JP5577695B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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これらの欠点を回避する手段の一つとして結晶核剤の使用が行われている。結晶核剤を溶融混練時に添加することにより結晶核剤を中心とした樹脂の結晶核形成が行われ、その結果結晶性を向上させることができる。
更に驚くべきことに、PAS樹脂と縮合多環系顔料との溶融混練条件または成形条件や、PAS組成物中の縮合多環系顔料の含有率を特定の条件とすることで、溶融したPAS樹脂中で縮合多環系顔料がアスペクト比を有する線状形状または樹状形状の縮合多環系顔料結晶体を生成することを見出した。縮合多環系顔料結晶体は冷却しても該形状を維持し、PPS樹脂は該線状形状の縮合多環系顔料結晶体に沿って結晶化する。本発明により、即ち結晶密度に分布を有するPAS樹脂成形体を得ることに成功した。
前記溶融混練させて得た溶融混練物を成形する工程2と、
前記工程2で得た成形体を冷却し結晶化させる工程3とを有するポリアリーレンスルフィド樹脂成形体の製造方法であって、
前記結晶核剤として縮合多環系顔料を使用することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂成形体の製造方法を提供する。
更にPAS樹脂と縮合多環系顔料との溶融混練条件または成形条件や、PAS組成物中の縮合多環系顔料の含有率を特定の条件とすることで、アスペクト比を有する線状形状もしくは樹状形状の縮合多環系顔料結晶体を核剤とした結晶密度に分布を有するPAS樹脂成形体を得ることができる。
本発明で核剤として使用する縮合多環系顔料は汎用の顔料として使用される縮合多環系顔料であり、入手が簡単で工業上有用である。
本発明のPAS樹脂組成物は、PAS樹脂と結晶核剤とを含有し、前記結晶核剤が縮合多環系顔料であることを特徴とする。
縮合多環系顔料とは、構造式中に環状の原子配列を複数持ち,2つ以上の環がそれぞれ2個以上の原子を共有して一体化している有機顔料である。π発色系の拡大により鮮明な色や蛍光性,導電性などの機能を示す。
これらの顔料は、耐候性、耐熱性、耐溶剤性等の諸堅牢性に優れるため、高級顔料とも称される。(「第49回顔料入門講座 2007」p171〜187 社団法人色材協会、「色材工学ハンドブック」p335〜343 社団法人色材協会 等参照)
具体的には、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系スレン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キノフタロン系、および金属錯系顔料が挙げられる。
これらの顔料は、多岐に渡る色相を有するが、本願においては色相に関係なくいずれの顔料も使用できる。中でも結晶化開始、終了温度が高いジオキサジン系、線形形状もしくは樹状形状の結晶体を生成することで結晶性の分布を制御できるスレン系、ペリレン系、ペリノン系顔料が好ましい。
本発明で使用する縮合多環系顔料の平均粒径は入手できる範囲のものであれば特に制限がないが、PAS樹脂に溶融混練しPAS樹脂中で分散することで結晶核剤としての機能を発現することや、粗大粒子として混練後の樹脂中に存在した場合PAS組成物の力学特性を損なう可能性があることを考慮して、極力微粒子であることが好ましい。具体的には平均粒径3μm以下が好ましく、更に好ましくは1μm以下、最も好ましくは100nm以下である。
本発明で使用するPAS樹脂としては、特に限定されず、公知のPAS樹脂が使用できる。例えば置換基を有してもよい芳香族環と硫黄原子が結合した構造の繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体、およびそれらの混合物あるいは単独重合体との混合物等が挙げられる。
これらのPAS樹脂の代表的なものとしては、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPS樹脂という)が挙げられる。該PPS樹脂の中でも、上記繰り返し単位の芳香環への結合がパラ位である構造を有するものが耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、PAS樹脂にはメタ結合、エーテル結合、スルホン結合、スルフィドケトン結合、ビフェニル結合、フェニルスルフィド結合、ナフチル結合を10モル%未満を上限とし(但し3官能以上の結合を含む成分を共重合させる場合は5モル%を上限として)含有させても良い。
本発明に使用するPAS樹脂は、1−クロロナフタレンを溶媒とするゲル浸透クロマトグラフィーにより求められる分子量分布のピーク分子量が20,000以上であることが好ましく、更に、該ピーク分子量が25,000以上であることがより好ましい。なお本発明におけるピーク分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ測定において、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算量として求められる数値に基づくものである。数平均分子量や重量平均分子量が、ゲル浸透クロマトグラフィーの分子量分布曲線のベースラインの取り方次第で値が変化するのに対し、ピーク分子量は、値が分子量分布曲線のベースラインの取り方に左右されないものである。
本発明に使用するPAS樹脂の溶融粘度は、キャビラリーレオメーターを用いて測定した、300℃、せん断速度500sec−1での粘度が100〜1000Pa・sであることが好ましく、特に200〜500Pa・sであることが好ましい。溶融粘度が該範囲であると、本発明に用いる縮合多環系顔料の分散が良好となり核剤としての機能が良好に発揮される。
PAS樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)ジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばその他の共重合成分とを、硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、2)ジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばその他の共重合成分とを、極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下に、重合させる方法、3)p−クロルチオフェノールと、更に必要ならばその他の共重合成分とを自己縮合させる方法、4)有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばその他の共重合成分とを反応させる方法等が挙げられる。
これらの方法のなかでも、4)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加したり、水酸化アルカリを添加しても良い。
前記4)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物を含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02〜0.5モルの範囲にコントロールすることによりPAS樹脂を製造する方法(例えば特開平07−228699号公報参照。)で得られるものが特に好ましい。
本発明のPAS樹脂組成物は、前記PAS樹脂に前記縮合多環系顔料を分散させて得る。分散方法は特に限定されないが、例えば前記PAS樹脂粉末と前記縮合多環系顔料とを例えばタンブラー又はヘンシェルミキサーのような混合機で均一にドライブレンドした後、一軸又は二軸の押出機で溶融混練して成形(造粒)しペレットとして得る方法が一般的である。この時の溶融混練温度(成形温度)としては特に限定はなくPAS樹脂の融点より高く分解温度よりも低い290〜360℃の範囲が例示できる。
本発明ではPAS樹脂中の縮合多環系顔料の含有率について、縮合多環系顔料は0.1質量%以下の極少量でも結晶核剤として十分に機能することができ具体的には、0.05質量%以上であれば結晶核剤として機能する。上限についても結晶核剤の機能としては特に制限はないが、多量に入れても増核作用に寄与しない凝集状態の縮合多環系顔料が増える点、得られる成形材料が脆くなる恐れがある点、更に使用する縮合多環系顔料は高価なものが多くより少ない添加量で効果が得られることが好ましい等の理由から、10質量%以下が好ましく用いられ、更に好ましくは3質量%以下であり、最も好ましいのは1質量%以下である。
一方、本発明のPAS樹脂組成物は多くの色相を持つ堅牢な顔料として広く用いられている縮合多環系顔料を含有しているため、これらの含有率が0.1質量%以上で用いた場合には意匠性を同時に付与することができる特徴もある。
線状形状もしくは樹状形状の縮合多環系顔料結晶体を生成する縮合多環系顔料としては、例えば、ピグメントブルー60(C.I.69800 スレン系顔料)、ピグメントレッド179(C.I.71130 ペリレン系顔料)、ピグメントオレンジ43(C.I.71105 ペリノン系顔料)等が挙げられる。具体的には、PAS樹脂中の縮合多環系顔料の含有率を0.05〜0.5質量%とし、且つ溶融混練温度または後述の成形温度を290〜360℃の範囲とすることが好ましい。
該条件で縮合多環系顔料がアスペクト比を有する線状形状もしくは樹状形状の縮合多環系顔料結晶体となる理由は定かではないが、添加する縮合多環系顔料の多くは既に結晶を形成しており縮合多環系顔料の結晶成長が生じる可能性、あるいは、縮合多環系顔料の再配向等が生じている可能性等が考えられる。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、機械的特性の向上や成形加工性の向上を図る等の目的で、各種の添加剤を添加しても良い。
本発明では前記PAS樹脂組成物の弾性率を向上させることを目的として無機充填剤を併用することができる。具体例としてはガラス繊維、炭素繊維、カーボンブラック、活性炭、チタン酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、窒化珪素、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、タルク、ウオラストナイト、PMF、フェライト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、酸化鉄、ミルドガラス、ガラスビーズ、ガラスバルーン、各種単体金属微粒子等がある。これら無機充填剤の内、クレー、タルク等の造核効果を持つ化合物を併用しても差し支えないが縮合多環系顔料の造核効果を優先的に発現させたい場合には縮合多環系顔料の量よりも少ない量で用いることが好ましい。
本発明に用いるPAS樹脂組成物に伸び特性を付与するために熱可塑性エラストマーを併用してもよい。これらエラストマーの量は、組成物中20質量%以下であることが好ましく、特に好ましい範囲は10質量%以下である。
本発明のPAS樹脂組成物は成形体として好ましく用いることができる。PAS樹脂成形体は、例えば、
ポリアリーレンスルフィド樹脂と縮合多環系顔料とを含有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融混練する工程1(前記(PAS樹脂組成物の調整方法)に該当する)と、
前記溶融混練させて得た溶融混練物を成形する工程2と、
前記工程2で得た成形体を冷却し結晶化させる工程3と、により得ることができる。
工程2における成形方法に特に限定はなく、前記ペレット(造粒)とする他、成形機で所望の形状に加工することもできる。具体的には例えば射出成形、プレス加工等が例示できる。これらの手法で加工することにより所望の部材とすることができる。通常はペレットを成形機等で成形加工する。これら加工方法は公知慣用の手法が用いられる。又、PAS樹脂組成物を320℃以上で溶融した上で射出成形などの成形加工を行うと、線形形状もしくは樹状形状縮合多環系顔料が射出方向に沿って配列し結晶の異方性を付与できると考えられ、特に好ましい。
また、通常成形金型温度は150℃〜200℃とすることが多いが、本発明の成型体の製造方法では縮合多環系顔料の核剤効果により固化、及び結晶化が早いので、150℃〜常温付近の低い金型温度で成型することも可能である。
PAS樹脂用結晶核剤として縮合多環系顔料及びPAS樹脂の粉末を使用し、全量で5.00gになるように表1及び表2の配合比率(縮合多環系顔料微粒子0.3質量%に相当)で均一にドライブレンドした後、樹脂溶融混練装置ラボプラストミルKF−6V(東洋精機株式会社製)により混練温度300℃、回転数100rpm、10分間溶融混練処理しPAS樹脂組成物を得た(以上、工程1に相当)。
さらに、溶融混練によって得られたPAS樹脂組成物約0.5gを採取し、6cm角の穴を持つ100μm厚の板状スペーサー間に試料をいれ1mm厚みの金属板中に挟んで金型加工温度300℃で熱プレスを行うことで約100μmの厚さを持つシート状に加工した後(以上、工程2に相当)、大量の氷水に浸漬させることで急速冷却し、一端非晶化させた。なお本行程において、急速冷却で非晶化させた理由は、次工程のPAS樹脂結晶化の光学顕微鏡観察を容易にするためである。
前記非晶化させたシート状PAS樹脂成形体を5mm角の大きさに切断し、スライドガラス上に載せ、その上から17mm角のカバーガラスで覆った。これを20倍の対物レンズをセットした偏光顕微鏡(ニコン製、ECLIPSE、E600POL)で観察し、各種結晶核剤の形状を観察した。このとき、線形形状に配列した核剤が見られた場合には「線形形状核剤が有」、そうした核剤が見られなかった場合には「線形形状核剤が無」と判定し、且つ、線形形状に配列した結晶核剤が見られた場合には、“線形の長さ/線形の太さ”を、任意の20本の線形で計算し、その平均値をアスペクト比とした。また、任意の線形20本の太さの平均を線形太さとした。
実施例1、5、11において線形形状核剤が見られ「有」の判定で、他の実施例は見られず「無」の判定となった。結果を表1及び表2に示す。
前記「非晶シート中での線形形状結晶核剤の有無及び、形状観察」で準備したスライドガラス上の観察用試料を、顕微鏡観察用のホットステージ(メトラートレド社製FP82HT)中にセットし、20倍の対物レンズをセットした偏光顕微鏡(ニコン製、ECLIPSE、E600POL)によりPPSの結晶の生成状況を観察した。
ホットステージを350℃で3分間加温し樹脂を溶融させたのち、10℃/分で降温させながら降温中の結晶の生成状態を観察した。該温度コントロールはメトラートレド社製FP90コントロールプロセッサーにて行った。PPS樹脂の結晶核が発生し始めた温度を「結晶化開始温度」とし、結晶核が組成物シート全面を覆いシートが光を透過しなくなり画像が完全に黒くなった温度を「結晶化終了温度」とした。結果を表1及び表2に示す。
PAS樹脂:PPS樹脂(品番MA−520;DIC株製;ピーク分子量45,000、リニア型)
B−60:クロモフタロブルーA3R (品番:B−60;DIC(株)製、C.I.69800)
R−254:FASTOGEN SUPER RED 254 226−0200(品番:R−254;DIC(株)製、C.I.56110)
V−23:FASTOGEN SUPER VIOLET RNS (品番:V−23;DIC(株)製、C.I.51319)
R−224:PERRINDO RED 224 229−6420 (品番:R−224;DIC(株)製、C.I.71127)
R−179:PERRINDO MAROON 179 229−6438 (品番:R−179;DIC(株)製、C.I.71130)
R−177:FASTOGEN SUPER RED ATY−01 (品番:R−177;DIC(株)製、C.I.65300)
V−19:FASTOGEN SUPER RED 7100Y−E (品番:V−19;DIC(株)製、C.I.46500)
R−122:FASTOGEN SUPER MAGENTA RE−03 (品番:R−122;DIC(株)製、C.I.73915)
R−202:QUINDO MAGENTA RV−6825 (品番:R−202;DIC(株)製、C.I.73907)
Y−139:FANCHON YELLOW 139 279−5740 (品番:Y−139;DIC(株)製、C.I.56298)
O−43:FASTOGEN SUPER ORANGE 6200 (品番:O−43;DIC(株)製、C.I.71105)
実施例11は、前記PAS樹脂成形体の結晶化の光学顕微鏡観察の昇温において線形形状は消滅した。
PAS樹脂用結晶核剤として縮合多環系顔料を表3の配合比率とし、実施例1と同様にして、非晶化させたシート状PAS樹脂成形体を得た。該非晶シート中での線形形状結晶核剤の有無及び、形状観察、及び、PAS樹脂成形体の結晶化の光学顕微鏡観察を実施例1と同様に行い、結果を表3に示した。
PAS樹脂用結晶核剤として縮合多環系顔料を表3の配合比率とし、工程2における加工温度300℃を325〜350℃に変更した以外は実施例1と同様にして、非晶化させたシート状PAS樹脂成形体を得た。該非晶シート中での線形形状結晶核剤の有無、形状観察、及びPAS樹脂成形体の結晶化の光学顕微鏡観察を実施例1と同様に行い、結果を表3に示した。
PAS樹脂単独を5.00g用い表4に示す配合比率として、実施例1(混練、加工温度とも300℃)と同様にして、非晶化させたシート状PAS樹脂成形体を得た。該非晶シート中での線形形状結晶核剤の有無及び、形状観察、及び、PAS樹脂成形体の結晶化の光学顕微鏡観察を実施例1と同様に行い、結果を表4に示した。
PAS樹脂用結晶核剤として縮合多環系顔料以外の既知のPAS樹脂用結晶核剤を表4の配合比率とした以外は実施例1(混練、加工温度とも300℃)と同様にして、非晶化させたシート状PAS樹脂成形体を得た。該非晶シート中での線形形状結晶核剤の有無及び、形状観察、及び、PAS樹脂成形体の結晶化の光学顕微鏡観察を実施例1と同様に行い、結果を表4に示した。
タルク:タルク粒子 品番DS−34;富士タルク工業株式会社 製;平均粒径11μm、略板状
PP−Ca:ポリリン酸カルシウム粒子 品番 ZP−X;キクチカラー株式会社 製
BN:チッ化ホウ素粒子 品番 NP−600; 電気化学工業株式会社製;平均粒径0.7μm 略板状
したがってこれらの結晶核剤ではPAS樹脂内でそれぞれの化合物に即した分散状態をしめすのみで、実施例1で得られたPAS樹脂成形体のように結晶密度に分布を有するものではなかった。
特に結晶核剤が線状形状または樹状形状の縮合多環系顔料結晶体である場合には、該形状に起因する熱伝導性、半導体特性、電子伝導性を付与できる可能性もある。さらに、縮合多環系顔料特有の色調を生かした外装にもちいることもできる。
Claims (5)
- ポリアリーレンスルフィド樹脂と結晶核剤とを含有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融混練する工程1と、前記溶融混練させて得た溶融混練物を成形する工程2と、前記工程2で得た成形体を冷却し結晶化させる工程3とを有するポリアリーレンスルフィド樹脂成形体の製造方法であって、前記結晶核剤として縮合多環系顔料を使用すること、前記縮合多環系顔料を0.05〜10質量%とし、且つ溶融混練温度または成形温度を290〜360℃の範囲とすることを特徴とする、前記縮合多環系顔料が太さ0.01〜5μm、アスペクト比が5〜150の線形形状もしくは樹状形状で存在するポリアリーレンスルフィド樹脂成形体の製造方法。
- 前記縮合多環系顔料が、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、スレン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キノフタロン系、および金属錯系顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂成形体の製造方法。
- 請求項1に記載の縮合多環系顔料が、スレン系、ペリレン系、ペリノン系顔料の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂成形体の製造方法。
- ポリアリーレンスルフィド樹脂と、結晶核剤とを含有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、前記結晶核剤が縮合多環系顔料であること、前記縮合多環系顔料が太さ0.01〜5μm、アスペクト比が5〜150の線形形状もしくは樹状形状で存在することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
- 成形体である、請求項4記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
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