JP5573627B2 - 光デジタルコヒーレント受信器 - Google Patents
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Description
光デジタルコヒーレント受信器10においては、光受信データに対してADC12にて量子化処理を実施し、受信データデジタル処理部11で量子化処理後の処理をデジタルで行なう。
例えば、入力信号レベル揺らぎに対応した光受信機の識別器の最適閾値設定回路方式や、無線受信機におけるAD変換器のフルスケールレンジを活用したダイナミックレンジの大きな利得制御方式、パルス信号に対応した光受信機のAGC増幅器、光受信機におけるパルス信号に対応した受光素子の保護と増幅器飽和防止回路方式などがある。
適応等化部出力信号の信号成分と雑音成分の総電力を一定レベルとする適応等化アルゴリズムを使用した場合に、雑音成分に依存して信号成分が変動する。図2において、OSNR100dB(雑音成分:小:図2(a))時は信号成分の平均はほぼ1.0だが、OSNR12dB(雑音成分:多:図2(b))時は信号成分の平均は1.0よりも小さくなっており、雑音成分によって信号成分のレベルが変動している。
図3(a)に示されるように、OSNRが100dBの場合の適応等化部の出力は、雑音成分が少ないため、信号点の振幅が一定の値の周辺に揃っており、振幅値は、図3(a)の場合、約1.0となっている。一方、図3(b)に示されるように、OSNRが12dBの場合には、雑音成分が多く信号成分にのっているために、信号点の分布が広がっており、信号成分の振幅値の平均は、約0.85となっている。すなわち、適応等化部の入力の信号成分に雑音成分が多くのると、適応等化部の出力の信号成分の振幅が影響を受け、OSNRが良い場合と悪い場合で、信号成分にレベル差を生じる。なお、振幅値rは一般に、I信号の振幅をI、Q信号の振幅をQとすると、r=√(I2+Q2)で表される。ここで、I2+Q2は、電力値を表し、これの平方根をとることにより、振幅値が得られる。以下においても、振幅値と電力値の関係は、同様である。
図4においては、図1と同じ構成要素には、同じ参照符号を付し、説明を省略する。
図4に示すように本実施形態では、適応等化部17と周波数オフセット推定・補償部19の間に、ALC(Automatic Level Control)処理部25を設ける。ALC処理部25は、適応等化部17からの信号の振幅値を検出することを複数のサンプルにわたって行ない、どの振幅値に何個のサンプルがあったかを示すデータを保持する。このデータはヒストグラムを構成し、このデータの中からもっともサンプル数の多かった振幅値を決定する。そして、そのサンプル数の多かった振幅値が、誤り訂正符号部21の入力の最適レベルになるように、信号レベル(振幅値)を補正するようにする。
また、信号レベル調整時のレベル変更量をコントロールすることにより、誤り訂正符号部などALC処理部より後段処理での急峻なレベル変動による影響を緩和することを可能にする。
モニタ値のヒストグラム作成に使用する総データ数を可変とすることで、信号レベル調整間隔やモニタ値判定の信頼度を調整することを可能にする。
適応等化部は、デジタルフィルタからなる。図5に示されるように、適応等化部は、それぞれの偏光の信号から得られたI信号とQ信号からなる複素信号を入力とする。入力信号は、1サンプル分だけ遅延させる遅延器(Tで示されている)が直列に配列された回路に入力される。各遅延器で1サンプル分ずつ遅延された信号は順次出力されるが、出力される信号には、タップ係数(フィルタ係数)が乗算器30によって乗算される。タップ係数は、フィルタ係数適用制御回路31によって制御される。タップ係数が乗算された信号は、加算器31によって加算される。加算器31の出力は、更に、加算器32によって加算され、適応等化部の出力として出力される。適応等化部の出力としては、2つの直交する偏光に対する出力信号であるE_h’とE_v’が得られる。
w(n+1)=w(n)−μr*(n)(|yn|2−γ)yn
モニタ値生成部40において、適応等化部の出力信号を使用してモニタ値の生成を行う。モニタ値としては、QPSK信号のIQデータ電力値や振幅値などが候補となるが、以下はIQデータの振幅値での例を示す。
ヒストグラム生成部41は、モニタ値が入力されると、モニタ値を離散的な階級に分けるための閾値とインデックス値を対応付けて保持するテーブルを参照して、現在入力されたモニタ値に対応するインデックス値を取得する(1)。次に、記憶部に格納されているヒストグラムのデータから、取得されたインデックス値に対応するデータ数(サンプル数)を読み出す(2)。そして、このサンプル数を+1だけ増加して(3)、記憶部に格納されているヒストグラム(データ数)のデータを更新する(4)。これにより、モニタ値が入力されるごとに、ヒストグラムの形が変化することになる。
ステップS10において、適応等化部からの出力信号が得られると、ステップS13において、出力信号からモニタ値を生成する。ステップS14において、モニタ値からヒストグラムを生成(データ数を増加)し、ステップS15において、総データ数判定を行なう。総データ数判定とは、最終的にヒストグラムを構成する、記憶部に格納された総データ数が、予め決められた総データ数に至ったかを判定するものである。ステップS15の判断がNo(総データ数が予め決められた値に届いていない)の場合には、ステップS13に戻って、ヒストグラムの生成を続ける。ステップS15の判断がYes(総データ数が予め決められた値に届いた)の場合には、ステップS16において、レベル調整係数を生成する。ステップS16で生成されたレベル調整係数は、ステップS11のレベル調整係数乗算処理に渡され、適応等化部の出力信号に乗算されるレベル調整係数を更新するのに使われる。ステップS11でのレベル調整係数乗算処理により、ステップS12において、レベル調整後の出力信号が得られる。また、ステップS16において、レベル調整係数が生成されると、ステップS17において、ヒストグラムの情報をクリアし、ステップS13に戻って、新しいヒストグラムの生成を始める。
図10のレベル調整係数生成方法を生成方法1として説明する。生成方法1では、ヒストグラムのピーク値(もっともサンプル数の多いモニタ値(インデックス値))と目標振幅値との差分を補正するための値をレベル調整係数として採用する。レベル調整係数の値を決定する方法としては、ヒストグラムピーク値を入力としてテーブルを参照する方法や式から算出する方法などがある。
図11においては、横軸をモニタ値(振幅値)に対応したインデックス値、縦軸をモニタ値に該当したデータ個数として生成したヒストグラムを、OSNRが100dBの場合、および、OSNRが12dBの場合について示している。
図11のヒストグラムに対して、目標値を振幅値0.7と仮に設定した場合、図12に示すようなヒストグラムのピークと目標値との差分を補正するレベル調整係数を作成する。図12(a)は、OSNRが100dBの場合であり、図12(b)は、OSNRが12dBの場合である。今の場合、目標振幅値を0.7としている。したがって、図12(a)の場合には、ピーク値1.0が0.7になるように、図12(b)の場合には、ピーク値0.85が0.7になるように、レベル調整係数を作成する。誤り訂正符号部への入力の最適値が目標値であり、今は、0.7となっているので、図12(a)の場合も、図12(b)の場合もレベル調整が必要となっている。あるいは、誤り訂正符号部への最適値を1.0と設定すれば、図12(a)の場合にはレベル調整不要で、図12(b)の場合のみレベル調整を行なう必要が生じる。
図13(a)は、OSNRが100dBの場合であり、図13(b)は、OSNRが12dBの場合である。いずれの場合も、信号レベルの分布のピーク値が目標値である0.7になるように調整されている。前述したように、信号レベルの分布のピーク値には、主に信号成分が対応すると考えられることから、信号成分が誤り訂正符号部への最適レベルに調整されたことになる。
図14(a)は、OSNRが100dBの場合であり、図14(b)は、OSNRが12dBの場合である。図14(a)の方が図14(b)よりも雑音成分が少ない分だけ、信号の振幅rが揃っているが、いずれの場合も、信号レベルのピーク値の振幅が、約0.7となるように調整されている様子が示されている。なお、図14において、振幅値rは、I信号の振幅をI,Q信号の振幅をQとした場合、r=√(I2+Q2)である。
図15のレベル調整係数生成方法を生成方法2として説明する。生成方法2では、ヒストグラムのピーク値と目標値との差分を補正するために、生成方法1によって得られたレベル調整係数を、現在使用しているレベル調整係数に任意の割合で反映し、新しいレベル調整係数として採用する。レベル調整係数を決定する方法としては、生成方法1を使用してヒストグラムのピーク値と目標値との差分を補正するレベル調整係数を仮の値として決定する。この仮の値と現在使用しているレベル調整係数との差分(Δ)を減算器50で算出し、この差分に任意の割合(係数)を乗算器51で乗算し、これを現在使用しているレベル調整係数へ加算器52で加算し(更新し)、新しいレベル調整係数とする。本生成方法はヒストグラムの信頼度が低い(ヒストグラム生成に使用されるデータ総数が少ない)場合や信号のレベル変動に対してゆっくりとレベル調整係数を追従させたい場合に使用する。
例1)
レベル調整係数(現使用値):0.7
レベル調整係数(仮の値) :0.8
任意割合 :0.5
Δ(レベル調整係数) = 0.8−0.7= 0.1
レベル調整係数(更新値) = 0.7+0.1×0.5 = 0.75
レベル調整係数(現使用値):0.8
レベル調整係数(仮値) :0.7
任意割合 :0.5
Δ(レベル調整係数) = 0.7−0.8= −0.1
レベル調整係数(更新値) = 0.8+(−0.1)×0.5 = 0.75
上記において示したレベル調整係数の生成方法1および2は、単独もしくは組み合わせて使用することが可能である。図16のフローチャートでは、生成方法1と2を組み合わせて使用する場合の処理の流れを説明する。
生成したレベル調整係数をレベル調整係数乗算処理部にて適応等化部出力に乗算し、レベル調整後出力を生成する。
11 受信データデジタル処理部
12 ADC
13 振幅アンバランス補正部
14 固定等化部
15 サンプリング位相調整部
16 サンプリング位相検出部
17 適応等化部
18 等化ウェイト演算部
19 周波数オフセット推定・補償部
20 キャリア位相オフセット推定・補償部
21 誤り訂正符号部
25 ALC処理部
30 乗算器
31、32 加算器
40 モニタ値
41 ヒストグラム生成部
42 記憶部
43 レベル調整係数生成部
44 レベル調整係数乗算処理部
50 減算器
51 乗算器
52 加算器
Claims (10)
- 光受信信号を光コヒーレント受信検波し、デジタル信号処理によって受信信号の復調を行う光デジタルコヒーレント受信器において、
受信信号の波形歪を補償して出力する適応等化部と、
該適応等化部の出力信号の振幅値をサンプルして、該振幅値に対応する離散値としてのモニタ値を決定する動作を繰り返し、複数回サンプル動作のうちで、前記モニタ値の異なる値がそれぞれ得られたサンプル回数が最も多いモニタ値と目標値から、前記出力信号に乗算すべきレベル調整係数を生成し、該出力信号に該レベル調整係数を乗算することで信号レベル調整を行う信号レベル調整部と、
を備えることを特徴とする光デジタルコヒーレント受信器。 - 前記信号レベル調整前の前記適応等化部の前記出力信号を用いて、前記モニタ値を取得することを特徴とする請求項1に記載の光デジタルコヒーレント受信器。
- 前記目標値が、前記信号レベル調整部の後段に設けられる誤り訂正符号部への入力の最適値に対応することを特徴とする請求項1に記載の光デジタルコヒーレント受信器。
- 前記複数回としての総サンプル数を、最初に前記レベル調整係数を生成する場合と、2回目以降に該レベル調整係数を生成する場合とで異ならせることを特徴とする請求項1に記載の光デジタルコヒーレント受信器。
- 前記信号レベル調整部は、
前記サンプル数の最も多い前記モニタ値と目標値との差分を、前記レベル調整係数と対応付けて保持するテーブルを備え、
該テーブルを参照することによって、該レベル調整係数を決定することを特徴とする請求項1に記載の光デジタルコヒーレント受信器。 - 前記信号レベル調整部は、
前記サンプル数の最も多い前記モニタ値と目標値との差分から前記レベル調整係数を算出する式を保持し、
該式を用いて、該レベル調整係数を決定することを特徴とする請求項1に記載の光デジタルコヒーレント受信器。 - 前記式は、(レベル調整係数)=(目標値)/(サンプル数の最も多いモニタ値)で与えられることを特徴とする請求項6に記載の光デジタルコヒーレント受信器。
- 前記乗算によって決定されたレベル調整係数の一定割合を現在使用している前記レベル調整係数へ反映することで更新後のレベル調整係数を決定することを特徴とする請求項1に記載の光デジタルコヒーレント受信器。
- 前記レベル調整係数を初めて決定した場合には、該決定された該レベル調整係数を用いて、信号レベル調整を行い、2回目以降のレベル調整係数の決定においては、新しく決定されたレベル調整係数の一定割合を現在使用している前記レベル調整係数へ反映することで更新後のレベル調整係数を決定することを特徴とする請求項1に記載の光デジタルコヒーレント受信器。
- 光受信信号を光コヒーレント受信検波し、デジタル信号処理によって受信信号の復調を行う光デジタルコヒーレント受信器における処理方法であって、
受信信号の波形歪を補償して出力し、
該適応等化部の出力信号の振幅値をサンプルして、該振幅値に対応する離散値としてのモニタ値を決定する動作を繰り返し、
複数回サンプル動作のうちで、前記モニタ値の異なる値がそれぞれ得られたサンプル回数が最も多いモニタ値と目標値から、前記出力信号に乗算すべきレベル調整係数を生成し、
該出力信号に該レベル調整係数を乗算することで信号レベル調整を行う、
ことを特徴とする処理方法。
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