JP2008081667A - 防錆塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】クロム等の有害な金属化合物を全く使用せずに、高温で焼き付け処理を行ってもクラックが発生しない薄膜を形成可能な防錆塗料を提供する。
【解決手段】全塗料に基づいて、有機ケイ素化合物を5〜40質量%と、有機チタネート化合物0.05〜5.0質量%と、亜鉛粉末、亜鉛合金粉末およびアルミニウム粉末からなる群から選ばれた1種以上の金属粉末20〜60質量%と、有機溶剤10〜60質量%とを含有することを特徴とする防錆塗料。
【選択図】なし

Description

本発明は、クロム等の有害金属を含まない薄膜型の防錆塗料に関し、詳しくは、たとえば精密機器や自動車のプレス成形用鋼板に適用可能なほどの薄膜であっても高い防錆機能を有する塗膜を形成できる塗料に関する。
鉄鋼の防錆を目的とする塗料の分野では、亜鉛粉末とクロム酸とを主成分とする防錆塗料が多用されてきた。この塗料は、6価クロムの持つ不働態化作用によって亜鉛粉末を長期間安定に保つことができ、液の保存安定性に優れている。また、この亜鉛粉末を含有する塗料からなる塗膜は、周知の亜鉛による犠牲防食作用が有効に働いて、下地の鉄鋼の腐食を防止するため、優れた防錆効果が得られる。
ところが、近年、6価クロムの有害性による環境汚染、人体への健康被害が懸念されるようになり、6価クロム等の有害金属を法的に使用規制する動きが加速している。こうした流れを受け、精密機器や自動車などのコンシューマ製品を製造する企業では6価クロム等の有害金属をまったく使用しない方向での検討が進んでいる。そのため、防錆塗料の分野でもクロム等の有害金属を全く含まない塗料が強く望まれている。
このようなクロムを含まない防錆塗料の一例としては、亜鉛粉末とバインダー成分とを有機溶剤に分散または溶解させた種類の塗料、即ち、ジンクリッチペイントがある。このジンクリッチペイントには、有機系と無機系とがあり、耐久性の観点からは有機ケイ素化合物をビヒクルとする無機系のほうが優れており、たとえば船舶や橋梁の重防食塗装において下塗り剤として用いられている。
ところが、無機系ジンクリッチペイントは膜中に空隙部(ボイド)が発生しやすく、また塗膜の厚さを制御しにくい。このような欠点を克服すべく、以下のような技術が開示されている。
特許文献1には、長径が20〜30μmのウイスカー状の炭酸カルシウムを追加含有させる技術が開示されている。この技術において、添加したウイスカーは被膜のクラック発生を防止する機能を有する。
また、特許文献2には、重量平均分子量/数平均分子量の比が40以下であるアルキルシリケート樹脂を用い、塗料のモルホリンゲルタイムが60秒以下であるジンクリッチペイントが開示されている。このような塗料は硬化時間が早く、それがゆえにクラックが進展して空隙とつながる現象が抑制されると説明されている。
こうした技術は、厚膜のジンクリッチペイントとしては確かに有効ではあるものの、10μm程度の薄膜を安定に形成可能であって、なおかつその塗膜が高い防食性を有するような塗料を提供することはできていない。
このような薄膜で高い防食性を有する塗膜の主たる用途は、事務機器、電気機器、自動車などであり、具体的には、ボルトやナットなどの締結部品、クランプ、クリップ等の留め具、プレート、ハウジング、ヒンジ、パネル等のプレス成形品などが挙げられる。これらの部材は、組み付け精度が厳しいにもかかわらず、加工時や組み付け時に強いせん断力を受ける場合が多く、皮膜自体の強度や密着力に高いレベルが求められている。
かかる要求に応えるひとつの有効な手段が塗膜の高温での焼き付けである。しかしながら、従来技術にかかるジンクリッチペイントを300℃程度の高温で焼き付けようとすると、バインダーとなる有機ケイ素化合物が急激に収縮し、上記のような特許文献にかかる技術を用いても塗膜内のクラック進展を止めることができず、基板の鋼材内にも破断が発生する場合すらある。
特開平11−293200号公報 特開2004−359800号公報
本発明は、クロム等の有害な金属化合物を全く使用せずに、高温で焼き付け処理を行ってもクラックが発生しない薄膜を形成可能な防錆塗料を提供することを課題とする。
本発明によれば、非水系のバインダーと金属粉末とを含み、非水系のバインダーとして有機ケイ素化合物と有機チタネート化合物とを含む溶液を使用することにより、上記課題を解決することができる。
ここに、本発明は、全塗料に基づいて、有機ケイ素化合物を5〜40質量%と、有機チタネート化合物0.05〜5.0質量%と、亜鉛粉末、亜鉛合金粉末およびアルミニウム粉末からなる群から選ばれた1種以上の金属粉末20〜60質量%と、有機溶剤10〜60質量%とを含有することを特徴とする防錆塗料である。
好適態様において、本発明の防錆塗料はさらに下記の特徴を有する:
(1)有機ケイ素化合物は、炭素数が3以下のアルキル基を有するテトラアルキルシリケート化合物およびそのオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の化合物である;
(2)有機チタネート化合物は一般式としてTi(X)で表される有機化合物およびそのオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の化合物であって、Xは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、およびtert−ブトキシの炭素数4以下のアルコキシ基、ラクテート、トリエタノールアミネート、アセチルセトネート、アセトアセテート、およびエチルアセトアセテートを含むキレート性置換基、ならびに水酸基からなる群から選ばれた1種以上の官能基である;および
(3)金属粉末の形状は鱗片状である。
本発明の防錆塗料は、クロム等の有害な金属化合物を含有していないので、環境汚染や人体への健康被害を心配する必要がない。
また、表面性状が良好な10μm程度の薄膜を形成することが可能であり、この薄膜に対して高温で焼き付け処理を行っても膜中にクラックが発生しない。したがって、薄膜でありながら耐食性に優れた防錆皮膜を形成することができる。
本発明に係る防錆塗料は、必須成分として有機ケイ素化合物と、有機チタネート化合物と、所定の金属粉末と、有機溶剤とを含み、必要に応じて少量の添加剤を含む。
以下、これらの成分について詳しく説明する。なお、以下の説明において、%は特に指定しない限り全塗料に基づく質量%である。
(有機ケイ素化合物)
本発明の防錆塗料におけるバインダー成分としては、高温での焼付け処理でもクラックが発生しないように、有機ケイ素化合物および有機チタネート化合物を使用する。
このうち、有機ケイ素化合物は、アルコキシシランおよびその加水分解物から選んだ1種または2種以上とする。アルコキシシランは、(X’)Si(X”)なる一般式で表される化合物であることが好ましい。
ここで、X’は、ヒドロキシ基、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、等の低級アルコキシ基、メチル、エチル、等の低級アルキル基、ビニル基、等の低級アルケニル基、さらにはγ−グリシドキシプロピル、γ−メタクリロキシプロピル、γ−メルカプトプロピル、等の官能基含有低級アルキル基から選ばれる。X”は、ヒドロキシ基ならびにメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、等のアルコキシ基から選ばれ、3個のX”は同一でも異なっていてもよい。
アルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、等が挙げられるが、それに限られるものではない。シランカップリング剤として市販されている各種のアルコキシシランを使用してもよい。
これらのアルコキシシランの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどのテトラアルコキシシランまたはこれらのオリゴマーが好ましく、特に好ましいのは炭素数が3以下のテトラアルコキシシランまたはこれらのオリゴマーである。焼き付け処理によって縮合反応を起こした際に、三次元架橋構造の皮膜を形成することができ、皮膜強度が向上しやすい。また、縮合する際の体積収縮が比較的少ないため、クラックが成長しにくい。
上記の有機ケイ素化合物の量は、全塗料の5〜40%とすることが望ましい。5%未満の場合には皮膜強度が低くなる傾向が見られ、さらに少ない添加量になると金属粉末同士の間に明らかな空隙部(ボイド)が発生するようになって防錆機能も低下するようになる。一方、40%よりも過剰に添加すると、相対的に皮膜中の金属粉末の分散濃度が低下するため、防錆機能が低下する傾向が見られるようになる。また、積層される金属粉末の重なり面積が少なくなることから、クラック進展の抑制機能が低下する可能性を生ずる。特に好ましい範囲は10〜35%である。
(有機チタネート化合物)
本発明では、皮膜特性の向上を実現すべく、有機チタネート化合物を媒質に添加する。有機チタネート化合物は一般式としてTi(X)で表される有機化合物およびそのオリゴマーを意味する。ここで、Xは、水酸基、低級アルコキシ基、およびキレート性置換基から選ばれ、4個のXは同一であってもよいし異なっていてもよい。
低級アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、等の炭素数6以下、好ましくは4以下のアルコキシ基を意味する。
キレート性置換基とは、キレート形成能を持つ有機化合物から誘導された基を意味する。そのような有機化合物としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトン、アセト酢酸等のアルキルカルボニルカルボン酸およびそのエステル、乳酸等のヒドロキシ酸、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、等が例示される。キレート性置換基の具体例としては、ラクテート、アンモニウムラクテート、トリエタノールアミネート、アセチルアセトネート、アセトアセテート、エチルアセトアセテート、等がある。
この有機チタネート化合物は、後述するような微量の添加で高い機能を発揮する。すなわち、高温での焼付け処理を受けたときに、添加された有機チタネート化合物が硬化剤あるいは触媒として機能し、有機ケイ素化合物の三次元的な架橋反応を促進する。このため、バインダー成分の硬化速度が速まり、クラックの進展が抑制される。
また、有機ケイ素化合物と金属粉末との化学的な結合、および有機ケイ素化合物と基材である鋼材との化学的な結合もこの有機チタネート化合物の存在によって促進され、結合強度が高まる。このため、金属粉末とバインダーとの界面剥離や、鋼材とバインダーとの界面剥離が抑制され、クラックの進展が抑制される。
有機チタネート化合物の添加量は、0.05〜5.0%とすることが好ましい。有機チタネート化合物が少なすぎるとその効果が得られなくなってクラックが入りやすくなり、皮膜の防錆特性が低下する可能性を生ずる。一方、過剰になると、大気中の湿度を吸収して加水分解しやすくなり、ポットライフが短くなる傾向がある。特に好ましい範囲は0.1〜2%である。
(金属粉末)
金属粉末は、従来からジンクリッチ防錆塗料に使用されている、亜鉛粉末、亜鉛合金金属粉末、およびアルミニウム粉末から選択した1種または2種以上を使用する。亜鉛合金の例としては、Zn−Ni、Zn−Sn、Zn−Fe、Zn−Al、Zn−Al−Mg、等が挙げられる。
塗料原料としての金属粉末の形状は、皮膜の厚さを薄くしても高い耐食性を有するように、鱗片形状であることが好ましい。鱗片状であることによって、皮膜中で金属粉末が厚み方向に積層する構造をとることが実現される。この積層構造は、バインダー成分の重合に起因する収縮によって皮膜中にクラックが発生しても、その進展を抑制し、基材が露出するような大きなクラックの発生を防止する。
鱗片形状の金属粉末の平均厚さが皮膜の平均厚さの1/200〜1/2であって、かつ金属粉末の長径(鱗片形状の最長部分の長さ)の平均値が、金属粉末の平均厚さに対して10〜20倍であることが好ましい。たとえば、皮膜が10μm程度の場合には、鱗片形状の金属粉末の平均厚さは0.05〜5μmであって、長径の平均値は0.5〜100μmであることが好ましい。
また、塗料の塗布条件によって皮膜の厚さにばらつきが発生するような条件であっても、金属粉末の長径の平均値が1.0〜50μm、特に好ましくは4.0〜20μmの範囲にあり、その鱗片形状の平均厚さが0.05〜1.0μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmの範囲にある場合には、焼付け処理によってもクラックが発生しにくく、優れた防錆特性を有する塗膜が得られる。
なお、長径の平均値が上記の範囲よりも小さい場合には、皮膜内で鱗片状金属粉末が積層された構造を得にくくなって、クラック進展の抑制効果が小さくなる傾向を示すようになる。一方、上記の範囲よりも大きい場合には金属粉末の分布が疎となって、防錆特性に悪影響を及ぼす可能性が生ずる。
また、鱗片形状の平均厚さが上記の範囲よりも小さい場合には塗料の攪拌・混練作業の際に破壊されやくすくなり、鱗片形状が形成されにくくなり、積層構造が得られにくくなる。一方、上記範囲よりも大きい場合には皮膜の厚み方向に複数の金属粉末が積層される構造が得られにくくなり、クラックの進展を抑制する効果が減少する恐れがある。
塗料における金属粉末の組成比率は、全塗料に対する質量%で、20〜60%の範囲内の量とすることが好ましく、より好ましく30〜50%である。量が多すぎると塗料の薄膜状での塗布が難しくなると共に、皮膜の強度が低下する。逆に、少なすぎるとクラックが進展しやすくなったり、皮膜の防錆機能が低下したりする。
(有機溶剤)
本発明の防錆塗料は、塗布作業にあたって有機溶剤を含有させると被塗部材への液なじみがよく、密着性が高い皮膜を得ることが実現される。また、塗料化に際して添加される各種の添加剤に関して、有機溶剤を含有させることにより、幅広い添加剤の利用が可能となる。
好適な有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、メトキシブタノール、メトキシメチルブタノール等のアルコール類、これらのアルコール類の酢酸エステル、プロピオン酸エステル等のエステル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどのグリコール類、及びこれらのグリコールのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノブチルエーテルなどのエーテル類が例示される。また、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、ソルベントナフサなどの炭化水素類を使用してもよい。これらは、単独でも数種類の混合物として用いてもよい。
有機溶剤の量は、作業環境によっても変動するものであるが、全塗料の10〜60%とすることが好ましく、より好ましくは15%〜45%、特に好ましいのは20〜30%である。この範囲を超えると、薄膜化しにくくなったり、皮膜中で金属粉末が積層構造を作りにくくなったりして、他の成分の含有量との関係もあるが所望の皮膜を得にくくなる場合もありうる。
(その他の添加剤)
本発明の防錆塗料には、必要に応じて、塗料に一般に使用されている各種の添加剤を含有させることができる。そのような添加剤としては、増粘剤、防錆顔料、コロイド状シリカ微粒子、等が挙げられる。
増粘剤としては、脂肪酸アミド、ポリアマイド、酸化ポリエチレン、ヒドロキシプルピルセルロース、さらにはケイ酸塩系の無機増粘剤、等が例示される。
防錆顔料の例としては、リン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、モリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム、等がある。
コロイド状シリカ微粒子とは、粒径が1μmより微細なゾル状のシリカ粒子であり、上述したケイ素化合物と同様に、皮膜の耐食性と皮膜強度を改善する効果がある。コロイド状シリカ微粒子の例としては、コロイダルシリカを有機溶媒に分散させたオルガノシリカゾル(たとえば日産化学工業株式会社製スノーテックス)、フュームドシリカ(気相シリカ)、等が挙げられる。
その他、湿潤剤、消泡剤、等の慣用の塗料用添加剤も本発明の塗料に含有させることができる。
これらの他の添加剤は、合計で、全塗料の0.1〜10%の範囲の量で添加することが好ましい。0.1%未満の場合には添加剤の効果が得られない恐れがあり、10%を超えると主剤である金属粉末やバインダー成分の組成比率が相対的に低下し、基本特性である防錆特性が低下する恐れがある。
以上に述べた、本発明の防錆塗料を構成する各成分は、いずれも1種または2種以上を使用することができる。
本発明の防錆塗料は、上述した各成分を十分に攪拌・混合して、金属粉末を液中に均一に分散させることにより調製される。
この防錆塗料を適用することができる鉄鋼部材は、鋼板、棒材、鋼管、型鋼から、成形品、さらにはボルト、等の小物部材まで、あらゆる鉄鋼部材を包含する。鉄鋼部材は、ショットブラスト処理、リン酸塩皮膜処理、等の塗装の密着性向上や耐食性向上のための塗装前処理として広く使われる処理を施したものでもよい。
鉄鋼部材への塗料の塗布は、例えば、ロール塗布、スプレー、刷毛塗り、浸漬等の常法により行うことができ、その部材の形態に応じて適当な塗布方法を選択すればよい。塗布は、加熱処理後に形成される皮膜厚みが2〜30μmの範囲となるように行うことが好ましい。
塗布後の加熱処理(焼付け) は、200〜400℃で10〜120分間行う。加熱処理により、有機ケイ素化合物が有機チタネート化合物を硬化剤または触媒として縮合反応を受け、多量の金属粉末を含む皮膜が鉄鋼部材の表面に形成される。加熱処理に先立って、乾燥のために予備加熱を行ってもよい。
こうして本発明の塗料が塗布された鉄鋼部材は、そのまま使用しても長期的に防錆効果を発揮するが、所望によっては、さらに塗装を施すことも可能である。
表1に示した配合(質量部)に従って、塗料用高速攪拌機を用いて各成分を一緒に3時間攪拌することにより十分に混合して、実施例1〜3ならびに比較例1および2の各塗料を作製した。
まず、鱗片状の亜鉛粉末を以下のようにして作成した。平均粒径5μmの金属亜鉛粉末100重量部をミネラルスピリット200重量部中に分散させ、さらに少量の脂肪酸を加えて、金属亜鉛粉末の分散濃度が約30重量%のスラリーとした。このスラリーをビーズミル(アシザワ・ファインテック株式会社製スターミルZRS)で粉砕処理し、処理後のスラリーを減圧下で蒸発乾燥させて、径の分布の中心値が10μm、厚さの分布の中心値が0.3μmの鱗片状亜鉛粉末を得た。
また、鱗片状のアルミ粉末は東洋アルミニウム株式会社製アルペースト0200M(平均径10μm、平均厚み0.2μm)を用い、比較例として用いた粒状の亜鉛粉末は堺化学工業株式会社製亜鉛末#1(平均粒径5.0μmの球状)であった。
次に、各塗料をあらかじめ脱脂・洗浄した軟鋼板にバーコーターにより塗布し、実施例1〜3については100 ℃×10分の予備乾燥の後、300 ℃×30分の加熱処理を行って、膜厚10μm の防錆皮膜を形成した。一方、比較例1および2については、実施例のような加熱条件では皮膜にひび割れが多数発生して防錆膜として機能しないため、80℃で120分硬化させて得られる皮膜を用いた。
この防錆処理鋼板の耐食性の評価を、JIS-Z 2371に規定する塩水噴霧試験を用い、50時間おきに外観検査することで行った。赤錆が発生しているか否かを目視レベルで判定し、共試された鋼板の1%以上に赤錆が認められた段階で皮膜の耐食性の上限と判断した。
また、塗料のポットライフは、塗料を調整後25℃湿度65%の状態で保管し、塗料のゲル化が進行して明らかな粘度上昇が見られるまでの時間を測定して得た。
Figure 2008081667
なお、各原料についての詳細情報は以下のとおりである。
エチルポリシリケート:コルコート株式会社製エチルシリケート40
ブチルチタネートダイマー:松本製薬工業株式会社製オルガチックスTA−22
チタンエチルアセトアセテート:松本製薬工業株式会社製オルガチックスTC−750
表1からわかるように、本発明に従って有機チタネート化合物を含有する実施例1〜3の塗料は、膜厚が10μmであるにもかかわらず、きわめて高い防錆特性を示した。一方、有機シラン化合物だけを使用している比較例1および2の塗料では、実施例のような高温での加熱処理が困難であり、そのため10μmの厚さでは最大でも400時間程度の耐食性しか得られなかった。
また、本実施例にかかる塗料のポットライフは、媒質に水を用いる比較例(比較例1)に比べてきわめて長くなった。

Claims (4)

  1. 全塗料に基づいて、有機ケイ素化合物を5〜40質量%と、有機チタネート化合物0.05〜5.0質量%と、亜鉛粉末、亜鉛合金粉末およびアルミニウム粉末からなる群から選ばれた1種以上の金属粉末20〜60質量%と、有機溶剤10〜60質量%とを含有することを特徴とする防錆塗料。
  2. 前記有機ケイ素化合物は、炭素数が3以下のアルキル基を有するテトラアルキルシリケート化合物およびそのオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の化合物である請求項1に記載の防錆塗料。
  3. 前記有機チタネート化合物は一般式Ti(X)で表される有機化合物およびそのオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の化合物であって、Xは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、およびtert−ブトキシの炭素数4以下のアルコキシ基、ラクテート、トリエタノールアミネート、アセチルセトネート、アセトアセテート、およびエチルアセトアセテートを含むキレート性置換基、ならびに水酸基からなる群から選ばれた1種以上の官能基である請求項1または2記載の防錆塗料。
  4. 前記金属粉末は鱗片状である請求項1から3のいずれかに記載の防錆塗料。
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