程と
を有する、微細パターンが形成された基板の製造方法。 - 酸脱離性基を有する単量体を含まず、ラクトン骨格を有する単量体または親水性基を有する単量体を含む反応開始前の重合溶媒に、酸脱離性基を有する単量体と重合開始剤を供給し、溶液ラジカル重合を行うレジスト用重合体の製造方法。
- 得られる重合体(P)が、下記(1)式または(2)式を満足する、請求項5記載のレジスト用重合体の製造方法。
P[B]/P H [B]≦0.99・・・(1)
P[C]/P H [C]≦0.99・・・(2)
(P[B]:重合体(P)中のラクトン骨格の含有量率、
P H [B]:重合体(P H )中のラクトン骨格の含有量率、
P[C]:重合体(P)中の親水性基の含有量率、
P H [C]:重合体(P H )中の親水性基の含有量率、
重合体(P H )は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって重合体(P)から分取した、重合体(P)の質量平均分子量(Mw(P))よりも分子量の大きい重合体であり、重合体中のラクトン骨格、親水性基の含有量率は、NMRによって測定した重合体の全ピークの積分値の和に対するラクトン骨格または親水性基のピークの積分値の比率である)。
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