JP5582288B2 - エッジシームを低減した熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、従来から、エッジシームの幅方向発生位置を考慮して、熱延鋼帯の幅を製品保証幅より広くして余幅を設けて、エッジシームを余幅の中に納めて切断除去しているが、製品歩留まりを向上する観点から、エッジシームを低減して、できるだけ余幅を低減したい。
そこで、従来は、特許文献1、特許文献2に例を示すように、熱間圧延中に被圧延材側面のしわ状欠陥が被圧延材表面に回り込むのを防止するため、熱間圧延に先立つスラブの幅プレスに使用する金型の形状やスラブの温度分布を工夫するなどの方法が提案され実施されていた。
特に、類似規格あるいは同一規格の被圧延材であっても、製造タイミングごとにエッジシーム発生位置が異なる場合があり、エッジシーム回り込み量(鋼帯エッジから最も幅方向内部に発生したエッジシームまでの距離)が安定せず、従来は、余幅を大きく取って耳切りすることにより、エッジシームを除去した製品鋼帯を得るしかなかった。
(1)鋼のスラブを熱間で、金型厚み方向中央に凸形状を有する幅プレス金型を用いて幅プレスし、引き続き長さ方向に圧延する熱延鋼帯の製造方法において、幅プレスの途中または幅プレス後の圧延開始前に、スラブ側面をスラブ厚み方向に平行なスリット光で走査し、その反射光を捉えてスラブ側面上のスリット光映像を撮影した画像を用いて行う光学的手段によりスラブ側面形状を測定して、幅プレス金型によるスラブ叩き位置のスラブ厚み方向のずれを算出し、これに基づいて、当該スラブの後に幅プレスする類似規格の後行スラブを対象に、スラブ側面中心と幅プレス金型中心との上下方向位置合わせをして幅プレスを行うことを特徴とする、エッジシームを低減した熱延鋼帯の製造方法。
(2)前記スラブ側面中心と幅プレス金型中心との上下方向位置合わせは、幅プレス金型の上下方向位置は固定のまま、スラブの上下方向位置を微調整することにより行うものとしたことを特徴とする(1)に記載のエッジシームを低減した熱延鋼帯の製造方法。
(3)前記スラブ側面中心と幅プレス金型中心との上下方向位置合わせは、スラブの上下方向位置は固定のまま、幅プレス金型の上下方向位置を微調整することにより行うものとしたことを特徴とする(1)に記載のエッジシームを低減した熱延鋼帯の製造方法。
そこで、本発明者らは、エッジシーム回り込み量が製造タイミングごとに異なる理由を鋭意検討した結果、エッジシーム回り込み量は、幅プレスにおいてスラブと幅プレス金型とが接触したスラブ厚み方向位置と強い相関関係にあり、図1に例を示すように、スラブ1におけるスラブ側面中心の上下方向位置Aと幅プレス金型4における幅プレス金型中心の上下方向位置Bとのずれ(幅プレス金型4によるスラブ叩き位置のスラブ厚み方向のずれ)Cが大きくなると、エッジシーム回り込み量も大きくなることを把握した。
すなわち、図2に示すように、スリット光源3からスラブ厚み方向に平行なスリット光をスラブ側面に投射し、このスリット光でスラブ側面をスラブ長さ方向に走査し、その反射光をカメラ2で捉えてスラブ側面上のスリット光映像を撮影し、この撮影した画像を用いて、スラブ側面の形状を測定することにより、幅プレス時のスラブ厚み方向叩き位置を算出する方法である。なお、スリット光映像の撮影画像は、スラブ側面が幅プレス金型の凸形状で叩かれてなる凹形状を反映して、図2のような曲線形状となり、これと同一視野内のスラブ側面の上下端位置撮影画像とから、前記スラブ叩き位置の算出、および該スラブ叩き位置のスラブ厚み方向のずれが算出できるわけである。
なお、幅プレスにおける幅プレス金型中心とスラブ側面中心との上下方向位置合わせをする方法としては、スラブを上下動できる機構を幅プレス機内に設け、これを用いて、スラブの上下方向位置を微調整するとよい。例えば、スラブを搬送するローラテーブルに油圧式や機械式の昇降装置を設けるとよい。
(比較例)
スラブを熱間で、金型厚み方向中央に凸形状を有する幅プレス金型を用いて幅プレスし、従来通り、スラブ側面形状の測定を行わず、長さ方向に圧延して熱延鋼帯を製造した。このときの余幅は従来通り片側あたり+15mmとしており、得られた鋼帯の余幅を耳切りしたが、鋼帯表面にエッジシームが一部残留し、所望する幅の製品鋼帯を得ることができなかったため、エッジシームがなくなるまで、耳切り代を増加させた結果、狭幅の製品鋼帯へ振り替えざるを得ず、著しく歩留りが低下し、生産工程を阻害し生産能率を低下させた。
(本発明例1)
スラブを熱間で、金型厚み方向中央に凸形状を有する幅プレス金型を用いて幅プレスし、本発明方法に従って、幅プレスの途中に図2に示した形態で光学的手段によりスラブ側面形状を測定した結果、スラブ側面中心位置が幅プレス金型中心位置から2mm下方にずれていた。そこで、当該スラブの幅プレス完了後に、類似規格の後行スラブを対象に、幅プレス機内のローラテーブルを2mm上方に移動させることでスラブ側面中心と幅プレス金型中心との上下方向位置合わせをして幅プレスを行い、引き続き長さ方向に圧延して熱延鋼帯を製造した。このときの余幅は前述の予測に基づき片側あたり+5mmとしており、得られた鋼帯の余幅を耳切りした結果、鋼帯表面にエッジシームの無い所望する幅の製品鋼帯を得た。
(本発明例2)
スラブを熱間で、金型厚み方向中央に凸形状を有する幅プレス金型を用いて幅プレスし、本発明方法に従って、幅プレスの途中に図2に示した形態で光学的手段によりスラブ側面形状を測定した結果、スラブ側面中心位置が幅プレス金型中心位置から1mm上方にずれていた。そこで、当該スラブ幅プレス完了後、類似規格の後行スラブを対象に、幅プレス機内の幅プレス金型位置を1mm上方に移動させることでスラブ側面中心と幅プレス金型中心との上下方向位置合わせをして幅プレスを行い、引き続き長さ方向に圧延して熱延鋼帯を製造した。このときの余幅は前述の予測に基づき片側あたり+5mmとしており、得られた鋼帯の余幅を耳切りした結果、鋼帯表面にエッジシームの無い所望する幅の製品鋼帯を得た。
2 カメラ
3 スリット光源
4 幅プレス金型
5 スラブ厚み方向(上下方向)
A スラブ側面中心の上下方向位置
B 幅プレス金型中心の上下方向位置
C 幅プレス金型によるスラブ叩き位置のスラブ厚み方向のずれ
Claims (3)
- 鋼のスラブを熱間で、金型厚み方向中央に凸形状を有する幅プレス金型を用いて幅プレスし、引き続き長さ方向に圧延する熱延鋼帯の製造方法において、幅プレスの途中または幅プレス後の圧延開始前に、スラブ側面をスラブ厚み方向に平行なスリット光で走査し、その反射光を捉えてスラブ側面上のスリット光映像を撮影した画像を用いて行う光学的手段によりスラブ側面形状を測定して、幅プレス金型によるスラブ叩き位置のスラブ厚み方向のずれを算出し、これに基づいて、当該スラブの後に幅プレスする類似規格の後行スラブを対象に、スラブ側面中心と幅プレス金型中心との上下方向位置合わせをして幅プレスを行うことを特徴とする、エッジシームを低減した熱延鋼帯の製造方法。
- 前記スラブ側面中心と幅プレス金型中心との上下方向位置合わせは、幅プレス金型の上下方向位置は固定のまま、スラブの上下方向位置を微調整することにより行うものとしたことを特徴とする請求項1に記載のエッジシームを低減した熱延鋼帯の製造方法。
- 前記スラブ側面中心と幅プレス金型中心との上下方向位置合わせは、スラブの上下方向位置は固定のまま、幅プレス金型の上下方向位置を微調整することにより行うものとしたことを特徴とする請求項1に記載のエッジシームを低減した熱延鋼帯の製造方法。
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