JP5584213B2 - 経皮吸収型製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、経皮吸収型製剤に関し、さらに詳しくは、支持体の片面に、少なくとも粘着剤を含有する粘着剤層を備え、皮膚に貼付して使用する経皮吸収型製剤に関する。
皮膚面を通して薬剤を生体内へと投与する経皮吸収型製剤としては、薬剤成分を含有する粘着剤層を不織布やプラスチックフィルムの片面に形成させた、テープ状やシート状のものが各種提案されている。このように、皮膚に貼付して適用するタイプの経皮吸収型製剤には、所定の血中濃度を長時間にわたって持続させる特性、及び適用する皮膚面からの脱落を抑制する特性が要求される。前者の特性は、粘着剤層に十分な量の薬剤成分を含有することにより達成される。
このような観点から、経皮吸収型製剤用の粘着剤として架橋タイプの粘着剤が各種検討されている。例えば、特許文献1には、ジアセトンアクリルアミドを共重合させた樹脂と、第1級アミノ基及び/又はカルボキシヒドラジド基を含有する樹脂と、を混合して架橋させたタイプの架橋型皮膚用粘着剤が提案されている。
また、特許文献2には、分子内にアセトアセチル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとその他のアクリル系モノマーとを共重合させ、この共重合体の分子内に存在するアセトアセチル基同士を架橋させたものを粘着剤として使用した医療用経皮吸収テープ製剤用非水性粘着剤が提案されている。
また、特許文献3には、凝集力や貼着力(粘着力)を改善するために、メタクリル酸−2−アセトアセトキシエチルエステル及びその他のビニルモノマーを共重合させて得られた自己架橋可能な粘着性ポリマーAと、アルキル基の炭素原子数が4個〜10個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びその他のビニルモノマーを共重合させた粘着性ポリマーBと、を組み合わせた粘着剤を使用した医療用テープ剤が提案されている。
特開2005−325101号公報 国際公開WO2004/112760号 国際公開WO2006/064747号
特許文献1及び2に記載されたような架橋タイプの粘着剤を使用することにより、粘着剤層に十分な量の薬剤成分を含有させることが可能である。しかし、これらの粘着剤を使用した経皮吸収型製剤は、長時間にわたって貼着性(粘着性)を持続させることが困難な場合があり、例えば、数日間にわたって皮膚に貼付する用途には不適な場合がある。一方、特許文献3に記載されたように、架橋タイプの粘着剤と架橋タイプでない粘着剤とを組み合わせることにより、貼着性の改善を図ることができる。しかしながら、この粘着剤は、粘着剤層に含まれる架橋タイプの粘着剤の割合が減少し、長時間安定して粘着剤層に含有させることのできる薬剤成分や可塑剤の量が少なくなるので、薬剤成分の血中濃度を数日間という長時間にわたって維持させるような用途には不向きである。さらに、特許文献3に記載された粘着剤は、初期貼着性は良好であるが、長時間後の貼着力はまだ十分でない。そのため、長時間適用の経皮吸収型製剤用として、より改善された貼着性が求められていた。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、十分な量の薬剤や可塑剤を含有することのできる架橋タイプの粘着剤を粘着剤層に使用しながら、長時間にわたって貼着性を維持することのできる経皮吸収型製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、2種類の架橋タイプのアクリル系粘着剤である下記Acr−A及びAcr−Bを含む粘着剤を粘着剤層に含有させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。Acr−Aは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とし、ジアセトンアクリルアミドアクリルアミド3〜45質量%を必須モノマー成分として含むアクリル系共重合体(X)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とし、側鎖に第1級アミノ基及び/又はカルボキシヒドラジド基を含むアクリル系共重合体(Y)と、を所定の比率で含有する樹脂混合物である。Acr−Bは、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートと、このアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な1種又は2種以上のビニルモノマーと、の共重合体である。
すなわち本発明は、(1)支持体の片面に、少なくとも粘着剤を含有する粘着剤層を備える経皮吸収型製剤であって、前記粘着剤として、下記アクリル系樹脂Acr−A及びAcr−Bを含むことを特徴とする経皮吸収型製剤である。
(Acr−A)
下記アクリル系共重合体(X)を100質量部と、下記アクリル系共重合体(Y)を0.1〜30質量部とを含む樹脂混合物。
アクリル系共重合体(X); (メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とし、ジアセトンアクリルアミド3〜45質量%を必須モノマー成分として含み、遊離カルボキシル基を含まないアクリル系共重合体。
アクリル系共重合体(Y); (メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とし、側鎖に第1級アミノ基及び/又はカルボキシヒドラジド基を含み、遊離カルボキシル基を含まないアクリル系共重合体。
(Acr−B)
アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートと、前記アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な1種又は2種以上のビニルモノマーとの共重合体であって、遊離カルボキシル基を含まない共重合体。
また本発明は、(2)前記粘着剤層がさらに薬剤及び/又は可塑剤を含有することを特徴とする(1)項記載の経皮吸収型製剤である。
また本発明は、(3)前記薬剤がフェンタニル及び/又はその塩である(2)項記載の経皮吸収型製剤である。
また本発明は、(4)前記可塑剤がミリスチン酸イソプロピル及び/又はパルミチン酸イソプロピルである(2)項又は(3)項記載の経皮吸収型製剤である。
また本発明は、(5)前記粘着剤に含まれるアクリル系樹脂Acr−A及びAcr−Bの質量比が90:10〜50:50であることを特徴とする(1)項から(4)項のいずれか1項記載の経皮吸収型製剤である。
本発明によれば、十分な量の薬剤や可塑剤を含有することのできる架橋タイプの粘着剤を粘着剤層に使用しながら、長時間にわたって貼着性を維持することのできる経皮吸収型製剤が提供される。
以下、本発明の経皮吸収型製剤の一実施形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
本実施形態の経皮吸収型製剤は、支持体上に薬剤面を有し、かつ皮膚に薬剤面を接触させて適用したときに、有効成分が皮膚を通して体内に吸収されるべく設計された製剤である。このような製剤としては、有効成分が皮膚を通して全身循環血流に送達されるべく設計された製剤や、有効成分が皮膚を通して局所に送達されるべく設計された製剤が挙げられる。前者は、日本薬局方で「経皮吸収型製剤」に分類され、後者は、日本薬局方で「貼付剤」に分類されるものであるが、本発明の経皮吸収型製剤は、いずれのタイプの製剤であってもよい。
本実施形態の経皮吸収型製剤は、支持体の片面に少なくとも粘着剤層を備える。この粘着剤層は、薬剤成分を含み、皮膚に接触する面が薬剤面となる。以下、粘着剤層、支持体、及び薬剤成分について説明する。
<粘着剤層>
粘着剤層は、皮膚に接着させるための貼着性を、経皮吸収型製剤に付与するための層である。粘着剤層には、薬剤成分が含まれる。この薬剤成分は、粘着剤層が皮膚と接触する薬剤面を通して、皮膚へと吸収される。粘着剤層には、粘着剤、可塑剤、薬剤成分及びその他の成分が含有される。これらのうち、薬剤成分については後述し、ここでは、粘着剤、可塑剤、及び粘着剤層に含有されるその他の成分について説明する。
[粘着剤]
粘着剤としては、以下に説明するAcr−A及びAcr−Bが少なくとも含まれる。Acr−A及びAcr−Bは、アクリル系の樹脂であり、それぞれ架橋して網目構造を形成でき、粘着剤層全体に薬剤成分や可塑剤を含むことのできる網目構造を形成する。このため、本実施形態の経皮吸収型製剤は、十分な量の薬剤成分や可塑剤を含有することが可能になる。したがって、本実施形態の経皮吸収型製剤は、長時間にわたって、有効成分の血中濃度を所定のレベルに保つことができる。
Acr−A及びAcr−Bは、遊離カルボキシル基を含まないアクリル系の樹脂である。このため、本実施形態の経皮吸収型製剤は、皮膚への刺激性が小さいほか、粘着剤層に含まれる薬剤成分が酸と反応したり、相互作用したりするようなものであっても、薬剤成分の安定性が損なわれたり、経皮吸収性が低下したりすることを防止できる。なお、「遊離カルボキシル基を含まない」とは、設計上、全てのカルボキシル基がエステル結合等の置換基に変換されていることを意味する。このため、Acr−A又はAcr−Bが、例えば、エステル結合等の加水分解により生じたカルボキシル基や、原材料由来の不純物としてカルボキシル基を含んだとしても本発明の範囲に含まれる。
(Acr−A)
まず、アクリル系樹脂であるAcr−Aについて説明する。Acr−Aは、以下に述べるアクリル系共重合体(X)100質量部と、アクリル系共重合体(Y)0.1〜30質量部と、を含有する樹脂混合物である。アクリル系共重合体(X)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とし、ジアセトンアクリルアミド3〜45質量%を必須モノマー成分として含み、遊離カルボキシル基を含まない共重合体である。アクリル共重合体(Y)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とし、側鎖に第1級アミノ基及び/又はカルボキシヒドラジド基を含み、遊離カルボキシル基を含まない共重合体である。このような樹脂混合物は、粘着剤として使用したときに、アクリル系共重合体(X)に含まれるジアセトンアクリルアミド由来のカルボニル基と、アクリル系共重合体(Y)に含まれる第1級アミノ基やカルボキシヒドラジド基との架橋反応に基づく微細な網目構造を粘着剤層全体に形成させることができ、当該網目構造中に薬剤成分等を保持することができる点で、経皮吸収型製剤用途として好ましく使用される。
アクリル系共重合体(X)を製造するには、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とし、ジアセトンアクリルアミドをモノマー全体に対して3〜45質量%添加してラジカル重合させる方法が例示される。これらのモノマー成分は、過酸化化合物又はアゾ系化合物のような重合開始剤を用いて、常法により重合させることができる。これらのモノマーを重合させるにあたり、反応溶液の粘度を調整するために溶媒を適宜添加することが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜12のものが好ましく使用される。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
アクリル系共重合体(Y)を製造するには、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とし、第1級アミノ基を導入するためのモノマー成分及び/又はカルボキシヒドラジド基を導入するためのモノマー成分をモノマー全体に対して1〜30質量%添加してラジカル重合させ、その後、カルボキシヒドラジド基を導入するためのモノマー成分由来の側鎖をカルボキシヒドラジド基に転換する方法が例示される。モノマー成分をラジカル重合させる際は、過酸化化合物又はアゾ系化合物のような重合開始剤を用いて、定法により重合させればよい。モノマー成分をラジカル重合させるにあたり、反応溶液の粘度を調整するために溶媒を適宜添加することが好ましい。なお、共重合体(B)を製造する際に使用される(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、上記共重合体(A)で例示したものと同様のものを使用することができる。
また、アクリル系共重合体(Y)中の第1級アミノ基及び/又はカルボキシヒドラジド基は、アクリル系共重合体(X)との適度の架橋性を発揮するために、アクリル系共重合体(Y)の1分子鎖中に、2個以上存在することが好ましく、3個以上存在することがより好ましい。
さらに、第1級アミノ基を導入するためのモノマー成分及び/又はカルボキシヒドラジド基を導入するためのモノマー成分と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとを、これらのモル比が1:5〜1:100となるように混合して共重合させることが好ましい。
アクリル系共重合体(Y)に対して第1級アミノ基を導入するためのモノマー成分としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと重合可能なビニル基を有し、かつ第1級アミノ基を有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、ビニルアミン等が例示される。
アクリル系共重合体(Y)に対してカルボキシヒドラジド基を導入するためのモノマー成分としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと重合可能なビニル基を有し、かつヒドラジド化合物と反応可能なケト基を有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、ジアセトンアクリルアミド、アクロレイン、アセトアセトキシエチルメタクリレート等が例示される。
カルボキシヒドラジド基を導入するためのモノマー成分由来の側鎖をカルボキシヒドラジド基に転換させるには、上記ラジカル重合で得られた重合体を、極性溶媒に溶解させ、酸触媒の存在下でジカルボン酸のジヒドラジドと反応させればよい。ジカルボン酸のジヒドラジドとしては、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド等が例示される。
なお、本明細書でいう「主たるモノマー成分」とは、共重合体に対して50質量%以上含まれているモノマー成分、又は複数のモノマー成分の中で最も高い割合で含まれているモノマー成分を意味する。
(Acr−B)
次に、アクリル系樹脂であるAcr−Bについて説明する。Acr−Bは、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートと、当該アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な1種又は2種以上のビニルモノマーとの共重合体であって、遊離カルボキシル基を含有しない共重合体である。このような共重合体は、粘着剤として使用したときに、共重合体に含まれるアセトアセトキシアルキル基同士の架橋反応に基づく微細な網目構造を粘着剤層全体に形成させることができ、当該網目構造中に薬剤成分等を保持することができる点で、経皮吸収型製剤用途として好ましく使用される。
アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキレングリコール類の一つの水酸基がアセトアセチル基でアシル化され、他の一つの水酸基がアクリル酸又はメタクリル酸でアシル化された化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルアクリレート等が好ましく例示され、2−アセトアセトキシエチルメタクリレートがより好ましく例示される。また、共重合体におけるアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートの含量としては、共重合体総質量を100としたときに、5〜50質量%程度であることが好ましく、10〜45質量%程度であることがより好ましい。
アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なビニルモノマーとしては、ビニル基を分子内に有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、分子内にヒドロキシル基、アミド基、アルコキシルアルキル基等の官能基を有する官能性モノマー類、及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類等を例示できる。これらのビニルモノマーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体
的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。また、分子内に官能基を有する官能性モノマー類としては、具体的には、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。また、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類としては、具体的には、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートと、他のビニルモノマーとの共重合体は、過酸化化合物又はアゾ系化合物のような重合開始剤を用いて常法により製造される。
既に説明したように、本実施形態の粘着剤は、架橋タイプの樹脂である上記Acr−Aと、同じく架橋タイプの樹脂であるAcr−Bと、を少なくとも含む。一般に、こうした架橋タイプの樹脂を粘着剤として使用すると、粘着剤層の粘着力が低下する傾向にある。しかし、本発明者らは、意外にも、上記Acr−AとAcr−Bとを併用した粘着剤が、これらの樹脂を単独で使用した場合よりも良好な貼着性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。Acr−A又はAcr−Bを単独で粘着剤として使用した場合、経皮吸収型製剤の貼着性は、皮膚に適用してから1日間でほぼ失われる。それに対して、Acr−AとAcr−Bとを併用して粘着剤として使用した場合、経皮吸収型製剤の貼着性は、皮膚に適用してから3日間以上保たれる。さらに、本発明においては、貼着性の付与のために架橋タイプでない樹脂を粘着剤として併用しなくてもよいので、粘着剤層へ薬剤成分を多量に添加することも可能である。なお、必要に応じて、上記Acr−A及びAcr−Bを含む粘着剤に、架橋タイプでない樹脂を添加することも可能である。
粘着剤に含まれるAcr−A及びAcr−Bの質量比は、90:10〜49:51であることが好ましく、90:10〜50:50であることがより好ましく、85:15〜50:50であることがさらに好ましい。粘着剤に含まれるAcr−Bが10質量%以上であることにより、薬剤成分等が添加された粘着剤層において、経時によるゲル分率の上昇が抑制されるので、経皮吸収型製剤の品質を安定なものとすることができる。また、粘着剤に含まれるAcr−Bが51質量%以下であることにより、粘着剤のゲル分率を十分なものとすることができ、経皮吸収型製剤の皮膚への貼付時間が長くなることに伴う、粘着剤層のダレや凝集力低下を抑制することができる。
ここで、ゲル分率とは、粘着剤層に含まれる樹脂成分(粘着剤)において、樹脂成分全体に対する溶剤不溶の樹脂成分の比率を表したものである。この場合の溶剤としては、酢酸エチルが例示される。ここで、Acr−AやAcr−Bの架橋が進むにつれてゲル分率は大きくなるので、ゲル分率は、Acr−AやAcr−Bによる架橋の程度を表す指標でもある。既に説明したように、Acr−AやAcr−Bは、それぞれ単独で架橋して網目構造を形成することができるが、上記のように、Acr−AとAcr−Bとの比率に応じてゲル分率の程度が変化する。このことから、Acr−AとAcr−Bとを混合して使用することにより、これらの間で何らかの相互作用を生じている可能性がある。したがって、Acr−AとAcr−Bとを混合することによって、上記のように十分な貼着性を得ることができるのも、これらの間で何らかの相互作用を生じた結果という可能性がある。
なお、粘着剤のゲル分率は、30〜70%であることが好ましい。粘着剤のゲル分率が30%以上であることにより、経皮吸収型製剤の皮膚への貼付時間が長くなることに伴う、粘着剤層のダレや凝集力低下を抑制することができる。粘着剤のゲル分率が70%以下であることにより、十分な皮膚貼着性が得られる。
[可塑剤]
粘着剤層には、可塑剤を含有させることができる。このような可塑剤としては、一般的に高沸点を有する油状物を用いることができ、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、オレイン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソトリデシル、中鎖脂肪酸トリグリセリド等のような脂肪酸エステル誘導体、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等のような高級アルコール誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のようなポリアルキレングリコール類、オリーブ油、ひまし油等のような油脂類等が挙げられる。これらの中でも、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等は、粘着剤の可塑剤として働くとともに、経皮吸収型製剤中での薬剤成分の拡散を促進させる効果や薬剤成分の皮膚透過を促進させる効果があり、好ましい。これらは単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。可塑剤の配合量は、粘着剤層の全体質量に対して、1〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることがより好ましく、6〜30質量%であることが最も好ましい。可塑剤の配合量が粘着剤層の全体質量に対して1質量%以上であることにより、上記効果を十分に得ることができる。可塑剤の配合量が粘着剤層の全体質量に対して40質量%以下であることにより、粘着剤層から油状物が漏れ出るブリーディングが起こるのを抑制することができる。
[粘着剤層に含有されるその他の成分]
粘着剤層には、必要とされる機能を付与するために各種の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、薬剤成分を溶解させるための溶剤、各種粘着剤、防腐剤、pH調整剤、キレート剤、経皮吸収促進剤、酸化防止剤、賦形剤、香料、色剤等が例示される。
薬剤成分を溶解させるための溶剤は、薬剤を溶解する溶剤であれば特に限定されないが、皮膚刺激性のない溶媒であることが好ましい。このような溶剤としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ヘキサノール、オクタノール等の中級アルコール類、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコール類、脂肪酸エステル類、ポリビニルアルコール、N−メチルピロリドン、乳酸等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
本実施形態の経皮吸収型製剤において、粘着剤層を形成させるには、一例として、上記Acr−A、Acr−B、薬剤成分、可塑剤等といった、粘着剤層に含有させるべき成分を溶剤に溶解させて溶液を作製し、その溶液を支持体に塗布した後、溶剤を公知の方法により加熱蒸散させる方法が挙げられる。このような方法で使用される溶剤としては、経皮吸収型製剤の製造工程中の加熱乾燥工程で蒸散する有機溶媒であれば特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等の有機溶剤を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
<支持体>
支持体は、薬剤成分に対して不透過性又は難透過性であり、かつ柔軟なものが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、ナイロン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂フィルムやアルミニウムシート等が挙げられる。これらが積層されシート状に形成されてもよく、織布や不織布とともに積層されてもよい。また、粘着剤層との接着性を高めるため、コロナ処理、プラズマ放電処理等の表面処理を施したり、アンカー剤によりアンカーコート処理を施したりしてもよい。
<薬剤成分>
薬剤成分は、粘着剤層に含有され、粘着剤層の表面である薬剤面を通して皮膚へと吸収される。本実施形態の経皮吸収型製剤では、薬剤成分としてフェンタニルが使用される。フェンタニルは、1−フェネチル−4−N−プロピオニルアニリノピペリジンと称される化合物である。本実施形態の経皮吸収型製剤で使用されるフェンタニルは、フェンタニル(フリー体)及び/又はその塩である。具体的には、フェンタニル(フリー体)、クエン酸フェンタニル、塩酸フェンタニル、硫酸フェンタニル等が挙げられ、フェンタニル(フリー体)及びその塩が組み合わせて使用されてもよい。使用されるフェンタニルとしては、フェンタニル(フリー体)及び/又はクエン酸フェンタニルが好ましく、フェンタニル(フリー体)がより好ましい。
粘着剤層におけるフェンタニルの含有量は、使用目的等に応じて適宜決定することができるが、少なすぎれば薬理活性が不十分となり、多すぎれば急激に血中濃度が上昇したり貼着性が低下したりすることから、粘着剤層の全体質量に対して、0.01〜50質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましい。フェンタニルは、粘着剤層中で、溶解状態、過飽和状態、又は結晶状態で存在してよい。また、フェンタニルの経皮吸収性を持続的なものとするために、フェンタニルの一部が溶解状態で、一部が結晶状態であってもよい。
以上、本発明の経皮吸収型製剤について、実施形態を示して具体的に説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の構成の範囲内において適宜変更を加えて実施することができる。
例えば、上記実施形態では、薬剤成分としてフェンタニルを使用したが、他の薬剤成分を使用してもよい。
以下、実施例を示して本発明の経皮吸収型製剤をさらに具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではない。
[作製例1;アクリル系樹脂Acr−A]
以下に示す合成方法によって得られたアクリル系共重合体(X)の溶液と、アクリル系共重合体(Y)の溶液とを、溶液に含まれるアクリル系共重合体(X)とアクリル系共重合体(Y)との質量比が100:5になるように混合し、アクリル系樹脂Acr−Aの溶液を得た。
・アクリル系共重合体(X)
アクリル酸−2−エチルヘキシル200質量部、アクリル酸ブチル100質量部、ジアセトンアクリルアミド50質量部、及び酢酸エチル300質量部を加えて混合した。この混合物を、撹拌装置、及び還流冷却装置を備えるセパラブルフラスコに供給し、撹拌及び窒素置換しながら、75℃に昇温した。過酸化ベンゾイル2質量部を酢酸エチル20質量部に溶解した溶液を5分割し、その1部をセパラブルフラスコに添加して、重合を開始した。残りの4部を、反応開始の2時間後から1時間間隔で1部ずつ添加し、添加を終了した後、さらに2時間反応させた。なお、粘度調整のため、反応開始後、2時間ごとに酢酸エチルを50質量部ずつ4回添加した。反応終了後、冷却し、次いで酢酸エチルを添加することで、固形分濃度30質量%のアクリル系共重合体(X)の溶液を得た。
・アクリル系共重合体(Y)
アクリル酸エチル660質量部、ジアセトンアクリルアミド70質量部、分子量調節剤としてドデシルメルカプタン40質量部、及び酢酸エチル400質量部を加えて混合した。この混合物を、撹拌装置及び還流冷却装置を備えるセパラブルフラスコに供給し、撹拌及び窒素置換しながら、70℃に昇温した。アゾビスイソブチロニトリル5質量部を酢酸エチル100質量部に溶解した溶液を5分割し、その1部をセパラブルフラスコに添加して、重合を開始した。残りの4部を、反応開始の2時間後から1時間間隔で1部ずつ添加し、添加を終了した後、さらに2時間反応させた。なお、粘度調整のため、反応開始後、2時間ごとに酢酸エチルを50質量部ずつ4回添加した。その後、アジピン酸ジヒドラジド40質量部を、精製水40質量部、メタノール1600質量部及び酢酸エチル260質量部の混合液に溶解したものを添加し、さらに濃塩酸5質量部を加えた後、70℃に昇温した。反応終了後、冷却し、精製水で3回洗浄した後、生成物を酢酸エチル700質量部、アセトン1400質量部及びメタノール400質量部の混合溶媒に溶解させることで、固形分濃度30質量%のアクリル系共重合体(Y)の溶液を得た。
[作製例2;アクリル系樹脂Acr−B]
2−エチルヘキシルアクリレート158質量部、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート35.1質量部、メチルメタクリレート76.2質量部、ジアセトンアクリルアミド80.3質量部、及びテトラエチレングリコールジメタクリレート1.0質量部を均一に溶解し、モノマー液を調製した。このモノマー液100質量部を、ジムロート冷却器、温度計、窒素ガス吹き込み管、及び撹拌翼を備えた2リットルの4つ口フラスコに仕込み、溶剤として酢酸エチル350質量部を加えた。100mL/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら75℃まで昇温し、75℃で30分間維持した後、開始剤として過酸化ベンゾイル0.35質量部を酢酸エチル5質量部に溶解して添加し、外温を85℃に設定した。溶剤の還流を確認した後、残りのモノマー液を3時間かけて連続して投入した。モノマー液の連続投入を開始した1時間後から、酢酸エチル500質量部を3時間かけて投入した。酢酸エチル投入後12時間撹拌を続けた後、過酸化ベンゾイル0.5質量部を追加触媒として投入し、12時間加熱を続けた後、冷却してアクリル系樹脂Acr−Bの溶液を得た。
[比較作製例1;共重合体Z]
市販のアクリル系共重合体溶液(日本カーバイド工業株式会社製、製品名:ニッセツPE300)を比較試験用の共重合体Zとして使用した。このアクリル系の共重合体Zは、アクリル酸−2−エチルヘキシルモノマー85質量部、アクリル酸−2−ヒドロキシエチルエステル10質量部、及び酢酸ビニル5質量部をラジカル共重合させて作製されたものである。
[実施例1〜8]
作製例1で得られたアクリル系樹脂Acr−Aの溶液、及び作製例2で得られたアクリル系樹脂Acr−Bの溶液を混合し、この混合溶液に、可塑剤としてミリスチン酸イソプロピル(IPM)及びパルミチン酸イソプロピル(IPP)、並びに添加剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を加え、液全体を均一に撹拌することで、混合液を得た。この混合液を、塗工面をコロナ処理した厚さ25μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)製フィルムの支持体上に、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmになるように塗工及び乾燥させることで粘着剤層を形成し、実施例1〜8の経皮吸収型製剤用パッチを作製した。各成分の配合は、乾燥後の質量%が表1に示される値となるように行った。なお、表1に示した各数値は、質量%を意味する。
[比較例1及び2]
一部の成分を配合しなかったこと以外は、上記実施例1〜8と同様の手順にて比較例1及び2の経皮吸収型製剤用パッチを作製した。各成分の配合は、乾燥後の質量%が表1に示される値となるように行った。
[比較例3]
アクリル系樹脂Acr−Aの代わりに、比較作製例1で得られたアクリル系共重合体Zを使用し、かつパルミチン酸イソプロピル(IPP)を配合しなかったこと以外は、上記実施例1〜8と同様の手順にて比較例3の経皮吸収型製剤用パッチを作製した。各成分の配合は、乾燥後の質量%が表1に示される値となるように行った。
Figure 0005584213
[実施例9〜18]
作製例1で得られたアクリル系樹脂Acr−Aの溶液、及び作製例2で得られたアクリル系樹脂Acr−Bの溶液を混合し、この混合溶液に、薬剤成分としてフェンタニル、可塑剤としてミリスチン酸イソプロピル(IPM)及びパルミチン酸イソプロピル(IPP)、並びに添加剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を加え、液全体を均一に撹拌することで、混合液を得た。この混合液を、塗工面をコロナ処理した厚さ25μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)製フィルムの支持体上に、乾燥後の粘着剤層中のフェンタニル濃度が0.42mg/cmになるように塗工及び乾燥させることで粘着剤層を形成し、実施例9〜18の経皮吸収型製剤を作製した。各成分の配合は、乾燥後の質量%が表2に示される値となるように行った。なお、表2に示した各数値は、質量%を意味する。
[比較例4]
アクリル系樹脂Acr−Aの代わりに、比較作製例1で得られたアクリル系共重合体Zを使用し、かつパルミチン酸イソプロピル(IPP)を配合しなかったこと以外は、上記実施例9〜18と同様の手順にて比較例4の経皮吸収型製剤を作製した。各成分の配合は、乾燥後の質量%が表2に示される値となるように行った。
Figure 0005584213
[皮膚貼着性の評価]
実施例1〜8及び比較例1〜3の経皮吸収型製剤用パッチ(3.2cm×3.2cm;10cm)を10人のモニターの右上腕部に貼付し、貼付してから72時間経過後において、各モニターの皮膚貼付状態(剥離状況)を目視で観察した。経皮吸収型製剤用パッチの全面が皮膚に貼り付いていたものを「剥離なし」として、各モニターの皮膚貼付状態を以下の基準で評価し、各評価基準に該当するモニターの人数を調べた。その結果を表3に示す。
◎:剥離なし
○:ごく軽度の剥離が認められた
△:四隅等にやや広い剥離が認められた
×:広い範囲に剥離が認められた、又は貼付部位の大幅なずれが認められた
Figure 0005584213
[ブタ経皮吸収試験1]
ブタ(ランドレース&大ヨークシャー11月齢、雌性、体重約25kg)の背部を除毛し、表面を洗浄した後、傷のない部位に経皮吸収型製剤を72時間貼付して、薬剤成分(フェンタニル)の経皮吸収試験を行った。貼付後、貼付部位を覆うように不浸透性油紙をのせ、不織布粘着包帯で固定後、全体をガーゼで覆い、さらに、粘着性布伸縮包帯にて被覆し、その上から伸縮性ネットで胴体全体を覆った。経皮吸収型製剤を貼付してから72時間経過後において、各製剤の皮膚貼付状態(剥離状況)を目視で観察し、上記ヒトに対する皮膚貼着性試験と同様の評価基準にて、ブタ皮膚貼着性を評価した。また、72時間の貼付試験の後、試験に使用した経皮吸収型製剤を回収し、超音波照射下でメタノール抽出して製剤中の薬剤成分の残存量を調べ、この残存量をもとに、経皮吸収された薬剤の量を算出した。
上記試験を、実施例9〜18及び比較例4の経皮吸収型製剤(フェンタニル含有量2.1mg/5cm)に対して行った。その結果を表4に示す。
[ブタ経皮吸収試験2]
ブタ(ランドレース&大ヨークシャー11月齢、雌性、体重約25kg)の背部を除毛し、表面を洗浄した後、傷のない部位に経皮吸収型製剤を72時間貼付して、薬剤成分(フェンタニル)の経皮吸収試験を行った。貼付後、貼付部位を覆うように不浸透性油紙をのせ、不織布粘着包帯で固定後、全体をガーゼで覆い、さらに、粘着性布伸縮包帯にて被覆し、その上から伸縮性ネットで胴体全体を覆った。経皮吸収試験を実施している間、頚部から挿入して中心静脈に留置したカニューレより、貼付後一定時間ごとに血液を採取し、血漿中の薬剤成分の濃度を測定した。
上記試験を実施例9及び比較例4の経皮吸収型製剤(フェンタニル含有量16.8mg/40cm)に対して行った。その結果を表5に示す。なお、表5中、AUCとは、血液濃度−時間曲線下面積(ng×hr/ml)であり、Cmaxとは、最大血中濃度(ng/ml)を意味する。
Figure 0005584213
◎:剥離なし
○:ごく軽度の剥離が認められた
△:四隅等にやや広い剥離が認められた
×:広い範囲に剥離が認められた、又は貼付部位の大幅なずれが認められた
Figure 0005584213
表3に示す通り、実施例1〜8の経皮吸収型製剤用パッチは、比較例1〜3の経皮吸収型製剤用パッチに比べて、皮膚への貼付から72時間経過後の剥離が抑制されることがわかる。このことから、Acr−A及びAcr−Bという2種類の架橋タイプの粘着剤を併用すると、これらを単独で使用した場合や、これらを単独で使用しつつ他の粘着剤を併用した場合に比べて、粘着力が長期間にわたって持続することが理解され、本発明の有効性が理解される。なお、Acr−Bと架橋タイプでない粘着剤とを併用した比較例3は、初期の貼着性(初期タック)は十分であるものの、時間の経過とともに粘着力が低下する傾向にあり、72時間後の皮膚貼着性は、実施例1〜8よりも劣る結果となった。このような傾向は、薬剤成分を実際に含有する経皮吸収型製剤でも同様に観察された(実施例9〜18及び比較例4、表4)。
また、表4に示す通り、実施例9〜18の経皮吸収型製剤は、比較例4の経皮吸収型製剤に比べて、薬剤の経皮吸収量が多いことがわかる。さらに、表5に示す通り、実施例9の経皮吸収型製剤は、比較例4の経皮吸収型製剤よりも高いAUCを示し、血中濃度の維持という観点から好ましいことが理解される。
以上のことから、本発明の経皮吸収型製剤によれば、架橋タイプの粘着剤を粘着剤層に使用しながら、長時間にわたって貼着性を維持できることが理解され、また、長時間にわたって薬剤成分の血中濃度を維持できることが理解される。

Claims (5)

  1. 支持体の片面に、少なくとも粘着剤を含有する粘着剤層を備える経皮吸収型製剤であって、
    前記粘着剤として、下記アクリル系樹脂Acr−A及びAcr−Bを含むことを特徴とする経皮吸収型製剤。
    (Acr−A)
    下記アクリル系共重合体(X)を100質量部と、下記アクリル系共重合体(Y)を0.1〜30質量部とを含む樹脂混合物。
    アクリル系共重合体(X); (メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とし、ジアセトンアクリルアミド3〜45質量%を必須モノマー成分として含み、遊離カルボキシル基を含まないアクリル系共重合体。
    アクリル系共重合体(Y); (メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とし、側鎖に第1級アミノ基及び/又はカルボキシヒドラジド基を含み、遊離カルボキシル基を含まないアクリル系共重合体。
    (Acr−B)
    アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートと、前記アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な1種又は2種以上のビニルモノマーとの共重合体であって、遊離カルボキシル基を含まない共重合体。
  2. 前記粘着剤層がさらに薬剤及び/又は可塑剤を含有することを特徴とする請求項1記載の経皮吸収型製剤。
  3. 前記薬剤がフェンタニル及び/又はその塩である請求項2記載の経皮吸収型製剤。
  4. 前記可塑剤がミリスチン酸イソプロピル及び/又はパルミチン酸イソプロピルである請求項2又は3記載の経皮吸収型製剤。
  5. 前記粘着剤に含まれるアクリル系樹脂Acr−A及びAcr−Bの質量比が90:10〜49:51であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の経皮吸収型製剤。
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