JP5581515B2 - 乗用車の燃料タンク損傷防止構造 - Google Patents
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Description
請求項1の発明は、前輪と後輪との間の床下に燃料タンクとプロペラシャフトとが配置されている乗用車の燃料タンク損傷防止構造であって、前記床下には、前記プロペラシャフトと、そのプロペラシャフトの側方に位置する前記燃料タンクとの間に、その燃料タンクと空間を介した状態でガイド部材が設けられており、前記ガイド部材は、前記プロペラシャフトよりも車両幅方向外側かつ、前記燃料タンクよりも車両幅方向内側の位置で、前記プロペラシャフトを支持するブラケットの一部に設けられて、そのプロペラシャフトと隙間を介した状態で配置された傾斜面を備えており、前記乗用車の衝突により前記プロペラシャフトが前記燃料タンク側に移動しようとするときに、前記プロペラシャフトが前記ガイド部材の傾斜面に当接して、その傾斜面に沿って斜め下方に導かれるように構成されていることを特徴とする。
さらに、ガイド部材と燃料タンク間には空間が設けられているため、プロペラシャフトが前記ガイド部材に当接(衝突)したときに、仮にガイド部材が変形したとしても、そのガイド部材が燃料タンクに衝突することがない。
また、ガイド部材はプロペラシャフトを燃料タンクと干渉しない方向に導く部材であって、そのプロペラシャフトの移動を止める部材ではないため、前記プロペラシャフトの衝突力を全面的に受けるだけの強度は必要とされない。このため、ガイド部材が大掛かりにならず、コストを抑えた状態で、燃料タンクの損傷を防止できるようになる。
また、ガイド部材は、プロペラシャフトを支持するブラケットの一部に形成されているため、ガイド部材を単独で設ける必要がなくなるため、部品点数の増加を抑え、コスト低減を図ることができる。
また、傾斜面でプロペラシャフトを斜め下方に導く構成のため、ガイド部材の構成が複雑化しない。
以下、図1から図4に基づいて本発明の実施形態1に係る燃料タンク損傷防止構造について説明する。
なお、図中に示す前後左右、及び上下は、乗用車の前後左右、及び上下に対応している。
本実施形態に係る乗用車10は、二輪駆動と四輪駆動とでボディ12を共用できるように構成されたフラットフロア型の乗用車である。ここで、図1は、四輪駆動方式の前記乗用車10の模式平面図を表している。
前記乗用車10は、エンジン13及びトランスミッション15をボディ前部に配置した乗用車であり、前記トランシミッション15の出力が前輪16を駆動する左右のドライブシャフト16dと中央のプロペラシャフト20とに伝達されるように構成されている。そして、前記プロペラシャフト20の回転がディファレンシャルギヤ17を介して後輪18を駆動する左右のドライブシャフト18dに伝達されるようになっている。
軸受25は、図2に示すように、軸受本体25mと、その軸受本体25mから半径方向外側に突出する左右の張出板25fとから構成されている。そして、軸受25の左右の張出板25fがボディ12の床下に設けられた左右のブラケット30,39(後記する)に固定ボルト25bでボルト止めされる。これにより、前記軸受25はボディ12の床下に固定され、プロペラシャフト20は左右のブラケット30,39の間に位置決めされる。
また、ボディ12の床下には、図1、図2に示すように、右側ブラケット30のさらに右側の位置に燃料タンク19が吊り支持されている。即ち、右側ブラケット30は、プロペラシャフト20と燃料タンク19との間に配置されるようになる。
ここで、二輪駆動方式の乗用車10の場合、上記したプロペラシャフト20、ディファレンシャルギヤ17、及び後輪18駆動用のドライブシャフト18dは省略される。
ブラケット30,39は、図2に示すように、前側シャフト21(以下、プロペラシャフト20という)の軸受25を左右両側から支持する部材であり、ボディ12の床板12fの裏側に溶接により固定されている。
左側ブラケット39は、上部開放型の角形容器状に形成されており、その容器の上部開放部周縁にフランジ部39fがほほ一定幅で折り曲げ形成されている。そして、左側ブラケット39の底部39bの中央位置に貫通孔(図示省略)が形成されて、その貫通孔の内側に前記固定ボルト25bが螺合されるナット(図示省略)が取付けられている。左側ブラケット39は、側面がプロペラシャフト20と平行になるように位置決めされた状態で、その左側ブラケット39のフランジ部39fがボディ12の床板12fに溶接される。これにより、左側ブラケット39がボディ12の床板12fの裏側に固定される。
前記軸受支持部33は左側ブラケット39と等しい高さ寸法の角形容器状に形成されており、前記ガイド部35は前記軸受支持部33の後側でその軸受支持部33よりも深い角形容器状に形成されている。ここで、ガイド部35の高さ寸法は、そのガイド部35がプロペラシャフト20の下面からそのプロペラシャフト20の直径寸法以上張出するような高さ寸法に設定されている(図2参照)。
前記軸受支持部33の上部開放部とガイド部35の上部開放部とは、図4に示すように、連続した状態で長方形状に構成されており、その連続した上部開放部の周縁にフランジ部36がほほ一定幅で折り曲げ形成されている。また、軸受支持部33の底部33bには、中央位置に貫通孔(図示省略)が形成されており、その貫通孔の内側に固定ボルト25bが螺合されるナット33nが取付けられている。さらに、軸受支持部33の底部33bとガイド部35の底部35bとの境界位置には段差34が設けられている。
前記プロペラシャフト20の外周面と対向するように設けられた右側ブラケット30の側面(ガイド部35の側面)は、図2に示すように、斜め下方を指向するように傾斜した傾斜面35kとなっている。ここで、鉛直線Hに対する傾斜面35kの傾斜角度がθに設定されている。また、プロペラシャフト20と下向き傾斜面35k間の隙間が寸法Lに設定されている。さらに、右側ブラケット30と燃料タンク19との間には、その右側ブラケット30が変形した場合でも燃料タンク19に当たらないように、空間Sが設けられている。
右側ブラケット30と左側ブラケット39とがボディ12の床板12fに溶接により固定されると、プロペラシャフト20を支持する軸受25の左右の張出板25fが、上記したように、固定ボルト25bによって右側ブラケット30の軸受支持部33と左側ブラケット39とにボルト止めされる。これにより、プロペラシャフト20が左右のブラケット30,39の間に設置される。
ここで、乗用車10の床板12fに使用される鋼板の厚み寸法は約1.6mmに設定されており、左右のブラケット30,39に使用される鋼板の厚み寸法は約1.8mmに設定されている。
次に、本実施形態に係る燃料タンク損傷防止構造の動作について説明する。
乗用車10が前方衝突すると、図1の点線に示すように、エンジン13及びトランスミッション15等が後退し、プロペラシャフト20がトランスミッション15と後部のディファレンシャルギヤ17間で軸方向両側から押圧力を受ける。これにより、プロペラシャフト20が途中のジョイント23部分で折れ曲がる(点線参照)。この結果、プロペラシャフト20を支持する軸受25の張出板25fが左右のブラケット30,39から外れ、プロペラシャフト20が燃料タンク19の方向に横移動することがある(点線参照)。前述のように、右側ブラケット30のガイド部35は、プロペラシャフト20の下面よりも下方に張出しているため、横移動したプロペラシャフト20は、図2に示すように、右側ブラケット30(ガイド部35)の傾斜面35kに衝突するようになる。前記傾斜面35kは、傾斜角度がθに設定されて斜め下方を指向するように傾斜しているため、その傾斜面35kに衝突したプロペラシャフト20は前記傾斜面35kにガイドされ、さらに自重で下方に移動する。このため、プロペラシャフト20が燃料タンク19に衝突することがなくなり、燃料タンク19の損傷を防止できるようになる。
即ち、前記右側ブラケット30のガイド部35が本発明のガイド部材に相当する。
本実施形態に係る燃料タンク損傷防止構造によると、乗用車10の衝突によりプロペラシャフト20が燃料タンク19側に移動しようとするときに、そのプロペラシャフト20が右側ブラケット30のガイド部35(ガイド部材)に当接し、そのガイド部35により燃料タンク19から離れる方向にガイドされる。このため、プロペラシャフト20が燃料タンク19と衝突することがなくなり、燃料タンク19の損傷を防止できる。
さらに、ガイド部35と燃料タンク19間には空間Sが設けられているため、プロペラシャフト20がガイド部35に当接(衝突)したときに、仮にガイド部36が変形したとしても、そのガイド部35が燃料タンク19に衝突することがない。
また、ガイド部35は、プロペラシャフト20を支持する右側ブラケット30の一部に形成されているため、ガイド部35を単独で設ける必要がなく、部品点数の増加を抑え、コスト低減を図ることができる。
さらに、ガイド部35は、プロペラシャフト20が当接する位置が傾斜面35kになっており、その傾斜面35kに沿ってプロペラシャフト20が斜め下方に導かれるように構成されているため、ガイド部35の構成が簡単になる。
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、プロペラシャフト20を支持する右側ブラケット30の後部にガイド部35を形成する例を示したが、右側ブラケット30とガイド部35とを分けて形成し、右側ブラケット30とガイド部35との板厚寸法を変えることも可能である。
また、本実施形態では、ユニバーサルジョイント23を有するプロペラシャフト20を使用した乗用車10に本発明を適用する例を示したが、ユニバーサルジョイント23を有しないプロペラシャフト20を使用した乗用車に本発明を適用することも可能である。
また、本実施形態では、下向きの傾斜面35kでプロペラシャフト20を斜め下方にガイドする例を示したが、下向きの傾斜面35kの代わりに下向きの凹円弧面等を使用することも可能である。
また、本実施形態では、プロペラシャフト20の右側に燃料タンク19を配置し、右側ブラケット30にガイド部35を設ける例を示したが、プロペラシャフト20の左側に燃料タンク19を配置し、左側ブラケット39にガイド部35を設けることも可能である。
16・・・・前輪
18・・・・後輪
19・・・・燃料タンク
20・・・・プロペラシャフト
30・・・・右側ブラケット
35・・・・ガイド部(ガイド部材)
35k・・・下向き傾斜面(傾斜面)
39・・・・左側ブラケット
Claims (2)
- 前輪と後輪との間の床下に燃料タンクとプロペラシャフトとが配置されている乗用車の燃料タンク損傷防止構造であって、
前記床下には、前記プロペラシャフトと、そのプロペラシャフトの側方に位置する前記燃料タンクとの間に、その燃料タンクと空間を介した状態でガイド部材が設けられており、
前記ガイド部材は、前記プロペラシャフトよりも車両幅方向外側かつ、前記燃料タンクよりも車両幅方向内側の位置で、前記プロペラシャフトを支持するブラケットの一部に設けられて、そのプロペラシャフトと隙間を介した状態で配置された傾斜面を備えており、
前記乗用車の衝突により前記プロペラシャフトが前記燃料タンク側に移動しようとするときに、前記プロペラシャフトが前記ガイド部材の傾斜面に当接して、その傾斜面に沿って斜め下方に導かれるように構成されていることを特徴とする乗用車の燃料タンク損傷防止構造。 - 請求項1に記載された乗用車の燃料タンク損傷防止構造であって、
前記ガイド部材の高さ寸法は、そのガイド部材が前記プロペラシャフトの下面から、そのプロペラシャフトの直径寸法以上張出すような高さ寸法に設定されていることを特徴とする乗用車の燃料タンク損傷防止構造。
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