JP6248772B2 - 通信システム、受信装置および半導体装置 - Google Patents

通信システム、受信装置および半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、通信システム、受信装置および半導体装置に関する。
従来、位相補償の変化量が閾値を超えることによりスリップの発生が検出された場合に、位相補償の変化量から求めた位相の補正量を、位相偏差が補償された信号の位相に加算することによってスリップによる位相変化分を補正する回路がある(例えば、下記特許文献1参照。)。また、光信号に周期的に挿入される同期バーストと、連続する同期バースト間に既知のビットまたは符号といった既知信号を埋め込み、受信側で既知信号によるサイクルスリップの検出と修正を行う方法がある(例えば、下記特許文献2参照。)。
国際公開第2012/132103号 国際公開第2010/063092号
しかしながら、従来技術では、例えば受信側における位相スリップを補償するための既知信号を送信信号に含ませると、データの伝送容量が低下するという問題がある。
1つの側面では、本発明は、データの伝送容量の低下を抑えることを目的とする。
本発明の一側面によれば、コンスタレーション上の複数のシンボル座標と、前記複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標であって、平均座標が原点とは異なる座標となる複数の軌跡座標と、に基づいて信号を送信する送信装置から受信した前記信号におけるコンスタレーション上の複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標を累積し、累積した前記複数の軌跡座標の平均座標と、前記異なる座標と、の相違を示す値に基づいて、前記送信装置から受信した前記信号の位相を推定する、通信システム、受信装置および半導体装置、が提案される。
本発明の一態様によれば、データの伝送容量の低下を抑えることができる。
図1Aは、実施の形態にかかる通信システムの機能的構成の一例を示すブロック図である。 図1Bは、QPSKにおける位相スリップの一例を示す説明図である。 図2は、送信装置の一例を示す説明図である。 図3は、受信装置の一例を示す説明図である。 図4は、信号のサンプリングの一例を示す説明図である。 図5は、軌跡座標の平均座標の一例を示す説明図である。 図6は、位相スリップの補償動作の一例を示す説明図である。 図7は、軌跡座標の平均座標を原点とは異なる座標とした場合のアイパターンおよびコンスタレーションの一例を示す説明図である。 図8は、フィルタリング部の詳細構成を示す説明図である。 図9は、ナイキストフィルタの構成の一例を示すブロック図である。 図10Aは、フィルタ段数が31段の場合の波形の一例を示す説明図である。 図10Bは、フィルタ段数が11段の場合の波形の一例を示す説明図である。 図10Cは、フィルタ段数が3段の場合の波形の一例を示す説明図である。 図11Aは、フィルタ段数が31段の場合の波形の周波数成分の一例を示す説明図である。 図11Bは、フィルタ段数が11段の場合の波形の周波数成分の一例を示す説明図である。 図11Cは、フィルタ段数が3段の場合の波形の周波数成分の一例を示す説明図である。 図12は、送信装置が行う送信処理の一例を示すフローチャートである。 図13は、受信装置が行う受信処理の一例を示すフローチャートである。 図14は、送信装置が行うナイキストフィルタを交互に切替える手順の一例を示す説明図である。 図15は、受信装置が行う位相推定方向の補正の一例を示す説明図である。 図16は、特定の方向に歪んでいる場合の位相推定方向の補正の一例を示す説明図である。 図17は、送信装置が行うフィルタ段数の切替えを行う際の送信処理の一例を示すフローチャートである。 図18は、受信装置が行う位相推定方向を補正する処理の一例を示すフローチャートである。 図19は、パイロット信号を用いて位相推定する場合の一例を示す説明図である。
以下に図面を参照して、開示技術の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
(通信システムの機能的構成)
図1Aは、実施の形態にかかる通信システムの機能的構成の一例を示すブロック図である。図1Aに示すように、通信システム100は、送信装置110と、受信装置120と、を有する。送信装置110は、コンスタレーション上における複数のシンボル座標間の軌跡座標の平均座標を原点とは異なる座標にし、シンボル座標および軌跡座標に基づく信号を受信装置120へ送信する。
具体的には、送信装置110は、コンスタレーション上の複数のシンボル座標と、複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標と、に基づいて信号を送信する。複数の軌跡座標の平均座標は、I軸およびQ軸の直交座標である原点とは異なる座標である。コンスタレーションは、複素平面を示す図であり、具体的には、横軸がI(In−phase component)成分、縦軸がQ(Quadrature component)成分を示す図である。コンスタレーション上に配置されるシンボルは、原点を中心にして、信号の振幅と位相を示す。原点からの距離が振幅を示し、原点からの角度が位相を示す。
軌跡座標は、例えば、オーバサンプリングによって得られる座標であり、コンスタレーション上におけるシンボル座標間の座標である。軌跡座標は、例えば、シンボル座標間の中点の座標であるが、これに限らず、中点以外の座標としてもよい。また、軌跡座標の数は、1つとするが、これに限らず、複数としてもよい。平均座標は、複数の軌跡座標の平均であり、例えば複数の軌跡座標の重心座標である。本実施の形態においては、複数の軌跡座標の平均座標が原点とは異なる座標となるようにする。なお、複数の軌跡座標の平均座標までの原点からの方向を位相基準方向という。
送信する信号は、少なくとも位相変調を含む変調により生成された信号であり、振幅変調を含む信号でもよい。送信する信号は、具体的には、位相偏移変調や直角位相振幅変調によって変調される信号である。位相偏移変調は、例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)である。直角位相振幅変調は、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)である。
受信装置120は、例えば、送信装置110から受信した信号におけるコンスタレーション上の軌跡座標の平均座標に基づく偏りの方向が予め定められる位相基準方向となるように、シンボル座標を補正する。本実施の形態において、軌跡座標の平均座標に基づく偏りの原点からの方向を位相推定方向という。位相基準方向は、送信装置110と受信装置120とで共有されている。そのため、受信装置120は、送信装置110から受信した信号における軌跡座標の平均座標から得られる位相推定方向を、送信装置110との間で共有する位相基準方向と同一方向となるようにシンボル座標を補正する。
具体的に説明すると、受信装置120は、受信部121と、半導体装置130とを有する。半導体装置130は、累積部122と、推定部123と、を有する。受信部121は、送信装置110から信号を受信する。累積部122は、受信部121によって受信された信号における複数の軌跡座標を累積する。複数の軌跡座標は、コンスタレーション上の複数のシンボル座標のそれぞれの間の座標である。累積とは、例えば、現在から過去の一定期間または一定量遡った信号について、軌跡座標の平均を得るために記憶することである。累積部122は、受信部121によって受信された信号における複数のシンボル座標についても累積する。
推定部123は、累積部122によって累積された複数の軌跡座標の平均座標と、送信装置110における複数の軌跡座標の平均座標と、の相違を示す値に基づいて、送信装置110から受信した信号の位相を推定する。以下において、累積部122によって累積された複数の軌跡座標の平均座標を「受信側平均座標」といい、送信装置110における複数の軌跡座標の平均座標を、「送信側平均座標」という。原点から受信側平均座標までの方向が位相推定方向であり、また、原点から送信側平均座標までの方向が位相基準方向である。
受信側平均座標と送信側平均座標との相違を示す値は、例えば、受信側平均座標と送信側平均座標との比較結果に基づく値であり、それぞれの原点を基準とした角度や方向(ベクトル)などで表すことができる。また、受信側平均座標と送信側平均座標との相違を示す値は、累積部122によって累積された複数の軌跡座標の所定領域毎の平均座標の比較結果に基づく値としてもよい。
所定領域毎とは、例えば象限毎である。所定領域毎の平均座標の比較結果に基づく値とは、例えば、第1〜4象限毎の各平均座標の比較から得られる、各平均座標までのそれぞれの距離が最大または最小となる象限を示す値である。つまり、受信装置120は、第1〜4象限毎の各平均座標のうちの原点からの距離が最大または最小となる象限を特定することにより、位相推定方向を得るようにしてもよい。
推定部123は、例えば、相違を示す値が180°の相違を示す値であるとすると、コンスタレーション上の原点を中心に、累積された複数のシンボル座標をそれぞれ180°回転させることにより、送信装置110から受信した信号の位相を推定できる。なお、シンボル座標を回転させることに限らず、座標軸を回転させてもよい。
推定部123による位相の推定においては、推定部123が有する位相推定回路が、受信側平均座標と送信側平均座標との相違を示す値に基づいて信号における位相回転量を推定し、推定した位相回転量と累積したシンボル座標とに基づいて信号の位相を推定する。また、推定部123による位相の推定においては、累積したシンボル座標に基づいて受信装置120が有する位相推定回路によって推定された信号の位相を、受信側平均座標と送信側平均座標との相違を示す値により推定部123が補正することとしてもよい。
また、誤差等により信号が歪む結果、コンスタレーション上における座標の基準点となる原点がずれることがある。これを補正するために、累積部122は、送信装置110から受信した信号におけるコンスタレーション上の複数のシンボル座標を累積する。
この場合、推定部123は、累積部122によって累積された複数のシンボル座標の平均座標に基づいて、受信側平均座標および送信側平均座標のうちの少なくともいずれか一方を補正する。推定部123によって累積された複数のシンボル座標の平均座標は、例えば、シンボル座標に歪みがない場合には原点と一致し、歪みがある場合には歪みに応じた分だけ原点からずれる。
推定部123は、少なくともいずれか一方を補正した受信側平均座標と送信側平均座標との比較結果に基づく値(相違を示す値)に基づいて、送信装置110から受信した信号の位相を推定する。言い換えると、この場合の相違を示す値は、推定部123によって少なくともいずれか一方が補正された、受信側平均座標と、送信側平均座標と、の比較結果に基づく値である。
例えば、推定部123は、累積部122によって累積された複数のシンボル座標の平均座標に基づいて、受信側平均座標のみを補正する。具体的には、推定部123は、累積部122によって累積された複数のシンボル座標の平均座標と、受信側平均座標と、の差分に応じて、受信側平均座標のみを補正する。これにより、座標の基準点の歪みを排除することができる。なお、受信側平均座標のみを補正することに限らず、送信側平均座標を補正してもよいし、受信側平均座標および送信側平均座標の両方を補正してもよい。
また、誤差等により信号が歪む結果、軌跡座標に歪みが生じることがある。これを補正するために、送信装置110は、第1信号と第2信号とを切替えながら送信する。第1信号は、コンスタレーション上の平均座標が原点と異なる第1座標となる複数の軌跡座標(以下、「第1軌跡座標群」と称する。)に基づく信号である。第2信号は、コンスタレーション上の平均座標が原点および第1座標と異なる第2座標となる第2軌跡座標群に基づく信号である。
この場合、相違を示す値は、第3軌跡座標群と、第4軌跡座標群と、第1座標および第2座標の相違と、に基づく値とすることができる。第3軌跡座標群は、送信装置110から受信した第1信号における複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標である。第4軌跡座標群は、送信装置110から受信した第2信号における複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標である。
具体的には、相違を示す値は、第1座標および第2座標の相違に基づいて少なくともいずれか一方が補正された第3軌跡座標群および第4軌跡座標群の平均座標と、送信側平均座標と、の相違を示す値である。第3軌跡座標群および第4軌跡座標群の平均座標のうち、例えば、第4軌跡座標群の平均座標のみが補正される。例えば、第1座標および第2座標の相違が180°であるとする。
推定部123は、第1座標および第2座標の相違(180°)分、第4軌跡座標群の平均座標のみを180°回転させることによって補正して、補正した第4軌跡座標群の平均座標と第3軌跡座標群の平均座標との平均を算出することによって補正する。なお、第4軌跡座標群のみを補正することに限らず、第3軌跡座標群のみを補正、または両方の軌跡座標群を補正して、第1座標および第2座標の相違に基づく補正を行ってもよい。これにより、軌跡座標の歪みを排除することができる。
推定部123は、少なくともいずれか一方を補正した第3軌跡座標群および第4軌跡座標群の平均座標と、送信側平均座標と、の相違を示す値に基づいて、送信装置110から受信した信号の位相を推定する。つまり、推定部123は、歪みが排除された第3軌跡座標群および第4軌跡座標群の平均座標と、送信側平均座標と、の相違を示す値に基づいて信号の位相を推定する。これにより、軌跡座標の歪みを排除して位相を推定することができる。
ここで、QPSKにおける位相スリップについて説明する。図1Bは、QPSKにおける位相スリップの一例を示す説明図である。図1Bにおいて、横軸はI成分、縦軸はQ成分を示している。図1Bに示すように、各シンボルは、45°(=00),135°(=01),225°(=11),315°(=10),のいずれかの位置に配置されており、それぞれ2ビット(4値)で表される。
送信装置110において、例えば、45°の位置にシンボル151を、135°の位置にシンボル152を、225°の位置にシンボル153を、315°の位置にシンボル154を、配置して、伝送路上に信号を送信したとする。伝送路上において、各シンボル151〜154は回転する。
そして、受信装置120が信号を受信すると、各シンボル151〜154の位置がずれる。例えば、図1Bに示すように、受信装置120では、各シンボル151〜154が、送信装置110の送信時の配置と比較して180°ずれる位相スリップが生じる。なお、QPSKの位相スリップにおいてずれる角度は、90°,180°,270°のいずれかである。360°ずれた場合は、0°の場合と位相が一致するため、位相のずれはなくなる。
このような位相スリップを抑えるため、本実施の形態では、送信側でシンボル間の軌跡座標の平均を原点と相違させ、受信側で軌跡座標の平均を推定する。このため、受信側における位相スリップを補償するための既知信号のパイロット信号(図19参照)を送信信号に含ませなくても、受信側において位相スリップを判定可能にし、データの伝送容量の低下を抑えつつ精度よく位相を推定する。
(送信装置の一例)
図2は、送信装置の一例を示す説明図である。図2に示すように、送信装置110は、送信DSP(Digital Signal Processor)201と、DAC(Digital to Analog Converter)202と、ドライバアンプ203と、光変調器204と、送信光源205と、を有する。
送信DSP201は、デジタル信号処理回路であり、送信用のデジタルの電気信号を生成して複数(例えば4つ)のDAC202(202a,202b,202c,202d)へ出力する。送信DSP201は、トレーニング符号挿入部211と、シンボルマッピング部212と、オーバサンプリング部213と、送信スペクトル整形部214と、リニアライザ215と、イコライザ216と、を有する。
トレーニング符号挿入部211は、フレームの同期処理や分散補償を行うための情報を抽出する処理を行い、これらの処理を行った信号をシンボルマッピング部212へ出力する。シンボルマッピング部212は、コンスタレーション上においてシンボルマッピングを行うためのシンボルの位置(シンボル座標)を生成する。シンボルマッピング部212は、例えば、コンスタレーションが正方形となる座標位置にシンボル座標を生成する。
シンボルマッピング部212は、生成したシンボル座標に基づく信号をオーバサンプリング部213へ出力する。オーバサンプリング部213は、シンボルマッピング部212から入力した信号を、送信のスペクトル制御を行うために2倍周期に変換する。オーバサンプリング部213は、2倍周期に変換した信号を送信スペクトル整形部214へ出力する。
送信スペクトル整形部214は、オーバサンプリング部213から出力された信号を、フィルタリングすることによって送信スペクトルを整形し、リニアライザ215へ出力する。送信スペクトル整形部214は、フィルタリング部221を有する。フィルタリング部221は、オーバサンプリング部213によって2倍周期に変換された信号のうち、シンボル間の軌跡座標(オーバサンプリング点)の平均座標を基準座標とは異なる座標とすることにより、シンボル間の軌跡に非対称性をもたせる。基準座標は、I軸およびQ軸の直交座標(原点)、またはシンボル座標の平均座標である。
送信スペクトル整形部214は、特性の異なる2つの、2倍オーバーサンプルのレートで動作するFIR(Finite Impulse Response)フィルタが並列に配置されている。それぞれのFIRフィルタには、主信号のシンボルの座標に応じた信号が入力される。各FIRフィルタは、ベースバンド信号を波形整形して、異なる帯域制限を掛けることができるフィルタであり、それぞれタップ数(フィルタ段数)が異なる。
送信スペクトル整形部214は、各信号のうちのプラス成分とマイナス成分とをそれぞれ異なるフィルタ段数のフィルタを通過させて加算することにより、軌跡座標の平均座標を位相基準方向に配置させる。これにより、伝送路206における各シンボル座標の回転に応じて軌跡座標の平均座標も同様に回転し、すなわち、位相基準方向も同様に回転する。なお、受信装置120においては、位相推定方向を検出して位相基準方向と比較することによって、シンボル座標の位相を補償することができる。送信スペクトル整形部214は、ナイキストフィルタやガウスフィルタなどを用いることができる。
リニアライザ215は、例えば、送信スペクトル整形部214から出力された信号のレベル的な歪みを直線に修正してイコライザ216へ出力する。イコライザ216は、例えば、ハードウェアの歪みによる高速信号のなまりを補正し、補正した信号をDAC202へ出力する。
DAC202は、複数(例えば4つ)設けられており、それぞれ、送信DSP201から出力されたデジタルの電気信号をアナログの電気信号に変換する。DAC202(202a,202b,202c,202d)は、変換した電気信号を対応するドライバアンプ203(203a,203b,203c,203d)へ出力する。
ドライバアンプ203は、DAC202に対応して複数設けられ、それぞれ、DAC202から出力された信号を増幅し、光変調器204へ出力する。光変調器204は、送信光源205からの光を用いて、ドライバアンプ203から出力された信号を変調して、光信号を生成する。光変調器204は、生成した光信号を伝送路206へ出力する。
(受信装置の一例)
図3は、受信装置の一例を示す説明図である。図3に示すように、受信装置120は、局発光源301と、光ハイブリッド302と、ADC303(303a,303b,303c,303d)(ADC:Analog to Digital Converter)と、受信DSP304と、を備えている。
受信装置120は、光ハイブリッド302を用いたコヒーレント方式の光受信装置である。局発光源301は、局発光を生成し、生成した局発光を光ハイブリッド302へ出力する。光ハイブリッド302には、伝送路206(送信装置110)からの受信光信号と、局発光源301からの局発光と、が入力される。光ハイブリッド302は、入力された局発光を用いて、入力された受信光信号の2つの直交偏波の実部信号および虚部信号を抽出する。
具体的には、光ハイブリッド302は、不図示の2つの偏光ビームスプリッタおよび2つの90°ハイブリッドを有する。光ハイブリッド302は、偏光ビームスプリッタにより受信光信号および局発光を2つの偏波方向(H軸およびV軸)の光信号に分割するとともに、90°ハイブリッドによりそれぞれの偏波方向の局発光を用いて光信号から実部成分(I成分)と虚部成分(Q成分)を抽出する。
光ハイブリッド302は、複数(例えば4つ)のフォトダイオード(PD:Photo Diode)を有し、H軸(水平偏波)の信号光のI成分の振幅および位相に対応した光信号と、H軸の信号光のQ成分の振幅および位相に対応した光信号と、を光電変換する。また、光ハイブリッド302は、V軸(垂直偏波)の信号光のI成分の振幅および位相に対応した光信号と、V軸の信号光のQ成分の振幅および位相に対応した光信号と、を光電変換する。そして、受光した光の強度に応じた電気信号を、対応するADC303へ出力する。
ADC303は、光ハイブリッド302から出力された信号をデジタルサンプリングし、サンプリングした信号を量子化することによってデジタル変換を行う。ADC303は、デジタル変換した信号を受信DSP304へ出力する。
受信DSP304は、MIMO処理部311(MIMO:Multi Input Multi Output)と、キャリア再生部312と、FEC機能部313(FEC:Forward Error Correction)と、を有する。MIMO処理部311は、例えば、偏波多重されている信号を偏波分離するなどの所定の処理を行う。MIMO処理部311は、所定の処理を行った信号をキャリア再生部312へ出力する。
キャリア再生部312は、例えば、MIMO処理部311から出力された信号の波長分散を補償する。キャリア再生部312は、波長分散を補償した信号をFEC機能部313へ出力する。FEC機能部313は、キャリア再生部312から出力された信号の誤り訂正を行う。FEC機能部313は、誤り訂正を行った信号を後段へ出力する。
キャリア再生部312は、分布平均推定部320を有する。分布平均推定部320は、コンスタレーション上におけるシンボル座標の位相スリップを検出して位相を補償する。ここで、デジタルコヒーレントの受信においては、送信されたデータを正しく受信するために、シンボル座標の回転による位相スリップを補償することが必要である。位相スリップは、伝送路206の位相ノイズや、送信光と受信局発光の周波数揺らぎなどに起因して、分布平均推定部320が有する位相推定回路(CPR:Carrier Phase Recovery)による処理を行う際に生じる。
位相スリップが生じると、送信側と受信側でコンスタレーション上のシンボル座標が、90°,180°または270°回転した状態となる。この状態では、受信側において、送信側が意図した座標と異なるコンスタレーション上の象限にシンボル座標が出現するため、正しく通信を行うことができない。そのため、分布平均推定部320は、例えば、CPRの処理を行うのと同時に、位相スリップを補償する。なお、分布平均推定部320は、CPR後の信号に対して位相スリップを補償してもよい。
具体的には、分布平均推定部320は、平均化部321と、判定部322と、回転部323と、を有する。平均化部321は、受信した信号について、シンボル座標間の軌跡座標の平均座標と、シンボル座標の平均座標とを算出する。判定部322は、平均化部321によって算出されたシンボル座標の平均座標と軌跡座標の平均座標との差分から、位相推定方向(ベクトル)を算出して、コンスタレーションの向きを判定する。判定のタイミングは、一定期間経過したタイミングや、一定量信号を蓄積したタイミングである。
回転部323は、判定部322による判定結果に基づいて、I軸およびQ軸や、シンボル座標を回転させる。例えば、送信装置110における軌跡座標の平均座標(位相基準方向)が第1象限である場合、受信装置120は、軌跡座標(位相推定方向)が第1象限方向となるようにシンボル座標を回転させる。
これにより、位相スリップを補償することができる。上述した説明では、CPRの処理と同時に位相スリップを判定するため、小規模な回路で位相を精度よく推定することができる。また、CPRの処理の後に、位相スリップの補償を行うことも可能であり、このようにすれば、簡単な処理で位相を精度よく推定することができる。
なお、図1Aに示した受信部121は、例えば、局発光源301と、光ハイブリッド302と、ADC303と、によって実現することができる。また、図1Aに示した、半導体装置130は、例えば受信DSP304によって実現することができる。特に、図1Aに示した、累積部122と、推定部123とは、例えば分布平均推定部320によって実現することができる。
(信号のサンプリングの一例)
図4は、信号のサンプリングの一例を示す説明図である。図4において(A)には、直交偏波の2つの信号401,402を示している。図4の(B)は、それぞれの信号401,402を、周波数fでサンプリングした場合を示している。(B)に示すように、周波数f毎にシンボル411がサンプリングされる。
図4の(C)は、(B)の波形について、2倍のオーバサンプリングを行った場合を示している。(C)に示すように、サンプリングされるシンボル411の間の中点に対応する位置にオーバサンプリング点412がサンプリングされる。
図4の(D)は、サンプリングしたシンボル411に相当するシンボル座標421およびオーバサンプリング点412に相当する軌跡座標422のコンスタレーションを示している。(D)に示すように、シンボル座標421は、45°(=00),135°(=01),225°(=11),315°(=10),の位置に配置される。複数の軌跡座標422は、I軸およびQ軸の直交座標(原点)に対してほぼ対称となる位置にそれぞれ配置される。そのため、複数の軌跡座標422の平均座標は、原点付近となる。
(軌跡座標の平均座標の一例について)
図5は、軌跡座標の平均座標の一例を示す説明図である。図5の(A)において、横軸は時間、縦軸は位相を示している。各シンボル座標421は、45°,135°,225°,315°のいずれかの位置に配置されており、それぞれ2ビット(4値)で表される。図5の(A)では、時間の経過にしたがって、01の信号、00の信号、11の信号、10の信号、が順次送信されることを示している。
また、送信装置110は、各シンボル座標421の間で、サンプリングしたオーバサンプリング点412に相当する軌跡座標422を得る。送信装置110は、各シンボル座標421とともに複数のシンボル座標421についても受信装置120へ送信する。
図5の(B)のコンスタレーションに示すように、複数の軌跡座標422の平均座標501は、例えば原点に位置する。これに対して、送信装置110において、複数のナイキストフィルタ間のタップ数(フィルタ段数)またはロールオフ率を相互に異ならせることにより、図5の(C)に示すように、軌跡座標422を図5(A)に対して、ずらすことができる。
複数の軌跡座標422の平均座標510は、図5の(D)に示すように、原点から位相基準方向520にずらした第1象限の座標となる。なお、軌跡座標422の平均座標510は、第1象限に限らず、第2象限、第3象限または第4象限のいずれであってもよい。本実施の形態において、軌跡座標422の平均座標510が第1象限に位置する方向を基準方向とする。
(位相スリップの補償動作の一例)
図6は、位相スリップの補償動作の一例を示す説明図である。図6の(A)に示すように、送信装置110は、複数の軌跡座標422の平均座標510を、原点とは異なる位置に配置する。送信装置110は、平均座標510を第1象限とした複数の軌跡座標422と、シンボル座標421と、に基づく信号を、伝送路206を介して受信装置120へ送信する。
伝送路206においては、各シンボル座標421が回転する。受信装置120は、軌跡座標422の平均座標510と、シンボル座標421の平均座標との差分に基づいて、位相推定方向600を算出する。例えば、図6の(B)に示すように、受信装置120は、位相推定方向600が第3象限の方向であると算出したとする。(B)は、平均座標510と位相推定方向600とは方向が異なっており、位相スリップが発生していることを示している。すなわち、シンボル座標421の回転にともなって、軌跡座標422および軌跡座標422の平均座標510も回転している。
そこで、受信装置120は、平均座標510と位相推定方向600とを比較し、比較結果に応じて、図6の(C)に示すように、I軸およびQ軸(またはシンボル座標421)を回転させる。例えば、(C)に示すように、受信装置120は、算出した位相推定方向600を、予め定められている送信装置110における位相基準方向520に、一致させるようにI軸およびQ軸を回転させる。具体的には、送信装置110の位相基準方向520は、第1象限の方向であるため、受信装置120は、I軸およびQ軸を180°回転させることにより、位相推定方向600を送信装置110における位相基準方向520と一致させることができる。
(軌跡座標の平均座標を原点とは異なる座標とした場合のアイパターンおよびコンスタレーションの一例)
図7は、軌跡座標の平均座標を原点とは異なる座標とした場合のアイパターンおよびコンスタレーションの一例を示す説明図である。図7において、(A)は、I成分のアイパターンを示している。(B)は、Q成分のアイパターンを示している。(A)、(B)において、横軸は時間を示し、縦軸はパワーを示している。(A)および(B)に示すアイパターンはほぼ同様の形状となっている。
(C)は、QPSKのコンスタレーションを示している。(A)〜(C)に示すように、シンボル座標421の位置は、ほとんど変化していない。これに対して、シンボル座標421間の軌跡座標422は変化する。例えば、(A)、(B)では、範囲701の方が範囲702に比べて、軌跡座標422の分布に広がりがある。
また、(C)に示すように、軌跡座標422の平均座標は、位相推定方向600に示すように、原点ではなく、第1象限にずれている。より詳細には、(C)に示すように、複数の軌跡座標422は、範囲721に示す下方向への広がりよりも、範囲711に示す上方向に広がって(膨らんで)分布している。同様に、複数の軌跡座標422は、範囲722に示す左方向への広がりよりも、範囲712に示す右方向に広がって(膨らんで)分布している。このように、複数の軌跡座標422の平均座標を、原点から位相推定方向600にずらした座標となるようにしている。
(フィルタリング部の詳細構成)
図8は、フィルタリング部の詳細構成を示す説明図である。図8に示すように、フィルタリング部221は、複数のナイキストフィルタ801,802と、分岐部811と、加算部812と、を有する。なお、図8に示す各構成部は、I成分およびQ成分毎にそれぞれに対応して設けられている。
分岐部811は、入力された信号をプラス成分とマイナス成分とに分岐し、プラス成分をナイキストフィルタ801へ出力し、マイナス成分をナイキストフィルタ802へ出力する。ナイキストフィルタ801は、例えば7段のフィルタ段数を有する。ナイキストフィルタ802は、例えば11段のフィルタ段数を有する。ナイキストフィルタ801,802は、それぞれ入力された信号をフィルタリングし、加算部812へ出力する。具体的には、ナイキストフィルタ801,802は、ベースバンド信号を波形整形して帯域制限をかけ、加算部812へ出力する。
ナイキストフィルタ801,802は、波形を整形する。図8に示す波形の横軸は時間を示し、縦軸は座標を示している。ナイキストフィルタ801は、上側に凸のピーク波形803を整形するとともに、ピーク波形803周辺において小さく増減するピーク間波形804を整形する。なお、ナイキストフィルタ801,802によって整形される波形の詳細については、図10A〜図11Cを用いて後述する。
ナイキストフィルタ802は、下側に凸のピーク波形805を整形するとともに、ピーク波形805周辺において小さく増減するピーク間波形806を整形する。ナイキストフィルタ801,802から出力された信号は、加算部812によって加算される。加算部812によって信号が加算されると、ナイキストフィルタ801,802の段数に応じて、ピーク間波形804,806の合成波形807は、横軸810に対して上側または下側に偏ることとなる。
図8において、ピーク間波形804,806の合成波形807は、例えば横軸810を基準に下側に偏っている。このように、ナイキストフィルタ801の段数と、ナイキストフィルタ802の段数とに差分をつけることにより、合成波形807に偏りをもたせることができる。これにより、加算部812から出力される信号に基づいて、図7の(C)に示したコンスタレーションを得ることができる。すなわち、シンボル座標421間の軌跡座標422の平均座標を、原点から位相基準方向520にずらした座標とすることができる。
(ナイキストフィルタの構成の一例)
図9は、ナイキストフィルタの構成の一例を示すブロック図である。図9に示すように、ナイキストフィルタ801,802は、遅延回路911〜91nと、乗算回路920〜92nと、加算回路930と、不図示のタップ係数制御回路(図14のフィルタ制御部1400に相当)と、を有する(n=5,6,7,…)。
ナイキストフィルタ801,802のタップ係数制御回路は、乗算回路920〜92nに対してそれぞれタップ係数a0〜anを入力する。ナイキストフィルタ801,802へ入力されたベースバンド信号は、乗算回路920および遅延回路911のそれぞれへ入力される。乗算回路920は、入力されたベースバンド信号に対してタップ係数a0を乗算し、乗算したベースバンド信号を加算回路930へ出力する。
遅延回路911は、入力されたベースバンド信号を遅延させ、遅延させたベースバンド信号を乗算回路921および遅延回路912のそれぞれへ出力する。乗算回路921は、遅延回路911から出力されたベースバンド信号に対してタップ係数a1を乗算し、乗算したベースバンド信号を加算回路930へ出力する。
遅延回路912は、遅延回路911から出力されたベースバンド信号を遅延させ、遅延させたベースバンド信号を乗算回路922および遅延回路913のそれぞれへ出力する。乗算回路922は、遅延回路912から出力されたベースバンド信号に対してタップ係数a2を乗算し、乗算したベースバンド信号を加算回路930へ出力する。
遅延回路913は、遅延回路912から出力されたベースバンド信号を遅延させ、遅延させたベースバンド信号を乗算回路923および遅延回路914のそれぞれへ出力する。乗算回路923は、遅延回路913から出力されたベースバンド信号に対してタップ係数a3を乗算し、乗算したベースバンド信号を加算回路930へ出力する。
遅延回路91nは、遅延回路91(n−1)から出力されたベースバンド信号を遅延させ、遅延させたベースバンド信号を乗算回路92nへ出力する。乗算回路92nは、遅延回路91nから出力されたベースバンド信号に対してタップ係数anを乗算し、乗算したベースバンド信号を加算回路930へ出力する。
加算回路930は、乗算回路920〜92nから出力された各ベースバンド信号を加算し、加算したベースバンド信号を後段の複素乗算器(不図示)へ出力する。ナイキストフィルタ801,802のタップ係数制御回路は、遅延変化量を演算する遅延変化量演算部(不図示)から通知された遅延変化量に基づいて、乗算回路920〜92nへ入力するタップ係数a0〜anを調節する。これにより、ベースバンド信号の遅延量を変化させることができる。
(フィルタ段数(タップ係数)を変化させたときの波形の変化について)
図10Aは、フィルタ段数が31段の場合の波形の一例を示す説明図である。図10Bは、フィルタ段数が11段の場合の波形の一例を示す説明図である。図10Cは、フィルタ段数が3段の場合の波形の一例を示す説明図である。図10A、図10Bおよび図10Cにおいて、横軸は時間、縦軸は座標(I座標またはQ座標)を示している。
図10Aに示すように、波形1010は、シンボル座標に相当するピーク1011を中心に周辺領域の波形1012が整形されている。図10Bに示すように、波形1020は、シンボル座標に相当するピーク1021を中心に周辺領域の波形1022が整形されている。図10Cに示すように、波形1030は、シンボル座標に相当するピーク1031を中心に周辺領域の波形1032が整形されている。
図10A、図10Bおよび図10Cを比較すると、ピーク1011,1021,1031は同じであり、周辺領域の波形1012,1022,1032が異なる。図10Aの周辺領域の波形1012は、縦軸方向に変動しながら横軸方向に広がる形状を有している。図10Bの周辺領域の波形1022は、波形1012に比べて縦軸方向に変動する横軸方向への広がりが小さい形状を有している。図10Cの周辺領域の波形1032は、縦軸方向への変動のない波形が整形されている。
このように、周辺領域の波形1012,1022,1032は、フィルタ段数が多いほど、縦軸方向に変動する横軸方向への広がりが大きくなり、フィルタ段数が少ないと、縦軸方向の変動がなくなる。なお、各フィルタ段数を奇数にすると、図10A、図10Bおよび図10Cに示す原点を中心にピーク1011,1021,1031を得ることができる。
このように、フィルタ段数を異ならせることにより、周辺領域の波形1012,1022,1032を異ならせることができる。このため、図8に示したように、入力信号を分岐させてそれぞれ段数の異なるナイキストフィルタ801,802を用いてフィルタ処理を行って加算することによって、ピーク間波形804,806の合成波形807に偏りをもたせることができる。
(フィルタ段数を変化させたときの波形の周波数成分の変化について)
図11Aは、フィルタ段数が31段の場合の波形の周波数成分の一例を示す説明図である。図11Bは、フィルタ段数が11段の場合の波形の周波数成分の一例を示す説明図である。図11Cは、フィルタ段数が3段の場合の波形の周波数成分の一例を示す説明図である。
図11A、図11Bおよび図11Cにおいて、横軸は光の波長、縦軸は光のパワーを示しており、ロールオフ率は例えば0.3としている。図11A、図11Bおよび図11Cを比較すると、フィルタ段数が多い波形1110(1120)の方が、フィルタ段数が少ない周辺領域の波形1130に比べて、矩形状に近い形状となる。すなわち、ナイキストフィルタ801,802は、フィルタ段数が多いほど送信帯域幅を減らすことができることを示している。このため、フィルタ段数が多いほど信号のスペクトル効率を向上させることができる。
(送信装置が行う送信処理)
図12は、送信装置が行う送信処理の一例を示すフローチャートである。図12に示すように、送信装置110は、軌跡座標の平均座標が位相基準方向となるよう複数の軌跡座標を変化させる(ステップS1201)。そして、送信装置110は、シンボル座標と、平均座標を位相基準方向に変化させた軌跡座標と、に基づく信号を受信装置120へ送信するために出力し(ステップS1202)、送信処理を終了する。
(受信装置が行う受信処理)
図13は、受信装置が行う受信処理の一例を示すフローチャートである。図13に示すように、受信装置120は、送信装置110から受信した信号を入力する(ステップS1301)。次に、受信装置120は、オーバサンプリングによって得られたシンボル座標間の軌跡座標の平均座標を求める(ステップS1302)。そして、受信装置120は、シンボル座標の平均座標と軌跡座標の平均座標との差分から位相推定方向を求める(ステップS1303)。なお、信号の歪みがなく、シンボル座標の平均座標が原点の場合には、ステップS1303において、原点と軌跡座標の平均座標との差分から位相推定方向を求めてもよい。
次に、受信装置120は、送信側の位相基準方向と受信側の位相推定方向との双方の方向を比較し(ステップS1304)、送信側の位相基準方向と受信側の位相推定方向との双方の方向が等しいか否かを判定する(ステップS1305)。送信側の位相基準方向と受信側の位相推定方向との双方の方向が等しい場合(ステップS1305:Yes)、受信装置120は、受信処理を終了する。送信側の位相基準方向と受信側の位相推定方向との双方の方向が等しくない場合(ステップS1305:No)、受信装置120は、キャリア位相補償を実行し(ステップS1306)、受信処理を終了する。キャリア位相補償では、受信側の位相推定方向が送信側の位相基準方向と一致する方向にシンボル座標を補正される。
(ダイナミックレンジなどの歪みによる影響の排除について)
次に、ダイナミックレンジなどの歪みによる影響の排除について説明する。送信装置110や受信装置120のハードウェアにおいては、例えば、ダイナミックレンジの歪みが生じる。ダイナミックレンジの歪みとは、例えば、誤差等により複数のシンボル座標や軌跡座標が予め定めた座標とは異なる座標となることである。
この歪みを排除するためには、例えば、送信装置110は、2つのナイキストフィルタ801,802のフィルタ段数を交互に切替えた信号を送信する。受信装置120は、ナイキストフィルタ801,802のフィルタ段数を交互に入れ替えた各パターンの差分を検出することによって、歪みを補償することができる。以下に、ダイナミックレンジなどの歪みによる影響を排除するために、ナイキストフィルタ801,802を交互に切替える場合について詳細に説明する。
(送信装置が行うナイキストフィルタを交互に切替える手順の一例)
図14は、送信装置が行うナイキストフィルタを交互に切替える手順の一例を示す説明図である。図14に示すように、例えば、フレーム検出1401後に、特定の個数のビット(信号)1402が存在するものとする。フレーム検出1401とは、データの先頭を特定するためのフレームの検出である。なお、データの先頭を特定するには、フレーム検出1401に限らず、例えば、データの先頭に配置されるビット数を示す制御信号の検出とすることもできる。
送信装置110は、フレーム検出1401後の特定ビット数のビットについて、ナイキストフィルタ801,802のフィルタ段数を交互に異ならせてフィルタ処理が行われた信号を生成する。具体的には、送信装置110は、ナイキストフィルタ801,802のそれぞれのフィルタ段数を相互に入れ替えた値とするフィルタ制御部1400を有する。位相基準方向1410を第1象限の方向としたAパターン1411の信号を生成する場合、フィルタ制御部1400は、例えば、プラス成分が入力されるナイキストフィルタ801を7段にし、マイナス成分が入力されるナイキストフィルタ802を11段にする。
また、位相基準方向1410を第3象限の方向としたBパターン1412の信号を生成する場合、フィルタ制御部1400は、例えば、プラス成分側のナイキストフィルタ801を11段にし、マイナス成分側のナイキストフィルタ802を7段にする。Bパターン1412は、Aパターン1411を180°反転させたパターンである。
このように、送信装置110は、フレーム検出1401によって、Aパターン1411→Bパターン1412→Aパターン1411→Bパターン1412→…と、交互に切替えて信号を送信する。また、送信装置110は、次のフレーム検出1401があると、特定ビット数についてAパターン1411→Bパターン1412→Aパターン1411→Bパターン1412→…と、交互に切替えて信号を送信する。なお、図14に示すAパターンおよびBパターンは、信号に歪みがほとんどない場合を示している。
受信装置120は、送信装置110からAパターン1411またはBパターン1412の信号を受信する。受信装置120は、フレーム検出1401を基準にして、Aパターン1411→Bパターン1412→Aパターン1411→Bパターン1412→…の順で信号を受信する。以下に、受信装置120が行う位相推定方向の補正の手順について説明する。
(受信装置が行う位相推定方向の補正の一例)
図15は、受信装置が行う位相推定方向の補正の一例を示す説明図である。なお、図15においては、信号に歪みがほとんどない図14に対応する場合を示している。図15において、受信装置120は、フレーム検出1401に応じて、Aパターン1411またはBパターン1412を交互に検出することができる。
受信装置120は、Aパターン1411の位相推定方向1501およびBパターン1412の位相推定方向1502をそれぞれ算出する。受信装置120は、算出した位相推定方向1501,1502について、Aパターン1411についてはそのままとし、Bパターン1412については180°反転させる。
そして、受信装置120は、Aパターン1411の位相推定方向1501と、Bパターン1412を反転させた反転パターン1413の位相推定方向1502との平均を算出することにより、補正した位相推定方向1503を求めることができる。Aパターン1411と、反転パターン1413との平均は、例えば、Aパターン1411と反転パターン1413との各軌跡座標の平均座標を足し合わせて2で割ることにより求まる。
(特定の方向に歪んでいる場合の位相推定方向の補正の一例)
図16は、特定の方向に歪んでいる場合の位相推定方向の補正の一例を示す説明図である。図16に示す位相推定方向の補正の手順は、図15に示した位相推定方向の補正の手順と、手順自体は同じである。図16に示す例では、位相推定方向1501が図15に示した例と異なる。
図16において、Aパターン1411は、送信装置110において位相基準方向1410(図14参照)を第1象限の方向とする処理を行ったものの、歪みにより、受信装置120では、位相推定方向1501が第3象限の方向となった場合を示している。すなわち、位相基準方向1410の方向を打ち消す方向に、歪んでいる場合を示している。
また、図16において、Bパターン1412は、位相基準方向1410を第3象限の所定位置までの方向としたものの、歪みにより、受信装置120では、位相推定方向1502が所定位置よりも原点から離れた位置までの方向となっている場合を示している。すなわち、位相基準方向1410をより増大する方向に、歪んでいる場合を示している。
受信装置120は、Aパターン1411の位相推定方向1501およびBパターン1412の位相推定方向1502をそれぞれ算出する。受信装置120は、算出した位相推定方向1501,1502について、Aパターン1411についてはそのままとし、Bパターン1412については180°反転させる。
そして、受信装置120は、Aパターン1411と、Bパターン1412を反転させた反転パターン1413との平均を算出することにより、補正した位相推定方向1503を求めることができる。このように、Aパターン1411およびBパターン1412を反転させた反転パターン1413の平均を得ることにより、歪みの作用を打ち消し、補正した位相推定方向1503を得ることができる。したがって、歪みを考慮して位相を推定することができる。
(送信装置が行うフィルタ段数の切替えを行う際の送信処理)
図17は、送信装置が行うフィルタ段数の切替えを行う際の送信処理の一例を示すフローチャートである。図17に示すように、送信装置110は、フレーム検出があったか否かを判定する(ステップS1701)。フレーム検出があった場合(ステップS1701:Yes)、送信装置110は、参照する送信パターンをリセットし(ステップS1702)、ステップS1704に移行する。参照する送信パターンをリセットするとは、以降の送信パターンの順を、図14に示した、Aパターン1411→Bパターン1412→Aパターン1411→…の順とすることである。
フレーム検出がない場合(ステップS1701:No)、送信装置110は、参照する送信パターンを更新する(ステップS1703)。参照する送信パターンを更新とは、前回の送信パターンがAパターン1411の場合にはBパターン1412に更新し、前回の送信パターンがBパターン1412の場合にはAパターン1411に更新することである。
そして、送信装置110は、フレーム検出1401からのビット数に応じた位相基準方向(Aパターン1411またはBパターン1412)を特定する(ステップS1704)。そして、送信装置110は、特定した位相基準方向に応じたフィルタ段数に、ナイキストフィルタ801,802のフィルタ段数を変更する(ステップS1705)。
次に、送信装置110は、軌跡座標の平均座標がフィルタ段数の変更に応じた位相基準方向となるように軌跡座標を変化させる(ステップS1706)。そして、送信装置110は、シンボル座標と、平均座標を位相基準方向に変化させた軌跡座標と、に基づく信号を受信装置120へ送信するために出力し(ステップS1707)、送信処理を終了する。
(受信装置が行う位相推定方向を補正する処理)
図18は、受信装置が行う位相推定方向を補正する処理の一例を示すフローチャートである。図18に示すように、受信装置120は、送信装置110から受信した信号を入力する(ステップS1801)。そして、受信装置120は、フレーム検出があったか否かを判定する(ステップS1802)。フレーム検出があった場合(ステップS1802:Yes)、受信装置120は、受信パターンをリセットし(ステップS1803)、ステップS1805に移行する。受信パターンをリセットするとは、以降に受信する受信パターンの順を、Aパターン1411(図15参照)→Bパターン1412→Aパターン1411→…の順とすることである。
フレーム検出がない場合(ステップS1802:No)、受信装置120は、受信パターンを更新する(ステップS1804)。ステップS1804では、受信装置120は、前回の受信パターンがAパターン1411の場合にはBパターン1412に更新し、前回の受信パターンがBパターン1412の場合にはAパターン1411に更新する。
次に、受信装置120は、受信した信号がAパターン1411であるか否かを判定する(ステップS1805)。受信した信号がAパターン1411である場合(ステップS1805:Yes)、受信装置120は、シンボル座標間の軌跡座標の平均座標を求める(ステップS1806)。そして、受信装置120は、シンボル座標の平均座標と軌跡座標の平均座標との差分から位相推定方向を求め(ステップS1807)、ステップS1811に移行する。
ステップS1805において、判定パターンがAパターン1411ではない場合(ステップS1805:No)、すなわち、Bパターン1412である場合、受信装置120は、シンボル座標の軌跡座標の平均座標を求める(ステップS1808)。そして、受信装置120は、シンボル座標の平均座標と軌跡座標の平均座標との差分から位相推定方向を求める(ステップS1809)。次に、受信装置120は、求めた位相推定方向を180°反転させる(ステップS1810)。
次に、受信装置120は、Aパターン1411と、Bパターン1412を反転させた反転パターン1413(図15参照)と、の平均から位相推定方向を補正する(ステップS1811)。そして、受信装置120は、送信側の位相基準方向と受信側の位相推定方向との双方の方向を比較し(ステップS1812)、送信側の位相基準方向と受信側の位相推定方向との双方の方向が等しいか否かを判定する(ステップS1813)。
送信側の位相基準方向と受信側の位相推定方向との双方の方向が等しい場合(ステップS1813:Yes)、受信装置120は、受信処理を終了する。送信側の位相基準方向と受信側の位相推定方向との双方の方向が等しくない場合(ステップS1813:No)、受信装置120は、キャリア位相補償を実行し(ステップS1814)、受信処理を終了する。キャリア位相補償では、受信側の位相推定方向が送信側の位相基準方向と一致する方向にシンボル座標を補正される。
このように、受信装置120は、ナイキストフィルタ801,802のフィルタ段数を交互に切替えて、位相推定方向を位相基準方向に補正することにより、信号の歪みを補償することができる。例えば、図16に示した、Aパターン1411およびBパターン1412のように、両パターンともに位相推定方向1501,1502が第3象限の方向となっている場合であっても、歪みを考慮して位相補償を行うことができる。
本実施の形態によれば、シンボル座標間の軌跡座標の平均を原点と相違させた信号を送信し、受信側で軌跡座標の平均を推定する。このため、送信信号にパイロット信号を含ませなくても、受信側において位相スリップを判定することができる。したがって、データの伝送容量の低下を抑えつつ精度よく位相を推定することができる。
また、位相推定方向を、シンボル座標の平均座標と軌跡座標の平均座標との差分から求めるため、誤差等により歪みが生じてコンスタレーション上における座標の基準点となる原点がずれる場合でも、精度よく位相を推定することができる。
また、ナイキストフィルタ801,802のフィルタ段数を交互に切替えることにより、位相推定方向を位相基準方向に補正することができる。これにより、ダイナミックレンジなどの歪みを排除することができ、精度よく位相を推定することができる。
上述した説明では、位相推定方向を特定することによって位相スリップを推定したが、これに限らない。例えば、軌跡の平均座標を各象限で算出し、原点と各象限の平均座標との間の距離が最大または最小となる象限を、軌跡座標の平均座標の象限として特定することによって、位相スリップを推定してもよい。このような構成であっても、送信信号にパイロット信号を含ませなくても、受信側において位相スリップを判定することができ、データの伝送容量の低下を抑えつつ精度よく位相を推定することができる。
(パイロット信号を用いる場合の一例)
ここで、コンスタレーション上においてシンボル形状が正四角形状となるようにシンボル座標を生成して、パイロット信号を用いて、位相スリップを補償する構成について説明する。
図19は、パイロット信号を用いて位相推定する場合の一例を示す説明図である。図19の(A)において、横軸は時間、縦軸は位相を示している。各シンボル座標1900は、45°,135°,225°,315°のいずれかを示しており、それぞれ、2ビット(4値)で表される。図19の(A)では、時間の経過にしたがって、01の信号、00の信号、11の信号、10の信号、が順次送信されることを示している。
また、送信装置110は、予め定められた所定のタイミングで、パイロット信号1901を受信装置120へ送信する。パイロット信号1901は、基準となる位相を示す信号である。また、受信装置120側でもパイロット信号1901が送信される所定のタイミングがわかっている。
送信装置110は、例えば、予め決められた周期で決められた値(00=45°)のパイロット信号1901を送信する。図19の(B)に示すように、受信装置120は、このパイロット信号1901を基準にして、複数のシンボル1900の位相を推定することができる。
ここで、パイロット信号1901は、伝送レートの時間領域の一部を利用するものである。そのため、パイロット信号1901の比率を高くすると、その分だけ帯域の使用効率の低下を招き、すなわち、データの伝送容量が低下してしまう。また、パイロット信号1901の比率を少なくすると、位相スリップの検出についての信頼性が低下し、データに誤りが生じるバーストエラーの発生確率が高まり、信号品質が劣化してしまう。
これに対して、本実施の形態では、帯域の使用効率の低下を招くパイロット信号を用いなくても受信側で位相スリップを判定することが可能であるため、帯域を最大限に活用することができ、データの伝送容量の低下を抑えつつ精度よく位相を推定できる。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)コンスタレーション上の複数のシンボル座標と、前記複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標であって、平均座標が原点とは異なる座標となる複数の軌跡座標と、に基づいて信号を送信する送信装置と、
前記送信装置から受信した前記信号におけるコンスタレーション上の複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標を累積し、累積した前記複数の軌跡座標の平均座標と、前記異なる座標と、の相違を示す値に基づいて、前記送信装置から受信した前記信号の位相を推定する受信装置と、
を有することを特徴とする通信システム。
(付記2)前記相違を示す値は、累積した前記複数の軌跡座標の平均座標と、前記異なる座標と、の比較結果に基づく値であることを特徴とする付記1に記載の通信システム。
(付記3)前記受信装置は、前記送信装置から受信した前記信号におけるコンスタレーション上の複数のシンボル座標を累積し、
前記相違を示す値は、累積した前記複数のシンボル座標の平均座標に基づいて、累積した前記複数の軌跡座標の平均座標および前記異なる座標のうちの少なくともいずれか一方を補正し、前記少なくともいずれか一方を補正した前記複数の軌跡座標の平均座標と前記異なる座標との比較結果に基づく値であることを特徴とする付記2に記載の通信システム。
(付記4)前記相違を示す値は、累積した前記複数の軌跡座標の所定領域毎の平均座標の比較結果に基づく値であることを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の通信システム。
(付記5)前記送信装置は、コンスタレーション上の平均座標が原点と異なる第1座標となる複数の軌跡座標(以下、「第1軌跡座標群」と称する。)に基づく第1信号と、コンスタレーション上の平均座標が原点および前記第1座標と異なる第2座標となる第2軌跡座標群に基づく第2信号と、を切替えながら送信し、
前記相違を示す値は、前記送信装置から受信した前記第1信号における複数のシンボル座標のそれぞれの間の第3軌跡座標群と、前記送信装置から受信した前記第2信号における複数のシンボル座標のそれぞれの間の第4軌跡座標群と、前記第1座標および前記第2座標の相違と、に基づく値であることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の通信システム。
(付記6)前記相違を示す値は、前記第1座標および前記第2座標の相違に基づいて少なくともいずれか一方が補正された前記第3軌跡座標群および前記第4軌跡座標群の平均座標と、前記異なる座標と、の相違を示す値であることを特徴とする付記5に記載の通信システム。
(付記7)前記信号は、少なくとも位相変調を含む変調により生成された信号であることを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の通信システム。
(付記8)コンスタレーション上の複数のシンボル座標と、前記複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標であって、平均座標が原点とは異なる座標となる複数の軌跡座標と、に基づいて信号を送信する送信装置から前記信号を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記信号におけるコンスタレーション上の複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標を累積する累積部と、
前記累積部によって累積された前記複数の軌跡座標の平均座標と、前記異なる座標と、の相違を示す値に基づいて、前記送信装置から受信した前記信号の位相を推定する推定部と、
を有することを特徴とする受信装置。
(付記9)コンスタレーション上の複数のシンボル座標と、前記複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標であって、平均座標が原点とは異なる座標となる複数の軌跡座標と、に基づいて信号を送信する送信装置から送信され受信部によって受信された前記信号におけるコンスタレーション上の複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標を累積する累積部と、
前記累積部によって累積された前記複数の軌跡座標の平均座標と、前記異なる座標と、の相違を示す値に基づいて、前記送信装置から受信した前記信号の位相を推定する推定部と、
を有することを特徴とする半導体装置。
100 通信システム
110 送信装置
120 受信装置
121 受信部
122 累積部
123 推定部
130 半導体装置
201 送信DSP
212 シンボルマッピング部
213 オーバサンプリング部
221 フィルタリング部
304 受信DSP
312 キャリア再生部
320 分布平均推定部
321 平均化部
322 判定部
323 回転部
801,802 ナイキストフィルタ

Claims (6)

  1. コンスタレーション上の複数のシンボル座標と、前記複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標であって、平均座標が原点とは異なる座標となる複数の軌跡座標と、に基づいて信号を送信する送信装置と、
    前記送信装置から受信した前記信号におけるコンスタレーション上の複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標を累積し、累積した前記複数の軌跡座標の平均座標と、前記異なる座標と、の相違を示す値に基づいて、前記送信装置から受信した前記信号の位相を推定する受信装置と、
    を有することを特徴とする通信システム。
  2. 前記相違を示す値は、累積した前記複数の軌跡座標の平均座標と、前記異なる座標と、の比較結果に基づく値であることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
  3. 前記受信装置は、前記送信装置から受信した前記信号におけるコンスタレーション上の複数のシンボル座標を累積し、
    前記相違を示す値は、累積した前記複数のシンボル座標の平均座標に基づいて、累積した前記複数の軌跡座標の平均座標および前記異なる座標のうちの少なくともいずれか一方を補正し、前記少なくともいずれか一方を補正した前記複数の軌跡座標の平均座標と前記異なる座標との比較結果に基づく値であることを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
  4. 前記送信装置は、コンスタレーション上の平均座標が原点と異なる第1座標となる複数の軌跡座標(以下、「第1軌跡座標群」と称する。)に基づく第1信号と、コンスタレーション上の平均座標が原点および前記第1座標と異なる第2座標となる第2軌跡座標群に基づく第2信号と、を切替えながら送信し、
    前記相違を示す値は、前記送信装置から受信した前記第1信号における複数のシンボル座標のそれぞれの間の第3軌跡座標群と、前記送信装置から受信した前記第2信号における複数のシンボル座標のそれぞれの間の第4軌跡座標群と、前記第1座標および前記第2座標の相違と、に基づく値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の通信システム。
  5. コンスタレーション上の複数のシンボル座標と、前記複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標であって、平均座標が原点とは異なる座標となる複数の軌跡座標と、に基づいて信号を送信する送信装置から前記信号を受信する受信部と、
    前記受信部によって受信された前記信号におけるコンスタレーション上の複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標を累積する累積部と、
    前記累積部によって累積された前記複数の軌跡座標の平均座標と、前記異なる座標と、の相違を示す値に基づいて、前記送信装置から受信した前記信号の位相を推定する推定部と、
    を有することを特徴とする受信装置。
  6. コンスタレーション上の複数のシンボル座標と、前記複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標であって、平均座標が原点とは異なる座標となる複数の軌跡座標と、に基づいて信号を送信する送信装置から送信され受信部によって受信された前記信号におけるコンスタレーション上の複数のシンボル座標のそれぞれの間の複数の軌跡座標を累積する累積部と、
    前記累積部によって累積された前記複数の軌跡座標の平均座標と、前記異なる座標と、の相違を示す値に基づいて、前記送信装置から受信した前記信号の位相を推定する推定部と、
    を有することを特徴とする半導体装置。
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