JP2021187864A - 防食塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】防食性、耐衝撃性、耐発泡性に優れ、すべり係数が高い(例:0.45以上)防食塗膜を形成可能な防食塗料組成物を提供すること。【解決手段】エポキシ樹脂(A)と、亜鉛粉末(B)と、ガラスフレーク(C)と、アミン硬化剤(D)とを含有する防食塗料組成物であって、前記亜鉛粉末(B)の含有量が、防食塗料組成物の固形分100質量%に対して、65〜87質量%であり、顔料体積濃度(PVC)が50〜80%である、防食塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、防食塗料組成物、防食塗膜、防食塗膜付き基材およびその製造方法に関する。
鋼材等の防食性が求められる基材に塗装される下塗り塗料の一例として、ジンクリッチ塗料が知られている。該ジンクリッチ塗料は、無機ジンクリッチ塗料と有機ジンクリッチ塗料との2種類に大別される。
前記鋼材等の基材は、ボルト締めなどにより、複数の基材を組み合わせて所定の構造物(例:橋梁等の鋼構造物)を形成することがあり、この場合、該基材としては、ボルト締め接合部を有する基材を用いることが多い。このような基材において、ボルト締め接合部を塗装する場合、形成される塗膜は、ボルト締め接合部におけるすべり係数の値が0.45以上であることが規格で決められている。
従来の有機ジンクリッチ塗料では、このようなすべり係数を満たす塗膜を作製することは容易ではなかった。このため、このような従来の有機ジンクリッチ塗料を用いる場合、これまでは、ボルト締め接合部以外の一般部には、有機ジンクリッチ塗料を塗装するが、ボルト締め接合部には、すべり係数が高い塗膜を形成することのできる、無機ジンクリッチ塗料を塗装する必要があり、つまり、ボルト締め接合部と、ボルト締め接合部以外の一般部とでは、これらそれぞれの箇所に塗装する塗料の塗り分けが必要であった。
無機ジンクリッチ塗料は、すべり係数が高く、長期防食性に優れる塗膜を形成できるなどの利点はあるものの、塗装作業性や塗膜の形成性に劣る(例:塗装時のダストが多い、塗装時の湿度管理やミストコートの工程等が必要、塗膜形成時の湿度管理が必要)点、無機ジンクリッチ塗料から形成された塗膜上に他の塗膜を形成する場合、該他の塗膜に発泡が生じやすいため、発泡対策が必要となる点、などの問題点があることから、すべり係数の高い塗膜を形成できる有機ジンクリッチ塗料が求められている。
このような有機ジンクリッチ塗料として、特許文献1には、有機樹脂と、亜鉛末と、中空粒子とを含有する防食塗料組成物(有機ジンクリッチ塗料)が記載されている。
特開2018−53203号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載の塗料から形成される塗膜は、防食性および耐衝撃性が不十分であり、また、該塗膜は、その上に形成され得る塗膜が発泡しやすい傾向にあり、このような発泡を抑制する耐発泡性(以下同様に、「耐発泡性に優れる塗膜」とは、該塗膜の上に形成され得る塗膜に発泡を生じさせ難い塗膜のことをいう。)の点でも改良の余地があった。
本発明は、防食性、耐衝撃性、耐発泡性に優れ、すべり係数が高い(例:0.45以上)防食塗膜を形成可能な防食塗料組成物を提供することを目的とする。
なお、本明細書において、「すべり係数」とは、「鋼構造接合部設計指針」(第3版、社団法人日本建築学会、2012年)の「付7 すべり係数評価試験法」に基づいて測定されたすべり係数のことをいう。
本発明者らは、前記課題を解決する方法について鋭意検討を重ねた結果、所定の塗料組成物によれば前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の構成例は以下の通りである。
なお、本明細書では、数値範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下を示す。
<1> エポキシ樹脂(A)と、亜鉛粉末(B)と、ガラスフレーク(C)と、アミン硬化剤(D)とを含有する防食塗料組成物であって、
前記亜鉛粉末(B)の含有量が、防食塗料組成物の固形分100質量%に対して、65〜87質量%であり、
顔料体積濃度(PVC)が50〜80%である、
防食塗料組成物。
<2> 前記エポキシ樹脂(A)の含有量が、防食塗料組成物の固形分100質量%に対して、1〜15質量%である、<1>に記載の防食塗料組成物。
<3> 前記ガラスフレーク(C)の含有量が、防食塗料組成物の固形分100質量%に対して、1〜15質量%である、<1>または<2>に記載の防食塗料組成物。
<4> 前記亜鉛粉末(B)の含有量が、防食塗料組成物の固形分100質量%に対して、80〜87質量%である、<1>〜<3>のいずれかに記載の防食塗料組成物。
<5> PVCが50〜65.0%である、<1>〜<4>のいずれかに記載の防食塗料組成物。
<6> <1>〜<5>のいずれかに記載の防食塗料組成物から形成された防食塗膜。
<7> すべり係数が0.45以上である、<6>に記載の防食塗膜。
<8> <6>または<7>に記載の防食塗膜と基材とを有する防食塗膜付き基材。
<9> 前記基材がボルト締め接合部を有する基材である、<8>に記載の防食塗膜付き基材。
<10> 下記工程[1]および[2]を含む防食塗膜付き基材の製造方法。
[1]基材に<1>〜<5>のいずれかに記載の防食塗料組成物を塗装する工程
[2]基材上に塗装された防食塗料組成物を乾燥させて防食塗膜を形成する工程
本発明によれば、防食性、耐衝撃性、耐発泡性に優れ、すべり係数が高い(例:0.45以上)防食塗膜を形成可能な防食塗料組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、塗装作業性に優れ、塗膜形成性に優れ、貯蔵安定性に優れ、ポットライフの長い防食塗料組成物を提供することができる。
さらに、本発明に係る防食塗料組成物を用いることで、従来の有機ジンクリッチ塗料を用いる際に必要であった、ボルト締め接合部と他の部分との塗分けが不要となり、基材全体を本発明に係る防食塗料組成物のみで塗装することが可能となるため、所望の基材をより容易に作製することができる。
図1は、実施例における防食性試験に用いた、スクライブを入れた試験片の概略平面図である。
≪防食塗料組成物≫
本発明の一実施形態に係る防食塗料組成物(以下「本組成物」ともいう。)は、エポキシ樹脂(A)と、亜鉛粉末(B)と、ガラスフレーク(C)と、アミン硬化剤(D)とを含有し、前記亜鉛粉末(B)の含有量が、本組成物の固形分100質量%に対して、65〜87質量%であり、顔料体積濃度(PVC)が50〜80%である。
このような本組成物は、有機ジンクリッチ塗料組成物であるといえる。
本組成物は前記効果を奏するため、鋼構造物などを形成する際に用いられるボルト締め接合部を有する鋼材等の基材に好適に用いられる。
本組成物は、1成分型の組成物であってもよいが、通常、エポキシ樹脂(A)を含有する主剤成分と、アミン硬化剤(D)を含有する硬化剤成分とからなる2成分型の組成物である。また、必要により、本組成物は、3成分型以上の組成物としてもよい。
これら主剤成分および硬化剤成分等は、通常、それぞれ別個の容器にて保存、貯蔵、運搬等され、使用直前に混合して用いられる。
本組成物のPVCは、防食性、耐衝撃性および耐発泡性に優れながらも、すべり係数の高い塗膜を容易に形成することができる等の点から、50〜80%であり、より好ましくは50〜65.0%、さらに好ましくは50〜64.5%である。なお、前記より好ましい範囲の上限、および、前記さらに好ましい範囲の上限のみ有効数字3桁である。他の値の有効数字は2桁、つまり、小数点以下第一位を四捨五入した値である。本明細書中の他の数値についても同様である。
PVCが前記下限を下回ると、得られる塗膜のすべり係数が低下する傾向にあり、求められる基準値である0.45を下回るおそれがある。一方、PVCが前記上限を超えると、得られる塗膜の耐衝撃性および耐発泡性が低下する傾向にある。
前記PVCは、本組成物中の固形分の体積に対する、本組成物中の全ての顔料の合計の体積濃度のことをいう。該顔料には、前記亜鉛粉末(B)、ガラスフレーク(C)が含まれ、本組成物が、体質顔料や着色顔料などのその他の顔料、タレ止め・沈降防止剤、脱水剤を含む場合、これらも含まれる。PVCは、具体的には下記式(1)より求めることができる。
PVC[%]=本組成物中の全ての顔料の体積合計×100/本組成物中の固形分の体積・・・(1)
前記本組成物中の固形分の体積は、本組成物の固形分率および真密度から算出することができる。前記真密度および固形分率を算出するための本組成物中の固形分の質量は、測定値でも、用いる原料から算出した値でも構わない。
本組成物の固形分率(本組成物の加熱残分の含有率)は、以下のようにして算出できる。
JIS K 5601−1−2:2008に従って、本組成物(例:主剤成分と硬化剤成分とを混合した直後の組成物)1±0.1gを平底皿に量り採り、質量既知の針金を使って均一に広げ、23℃で24時間放置後、110℃で1時間、常圧下で乾燥させ、得られた加熱残分から針金の質量を減算した質量と、量り採った本組成物の質量とから算出した質量百分率の値である。
前記顔料の体積は、用いた顔料の質量および真密度から算出することができる。前記顔料の質量および真密度は、測定値でも、用いる原料から算出した値でも構わない。測定値としては、例えば、本組成物の固形分より顔料と他の成分とを分離し、分離された顔料の質量および真密度を測定することで算出することができる。
なお、本明細書では、主剤成分または硬化剤成分を構成する原材料(例:エポキシ樹脂(A))中、主剤成分中、硬化剤成分中それぞれについては、これら各成分に含まれる溶剤以外の成分を「固形分」という。
<エポキシ樹脂(A)>
エポキシ樹脂(A)としては特に制限されず、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
エポキシ樹脂(A)としては、例えば、特開平11−343454号公報や特開平10−259351号公報に記載の非タール系エポキシ樹脂が挙げられる。
なお、エポキシ樹脂(A)は、主剤成分の貯蔵安定性、本組成物のポットライフ等の点から、エポキシ樹脂変性不飽和ポリエステル樹脂ではないことが好ましい。
エポキシ樹脂(A)としては、分子内に2個以上のエポキシ基を含むポリマー、オリゴマー、およびこれらのエポキシ基の開環反応によって生成するポリマーまたはオリゴマー等が挙げられる。このようなエポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂、エポキシ化油系エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、基材に対する密着性に優れる塗膜を容易に形成できる等の点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型およびビスフェノールF型のエポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。
エポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル類);ビスフェノールAD型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂が挙げられ、これらの水素添加反応(以下、「水添」ともいう)物、脂肪酸変性物、樹脂中の水素原子の少なくとも1つが臭素原子で置換された臭素化物等であってもよい。
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールA(ポリ)プロピレンオキシドジグリシジルエーテル、ビスフェノールA(ポリ)エチレンオキシドジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA(ポリ)プロピレンオキシドジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA(ポリ)エチレンオキシドジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型ジグリシジルエーテル類などの縮重合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(A)は、従来公知の方法で合成して得てもよく、市販品でもよい。該市販品としては、常温(15〜25℃の温度、以下同様。)で液状のものとして、「E−028」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量180〜190、粘度12,000〜15,000mPa・s/25℃)、「jER−807」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量160〜175、粘度3,000〜4,500mPa・s/25℃)、「フレップ60」(東レ・ファインケミカル(株)製、エポキシ当量約280、粘度約17,000mPa・s/25℃)等が挙げられる。常温で半固形状のものとして、「jER−834」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量230〜270)等が挙げられる。常温で固形状のものとして、「jER1001」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450〜500)等が挙げられる。
また、前述の半固形状または固形状のエポキシ樹脂を溶剤で希釈し、溶液とした「E−834−85X」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のキシレン溶液(834タイプエポキシ樹脂溶液)、固形分85%、固形分のエポキシ当量約255)、「E−001−75X」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のキシレン溶液(1001タイプエポキシ樹脂溶液)、固形分75%、固形分のエポキシ当量約475)等も使用することができる。
エポキシ樹脂(A)としては、基材に対する密着性に優れる組成物を容易に形成することができる等の点から、常温で固形状のエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は、防食性に優れる塗膜を容易に形成することができる等の点から、好ましくは150以上、より好ましくは175以上であり、好ましくは1,000以下、より好ましくは600以下、特に好ましくは500以下である。
エポキシ樹脂(A)のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)で測定した重量平均分子量は、得られる組成物の塗装硬化条件(例:常乾塗装または焼付け塗装)などにもより一概に決定されないが、好ましくは350〜20,000である。
本組成物の固形分100質量%に対するエポキシ樹脂(A)の含有量は、防食性により優れる塗膜を形成することができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは5〜10質量%である。
<亜鉛粉末(B)>
亜鉛粉末(B)としては、球状や鱗片状などの様々な形状のものを用いることができる。亜鉛粉末(B)としては、金属亜鉛の粉末、または、亜鉛を主体(亜鉛の含有量が全体の90質量%以上)とする合金(例:亜鉛とアルミニウム、マグネシウムおよび錫から選択される少なくとも1種との合金、好ましくは亜鉛−アルミニウム合金、亜鉛−錫合金)の粉末が挙げられる。これらの中でも、金属亜鉛の粉末が好ましい。
亜鉛粉末(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
亜鉛粉末(B)の形状は特に制限されないが、より防食性に優れる塗膜を容易に形成することができる等の点から、メディアン径(D50)が、好ましくは2〜20μm、より好ましくは2〜15μmである球状亜鉛粉末が望ましい。
本発明において、D50は、レーザー散乱回折式粒度分布測定装置、例えば「SALD 2200」((株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
本組成物の固形分100質量%に対する亜鉛粉末(B)の含有量は、65〜87質量%であり、より防食性に優れる塗膜を容易に形成することができる等の点から、好ましくは75〜87質量%、より好ましくは80〜87質量%である。
亜鉛粉末(B)の含有量が前記下限未満であると、亜鉛の犠牲陽極作用が不十分となり防食性が低下しやすくなり、前記上限を超えると、得られる塗膜の耐透水性や塗膜強度が低下しやすくなる。
本組成物が2成分型の組成物である場合、前記亜鉛粉末(B)は、エポキシ樹脂(A)などとともに主剤成分に配合することが好ましい。なお、亜鉛粉末(B)と水とが反応することにより、亜鉛粉末(B)の酸化による防食性の低下、水素の発生による火災の危険性が高まる等の点から、主剤成分は、水を含まないことが好ましい。
<ガラスフレーク(C)>
ガラスフレーク(C)とは鱗片状のガラスのことをいい、従来公知のガラスフレークを使用することができる。
ガラスフレーク(C)を他の成分とともに用いることで、亜鉛粉末(B)の犠牲防食効果を低下させることなく、長期防食性に優れ、かつ、すべり係数の高い塗膜を容易に形成することができる。
ガラスフレーク(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
ガラスフレーク(C)のメディアン径(D50)は、すべり係数が高く、防食性に優れる塗膜を容易に形成することができる等の点から、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜30μmである。
ガラスフレーク(C)のアスペクト比(D50/平均厚さ)は、塗装作業性に優れる組成物を容易に得ることができ、すべり係数が高く、防食性に優れる塗膜を容易に形成することができる等の点から、好ましくは2〜25、より好ましくは2〜10である。
前記平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)(フィリップス社製、型式「XL−30」)を用いて、前記ガラスフレーク(C)の主面に対して水平方向から観察し、数十個〜数百個の粒子の厚さを測定することで、その平均値として算出できる。
ガラスフレーク(C)の比重は、通常は、2〜3である。
ガラスフレーク(C)の比重が前記範囲にあると、同質量のガラスバルーンなどの中空粒子を用いた場合に比べてガラスフレーク(C)の本組成物中に占める体積が小さく、前記亜鉛粉末(B)の犠牲防食効果を低下させ難いため好ましい。
ガラスフレーク(C)としては、市販品を使用することができ、該市販品としては、例えば、「RCF−015」、「RCF−140」、「RCF−160」、「REF−015」、「REF−160」、「REF−600」(以上、日本板硝子(株)製)が挙げられる。
本組成物の固形分100質量%に対するガラスフレーク(C)の含有量は、塗装作業性に優れる組成物を容易に得ることができ、すべり係数が高く、かつ、長期防食性に優れる塗膜を容易に形成することができる等の点から、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは3〜10質量%、さらに好ましくは4.5〜8質量%である。
ガラスフレーク(C)の含有量が、前記下限を下回ると、形成される塗膜の強靭性が不十分となる場合があり、前記上限を超えると、得られる組成物の塗装作業性が不良になる場合がある。
<アミン硬化剤(D)>
アミン硬化剤(D)としてはアミン化合物であれば特に制限されないが、脂肪族系、脂環族系、芳香族系、複素環系などのアミン化合物が好ましい。なお、これらアミン化合物は、アミノ基が結合している炭素の種類により区別され、例えば、脂肪族系アミン硬化剤とは、脂肪族炭素に結合したアミノ基を少なくとも1つ有する化合物のことをいう。
アミン硬化剤(D)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記脂肪族系アミン硬化剤としては、例えば、アルキレンポリアミン、ポリアルキレンポリアミン、アルキルアミノアルキルアミンが挙げられる。
前記アルキレンポリアミンとしては、例えば、式:「H2N−R1−NH2」(R1は、炭素数1〜12の二価の炭化水素基である。)で表される化合物が挙げられ、具体的には、メチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、式:「H2N−(Cm2mNH)nH」(mは1〜10の整数である。nは2〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数である。)で表される化合物が挙げられ、具体的には、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ノナエチレンデカミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレン−ビス(トリメチレン)ヘキサミン等が挙げられる。
前記アルキルアミノアルキルアミンとしては、例えば、式:「R2 2N−(CH2p−NH2」(R2は独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり(但し、少なくとも1つのR2は炭素数1〜8のアルキル基である。)、pは1〜6の整数である。)で表される化合物が挙げられ、具体的には、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノブチルアミン等が挙げられる。
これら以外の脂肪族系アミン硬化剤としては、テトラ(アミノメチル)メタン、テトラキス(2−アミノエチルアミノメチル)メタン、1,3−ビス(2'−アミノエチルアミノ)プロパン、トリス(2−アミノエチル)アミン、ビス(シアノエチル)ジエチレントリアミン、ポリオキシアルキレンポリアミン(特に、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル)、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン(IPDA)、メンセンジアミン(MDA)、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン(MXDA)、p−キシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン、ビス(アミノエチル)ナフタレン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、1−(2'−アミノエチルピペラジン)、1−[2'−(2''−アミノエチルアミノ)エチル]ピペラジン等が挙げられる。
前記脂環族系アミン硬化剤としては、具体的には、シクロヘキサンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン(特に、4,4'−メチレンビスシクロヘキシルアミン)、4,4'−イソプロピリデンビスシクロヘキシルアミン、ノルボルナンジアミン、2,4−ジ(4−アミノシクロヘキシルメチル)アニリン等が挙げられる。
前記芳香族系アミン硬化剤としては、ベンゼン環やナフタレン環等の芳香環に結合した2個以上の1級アミノ基を有する芳香族ポリアミン化合物等が挙げられる。
この芳香族系アミン硬化剤として、より具体的には、フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルフェニルメタン、2,4'−ジアミノビフェニル、2,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
前記複素環系アミン硬化剤としては、1,4−ジアザシクロヘプタン、1,11−ジアザシクロエイコサン、1,15−ジアザシクロオクタコサン等が挙げられる。
アミン硬化剤(D)としては、さらに、前述したアミン硬化剤の変性物、例えば、ポリアミドアミン等の脂肪酸変性物、エポキシ化合物とのアミンアダクト、マンニッヒ変性物(例:フェナルカミン、フェナルカマイド)、マイケル付加物、ケチミン、アルジミンが挙げられる。
アミン硬化剤(D)としては、ポリアミドアミン、エポキシ化合物とのアミンアダクトが好ましく、ポリアミドアミンが特に好ましい。このようなアミン硬化剤(D)を用いると、防食性および耐衝撃性に優れる塗膜を容易に形成することができる。
アミン硬化剤(D)は、従来公知の方法で合成して得てもよく、市販品でもよい。
市販品としては、例えば、ポリアミドアミン(脂肪族系ポリアミンとダイマー酸との脱水縮合物)である「PA−66S」(大竹明新化学(株)製)が挙げられる。
アミン硬化剤(D)の活性水素当量は、防食性により優れる塗膜を容易に形成することができる等の点から、好ましくは50以上、より好ましくは100以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下である。
防食性、塗膜強度および乾燥性に優れる塗膜を容易に形成することができる等の点から、アミン硬化剤(D)は、下記式(2)で算出される反応比が、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上となるような量、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下となるような量で用いることが望ましい。
反応比={(アミン硬化剤(D)の配合量/アミン硬化剤(D)の活性水素当量)+(エポキシ樹脂(A)に対して反応性を有する成分の配合量/エポキシ樹脂(A)に対して反応性を有する成分の官能基当量)}/{(エポキシ樹脂(A)の配合量/エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量)+(アミン硬化剤(D)に対して反応性を有する成分の配合量/アミン硬化剤(D)に対して反応性を有する成分の官能基当量)} ・・・(2)
ここで、前記式(2)における「アミン硬化剤(D)に対して反応性を有する成分」としては、例えば、下記その他の成分中のアミン硬化剤(D)に対して反応性を有する成分が挙げられ、また、「エポキシ樹脂(A)に対して反応性を有する成分」としては、例えば、下記その他の成分中のエポキシ樹脂(A)に対して反応性を有する成分が挙げられる。前記各成分の「官能基当量」とは、これらの成分1molの質量からその中に含まれる官能基のmol数を除して得られた1mol官能基あたりの質量(g)を意味する。
本組成物が主剤成分と硬化剤成分とからなる2成分型の組成物である場合、前記アミン硬化剤(D)は硬化剤成分に含まれる。この硬化剤成分のE型粘度計で測定した25℃における粘度は、取扱い性、塗装作業性により優れる組成物となる等の点から、好ましくは100,000mPa・s以下であり、より好ましくは50〜10,000mPa・sである。
<その他の成分>
本組成物は、前記(A)〜(D)の他に、必要に応じて、シランカップリング剤、反応性希釈剤、アクリレート化合物、可塑剤、有機溶剤、中空粒子、その他の顔料(例:体質顔料、着色顔料)、タレ止め・沈降防止剤、硬化促進剤(例:三級アミン類)、脱水剤、分散剤、消泡剤、防汚剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。
前記その他の成分はそれぞれ、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[有機溶剤]
有機溶剤としては特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ブチルセロソルブ等のエーテル系溶剤、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、イソプロパノール、イソブチルアルコール、n−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶剤、ミネラルスピリット、n−ヘキサン、n−オクタン、2,2,2−トリメチルペンタン、イソオクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
本組成物が有機溶剤を含有する場合、本組成物中の固形分の含有量が、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは70〜90質量%となる量で有機溶剤を用いることが望ましい。
[中空粒子]
中空粒子としては、例えば、セラミックバルーン(例:パーライト)、ガラスバルーン、シラスバルーン、樹脂バルーン、フライアッシュバルーンが挙げられる。
前記中空粒子のJIS Z 8819:1999に従って測定したメディアン径(D50)は、塗装作業性に優れる組成物を容易に得ることができる等の点から、好ましくは3〜100μm、より好ましくは10〜80μmである。
前記中空粒子のASTM D2840で測定した真密度は、例えば0.15〜0.95g/cm3である。
中空粒子は、前記ガラスフレーク(C)に比べて比重が小さいため、同じ質量で用いると、ガラスフレーク(C)を用いる場合よりも得られる塗膜中の体積が大きくなる。このため、ガラスフレーク(C)を用いずに中空粒子のみを用いると、亜鉛粉末(B)の犠牲防食効果が低下し、防食性に優れる塗膜が得られない。
本組成物が中空粒子を含有する場合、本組成物の固形分100質量%に対する中空粒子の含有量は、防食性により優れる塗膜を容易に形成することができる等の点から、好ましくは0.1〜2質量%、より好ましくは0.5〜1質量%である。
[その他の顔料]
その他の顔料としては、体質顔料、着色顔料などが挙げられる。
体質顔料としては、具体的には、硫酸バリウム、カリ長石、バライト粉、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ステアリン酸アルミなどが挙げられる。着色顔料としては、具体的には、チタン白(酸化チタン)、弁柄、黄色弁柄、カーボンブラックなどが挙げられる。
本組成物がその他の顔料を含有する場合、本組成物の固形分100質量%に対するその他の顔料の含有量は、防食性により優れる塗膜を容易に形成することができる等の点から、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
[タレ止め・沈降防止剤]
前記タレ止め・沈降防止剤としては、Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの有機粘土系ワックス、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等、従来公知のものを使用できるが、中でも、アマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックスおよび有機粘土系ワックスが好ましい。
このようなタレ止め・沈降防止剤としては、楠本化成(株)製の「ディスパロン305」、「ディスパロン4200−20」、「ディスパロン6650」;伊藤製油(株)製の「A−S−A T−250F」、「A−S−A T−51」;共栄社化学(株)製の「フローノンRCM−300」;Elementis Specialties, Inc社製の「ベントンSD−2」、「ベントン38」、日本アエロジル(株)製の「AEROSIL 200」等の商品が挙げられる。
本組成物がタレ止め・沈降防止剤を含有する場合、本組成物の固形分100質量%に対する該タレ止め・沈降防止剤の含有量は、好ましくは0.5〜4質量%である。
[脱水剤]
脱水剤としては、無水石膏(CaSO4)、合成ゼオライト系吸着剤(商品名:モレキュラーシーブ等)、シリケート類等が挙げられ、無水石膏、モレキュラーシーブが好ましい。
脱水剤は安定剤としても機能し、本組成物が脱水剤を含有することで、前記亜鉛粉末(B)などの成分と組成物中の水分とが反応することによる劣化を抑制し、貯蔵安定性を一層向上させることができる。
本組成物が脱水剤を含有する場合、本組成物の固形分100質量%に対する該脱水剤の含有量は、好ましくは0.1〜2質量%である。
≪防食塗膜、防食塗膜付き基材≫
本発明の一実施形態に係る防食塗膜(以下「本塗膜」ともいう。)は、前記本組成物から形成された塗膜であれば特に制限されず、本発明の一実施形態に係る防食塗膜付き基材は、該本塗膜と基材とを含めば特に制限されないが、基材上に前記本組成物を塗装した後、該塗装された本組成物を乾燥させること、好ましくは該塗装された本組成物を乾燥、硬化させる工程を含む方法で得られた基材であることが好ましい。この方法は、基材の防食方法であるともいえる。
前記基材としては、特に制限されないが、本発明の効果がより発揮できる等の点から、防食性が求められる基材であることが好ましい。
基材としては、例えば、鋼材等の従来公知の基材が挙げられ、このような基材の用途の具体例としては、船舶等の船舶構造物、橋梁、タンク等の土木構造物、石油掘削プラント等のプラント構造物、パイプラインなどの鉄鋼構造物;家屋、ビル等の建築構造物;ガードフェンス、産業機械等の屋外器具が挙げられる。
このような基材としては、鉄鋼、非鉄金属(亜鉛、アルミニウム等)、ステンレスなどからなる基材が好ましく、本発明の効果がより発揮できる等の点から、これらの基材であって、かつ、ボルト締め接合部を有する基材であることがより好ましい。
前記基材としては、錆、油脂、水分、塵埃、スライム、塩分などを除去するため、また、得られる本塗膜の密着性を向上させるために、必要により前記基材表面を処理(例えば、ブラスト処理(ISO8501−1 Sa2 1/2)、摩擦法、脱脂による油分・粉塵を除去する処理)等したものでもよく、基材の防食性や、溶接性、せん断性の点から、必要により、前記基材表面に従来公知の一次防錆塗料(ショッププライマー)等の薄膜形成用塗料や、その他プライマー等を塗布し乾燥させたものでもよい。また、必要に応じて、本塗膜上に、下塗り塗料および/または中塗り塗料を介して、上塗り塗料を塗布してもよい。
本組成物を基材上に塗装する方法としては特に制限されず、従来公知の方法を制限なく使用可能であるが、作業性および生産性等に優れ、大面積の基材に対しても容易に塗装でき、本発明の効果がより発揮できる等の点から、スプレー塗装が好ましい。
また、本組成物が2成分型の組成物である場合、塗装直前に、主剤成分と硬化剤成分を混合し、スプレー塗装などしてもよい。
前記スプレー塗装の条件は、形成したい本塗膜の厚みに応じて適宜調整すればよいが、エアレススプレー時には、例えば、1次(空気)圧:0.3〜0.5MPa程度、2次(塗料)圧:8〜15MPa程度、ガン移動速度50〜120cm/秒程度に塗装条件を設定すればよい。
本組成物を乾燥、硬化させる方法としては特に制限されず、乾燥、硬化時間を短縮させるために、5〜60℃程度の加熱により本組成物を乾燥、硬化させてもよいが、通常は、常温、大気下で1〜30日程度放置することで、本組成物を乾燥、硬化させる。
本塗膜の膜厚は、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、防食性に優れる防食塗膜となる等の点から、好ましくは20μm以上、より好ましくは50μm以上であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下である。
このような膜厚の本塗膜を形成する際は、1回の塗装(1回塗り)で、所望の厚みの本塗膜を形成してもよいし、防食性等に応じ、2回(必要によりそれ以上)の塗装で、所望の厚みの本塗膜を形成してもよい。防食性に優れる本塗膜を作業性よく形成することができる等の点から、2回塗りで前記範囲の厚みの本塗膜を形成することが好ましい。
本塗膜のすべり係数は、ボルト締め接合部を有する基材に好適に使用できる等の点から、好ましくは0.45以上であり、より好ましくは0.46以上、特に好ましくは0.47以上である。すべり係数の上限は特に制限されないが、例えば、0.70以下である。
該すべり係数は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
本組成物によれば、前記すべり係数の防食塗膜を形成できるため、ボルト締め接合部を有する基材上に塗装する場合であっても、ボルト締め接合部を含む基材全体に塗装することができる。この場合、基材のボルト締め接合部には、本塗膜が最外層として存在することが好ましいが、ボルト締め接合部以外のすべり係数は特に制限されないため、ボルト締め接合部以外では、本塗膜の上に他の塗料を塗装してもよい。
本塗膜は耐発泡性に優れているため、本塗膜の上に他の塗料を塗装した場合においても、該他の塗料によって形成される塗膜に発泡を生じさせ難い。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
[実施例1]
下記表1に示すように、容器に、エポキシ樹脂(注1)9質量部、キシレン6.1質量部、メチルイソブチルケトン2.2質量部、イソブチルアルコール0.9質量部、沈降防止剤1(注2)0.9質量部、タレ止め剤(注3)0.9質量部、沈降防止剤2(注4)0.3質量部、脱水剤(注6)0.3質量部、亜鉛粉末(注7)66.4質量部、および、ガラスフレーク(注8)7質量部を入れ、ハイスピードディスパーを用いて攪拌し、原材料を均一に分散させることで、主剤成分を調製した。
また、下記表1に示すように、容器に、アミン硬化剤(注10)3.7質量部、キシレン1質量部、および、イソブチルアルコール1.3質量部を入れ、ハイスピードディスパーを用いて混合することで、硬化剤成分を調製した。
得られた主剤成分と硬化剤成分とを塗装前に混合することで塗料組成物を調製した。
なお、表1に記載の各成分の詳細は表2に示すとおりである。
[実施例2〜9および比較例1〜4]
主剤成分および硬化剤成分に配合する原材料の種類および配合量を下記表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。なお、表1中の主剤成分および硬化剤成分の欄の数値は、質量部を示す。
Figure 2021187864
Figure 2021187864
<各種試験>
前記実施例および比較例で得られた主剤成分について、以下の試験(1)を行い、前記実施例および比較例で得られた塗料組成物について、以下の試験(2)を行い、前記実施例および比較例で得られた塗料組成物から形成した防食塗膜について、以下の試験(3)〜(6)を行った。結果を表3に示す。
(1)貯蔵安定性試験
主剤成分の貯蔵安定性は、実施例、比較例で得られた主剤成分を25℃で6ヵ月間貯蔵した後、下記評価基準に従って評価した。
・評価基準
○:手攪拌により均一に混合できる。
×:ゲル化もしくは沈降が激しく、手攪拌で均一に混合できない。
(2)ポットライフ試験
塗料組成物のポットライフは、実施例、比較例で得られた主剤成分と硬化剤成分とを混合してから、23℃で5時間静置した後の各塗料組成物の状態を、下記評価基準に従って評価した。
・評価基準
○:液状で、塗装可能な状態である。
×:塗装できない粘度まで増粘しているか、ゲル化している。
(3)すべり係数試験
すべり係数は、「鋼構造接合部設計指針」(第3版、社団法人日本建築学会、2012年)の「付7 すべり係数評価試験法」に基づいて測定した。
具体的には、2枚の母材および2枚の添板として、グリッドブラスト処理を行ったSM490板(溶接構造用圧延鋼材)を用い、それぞれの板の両面に、実施例および比較例で得られた各塗料組成物を、乾燥膜厚が75μmになるようにエアースプレーで塗布し、1ヶ月間乾燥させて、塗装試験体を得た。作製した塗装試験体を、トルシア形高力TCボルト(M22)にて締め付け、引張試験機を用いて、すべりが発生するまで徐々に載荷した。なお、以下のいずれかの事象が発生したときに、すべりが発生したと判定した。
(a)試験中にすべり音が発生した。
(b)引張試験機の指針が停止または降下した。
(c)試験体のけがき線がずれた。
すべりが発生したときの荷重をすべり荷重として測定し、式(3)に従ってすべり係数を算出した。
すべり係数=P/(m・n・N)・・・(3)
式(3)において、Pはすべり荷重(kN)、mは摩擦面数(前記試験では2)、nはボルト本数(前記試験では2)、Nはボルト初期導入軸力(kN)[ボルトの製品検査証明書の軸力平均値]である。式(3)から求めたすべり係数を下記評価基準に従って評価した。
・評価基準
○:すべり係数が0.45以上である。
×:すべり係数が0.45未満である。
(4)防食性試験
サンドブラスト鋼板(150mm×70mm×2.3mm(厚み)、Sa2 1/2以上)に、実施例および比較例で得られた各塗料組成物を、乾燥膜厚が75μmになるようにエアースプレーで塗布し、25℃、50%相対湿度の条件で7日間乾燥させることで試験塗板を作製した。
作製した各試験塗板に対し、図1に示す箇所に、一部鋼板が露出する程度の深さの傷(スクライブ)を入れ、その後、JIS Z 2371に従って、中性塩水噴霧試験(35℃)を3000時間行い、試験塗板(一般部、スクライブ部)に生じたサビ、フクレの発生程度を、下記評価基準に従って評価した。
なお、ここで、「一般部」とは、図1に示す一般部(試験片の端部から1cmの範囲を除いた部分であって、かつ、スクライブから1cmの範囲を除いた部分)のことをいい、「スクライブ部」とは、図1に示すスクライブ部(試験片の端部から1cmの範囲を除いた部分であって、かつ、スクライブから1cmの範囲の部分)のことをいう。
・防食性の評価(全体評価)基準
○:一般部に錆が発生しておらず、スクライブ部からのフクレの長さが2mm未満である。
×:一般部に錆が発生しているか、または、スクライブ部からのフクレの長さが2mm以上である。
・一般部の評価(一般部評価)基準
○:一般部に錆が発生していない。
×:一般部に点錆、または、錆が発生している。
・スクライブ部の評価(フクレの長さ)
スクライブ部の評価は、スクライブ部に発生したフクレの長さで評価した。
(5)耐衝撃性試験
サンドブラスト鋼板(150mm×70mm×2.3mm(厚み)、Sa2 1/2以上)に、実施例および比較例で得られた各塗料組成物を、乾燥膜厚が75μmになるようにエアースプレーで塗布し、25℃、50%相対湿度の条件で7日間乾燥させることで試験塗板を作製した。作製した各試験塗板に対し、JIS K 5600−5−3のデュポン式(落下高さ500mm、おもりの質量500±1g、おもりの半径1/4インチ(6.35mm))に基づいて耐おもり落下試験を行い、下記評価基準に従って耐衝撃性を評価した。
・評価基準
○:おもりの落下部に、割れ、剥がれおよび浮きがない。
×:おもりの落下部に、割れ、剥がれまたは浮きのいずれかが見られた。
(6)発泡評価
サンドブラスト鋼板(150mm×70mm×2.3mm(厚み)、Sa2 1/2以上)に、実施例および比較例で得られた各塗料組成物を、乾燥膜厚が75μmになるようにエアースプレーで塗布し、25℃、50%相対湿度の条件で7日間乾燥させることで試験塗板を作製した。作製した各試験塗板の塗膜形成面に、エポキシ防食塗料「バンノー1500」(中国塗料(株)製)を希釈シンナーで15%希釈してから、乾燥膜厚が150μmになるようにエアースプレーで塗布し、25℃、50%相対湿度の条件で2日間乾燥させた。得られたバンノー1500の塗膜表面の状態を下記評価基準に従って評価した。
・評価基準
○:ピンホールや発泡が見られない。
△:ピンホールや発泡がわずかに見られるが、実用上は問題ない。
×:ピンホールや発泡が見られ、実用的ではない。
Figure 2021187864

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂(A)と、亜鉛粉末(B)と、ガラスフレーク(C)と、アミン硬化剤(D)とを含有する防食塗料組成物であって、
    前記亜鉛粉末(B)の含有量が、防食塗料組成物の固形分100質量%に対して、65〜87質量%であり、
    顔料体積濃度(PVC)が50〜80%である、
    防食塗料組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂(A)の含有量が、防食塗料組成物の固形分100質量%に対して、1〜15質量%である、請求項1に記載の防食塗料組成物。
  3. 前記ガラスフレーク(C)の含有量が、防食塗料組成物の固形分100質量%に対して、1〜15質量%である、請求項1または2に記載の防食塗料組成物。
  4. 前記亜鉛粉末(B)の含有量が、防食塗料組成物の固形分100質量%に対して、80〜87質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防食塗料組成物。
  5. PVCが50〜65.0%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防食塗料組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の防食塗料組成物から形成された防食塗膜。
  7. すべり係数が0.45以上である、請求項6に記載の防食塗膜。
  8. 請求項6または7に記載の防食塗膜と基材とを有する防食塗膜付き基材。
  9. 前記基材がボルト締め接合部を有する基材である、請求項8に記載の防食塗膜付き基材。
  10. 下記工程[1]および[2]を含む防食塗膜付き基材の製造方法。
    [1]基材に請求項1〜5のいずれか1項に記載の防食塗料組成物を塗装する工程
    [2]基材上に塗装された防食塗料組成物を乾燥させて防食塗膜を形成する工程
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