JP6705286B2 - 重合性単量体の製造方法、リソグラフィー用重合体の製造方法およびレジスト組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
その微細化の手法としては、一般に、基板上に設けられたレジスト膜をパターニングする際に該レジスト膜に照射する照射光を短波長化する手法が用いられている。具体的には、従来のg線(波長438nm)、i線(波長365nm)に代表される紫外線からDUV(Deep Ultra Violet)へと照射光が変化してきている。現在では、KrFエキシマレーザー(波長248nm)リソグラフィー技術が市場に導入されており、さらなる短波長化を図ったArFエキシマレーザー(波長193nm)リソグラフィー技術も導入されようとしている。さらに、次世代の技術として、F2エキシマレーザー(波長157nm)リソグラフィー技術が研究されている。また、電子線リソグラフィー技術や、波長13.5nm近傍の極端紫外光(Extreme Ultra Violet light:EUV光)を用いるEUVリソグラフィー技術についても精力的に研究されている。
特許文献1には、短波長の光に対する透明性およびドライエッチング耐性に優れたレジスト用重合体として、ノルボルナンラクトン構造を有する(メタ)アクリル酸エステルを重合性単量体として用いた共重合体が開示されている。また、特許文献1には、前記(メタ)アクリル酸エステルの製造方法として、1,3−ジエンと無水マレイン酸とをディールス・アルダー反応させて得られる付加生成物を選択的に還元し、水和して得られたアルコールを(メタ)アクリルエステル化する方法が開示されている。
特許文献2には、ノルボルナンラクトン構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの安定した工業生産が可能な製造方法として、特定元素の含有率およびラクトン環の立体構造を制御したノルボルネンラクトン化合物と、(メタ)アクリル酸とを付加反応させる方法が開示されている。
特許文献2記載の製造方法では、ノルボルネンラクトン化合物のラクトン環の立体構造や位置の選択性を制御していないために、得られる(メタ)アクリル酸エステルは、複数の異性体の混合物となる。そのため、共重合体のガラス転移温度が低くなり、充分なドライエッチング耐性が発揮されない。
[1]下記式(1)で表される重合性単量体であって、
下記式(2)で表される異性体および下記式(3)で表される異性体の少なくとも一方からなる異性体(i)を85モル%以上の割合で含む、重合性単量体。
[2]前記[1]記載の重合性単量体の製造方法であって、
前記式(1)で表される重合性単量体の異性体の2種以上からなる異性体混合物と、溶媒とを混合し、前記異性体(i)を他の異性体よりも優先的に析出させ、析出物を回収する工程を含む、重合性単量体の製造方法。
[3]前記溶媒がジイソプロピルエーテルを含み、前記溶媒の全質量に対する前記ジイソプロピルエーテルの割合が30質量%以上である、[2]記載の重合性単量体の製造方法。
[4]下記式(a1)で表される構成単位(A)を含むリソグラフィー用重合体であって、
前記構成単位(A)が、下記式(a2)で表される構成単位および下記式(a3)で表される構成単位の少なくとも一方からなる構成単位(A1)を、前記構成単位(A)の総モル数に対して85モル%以上の割合で含む、リソグラフィー用重合体。
[5]重量平均分子量が1,000〜100,000である、[4]記載のリソグラフィー用重合体。
[6]酸脱離性基を有する構成単位(B)をさらに含む、[4]または[5]記載のリソグラフィー用重合体。
[7]前記[4]〜[6]のいずれかに記載のリソグラフィー用重合体と、活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物とを含む、レジスト組成物。
本発明の重合性単量体は、下記式(1)で表される重合性単量体であって、下記式(2)で表される異性体および下記式(3)で表される異性体の少なくとも一方からなる異性体(i)を85モル%以上の割合で含む。
前記割合は、式(1)で表される重合性単量体の異性体の全量(100モル%)に対する割合である。式(1)中のRがメチル基である場合は、式(1)で表され且つRがメチル基である異性体の全量に対する割合であり、Rが水素原子である場合は、式(1)で表され且つRが水素原子である異性体の全量に対する割合である。
本発明の重合性単量体にあっては、異性体(i)の割合が85モル%以上に高められている。そのため、本発明の重合性単量体および必要に応じて他の重合性単量体を重合して得られる重合体は、本発明の重合性単量体の代わりに前記異性体混合物を用いた場合に比べて、高いガラス転移温度を示す。ガラス転移温度が高いため、ドライエッチングの際の熱で軟化しにくく、優れたドライエッチング耐性を発揮する。
前記異性体混合物は、25〜50℃程度の温度条件下で粘性の高い液状であるが、本発明の重合性単量体は、前記温度条件下で固体である。つまり異性体(i)は、前記温度条件下で固体であり、前記異性体混合物には、異性体(i)のほか、前記温度条件下で液状の異性体がある程度高い割合で含まれている。この液状の異性体が、重合体のガラス転移温度を低下させる一因であり、異性体(i)の割合を高め、相対的に液状の異性体の割合を低減することで、重合体のガラス転移温度が高まると考えられる。
異性体(i)の割合の上限は、ドライエッチング耐性の点では特に限定されず、100モル%であってもよい。生産性を考慮すると、99.5モル%以下が好ましい。
本発明の重合性単量体は、後述する本発明のリソグラフィー用重合体の製造用として有用である。
本発明の重合性単量体の製造方法は、前記式(1)で表される重合性単量体の異性体の2種以上からなる異性体混合物と、溶媒とを混合し、前記異性体(i)を他の異性体よりも優先的に析出させ、析出物を回収する工程を含む。
回収された析出物は、本発明の重合性単量体として用いることができる。
固体の異性体は、溶媒に溶解させ、溶媒中に結晶として析出させることができる。一方、液状の異性体は、結晶として析出させることが困難である。そのため、固体の異性体である異性体(i)を、液状の異性体よりも優先的に析出させることができる。このようにして析出した析出物と液体成分とを固液分離して析出物を回収することで、液状の異性体を除去することができ、回収された析出物は、前記異性体混合物よりも高い割合で異性体(i)を含む。
前記異性体混合物の合成方法としては、例えば、前述の特許文献1(特許第4065684号公報)や特開2002−234882号公報に開示される方法が挙げられる。これらの公報に開示される方法では、1,3−ジエンと無水マレイン酸とをディールス・アルダー反応させて得られる付加生成物(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物)を選択的に還元してオレフィンラクトン(4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−デセン−3−オン)とし、該オレフィンラクトンの炭素−炭素二重結合を水和して得られたアルコール(8−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン、9−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オンまたはそれらの混合物)を(メタ)アクリルエステル化することにより、前記式(1)で表される重合性単量体を合成する。
なお、従来、式(1)で表される重合性単量体を合成した後、生成した重合性単量体から特定の異性体を選択することは行われていない。
低極性溶媒としては、除去対象である不要な液状の異性体との相溶性が高いことから、ジイソプロピルエーテルが好ましい。
液状の異性体と溶媒とが相分離すると、液状の異性体は高粘度であるため、析出した異性体に付着し、固液分離の際に析出物とともに回収されてしまう。ただし、ジイソプロピルエーテルの割合が低い場合でも、固液分離後に回収した析出物を溶媒でリンスすることで、液状の異性体を除去し、異性体(i)の割合を高めることができる。
前記ジイソプロピルエーテルの割合の上限は、異性体(i)の純度の点では特に限定されず、100質量%であってもよい。ジイソプロピルエーテルの割合が低くなると、重合性単量体の純度は低下するが、収率が高まる傾向がある。そのため収率の点では、前記ジイソプロピルエーテルの割合が80質量%以下であることが好ましい。
複数種の溶媒を組合わせて使用する場合、複数種の溶媒を予め混合したものを異性体混合物と混合してもよく、複数種の溶媒を順次異性体混合物と混合してもよい。例えば低極性溶媒と他の溶媒とを併用する場合、異性体混合物を先に他の溶媒と混合し、その後で低極性溶媒と混合してもよい。
低極性溶媒と他の溶媒との合計の使用量は、前記異性体混合物に対して3質量倍以上20質量倍以下であることが好ましい。使用量が3質量倍以上であると、析出した析出物を回収する際の操作性が良好である。使用量が20質量倍以下であると、異性体(i)の収量が高くなる。
溶媒中に異性体(i)を析出させるための温度は、10℃以下であることが好ましく、5℃以下であることがより好ましい。温度が10℃より高いと、目的とする異性体(i)の結晶が溶媒に溶解してしまい収量が低下することがある。
前記温度を保持する場合、その保持時間は、1〜5時間程度が好ましい。
回収した析出物に対し、必要に応じて、溶媒によるリンス処理等の後処理を施してもよい。リンス処理する際の好ましい温度は、異性体(i)を析出させるための好ましい温度と同様である。
必要に応じて、例えば重合性単量体中の異性体(i)の割合のさらなる向上のために、回収した析出物と溶媒とを混合し、異性体(i)を優先的に析出させ、析出物を回収する操作を1回以上行ってもよい。
本発明のリソグラフィー用重合体は、以下の構成単位(A)を含む。
本発明のリソグラフィー用重合体は、必要に応じて、構成単位(A)以外の他の構成単位をさらに含んでもよい。
他の構成単位としては、リソグラフィー用重合体の要求特性に応じて、公知の構成単位のなかから適宜選択できる。例えば、以下の構成単位(B)、構成単位(C)、構成単位(D)等が挙げられる。リソグラフィー用重合体に含まれる他の構成単位は1種でもよく2種以上でもよい。
構成単位(A)は、下記式(a1)で表される構成単位である。また、構成単位(A)は、下記式(a2)で表される構成単位および下記式(a3)で表される構成単位の少なくとも一方からなる構成単位(A1)を、構成単位(A)の総モル数に対して85モル%以上の割合で含む。
本発明のリソグラフィー用重合体にあっては、構成単位(A1)の割合が構成単位(A)の総モル数に対して85モル%以上に高められているため、前記異性体混合物を用いたリソグラフィー用重合体に比べて、高いガラス転移温度を示す。ガラス転移温度が高いため、ドライエッチングの際の熱で軟化しにくく、優れたドライエッチング耐性を発揮する。
構成単位(A)の総モル数に対する構成単位(A1)の割合の上限は、ドライエッチング耐性の点では特に限定されず、100モル%であってもよい。生産性を考慮すると、99.5モル%以下が好ましい。
構成単位(B)は、酸脱離性基を有する構成単位である。
「酸脱離性基」とは、酸(例えば、活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物から発生する酸)により開裂する結合を有する基であり、該結合の開裂により酸脱離性基の一部または全部が重合体の主鎖から脱離する基である。
構成単位(B)を有するリソグラフィー用重合体は、活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物と配合してレジスト組成物として用いた場合に、レジストパターン形成を可能とする作用を奏する。すなわち、該レジスト組成物を基板等に塗布してレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部では酸が発生し、該酸の作用によって酸脱離性基が脱離し、露光部と未露光部との間でアルカリ(現像液)に対する溶解性の差が生じる。かかるレジスト膜を現像することでレジストパターンが形成される。したがって、本発明のリソグラフィー用重合体が構成単位(B)を含んでいれば、レジスト用重合体として有用である。
重合性単量体は、通常、重合性多重結合を有する。重合性多重結合とは重合反応時に開裂して重合体鎖を形成する多重結合であり、エチレン性二重結合が好ましい。
酸脱離性基を有する重合性単量体としては、例えば、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有し、かつ酸の作用により脱離可能な基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。前記脂環式炭化水素基は、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子と直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、特に限定されないが例えば、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−(1’−アダマンチル)−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、2−イソプロピル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸脱離性基を有する重合性単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(C)は、ラクトン環を有する構成単位である。ただし、構成単位(C)は、構成単位(A)に含まれないものに限る。また、構成単位(C)は酸脱離性基を有しない。
ラクトン環の例としては、4〜20員環程度のラクトン環が挙げられる。構成単位(C)におけるラクトン環は、ラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に脂肪族または芳香族の炭素環または複素環が縮合した縮合環であってもよい。
ラクトン環を有する重合性単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(D)は、親水性基を有する構成単位である。ただし、構成単位(D)は、酸脱離性基およびラクトン環のいずれも有しない。
「親水性基」とは、−C(CF3)2−OHで表される1価基、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、カルボキシ基およびアミノ基の少なくとも1種である。
親水性基を有する重合性単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リソグラフィー用重合体中の構成単位(A)の含有量は、全構成単位の合計量(100モル%)に対し、1〜60モル%であることが好ましく、10〜50モル%であることがより好ましく、15〜40モル%であることが特に好ましい。構成単位(A)の含有量が前記範囲の下限値以上であると、構成単位(A1)によるガラス転移温度の向上効果が得られやすい。構成単位(A)の含有量が前記範囲の上限値以下であると、構成単位(A)以外の構成単位による性能が充分に発揮され、リソグラフィー特性がより優れたものとなる。
本発明のリソグラフィー用重合体の質量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000であることが好ましく、2,000〜50,000であることがより好ましく、3,000〜30,000であることが特に好ましい。質量平均分子量が前記範囲の下限値以上であると、リソグラフィー用重合体溶液を基板上に塗布・乾燥した際の成膜性がより優れる。質量平均分子量が前記範囲の上限値以下であると、リソグラフィー用重合体溶液を均等な膜厚で塗布することが容易であり、また、レジスト特性が良好である。
リソグラフィー用重合体の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
本発明のリソグラフィー用重合体は、本発明の重合性単量体および必要に応じて他の重合性単量体を重合することにより製造できる。
他の重合性単量体は、前記式(1)で表される重合性単量体以外の重合性単量体である。他の重合性単量体としては、例えば前記構成単位(B)〜(D)の説明で挙げた重合性単量体(酸脱離性基を有する重合性単量体、ラクトン環を有する重合性単量体、親水性基を有する重合性単量体)が挙げられる。これらの重合性単量体は1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤としては、熱により効率的にラジカルを発生するものが好ましい。例えば、アゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等。)、有機過酸化物(2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等。)等が挙げられる。
溶液重合法において、重合性単量体および重合開始剤の重合容器への供給は、連続供給であってもよく、滴下供給であってもよい。製造ロットの違いによる平均分子量、分子量分布等のばらつきが小さく、再現性の良い重合体が簡便に得られる点から、滴下重合法が好ましい。
重合性単量体は、重合性単量体のみで滴下してもよく、重合性単量体を溶媒(以下、「滴下溶媒」とも記す。)に溶解させた重合性単量体溶液として滴下してもよい。
溶媒(以下、「仕込み溶媒」とも記す。)をあらかじめ重合容器に仕込んでもよく、仕込み溶媒をあらかじめ重合容器に仕込まなくてもよい。仕込み溶媒をあらかじめ重合容器に仕込まない場合、重合性単量体または重合開始剤は、仕込み溶媒がない状態で重合容器中に滴下される。
重合開始剤は、重合性単量体に直接に溶解させてもよく、重合性単量体溶液に溶解させてもよく、滴下溶媒のみに溶解させてもよい。
重合性単量体および重合開始剤は、同じ貯槽内で混合した後、重合容器中に滴下してもよく、それぞれ独立した貯槽から重合容器中に滴下してもよく、それぞれ独立した貯槽から重合容器に供給する直前で混合し、重合容器中に滴下してもよい。
重合性単量体および重合開始剤は、一方を先に滴下した後、遅れて他方を滴下してもよく、両方を同じタイミングで滴下してもよい。
滴下速度は、滴下終了まで一定であってもよく、重合性単量体または重合開始剤の消費速度に応じて、多段階に変化させてもよい。
滴下は、連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよい。
重合温度は、50〜150℃が好ましい。
エーテル類:鎖状エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等。)、環状エーテル(テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等。)等。
エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と記す。)、γ−ブチロラクトン等。
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等。
アミド類:N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等。
スルホキシド類:ジメチルスルホキシド等。
芳香族炭化水素:ベンゼン、トルエン、キシレン等。
脂肪族炭化水素:ヘキサン等。
脂環式炭化水素:シクロヘキサン等。
溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
「リソグラフィー用重合体」は、リソグラフィー工程に用いられる重合体である。
本発明のリソグラフィー用重合体の用途は、リソグラフィー工程に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、レジスト膜の形成に用いられるレジスト用重合体、レジスト膜の上層に形成される反射防止膜(TARC)またはレジスト膜の下層に形成される反射防止膜(BARC)の形成に用いられる反射防止膜用重合体、ギャップフィル膜の形成に用いられるギャップフィル膜重合体、トップコート膜の形成に用いられるトップコート膜用重合体等が挙げられる。
本発明のリソグラフィー用重合体は、特に、半導体の製造工程中のリソグラフィー工程で使用される、半導体リソグラフィー用重合体として好適である。
本発明のレジスト組成物は、前述の本発明のリソグラフィー用重合体と、活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」ともいう。)とを含む。ここでの「光」は、活性光線または放射線を意味する。
本発明のレジスト組成物は、レジスト溶媒をさらに含んでもよい。
本発明のレジスト組成物は、本発明のリソグラフィー用重合体および光酸発生剤以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分としては、例えば含窒素化合物、有機カルボン酸、リンのオキソ酸またはその誘導体、その他の各種の添加剤等が挙げられる。
光酸発生剤としては、化学増幅型レジスト組成物の光酸発生剤として使用可能なものの中から任意に選択できる。例えばオニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤の含有量は、リソグラフィー用重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
レジスト溶媒としては、例えば、上記リソグラフィー用重合体の製造方法で重合に用いる溶媒として挙げた溶媒を用いることができる。
含窒素化合物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上のために用いられる。レジスト組成物が含窒素化合物を含むことで、レジストパターンの断面形状が矩形により近くなる。また、レジスト膜に光を照射し、ついでベーク(PEB)した後、次の現像処理までの間に数時間放置されることが半導体素子の量産ラインではあるが、そのような放置(経時)したときにレジストパターンの断面形状の劣化の発生がより抑制される。
含窒素化合物としては、アミンが好ましく、第2級低級脂肪族アミン、第3級低級脂肪族アミンがより好ましい。
含窒素化合物の含有量は、リソグラフィー用重合体100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましい。
有機カルボン酸、リンのオキソ酸またはその誘導体(以下、これらをまとめて酸化合物と記す。)は、含窒素化合物の配合による感度劣化の抑制、レジストパターン形状や引き置き経時安定性の向上等のために用いられる。
有機カルボン酸としては、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が挙げられる。
リンのオキソ酸またはその誘導体としては、リン酸またはその誘導体、ホスホン酸またはその誘導体、ホスフィン酸またはその誘導体等が挙げられる。
酸化合物の含有量は、リソグラフィー用重合体100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
添加剤としては、例えば、界面活性剤、その他のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等が挙げられる。これらの添加剤は、当該分野で公知のものであればいずれも使用可能である。また、これら添加剤の量は、特に限定されず、適宜決めればよい。
まず、所望の微細パターンを形成しようとするシリコンウエハー等の被加工基板の表面(被加工面)上に、本発明のレジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、該レジスト組成物が塗布された被加工基板を、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥することにより、被加工基板上にレジスト膜を形成する。
次いで前記レジスト膜に対し、フォトマスクを介した活性光線または放射線の照射または電子線の描画を行い、潜像を形成する(露光)。活性光線または放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUVエキシマレーザー、電子線等が挙げられる。このとき、該レジスト膜と露光装置の最終レンズとの間に高屈折率液体(純水、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロトリアルキルアミン等)を介在させた状態で活性光線または放射線を照射する液浸露光を行ってもよい。
露光後、適宜熱処理(露光後ベーク、PEB)し、レジスト膜にアルカリ現像液を接触させ、露光部分を現像液に溶解させ、除去する(現像)。アルカリ現像液としては、公知のものが挙げられる。現像後、被加工基板の表面を純水等で適宜リンス処理する。このようにして被加工基板上にレジストパターンが形成される。その後、適宜熱処理(ポストベーク)してレジストを強化する。
次いで、レジストパターンが形成された被加工基板を、レジストパターンをマスクとしてドライエッチングする。これにより、被加工基板のレジストで覆われていない部分が選択的にエッチングされ、微細パターンが形成される。ドライエッチング後、レジストを剥離剤によって除去することによって、微細パターンが形成された基板が得られる。
そのため、本発明のレジスト組成物を用いて上記のようにレジストパターンを形成し、ドライエッチングする際に、レジストが熱により柔らかくなりにくく、優れたドライエッチング耐性を保持できる。
また、ドライエッチング時の熱やポストベーク時の熱によりレジストが柔らかくなると、レジストパターンのダレが生じ、レジストパターンやこれをマスクとして形成される微細パターンのパターン形状(矩形性等)も悪化する。本発明では、レジストが柔らかくなりにくいため、形成されるレジストパターンや微細パターンのパターン形状も良好である。
後述の各例でGC分析に用いた測定条件、1H−NMRおよびH−H COSYによる分析に用いた測定条件をそれぞれ以下に示す。
<GC>
装置…Agilent Technologies社製、Agilent 6890N、
カラム…Agilent Technologies社製、DB−5(30m×0.32mm、膜厚0.25μm)、
カラム温度条件…50℃(5min)→10℃/min→280℃(2min)、
検出器…FID(水素炎イオン化型検出器)、
注入口温度…250℃、
検出器温度…250℃、
キャリアガス…ヘリウム、
カラム流量…3.69(mL/min)、
全流量…190.9(mL/min)、
線速度…53(cm/s)、
スプリット比…50:1、
入口圧…105.6(kPa)、
サンプル…各化合物10mgをアセトン1mLで希釈しGCに1μL注入。
装置:日本電子株式会社製、GSX−270 FT−NMR、
周波数:270MHz、
サンプル:各化合物10mgを1gの重クロロホルムに溶解。
特開2002−234882号公報の実施例1〜2に記載の方法で、前記式(1)で表され且つ式中のRがメチル基である重合性単量体(am−0)を合成した。重合性単量体(am−0)は、粘性の高い液状を呈していた。
得られた重合性単量体(am−0)をGC分析した。結果を図1に示す。図1に示すように、6つのピークが確認された。このことから、重合性単量体(am−0)が、少なくとも6種の異性体の混合物であることが確認できた。各ピークに対応する異性体1〜6の割合(異性体比、モル%)を表1に示す。
また、上記各異性体について、1H−NMRおよびH−H COSYによる分析を行った。図2に、上記異性体のうち、49.5モル%の異性体比で含まれる異性体4のH−H COSYスペクトルを示す。図1中、(1)と(6)、(7)との間にNOE(核オーバーハウザー効果)が観測され、(5)と(9)、(10)との間にNOEが観測され、(5)と(11)との間にNOEが観測された。これらの結果から、異性体4が、前記式(2)で表される異性体または前記式(3)で表される異性体またはそれらの混合物、つまり異性体(i)であることが確認できた。
フラスコに前述の重合性単量体(am−0)56.4g、ジイソプロピルエーテル192.4gを添加し、均一になるまで撹拌した。この溶液を、撹拌を継続しながら、10℃/時間の速度で2℃まで冷却した後、冷却を継続しながら3時間撹拌した。析出した結晶をろ別し、40℃、減圧下で10時間乾燥させて、白色結晶状の重合性単量体(am−1)20.9gを得た。重合性単量体(am−1)をGC分析し、異性体比を求め、結果を表1に示した。重合性単量体(am−1)は、異性体(i)を98.4モル%含有していた。
実施例1において、結晶をろ別した際のろ液を回収し、減圧下でジイソプロピルエーテルを留去させて、透明液体状の重合性単量体(am−2)35.5gを得た。重合性単量体(am−2)をGC分析し、異性体比を求め、結果を表1に示した。重合性単量体(am−2)は、異性体(i)を23.0モル%含有していた。
溶媒として、ジイソプロピルエーテルの代わりにジイソプロピルエーテル/ヘプタン/プロピレングリコールモノメチルエーテル=45.5/45.5/9.0(質量比)の混合溶媒を620.4g用いた以外は実施例1と同様の方法で、白色結晶状の重合性単量体(am−3)19.2gを得た。重合性単量体(am−3)をGC分析し、異性体比を求め、結果を表1に示した。重合性単量体(am−3)は、異性体(i)を97.6モル%含有していた。
溶媒として、ジイソプロピルエーテルの代わりにn−ヘキサンを564.0g用いたこと、および冷却時に溶液が相分離して除きたい異性体が結晶に付着したため、結晶をろ過した際に200gのn−ヘキサン(5℃)でリンスしたこと以外は実施例1と同様の方法で、白色結晶状の重合性単量体(am−4)11.2gを得た。重合性単量体(am−4)をGC分析し、異性体比を求め、結果を表1に示した。重合性単量体(am−4)は、異性体(i)を88.8モル%含有していた。
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、乳酸エチル32.7部、PGMEA32.7部を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記の滴下溶液を滴下漏斗から一定速度で4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。
重合性単量体(am−1)を30.9部、
下記式(4)で表される重合性単量体(bm−1)を28.0部、
下記式(5)で表される重合性単量体(dm−1)を7.7部、
乳酸エチルを33.6部、
PGMEAを51.6部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業社製、V601(商品名))を4.2部。
重合性単量体(am−1)の代わりに重合性単量体(am−3)を使用した以外は、実施例4と同様の操作を行い、重合体(P2)の白色粉体(56.6g)を得た。
重合性単量体(am−1)の代わりに重合性単量体(am−0)を使用した以外は、実施例4と同様の操作を行い、重合体(P3)の白色粉体(56.8g)を得た。
重合性単量体(am−1)の代わりに重合性単量体(am−2)を使用した以外は、実施例4と同様の操作を行い、重合体(P4)の白色粉体(57.1g)を得た。
上記重合体(P1)〜(P4)について、以下の条件(GPC条件)でGPC分析を行い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を求めた。測定結果を表2に示す。
(GPC条件)
装置:東ソー社製、東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC(商品名)、
分離カラム:昭和電工社製、Shodex GPC LF−804(商品名)を3本直列に連結したもの、
測定温度:40℃、
溶離液:THF、
試料:共重合体の約20mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液、
流量:1mL/分、
注入量:0.1mL、
検出器:示差屈折計。
F−80(Mw=706,000)、
F−20(Mw=190,000)、
F−4(Mw=37,900)、
F−1(Mw=10,200)、
A−2500(Mw=2,630)、
A−500(Mw=682、578、474、370、260の混合物)。
上記重合体(P1)〜(P4)について、各重合性単量体に基づく構成単位の組成比(単位:モル%)を、1H−NMRの測定により求めた。測定結果を表2に示す。
この測定においては、日本電子(株)製、JNM−GX270型 超伝導FT(フーリエ変換)−NMR装置を用い、約5質量%のサンプル溶液(溶媒は重水素化ジメチルスルホキシド)を直径5mmφのサンプル管に入れ、観測周波数270MHz、シングルパルスモードにて、1H 64回の積算を行った。測定温度は60℃で行った。
上記重合体(P1)〜(P4)について、JIS K7121 9.3「ガラス転移温度の求め方(2)補外ガラス転移開始温度」によって、ガラス転移温度の測定を行った。測定結果を表2に示す。
示差走査熱量測定(DSC)の測定条件は以下の通りである。
使用装置:Thermo plus Evo/DSC−8230(製品名、リガク社製)、
窒素ガス流量:50mL/分、
試料量:8mg〜10mg、
温度条件(熱履歴除去):25℃から180℃まで10℃/分で昇温し1分保持した後、−20℃/分で25℃まで冷却、
温度条件(評価):25℃から180℃まで10℃/分で昇温、
試料容器:密封式アルミパン、
比較試料:α−酸化アルミナ。
ガラス転移温度は、ドライエッチング耐性の指標となる。また、エッチング後パターニング性の指標ともなる。ガラス転移温度の結果から、実施例4〜5の重合体のリソグラフィー用途における有効性が確認された。
本発明の重合性単量体の製造方法によれば、重合した際にガラス転移温度を低下させるような異性体を選択的に除去し、異性体(i)の割合を高めることができる。
本発明のリソグラフィー用重合体は、ガラス転移温度が高い。そのため、本発明のリソグラフィー用重合体およびこれを含むレジスト組成物は、ドライエッチング耐性に優れる。また、ドライエッチング耐性以外のリソグラフィー特性(例えばパターン形状、ポストエクスポージャーベークやポストベーク時の耐熱性等)にも優れる。
Claims (5)
- 下記式(1)で表される重合性単量体であって、下記式(2)で表される異性体および下記式(3)で表される異性体の少なくとも一方からなる異性体(i)を85モル%以上の割合で含む重合性単量体の製造方法であって、
前記式(1)で表される重合性単量体の異性体の2種以上からなる異性体混合物と、溶媒とを混合し、得られた混合液を、前記異性体(i)を析出させるための温度に冷却して前記異性体(i)を他の異性体よりも優先的に析出させ、析出物を回収する工程を含み、
前記溶媒がジイソプロピルエーテルを含み、前記溶媒の全質量に対する前記ジイソプロピルエーテルの割合が30質量%以上である、重合性単量体の製造方法。
- 請求項1に記載の重合性単量体の製造方法により前記式(1)で表される重合性単量体を製造し、前記式(1)で表される重合性単量体を重合する、リソグラフィー用重合体の製造方法。
- 前記リソグラフィー用重合体の重量平均分子量が1,000〜100,000である、請求項2記載のリソグラフィー用重合体の製造方法。
- 前記式(1)で表される重合性単量体とともに他の重合性単量体を重合し、
前記他の重合性単量体が酸脱離性基を有する単量体を含む、請求項2または3記載のリソグラフィー用重合体の製造方法。 - 請求項2〜4のいずれか一項に記載のリソグラフィー用重合体の製造方法によりリソグラフィー用重合体を製造し、前記リソグラフィー用重合体と、活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物とを配合する、レジスト組成物の製造方法。
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