JPH0672879A - アスピリン含有経皮吸収製剤 - Google Patents

アスピリン含有経皮吸収製剤

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JPH0672879A
JPH0672879A JP15901193A JP15901193A JPH0672879A JP H0672879 A JPH0672879 A JP H0672879A JP 15901193 A JP15901193 A JP 15901193A JP 15901193 A JP15901193 A JP 15901193A JP H0672879 A JPH0672879 A JP H0672879A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 支持体上に、薬物を含有した粘着基剤層が設
けられている経皮吸収製剤において、粘着基剤が、アル
キル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキル
エステル65〜99重量%とN−ビニル−2−ピロリド
ン1〜35重量%とを共重合させてなり常温で粘着性を
有するアクリル系共重合体からなり、薬物がアスピリン
である、アスピリン含有経皮吸収製剤である。 【効果】 鎮痛剤として、副作用が少なく、薬効持続性
が優れ、かつ使い勝手がよく、保存安定性が良好なアス
ピリン含有経皮吸収製剤を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アスピリンを含有し
た経皮吸収製剤に関するものであり、より詳細には粘着
基剤の改良によりアスピリンの保存安定性を向上せしめ
た経皮吸収製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】アスピリンすなわちアセチルサリチル酸
は、これが発見されてほぼ1世紀になるが、今日でも代
表的な非ステロイド系消炎鎮痛薬の一つとして医療機関
用、一般家庭用を問わず広く用いられている。現在、ア
スピリン製剤は内服剤と坐剤の剤形で上市されている
が、これらの製剤はいずれも全身性の鎮痛解熱剤であ
り、特に前者の場合は、副作用の1つである消化管障害
が無視できない問題となっている。また、これらの製剤
は、一般に薬効の持続性を確保するために、1日2〜3
回の投与を行わなければならず、煩わしさを伴う。この
ような問題点から、副作用が少なく、かつ薬効持続性を
有するアスピリン含有経皮吸収剤の開発が重要な意義を
持つ。
【0003】アスピリンの経皮、経粘膜吸収を企画した
ものとして下記のものが挙げられる。USP46406
89にはイオントフォレシスによるアスピリンの経皮吸
収装置が記載されている。USP4885287にはア
スピリン水溶液、懸濁液、ゲルもしくは軟膏の鼻粘膜投
与について記載されている。EP0114125A2
(USP4460368)には薬物貯蔵槽と薬物透過膜
と粘着テープとからなる薬物経皮吸収装置にアスピリン
水溶液を充填し、アスピリンを経皮吸収せしめる装置に
ついて記載されている。EP0162239A1(US
P4948588)にはグリセロール、ポリグリセロー
ルもしくはアルコールから選ばれる吸収促進剤と、それ
を用いたアスピリン含有座剤について記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようにアスピリン
の経皮、経粘膜投与に関する試みは従来からなされてき
たが、これらの先行技術は、実用に耐え得る有効なアス
ピリン経皮、経粘膜剤としてははなはだ不充分である。
すなわち、アスピリンは極めて加水分解され易く、かつ
これらの経皮、経粘膜吸収製剤においてアスピリンの一
部もしくは全量が溶解型で含有されているので、このよ
うな剤型では実用的な安定性確保が大きな課題となる。
しかし、上記先行技術ではこの安定性確保に関する検討
は全くなされていない。
【0005】アスピリンの安定性の見地から考えると自
由水の多い水溶液は極めて不利であり、座剤、軟膏剤、
ゲル剤もしくはテープ剤などの剤型が有利である。しか
し座剤は適用部位が直腸に限定され、軟膏剤やゲル剤は
鼻粘膜投与などでは有効な剤型であるが、経皮投与では
塗布した製剤が衣服に付着してこれを汚したり、投与量
が均一でなくなったり、ベタベタ感があるなど使用上の
不具合が多い。従ってアスピリンの経皮投与において
は、適用しやすく、かつ安定性を確保しやすい点からテ
ープ剤が適当であるが、さらに実用上の安定性を確保す
るための手段を講じる必要がある。
【0006】この発明は上記の如き実情に鑑みてなされ
たもので、その目的は、副作用が少なく、薬効持続性が
優れ、かつ使い勝手がよく、保存安定性が良好なアスピ
リン含有経皮吸収製剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を解
決すべく工夫されたもので、粘着基剤として特定の物質
を用いることによりアスピリンの保存安定性を向上させ
ることができるという知見を得て完成されたものであ
る。
【0008】すなわち、この発明による第1のアスピリ
ン含有経皮吸収製剤は、支持体上に、薬物を含有した粘
着基剤層が設けられている経皮吸収製剤において、粘着
基剤が、アルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル65〜99重量%とN−ビニル−
2−ピロリドン1〜35重量%とを共重合させてなり常
温で粘着性を有するアクリル系共重合体からなり、薬物
がアスピリンであるものである。
【0009】第1のアスピリン含有経皮吸収製剤は、上
記粘着基剤がさらにN−ビニル−2−ピロリドンの単独
重合体を含有し、共重合および単独重合に用いられたN
−ビニル−2−ピロリドンの全量がモノマーの全使用量
に対し2〜35重量%であるものであってもよい。
【0010】この発明による第2のアスピリン含有経皮
吸収製剤は、支持体上に、薬物を含有した粘着基剤層が
設けられている経皮吸収製剤において、粘着基剤が、ア
ルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル65〜99重量%とN−ビニル−2−ピロリ
ドン1〜35重量%とを共重合させてなり常温で粘着性
を有する共重合体(a) 70〜99.5重量%と、アルキ
ル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル40〜80重量%と(メタ)アクリル酸20〜6
0重量%を共重合させてなる共重合体(b) 0.5〜30
重量%とからなるアクリル系共重合体組成物であり、薬
物がアスピリンであるものである。
【0011】この発明による第3のアスピリン含有経皮
吸収製剤は、支持体上に、薬物を含有した粘着基剤層が
設けられている経皮吸収製剤において、アルキル基の炭
素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを
(共)重合体させてなり常温で粘着性を有する(共)重
合体(a')70〜99.5重量%と、アルキル基の炭素数
1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル40〜
80重量%と(メタ)アクリル酸20〜60重量%を共
重合させてなる共重合体(b) 0.5〜30重量%とから
なるアクリル系共重合体組成物であり、薬物がアスピリ
ンであるものである。
【0012】この発明による第4のアスピリン含有経皮
吸収製剤は、支持体上に、薬物を含有した粘着基剤層が
設けられている経皮吸収製剤において、粘着基剤が、ア
ルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル87〜99重量%と(メタ)アクリル酸1〜
13重量%とを共重合させてなり常温で粘着性を有する
アクリル系共重合体からなり、薬物がアスピリンである
ものである。
【0013】第4のアスピリン含有経皮吸収製剤は、上
記粘着基剤がさらに該アクリル系共重合体100重量部
に対しN−ビニル−2−ピロリドンの単独重合体を1〜
54重量部含有するものであってもよい。
【0014】この発明による第1〜4のアスピリン含有
経皮吸収製剤は、上記粘着基剤がさらに、脂肪族オキシ
酸、脂肪族ジカルボン酸、グリチルリチン酸、(イソ)
アスコルビン酸、チオグリコール酸、トコフェロールも
しくはその誘導体および没食子酸よりなる群から選ば
れ、かつ生体膜学的に許容される少なくとも1つの化合
物1〜30重量%を含有するものであってもよい。これ
らの化合物は、アスピリンの保存安定効果を示す。
【0015】この発明による経皮吸収製剤の構成成分お
よび製造法について詳述する。
【0016】a) 粘着基剤 (1) この発明による第1の経皮吸収製剤のアクリル系
共重合体用の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、
炭素数1〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル
酸とから得られたエステルである。
【0017】上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル
としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキ
シル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘ
キシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、
アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル
酸ステアリル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタク
リル酸イソブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、
メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタ
クリル酸ステアリル、メタクリル酸ドデシルなどが例示
される。
【0018】N−ビニル−2−ピロリドンは官能性モノ
マーとして上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと
共重合させられる。
【0019】共重合に供される全モノマー中の(メタ)
アクリル酸アルキルエステルの割合は65〜99重量
%、好ましくは70〜95重量%であり、ビニルピロリ
ドンの割合は1〜35重量%、好ましくは5〜30重量
%である。全モノマー中の(メタ)アクリル酸アルキル
エステルの割合が65重量%未満であると(ビニルピロ
リドンの割合が35重量%を越えると)、粘着基剤の粘
着性が不足し、逆に(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルの割合が99重量%を越えると(ビニルピロリドンの
割合が1重量%未満であると)、アスピリンの保存安定
効果が十分に発揮されない。
【0020】共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキル
エステルとN−ビニル−2−ピロリドンの他に、別の官
能性モノマーを49重量%以下の範囲で共重合したもの
でもあり得る。
【0021】別の官能性モノマーの例としては、水酸基
を有するモノマー、アミド基を有するモノマー、アミノ
基を有するモノマー、その他の共重合可能なモノマーが
挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレートなどが例示される。アミド基を有
するモノマーとしては、アクリルアミド、ジメチルアク
リルアミド、ジエチルアクリルアミドなどの(メタ)ア
クリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N
−エトキシメチルアクリルアミドなどのN−アルコキシ
メチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルア
ミドなどが例示される。アミノ基を有するモノマーとし
ては、ジメチルアミノエチルアクリレートなどが例示さ
れる。その他の共重合可能なモノマーとしては、酢酸ビ
ニル、ビニルアルコール、スチレン、α−メチルスチレ
ン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プロピ
レン、ブタジエンなども使用できる。
【0022】アクリル系共重合体の調製において、場合
により多官能性モノマーが加えられ、他のモノマー成分
と共重合されることもある。この多官能性モノマーの添
加により、生成する重合体間にごくわずかに架橋が生
じ、それにより粘着剤の内部凝集力が増大する。そのた
め貼付された皮膚の性状や発汗量にほとんど無関係に貼
付剤剥離時のいわゆる糊残り現象がほぼ解消せられる。
しかも、この多官能性モノマーの添加は薬物の放出性や
低皮膚刺激性には何ら悪影響を与えない。このような多
官能性モノマーとしては、たとえば、ジ(メタ)アクリ
レート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)ア
クリレートなどが例示されるが、これに限定されない。
より具体的には、ヘキサメチレングリコールやオクタメ
チレングリコールなどのポリメチレングリコール類と
(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジ(メタ)
アクリレート;ポリエチレングリコールやポリプロピレ
ングリコールなどのポリアルキレングリコール類と(メ
タ)アクリル酸とを反応させて得られるジ(メタ)アク
リレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レートやグリセリントリ(メタ)アクリレートなどのト
リ(メタ)アクリレート;およびペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレートなどのテトラ(メタ)アク
リレートが例示される。これら多官能性モノマーは2種
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】多官能性モノマーは共重合体の調製に用い
られる多官能性モノマー以外のモノマー100重量部に
対し0.005〜0.5重量部の割合で使用される。多
官能性モノマーの含有量が0.005重量部未満である
と、架橋による内部凝集力向上の効果が小さく、また
0.5重量部を超えると重合により得られるアクリル系
共重合体がゲル化を起こし易く、アスピリンの拡散・放
出にも好ましくない影響が現われる。
【0024】第1の経皮吸収製剤の粘着基剤には、さら
にN−ビニル−2−ピロリドンの単独重合体を含有させ
ることもある。この場合、共重合および単独重合に用い
られたN−ビニル−2−ピロリドンの全量がモノマーの
全使用量に対し2〜35重量%、好ましくは5〜30重
量%である。
【0025】第1の経皮吸収製剤の粘着基剤を構成する
共重合体の代表例は、アクリル酸2−エチルヘキシル6
5〜99重量%とN−ビニル−2−ピロリドン1〜35
重量%の共重合体である。
【0026】(2) この発明による第2の経皮吸収製剤
の共重合体(a) は、第1の経皮吸収製剤の共重合体と同
じものである。
【0027】他方、共重合体(b) は、アスピリンの保存
安定化効果を示すと共に、アスピリンの放出性を向上さ
せて、十分な血中濃度を確保する作用を有する。共重合
体(b) の調製に用いられる(メタ)アクリル酸アルキル
エステルは、やはり炭素数1〜18の脂肪族アルコール
と(メタ)アクリル酸とから得られたエステルであり、
第1の経皮吸収製剤の共重合体用の(メタ)アクリル酸
アルキルエステルと同じ化合物が例示される。
【0028】共重合体(b) の調製に用いられる全モノマ
ー中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は4
0〜80重量%、(メタ)アクリル酸の割合は20〜6
0重量%である。全モノマー中の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルの割合が40重量%未満であると((メ
タ)アクリル酸の割合が60重量%を越えると)、共重
合体(a) と共重合体(b) の相溶性が悪くなり、逆に(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルの割合が80重量%を
越えると((メタ)アクリル酸の割合が20重量%未満
であると)、アスピリンの保存安定効果が十分に発揮さ
れない。
【0029】共重合体(b) の具体例としては、メタクリ
ル酸11.5〜15.5重量%−アクリル酸エチル8
4.5〜88.5重量%・共重合体(オイドラギットL
30D−55、L100−55、レーム・ファルマ社(R
ohm Pharma Gmbh)製)、メタクリル酸38〜52重量%
−メタクリル酸メチル48〜62重量%・共重合体(オ
イドラギットL100、レーム・ファルマ社製)、メタ
クリル酸25〜35重量%−メタクリル酸メチル65〜
75重量%・共重合体(オイドラギットS100、レー
ム・ファルマ社製)などが例示される。
【0030】共重合体(a) と共重合体(b) の配合割合
は、共重合体(a) 70〜99.5重量%、好ましくは8
0〜99重量%に対し、共重合体(b) 0.5〜30重量
%、好ましくは1〜20重量%である。
【0031】共重合体(a) の割合が70重量%未満であ
ると(共重合体(b) の割合が30重量%を越えると)、
粘着基剤層の粘着性が不足し、逆に共重合体(a) の割合
が99.5重量%を越えると(共重合体(b) の割合が
0.5重量%未満であると)、アスピリンの保存安定効
果が十分に発揮されない。
【0032】(3) この発明による第3の経皮吸収製剤
のアクリル系(共)重合体(a')の調製に用いられる(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルは、やはり炭素数1〜
18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とから得
られたエステルであり、第1の経皮吸収製剤の共重合体
用の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと同じ化合物
が例示される。
【0033】アクリル系(共)重合体(a')の代表例は、
メタクリル酸−2−エチルヘキシルとアクリル酸−2−
エチルヘキシルとメタクリル酸ドデシルの共重合体(重
量割合で100部:5〜30部:5〜30部)である。
【0034】アクリル系(共)重合体の調製において、
第1の経皮吸収製剤の共重合体の場合と同じ目的で、必
要により多官能性モノマーが加えられ、他のモノマー成
分と共重合されることもある。この多官能性モノマーと
しては、第1の経皮吸収製剤の共重合体の調製の際に用
いられるものと同じ化合物が例示され、添加量も同じで
ある。
【0035】他方、共重合体(b) は、第2の経皮吸収製
剤の共重合体(b) と同じものである。
【0036】共重合体(a')と共重合体(b) の配合割合
は、共重合体(a')70〜99.5重量%、好ましくは8
0〜99重量%に対し、共重合体(b) 0.5〜30重量
%、好ましくは1〜20重量%である。
【0037】共重合体(a')の割合が70重量%未満であ
ると(共重合体(b) の割合が30重量%を越えると)、
粘着基剤層の粘着性が不足し、逆に共重合体(a')の割合
が99.5重量%を越えると(共重合体(b) の割合が
0.5重量%未満であると)、アスピリンの保存安定効
果が十分に発揮されない。
【0038】(4) この発明による第4の経皮吸収製剤
のアクリル系共重合体の(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルは、やはり炭素数1〜18の脂肪族アルコールと
(メタ)アクリル酸とから得られたエステルであり、第
1の経皮吸収製剤の共重合体用の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルと同じ化合物が例示される。
【0039】(メタ)アクリル酸は官能性モノマーとし
て上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合さ
せられる。
【0040】共重合に供される全モノマー中の(メタ)
アクリル酸アルキルエステルの割合は87〜99重量
%、好ましくは90〜96重量%であり、(メタ)アク
リル酸の割合は1〜13重量%、好ましくは4〜10重
量%である。全モノマー中の(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルの割合が87重量%未満であると((メタ)
アクリル酸の割合が13重量%を越えると)、もしく
は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合が99
重量%を越えると((メタ)アクリル酸の割合が1重量
%未満であると)、アスピリンの保存安定効果が十分に
発揮されない。
【0041】アクリル系共重合体にはさらに場合によっ
ては多官能性モノマーが加えられ、他のモノマー成分と
共重合される。この多官能性モノマーについても、第1
の経皮吸収製剤についての説明で述べたものと同じ化合
物が例示され、同じ添加量で使用される。
【0042】第4の経皮吸収製剤の上記粘着基剤には、
さらにN−ビニル−2−ピロリドンの単独重合体を含有
させることもある。この場合、該単独重合体の含有量は
アクリル系共重合体100重量部に対し1〜54重量
部、好ましくは5.3〜43重量部である。N−ビニル
−2−ピロリドンの単独重合体の含有量がアクリル系共
重合体100重量部に対し1重量部未満であると、やは
りアスピリンの保存安定効果が期待できない。また、N
−ビニル−2−ピロリドンの単独重合体の含有量が54
重量部を越えると、粘着基剤の粘着性が不足する。
【0043】この発明による第1〜4のアスピリン含有
経皮吸収製剤において、アスピリンの保存安定用に粘着
基剤に含ませられる化合物のうち、脂肪族オキシ酸とし
ては、グリコール酸、乳酸、α−オキシ酪酸、グリセリ
ン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などが例示され、脂
肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セ
バチン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸や、フマル酸な
どの不飽和脂肪族ジカルボン酸が例示される。トコフェ
ロールもしくはその誘導体としては、α−トコフェロー
ル、酢酸−dl−α−トコフェロールなどが例示され
る。
【0044】該保存安定用化合物は、生体膜学的すなわ
ち皮膚学的および粘膜学的に許容されるものでなければ
ならない。
【0045】該保存安定用化合物の含有量は、1〜30
重量%、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは
1〜15重量%である。該化合物の含有量が1重量%未
満であると、アスピリンの保存安定効果が十分に発揮さ
れず、逆に30重量%を越えると、共重合体の内部凝集
力が著しく低下し、剥離時に皮膚に糊残り現象が生じる
上に粘着性が低下する。
【0046】第1〜4の経皮吸収製剤において、粘着基
剤には、場合によって粘着性の調整のために粘着性付与
剤を配合してもよい。粘着性付与剤の例としては、ロジ
ン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、
石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂などが挙げら
れ、好ましくは水添ロジンエステルなどのロジン系樹脂
が用いられる。また、上記粘着基剤中には、可塑剤;充
填剤;老化防止剤などの配合剤が場合によっては添加さ
れる。
【0047】アクリル系(共)重合体を調製するには、
通常、重合開始剤の存在下に所要のモノマーの溶液重合
を行う。ただし、重合形態はこれに限定されない。また
重合反応条件は主としてモノマーの種類により適宜選定
される。
【0048】b) 薬物 この発明による経皮吸収製剤に使用される薬物は、非ス
テロイド系消炎鎮痛薬の一つであるアスピリンである。
【0049】アスピリンの含有量は、粘着剤層中に好ま
しくは1〜30重量%である。含有量が30重量%より
多いと、アスピリンが粘着剤層中に析出したり、常温で
の粘着剤層の粘着性が不十分になったりする。また、含
有量が1%より少ないと有効な消炎鎮痛効果が十分に発
揮されない。
【0050】c) 支持体 本経皮吸収製剤の支持体としては、柔軟であるが経皮吸
収製剤に自己支持性を付与するものが使用される。支持
体の素材としては、アスピリンに対する親和性を有さな
いものであればよく、具体的には、酢酸セルロース、エ
チルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、酢酸ビ
ニル−塩化ビニル共重合体、ナイロン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ン、ポリ塩化ビニリデン、アルミニウムなどが例示され
る。これら素材はたとえば単層のシートないしフィルム
や2枚以上の積層体として用いられる。アルミニウム以
外の素材は織布や不織布、紙として使用してもよい。上
記素材よりなる支持体の中で、製造が容易であり、かつ
皮膚面に対して適度な追従性を有することから、特にポ
リエチレンテレフタレートとエチレン−酢酸ビニル共重
合体とのラミネートフィルムなどが好ましい。支持体の
厚みはアスピリンの含有量などにより異なるが、通常は
10〜200μm、好ましくは20〜100μmであ
る。
【0051】また、支持体と粘着基剤層との接着性を良
好ならしめるために、支持体にコロナ処理、プラズマ放
電処理を施したり、アンカーコート剤を塗布することも
ある。
【0052】d) 剥離紙 経皮吸収製剤は、使用時までその粘着基剤層表面を保護
するために通常はその貼付面に剥離紙を備えている。剥
離紙としてはポリエチレンテレフタレートのフィルムを
シリコン処理してなるものがよく用いられるが、これは
限定的なものではない。剥離紙の厚みは通常500μm
以下、好ましくは20〜200μmである。
【0053】e) 調製法 この発明による経皮吸収製剤の製法としては、通常の粘
着テープの製造方法が適用できる。その代表例は溶剤塗
工法であり、これ以外にもホットメルト塗工法、エマル
ジョン塗工法、電子線架橋による方法などが用いられ
る。
【0054】この発明による経皮吸収製剤を溶剤塗工法
で製造するには、たとえば、粘着基剤、薬物、さらに場
合によっては各種の配合剤を適当な溶媒に溶解ないし分
散させ、得られた溶液ないし分散液を支持体表面に直接
塗布・乾燥し、厚み10〜200μmの粘着基剤層を形
成する。この粘着基剤層を保護用の剥離紙に密着させ、
目的の経皮吸収製剤を得る。また、この溶液ないし分散
液を保護用の剥離紙上に塗布し、乾燥後に得られた粘着
基剤層を支持体に密着させてもよい。
【0055】この発明による経皮吸収製剤をホットメル
ト法で調製するには、たとえば、粘着基剤、薬物、さら
に場合によっては各種の配合剤を加熱融解した後混合さ
せ、得られた溶融液を支持体表面に直接塗布し、冷却固
化させ、粘着剤層を形成させる。この粘着剤層を保護用
の剥離紙に密着させ、目的の経皮吸収製剤を得る。ま
た、この溶融液を剥離紙上に塗布し、冷却固化後に得ら
れた粘着剤層を支持体に密着させてもよい。
【0056】粘着基剤層の厚みは使用目的により異なる
が、通常、10〜200μmの範囲である。この厚みが
10μmを下回ると必要量の薬物を含有することができ
ず、粘着性も不十分である。厚みが200μmを上回る
と支持体付近の粘着基剤層に含有される薬物が充分に拡
散せず、薬物放出性が低下する。
【0057】
【実施例】つぎに、この発明を具体的に説明するため
に、この発明の一例を示す実施例およびこれとの比較を
示す比較例をいくつか挙げ、さらに得られた各製剤の性
能試験結果を示す。
【0058】なお、実施例1〜6および比較例1〜3は
第1の経皮吸収製剤に対応し、実施例7〜10、34〜
36および比較例4〜7、16は第2の経皮吸収製剤に
対応し、実施例11〜17および比較例8〜11は第4
の経皮吸収製剤に対応し、実施例18〜33および比較
例12〜15はアスピリンの保存安定用化合物を添加し
た製剤に対応し、実施例37〜43および比較例17〜
19は第3の経皮吸収製剤に対応する。
【0059】(a) 経皮吸収製剤の製造 実施例1 i) アクリル系粘着基剤の調製 アクリル酸−2−エチルヘキシル90重量%(225
g)と、N−ビニル−2−ピロリドン10重量%(25
g)をセパラブルフラスコに仕込み、重合初期のモノマ
ー濃度が50重量%となるように酢酸エチル250gを
加えた。この溶液を窒素雰囲気下に80℃に加熱し、重
合開始剤として過酸化ラウロイル1gを酢酸エチル10
0mlに溶解してなる溶液を逐次少量ずつ添加し、8時
間かけて共重合反応を行った。なお、この重合反応中、
粘度が過度に上昇するのを防止するために、酢酸エチル
86gを数回に分けて添加した。
【0060】かくして、固形分濃度37重量%を有する
アクリル系粘着基剤の酢酸エチル溶液を得た。
【0061】ii) 薬物配合塗工液の調製 上記アクリル系粘着基剤の酢酸エチル溶液に薬物アスピ
リンを、全固形分中濃度が15重量%になるように溶解
させ、薬物配合塗工液を調製した。
【0062】iii) 経皮吸収製剤の調製 厚さ35μmのポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルムをシリコン処理してなる剥離紙上に、工程ii)
の薬物配合塗工液を塗布した後、60℃で30分間乾燥
し、厚さ80μmの粘着基剤層を形成した。ついで、P
ETフィルムとエチレン−酢酸ビニルの共重合体(PE
T−EVA)フィルムをラミネートしてなる厚さ35μ
mの支持体のPETフィルム側に上記粘着基剤層を密着
させた。かくして、テープ状の経皮吸収製剤を調製し
た。
【0063】実施例2 実施例1の工程i) において、アクリル酸−2−エチル
ヘキシル80重量%と、N−ビニル−2−ピロリドン2
0重量%を用いて共重合反応を行った以外は、実施例1
と同様の操作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0064】実施例3 実施例1の工程i) において、アクリル酸−2−エチル
ヘキシル70重量%と、N−ビニル−2−ピロリドン3
0重量%を用いて共重合反応を行った以外は、実施例1
と同様の操作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0065】実施例4 実施例1の工程i) において、アクリル酸−2−エチル
ヘキシル95重量%と、N−ビニル−2−ピロリドン5
重量%を用いて共重合反応を行った。ついで、得られた
共重合体を固形分換算値で100重量部取り、これにN
−ビニル−2−ピロリドンの単独重合体(BASF社
製、コリドンK−25)を5.6重量部添加した(共重
合および単独重合に用いられたN−ビニル−2−ピロリ
ドンの全量はモノマーの全使用量に対し10重量%であ
る)。こうして得られた粘着基剤を用いて、実施例1と
同様の操作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0066】実施例5 実施例1の工程i) において、アクリル酸−2−エチル
ヘキシル95重量%と、N−ビニル−2−ピロリドン5
重量%を用いて共重合反応を行った。ついで、得られた
共重合体を固形分換算値で100重量部取り、これにN
−ビニル−2−ピロリドンの単独重合体(BASF社
製、コリドンK−25)を18.8重量部添加した(共
重合および単独重合に用いられたN−ビニル−2−ピロ
リドンの全量はモノマーの全使用量に対し20重量%で
ある)。こうして得られた粘着基剤を用いて、実施例1
と同様の操作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0067】実施例6 実施例1の工程i) において、アクリル酸−2−エチル
ヘキシル95重量%と、N−ビニル−2−ピロリドン5
重量%を用いて共重合反応を行った。ついで、得られた
共重合体を固形分換算値で100重量部取り、これにN
−ビニル−2−ピロリドンの単独重合体を35.7重量
部添加した(共重合および単独重合に用いられたN−ビ
ニル−2−ピロリドンの全量はモノマーの全使用量に対
し30重量%である)。こうして得られた粘着基剤を用
いて、実施例1と同様の操作によって経皮吸収製剤を調
製した。
【0068】比較例1 実施例1の工程i) において、アクリル酸−2−エチル
ヘキシルのみを用いて重合反応を行った以外は、実施例
1と同様の操作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0069】比較例2 実施例1の工程i) において、アクリル酸−2−エチル
ヘキシル60重量%と、N−ビニル−2−ピロリドン4
0重量%を用いて重合反応を行った以外は、実施例1と
同様の操作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0070】比較例3 実施例1の工程i) において、アクリル酸−2−エチル
ヘキシル95重量%と、N−ビニル−2−ピロリドン5
重量%を用いて共重合反応を行った。ついで、得られた
共重合体を固形分換算値で100重量部取り、これにN
−ビニル−2−ピロリドンの単独重合体を58.3重量
部添加した(共重合および単独重合に用いられたN−ビ
ニル−2−ピロリドンの全量はモノマーの全使用量に対
し40重量%である)。こうして得られた粘着基剤を用
いて、実施例1と同様の操作によって経皮吸収製剤を調
製した。
【0071】実施例7 i) アクリル系粘着基剤の調製 a)アクリル酸−2−エチルヘキシル90重量%(22
5g)と、N−ビニル−2−ピロリドン10重量%(2
5g)をセパラブルフラスコに仕込み、重合初期のモノ
マー濃度が50重量%となるように酢酸エチル250g
を加えた。この溶液を窒素雰囲気下に80℃に加熱し、
重合開始剤として過酸化ラウロイル1gを酢酸エチル1
00mlに溶解してなる溶液を逐次少量ずつ添加し、8
時間かけて共重合反応を行った。なお、この重合反応
中、粘度が過度に上昇するのを防止するために、酢酸エ
チル86gを数回に分けて添加した。かくして、固形分
濃度37重量%を有する共重合体(a-1) の酢酸エチル溶
液を得た。 b)また、メタクリル酸メチル75重量%(187.5
g)と、メタクリル酸25重量%(62.5g)をセパ
ラブルフラスコに仕込み、重合初期のモノマー濃度が5
0重量%となるように酢酸エチル250gを加えた。こ
の溶液を窒素雰囲気下に80℃に加熱し、重合開始剤と
して過酸化ラウロイル1gを酢酸エチル100mlに溶
解してなる溶液を逐次少量ずつ添加し、8時間かけて共
重合反応を行った。なお、この重合反応中、粘度が過度
に上昇するのを防止するために、酢酸エチル86gを数
回に分けて添加した。かくして、固形分濃度37重量%
を有する共重合体(b-1) の酢酸エチル溶液を得た。 c)ついで、共重合体(a-1) の酢酸エチル溶液と、共重
合体(b-1) の酢酸エチル溶液とを、各固形分換算値で、
共重合体(a-1) が75重量%、共重合体(b- 1)が25重
量%になるように、均一に混合した。こうして、アクリ
ル系粘着基剤の酢酸エチル溶液(c) を得た。
【0072】ii) 薬物配合塗工液の調製 上記アクリル系粘着基剤の酢酸エチル溶液(c) に薬物ア
スピリンを、全固形分中濃度が15重量%になるように
溶解させ、薬物配合塗工液を調製した。
【0073】iii) 経皮吸収製剤の調製 厚さ35μmのポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルムをシリコン処理してなる剥離紙上に、工程ii)
の薬物配合塗工液を塗布した後、60℃で30分間乾燥
し、厚さ80μmの粘着基剤層を形成した。ついで、P
ETフィルムとエチレン−酢酸ビニルの共重合体(PE
T−EVA)フィルムをラミネートしてなる厚さ35μ
mの支持体のPETフィルム側に上記粘着基剤層を密着
させた。かくして、テープ状の経皮吸収製剤を調製し
た。
【0074】実施例8 工程i) のa) において、アクリル酸ブチル75重量%
と、N−ビニル−2−ピロリドン25重量%を用いて共
重合体(a-2) の酢酸エチル溶液を得、工程i)のc) に
おいて、共重合体(a-2) の溶液と共重合体(b-1) の溶液
を、各固形分換算値で共重合体(a-2) が80重量%、共
重合体(b-1) が20重量%になるように、混合した以外
は、実施例7と同様の操作によって経皮吸収製剤を調製
した。
【0075】実施例9 工程i) のb)において、メタクリル酸メチル60重量
%と、メタクリル酸40重量%を用いて共重合体(b-2)
の酢酸エチル溶液を得、工程iのc) において、共重合
体(a-1) の溶液と共重合体(b-2) の溶液を、各固形分換
算値で共重合体(a-1) が85重量%、共重合体(b-2) が
15重量%になるように、混合した以外は、実施例7と
同様の操作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0076】実施例10 工程i) のc)において、共重合体(a-2) の溶液と、共
重合体(b-2) の溶液を、各固形分換算値で共重合体(a-
2) が90重量%、共重合体(b-2) が10重量%になる
ように、混合した以外は、実施例7と同様の操作によっ
て経皮吸収製剤を調製した。
【0077】比較例4 工程i) のc)において、共重合体(a-1) の溶液と、共
重合体(b-1) の溶液を、各固形分換算値で共重合体(a-
1) が60重量%、共重合体(b-1) が40重量%になる
ように、混合した以外は、実施例7と同様の操作によっ
て経皮吸収製剤を調製した。
【0078】比較例5 工程i) のc)において、共重合体(a-1) の溶液と、共
重合体(b-2) の溶液を、各固形分換算値で共重合体(a-
1) が99.8重量%、共重合体(b-2) が0.2重量%
になるように、混合した以外は、実施例7と同様の操作
によって経皮吸収製剤を調製した。
【0079】比較例6 工程i) のc) において、共重合体(a-2) の溶液と、共
重合体(b-2) の溶液を、各固形分換算値で共重合体(a-
2) が99.8重量%、共重合体(b-2) が0.2重量%
になるように、混合した以外は、実施例7と同様の操作
によって経皮吸収製剤を調製した。
【0080】比較例7 工程i) のc)において、共重合体(b-1) のみからなる
アクリル系粘着基剤を調製した以外は、実施例7と同様
の操作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0081】実施例11 i) アクリル系粘着基剤の調製 アクリル酸−2−エチルヘキシル95重量%(237.
5g)と、アクリル酸5重量%(12.5g)をセパラ
ブルフラスコに仕込み、重合初期のモノマー濃度が50
重量%となるように酢酸エチル250gを加えた。この
溶液を窒素雰囲気下に80℃に加熱し、重合開始剤とし
て過酸化ラウロイル1gを酢酸エチル100mlに溶解
してなる溶液を逐次少量ずつ添加し、8時間かけて共重
合反応を行った。なお、この重合反応中、粘度が過度に
上昇するのを防止するために、酢酸エチル86gを数回
に分けて添加した。
【0082】かくして、固形分濃度37重量%を有する
アクリル系粘着基剤の酢酸エチル溶液を得た。
【0083】ii) 薬物配合塗工液の調製 上記アクリル系粘着基剤の酢酸エチル溶液に薬物アスピ
リンを、全固形分中濃度が15重量%になるように溶解
させ、薬物配合塗工液を調製した。
【0084】iii) 経皮吸収製剤の調製 厚さ35μmのポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルムをシリコン処理してなる剥離紙上に、工程ii)
の薬物配合塗工液を塗布した後、60℃で30分間乾燥
し、厚さ80μmの粘着基剤層を形成した。ついで、P
ETフィルムとエチレン−酢酸ビニルの共重合体(PE
T−EVA)フィルムをラミネートしてなる厚さ35μ
mの支持体のPETフィルム側に上記粘着基剤層を密着
させた。かくして、テープ状の経皮吸収製剤を調製し
た。
【0085】実施例12 実施例11の工程i) において、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル90重量%と、アクリル酸10重量%を用い
て共重合反応を行った以外は、実施例11と同様の操作
によって経皮吸収製剤を調製した。
【0086】実施例13 実施例11の工程i) において、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル95重量%と、メタクリル酸5重量%を用い
て共重合反応を行った以外は、実施例11と同様の操作
によって経皮吸収製剤を調製した。
【0087】実施例14 実施例11の工程i) において、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル90重量%と、メタクリル酸10重量%を用
いて共重合反応を行った以外は、実施例11と同様の操
作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0088】実施例15 実施例11の工程i) において、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル90重量%と、アクリル酸10重量%を用い
て共重合反応を行った。ついで、得られた共重合体を固
形分換算値で100重量部取り、これにN−ビニル−2
−ピロリドンの単独重合体(BASF社製、コリドンK
−25)を11重量部添加した。こうして得られた粘着
基剤を用いて、実施例11と同様の操作によって経皮吸
収製剤を調製した。
【0089】実施例16 実施例11の工程i) において、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル90重量%と、メタクリル酸10重量%を用
いて共重合反応を行った。ついで、得られた共重合体を
固形分換算値で100重量部取り、これにN−ビニル−
2−ピロリドンの単独重合体(BASF社製、コリドン
K−25)を25重量部添加した。こうして得られた粘
着基剤を用いて、実施例11と同様の操作によって経皮
吸収製剤を調製した。
【0090】実施例17 実施例11の工程i) において、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル90重量%と、アクリル酸10重量%を用い
て共重合反応を行った。ついで、得られた共重合体を固
形分換算値で100重量部取り、これにN−ビニル−2
−ピロリドンの単独重合体(BASF社製、コリドンK
−25)を43重量部添加した。こうして得られた粘着
基剤を用いて、実施例11と同様の操作によって経皮吸
収製剤を調製した。
【0091】比較例8 実施例11の工程i) において、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシルのみを用いて重合反応を行った以外は、実施
例11と同様の操作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0092】比較例9 実施例11の工程i) において、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル85重量%と、アクリル酸15重量%を用い
て共重合反応を行った以外は、実施例11と同様の操作
によって経皮吸収製剤を調製した。
【0093】比較例10 実施例11の工程i) において、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル85重量%と、メタクリル酸15重量%を用
いて共重合反応を行った以外は、実施例11と同様の操
作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0094】比較例11 実施例11の工程i) において、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル90重量%と、アクリル酸10重量%を用い
て共重合反応を行った。ついで、得られた共重合体を固
形分換算値で100重量部取り、これにN−ビニル−2
−ピロリドンの単独重合体(BASF社製、コリドンK
−25)を67重量部添加した。こうして得られた粘着
基剤を用いて、実施例11と同様の操作によって経皮吸
収製剤を調製した。
【0095】実施例18 i) アクリル系粘着基剤の調製 アクリル酸−2−エチルヘキシル75重量%(187.
5g)と、N−ビニル−2−ピロリドン25重量%(6
2.5g)をセパラブルフラスコに仕込み、重合初期の
モノマー濃度が50重量%となるように酢酸エチル25
0gを加えた。この溶液を窒素雰囲気下に80℃に加熱
し、重合開始剤として過酸化ラウロイル1gを酢酸エチ
ル100mlに溶解してなる溶液を逐次少量ずつ添加
し、8時間かけて共重合反応を行った。なお、この重合
反応中、粘度が過度に上昇するのを防止するために、酢
酸エチル86gを数回に分けて添加した。
【0096】かくして、固形分濃度37重量%を有する
アクリル系粘着基剤の酢酸エチル溶液を得た。
【0097】ii) 薬物配合塗工液の調製 上記アクリル系粘着基剤の酢酸エチル溶液に酒石酸およ
び薬物アスピリンを、全固形分中の酒石酸および薬物ア
スピリンの濃度がそれぞれ2重量%および15重量%に
なるように溶解させ、薬物配合塗工液を調製した。
【0098】iii) 経皮吸収製剤の調製 厚さ35μmのポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルムをシリコン処理してなる剥離紙上に、工程ii)
の薬物配合塗工液を塗布した後、60℃で30分間乾燥
し、厚さ80μmの粘着基剤層を形成した。ついで、P
ETフィルムとエチレン−酢酸ビニルの共重合体(PE
T−EVA)フィルムをラミネートしてなる厚さ35μ
mの支持体のPETフィルム側に上記粘着基剤層を密着
させた。かくして、テープ状の経皮吸収製剤を調製し
た。
【0099】実施例19 実施例18の工程ii) において、有機酸として酒石酸
を、全固形分中の濃度が10重量%になるように溶解さ
せた以外は、実施例18と同様の操作によって経皮吸収
製剤を調製した。
【0100】実施例20 実施例18の工程ii) において、有機酸として酒石酸
を、全固形分中の濃度が25重量%になるように溶解さ
せた以外は、実施例18と同様の操作によって経皮吸収
製剤を調製した。
【0101】実施例21 実施例18の工程ii) において、有機酸としてコハク酸
を、全固形分中の濃度が10重量%になるように溶解さ
せた以外は、実施例18と同様の操作によって経皮吸収
製剤を調製した。
【0102】実施例22 実施例18の工程ii) において、有機酸としてクエン酸
を、全固形分中の濃度が10重量%になるように溶解さ
せた以外は、実施例18と同様の操作によって経皮吸収
製剤を調製した。
【0103】実施例23 実施例18の工程ii) において、有機酸として乳酸を、
全固形分中の濃度が15重量%になるように溶解させた
以外は、実施例18と同様の操作によって経皮吸収製剤
を調製した。
【0104】実施例24 実施例18の工程ii) において、有機酸としてリンゴ酸
を、全固形分中の濃度が20重量%になるように溶解さ
せた以外は、実施例18と同様の操作によって経皮吸収
製剤を調製した。
【0105】実施例25 実施例18の工程ii) において、有機酸としてグリチル
リチン酸を、全固形分中の濃度が25重量%になるよう
に溶解させた以外は、実施例18と同様の操作によって
経皮吸収製剤を調製した。 実施例26 実施例18の工程ii) において、有機酸としてアスコル
ビン酸を、全固形分中の濃度が2重量%になるように溶
解させた以外は、実施例18と同様の操作によって経皮
吸収製剤を調製した。 実施例27 実施例18の工程ii) において、有機酸としてアスコル
ビン酸を、全固形分中の濃度が15重量%になるように
溶解させた以外は、実施例18と同様の操作によって経
皮吸収製剤を調製した。 実施例28 実施例18の工程ii) において、有機酸としてアスコル
ビン酸を、全固形分中の濃度が20重量%になるように
溶解させた以外は、実施例18と同様の操作によって経
皮吸収製剤を調製した。 実施例29 実施例18の工程ii) において、有機酸としてアスコル
ビン酸を、全固形分中の濃度が25重量%になるように
溶解させた以外は、実施例18と同様の操作によって経
皮吸収製剤を調製した。 実施例30 実施例18の工程ii) において、有機酸としてクエン酸
を、全固形分中の濃度が15重量%になるように溶解さ
せた以外は、実施例18と同様の操作によって経皮吸収
製剤を調製した。
【0106】実施例31 実施例18の工程ii) において、有機酸としてチオグリ
コール酸を、全固形分中の濃度が20重量%になるよう
に溶解させた以外は、実施例18と同様の操作によって
経皮吸収製剤を調製した。
【0107】比較例12 実施例18の工程ii) において、有機酸として酒石酸
を、全固形分中の濃度が40重量%になるように溶解さ
せた以外は、実施例18と同様の操作によって経皮吸収
製剤を調製した。
【0108】比較例13 実施例18の工程ii) において、有機酸を添加しない以
外は、実施例18と同様の操作によって経皮吸収製剤を
調製した。
【0109】比較例14 実施例18の工程ii) において、有機酸としてアスコル
ビン酸を、全固形分中の濃度が40重量%になるように
溶解させた以外は、実施例18と同様の操作によって経
皮吸収製剤を調製した。 実施例32 i) アクリル系粘着基剤の調製 アクリル酸−2−エチルヘキシル75重量%(187.
5g)と、N−ビニル−2−ピロリドン25重量%(6
2.5g)をセパラブルフラスコに仕込み、重合初期の
モノマー濃度が50重量%となるように酢酸エチル25
0gを加えた。この溶液を窒素雰囲気下に80℃に加熱
し、重合開始剤として過酸化ラウロイル1gを酢酸エチ
ル100mlに溶解してなる溶液を逐次少量ずつ添加
し、8時間かけて共重合反応を行った。なお、この重合
反応中、粘度が過度に上昇するのを防止するために、酢
酸エチル86gを数回に分けて添加した。
【0110】かくして、固形分濃度37重量%を有する
アクリル系粘着基剤の酢酸エチル溶液を得た。
【0111】ii) 薬物配合塗工液の調製 上記アクリル系粘着基剤の酢酸エチル溶液にα−トコフ
ェロールおよび薬物アスピリンを、全固形分中のα−ト
コフェロールおよび薬物アスピリンの濃度がそれぞれ1
0重量%および15重量%になるように溶解させ、薬物
配合塗工液を調製した。
【0112】iii) 経皮吸収製剤の調製 厚さ35μmのポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルムをシリコン処理してなる剥離紙上に、工程ii)
の薬物配合塗工液を塗布した後、60℃で30分間乾燥
し、厚さ80μmの粘着基剤層を形成した。ついで、P
ETフィルムとエチレン−酢酸ビニルの共重合体(PE
T−EVA)フィルムをラミネートしてなる厚さ35μ
mの支持体のPETフィルム側に上記粘着基剤層を密着
させた。かくして、テープ状の経皮吸収製剤を調製し
た。
【0113】実施例33 実施例32の工程ii) において、α−トコフェロールの
代わりに没食子酸プロピルを、全固形分中の濃度が25
重量%になるように溶解させた以外は、実施例32と同
様の操作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0114】比較例15 実施例32の工程ii) において、α−トコフェロールを
添加しない以外は、実施例32と同様の操作によって経
皮吸収製剤を調製した。
【0115】実施例34 工程i) のc) において、共重合体(a-1) の溶液と、共
重合体(b-1) の溶液を、各固形分換算値で共重合体(a-
1) が95重量%、共重合体(b-1) が5重量%になるよ
うに、混合した以外は、実施例7と同様の操作によって
経皮吸収製剤を調製した。
【0116】実施例35 工程i) のc) において、共重合体(a-1) の溶液と、共
重合体(b-1) の溶液を、各固形分換算値で共重合体(a-
1) が98重量%、共重合体(b-1) が2重量%になるよ
うに、混合した以外は、実施例7と同様の操作によって
経皮吸収製剤を調製した。
【0117】実施例36 工程i) のc) において、共重合体(a-1) の溶液と、共
重合体(b-2) の溶液を、各固形分換算値で共重合体(a-
1) が99重量%、共重合体(b-2) が1重量%になるよ
うに、混合した以外は、実施例7と同様の操作によって
経皮吸収製剤を調製した。
【0118】比較例16 実施例1の工程i) において、共重合体(b-2) のみから
なるアクリル系粘着基剤を調製した以外は、実施例7と
同様の操作によって経皮吸収製剤を調製した。
【0119】実施例37 工程i) のa) において、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシル80重量%、アクリル酸−2−エチルヘキシル1
0重量%およびメタクリル酸ドデシル10重量%を用い
て共重合体の酢酸エチル溶液を得、これを共重合体(a')
として用いたこと以外は、実施例7と同様の操作によっ
て経皮吸収製剤を調製した。
【0120】実施例38 工程i) のa) において、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシル80重量%、アクリル酸−2−エチルヘキシル1
0重量%およびメタクリル酸ドデシル10重量%を用い
て共重合体の酢酸エチル溶液を得、これを共重合体(a')
として用いたこと以外は、実施例8と同様の操作によっ
て経皮吸収製剤を調製した。
【0121】実施例39 工程i) のa) において、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシル80重量%、アクリル酸−2−エチルヘキシル1
0重量%およびメタクリル酸ドデシル10重量%を用い
て共重合体の酢酸エチル溶液を得、これを共重合体(a')
として用いたこと以外は、実施例9と同様の操作によっ
て経皮吸収製剤を調製した。
【0122】実施例40 工程i) のa) において、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシル80重量%、アクリル酸−2−エチルヘキシル1
0重量%およびメタクリル酸ドデシル10重量%を用い
て共重合体の酢酸エチル溶液を得、これを共重合体(a')
として用いたこと以外は、実施例10と同様の操作によ
って経皮吸収製剤を調製した。
【0123】実施例41 工程i) のa) において、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシル80重量%、アクリル酸−2−エチルヘキシル1
0重量%およびメタクリル酸ドデシル10重量%を用い
て共重合体の酢酸エチル溶液を得、これを共重合体(a')
として用いたこと以外は、実施例34と同様の操作によ
って経皮吸収製剤を調製した。
【0124】実施例42 工程i) のa) において、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシル80重量%、アクリル酸−2−エチルヘキシル1
0重量%およびメタクリル酸ドデシル10重量%を用い
て共重合体の酢酸エチル溶液を得、これを共重合体(a')
として用いたこと以外は、実施例35と同様の操作によ
って経皮吸収製剤を調製した。
【0125】実施例43 工程i) のa) において、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシル80重量%、アクリル酸−2−エチルヘキシル1
0重量%およびメタクリル酸ドデシル10重量%を用い
て共重合体の酢酸エチル溶液を得、これを共重合体(a')
として用いたこと以外は、実施例36と同様の操作によ
って経皮吸収製剤を調製した。
【0126】比較例17 工程i) のa) において、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシル80重量%、アクリル酸−2−エチルヘキシル1
0重量%およびメタクリル酸ドデシル10重量%を用い
て共重合体の酢酸エチル溶液を得、これを共重合体(a')
として用いたこと以外は、比較例4と同様の操作によっ
て経皮吸収製剤を調製した。
【0127】比較例18 工程i) のa) において、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシル80重量%、アクリル酸−2−エチルヘキシル1
0重量%およびメタクリル酸ドデシル10重量%を用い
て共重合体の酢酸エチル溶液を得、これを共重合体(a')
として用いたこと以外は、比較例5と同様の操作によっ
て経皮吸収製剤を調製した。
【0128】比較例19 工程i) のa) において、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシル80重量%、アクリル酸−2−エチルヘキシル1
0重量%およびメタクリル酸ドデシル10重量%を用い
て共重合体の酢酸エチル溶液を得、これを共重合体(a')
として用いたこと以外は、比較例6と同様の操作によっ
て経皮吸収製剤を調製した。
【0129】(b) 経皮吸収製剤の性能評価 実施例および比較例で得られた各経皮吸収製剤につい
て、下記の項目における性能を評価した。
【0130】i) 粘着基剤層中の薬物の定量 粘着基剤層中の薬物アスピリンの定量は下記の方法で行
った。すなわち、3.14cm2 の円形テープ状の経皮
吸収製剤を、剥離紙の除去後、内部標準物質として一定
量のパラヒドロキシ安息香酸エチルを含むテトラヒドロ
フラン5mlに浸漬し、その粘着基剤層を溶解させた。
この溶液にイソプロパノール・水混液(1:1)を50
ml加え、粘着基剤を沈殿させた。この液の上清を採取
し、高速液体クロマトグラフィを用いて、内部標準法に
より粘着基剤層中のアスピリンを定量した。
【0131】ii) 経皮吸収製剤の保存安定性 3.14cm2 の円形テープ状の経皮吸収製剤を、剥離
紙を除去せずに、シリカゲル封入袋(山仁薬品社製、ド
ライヤーン、2g)と共にアルミニウム包材(藤森工業
社製、ペットニウム、厚み74μm)に封入し、60℃
の恒温槽中に7日間置いた。その後、7日後の粘着基剤
層中のアスピリンを定量した。経皮吸収製剤の粘着基剤
層中のアスピリン初期含量に対する7日後のアスピリン
残存率を、60℃における経皮吸収製剤の保存安定性と
した。
【0132】また、第4の経皮吸収製剤について、アク
リル酸含量と残存率の関係を図1に示し、メタクリル酸
含量と残存率の関係を図2に示す。
【0133】iii) 経皮吸収製剤の凝集力 JIS Z 0237−1980に準拠し、各製剤の保
持力を測定することにより、凝集力を評価した。試験の
繰り返し数は3とし、その平均保持力を求めた。本方法
において、皮膚への貼付に際して十分な凝集力を持つも
のは、保持力として約20分以上を示す。よって60分
以上の場合、測定を省略し、>60と記した。
【0134】iv) 経皮吸収製剤の粘着性 3.14cm2 の円形テープ状の経皮吸収製剤を、剥離
紙の除去後、5人の自発的被験者(健常人、男性)の上
腕内側部に貼付し、剥離時の抵抗力および剥離後の皮膚
への糊残りなどについて官能試験を行った。試験結果を
表1〜5にそれぞれ示す。
【0135】表中、○は剥離時に十分な抵抗力がある、
△は剥離時の抵抗力が不十分である、×は剥離時の抵抗
力がないか、もしくは糊残りが生じる、をそれぞれ意味
する。
【0136】v ) マウスの皮膚透過性 下記の手法によりマウスの摘出皮膚に対する薬物アスピ
リンの透過性試験を行った。
【0137】まず、添付図3に示すFranz タイプの拡散
セル(1) を準備した。拡散セル(1)は、下側の有底円筒
状のレセプター槽(2) と、これの上に配置された有底円
筒状のドナー槽(3) とからなる。ドナー槽(3) の底壁中
央には開口部(4) が設けられ、またドナー槽(3) の下端
およびレセプター槽(2) の上端にはそれぞれ上側フラン
ジ(5) および下側フランジ(6) が設けられている。そし
て、上側フランジ(5)と下側フランジ(6) を対向状に重
ね合わせることによって、ドナー槽(3) とレセプター槽
(2) が気密状にかつ同心状に積み重ねられている。レセ
プター槽 (2)にはその側部に側方突出状のサンプリン
グ口(7) が取付けられ、レセプター槽(2) の内部にはマ
グネット攪拌子(9) が入れてある。
【0138】ヘアレスマウス(8週齢、雄)を頸椎脱臼
により屠殺した後、ただちに背部皮膚を剥離して皮下脂
肪と筋層を除去し、約5cm×5cmの摘出皮膚片を得
た。この皮膚片(8) を拡散セル(1) の上側フランジ(5)
と下側フランジ(6) の間に挟着して、ドナー槽(3) の開
口部(4) を皮膚片(8) で完全に閉じるようにした。
【0139】面積3.14cm2 に打ち抜いた円形テー
プ状の経皮吸収製剤試験片(10)を皮膚片(8) の上面に貼
付した。
【0140】レセプター槽(2) には、pH7.2のリン
酸緩衝液からなるレセプター液を満たした。
【0141】ついで、拡散セル(1) を温度37℃に保た
れた恒温槽内に設置し、マグネット攪拌装置によりレセ
プター液の攪拌を行った。試験開始から24時間後に、
サンプリング口(7) からレセプター液を採取し、採取レ
セプター液への薬物の透過量を高速液体クロマトグラフ
法により測定した。試験片の数は製剤毎にそれぞれ3片
ずつとした。こうして、試験片1cm2 当たりの薬物ア
スピリンの透過量を測定した。
【0142】以上の測定の結果を、表1〜5にそれぞれ
示す。
【0143】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】 上記表から明らかなように、この発明の範囲に属する実
施例の経皮吸収製剤は、いずれも良好なアスピリン保存
安定性を示すことが認められる。また、実施例の経皮吸
収製剤の薬物皮膚透過性は比較例の製剤のそれと比べ何
ら遜色ないことが認められる。
【0144】
【発明の効果】この発明により、鎮痛剤として、副作用
が少なく、薬効持続性が優れ、かつ使い勝手がよく、保
存安定性が良好なアスピリン含有経皮吸収製剤を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アクリル酸含量と残存率の関係を示すグラフで
ある。
【図2】メタクリル酸含量と残存率の関係を示すグラフ
である。
【図3】Franz タイプの拡散セルを示す斜視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 7/02 JJW 6770−4J JKE 6770−4J

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、薬物を含有した粘着基剤層
    が設けられている経皮吸収製剤において、粘着基剤が、
    アルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アル
    キルエステル65〜99重量%とN−ビニル−2−ピロ
    リドン1〜35重量%とを共重合させてなり常温で粘着
    性を有するアクリル系共重合体からなり、薬物がアスピ
    リンである、アスピリン含有経皮吸収製剤。
  2. 【請求項2】 上記粘着基剤がさらにN−ビニル−2−
    ピロリドンの単独重合体を含有し、共重合および単独重
    合に用いられたN−ビニル−2−ピロリドンの全量がモ
    ノマーの全使用量に対し2〜35重量%である、請求項
    1記載のアスピリン含有経皮吸収製剤。
  3. 【請求項3】 支持体上に、薬物を含有した粘着基剤層
    が設けられている経皮吸収製剤において、粘着基剤が、
    アルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アル
    キルエステル65〜99重量%とN−ビニル−2−ピロ
    リドン1〜35重量%とを共重合させてなり常温で粘着
    性を有する共重合体(a) 70〜99.5重量%と、アル
    キル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキル
    エステル40〜80重量%と(メタ)アクリル酸20〜
    60重量%を共重合させてなる共重合体(b) 0.5〜3
    0重量%とからなるアクリル系共重合体組成物であり、
    薬物がアスピリンである、アスピリン含有経皮吸収製
    剤。
  4. 【請求項4】 共重合体(a) が、該(メタ)アクリル酸
    アルキルエステル70〜95重量%とN−ビニル−2−
    ピロリドン5〜30重量%とを共重合させてなるアクリ
    ル系共重合体からなる、請求項3記載のアスピリン含有
    経皮吸収製剤。
  5. 【請求項5】 共重合体(b) が、メタクリル酸11.5
    〜15.5重量%−アクリル酸エチル88.5〜84.
    5重量%・共重合体、メタクリル酸38〜52重量%−
    メタクリル酸メチル48〜62重量%・共重合体、メタ
    クリル酸25〜35重量%−メタクリル酸メチル65〜
    75重量%・共重合体よりなる群から選ばれたものであ
    る、請求項3記載のアスピリン含有経皮吸収製剤。
  6. 【請求項6】 支持体上に、薬物を含有した粘着基剤層
    が設けられている経皮吸収製剤において、アルキル基の
    炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
    を(共)重合体させてなり常温で粘着性を有する(共)
    重合体(a')70〜99.5重量%と、アルキル基の炭素
    数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル40
    〜80重量%と(メタ)アクリル酸20〜60重量%を
    共重合させてなる共重合体(b) 0.5〜30重量%とか
    らなるアクリル系共重合体組成物であり、薬物がアスピ
    リンである、アスピリン含有経皮吸収製剤。
  7. 【請求項7】 共重合体(a')が、メタクリル酸−2−エ
    チルヘキシルとアクリル酸−2−エチルヘキシルとメタ
    クリル酸ドデシルの共重合体(重量割合で100部:5
    〜30部:5〜30部)である、請求項6記載のアスピ
    リン含有経皮吸収製剤。
  8. 【請求項8】 共重合体(b) が、メタクリル酸11.5
    〜15.5重量%−アクリル酸エチル84.5〜88.
    5重量%・共重合体、メタクリル酸38〜52重量%−
    メタクリル酸メチル48〜62重量%・共重合体、メタ
    クリル酸25〜35重量%−メタクリル酸メチル65〜
    75重量%・共重合体よりなる群から選ばれたものであ
    る、請求項6記載のアスピリン含有経皮吸収製剤。
  9. 【請求項9】 支持体上に、薬物を含有した粘着基剤層
    が設けられている経皮吸収製剤において、粘着基剤が、
    アルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アル
    キルエステル87〜99重量%と(メタ)アクリル酸1
    〜13重量%とを共重合させてなり常温で粘着性を有す
    るアクリル系共重合体からなり、薬物がアスピリンであ
    る、アスピリン含有経皮吸収製剤。
  10. 【請求項10】 上記粘着基剤がさらに該アクリル系共
    重合体100重量部に対しN−ビニル−2−ピロリドン
    の単独重合体を1〜54重量部含有する、請求項9記載
    のアスピリン含有経皮吸収製剤。
  11. 【請求項11】 上記粘着基剤がさらに、脂肪族オキシ
    酸、脂肪族ジカルボン酸、グリチルリチン酸、(イソ)
    アスコルビン酸、チオグリコール酸、トコフェロールも
    しくはその誘導体および没食子酸プロピルよりなる群か
    ら選ばれ、かつ生体膜学的に許容される少なくとも1つ
    の化合物1〜30重量%を含有する、請求項1〜10の
    うちの1記載のアスピリン含有経皮吸収製剤。
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