以下、本願が開示する光受信装置、光送信装置、光通信システム、およびスキュー調整方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示の技術が限定されるものではない。また、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
[光通信システム10]
図1は、光通信システム10の一例を示す図である。光通信システム10は、複数の伝送装置11−1および11−2を有する。複数の伝送装置11−1および11−2は、光ファイバ等のケーブル12−1および12−2を介して互いに接続されている。なお、以下では、伝送装置11−1および11−2のそれぞれを区別することなく総称する場合に、単に伝送装置11と記載し、ケーブル12−1および12−2のそれぞれを区別することなく総称する場合に、単にケーブル12と記載する。
それぞれの伝送装置11は、光送信装置20および光受信装置30を有する。光送信装置20は、ケーブル12を介して他の伝送装置11の光受信装置30へ光信号を送信する。光受信装置30は、ケーブル12を介して他の伝送装置11の光送信装置20から光信号を受信する。また、光送信装置20および光受信装置30は、WAN(Wide Area Network)等の通信網13に接続されている。そして、光受信装置30は、通信網13を介して、光信号の送信元の光送信装置20へ信号を送信する。なお、光受信装置30は、当該光受信装置30を有する伝送装置11内の光送信装置20と、光信号の送信元の光送信装置20を有する他の伝送装置11内の光受信装置30とを介して、光信号の送信元の光送信装置20へ信号を送信してもよい。
本実施例において、それぞれの伝送装置11の光受信装置30は、例えば光通信システム10の運用開始前に、通信網13を介して、光信号の送信元の光送信装置20へ、スキューの変更を指示する変更指示を送信する。光送信装置20は、通信網13を介して受信した変更指示に応じて、光信号のI成分とQ成分との間のスキューの制御値を所定値ずつ変更し、スキューが変更されたI成分およびQ成分で変調された光信号をケーブル12を介して光受信装置30へ送信する。光受信装置30は、変更されたスキューの制御値毎に、受信した光信号のシンボルのIQ複素平面内での分布領域の形状に基づいて、スキューが最小となる制御値を特定する。そして、光受信装置30は、特定されたスキューの制御値を設定させる設定指示を、通信網13を介して、光信号の送信元の光送信装置20へ送信する。光送信装置20は、通信網13を介して受信した設定指示に含まれる制御値を、スキューの制御値として設定する。これにより、光送信装置20は、光信号のI成分とQ成分との間のスキューを低減させた状態で、運用を開始することができる。設定指示は、スキュー調整に関する情報の一例である。
[光送信装置20]
図2は、光送信装置20の一例を示すブロック図である。光送信装置20は、例えば図2に示すように、SP信号出力部200、同期信号出力部201、DP信号出力部202、送信データ出力部203、変調部204、変調部205、変調部206、および変調部207を有する。また、光送信装置20は、信号切替部208、スキュー設定部209、DAC(Digital to Analog Converter)210、EO(Electrical to Optical)変換部211、およびスキュー制御部212を有する。
SP信号出力部200は、光信号のI成分とQ成分との間のスキューを検出するためのパイロット信号であるSP信号を出力する。SP信号は、複数の0と複数の1とが含まれる所定のビットパターンである。本実施例において、SP信号は、0と1とが交互に繰り返されるビットパターンである。なお、SP信号は、複数の0と複数の1とが含まれたビットパターンであれば、0と1とが交互に繰り返されるビットパターンでなくてもよく、0と1とがランダムに配置されたビットパターンであってもよい。
同期信号出力部201は、SP信号に対応するシンボルの開始タイミングを通知するための同期信号を出力する。同期信号は、予め定められたビットパターンの信号である。DP信号出力部202は、送信データ用のパイロット信号であるDP信号を出力する。送信データ出力部203は、例えば光送信装置20に接続された通信装置から出力されたデータに基づいて送信データを生成する。そして、送信データ出力部203は、生成された送信データを出力する。なお、光通信システム10の運用開始前においては、送信データ出力部203は、例えば複数の0と複数の1とを含む疑似的なランダムデータを出力する。
変調部204は、SP信号出力部200から出力されたSP信号を、ビット毎に、IQ複素平面におけるI成分およびQ成分の少なくともいずれか一方を用いるBPSK方式により変調する。変調部204による変調により、SP信号出力部200から出力されたSP信号の各ビットは、IQ複素平面上の所定のシンボルにマッピングされる。そして、変調部204は、SP信号のシンボル毎に、I成分およびQ成分の信号を信号切替部208へ出力する。変調部204によって変調されたSP信号のシンボルは、第1のパイロットシンボルの一例である。また、変調部204は、パイロットシンボルを出力する出力部の一例である。
図3は、実施例1におけるSP信号のシンボルの配置の一例を示す図である。本実施例において、変調部204は、SP信号の各ビットを、π/4BPSK方式により変調する。これにより、変調部204によって変調されたSP信号の各ビットは、例えば図3(a)に示すように、IQ複素平面の第1象限または第3象限内のシンボル50にそれぞれマッピングされる。
なお、変調部204は、SP信号の各ビットを、例えば図3(b)に示すように、IQ複素平面の第2象限および第4象限のシンボル50にそれぞれマッピングするように変調してもよい。また、変調部204は、SP信号の各ビットを、例えば図3(c)に示すように、IQ複素平面のI軸上にマッピングするように変調してもよい。また、変調部204は、SP信号の各ビットを、IQ複素平面のQ軸上にマッピングするように変調してもよい。
図2に戻って説明を続ける。変調部205は、同期信号出力部201から出力された同期信号を、所定数のビット毎に、例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)等の変調方式により変調する。そして、変調部205は、変調された同期信号のシンボル毎に、I成分およびQ成分の信号を信号切替部208へ出力する。
変調部206は、DP信号出力部202から出力されたDP信号を、所定数のビット毎に、例えばQPSK等の変調方式により変調する。そして、変調部206は、変調されたDP信号のシンボル毎に、I成分およびQ成分の信号を信号切替部208へ出力する。変調部206によって変調されたDP信号のシンボルは、第2のパイロットシンボルの一例である。
変調部207は、送信データ出力部203から出力されたデータを、所定数のビット毎に、例えば64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等の変調方式により変調する。そして、変調部207は、変調されたデータのシンボル毎に、I成分およびQ成分の信号を信号切替部208へ出力する。
信号切替部208は、2つの偏波のそれぞれについて、シンボルタイミング毎に、変調部204から変調部207のそれぞれから出力されたI成分およびQ成分の信号を切り替えてスキュー設定部209へ出力する。信号切替部208は、例えばスキュー制御部212から調整開始を指示された場合、偏波毎に、変調部204から出力されたSP信号のシンボルと、変調部205から出力された同期信号のシンボルと、変調部207から出力されたデータのシンボルとを切り替える。これにより、スキュー設定部209には、偏波毎に、例えば図4に示すように、同期信号、SP信号、およびデータの各シンボルに対応するI成分およびQ成分の信号が時分割で出力される。なお、運用開始前のスキュー調整時には、それぞれの偏波における同期信号、SP信号、およびデータの各シンボルに対応するI成分およびQ成分の信号は、偏波間で同じ信号が用いられてもよく、異なる信号が用いられてもよい。
図4は、実施例1における各シンボルのタイミングの一例を示す図である。なお、図4は、1つの偏波に対して出力された各シンボルのタイミングを示している。信号切替部208は、偏波毎に、図4に示したシンボル系列を生成する。図4に示した例において、「同期信号」は、同期信号のシンボルに対応するI成分およびQ成分の信号が出力されるタイミングを示す。また、図4に示した例において、「SP」は、SP信号のシンボルに対応するI成分およびQ成分の信号が出力されるタイミングを示す。また、図4に示した例において、「D」は、データのシンボルに対応するI成分およびQ成分の信号が出力されるタイミングを示す。
本実施例では、同期信号のシンボルの後に、SP信号のシンボルが例えば5シンボルおきに送信される。連続して送信される2つのSP信号のシンボルの間には、データのシンボルが配置される。なお、連続して送信される2つのSP信号のシンボルの間に配置されるデータのシンボルの数は、1つ以上であれば、4個以下であってもよく、6個以上であってもよい。また、SP信号のビットパターンが、0と1とがランダムに配置されたビットパターンである場合、連続して送信される2つのSP信号のシンボルの間には、データのシンボルが配置されなくてもよい。
また、スキュー制御部212から運用開始が指示された場合、信号切替部208は、偏波毎に、変調部206から出力されたDP信号のシンボルと、変調部207から出力されたデータのシンボルとを切り替えてスキュー設定部209へ出力する。これにより、スキュー設定部209には、偏波毎に、DP信号およびデータの各シンボルに対応するI成分およびQ成分の信号が時分割で出力される。
図2に戻って説明を続ける。スキュー設定部209は、偏波毎に、信号切替部208から出力された各シンボルについて、スキュー制御部212から指示された制御値に従って、I成分の信号とQ成分の信号との間にスキューを設定する。そして、スキュー設定部209は、偏波毎に、設定されたスキューを有するI成分の信号とQ成分の信号とをDAC210へ出力する。DAC210は、スキュー設定部209から偏波毎に出力されたI成分の信号とQ成分の信号とを、それぞれ、ディジタル信号からアナログ信号に変換する。
EO変換部211は、偏波毎に、DAC210によってアナログ信号に変換されたI成分の信号とQ成分の信号を電気信号から光信号に変換する。そして、EO変換部211は、各偏波の光信号を合成してケーブル12へ出力する。図28は、EO変換部211の一例を示すブロック図である。EO変換部211は、例えば図28に示すように、LD(Laser Diode)2110、I軸変調部2111、Q軸変調部2112、および位相変調部2113を有する。なお、図28には、2つの偏波の光信号のうち、1つの偏波の光信号を生成するEO変換部211が示されている。なお、他の1つの偏波の光信号の生成においても、図28と同様の構成のEO変換部211によって実現される。LD2110が発生した光は、I軸変調部2111およびQ軸変調部2112にそれぞれ入力される。I軸変調部2111は、LD2110が発生した光を、DAC210から出力されたI成分のデータ信号とI軸のバイアス値とを用いて変調する。Q軸変調部2112は、LD2110が発生した光を、DAC210から出力されたQ成分のデータ信号とQ軸のバイアス値とを用いて変調する。位相変調部2113は、バイアス値に基づいて、I軸変調部2111から出力された光信号の位相と、Q軸変調部2112から出力された光信号の位相とを、相対的にπ/2シフトさせる。そして、I軸変調部2111から出力された光信号は、位相変調部2113によって位相がシフトされた光信号と合成され、さらに他の偏波の光信号と合成されてケーブル12へ出力される。EO変換部211は、例えばマッハツェンダ型光変調器等である。EO変換部211は、送信部の一例である。
ここで、DAC210に入力される各シンボルにおいてI成分とQ成分との間のスキューが0となるように調整されても、DAC210およびEO変換部211においてスキューが発生する場合がある。そのため、EO変換部211から出力される光信号において、スキューが増大する場合がある。そこで、スキュー設定部209において、DAC210およびEO変換部211において発生するスキューと逆方向のスキューを発生させる。これにより、EO変換部211から出力される光信号において、スキューを低減することができる。
スキュー制御部212は、通信網13を介して光受信装置30から変更指示を受信した場合、スキュー設定部209によって設定されるスキューの制御値を順次変更する。本実施例において、変更指示には、第1の変更指示と、第2の変更指示とがある。また、スキュー制御部212は、通信網13を介して光受信装置30から設定指示を受信した場合、受信した設定指示に含まれる調整値に対応する制御値をスキュー設定部209に設定させる。
具体的には、スキュー制御部212は、通信網13を介して光受信装置30から第1の変更指示を受信した場合、信号切替部208に調整開始を指示する。そして、スキュー制御部212は、各偏波について、以下の処理を行う。即ち、スキュー制御部212は、受信した第1の変更指示から、スキューの制御値の初期値S0、第1の調整範囲ΔR1、および第1のステップサイズΔS1を取得する。第1のステップサイズΔS1は、第1の値の一例である。
そして、スキュー制御部212は、初期値S0から第1の調整範囲ΔR1を引いた値の制御値をスキュー設定部209に設定させる。そして、スキュー制御部212は、所定数(例えば1000個)のSP信号のシンボルが送信される都度、スキューの制御値を、第1のステップサイズΔS1分増加させる。そして、制御値が初期値S0に第1の調整範囲ΔR1を加えた値より大きくなった場合、スキュー制御部212は、光受信装置30から送信される第2の変更指示を待ち受ける。
通信網13を介して光受信装置30から第2の変更指示を受信した場合、スキュー制御部212は、受信した第2の変更指示から、仮の調整値Sa’、第2の調整範囲ΔR2、および第2のステップサイズΔS2を取得する。第2のステップサイズΔS2は、第2の値の一例である。そして、スキュー制御部212は、仮の調整値Sa’から第2の調整範囲ΔR2を引いた値の制御値をスキュー設定部209に設定させる。そして、スキュー制御部212は、所定数(例えば1000個)のSP信号のシンボルが送信される都度、スキューの制御値を、第2のステップサイズΔS2分増加させる。そして、制御値が仮の調整値Sa’に第2の調整範囲ΔR2を加えた値より大きくなった場合、スキュー制御部212は、光受信装置30から送信される設定指示を待ち受ける。
通信網13を介して光受信装置30から設定指示を受信した場合、スキュー制御部212は、受信した設定指示から、調整値Saを取得する。そして、スキュー制御部212は、取得した調整値Saに対応する制御値をスキュー設定部209に設定させる。そして、スキュー制御部212は、信号切替部208に運用開始を指示する。
[光受信装置30]
図5は、実施例1における光受信装置30の一例を示すブロック図である。光受信装置30は、例えば図5に示すように、OE(Optical to Electrical)変換部300、ADC(Analog to Digital Converter)301、同期信号検出部302、等化処理部303、および複数の受信部304−1から304−2を有する。複数の受信部304−1から304−2のそれぞれは、CPR(Carrier Phase Recovery)部3040および受信データ処理部3041を有する。また、光受信装置30は、等化処理部305および複数の調整処理部40−1から40−2を有する。複数の調整処理部40−1から40−2のそれぞれは、CPR部41、抽出部42、比率算出部43、および指示送信部44を有する。なお、以下では、受信部304−1から304−2のそれぞれを区別することなく総称する場合に、単に受信部304と記載し、調整処理部40−1から40−2のそれぞれを区別することなく総称する場合に、単に調整処理部40と記載する。
OE変換部300は、ケーブル12を介して光送信装置20から受信した光信号をそれぞれの偏波に分離する。そして、OE変換部300は、偏波毎に、受信した光信号と局発光とを干渉させることにより、I成分の光信号およびQ成分の光信号に分離する。そして、OE変換部300は、偏波毎に、I成分の光信号およびQ成分の光信号を、それぞれ電気信号に変換する。ADC301は、偏波毎に、I成分およびQ成分の電気信号を、それぞれ、アナログ信号からディジタル信号に変換する。
同期信号検出部302は、いずれかの偏波について、ADC301によってディジタル信号に変換されたI成分およびQ成分の信号に基づいて同期信号のシンボルのタイミングを検出する。なお、同期信号検出部302は、2つの偏波のI成分およびQ成分の信号に基づいて同期信号のシンボルのタイミングを検出してもよい。同期信号のシンボルのタイミングが検出されていない場合、同期信号検出部302は、偏波毎に、ADC301から出力されたI成分およびQ成分の信号を等化処理部303へ出力する。一方、同期信号のシンボルのタイミングが検出された場合、同期信号検出部302は、偏波毎に、同期信号のシンボルのタイミングから所定数のシンボルを等化処理部305へ出力する。
等化処理部303は、2つの偏波に含まれるDP信号のシンボルを用いてフィルタのタップ係数を調整することにより、同期信号検出部302から出力された各シンボルの線形歪みを補償する。等化処理部303は、各偏波のDP信号のシンボル毎に、DP信号のシンボルと、当該のシンボルを中心とする前後所定数のシンボルとを用いてフィルタのタップ係数を調整する。本実施例において、等化処理部303は、CMA(Constant Modulus Algorithm)を用いてフィルタのタップ係数を調整する。等化処理部303は、フィルタのタップ係数を逐次調整し、タップ係数が調整されたフィルタを用いて、偏波毎に、同期信号検出部302から出力された各シンボルをフィルタリングする。そして、等化処理部303は、2つの偏波のうち、一方の偏波における各シンボルのI成分およびQ成分の信号を受信部304−1へ出力し、他方の偏波における各シンボルのI成分およびQ成分の信号を受信部304−2へ出力する。
CPR部3040は、等化処理部303によってフィルタリングされた1つの偏波の各シンボルについて、光送信装置20の局発光と光受信装置30の局発光との間の位相誤差を補正する。そして、CPR部3040は、位相誤差が補正された各シンボルを受信データ処理部3041へ出力する。
受信データ処理部3041は、CPR部3040から出力された各シンボルの中で、データのシンボルを用いて、データを復調および復号する。そして、受信データ処理部3041は、復号されたデータを、データの宛先に応じて、例えば光受信装置30に接続された通信装置へ出力する。
等化処理部305は、2つの偏波に含まれるSP信号のシンボルを用いてフィルタのタップ係数を調整することにより、同期信号検出部302から出力された各シンボルの線形歪みを補償する。本実施例において、等化処理部305は、各偏波について、同期信号検出部302から出力された各シンボルの振幅の変動を抑制するように、各シンボルをフィルタリングする。等化処理部305によって行われる各シンボルの振幅の変動を抑制する処理は、抑制処理の一例である。また、等化処理部305は、抑制処理部の一例である。
具体的には、等化処理部305は、各偏波のSP信号のシンボル毎に、SP信号のシンボルと、当該のシンボルを中心とする前後所定数のシンボルとを用いてフィルタのタップ係数を調整する。本実施例において、等化処理部305は、CMAを用いてフィルタのタップ係数を調整する。等化処理部305は、フィルタのタップ係数を逐次調整し、タップ係数が調整されたフィルタを用いて、偏波毎に、同期信号検出部302から出力された各シンボルをフィルタリングする。そして、等化処理部305は、2つの偏波のうち、一方の偏波における各シンボルのI成分およびQ成分の信号を調整処理部40−1へ出力し、他方の偏波における各シンボルのI成分およびQ成分の信号を調整処理部40−2へ出力する。
等化処理部305は、CMA処理のように出力信号の振幅を一定にするように制御することにより、各SP信号をフィルタリングする。このとき、SP信号の各シンボルにおけるI成分とQ成分との間にスキューが存在する場合、SP信号はBPSK信号であり原点を対称に2つの位相情報しかもたないため、IQ複素平面上で位相方向に広がるようなフィルタリングを行うことで振幅変動の抑圧が可能となる。等化処理部305によってフィルタリングされたSP信号のIQ複素平面上での位相方向の広がり(扁平率)は、スキューに応じて変化し、スキューが大きくなるほど大きくなる。また、このような扁平率の変化はI成分とQ成分のスキューがある場合にのみ現れ、その他の波形歪みがある場合には、振幅、位相方向に等しく広がるため、スキュー量を他の歪みと独立して検出することが可能である。なお、スキューの増大に伴ってシンボルが配置される領域の扁平率が増大する現象は、シンボルがBPSK変調されている場合に顕著に表れる。
CPR部41は、等化処理部305によってフィルタリングされた1つの偏波の各シンボルについて、光送信装置20の局発光と光受信装置30の局発光との間の位相誤差を補正する。そして、CPR部41は、位相誤差が補正された各シンボルを抽出部42へ出力する。
抽出部42は、CPR部41から出力された各シンボルから、SP信号のシンボルを抽出する。そして、抽出部42は、抽出されたSP信号のシンボルを比率算出部43へ出力する。
比率算出部43は、抽出部42によって抽出されたSP信号の各シンボルをIQ複素平面上にマッピングする。そして、比率算出部43は、IQ複素平面におけるSP信号のシンボルの分布領域において、IQ複素平面の原点を中心とする円の径方向における幅と、当該円の周方向における幅との比率を算出する。そして、比率算出部43は、算出された比率を指示送信部44へ出力する。
[比率算出部43]
図6は、比率算出部43の一例を示すブロック図である。比率算出部43は、例えば図6に示すように、絶対値算出部430、回転部431、格納部432、および比率算出処理部433を有する。
絶対値算出部430は、抽出部42によって抽出されたSP信号のシンボル毎に、I成分の振幅の絶対値およびQ成分の振幅の絶対値をそれぞれ算出する。そして、絶対値算出部430は、SP信号のシンボル毎に、算出されたI成分の振幅の絶対値およびQ成分の振幅の絶対値をそれぞれ回転部431へ出力する。
図7は、比率算出部43の処理の一例を説明する図である。本実施例において、SP信号はπ/4BPSK方式により変調されているため、SP信号のシンボルは、例えば図3(a)で説明したように、IQ複素平面における第1象限および第3象限に出現する。そして、光受信装置30において受信されたSP信号のシンボルは、例えば図7(a)に示すように、IQ複素平面における第1象限内の領域51および第3象限内の領域51にそれぞれ分布する。
ここで、光受信装置30で受信されたSP信号のシンボルは、伝送路における波形歪みや光増幅器で発生する雑音等の影響により、光送信装置20においてマッピングされたIQ複素平面内の位置を中心とする所定範囲の領域内に分布する。さらに、I成分とQ成分との間のスキューが大きくなると、受信シンボルは、光送信装置20においてマッピングされたIQ複素平面内の位置を中心として、IQ複素平面の原点Oを中心とする円の周方向に広がる。そのため、I成分とQ成分との間のスキューが大きくなると、例えば図7(a)に示すように、IQ複素平面の原点Oを中心とする円の径方向の幅aに対して、当該円の周方向の幅bが大きくなる。
そして、絶対値算出部430によってI成分およびQ成分の振幅の絶対値がそれぞれ算出されることにより、I成分およびQ成分の振幅の絶対値に対応するシンボルは、例えば図7(b)に示すように、IQ複素平面の第1象限の領域52に集約される。
図6に戻って説明を続ける。回転部431は、SP信号のシンボル毎に、絶対値算出部430により算出された絶対値に対応するI成分およびQ成分の信号を、IQ複素平面の原点Oを中心として−π/4の方向へ回転させる。そして、回転部431は、SP信号のシンボル毎に、回転後のシンボルに対応するI成分およびQ成分を格納部432に格納する。
これにより、例えば図7(c)に示すように、IQ複素平面の第1象限の領域52は、IQ複素平面の原点Oを中心として−π/4の方向(図7(c)において原点Oを中心とする時計回りの方向)へ回転し、I軸上に領域53に移動する。なお、回転部431は、SP信号のシンボル毎に、絶対値算出部430により算出された絶対値に対応するI成分およびQ成分の信号を、IQ複素平面の原点Oを中心として+π/4の方向へ回転させてもよい。
図6に戻って説明を続ける。比率算出処理部433は、格納部432を参照して、IQ複素平面におけるSP信号のシンボルの分布領域において、IQ複素平面の原点を中心とする円の径方向における幅と、当該円の周方向における幅との比率を算出する。そして、比率算出処理部433は、算出された比率を指示送信部44へ出力する。
具体的には、比率算出処理部433は、所定数(例えば1000個)のSP信号のシンボルについて回転部431による回転が終了した場合、格納部432を参照する。そして、比率算出処理部433は、SP信号のシンボル毎に、回転後のシンボルに対応するI成分およびQ成分のデータを格納部432から取得する。回転後のシンボルは、例えば図7(c)に示した領域53内に分布する。そして、比率算出処理部433は、例えば図7(c)に示した領域53において、I軸と平行な方向の幅a’を、IQ複素平面の原点を中心とする円の径方向における幅として算出する。また、比率算出処理部433は、例えば図7(c)に示した領域53において、Q軸と平行な方向の幅b’を、IQ複素平面の原点Oを中心とする円の周方向における幅として算出する。
そして、比率算出処理部433は、算出された幅a’と幅b’との比率を算出する。具体的には、比率算出処理部433は、幅a’の値に対する幅b’の値を比率として算出する。ここで、I成分とQ成分との間のスキューが小さい場合、受信シンボルは、主に伝送路における波形歪や光増幅器で発生する雑音等の影響により分散するため、SP信号のシンボルの分布領域は、円形に近い形状となる。一方、I成分とQ成分との間のスキューが大きい場合、受信シンボルは、IQ複素平面の原点Oを中心とする円の周方向に広がる。従って、幅a’と幅b’との比率と、スキューの大きさとは相関がある。なお、スキューの増大に伴ってシンボルが配置される領域の扁平率が増大する現象は、シンボルがBPSK変調されている場合に顕著に表れる。従って、本実施例では、BPSK変調されたSP信号のシンボルの分布領域を用いて、IQ複素平面の原点を中心とする円の径方向における幅と、当該円の周方向における幅との比率が算出される。
図5に戻って説明を続ける。指示送信部44は、運用開始前におけるスキューの調整時に、通信網13を介して光送信装置20へ変更指示を送信する。そして、指示送信部44は、異なる複数の制御値のそれぞれについて比率算出部43によって算出された比率に基づいて、スキューが最小となる制御値を特定する。そして、指示送信部44は、特定された制御値を光送信装置20に設定させることを指示する設定指示を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する。
具体的には、スキューの調整を開始する場合、指示送信部44は、通信網13を介して第1の変更指示を光送信装置20へ送信する。第1の変更指示には、スキューの制御値の初期値S0、第1の調整範囲ΔR1、および第1のステップサイズΔS1が含まれる。そして、指示送信部44は、所定数(例えば1000個)のSP信号のシンボルを用いて比率算出部43によって算出された比率を比率算出部43から取得する。そして、指示送信部44は、取得された比率を、初期値S0から第1の調整範囲ΔR1を引いた値の制御値に対応付けて保持する。そして、指示送信部44は、比率算出部43から所定数のSP信号のシンボルを用いて算出された比率を取得する都度、取得した比率を、第1のステップサイズΔS1分増加させた制御値に対応付けて保持する。
そして、制御値が初期値S0に第1の調整範囲ΔR1を加えた値より大きくなった場合、指示送信部44は、保持された比率の値を参照する。そして、指示送信部44は、最小の比率の値を特定し、特定された比率の値に対応付けられている制御値を、仮の調整値Sa’として特定する。
図8は、仮の調整値の特定方法の一例を説明する図である。スキューが大きい程、比率算出部43によって算出される比率が大きくなる。そのため、例えば図8に示すように、スキューの制御値に応じて、比率算出部43によって算出される比率の値が変化する。図8では、スキューの制御値の初期値S0が「100」であり、第1の調整範囲ΔR1が「20」であり、第1のステップサイズΔS1が「5」である場合の例が示されている。また、図8の例では、スキューの制御値が「105」である場合に、初期値S0を中心とする2×ΔR1の範囲において、比率の値が最小となっている。図8の例では、指示送信部44は、制御値「105」を、仮の調整値Sa’として特定する。
次に、指示送信部44は、特定された仮の調整値Sa’を含む第2の変更指示を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する。第2の変更指示には、仮の調整値Sa’の他に、第2の調整範囲ΔR2および第2のステップサイズΔS2等が含まれる。本実施例において、第2の調整範囲ΔR2の値は、第1の調整範囲ΔR1の値よりも小さく、第2のステップサイズΔS2の値は、第1のステップサイズΔS1の値よりも小さい。
そして、指示送信部44は、所定数(例えば1000個)のSP信号のシンボルを用いて比率算出部43によって算出された比率を比率算出部43から取得する。そして、指示送信部44は、取得された比率を、仮の調整値Sa’から第2の調整範囲ΔR2を引いた値の制御値に対応付けて保持する。そして、指示送信部44は、比率算出部43から所定数のSP信号のシンボルを用いて算出された比率を取得する都度、取得した比率を、第2のステップサイズΔS2分増加させた制御値に対応付けて保持する。
そして、制御値が仮の調整値Sa’に第2の調整範囲ΔR2を加えた値より大きくなった場合、指示送信部44は、保持された比率の値を参照する。そして、指示送信部44は、最小の比率の値を特定し、特定された比率の値に対応付けられている制御値を調整値として特定する。
図9は、調整値の特定方法の一例を説明する図である。図9では、スキューの仮の調整値Sa’が「105」であり、第2の調整範囲ΔR2が「4」であり、第2のステップサイズΔS2が「1」である場合の例が示されている。また、図9の例では、スキューの制御値が「104」である場合に、仮の調整値Sa’を中心とする2×ΔR2の範囲において、比率の値が最小となっている。図9の例では、指示送信部44は、制御値「104」を、調整値Saとして特定する。
指示送信部44は、特定された調整値Saを含む設定指示を作成する。そして、指示送信部44は、作成した設定指示を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する。そして、光受信装置30は、運用を開始する。
[光送信装置20の動作]
図10は、実施例1における光送信装置20の動作の一例を示すフローチャートである。光送信装置20は、運用開始前に本フローチャートに示す動作を行う。なお、図10のフローチャートに示した処理は、偏波毎に行われるため、以下では、1つの偏波の処理について説明する。
まず、スキュー制御部212は、通信網13を介して第1の変更指示を受信したか否かを判定する(S100)。第1の変更指示を受信していない場合(S100:No)、スキュー制御部212は、例えば第1の変更指示を受信するまでステップS100に示した処理を実行する。
一方、第1の変更指示を受信した場合(S100:Yes)、スキュー制御部212は、受信した第1の変更指示に含まれている初期値S0、第1の調整範囲ΔR1、および第1のステップサイズΔS1を取得する。そして、スキュー制御部212は、初期値S0から第1の調整範囲ΔR1を引いた値をスキューの制御値Sとして算出する(S101)。そして、スキュー制御部212は、算出された制御値Sをスキュー設定部209に設定させる。
次に、光送信装置20は、送信処理を実行する(S102)。ステップS102では、変調部204によってSP信号のシンボルが生成され、変調部205によって同期信号のシンボルが生成され、変調部207によってデータのシンボルが生成される。そして、信号切替部208によって、変調部204から出力されたSP信号のシンボルと、変調部205から出力された同期信号のシンボルと、変調部207から出力されたデータのシンボルとが切り替えられる。そして、スキュー設定部209によって、スキュー制御部212から指示された制御値Sに基づいて、信号切替部208から出力された各シンボルのI成分およびQ成分の間のスキューが設定される。そして、スキューが設定されたI成分およびQ成分の電気信号が光信号に変換され、ケーブル12を介して光受信装置30へ送信される。
次に、スキュー制御部212は、所定数のSP信号のシンボルが送信されたか否かを判定する(S103)。所定数のSP信号のシンボルが送信されていない場合(S103:No)、光送信装置20は、再びステップS102に示した処理を実行する。
一方、所定数のSP信号のシンボルが送信された場合(S103:Yes)、スキュー制御部212は、現在の制御値Sを第1のステップサイズΔS1分増加させる(S104)。そして、スキュー制御部212は、算出された制御値Sが、初期値S0に第1の調整範囲ΔR1を加えた値よりも大きいか否かを判定する(S105)。制御値Sが、初期値S0に第1の調整範囲ΔR1を加えた値以下である場合(S105:No)、スキュー制御部212は、ステップS104で算出された制御値Sをスキュー設定部209に設定させる。そして、光送信装置20は、再びステップS102に示した処理を実行する。
一方、制御値Sが、初期値S0に第1の調整範囲ΔR1を加えた値よりも大きい場合(S105:Yes)、スキュー制御部212は、通信網13を介して第2の変更指示を受信したか否かを判定する(S106)。第2の変更指示を受信していない場合(S106:No)、スキュー制御部212は、例えば第2の変更指示を受信するまでステップS106に示した処理を実行する。
一方、第2の変更指示を受信した場合(S106:Yes)、スキュー制御部212は、受信した第2の変更指示に含まれている仮の調整値Sa’、第2の調整範囲ΔR2、および第2のステップサイズΔS2を取得する。そして、スキュー制御部212は、仮の調整値Sa’から第2の調整範囲ΔR2を引いた値をスキューの制御値Sとして算出する(S107)。そして、スキュー制御部212は、算出された制御値Sをスキュー設定部209に設定させる。そして、光送信装置20は、送信処理を実行する(S108)。ステップS108の送信処理では、ステップS102に示した送信処理と同様の処理が実行される。
次に、スキュー制御部212は、所定数のSP信号のシンボルが送信されたか否かを判定する(S109)。所定数のSP信号のシンボルが送信されていない場合(S109:No)、光送信装置20は、再びステップS108に示した処理を実行する。一方、所定数のSP信号のシンボルが送信された場合(S109:Yes)、スキュー制御部212は、現在の制御値Sを第2のステップサイズΔS2分増加させる(S110)。そして、スキュー制御部212は、算出された制御値Sが、仮の調整値Sa’に第2の調整範囲ΔR2を加えた値よりも大きいか否かを判定する(S111)。制御値Sが、仮の調整値Sa’に第2の調整範囲ΔR2を加えた値以下である場合(S111:No)、スキュー制御部212は、ステップS110で算出された制御値Sをスキュー設定部209に設定させる。そして、光送信装置20は、再びステップS108に示した処理を実行する。
一方、制御値Sが、仮の調整値Sa’に第2の調整範囲ΔR2を加えた値よりも大きい場合(S111:Yes)、スキュー制御部212は、通信網13を介して設定指示を受信したか否かを判定する(S112)。設定指示を受信していない場合(S112:No)、スキュー制御部212は、例えば設定指示を受信するまでステップS112に示した処理を実行する。
一方、設定指示を受信した場合(S112:Yes)、スキュー制御部212は、受信した設定指示に含まれている調整値Saを取得する。そして、スキュー制御部212は、調整値Saをスキューの制御値Sとしてスキュー設定部209に設定させる(S113)。そして、スキュー制御部212は、信号切替部208に運用開始を指示する。そして、光送信装置20は、本フローチャートに示した動作を終了し、光送信装置20の運用が開始される。
[光受信装置30の動作]
図11および図12は、実施例1における光受信装置30の動作の一例を示すフローチャートである。光受信装置30は、運用開始前に本フローチャートに示す動作を行う。なお、図11および図12のフローチャートに示した処理は、偏波毎に行われるため、以下では、1つの偏波の処理について説明する。
まず、指示送信部44は、初期値S0から第1の調整範囲ΔR1を引いた値を制御値Sとして算出する(S200)。そして、指示送信部44は、スキューの制御値の初期値S0、第1の調整範囲ΔR1、および第1のステップサイズΔS1を含む第1の変更指示を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する(S201)。
次に、OE変換部300は、ケーブル12を介して光送信装置20から送信された光信号を受信し、受信した光信号を電気信号に変換する(S202)。ADC301は、OE変換部300によって変換された電気信号を、アナログ信号からディジタル信号に変換する。同期信号検出部302は、ADC301によってディジタル信号に変換された信号から同期信号のタイミングを検出する(S203)。そして、同期信号検出部302は、同期信号のタイミングから所定数のシンボルを等化処理部305へ出力する。
次に、等化処理部305は、SP信号のシンボルを用いてフィルタのタップ係数を調整することにより、同期信号検出部302から出力された各シンボルの振幅の変動を抑制するように、各シンボルをフィルタリングする(S204)。各調整処理部40のCPR部41は、等化処理部305によってフィルタリングされた各シンボルについて、光送信装置20の局発光と光受信装置30の局発光との間の位相誤差を補正する。抽出部42は、CPR部41から出力された各シンボルから、SP信号のシンボルを抽出する(S205)。
次に、各比率算出部43の絶対値算出部430は、抽出部42によって抽出されたSP信号のシンボル毎に、I成分の振幅の絶対値およびQ成分の振幅の絶対値をそれぞれ算出する(S206)。回転部431は、SP信号のシンボル毎に、絶対値算出部430により算出された絶対値に対応するI成分およびQ成分の信号を、IQ複素平面の原点Oを中心として−π/4の方向へ回転させる(S207)。そして、回転部431は、SP信号のシンボル毎に、回転後のシンボルに対応するI成分およびQ成分を格納部432に格納する。
次に、比率算出処理部433は、所定数のSP信号のシンボルが受信されたか否かを判定する(S208)。所定数のSP信号のシンボルが受信されていない場合(S208:No)、OE変換部300は、再びステップS202に示した処理を実行する。一方、所定数のSP信号のシンボルが受信された場合(S208:Yes)、比率算出処理部433は、格納部432を参照して、次の処理を実行する。即ち、比率算出処理部433は、IQ複素平面におけるSP信号のシンボルの分布領域において、IQ複素平面の原点から離れる方向における幅と、IQ複素平面の原点を中心とする円の周方向における幅との比率を算出する(S209)。そして、比率算出処理部433は、算出された比率を指示送信部44へ出力する。
次に、指示送信部44は、比率算出処理部433から出力された比率の値を、制御値Sに対応付けて保持する(S210)。そして、指示送信部44は、制御値Sに第1のステップサイズΔS1を加算する(S211)。そして、指示送信部44は、制御値Sが初期値S0に第1の調整範囲ΔR1を加えた値より大きいか否かを判定する(S212)。制御値Sが初期値S0に第1の調整範囲ΔR1を加えた値以下である場合(S212:No)、OE変換部300は、再びステップS202に示した処理を実行する。
一方、制御値Sが初期値S0に第1の調整範囲ΔR1を加えた値より大きい場合(S212:Yes)、指示送信部44は、保持された比率の値を参照して、最小の比率の値を特定する。そして、指示送信部44は、特定された比率の値に対応付けられている制御値Sを、仮の調整値Sa’として特定する(S213)。
次に、指示送信部44は、仮の調整値Sa’から第2の調整範囲ΔR2を引いた値を制御値Sとして算出する(図12のS214)。そして、指示送信部44は、仮の調整値Sa’、第2の調整範囲ΔR2、および第2のステップサイズΔS2を含む第2の変更指示を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する(S215)。
次に、光受信装置30は、受信処理を実行する(S216)。ステップS216の受信処理では、ステップS202からS207に示した処理と同様の処理が実行される。
次に、比率算出処理部433は、所定数のSP信号のシンボルが受信されたか否かを判定する(S217)。所定数のSP信号のシンボルが受信されていない場合(S217:No)、光受信装置30は、再びステップS216に示した処理を実行する。一方、所定数のSP信号のシンボルが受信された場合(S217:Yes)、比率算出処理部433は、格納部432を参照して、次の処理を実行する。即ち、比率算出処理部433は、IQ複素平面におけるSP信号のシンボルの分布領域において、IQ複素平面の原点から離れる方向における幅と、IQ複素平面の原点を中心とする円の周方向における幅との比率を算出する(S218)。そして、比率算出処理部433は、算出された比率を指示送信部44へ出力する。
次に、指示送信部44は、比率算出処理部433から出力された比率の値を、制御値Sに対応付けて保持する(S219)。そして、指示送信部44は、制御値Sに第2のステップサイズΔS2を加算する(S220)。そして、指示送信部44は、制御値Sが仮の調整値Sa’に第2の調整範囲ΔR2を加えた値より大きいか否かを判定する(S221)。制御値Sが仮の調整値Sa’に第2の調整範囲ΔR2を加えた値以下である場合(S221:No)、光受信装置30は、再びステップS216に示した処理を実行する。
一方、制御値Sが仮の調整値Sa’に第2の調整範囲ΔR2を加えた値より大きい場合(S221:Yes)、指示送信部44は、保持された比率の値を参照して、最小の比率の値を特定する。そして、指示送信部44は、特定された比率の値に対応付けられている制御値Sを、調整値Saとして特定する(S222)。そして、指示送信部44は、特定された調整値Saを含む設定指示を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する(S223)。そして、光受信装置30は、本フローチャートに示した処理を終了し、光受信装置30の運用が開始される。
[実施例1の効果]
以上、実施例1について説明した。上記したように、本実施例の光通信システム10は、光送信装置20および光受信装置30を有する。光送信装置20は、変調部204と、スキュー設定部209と、EO変換部211と、スキュー制御部212とを有する。SP信号出力部200は、所定のビットパターンのSP信号におけるそれぞれのビットの値が、IQ複素平面におけるI成分およびQ成分の少なくともいずれか一方を用いるBPSK方式により変調されたシンボルを出力する。スキュー設定部209は、SP信号のシンボルのI成分およびQ成分の間のスキューを制御する制御値に基づいてスキューを設定する。EO変換部211は、スキュー設定部209によってスキューが設定されたI成分およびQ成分の電気信号を光信号に変換して送信する。スキュー制御部212は、光受信装置30から設定指示を受信した場合、設定指示に基づいて制御値をスキュー設定部209に設定させるように制御する。
また、光受信装置30は、OE変換部300と、等化処理部305と、抽出部42と、比率算出処理部433と、指示送信部44とを有する。OE変換部300は、光送信装置20から送信された光信号を受信し、受信された光信号を電気信号に変換する。等化処理部305は、OE変換部300から出力された電気信号の振幅の変動を抑制する抑制処理を行う。抽出部42は、抑制処理が行われた電気信号から複数のSP信号のシンボルを抽出する。比率算出部43は、抽出部42によって抽出された複数のSP信号のシンボルのコンスタレーションの、IQ複素平面における分布領域において、IQ複素平面の原点を中心とする円の径方向における幅と、当該円の周方向における幅との比率を算出する。指示送信部44は、変更指示を光送信装置20へ送信する。また、指示送信部44は、異なる複数の制御値のそれぞれについて比率算出部43によって算出された比率に基づいて特定される制御値を光送信装置20に設定させることを指示する設定指示を光送信装置20へ送信する。これにより、光通信システム10は、光送信装置20において送信される光信号に含まれるI成分とQ成分との間のスキューを精度よく調整することができる。
また、上記した実施例1において、光受信装置30の指示送信部44は、比率算出部43によって算出された比率の中で最小の比率に対応する制御値を調整値として特定する。そして、指示送信部44は、特定された調整値を光送信装置20に設定させることを指示する設定指示を光送信装置20へ送信する。これにより、光受信装置30は、光送信装置20において送信される光信号の各偏波に含まれるI成分とQ成分との間のスキューを精度よく調整することができる。
また、上記した実施例1において、光受信装置30の指示送信部44は、変更指示を光送信装置20へ送信することにより、第1のステップサイズΔS1の値ずつ異なる複数の制御値を光送信装置20に順次変更させる。そして、指示送信部44は、比率算出部43によって算出された比率の中で最小の比率に対応する制御値を仮の調整値として特定する。そして、指示送信部44は、特定された仮の調整値が含まれる範囲において、第1のステップサイズΔS1よりも小さい第2のステップサイズΔS2の値ずつ異なる複数の制御値を光送信装置20にさらに順次変更させる。そして、指示送信部44は、第2のステップサイズΔS2の値ずつ異なる複数の制御値のそれぞれについて比率算出部43によって算出された比率の中で最小の比率に対応する制御値を調整値として特定する。そして、指示送信部44は、特定された調整値を光送信装置20に設定させることを指示する設定指示を光送信装置20へ送信する。これにより、光受信装置30は、光送信装置20において送信される光信号の各偏波に含まれるI成分とQ成分との間のスキューを精度よくかつ迅速に調整することができる。
また、上記した実施例1において、SP信号のシンボルは、SP信号のビットパターンに含まれるそれぞれのビットの値がπ/4BPSK方式により変調されている。また、比率算出部43は、絶対値算出部430と、回転部431と、比率算出処理部433とを有する。絶対値算出部430は、それぞれのSP信号のシンボルのI成分およびQ成分の振幅の絶対値を算出する。回転部431は、絶対値算出部430により算出されたI成分およびQ成分の振幅の絶対値に対応するコンスタレーションを、IQ複素平面の原点を中心として+π/4または−π/4の方向へ回転させる。比率算出処理部433は、回転部431によって回転させられたコンスタレーションの分布領域において、IQ複素平面の原点を中心とする円の径方向における分布領域の幅に対する、当該円の周方向における分布領域の幅を比率として算出する。これにより、比率算出部43は、抽出部42によって抽出された複数のSP信号のシンボルのコンスタレーションの、IQ複素平面の原点を中心とする円の径方向における分布領域の幅と、当該円の周方向における分布領域の幅との比率を算出することができる。
また、上記した実施例1において、光信号には、SP信号のシンボルの開始タイミングを示す同期信号が含まれている。抽出部42は、同期信号を基準として、等化処理部305による抑制処理が行われた電気信号から複数のSP信号のシンボルを抽出する。これにより、比率算出部43は、SP信号のシンボルを用いて比率を算出することができる。
ところで、スキューの値が小さい場合には、例えば図13に示すように、スキューの値が大きくなるに従い、比率算出部43によって算出される比率の値が大きくなる。図13は、スキューと比率との関係の一例を示すシミュレーション結果である。しかし、スキューの値がある値(図13の例では±4ピコ秒)より大きくなると、スキューの値が大きくなるに従い、比率算出部43によって算出される比率の値が小さくなる。これは、スキューの値が大きくなるに従い、隣接するシンボルの影響により振幅の誤差が増大し、IQ複素平面の原点を中心とする円の径方向におけるコンスタレーションの分布領域の幅が増大するためと考えられる。これにより、コンスタレーションの分布領域が円形に近づき、比率の値が1に近づく。従って、制御値の初期値S0によって設定されるスキューの値が大き過ぎると、スキューを低減させるための制御値を精度よく特定することが困難となる場合がある。
ここで、スキューの値が小さい場合には、同一の値のビットが変調されたシンボルに関し、光受信装置30では、光送信装置20において配置されたIQ複素平面の象限と同一の象限にシンボルが配置される。そのため、同一の値のビットが変調されたシンボルに関し、シンボルが最も多く配置される象限にシンボルが配置される割合は100%となる。しかし、スキューの値が大きくなると、光受信装置30では、光送信装置20において配置された象限と同一の象限にシンボルが配置される割合が低下する。そのため、光受信装置30において、同一の値のビットが変調されたシンボルに関し、シンボルが最も多く配置される象限にシンボルが配置される割合が所定値以上となる制御値の範囲内に、スキューが最小となる制御値が含まれることになる。
そこで、本実施例では、まず、実施例1で説明した比率を算出する際の制御値の範囲よりも広い範囲において、スキューの制御値を順次変更させる。そして、制御値毎に、変調されたシンボルが最も多く配置されるIQ複素平面の象限が特定され、特定された象限に配置されるシンボルの割合が算出される。そして、割合が所定の閾値以上となる制御値が含まれる範囲の中で、1つの制御値が仮の調整値Sa”として特定される。そして、特定された仮の調整値Sa”を初期値S0として用いて、実施例1で説明した処理が実行される。これにより、スキューを低減させるための制御値を精度よく特定することが可能となる。
以下では、実施例1と異なる点を中心に説明する。実施例2における光通信システム10の構成は、図1を用いて説明した実施例1の光通信システム10と同様であるため、詳細な説明を省略する。
[光送信装置20]
実施例2における光送信装置20の構成は、図2を用いて説明した実施例1の光送信装置20と同様であるため、以下に説明する点を除き、詳細な説明を省略する。
スキュー制御部212は、通信網13を介して光受信装置30から第3の変更指示を受信した場合、信号切替部208に調整開始を指示する。そして、スキュー制御部212は、各偏波について、以下の処理を行う。即ち、スキュー制御部212は、受信した第3の変更指示から、スキューの制御値の初期値S0、第3の調整範囲ΔR3、および第3のステップサイズΔS3を取得する。第3のステップサイズΔS3は、第3の値の一例である。
そして、スキュー制御部212は、初期値S0から第3の調整範囲ΔR3を引いた値の制御値をスキュー設定部209に設定させる。そして、スキュー制御部212は、所定数(例えば1000個)のSP信号のシンボルが送信される都度、スキューの制御値を、第3のステップサイズΔS3分増加させる。そして、制御値が初期値S0に第3の調整範囲ΔR3を加えた値より大きくなった場合、スキュー制御部212は、光受信装置30から送信される第1の変更指示を待ち受ける。
通信網13を介して光受信装置30から第1の変更指示を受信した場合、スキュー制御部212は、受信した第1の変更指示から、仮の調整値Sa”、第1の調整範囲ΔR1、および第1のステップサイズΔS1を取得する。そして、スキュー制御部212は、仮の調整値Sa”から第1の調整範囲ΔR1を引いた値の制御値をスキュー設定部209に設定させる。そして、スキュー制御部212は、所定数(例えば1000個)のSP信号のシンボルが送信される都度、スキューの制御値を、第1のステップサイズΔS1分増加させる。そして、制御値が仮の調整値Sa”に第1の調整範囲ΔR1を加えた値より大きくなった場合、スキュー制御部212は、光受信装置30から送信される第2の変更指示を待ち受ける。以降、スキュー制御部212は、実施例1において説明した処理と同様の処理を実行する。
[光受信装置30]
図14は、実施例2における光受信装置30の一例を示すブロック図である。なお、以下に説明する点を除き、図14において、図5と同じ符号を付したブロックは、図5におけるブロックと同一または同様の機能を有するため説明を省略する。本実施例において、各調整処理部40は、さらに割合算出部45を有する。
割合算出部45は、抽出部42によって抽出されたSP信号の各シンボルに基づいて、同一の値のビットが変調されたシンボル毎に、シンボルが最も多く出現するIQ複素平面の象限を特定し、特定された象限に出現するシンボルの割合を算出する。そして、割合算出部45は、シンボル毎に算出された割合の値の中の1つを選択し、選択された割合の値を指示送信部44へ出力する。
[割合算出部45]
図15は、割合算出部45の一例を示すブロック図である。割合算出部45は、例えば図15に示すように、分配部450、象限特定部451−1から451−2、割合算出処理部452−1から452−2、および選択部453を有する。なお、以下では、象限特定部451−1から451−2のそれぞれを区別することなく総称する場合に、単に象限特定部451と記載する。また、割合算出処理部452−1から452−2のそれぞれを区別することなく総称する場合に、単に割合算出処理部452と記載する。
分配部450は、抽出部42によって抽出されたSP信号のシンボルについて、同一の値のビットが変調されたシンボル毎に、I成分およびQ成分の信号を象限特定部451−1および象限特定部451−2にそれぞれ分配する。本実施例において、SP信号は0と1からなる所定のビットパターンである。また、本実施例において、SP信号はπ/4BPSK方式により変調され、SP信号の各ビットの値に応じたシンボルは、IQ複素平面の第1象限および第3象限のいずれかに出現する。分配部450は、SP信号のビットパターンに関する情報を予め保持している。そして、分配部450は、例えばSP信号の各ビットにおいて、値が「1」のビットに対応するシンボルのI成分およびQ成分の信号を象限特定部451−1へ分配する。また、分配部450は、値が「0」のビットに対応するシンボルのI成分およびQ成分の信号を象限特定部451−2へ分配する。
それぞれの象限特定部451は、分配部450から分配されたシンボル毎に、分配されたシンボルのI成分およびQ成分の信号に基づいて、シンボルが出現するIQ複素平面の象限を特定する。そして、象限特定部451は、シンボル毎に特定された象限の情報を割合算出処理部452へ出力する。具体的には、象限特定部451−1は、シンボル毎に特定された象限の情報を割合算出処理部452−1へ出力し、象限特定部451−2は、シンボル毎に特定された象限の情報を割合算出処理部452−2へ出力する。
それぞれの割合算出処理部452は、象限特定部451から出力されたシンボル毎の象限の情報を保持する。そして、象限特定部451から出力されたシンボル毎の象限の情報が所定数(例えば500個)に達した場合、保持されている象限の情報に基づいて、IQ複素平面における4つの象限のそれぞれについて、象限に配置されたシンボルの割合を算出する。例えば、象限特定部451から出力された象限の情報の総数が500個であり、象限特定部451からIQ複素平面における第1象限の情報が450個出力された場合、割合算出処理部452は、割合として90%を算出する。そして、割合算出処理部452は、IQ複素平面における4つの象限のそれぞれについて算出された割合の中で、最も大きな割合を示す値を選択部453へ出力する。
ここで、光送信装置20においてSP信号のシンボルが出現する象限と、光受信装置30において受信した各シンボルが出現する象限とが異なる場合について、図16を用いて説明する。図16は、1シンボルの期間に相当するスキューが存在する場合のシンボルの配置の一例を説明する図である。図16(a)は、光送信装置20においてIQ複素平面上にマッピングされたシンボルを示し、図16(b)は、図16(a)に示した各時刻のシンボルが1シンボルの期間遅延したシンボルを示す。図16(c)は、I成分の信号のみが1シンボルの期間遅延したシンボルを示す。即ち、図16(c)は、1シンボルの期間に相当するスキューが存在する場合のシンボルの配置を示している。
図16(a)から(c)に示す例において、SIはI成分の信号の振幅を示し、SQはQ成分の信号の振幅を示す。また、図16(a)から(c)に示す例において、黒丸はマッピングされたシンボルを示し、斜線で示された象限は、シンボルが出現する象限を示している。また、図16(a)から(c)に示す例において、時刻tではSP信号のシンボルが送信され、時刻t−1、t+1、およびt+2では、それぞれ、データのシンボルが送信される。
図16(c)においてIQ複素平面上にマッピングされる各シンボルは、図16(b)におけるシンボルのI成分と、図16(a)におけるシンボルのQ成分とを有する。時刻t−1、t、およびt+1では、図16(a)におけるシンボルと、図16(c)におけるシンボルとが異なる象限に出現している。また、時刻t+2では、図16(a)におけるシンボルと、図16(c)におけるシンボルとが同一の象限に出現している。
このように、1シンボルの期間に相当するスキューが存在すると、光受信装置30で受信されたSP信号のシンボルが配置された象限と、光送信装置20でSP信号が配置された象限とが異なる場合がある。なお、スキューが1シンボルの期間よりも短い場合でも、SP信号の間に送信されるデータのシンボルによっては、光受信装置30で受信されたシンボルが配置された象限と、光送信装置20でシンボルが配置された象限とが異なる場合がある。そして、光受信装置30で受信されたシンボルが配置された象限と、光送信装置20でシンボルが配置された象限とが異なる割合は、スキューの値が大きいほど高くなる。
図15に戻って説明を続ける。選択部453は、それぞれの割合算出処理部452から出力された割合の中で、一つの割合を選択する。本実施例において、選択部453は、それぞれの割合算出処理部452から出力された割合の中で、例えば低い方の割合を選択する。そして、選択部453は、選択した割合を指示送信部44へ出力する。
図14に戻って説明を続ける。本実施例において、指示送信部44は、運用開始前におけるスキューの調整時に、通信網13を介して光送信装置20へ、まず、第3の変更指示を送信する。第3の変更指示には、スキューの制御値の初期値S0、第3の調整範囲ΔR3、および第3のステップサイズΔS3が含まれる。本実施例において、第3のステップサイズΔS3の値は、第1のステップサイズΔS1の値よりも大きく、第3の調整範囲ΔR3の値は、第1の調整範囲ΔR1の値よりも大きい。
そして、指示送信部44は、所定数(例えば1000個)のSP信号のシンボルを用いて割合算出部45によって算出された割合を割合算出部45から取得する。そして、指示送信部44は、取得された割合を、初期値S0から第3の調整範囲ΔR3を引いた値の制御値に対応付けて保持する。そして、指示送信部44は、割合算出部45から所定数のSP信号のシンボルを用いて算出された割合を取得する都度、取得した割合を、第3のステップサイズΔS3分増加させた制御値に対応付けて保持する。
そして、制御値が初期値S0に第3の調整範囲ΔR3を加えた値より大きくなった場合、指示送信部44は、保持された割合の中で、所定の閾値以上の割合を特定する。そして、指示送信部44は、特定された割合に対応付けられた制御値が含まれる制御値の範囲を特定する。そして、指示送信部44は、特定された範囲に含まれる制御値の中の1つを、仮の調整値Sa”として特定する。本実施例において、指示送信部44は、特定された範囲の中央に最も近い制御値を、仮の調整値Sa”として特定する。
図17は、仮の調整値の特定方法の一例を説明する図である。スキューが小さい程、割合算出部45によって算出される割合が大きくなる。そのため、例えば図17に示すように、スキューの制御値に応じて、割合算出部45によって算出される割合の値が変化する。図17では、スキューの制御値の初期値S0が「110」であり、第3の調整範囲ΔR3が「40」であり、第3のステップサイズΔS3が「10」である場合の例が示されている。また、図17の例では、閾値は「100%」であり、「100%」以上の割合に対応するスキューの制御値は、「90」、「100」、および「110」の3つである。本実施例では、閾値以上の制御値が含まれる範囲として「90」から「110」の範囲が特定され、特定された範囲の中央に最も近い制御値である「100」が、仮の調整値Sa”として特定される。
次に、指示送信部44は、特定された仮の調整値Sa”を含む第1の変更指示を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する。第1の変更指示には、仮の調整値Sa”の他に、第1の調整範囲ΔR1および第1のステップサイズΔS1等が含まれる。
そして、指示送信部44は、所定数(例えば1000個)のSP信号のシンボルを用いて比率算出部43によって算出された比率を比率算出部43から取得する。そして、指示送信部44は、取得された比率を、仮の調整値Sa”から第1の調整範囲ΔR1を引いた値の制御値に対応付けて保持する。そして、指示送信部44は、比率算出部43から所定数のSP信号のシンボルを用いて算出された比率を取得する都度、取得した比率を、第1のステップサイズΔS1分増加させた制御値に対応付けて保持する。
そして、制御値が仮の調整値Sa”に第1の調整範囲ΔR1を加えた値より大きくなった場合、指示送信部44は、保持された比率の値を参照する。そして、指示送信部44は、最小の比率の値を特定し、特定された比率の値に対応付けられている制御値を、仮の調整値Sa”として特定する。以降、指示送信部44は、実施例1において説明した処理と同様の処理を実行する。
[光送信装置20の動作]
図18は、実施例2における光送信装置20の動作の一例を示すフローチャートである。光送信装置20は、運用開始前に本フローチャートに示す動作を行う。なお、以下に説明する点を除き、図18において、図10と同じ符号を付した処理は、図10における処理と同様の処理であるため説明を省略する。
まず、スキュー制御部212は、通信網13を介して第3の変更指示を受信したか否かを判定する(S120)。第3の変更指示を受信していない場合(S120:No)、スキュー制御部212は、例えば第3の変更指示を受信するまでステップS120に示した処理を実行する。
一方、第3の変更指示を受信した場合(S120:Yes)、スキュー制御部212は、受信した第3の変更指示に含まれているスキューの制御値の初期値S0、第3の調整範囲ΔR3、および第3のステップサイズΔS3を取得する。そして、スキュー制御部212は、初期値S0から第3の調整範囲ΔR3を引いた値をスキューの制御値Sとして算出する(S121)。そして、スキュー制御部212は、算出された制御値Sをスキュー設定部209に設定させる。そして、光送信装置20は、送信処理を実行する(S122)。ステップS122の送信処理では、図10のステップS102に示した送信処理と同様の処理が実行される。
次に、スキュー制御部212は、所定数のSP信号のシンボルが送信されたか否かを判定する(S123)。所定数のSP信号のシンボルが送信されていない場合(S123:No)、光送信装置20は、再びステップS122に示した処理を実行する。
一方、所定数のSP信号のシンボルが送信された場合(S123:Yes)、スキュー制御部212は、現在の制御値Sを第3のステップサイズΔS3分増加させる(S124)。そして、スキュー制御部212は、算出された制御値Sが、初期値S0に第3の調整範囲ΔR3を加えた値よりも大きいか否かを判定する(S125)。制御値Sが、初期値S0に第3の調整範囲ΔR3を加えた値以下である場合(S125:No)、スキュー制御部212は、ステップS124で算出された制御値Sをスキュー設定部209に設定させる。そして、光送信装置20は、再びステップS122に示した処理を実行する。
一方、制御値Sが、初期値S0に第3の調整範囲ΔR3を加えた値よりも大きい場合(S125:Yes)、スキュー制御部212は、通信網13を介して第1の変更指示を受信したか否かを判定する(S126)。第1の変更指示を受信していない場合(S126:No)、スキュー制御部212は、例えば第1の変更指示を受信するまでステップS126に示した処理を実行する。
一方、第1の変更指示を受信した場合(S126:Yes)、スキュー制御部212は、受信した第1の変更指示に含まれている仮の調整値Sa”、第1の調整範囲ΔR1、および第1のステップサイズΔS1を取得する。そして、スキュー制御部212は、仮の調整値Sa”を初期値S0にセットする(S127)。そして、図10のステップS100からS113に示した処理が実行される。
[光受信装置30の動作]
図19は、実施例2における光受信装置30の動作の一例を示すフローチャートである。光受信装置30は、運用開始前に本フローチャートに示す動作を行う。なお、以下に説明する点を除き、図19において、図11または図12と同じ符号を付した処理は、図11または図12における処理と同様の処理であるため説明を省略する。
まず、指示送信部44は、初期値S0から第3の調整範囲ΔR3を引いた値を制御値Sとして算出する(S230)。そして、指示送信部44は、初期値S0、第3の調整範囲ΔR3、および第3のステップサイズΔS3を含む第3の変更指示を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する(S231)。
次に、光受信装置30は、図11のステップS202からS205に示した処理を実行する。そして、分配部450は、抽出部42によって抽出されたSP信号のシンボルについて、同一の値のビットが変調されたシンボル毎に、I成分およびQ成分の信号を象限特定部451−1および象限特定部451−2にそれぞれ分配する。
次に、象限特定部451は、分配部450から分配されたシンボル毎に、分配されたシンボルのI成分およびQ成分の信号に基づいて、シンボルが出現するIQ複素平面の象限を特定する(S232)。そして、割合算出処理部452は、象限特定部451から出力されたシンボル毎の象限の情報を保持する。
次に、割合算出処理部452は、所定数のSP信号のシンボルについて象限特定部451によって象限が特定されたか否かを判定する(S233)。所定数のSP信号のシンボルについて象限特定部451によって象限が特定されていない場合(S233:No)、光受信装置30は、再びステップS202に示した処理を実行する。
一方、所定数のSP信号のシンボルについて象限特定部451によって象限が特定された場合(S233:Yes)、割合算出処理部452は、IQ複素平面における4つの象限のそれぞれについて、象限に配置されたシンボルの割合を算出する(S234)。そして、選択部453は、それぞれの割合算出処理部452から出力された割合を示す値の中で、例えば低い方の割合を選択する。
次に、指示送信部44は、選択部453によって選択された割合の値を、制御値Sに対応付けて保持する(S235)。そして、指示送信部44は、制御値Sに第3のステップサイズΔS3を加算する(S236)。そして、指示送信部44は、制御値Sが初期値S0に第3の調整範囲ΔR3を加えた値より大きいか否かを判定する(S237)。制御値Sが初期値S0に第3の調整範囲ΔR3を加えた値以下である場合(S237:No)、光受信装置30は、再びステップS202からS205に示した処理を実行する。
一方、制御値Sが初期値S0に第3の調整範囲ΔR3を加えた値より大きい場合(S237:Yes)、指示送信部44は、保持された割合の中で、所定の閾値以上の割合を特定する。そして、指示送信部44は、特定された割合に対応付けられた制御値Sが含まれる制御値Sの範囲を特定する(S238)。そして、指示送信部44は、例えば、特定された範囲の中央に最も近い制御値を、仮の調整値Sa”として特定する(S239)。そして、指示送信部44は、仮の調整値Sa”を初期値S0に設定する(S240)。そして、図11および図12のステップS200からS223に示した処理が実行される。
[実施例2の効果]
以上、実施例2について説明した。本実施例における光受信装置30は、割合算出部45を有する。割合算出部45は、抽出部42によって抽出された複数のSP信号のシンボルのコンスタレーションのIQ複素平面上の位置に基づいて、同一の値のビットが変調されたSP信号のシンボル毎に、当該シンボルが最も多く配置された象限を特定する。そして、割合算出部45は、特定された象限に配置されたSP信号のシンボルの割合を算出する。指示送信部44は、変更指示を光送信装置20へ送信することにより、第3の値ずつ異なる複数の制御値を光送信装置20に順次変更させる。そして、指示送信部44は、第3の値ずつ異なる複数の制御値のそれぞれについて割合算出部45によって算出された割合の値に基づいて、仮の調整値を特定する。そして、指示送信部44は、特定された仮の調整値が含まれる範囲において、異なる複数の制御値のそれぞれについて比率算出部43によって算出された比率の値に基づいて制御値を調整させる設定指示を光送信装置20へ送信する。これにより、光通信システム10は、スキューを低減させるための制御値を精度よく特定することが可能となる。
また、上記した実施例2において、割合算出部45は、象限特定部451と、割合算出処理部452と、選択部453とを有する。象限特定部451は、抽出部42によって抽出された複数のSP信号のシンボルを用いて、同一の値のビットが変調されたシンボル毎に、SP信号のシンボルのコンスタレーションが最も多く配置されたIQ複素平面内の象限を特定する。割合算出処理部452は、同一の値のビットが変調されたSP信号のシンボル毎に特定された象限に配置されたシンボルの割合を算出する。選択部453は、同一の値のビットが変調されたSP信号のシンボル毎に算出された割合のいずれかを選択する。指示送信部44は、選択部453によって選択された割合の値に基づいて、仮の調整値を特定する。これにより、光通信システム10は、スキューを低減させるための制御値を精度よく特定することが可能となる。
また、上記した実施例2において、指示送信部44は、第3の値ずつ異なる複数の制御値のそれぞれについて割合算出部45によって算出された割合の中で所定の閾値以上の割合を特定する。そして、指示送信部44は、特定された割合に対応する制御値が含まれる範囲内の中央の値に対応する制御値を、仮の調整値として特定する。これにより、指示送信部44は、実際のスキューの値が大きい状態で比率算出部43による比率の算出が開始されることを防止することができる。これにより、光通信システム10は、スキューを低減させるための制御値を精度よく特定することが可能となる。
また、上記した実施例2において、第3の値は、第1の値より大きい。これにより、指示送信部44は、割合算出部45によって算出された割合に基づいて、仮の調整値をより迅速に特定することができる。
また、上記した実施例2において、光信号には、データのシンボルが、連続して送信される2つのSP信号のシンボルの間に少なくとも1つ配置されるように、SP信号のシンボルとデータのシンボルとが時分割で配置される。データのシンボルは、任意のビットパターンのデータにおけるそれぞれのビットの値がI成分およびQ成分の両方を用いて変調されている。これにより、割合算出部45によって算出される割合に、I成分とQ成分との間のスキューの影響をより多く反映させることができる。
実施例1の光通信システム10では、光送信装置20および光受信装置30の運用開始前に、光送信装置20から出力される光信号に含まれるI成分とQ成分との間のスキューが調整された。これに対し、本実施例の光通信システム10では、光送信装置20および光受信装置30の運用中に、比率算出部43によって算出された比率の値が監視される。そして、比率算出部43によって算出された比率の値が、I成分とQ成分との間のスキューが所定値以下となる閾値を越えた場合、制御値の再調整が行われる。これにより、光送信装置20の経年変化または環境変化等により、光送信装置20から出力された光信号のI成分とQ成分との間のスキューが変化する場合でも、スキューを低い状態に保つことが可能となる。
以下では、実施例1と異なる点を中心に説明する。なお、実施例3における光通信システム10の構成は、図1を用いて説明した実施例1の光通信システム10と同様であるため、図示を省略する。
[光送信装置20]
実施例3における光送信装置20の構成は、図2を用いて説明した実施例1の光送信装置20と同様であるため、以下に説明する点を除き、詳細な説明を省略する。
変調部206は、SP信号が配置されるIQ複素平面上の位置と同じ位置に配置されるシンボルを含む変調方式により、DP信号出力部202から出力されたDP信号を変調する。具体的には、SP信号の各シンボルは、図3(a)に示すようにπ/4BPSK方式により変調されており、DP信号の各シンボルは、例えば図20に示すように、QPSK方式により変調されている。図20は、DP信号のシンボルの配置の一例を示す図である。そして、図3(a)に示したSP信号の各シンボル50の位置と、図20に示したDP信号の各シンボル54−1の位置は、IQ複素平面において同一の位置となっている。
なお、SP信号の各シンボルは、図3(b)に示す位置に各シンボル50がπ/4BPSK方式により変調されていてもよい。この場合においても、図3(b)に示したSP信号の各シンボル50の位置と、図20に示したDP信号の各シンボル54−2の位置は、IQ複素平面において同一の位置となる。
このように、SP信号が、DP信号と同一のシンボル位置にマッピングされる変調方式により変調されることにより、光受信装置30の等化処理部303は、SP信号をDP信号のコンスタレーションの一部として用いることができる。これにより、等化処理部303は、DP信号だけでなくSP信号も用いて同期信号検出部302から出力された各シンボルの線形歪みを補償することができる。これにより、等化処理部303は、光信号の伝搬路の特性の変動に追従して、各シンボルの線形歪みを精度よく補償することができる。
信号切替部208は、偏波毎に、例えば図21に示すシンボル系列を生成する。図21は、実施例3における各シンボルのタイミングの一例を示す図である。なお、図21は、1つの偏波に対して出力された各シンボルのタイミングを示している。図21に示した例において、「DP」は、SP信号のシンボルに対応するI成分およびQ成分の信号が出力されるタイミングを示す。本実施例では、DP信号のシンボルが、例えば10シンボルおきに送信される。また、SP信号のシンボルは、同期信号のシンボルの後に、例えば10シンボルおきに送信される。また、連続して送信される2つのSP信号のシンボルの間には、データのシンボルとDP信号のシンボルとが配置される。なお、連続して送信される2つのSP信号のシンボルの間に配置されるデータのシンボルおよびDP信号のシンボルの数は、1つ以上であれば任意の数であってよい。
スキュー制御部212は、光送信装置20の運用が開始された後、通信網13を介して光受信装置30から送信される第4の変更指示を待ち受ける。第4の変更指示には、第4の調整範囲ΔR4および第4のステップサイズΔS4が含まれる。本実施例における第4の調整範囲ΔR4の値は、第2の調整範囲ΔR2の値と同程度、または、第2の調整範囲ΔR2の値よりも小さい。また、本実施例における第4のステップサイズΔS4の値は、第2のステップサイズΔS2の値と同程度、または、第2のステップサイズΔS2の値よりも小さい。第4のステップサイズΔS4は、第4の値の一例である。
光受信装置30から第4の変更指示を受信した場合、スキュー制御部212は、各偏波について、以下の処理を行う。即ち、スキュー制御部212は、受信した第4の変更指示から、第4の調整範囲ΔR4および第4のステップサイズΔS4を取得する。そして、スキュー制御部212は、運用開始前のスキューの調整において設定された調整値Saを初期値S0に設定する。そして、スキュー制御部212は、初期値S0から第4の調整範囲ΔR4を引いた値の制御値をスキュー設定部209に設定させる。そして、スキュー制御部212は、所定数(例えば1000個)のSP信号のシンボルが送信される都度、スキューの制御値を、第4のステップサイズΔS4分増加させる。そして、制御値が初期値S0に第4の調整範囲ΔR4を加えた値より大きくなった場合、スキュー制御部212は、光受信装置30から設定指示を待ち受ける。
通信網13を介して光受信装置30から設定指示を受信した場合、スキュー制御部212は、受信した設定指示から、新たな調整値Saを取得する。そして、スキュー制御部212は、取得した調整値Saをスキュー設定部209に設定させる。そして、スキュー制御部212は、再び第4の変更指示を待ち受ける。
[光受信装置30]
図22は、実施例3における光受信装置30の一例を示すブロック図である。なお、以下に説明する点を除き、図22において、図5と同じ符号を付したブロックは、図5におけるブロックと同一または同様の機能を有するため説明を省略する。本実施例において、それぞれの調整処理部40は、さらに格納部46を有する。
格納部46には、光送信装置20および光受信装置30の運用中において、比率算出部43によって算出された比率と比較される閾値が格納される。閾値は、スキューが許容範囲内の値となる比率の値よりも低い値に設定される。図23は、閾値の一例を説明する図である。例えば、スキューの値の許容範囲が±2ピコ秒以内である場合、例えば図23の例では、比率算出部43によって算出される比率は、例えば2.6以下となる。そのため、格納部46に格納される閾値は、2.6よりも低い値、例えば2.0に設定される。格納部46に格納される閾値は、例えば光通信システム10の管理者等により予め格納部46内に格納される。
光受信装置30が運用を開始した後、指示送信部44は、比率算出部43によって算出された比率の値が、格納部46に格納されている閾値以上か否かを監視する。比率算出部43によって算出された比率の値が、格納部46に格納されている閾値以上となった場合、指示送信部44は、第4の調整範囲ΔR4および第4のステップサイズΔS4を含む第4の変更指示を作成する。そして、指示送信部44は、作成した第4の変更指示を通信網13を介して光送信装置20へ送信する。
そして、指示送信部44は、所定数(例えば1000個)のSP信号のシンボルを用いて比率算出部43によって算出された比率を比率算出部43から取得する。そして、指示送信部44は、取得された比率を、運用開始前に調整された調整値Saから第4の調整範囲ΔR4を引いた値の制御値に対応付けて保持する。そして、指示送信部44は、比率算出部43から所定数のSP信号のシンボルを用いて算出された比率を取得する都度、取得した比率を、第4のステップサイズΔS4分増加させた制御値に対応付けて保持する。
そして、制御値が調整値Saに第4の調整範囲ΔR4を加えた値より大きくなった場合、指示送信部44は、保持された比率の中で最小の比率を特定する。そして、指示送信部44は、特定された比率に対応付けられている制御値を、新たな調整値Saとして特定する。そして、指示送信部44は、特定された新たな調整値Saを含む設定指示を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する。そして、指示送信部44は、再び、比率算出部43によって算出された比率の値が、格納部46に格納されている閾値以上か否かを監視する。
[光送信装置20の動作]
図24は、実施例3における光送信装置20の動作の一例を示すフローチャートである。光送信装置20は、例えば運用開始前に図10に示した処理を実行した後に、本フローチャートに示す動作を開始する。なお、図10に示した処理の実行後は、スキュー設定部209には、調整値Saが設定されている。
まず、スキュー制御部212は、図10に示した処理によって設定された調整値Saを初期値S0に設定する(S300)。そして、光送信装置20は、送信処理を実行する(S301)。ステップS301では、変調部204によってSP信号のシンボルが生成され、変調部205によって同期信号のシンボルが生成され、変調部206によってDP信号のシンボルが生成され、変調部207によってデータのシンボルが生成される。そして、信号切替部208によって、変調部204から出力されたSP信号のシンボルと、変調部205から出力された同期信号のシンボルと、変調部206から出力されたDP信号のシンボルと、変調部207から出力されたデータのシンボルとが切り替えられる。そして、スキュー設定部209によって、スキュー制御部212から指示された制御値Sに基づいて、信号切替部208から出力された各シンボルのI成分およびQ成分の間のスキューが設定される。そして、スキューが設定されたI成分およびQ成分の電気信号が光信号に変換され送信される。
次に、スキュー制御部212は、通信網13を介して第4の変更指示を受信したか否かを判定する(S302)。第4の変更指示を受信した場合(S302:Yes)、スキュー制御部212は、受信した第4の変更指示に含まれている第4の調整範囲ΔR4および第4のステップサイズΔS4を取得する。
次に、スキュー制御部212は、初期値S0から第4の調整範囲ΔR4を引いた値をスキューの制御値Sとして算出する(S303)。そして、スキュー制御部212は、算出された制御値Sをスキュー設定部209に設定させる。そして、光送信装置20は、送信処理を実行する(S304)。ステップS304の送信処理では、ステップS301に示した送信処理と同様の処理が実行される。
次に、スキュー制御部212は、所定数のSP信号のシンボルが送信されたか否かを判定する(S305)。所定数のSP信号のシンボルが送信されていない場合(S305:No)、光送信装置20は、再びステップS304に示した処理を実行する。一方、所定数のSP信号のシンボルが送信された場合(S305:Yes)、スキュー制御部212は、現在の制御値Sを第4のステップサイズΔS4分増加させる(S306)。そして、スキュー制御部212は、算出された制御値Sが、初期値S0に第4の調整範囲ΔR4を加えた値よりも大きいか否かを判定する(S307)。
制御値Sが、初期値S0に第4の調整範囲ΔR4を加えた値以下である場合(S307:No)、スキュー制御部212は、ステップS306で算出された制御値Sをスキュー設定部209に設定させる。そして、光送信装置20は、再びステップS304に示した処理を実行する。一方、制御値Sが、初期値S0に第4の調整範囲ΔR4を加えた値よりも大きい場合(S307:Yes)、スキュー制御部212は、初期値S0を制御値Sとしてスキュー設定部209に設定させる(S308)。そして、光送信装置20は、再びステップS301に示した処理を実行する。
第4の変更指示を受信していない場合(S302:No)、スキュー制御部212は、通信網13を介して設定指示を受信したか否かを判定する(S309)。設定示を受信していない場合(S309:No)、光送信装置20は、再びステップS301に示した処理を実行する。
一方、設定指示を受信した場合(S309:Yes)、スキュー制御部212は、受信した設定指示に含まれている調整値Saを取得する。そして、スキュー制御部212は、調整値Saを制御値Sおよび初期値S0に設定する(S310)。そして、スキュー制御部212は、制御値Sをスキュー設定部209に設定させる。そして、光送信装置20は、再びステップS301に示した処理を実行する。
[光受信装置30の動作]
図25は、実施例3における光受信装置30の動作の一例を示すフローチャートである。光受信装置30は、例えば運用開始前に図11および図12に示した処理を実行した後に、本フローチャートに示す動作を開始する。なお、図11および図12に示した処理が行われることによって、指示送信部44は、調整値Saを特定している。
まず、光受信装置30は、受信処理を実行する(S400)。ステップS400における受信処理では、図11のステップS202からS207に示した処理と同様の処理が実行される。そして、比率算出処理部433は、所定数のSP信号のシンボルが受信されたか否かを判定する(S401)。所定数のSP信号のシンボルが受信されていない場合(S401:No)、光受信装置30は、再びステップS400に示した処理を実行する。
一方、所定数のSP信号のシンボルが受信された場合(S401:Yes)、比率算出処理部433は、格納部432を参照して、次の処理を実行する。即ち、比率算出処理部433は、IQ複素平面におけるSP信号のシンボルの分布領域において、IQ複素平面の原点から離れる方向における幅と、IQ複素平面の原点を中心とする円の周方向における幅との比率を算出する(S402)。そして、比率算出処理部433は、算出された比率を指示送信部44へ出力する。
次に、指示送信部44は、格納部46に格納されている閾値を取得する。そして、指示送信部44は、比率算出部43によって算出された比率の値が、格納部46から取得した閾値以上か否かを判定する(S403)。比率算出部43によって算出された比率の値が閾値未満である場合(S403:No)、光受信装置30は、再びステップS400に示した処理を実行する。
一方、比率算出部43によって算出された比率の値が閾値以上である場合(S403:Yes)、指示送信部44は、図11および図12に示した処理によって特定された調整値Saから第4の調整範囲ΔR4を引いた値を制御値Sとして算出する(S404)。そして、指示送信部44は、第4の調整範囲ΔR4および第4のステップサイズΔS4を含む第4の変更指示を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する(S405)。
次に、光受信装置30は、受信処理を実行する(S406)。ステップS406における受信処理では、図11のステップS202からS207に示した処理と同様の処理が実行される。そして、比率算出処理部433は、所定数のSP信号のシンボルが受信されたか否かを判定する(S407)。所定数のSP信号のシンボルが受信されていない場合(S407:No)、光受信装置30は、再びステップS406に示した処理を実行する。
一方、所定数のSP信号のシンボルが受信された場合(S407:Yes)、比率算出処理部433は、格納部432を参照して、次の処理を実行する。即ち、比率算出処理部433は、IQ複素平面におけるSP信号のシンボルの分布領域において、IQ複素平面の原点から離れる方向における幅と、IQ複素平面の原点を中心とする円の周方向における幅との比率を算出する(S408)。そして、比率算出処理部433は、算出された比率を指示送信部44へ出力する。
次に、指示送信部44は、比率算出処理部433から出力された比率の値を、制御値Sに対応付けて保持する(S409)。そして、指示送信部44は、制御値Sに第4のステップサイズΔS4を加算する(S410)。そして、指示送信部44は、制御値Sが調整値Saに第4の調整範囲ΔR4を加えた値より大きいか否かを判定する(S411)。制御値Sが調整値Saに第4の調整範囲ΔR4を加えた値以下である場合(S411:No)、光受信装置30は、再びステップS406に示した処理を実行する。
一方、制御値Sが調整値Saに第4の調整範囲ΔR4を加えた値より大きい場合(S411:Yes)、指示送信部44は、保持された比率の値を参照して、最小の比率の値を特定する。そして、指示送信部44は、特定された比率の値に対応付けられている制御値Sを、新たな調整値Saとして特定する(S412)。そして、指示送信部44は、特定された新たな調整値Saを含む設定指示を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する(S413)。そして、光受信装置30は、再びステップS400に示した処理を実行する。
[実施例3の効果]
以上、実施例3について説明した。上記したように、本実施例の指示送信部44は、調整値が光送信装置20に設定された後に、比率算出部43によって算出された比率の値を監視する。そして、比率が所定の閾値以上の値になった場合に、指示送信部44は、変更指示を光送信装置20へ送信することにより、調整値が含まれる調整値の範囲において、第4のステップサイズΔS4の値ずつ異なる複数の制御値を光送信装置20に順次変更させる。そして、指示送信部44は、第4のステップサイズΔS4の値ずつ異なる複数の制御値のそれぞれについて比率算出部43によって算出された比率の中の最小値を特定する。そして、指示送信部44は、特定された比率の最小値に対応する制御値を調整値Saとしてさらに特定する。そして、指示送信部44は、調整値Saを、光送信装置20に設定させることを指示する設定指示を光送信装置20へ送信する。これにより、光送信装置20の運用中において、光送信装置20の経年変化または環境変化等によるスキューの増大を抑制することができる。
また、上記した実施例3における光信号には、データのシンボルと、所定のビットパターンにおけるそれぞれのビットの値がI成分およびQ成分を用いてSP信号とは異なる方式で変調されたDP信号のシンボルとが含まれる。そして、連続して送信される2つのSP信号のシンボルの間に、DP信号のシンボルおよびデータのシンボルが配置されるように、SP信号のシンボルとDP信号のシンボルとデータのシンボルとが時分割で配置される。これにより、光受信装置30は、運用中において、SP信号のシンボルを用いてスキューの再調整が可能となる。
また、上記した実施例3において、DP信号のシンボルは、SP信号のシンボルが配置されるIQ複素平面上の位置と同じ位置に配置されるシンボルを含む変調方式により変調されている。これにより、等化処理部303は、光信号の伝搬路の特性の変動に追従して、各シンボルの線形歪みを精度よく補償することができる。
[ハードウェア]
上記した各実施例における光送信装置20は、例えば図26に示すハードウェアにより実現される。図26は、光送信装置20のハードウェアの一例を示す図である。光送信装置20は、例えば図26に示すように、通信インターフェイス21、メモリ22、プロセッサ23、およびEO変換回路24を有する。
通信インターフェイス21は、通信網13を介して光受信装置30から送信されたデータを受信してプロセッサ23へ出力する。EO変換回路24は、プロセッサ23によって生成された電気信号を偏波毎に光信号に変換し、変換された偏波毎の光信号を合成して、ケーブル12を介して光受信装置30へ送信する。EO変換回路24は、DAC210およびEO変換部211等の機能を実現する。
メモリ22は、例えばRAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)等を備える。メモリ22には、SP信号出力部200、同期信号出力部201、DP信号出力部202、および送信データ出力部203の機能を実現するためのプログラム等が格納される。また、メモリ22には、変調部204、変調部205、変調部206、変調部207、信号切替部208、スキュー設定部209、およびスキュー制御部212の機能を実現するためのプログラム等が格納される。
プロセッサ23は、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはDSP(Digital Signal Processor)等を備える。プロセッサ23は、メモリ22からプログラムを読み出して実行することにより、例えば、SP信号出力部200、同期信号出力部201、DP信号出力部202、および送信データ出力部203の各機能を実現する。また、プロセッサ23は、メモリ22からプログラムを読み出して実行することにより、例えば、変調部204、変調部205、変調部206、変調部207、信号切替部208、スキュー設定部209、およびスキュー制御部212の各機能を実現する。
また、上記した各実施例における光受信装置30は、例えば図27に示すハードウェアにより実現される。図27は、光受信装置30のハードウェアの一例を示す図である。光受信装置30は、例えば図27に示すように、OE変換回路31、メモリ32、プロセッサ33、および通信インターフェイス34を有する。
OE変換回路31は、ケーブル12を介して受信した光信号を偏波毎にI成分の光信号およびQ成分の光信号に分離し、I成分の光信号およびQ成分の光信号を、それぞれ電気信号に変換する。そして、OE変換回路31は、偏波毎のI成分の電気信号およびQ成分の電気信号を、それぞれ、アナログ信号からディジタル信号に変換してプロセッサ33へ出力する。OE変換回路31は、OE変換部300およびADC301の機能を実現する。通信インターフェイス34は、プロセッサ33から出力された信号を、通信網13を介して光送信装置20へ送信する。
メモリ32は、例えばRAMまたはROM等を備える。メモリ32には、同期信号検出部302、等化処理部303、それぞれの受信部304、等化処理部305、およびそれぞれの調整処理部40の機能を実現するためのプログラム等が格納される。
プロセッサ33は、例えばCPU、FPGA、またはDSP等を備える。プロセッサ33は、メモリ32からプログラムを読み出して実行することにより、例えば、同期信号検出部302、等化処理部303、それぞれの受信部304、等化処理部305、およびそれぞれの調整処理部40の各機能を実現する。
なお、メモリ22内のプログラムおよびメモリ32内のプログラムは、必ずしも最初から全てがメモリ22内およびメモリ32内に格納されていなくてもよい。例えば、伝送装置11に挿入されるメモリカードなどの可搬型記録媒体にプログラムが記憶され、プロセッサ23およびプロセッサ33がこのような可搬型記録媒体から処理に用いられる部分のプログラムを取得してそれぞれ実行するようにしてもよい。また、伝送装置11は、プログラムを記憶させた他のコンピュータまたはサーバ装置などから、無線通信回線、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介して、プログラムを取得して実行するようにしてもよい。
[その他]
なお、開示の技術は、上記した実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
例えば、上記した実施例1において、指示送信部44は、第1の変更指示に基づいて制御値が変更された光信号に基づいて仮の調整値Sa’を特定し、第2の変更指示に基づいて制御値が変更された光信号に基づいて調整値Saを特定した。しかし、開示の技術はこれに限られない。例えば、指示送信部44は、第1の変更指示に基づいて制御値が変更された光信号に基づいて調整値Saを特定してもよい。
また、上記した実施例2において、指示送信部44は、第3の変更指示に基づいて制御値が変更された光信号に基づいて仮の調整値Sa”を特定したが、開示の技術はこれに限られない。例えば、指示送信部44は、仮の調整値Sa”を特定した後に、さらに、仮の調整値Sa”を中心とする所定範囲において、より細かく制御値を変更することにより、仮の調整値Sa”を再度特定し直してもよい。これにより、仮の調整値Sa”の精度を向上させることができる。
また、上記した実施例1において、指示送信部44は、比率算出部43によって算出された比率に基づいて、仮の調整値Sa’および調整値Saを特定し、特定された仮の調整値Sa’および調整値Saを光送信装置20に送信したが、開示の技術はこれに限られない。例えば、指示送信部44は、第1の変更指示または第2の変更指示に応じて変更された制御値毎に算出された比率を、光送信装置20へ送信し、スキュー制御部212が、受信した比率に基づいて、仮の調整値Sa’および調整値Saを特定してもよい。また、上記した実施例2においても、指示送信部44は、第3の変更指示に応じて変更された制御値毎に算出された割合を、光送信装置20へ送信し、スキュー制御部212が、受信した割合に基づいて、仮の調整値Sa”を特定してもよい。また、上記した実施例3においても、指示送信部44は、第4の変更指示に応じて変更された制御値毎に算出された比率を、光送信装置20へ送信し、スキュー制御部212が、受信した比率に基づいて、新たな調整値Saを特定してもよい。
また、上記した各実施例において、光送信装置20および光受信装置30が有するそれぞれの処理ブロックは、各実施例における光送信装置20および光受信装置30の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて機能別に区分したものである。そのため、処理ブロックの区分方法やその名称によって、開示の技術が制限されることはない。また、上記した各実施例における光送信装置20および光受信装置30がそれぞれ有する各処理ブロックは、処理内容に応じてさらに多くの処理ブロックに細分化することもできるし、複数の処理ブロックを1つの処理ブロックに統合することもできる。また、それぞれの処理ブロックによって実行される処理は、ソフトウェアによる処理として実現されてもよく、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアにより実現されてもよい。
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)光送信装置によって、所定のビットパターンにおけるそれぞれのビットの値が、IQ複素平面におけるBPSK方式により変調された第1のパイロットシンボルを複数含む光信号を受信し、受信された前記光信号を電気信号に変換する変換部と、
前記電気信号の振幅の変動を抑制する抑制処理を行う抑制処理部と、
前記抑制処理が行われた電気信号から複数の前記第1のパイロットシンボルを抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された複数の前記第1のパイロットシンボルの振幅成分と位相成分との比率を算出する比率算出部と、
異なる複数のスキューの制御値のそれぞれについて前記比率算出部によって算出された前記振幅成分と位相成分との比率に基づくスキュー調整に関する情報を前記光送信装置へ送信する指示送信部と
を有することを特徴とする光受信装置。
(付記2)前記指示送信部は、
前記比率算出部によって算出された前記振幅成分と位相成分との比率の中で最小の比率に対応する前記制御値を特定し、特定された前記制御値を前記スキュー調整に関する情報として前記光送信装置へ送信することを特徴とする付記1に記載の光受信装置。
(付記3)前記指示送信部は、
変更指示を前記光送信装置へ送信することにより、第1の値ずつ異なる複数の前記制御値を前記光送信装置に順次変更させ、前記比率算出部によって算出された前記比率の中で最小の比率に対応する前記制御値を仮のスキュー調整に関する情報として特定し、特定された前記仮のスキュー調整に関する情報に対応する制御値が含まれる範囲において、前記第1の値よりも小さい第2の値ずつ異なる複数の前記制御値を前記光送信装置にさらに順次変更させ、
前記第2の値ずつ異なる複数の前記制御値のそれぞれについて前記比率算出部によって算出された前記比率の中で最小の比率に対応する前記制御値を前記スキュー調整に関する情報として前記光送信装置へ送信することを特徴とする付記2に記載の光受信装置。
(付記4)前記指示送信部は、
前記スキュー調整に関する情報に対応する制御値が前記光送信装置に設定された後に、前記比率算出部によって算出された前記比率の値を監視し、前記比率が第1の閾値以上の値になった場合に、前記変更指示を前記光送信装置へ送信することにより、前記スキュー調整に関する情報に対応する制御値が含まれる範囲において、第4の値ずつ異なる複数の前記制御値を前記光送信装置に順次変更させ、
前記第4の値ずつ異なる複数の前記制御値のそれぞれについて前記比率算出部によって算出された前記比率の中の最小の比率に対応する前記制御値を特定し、特定された前記制御値を新たなスキュー調整に関する情報として特定し、特定された前記新たなスキュー調整に関する情報を前記光送信装置へ送信することを特徴とする付記3に記載の光受信装置。
(付記5)それぞれの前記第1のパイロットシンボルは、前記ビットパターンに含まれるそれぞれのビットの値がπ/4PSK方式により変調されており、
前記比率算出部は、
それぞれの前記第1のパイロットシンボルのI成分およびQ成分の振幅の絶対値を算出する絶対値算出部と、
前記絶対値算出部により算出された前記絶対値に対応するコンスタレーションを、前記IQ複素平面の原点を中心として+π/4または−π/4の方向へ回転させる回転部と、
前記回転部によって回転させられたコンスタレーションの分布領域において、前記IQ複素平面の原点を中心とする円の径方向における幅に対する、前記円の周方向における幅を前記比率として算出する比率算出処理部と
を有することを特徴とする付記1から4のいずれか一つに記載の光受信装置。
(付記6)前記抽出部によって抽出された複数の前記第1のパイロットシンボルのコンスタレーションの前記IQ複素平面上の位置に基づいて、同一の値のビットが変調された前記第1のパイロットシンボル毎に、当該第1のパイロットシンボルが最も多く出現する前記IQ複素平面の象限を特定し、特定された前記象限に出現する前記第1のパイロットシンボルの割合を算出する割合算出部をさらに有し、
前記指示送信部は、
変更指示を前記光送信装置へ送信することにより、第3の値ずつ異なる複数の前記制御値を前記光送信装置に順次変更させ、前記第3の値ずつ異なる複数の前記制御値のそれぞれについて前記割合算出部によって算出された前記割合の値に基づいて、仮のスキュー調整に関する情報を特定し、特定された前記仮のスキュー調整に関する情報に対応する制御値が含まれる範囲において、異なる複数の前記制御値のそれぞれについて前記比率算出部によって算出された前記比率の値に基づいて特定された前記制御値を前記スキュー調整に関する情報として前記光送信装置へ送信することを特徴とする付記1から5のいずれか一つに記載の光受信装置。
(付記7)前記割合算出部は、
前記抽出部によって抽出された複数の前記第1のパイロットシンボルを用いて、同一の値のビットが変調された前記第1のパイロットシンボル毎に、前記第1のパイロットシンボルのコンスタレーションが最も多く配置されたIQ複素平面内の象限を特定する象限特定部と、
同一の値のビットが変調された前記第1のパイロットシンボル毎に特定された前記象限に配置された前記第1のパイロットシンボルの割合を算出する割合算出処理部と、
同一の値のビットが変調された前記第1のパイロットシンボル毎に算出された前記割合のいずれかを選択する選択部と
を有し、
前記指示送信部は、
前記選択部によって選択された前記割合の値に基づいて、前記仮のスキュー調整に関する情報を特定することを特徴とする付記6に記載の光受信装置。
(付記8)前記指示送信部は、
前記第3の値ずつ異なる複数の前記制御値のそれぞれについて前記割合算出部によって算出された前記割合の中で所定の閾値以上の割合を特定し、特定された割合に対応する前記制御値が含まれる範囲内の中央の値に対応する前記制御値を、前記仮のスキュー調整に関する情報として特定することを特徴とする付記6または7に記載の光受信装置。
(付記9)前記第3の値は、前記第1の値より大きいことを特徴とする付記6から8のいずれか一つに記載の光受信装置。
(付記10)前記光信号には、
前記第1のパイロットシンボルの開始タイミングを示す同期信号が含まれ、
前記抽出部は、
前記同期信号を基準として、前記抑制処理が行われた電気信号から複数の前記第1のパイロットシンボルを抽出することを特徴とする付記1から9のいずれか一つに記載の光受信装置。
(付記11)前記光信号には、
任意のビットパターンのデータにおけるそれぞれのビットの値がI成分およびQ成分の両方を用いて変調されたデータのシンボルが、連続して送信される2つの前記第1のパイロットシンボルの間に少なくとも1つ配置されるように、前記第1のパイロットシンボルと前記データのシンボルとが時分割で配置されることを特徴とする付記1から10のいずれか一つに記載の光受信装置。
(付記12)前記光信号には、
前記データのシンボルと、所定のビットパターンにおけるそれぞれのビットの値が前記I成分および前記Q成分を用いて前記第1のパイロットシンボルとは異なる方式で変調された第2のパイロットシンボルとが含まれ、連続して送信される2つの前記第1のパイロットシンボルの間に、前記第2のパイロットシンボルおよび前記データのシンボルが配置されるように、前記第1のパイロットシンボルと前記第2のパイロットシンボルと前記データのシンボルとが時分割で配置されることを特徴とする付記11に記載の光受信装置。
(付記13)前記第2のパイロットシンボルは、前記第1のパイロットシンボルが配置されるIQ複素平面上の位置と同じ位置に配置されるシンボルを含む変調方式により変調されていることを特徴とする付記12に記載の光受信装置。
(付記14)所定のビットパターンにおけるそれぞれのビットの値が、IQ複素平面におけるBPSK方式により変調されたパイロットシンボルを出力する出力部と、
スキュー調整に関する情報に基づいて前記パイロットシンボルのI成分およびQ成分の間のスキューを制御する制御部と、
前記制御部によって前記スキューが制御された前記I成分および前記Q成分の電気信号を光信号に変換して送信する送信部と
を有し、
前記制御部は、
光受信装置から前記スキュー調整に関する情報を受信した場合に、前記光受信装置において受信された前記光信号に含まれる前記パイロットシンボルが電気信号に変換された後に前記電気信号の振幅の変動を抑制する抑制処理が行われ、前記抑制処理が行われた電気信号から抽出された前記パイロットシンボルの振幅成分と位相成分との比率であって、異なる複数の制御値のそれぞれについて算出された前記比率に基づいて特定された制御値に基づいて前記パイロットシンボルの前記I成分および前記Q成分の間のスキューを制御することを特徴とする光送信装置。
(付記15)光送信装置と、
前記光送信装置から送信された光信号を受信する光受信装置と
を有する光通信システムにおいて、
前記光送信装置は、
所定のビットパターンにおけるそれぞれのビットの値が、IQ複素平面におけるBPSK方式により変調されたパイロットシンボルを出力する出力部と、
スキュー調整に関する情報に基づいて前記パイロットシンボルのI成分およびQ成分の間のスキューを制御する制御部と、
前記制御部によって前記スキューが制御された前記I成分および前記Q成分の電気信号を光信号に変換して送信する送信部と
を有し、
前記光受信装置は、
前記光送信装置から送信された前記光信号を受信し、受信された前記光信号を電気信号に変換する変換部と、
前記電気信号の振幅の変動を抑制する抑制処理を行う抑制処理部と、
前記抑制処理が行われた電気信号から複数の前記パイロットシンボルを抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された複数の前記パイロットシンボルの振幅成分と位相成分との比率を算出する比率算出部と、
異なる複数の制御値のそれぞれについて前記振幅成分と位相成分との比率に基づく前記スキュー調整に関する情報を前記光送信装置へ送信する指示送信部と
を有することを特徴とする光通信システム。
(付記16)I成分変調部およびQ成分変調部を備える光送信装置と、前記光送信装置から送信された光信号を受信する光受信装置とを有する光通信システムにおけるI成分およびQ成分のスキュー調整方法において、
前記光送信装置は、
所定のビットパターンにおけるそれぞれのビットの値が、IQ複素平面におけるBPSK方式により変調されたパイロットシンボルを光信号に変換して送信する処理を実行し、
前記光受信装置は、
前記光送信装置から送信された前記光信号を受信し、受信された前記光信号を電気信号に変換し、
前記電気信号の振幅の変動を抑制する抑制処理を行い、
前記抑制処理が行われた電気信号から複数の前記パイロットシンボルを抽出し、
抽出された複数の前記パイロットシンボルの振幅成分と位相成分との比率を算出し、
異なる複数の制御値のそれぞれについて算出された前記振幅成分と位相成分との比率に基づいてI成分およびQ成分のスキューを調整する
処理を実行することを特徴とするI成分およびQ成分のスキュー調整方法。