JP5577475B1 - 水系有機ジンクリッチ塗料組成物、防錆塗膜形成方法及び複層塗膜 - Google Patents
水系有機ジンクリッチ塗料組成物、防錆塗膜形成方法及び複層塗膜 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】主剤としてのエポキシ樹脂エマルション、硬化剤としてのポリアミン、及び亜鉛末を含む顔料、を含む水系有機ジンクリッチ塗料組成物であって、前記顔料は、前記亜鉛末と、平均粒子径が5〜800nmであるタルク、二酸化チタン及びシリカの少なくとも1種からなる微粉末を含んでおり、前記ポリアミンは水溶性ポリアミンであり、前記亜鉛末100質量部に対する、前記微粉末の含有量が0.01〜1質量部である、水系有機ジンクリッチ塗料組成物等。
【選択図】なし
Description
ところでジンクリッチ塗料としては、アルキルシリケートを結合剤とする無機系ジンクリッチ塗料組成物と、エポキシ樹脂を結合剤とする有機系ジンクリッチ塗料組成物とが主流を占めており、これらはいずれも溶媒として有機溶剤を使用した溶剤系ジンクリッチ塗料組成物であった。しかしながら近年、大気汚染防止、省資源等の観点から、水もしくは水に少量の有機溶剤を併用した溶媒を使用した水系ジンクリッチ塗料組成物への転換が強く要望されるようになってきている。
水系無機ジンクリッチ塗料組成物としては、アルカリシリケートを結合剤とする水系無機ジンクリッチ塗料組成物が知られているが、塗膜のpHが非常に高く、例えばエマルション塗料等の上塗塗料を塗り重ねると上塗塗料の塗膜にブリスター等の塗膜欠陥が生じやすく、そのため上塗塗料を塗装する前に水系無機ジンクリッチ塗膜表面を中和する、もしくは、水洗をする必要がある等の問題点があった。
例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂エマルションを含む主剤と、亜鉛末を含む顔料分と、アミン硬化剤の組み合わせからなる2液1粉型の水性エポキシ樹脂ジンクリッチペイントが記載されている。また、特許文献1の実施例では、アミン硬化剤として、自己乳化型アミン硬化剤が用いられている。
また、特許文献2には、主剤としてのエポキシ樹脂エマルションと、硬化剤としてのアミン硬化剤エマルションと、亜鉛粉末及び/又はリン酸塩系防錆顔料とを含有する水性防食塗料組成物が記載されている。
更に、特許文献3には、水性樹脂、分散媒たる水、添加剤、揮発性有機化合物及び防錆剤を含んだ第1塗材と、微粒子シリカと亜鉛末が混練された第2塗材とで構成される常温乾燥型水性ジンクリッチ塗料が記載されている。
また、特許文献3の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、アミン硬化剤を含んでいないため、造膜性が悪く、塗膜強度(可撓性)が不足するという問題点がある。また、特許文献3の塗料組成物は、微粒子シリカの粒子径(平均粒子径)及び表面の親水疎水状態が不明である。
本発明は、主剤、硬化剤及び顔料の混合時の作業性に優れ、混合後における亜鉛末の耐沈降性に優れ、混合後における使用可能時間(可使時間)が長く、塗膜の防錆性及び強度(可撓性)に優れる水系有機ジンクリッチ塗料組成物と、これを用いた防錆塗膜形成方法及び複層塗膜とを提供することを目的とする。
[2]前記シリカはフュームドシリカである、上記[1]に記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物。
[3]前記フュームドシリカは親水性フュームドシリカである、上記[2]に記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物。
[4]前記エポキシ樹脂エマルションを含む第1液と、前記水溶性ポリアミンを含む第2液と、前記顔料を含む粉体と、を含む2液1粉型である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物。
[5]前記亜鉛末の平均粒子径が1〜12μmである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物を基材面に塗装して、亜鉛を含む防錆塗膜を形成する、防錆塗膜形成方法。
[7]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物を基板面に塗装してなる防錆塗膜と、その上に塗装してなる水系中塗り塗膜及び/又は水系上塗り塗膜と、を含む複層塗膜。
本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、主剤としてのエポキシ樹脂エマルション、硬化剤としてのポリアミン、及び亜鉛末を含む顔料、を含む水系有機ジンクリッチ塗料組成物であって、上記顔料は、上記亜鉛末と、平均粒子径が5〜800nmであるタルク、二酸化チタン及びシリカの少なくとも1種からなる微粉末を含んでおり、上記ポリアミンは水溶性ポリアミンであり、前記亜鉛末100質量部に対する、前記微粉末の含有量が0.01〜1質量部である、水系有機ジンクリッチ塗料組成物である。
本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、主剤、硬化剤及び顔料の混合時の作業性(以下、「混合作業性」ということがある)に優れ、当該混合後における亜鉛末の耐沈降性(以下、「亜鉛末の耐沈降性」ということがある)に優れ、当該混合後における可使時間(以下、「混合後における可使時間」ということがある)が長く、塗膜の防錆性及び強度(可撓性)に優れる。
以下に、水系有機ジンクリッチ塗料組成物の各成分について説明する。
なお、以下、水系有機ジンクリッチ塗料組成物を単に「塗料組成物」ということがある。
本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、主剤としてエポキシ樹脂エマルションを含む。
ここで、エポキシ樹脂エマルションとは、エポキシ樹脂が親水性媒体中に乳化分散してなるものであり、アニオン性、または、ノニオン性のいずれのタイプであってもよいが、主剤、硬化剤及び顔料の混合作業性の向上、亜鉛末の耐沈降性の向上、混合後における可使時間の長期化、並びに塗膜の防錆性及び強度(可撓性)の向上の観点から、ノニオン性であることが好ましい。
次に、エポキシ樹脂エマルションの各成分について説明する。
エポキシ樹脂エマルション中のエポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する樹脂である。
このエポキシ樹脂のエポキシ当量は、主剤、硬化剤、及び、顔料の混合作業性の向上、亜鉛末の耐沈降性の向上、混合後における可使時間の長期化、並びに塗膜の防錆性、及び、強度(可撓性)の向上の観点から、固形分あたりの換算で好ましくは50〜5,000g/eq、より好ましくは75〜2,500g/eq、更に好ましくは80〜750g/eqである。
なお、前出のエポキシ当量はJIS K 7236に記載の方法で求めることができる。
またこのエポキシ樹脂の数平均分子量は、同様の観点から、好ましくは200〜20,000、より好ましくは300〜10,000、更に好ましくは320〜2,000である。なお、数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;該ビスフェノール型エポキシ樹脂を二塩基酸等で変性したエポキシエステル樹脂;脂環式エポキシ樹脂;ポリグリコール型エポキシ樹脂;エポキシ基含有アクリル樹脂が好ましく、形成塗膜の防錆性、付着性などの点から、なかでもビスフェノール型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が更に好ましい。
上記エポキシ樹脂エマルションとしては、主剤、硬化剤、及び、顔料の混合作業性の向上、亜鉛末の耐沈降性の向上、混合後における可使時間の長期化、並びに塗膜の防錆性、及び、強度(可撓性)の向上の観点から、上記エポキシ樹脂を、乳化成分(分散安定樹脂)の存在下に乳化成分として分散安定樹脂を用いて乳化分散したものが好ましい。
本実施形態におけるエポキシ樹脂エマルションの具体的な製品としては、三菱化学社製のjERシリーズ、アデカ社製のアデカレジンEMシリーズ、荒川化学社製のモデピクスシリーズなどを挙げることができる。
親水性媒体としては、水、アルコール等が挙げられるが、環境負荷の低減の観点から、水が好ましい。親水性媒体100質量%中における水の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
エポキシ樹脂エマルションにおける当該エポキシ樹脂と当該乳化成分(分散安定樹脂)の総量100質量%中におけるエポキシ樹脂の含有量は、主剤、硬化剤、及び、顔料の混合作業性の向上、亜鉛末の耐沈降性の向上、混合後における可使時間の長期化、並びに塗膜の防錆性、及び、強度(可撓性)の向上の観点から、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜60質量%である。
本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、硬化剤として水溶性ポリアミンを含む。本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、水溶性ポリアミンを含むため、得られる塗膜の強度(可撓性)及び防錆性に優れる。その理由は不明であるが、硬化剤として水性ポリアミンを用いると、エポキシ樹脂エマルション中のエポキシ樹脂との接触面積が大きくなり、造膜性が向上するためであると推定される。
ここで「水溶性」とは、25℃の水100gにおける溶解量が5g以上であり、自己乳化せず水に溶解することをいう。また、ポリアミンとは、分子中に2個以上のアミノ基を有する化合物のことをいう。
水溶性ポリアミンとしては、脂肪族、脂環式、芳香族脂肪族及びヘテロ環式のポリアミンが挙げられる。これらポリアミンは個々にまたは相互の混合物として使用することができる。これらのポリアミンは好ましくは1つより多い第一及び/又は第二アミノ基を含有している。適するポリアミンは、他の官能基、例えば第三アミノ基、水酸基、エーテル基または二重結合を含有していてもよい。
ヘテロ環式ポリアミンとしては、例えばアミノエチルピペラジン及びビス−(アミノプロピル)ピペラジンが挙げられる。
これらのポリアミンの中でも、好ましくは脂肪族ポリアミンであり、より好ましくはイソホロンジアミン、TCD−ジアミン、メタキシリレンジアミン、及び、シクロヘキサンジアミンである。
上記水溶性ポリアミンは、水溶性を向上させて塗膜の造膜性を向上させ、塗膜の強度(可撓性)を向上させる観点から、他の樹脂で変性された変性ポリアミンであることが好ましい。変性ポリアミンとしては、ポリオキシアルキレン変性エポキシ樹脂等を用いてポリオキシアルキレン変性した変性アミンが好ましい。
上記ラクトン類(e)としては、例えば、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
上記(a)、(b)及び(e)の3成分は、一括して反応させてもよく或いは3成分を任意の順序で逐次反応させてもよい。反応は必要に応じて触媒としてBF3−アミン錯塩の存在下で行うこともできる。該BF3−アミン錯塩としては、例えば、BF3−ベンジルアミン、BF3−モノエチルアミン、BF3−トリエチルアミン、BF3−プロピルアミン、BF3−アニリン、BF3−ジメチルアニリン等が挙げられる。
本実施形態における水溶性ポリアミンの具体的な製品としては、MOMENTIVE社製のEPIKURE8537−WY−60(脂肪族ポリアミン)、エアープロダクツジャパン社製のサンマイドWH−910(変性脂肪族ポリアミン)、TOKA社製のトーマイドTXS−53−C、トーマイドTXS−674−B、トーマイドTXS−685−A、トーマイドTXS−694(以上、変性ポリアミドアミン)、フジキュアーFXI−919、フジキュアーFXH−927、フジキュアーFXH−935(以上、変性脂肪族ポリアミン)、大都産業社製のダイトクラールI−5986、ダイトクラールI−6020(以上、脂肪環式ポリアミン)、ダイトクラールX−5663H(変性脂肪族ポリアミン)、サノフィ・アベンティス社製のベッコポップ(変性脂肪族ポリアミン)などを挙げることができる。
水溶性ポリアミンの含有量は、主剤、硬化剤、及び、顔料の混合作業性の向上、亜鉛末の耐沈降性の向上、混合後における可使時間の長期化、並びに塗膜の防錆性、及び、強度(可撓性)の向上の観点から、
エポキシ樹脂エマルション中のエポキシ基1当量に対して、硬化剤の活性水素が、好ましくは0.4〜2当量、より好ましくは0.5〜1.5当量、さらに好ましくは0.6〜1.2当量となる量である。
主剤と硬化剤及び顔料の混合作業性の向上、亜鉛末の耐沈降性の向上、混合後における可使時間の長期化、並びに塗膜の防錆性及び強度(可撓性)を向上させる観点から、本発明のエポキシ樹脂エマルション(主剤)と水溶性ポリアミン(硬化剤)の固形分合計量は、亜鉛末100質量部に対して、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは10〜25質量部、更に好ましくは12〜20質量部である。
本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、顔料として、上記亜鉛末と、平均粒子径が5〜800nmであるタルク、二酸化チタン及びシリカの少なくとも1種からなる微粉末を含む。
このように、顔料として亜鉛末を含むため、亜鉛末を塗膜中に含ませることができ、その結果、塗膜から基材面に亜鉛が溶出して犠牲陽極作用を発揮し、防錆性を向上させることができる。また、顔料として、亜鉛末とともに上記微粉末を含んでおり、この微粉末が亜鉛末同士の間に介在する。これにより、亜鉛末同士の2次凝集が抑制され、主剤、硬化剤及び亜鉛末の混合時に亜鉛末の混合作業性が良好となり、また亜鉛の緻密な塗膜が形成されて防錆性能が向上する。また、主剤、硬化剤及び亜鉛末の混合後に亜鉛末が沈降することが抑制され、塗料組成物の取扱性が向上する。
上記亜鉛末としては、ジンクリッチペイントにおいて通常使用されているものが同様に使用可能である。
亜鉛末の平均粒子径は、主剤、硬化剤及び顔料の混合作業性の向上、亜鉛末の耐沈降性の向上、混合後における可使時間の長期化、並びに塗膜の防錆性及び強度(可撓性)の向上の観点から、好ましくは1〜12μm、より好ましくは2〜10μm、更に好ましくは3〜9μmである。上記亜鉛末の平均粒子径が1μm以上であると、顔料の混合作業性が向上する、混合後における可使時間が長くなるという利点がある。12μm以下であると、亜鉛末の耐沈降性が良好になり混合作業性が向上する、塗膜の防錆性及び強度(可撓性)が向上するという利点がある。
ここで、亜鉛末の平均粒子径とは体積基準の平均粒子径であり、亜鉛末の分散液中での粒度分布に基づき、亜鉛末の全体積を100%として累積を求めたとき、その累積体積が50%となる点の粒径を意味する。当該平均粒子径は、レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置にて測定することができる。具体的には、亜鉛末の平均粒子径は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態における亜鉛末の具体的な製品としては、東洋亜鉛社製の亜鉛末シリーズ、UMICORE社製の亜鉛末シリーズ、日本ペイント防食コーティングス社製の亜鉛末シリーズなどを挙げることができる。
本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物中における、亜鉛末の含有量は、主剤、硬化剤及び顔料の混合作業性の向上、亜鉛末の耐沈降性の向上、混合後における可使時間の長期化、並びに塗膜の防錆性及び強度(可撓性)の向上の観点から、前記エポキシ樹脂エマルションと、ポリアミンと、亜鉛末を含む顔料の合計固形分質量に対する、亜鉛末の固形分質量が好ましくは70〜95質量%、より好ましくは75〜90質量%、更に好ましくは80〜88質量%である。
また、顔料は、亜鉛末の他に、平均粒子径が5〜800nmであるタルク、二酸化チタン、及び、シリカの少なくとも1種からなる微粉末を含有する。
この微粉末の平均粒子径は、5〜800nmである。当該微粉末の平均粒子径が前述の範囲に含まれると主剤、硬化剤及び顔料の混合時の作業性に優れ、混合後における可使時間が長く、塗膜の防錆性、及び、強度(可撓性)に優れる。加えて、亜鉛末どうしの二次凝集を抑制できるため粉末(顔料)の耐凝集性に優れる。一方、当該微粉末の平均粒子径が5nm未満であると、顔料の吸油量が大きくなり混合作業性が低下するという不都合がある。800nmを超えると、亜鉛末どうしの二次凝集を抑制するための上記微粉末の添加量が多くなり防錆性が低下するという不都合がある。当該観点から、当該微粉末の平均粒子径は、好ましくは5〜90nm、より好ましくは5〜50nmである。
ここで、微粉末の平均粒子径とは、微粉末の分散液中での粒度分布に基づき、微粉末の全体積を100%として累積を求めたとき、その累積体積が50%となる点の粒径を意味する。当該平均粒子径は、レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置にて測定することができる。また、フュームドシリカは後述するように複数の粒子が数珠状に凝集・融着し、嵩高い凝集体を形成しているため、電子顕微鏡にて撮影した写真から1次粒子径を実測する方法にて求めることができる。
この微粉末は、タルク、二酸化チタン及びシリカの少なくとも1種であるが、主剤、硬化剤及び顔料の混合作業性の向上、亜鉛末の耐沈降性の向上、混合後における可使時間の長期化、並びに塗膜の防錆性及び強度(可撓性)の向上の観点から、シリカが好ましい。また、シリカとしては、同様の観点から、四塩化珪素の燃焼加水分解によって生成された二酸化珪素が、空気中で真球状の粒子を形成し、さらにこれら複数の粒子が数珠状に凝集・融着し、嵩高い凝集体を形成した乾式シリカであるフュームドシリカがより好ましい。
さらに亜鉛末表面との親和性が良好な理由により亜鉛末どうしの二次凝集が抑制され、粉体(顔料)の耐凝集性、亜鉛末の分散性及び亜鉛末の耐沈降性の向上に優れた効果がある点で、粒子表面がシロキサンとシラノール基から成る親水化表面処理をされたフュームドシリカ(親水性フュームドシリカ)がさらに好ましい。
本実施形態における微粉末の具体的な製品としては、タルクとしては、富士タルク工業社製のJ/Mシリーズ、日本タルク社製のNANO ACEシリーズ、福岡タルク工業社製のMFシリーズ等、二酸化チタンとしては、テイカ社のMTシリーズ、チタン工業社製のSSTシリーズ、石原産業社製のTTOシリーズ等、フュームドシリカとしては、旭化成ワッカーシリコーン社製のHDKシリーズ、トクヤマ社製のレオロシールシリーズ、日本アエロジル社製のAEROSILシリーズ、CABOT社製のCAB−O−SILシリーズ等、を挙げることができる。
この微粒子の含有量は、亜鉛末100質量部に対して0.01未満であると、亜鉛末の凝集防止性が劣るという不都合がある。また、亜鉛末100質量部に対して1.0質量部を超えると、上記微粒子が亜鉛末粒子をまんべんなく覆ってしまうことで亜鉛末の犠牲防食作用を阻害する、微粒子過剰の影響により水系有機ジンクリッチ塗料組成物調製時の混合作業性が低下する及び塗膜が硬くなって可撓性が低下するという不都合が生じる観点から、亜鉛末100質量部に対して、0.01〜1.0質量部が好ましく、0.1〜0.5質量部がより好ましい。
顔料中における、上記亜鉛末及び微粉末の合計顔料は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
また、顔料として、上記亜鉛末及び微粉末に加え、それ以外の体質顔料を含んでいてもよい。
その他の体質顔料としては、例えば、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、ホワイトカーボン、珪藻土、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、タンカルなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、顔料には、防錆顔料及び着色顔料の少なくとも1種が含まれていてもよい。
上記水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、少なくとも前述のエポキシ樹脂エマルションを含有させるために、親水性媒体を含有する。
親水性媒体としては、水、アルコール等が挙げられるが、環境負荷の低減の観点から、水が好ましい。親水性媒体中における水の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
水系有機ジンクリッチ塗料組成物中における親水性媒体の総量は、主剤、硬化剤、及び、顔料の混合作業性の向上、亜鉛末の耐沈降性の向上、混合後における可使時間の長期化、並びに塗膜の防錆性及び強度(可撓性)の向上の観点から、亜鉛末100質量部に対して、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは10〜20質量部、更に好ましくは12〜18質量部である。
上記水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、必要に応じて、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の改質用樹脂;分散剤、消泡剤、防腐剤、フラッシュラスト抑制剤、増粘剤、造膜助剤等の通常の塗料用添加剤を含むことができる。
これらその他の成分は、主剤、硬化剤及び顔料の混合作業性の向上、亜鉛末の耐沈降性の向上、混合後における可使時間の長期化、並びに塗膜の防錆性及び強度(可撓性)の向上の観点から、亜鉛末100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
なお、上記水系有機ジンクリッチ塗料組成物100質量部における、前述のエポキシ樹脂エマルション、水溶性ポリアミン、顔料及び親水性媒体の合計含有量は、好ましくは60質量部以上、より好ましくは70質量部以上、更に好ましくは80質量部以上、より更に好ましくは90質量部以上である。
また、上記水系有機ジンクリッチ塗料組成物100質量部における、前述のエポキシ樹脂エマルション、水溶性ポリアミン、顔料、親水性媒体、及び前述したその他の成分の含有量は、好ましくは80質量部以上、より好ましくは90質量部以上、更に好ましくは99質量部以上、より更に好ましくは100質量部である。
本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、上記エポキシ樹脂エマルションを含む第1液と、上記水溶性ポリアミンを含む第2液と、上記顔料を含む粉体と、を含む2液1粉型の水系有機ジンクリッチ塗料組成物であることが好ましい。
このように2液1粉型の水系有機ジンクリッチ塗料組成物とすることにより、主剤と硬化剤とを別々に保管することができ、塗料組成物の使用前に主剤と硬化剤とが反応することが防止される。また、顔料を主剤及び硬化剤とは別に保管することができ、主剤及び硬化剤中に沈降物が生じることが防止される。
ただし、本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、上記エポキシ樹脂エマルション、上記水溶性ポリアミン及び上記顔料を含有する1液型であってもよい。
次に、第1液、第2液及び粉体について詳細に説明する。
第1液は、上記エポキシ樹脂エマルションを含む。第1液は、更に必要に応じて、その他の顔料及び/又はその他の成分を含んでも良い。その他の顔料、その他の成分の詳細は、前述のとおりである。
第2液は、上記水溶性ポリアミンを含む。第2液は、更に親水性媒体を含むことが好ましい。第1液と同様、更に必要に応じて、その他の顔料及び/又はその他の成分を含んでも良い。親水性媒体、その他の顔料、その他の成分の詳細は、前述のとおりである。
粉体は、顔料として、上記亜鉛末と、平均粒子径が5〜800nmであるタルク、二酸化チタン及びシリカの少なくとも1種からなる微粉末を含む。上記顔料の詳細については、前述のとおりである。
本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、上記主剤に上記顔料を予め混合したものと、上記硬化剤とをそれぞれ別の容器保管し、使用時に混合して用いてもよく、上記硬化剤に上記顔料を予め混合したものと、上記主剤とをそれぞれ別の容器保管し、使用時に混合して用いてもよいが、前述のように上記主剤と、上記硬化剤と、上記顔料とを、それぞれ別の容器保管し、使用時に混合して用いる2液1粉型の調製方法が好ましい。
本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は多くの金属基材の下塗り用途において好適に使用される。金属基材の組成や種類については一般に用いられるものであれば限定されない。たとえば機械、コイル状金属、メインテナンス塗装、沖合い掘削リグ、油用スーパータンカー、パイル、油および水用のパイプライン、船の大構造、店舗、煙突、貯蔵タンク、電波塔、金属橋および屋外鋼構造物の塗装、電車、船体および桟橋などのその他の海洋構造物などの下塗り用途に使用される。本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、自動車の足まわり用途にも好適に使用され、たとえば高速道路や市街地において氷や雪の除去を助けるために使用される無機塩による腐蝕から自動車のアンダーボディを保護するために使用される。アンダーボディ、ドアまたは他の自動車の部分はデップコート、スプレーコート、または本発明の塗料と共に射出されることができ、下層の金属基材を腐蝕から保護する。
本発明の防錆塗膜形成方法は、本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物を基材面に塗装して、亜鉛を含む防錆塗膜を形成する方法である。
防錆塗膜は、乾燥膜厚で通常20〜200μm、好ましくは40〜150μmの範囲内となるようにして上記の基材面に塗装することができる。その塗装は、それ自体既知の塗装手段、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り、ローラー塗り等で行なうことができる。
本発明の防錆塗膜形成方法、及び、複層塗膜は、本発明の水系有機ジンクリッチ塗料組成物を基材面に塗装してなる防錆塗膜と、その上に塗装してなる水系中塗り塗膜、及び/又は、水系上塗り塗膜と、を含む。また、防錆塗膜と水系中塗り塗膜の間に、水系下塗り塗膜を含んでいてもよい。
なお、第1液(主剤)、第2液(硬化剤)、及び、粉体(顔料)として、以下のものを用いた。
主剤A:
エポキシ樹脂エマルション(「アデカレジンEM−101−50」、ADEKA社製、ノニオン性親水成分を含むポリエチレングリコール変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を分散安定樹脂とし、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を水分散してなるエマルション、固形分あたりのエポキシ当量:495〜575g/eq、固形分50質量%、数平均分子量:約900)
硬化剤A(水溶性ポリアミン):
変性脂肪族ポリアミン(「フジキュアーFXI−919」、T&K TOKA社製、固形分:78質量%、溶媒:水、アミン価:180〜200)
硬化剤B(水溶性ポリアミン):
変性脂肪族ポリアミン(「サンマイド WH−910」、エアープロダクツ社製、固形分:60質量%、溶媒:水、アミン価:200〜240)
硬化剤C(ポリアミンエマルション):
変性脂肪族ポリアミン(「フジキュアーFXS−918−FA」、T&K TOKA社製、固形分:56質量%、分散媒:水、アミン価:130〜160)
亜鉛末A:(「LS−4」、日本ペイント防食コーティングス社製、平均粒子径:3.6〜5.0μm)
亜鉛末B:(「LS−2」、日本ペイント防食コーティングス社製、平均粒子径:3.5μm以下)
亜鉛末C:(「MCS」、日本ペイント防食コーティングス社製、平均粒子径:7.1〜9.0μm)
微粉末A:フュームドシリカ(「AEROSIL 200」、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ、平均粒子径10nm)
微粉末B:フュームドシリカ(「AEROSIL 90G」、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ、平均粒子径20nm)
微粉末C:フュームドシリカ(「AEROSIL 300」、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ、平均粒子径7nm)
微粉末D:フュームドシリカ(「AEROSIL R816」、日本アエロジル社製、疎水性フュームドシリカ、平均粒子径10nm)
微粉末E:微粒子タルク(「D−600」、日本タルク社製、平均粒子径:60nm)
微粉末F:微粒子酸化チタン(「TTO F−11」、石原産業社製、平均粒子径:10nm)
顔料A:タルク(「ミクロンA」、日本タルク社製、平均粒子径:10,000〜20,000nm)
顔料B:防錆顔料(リン酸亜鉛「LFボウセイ ZP−3N」、キクチカラー社製、平均粒子径:10,000nm以上)
顔料C:沈降性シリカ(「Sipernat320」、エボニック社製、平均粒子径:1,500nm)
なお、顔料A〜Cの平均粒子径は各々のメーカーカタログ値である。
亜鉛末、及び、微粉末E、Fの平均粒子径は、下記のとおり測定した。
即ち、粉末100gを100mlのエチレングリコールに分散させ、超音波バス(100W)で5分間撹拌した後、「SALD−7100」(レーザー回折装置、島津製作所製)を用い、屈折率2.60、測定回数2回、平均回数64回、測定吸光度0.01から0.2の条件で測定した。
また、微粉末A〜Dの平均粒子径は各々のメーカーカタログ値であり、電子顕微鏡にて撮影した写真から1次粒子径を実測する方法にて求めたものである。
表1に示す第1液(主剤)、第2液(硬化剤)及び粉体(顔料)を、それぞれ表1に示す割合にて別個に用意し、2液1粉型の水系有機ジンクリッチ塗料組成物を得た。
なお、粉体(顔料)は、表1に示す亜鉛末A及び微粉末Aを混合することにより得た。
得られた水系有機ジンクリッチ塗料組成物について、下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
上記粉体(顔料)3.5kgを、缶(材質:ブリキ、寸法:φ127mm×高さ175mm)に入れて密閉し、室温にて6ヶ月間保管した。
容量300mlのステンレス容器に、アクリルスチレン樹脂溶液((「ブライオライトAC5G」、グッドイヤーケミカル社製、固形分:100質量%)30質量部にキシレン70質量部を加えた固形分70質量%の樹脂溶液)50質量部、上記6ヶ月間保管後の粉体(顔料)100質量部を加え、ラボディスパーで1000〜1500rpm×90秒間撹拌・混合して、混合液を得た。
立てかけたブリキ板(寸法:100mm×50mm×0.3mm)に、得られた混合液を流して塗布し、乾燥して塗膜を得た。この塗膜の表面を目視及び触指により観察し、下記の基準に基づいて評価した。
○:塗膜表面に凹凸は見られず、手触りがツルツルしている。
△:僅かに粗粒の凹凸が塗膜に見られる。
×:塗膜全面に粗粒の凹凸が見られ、手触りがザラザラしている。
第1液(主剤)、第2液(硬化剤)及び粉体(顔料)を、それぞれ表1に示す割合にて、合計量が200質量部となるように水系有機ジンクリッチ塗料組成物を用意した。
次いで、容量300mlのステンレス容器に第1液(主剤)と第2液(硬化剤)を、スパチュラを用いて手で均一に撹拌・混合して、混合液を得た。
更に、この混合液に用意した粉体(顔料)を加え、スパチュラを用いて手で均一に撹拌・混合して、粉体(顔料)の分散性を下記の基準に基づいて評価した。
○:5分未満の撹拌で粉体が視認されなくなる。
△:5分以上20分未満の撹拌で粉体が視認されなくなる。
×:20分以上撹拌しても粉体が視認される。
第1液(主剤)、第2液(硬化剤)及び粉体(顔料)を、それぞれ表1に示す割合にて、合計量が200質量部となるように水系有機ジンクリッチ塗料組成物を用意した。
次いで、容量300mlのステンレス容器に第1液(主剤)と第2液(硬化剤)を、スパチュラを用いて手で均一に撹拌・混合して、混合液を得た。
更に、この混合液に用意した粉体(顔料)を加え、スパチュラを用いて手で10〜20分間撹拌し、2液1粉型の水系有機ジンクリッチ塗料組成物を得た。
上記塗料組成物を容量200mlの紙コップに移し変え、1時間静置した後、スパチュラを当該塗料組成物中に入れて顔料の沈降状態を確認した。
顔料の沈降(沈降物)が見られる場合はスパチュラを用いて手で撹拌・混合し、沈降物の消失状態を下記の基準に基づいて評価した。
○:顔料の沈降は見られない。
△:顔料は沈降しているが、沈降物は柔らかく、5分の撹拌で消失する。
×:沈降物が堅く、5分撹拌しても消失しない。
>
第1液(主剤)、第2液(硬化剤)及び粉体(顔料)を、それぞれ表1に示す割合にて、合計量が200質量部となるように水系有機ジンクリッチ塗料組成物を用意した。次いで、容量300mlのステンレス容器に第1液(主剤)と第2液(硬化剤)を混合し、均一に撹拌して、混合液を得た。更に、この混合液に用意した粉体(顔料)を加え、スパチュラを用いて手で10〜20分間撹拌し、2液1粉型の水系有機ジンクリッチ塗料組成物を得た。
基材として表面を磨いて脱脂したSPCC−SBの鋼板(寸法:100mm×50mm×0.3mm)に、上記実施例1〜12、及び、比較例1〜9の塗料組成物を400g/m2刷毛で塗装した後、室温で硬化乾燥させることにより、乾燥膜厚70μmの亜鉛を含む防錆塗膜を形成した。
さらに、上記防錆塗膜に対して、水系下塗り塗料組成物として「水性ハイポン20」(日本ペイント社製 商品名・水系変性エポキシ樹脂下塗り塗料)を200g/m2で塗装し、室温にて乾燥させて下塗り塗膜を形成し、次に水系中塗り塗料組成物として「水性ハイポン30中塗」(日本ペイント社製 商品名・水系ポリウレタン樹脂中塗り塗料)を140g/m2で塗装し、室温にて乾燥させて中塗り塗膜を形成し、さらに、上塗り塗膜を形成するために水系上塗り塗料組成物として「水性ハイポン50上塗」(日本ペイント社製 商品名・水系ポリウレタン樹脂上塗り塗料)を120g/m2で塗装し、室温にて乾燥させることで上記防錆塗膜を含む複層塗膜を形成した。
上記亜鉛を含む防錆塗膜、及び、上記防錆塗膜を含む複層塗膜を試験体としてを用い、JIS K5600−7−1の耐中性塩水噴霧性に準じて、上記試験体にスクラッチカット部を付けたうえで塩水噴霧中に500時間静置させた後、試験体に生じたサビ及びフクレの発生程度を下記の基準に基づいて評価した。
評価の結果を表1に記した。
○:スクラッチカット部及び塗面に赤サビ及びフクレ等の異常が無い。
△:スクラッチカット部から1mm以上の塗面に赤サビ及びフクレ等の異常が無い。
×:スクラッチカット部から1mm以上の塗面に赤サビ及びフクレが発生した。
上記亜鉛を含む防錆塗膜を試験体として、JIS K5600−5−1の耐屈曲性に準じて塗膜の可撓性を評価した。具体的には、上記試験体を、直径6mmの円筒形マンドレルを用いて折り曲げ、塗膜の状態を下記の基準に基づいて評価した。
評価の結果を表1に記した。
○:屈曲した塗膜表面に剥離やクラックが見られない。
△:屈曲した部分にクラックが生じている。
×:クラックから素地が現れる又は、塗膜の剥離が見られる。
なお、複層塗膜の防錆性において、実施例11及び12の評価結果が実施例1〜10より若干低下する理由として、実施例1〜10はフュームドシリカによる防錆効果が挙げられる。
また、実施例10は疎水性フュームドシリカと亜鉛末表面との親和性が親水性フュームドシリカより劣るため、亜鉛末どうしの二次凝集が生じ易くなり、粉体(顔料)の耐凝集性、亜鉛末の分散性及び塗料組成物の混合後における亜鉛末の耐沈降性が悪くなる。
一方、比較例1〜6の水系有機ジンクリッチ塗料組成物は、亜鉛末以外の顔料として、平均粒子径が大きい顔料を用いているため、上記評価結果のいずれかに劣っている。
また、比較例7では、顔料として亜鉛末しか含んでいないので、粉体(顔料)の耐凝集性に劣っており、塗料組成物の混合後における亜鉛末の耐沈降性も悪くなる。
加えて、比較例8では、第2液(硬化剤)としてポリアミンエマルションを用いているため、造膜性が悪くなり本発明の水溶性ポリアミンを使用したものより塗膜の防錆性や塗膜強度(可撓性)が劣っている。
更に比較例9では微粉末の含有量が1質量部を越えるため亜鉛末の分散性が劣り、塗膜の防錆性と塗膜の可撓性も劣化する。
Claims (7)
- 主剤としてのエポキシ樹脂エマルション、硬化剤としてのポリアミン、及び亜鉛末を含む顔料、を含む水系有機ジンクリッチ塗料組成物であって、
前記顔料は、前記亜鉛末と、平均粒子径が5〜800nmであるタルク、二酸化チタン及びシリカの少なくとも1種からなる微粉末を含んでおり、
前記ポリアミンは水溶性ポリアミンであり、
前記亜鉛末100質量部に対する、前記微粉末の含有量が0.01〜1質量部である、水系有機ジンクリッチ塗料組成物。 - 前記シリカはフュームドシリカである、請求項1に記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物。
- 前記フュームドシリカは親水性フュームドシリカである、請求項2に記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物。
- 前記エポキシ樹脂エマルションを含む第1液と、
前記水溶性ポリアミンを含む第2液と、
前記顔料を含む粉体と、
を含む2液1粉型である、請求項1〜3のいずれかに記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物。 - 前記亜鉛末の平均粒子径が1〜12μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物を基材面に塗装して、亜鉛を含む防錆塗膜を形成する、防錆塗膜形成方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の水系有機ジンクリッチ塗料組成物を基板面に塗装してなる防錆塗膜と、その上に塗装してなる水系中塗り塗膜及び/又は水系上塗り塗膜と、を含む複層塗膜。
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