JP5570312B2 - 眼鏡レンズの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、眼鏡レンズに関するものであり、詳しくはハードコート層とプライマー層との密着性が良好な眼鏡レンズに関するものである。
通常、眼鏡レンズには、各種機能を付与するために機能性膜が形成される。機能性膜の一例としては、偏光機能を付与するための偏光膜、調光性能を付与するためのフォトクロミック膜等が挙げられる。
一般的に、これら機能性膜はレンズ最表面で長期間の使用に耐え得るほど強靭なものではないため、更にその上にハードコート層を形成することが広く行われている。例えば、特許文献1および2の実施例では、偏光膜上にハードコート層としてアクリルベース耐スクラッチコーティングを形成している。また、特許文献3の実施例でも、紫外線硬化性樹脂を用いて偏光膜上にハードコートを形成している。
上記の通り眼鏡レンズにハードコート層を形成するにより、耐スクラッチ性や耐衝撃性を付与し、耐久性を高めることができる。しかし、ハードコート層と下層との密着性が乏しい場合には、保管中ないしは使用中にハードコート層の剥がれやレンズからの剥離が発生してしまう。
そこでハードコート層の密着性を高めるために、接着層として機能し得るプライマー層を形成した後、このプライマー層上にハードコート層を形成することが考えられる。近年、そのようなプライマー層を形成し得るコーティング液として、水系樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献4〜7参照)。
特表2008−527401号公報 国際公開第2008/106034号 特開2009−237361号公報 特許第3588375号明細書 特開平8−34897号公報 特開平11−92653号公報 特開平11−92655号公報
上記水系樹脂組成物は、水系溶媒中に樹脂成分が分散ないし溶解されている組成物であり、該組成物を塗布した後に乾燥等により溶媒を除去することによって、接着層として機能し得る樹脂層を形成することができる。
そこで本発明者が、ハードコート層の密着性を高めることを目的として、水系樹脂組成物から形成されたプライマー層上にハードコート層を形成したところ、ハードコート層とプライマー層との密着性を十分に確保できない場合があることが判明した。
そこで本発明の目的は、ハードコート層とプライマー層との密着性が高く、優れた耐久性を有する眼鏡レンズを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、プライマー層の形成に使用する水系樹脂組成物の溶解パラメータ(以下、「SP値」ともいう)近傍のSP値を有する溶媒を含むハードコート液を使用すると、得られるハードコート層とプライマー層との密着性が不十分となり眼鏡レンズの耐久性が低下することを見出した。従来、被塗布物とコーティング液に使用する溶媒とのSP値が近いほど密着性が良好になることについては報告されていたが(例えば特開2001−279184号公報参照)、上記の通り被塗布物を形成するためのコーティング液(水系樹脂組成物)と塗布液(コーティング液)の調製に使用する溶媒とのSP値が近いほど密着性が不十分となることは、本発明者によって見出された新たな知見である。
本発明者は、以上の知見に基づき更に検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]水系溶媒中に樹脂成分が分散ないし溶解された水系樹脂組成物を基材上に塗布し、次いで上記水系溶媒を除去することによりプライマー層を形成すること、および、
形成されたプライマー層上に直接、硬化性成分と溶媒とを含むハードコート液を塗布し、次いで硬化処理を施すことによりハードコート層を形成すること、
を含む、基材上にプライマー層とハードコート層とをこの順に有する眼鏡レンズの製造方法であって
前記水系樹脂組成物の溶解パラメータは10〜12の範囲であり、
前記ハードコート液に含まれる溶媒は、溶解パラメータが7以上9未満の有機溶媒である眼鏡レンズの製造方法
[2]前記水系樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂成分を含む[1]に記載の眼鏡レンズの製造方法。
[3]前記硬化性成分は光硬化性成分であり、前記硬化処理を光照射により行う、[1]または[2]に記載の眼鏡レンズの製造方法。
[]前記基材上に偏光層を形成した後に、該偏光層上に前記プライマー層を形成する、[1]〜[]のいずれかに記載の眼鏡レンズの製造方法。
本発明によれば、優れた耐久性を有する眼鏡レンズを提供することができる。
実施例で作製した偏光レンズの層構成の説明図である。 実施例においてハードコート液調製に使用した溶媒のSP値と、プライマー層形成に使用した水系ポリウレタン樹脂組成物のSP値との関係を示す。
本発明は、基材上にプライマー層とハードコート層とをこの順に有する眼鏡レンズの製造方法に関するものである。本発明の眼鏡レンズの製造方法は、水系溶媒中に樹脂成分が分散ないし溶解された水系樹脂組成物を基材上に塗布し、次いで上記水系溶媒を除去することにより前記プライマー層を形成すること、形成されたプライマー層上に直接、硬化性成分と溶媒とを含むハードコート液を塗布し、次いで硬化処理を施すことにより前記ハードコート層を形成すること、を含む。そして、前記水系樹脂組成物の溶解パラメータSP1を含む許容不可範囲を設定し、設定した許容不可範囲外の溶解パラメータを有する溶媒を、前記ハードコート液を調製するために使用する。
本発明では、水系樹脂組成物の溶解パラメータから離れた溶解パラメータを有することをハードコート液の調製に使用する溶媒の選択基準とすることにより、ハードコート層とプライマー層との密着性が良好な眼鏡レンズを得ることができる。先に説明したように、この点は従来知られていなかった新たな知見に基づくものである。
以下、本発明の眼鏡レンズの製造方法について、更に詳細に説明する。
基材
プライマー層を形成するための水系樹脂組成物は、基材上に直接塗布してもよく、または他の層を介して塗布してもよい。ここで形成し得る他の層については後述する。
前記基材としては、特に限定されるものではなく、プラスチック、無機ガラス等を挙げることができる。プラスチックとしては、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エピチオ基を有する化合物を材料とする重合体、スルフィド結合を有するモノマーの単独重合体、スルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリジスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体等などが挙げられる。基材の厚さは、特に限定されるものではないが、通常の眼鏡レンズでは、1〜30mm程度である。また、その上にプライマー層とハードコート層が順次積層される基材の表面形状は特に限定されず、平面、凸面、凹面等の任意の形状であることができる。
水系樹脂組成物、プライマー層
本発明においてプライマー層形成に使用される水系樹脂組成物は、水系溶媒中に樹脂成分が分散ないし溶解されたコーティング組成物である。
上記水系樹脂組成物から形成されるプライマー層の厚さは、密着性の観点からは0.05μm以上であることが好ましく、得られる眼鏡レンズの光学特性の観点からは0.5μm以下であることが好ましく、光学特性と密着性の両立の観点からは0.10〜0.45μmの範囲であることがより好ましい。
前記水系樹脂組成物に含まれる水系溶媒は、例えば水や極性溶媒等との混合溶媒であり、好ましくは水である。また、前記水系樹脂組成物中の固形分濃度は、液安定性および製膜性の観点から、好ましくは1〜62質量%であり、より好ましくは5〜38質量%である。前記水系樹脂組成物は、樹脂成分のほかに、必要に応じて、酸化防止剤、分散剤、可塑剤等の添加剤を含むことも可能である。また、市販されている水系樹脂組成物を、水、アルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)等の溶媒で希釈して使用してもよい。
前記水系樹脂組成物は、水系溶媒に溶解した状態または微粒子(好ましくはコロイド粒子)として分散した状態で樹脂成分を含むことができ、水系溶媒中(好ましくは水中)に樹脂成分が微粒子状に分散した分散液であることが望ましく、この場合、上記樹脂成分の粒径は、組成物の分散安定性の観点から、0.3μm以下であることが好ましい。また、前記水系樹脂組成物のpHは、25℃において、5.5〜9.0程度であることが安定性の点から好ましく、25℃での粘度は、塗布適性の点から、5〜500mPa・sであることが好ましく、10〜50mPa・sであることがより好ましい。また、形成される水系樹脂層の物性を考慮すると、以下の膜特性を有する水系樹脂組成物が好ましい。厚さ1mmとなるようにガラス板上に塗布し、これを120℃で1時間乾燥させた後に得られる塗布膜が、ガラス転移温度Tgが−58℃〜7℃、鉛筆硬度が4B〜2H、JIS K 7113に準じて測定される引っ張り強度が15〜69MPa。
前記水性樹脂組成物としては、樹脂成分として、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を含むものが挙げられる。上記樹脂成分としては、密着性の点からポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂を含有する水系樹脂組成物、即ち水系ポリウレタン樹脂組成物は、例えば高分子量ポリオール化合物と有機ポリイソシアネート化合物とを、必要に応じて鎖延長剤とともに、反応に不活性で水との親和性の大きい溶媒中でウレタン化反応させてプレポリマーとし、このプレポリマーを中和後、鎖延長剤を含有する水系溶媒に分散させて高分子量化することにより調製することができる。そのような水系ポリウレタン樹脂組成物およびその調製方法については、例えば、特許第3588375号明細書段落[0009]〜[0013]、特開平8−34897号公報段落[0012]〜[0021]、特開平11−92653号公報段落[0010]〜[0033]、特開平11−92655号公報段落[0010]〜[0033]等を参照できる。また、上記水系ポリウレタン樹脂組成物としては、市販されている水性ウレタンをそのまま、または必要に応じて水系溶媒で希釈して使用することも可能である。市販されている水性ポリウレタンとしては、例えば、旭電化工業(株)製の「アデカボンタイター」シリーズ、三井東圧化学(株)製の「オレスター」シリーズ、大日本インキ化学工業(株)製の「ボンディック」シリーズ、「ハイドラン」シリーズ、バイエル製の「インプラニール」シリーズ、日本ソフラン(株)製の「ソフラネート」シリーズ、花王(株)製の「ポイズ」シリーズ、三洋化成工業(株)製の「サンプレン」シリーズ、保土谷化学工業(株)製の「アイゼラックス」シリーズ、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス」シリーズ、ゼネカ(株)製の「ネオレッツ」シリーズ等を用いることができる。
前記水系ポリウレタン樹脂組成物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールを基本骨格に持ち、カルボキシル基、スルホン基等のアニオン性基を持つ末端イソシアネートプレポリマーを水系溶媒に分散させた結果得られたものが好ましい。
前記水系樹脂組成物を基材上に塗布し、次いで水系溶媒を除去することによりプライマー層を形成することができる。水系樹脂組成物の塗布方法としては、ディップ法、スピンコート法等の公知の塗布法を用いることができる。塗布条件は、所望の膜厚のプライマー層を形成できるように適宜設定すればよい。塗布前には、被塗布面(基材表面等)に対し、酸、アルカリ、各種有機溶媒等による化学的処理、プラズマ、紫外線、オゾン等による物理的処理、各種洗剤を用いる洗剤処理を行うこともできる。このような前処理を行うことにより、被塗布面とプライマー層との密着性を向上させることができる。または、密着性向上のためには、塗布前にレンズ全体に加熱処理(アニール)を施すことも有効である。このように加熱により密着性を向上できる理由は、被塗布面の表面状態が水系樹脂組成物中の樹脂成分が有する官能基と結合ないしは吸着しやすいように改質されることにあると考えられる。上記加熱処理は、例えば、塗布前のレンズ全体を40〜80℃程度に温度制御された加熱炉内に5分〜1時間程度配置することにより行うことができる。また、上記加熱処理後に一旦冷却することにより、プライマー液の塗布時に膜厚を安定させることができる。この冷却処理は、加熱処理後の部材を炉外に取り出し所定時間放置し室温に戻すことにより行うことができる。
上記塗布後の水系溶媒の除去は、例えば室温〜100℃の雰囲気中に5分〜24時間、プライマー層を形成したレンズを配置すること(乾燥工程)により行うことができる。ここでは、水系溶媒が完全に除去されることは必須ではなく、形成される被膜(プライマー層)が適度な硬度を有する程度に溶媒が除去されればよい。後述するようにハードコート層は硬化処理を経て形成されるが、プライマー層も硬化処理を経て形成するものであると、プライマー層、ハードコート層を形成するために、それぞれ硬化処理を行う必要がある。これに対し、水系樹脂組成物は、通常、硬化性成分を含まないため、加熱や光照射といった硬化処理を行うことなく成膜可能である。この点は、製造工程の簡略化の観点からきわめて有利である。
ハードコート液、ハードコート層
ハードコート液は、上記方法で形成したプライマー層上に直接塗布される。ハードコート液は、硬化性成分と溶媒とを含む。溶媒としては、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類、セロソルブ類、またはこれらを数種類混合したものを挙げることができる。本発明では、上記溶媒の中から、プライマー層形成に使用する水系樹脂組成物のSP値に基づき決定した許容不可範囲外のSP値を有する溶媒を選択し、ハードコート液の調製のために使用する。
以下、上記の点について、更に詳細に説明する。
溶解パラメータ(SP値)とは、溶解性の尺度であり、公知の溶剤については、そのSP値がハンドブック等の公知文献に示されている。また、公知文献に記載のないSP値は、公知の方法で測定することができる。
SP値の測定方法としては、例えば、以下の方法を採用できる[参考文献:SUH、CLARKE、J.P.S.A−1、5、1671〜1681(1967)]。
測定温度:20℃
サンプル:測定対象物0.5gを100mlビーカーに秤量し、良溶媒10mlをホールピペットを用いて加え、マグネティックスターラーにより溶解する。
溶媒:
良溶媒…ジオキサン、アセトンなど
貧溶媒…n−ヘキサン、イオン交換水など
濁点測定:50mlビュレットを用いて貧溶媒を滴下し、濁りが生じた点を滴下量とする。
SP値δは次式によって与えられる。
Vi:測定対象物の分子容(ml/mol)
φi:濁点における各測定対象物の体積分率
δi:測定対象物のSP値
ml:低SP貧溶媒混合系
mh:高SP貧溶媒混合系
前述のように、プライマー層形成のために使用する水系樹脂組成物のSP値(SP1)の近傍のSP値を有する溶媒を使用して調製したハードコート液から形成されたハードコート層は、プライマー層との密着性に劣るものとなることが、本発明者によって見出された。そこで、本発明では、上記水系樹脂組成物のSP値(SP1)を含む範囲を、「許容不可範囲」と規定し、この規定された許容不可範囲内のSP値を有する溶媒はハードコート液に使用せず、許容不可範囲外のSP値を有する溶媒を選択してハードコート液を調製するために使用する。これにより、プライマー層とハードコート層の密着性が良好な眼鏡レンズを得ることができる。
上記許容不可範囲は、例えばSP1を中心値とする、SP1±Xの範囲に規定することができる。ここで上記Xは、予備実験を行い決定することができるが、本発明者の検討によれば、1≦X≦2の範囲において、ハードコート層とプライマー層との密着性が良好になることが確認されている。したがって、許容不可範囲の好ましい例としては、SP1±X(1≦X≦2)の範囲を挙げることができる。なお、SP1を許容不可範囲の中心値とすることは必須ではなく、許容不可範囲の下限値寄り、または上限値寄りにSP1があってもよい。
ハードコート液に使用する溶媒のSP値は、一態様では許容不可範囲より小さく、他の態様では許容不可範囲より大きい。水系樹脂組成物のSP値にもよるが、一般に入手可能な水系樹脂組成物のSP値は10〜12程度であり、これに基づき決定される許容不可範囲より大きなSP値を有する溶媒は、水系樹脂組成物中の樹脂成分に対する溶解性の点から望ましくないものが多い。したがって、本発明では、許容不可範囲より小さいSP値を有する溶媒を、ハードコート液調製のために選択することが好ましい。
水系樹脂組成物として、SP値が10〜12程度のものを使用する場合に好適なハードコート液溶媒としては、SP値が9未満、例えば7以上9未満程度の溶媒を挙げることができる。そのような溶媒の具体例としては、メチルイソブチルケトン(SP値:8.10)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値:8.73)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(SP値:8.91)等を挙げることができる。ただし、上記の通り、本発明において使用されるハードコート液溶媒は、プライマー層形成に使用する水系樹脂組成物のSP値に基づき選択されるものであって、上記具体例に限定されるものではない。また、ポリウレタン樹脂を樹脂成分として含む水系樹脂組成物(水系ポリウレタン樹脂組成物)を使用する場合には、アセチル基(CH3(C=O)−)を含む溶媒を使用することが好ましい。これは、ウレタン結合とアセチル基との親和性が良好であるため、アセチル基を含む溶媒は、水系ポリウレタン樹脂組成物から形成されたプライマー層への塗布適性に優れるためである。
ハードコート層に含まれる硬化性成分は、光硬化性成分であっても熱硬化性成分であってもよい。一般に、熱硬化型のハードコート層は、光硬化型のハードコート層と比べて密着性を確保することが容易である。したがって本発明は、熱硬化型ハードコート層と比べて密着性が低い傾向がある光硬化型のハードコート層に対して適用することが好ましい。
光硬化性のハードコート液としては、硬化性成分として多官能アクリレート系化合物を含有するものが、高い耐スクラッチ性を有するハードコート層を形成できるため好ましい。
前記多官能アクリレート系化合物とは、分子中に少なくとも2個のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有する化合物であり、具体的には、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ホスファゼン化合物のホスファゼン環にアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が導入されたホスファゼン系アクリレート化合物またはホスファゼン系メタクリレート化合物、分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートと少なくとも1個のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基および水酸基を有するポリオール化合物との反応により得られるウレタンアクリレート化合物やウレタンメタクリレート化合物、分子中に少なくとも2個のカルボン酸ハロゲン化物と少なくとも1個のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基および水酸基を有するポリオール化合物との反応により得られるポリエステルアクリレート化合物、ポリエステルメタクリレート化合物、ならびに上記各化合物の2量体、3量体などのようなオリゴマーなどが挙げられる。
これらの化合物はそれぞれ単独または2種以上を混合して用いることができる。なお、上記の多官能(メタ)アクリレートの他に、ハードコート液の硬化時の固形分に対して、好ましくは10.0質量%以下の、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の中から選択される少なくとも1種の単官能(メタ)アクリレートを配合してもよい。
また、ハードコート液には、形成されるハードコート層の硬度を調整する目的で重合性オリゴマーを添加することができる。このようなオリゴマーとしては、末端(メタ)アクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリ(メタ)アクリレート、末端(メタ)アクリレートポリスチレン、末端(メタ)アクリレートポリエチレングリコール、末端(メタ)アクリレートアクリロニトリル−スチレン共重合体、末端(メタ)アクリレートスチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体などのマクロモノマーを挙げることができる。その含有量はハードコート液の硬化時の固形分に対して、好ましくは5.0〜50.0質量%である。
上記重合性成分は、公知の方法で合成することができ、または市販されているものを用いることもできる。市販の化合物として具体的には、「NKハードM101」(新中村化学(株)製、ウレタンアクリレート化合物)、「NKエステルA−TMM−3L」(新中村化学(株)製、テトラメチロールメタントリアクリレート)、「NKエステルA−9530」(新中村化学(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、「KAYARAD(登録商標)DPHAシリーズ」(日本化薬(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物)、「KAYARAD(登録商標)DPCAシリーズ」(日本化薬(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物の誘導体)、「アロニックス(登録商標)M−8560」(東亜合成(株)製、ポリエステルアクリレート化合物)、「ニューフロンティア(登録商標)TEICA」(第一工業製薬(株)製、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート)、「PPZ」(共栄社化学(株)製、ホスファゼン系メタクリレート化合物)などが例示される。また、ハードコート液は、公知の光重合開始剤を含むこともできる。光重合開始剤の種類および使用量は、特に限定されるものではなく適宜設定することができる。
ハードコート液は、プライマー層形成に使用する水系樹脂組成物のSP値に基づき選択された溶媒を、上記重合性成分と混合することにより調製される。ハードコート液中の溶媒量は、ハードコート液全質量を基準として、通常30〜90質量%程度であるが、塗布可能な程度の粘度を有する範囲であればよく、特に限定されるものではない。
上記ハードコート液をプライマー層上に塗布し、必要に応じて乾燥させた後に硬化処理を施すことにより、ハードコート層を形成することができる。塗布は、ディップ法、スピンコート法等の公知の塗布法を用いることができる。塗布条件は、所望の膜厚のハードコート層を形成できるように適宜設定すればよい。照射する光は、例えば電子線または紫外線であり、照射する光の種類および照射条件は、使用する重合性成分の種類に応じて適宜選択される。形成されるハードコート層の厚さは、耐スクラッチ性の点からは0.5〜10μm程度であることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、プライマー層形成に使用する水系樹脂組成物のSP値に基づき選択された溶媒を用いてハードコート液を調製することにより、ハードコート層とプライマー層との密着性が高く、保管時ないし使用時にハードコート層の剥がれや剥離が発生することのない高い耐久性を有する眼鏡レンズを得ることができる。
本発明の眼鏡レンズは、前述のように、プライマー層と基材との間に、他の層を有することもできる。他の層としては、偏光性能を付与するための偏光層、調光性能を付与するためのフォトクロミック層等を挙げることができる。本発明者の検討によれば、水系樹脂組成物は、二色性色素を含む偏光層への塗布適性に優れる。これは一般に二色性色素は水溶性であるため、水系樹脂組成物と馴染みやすいからと考えられる。したがって、本発明の好ましい態様としては、基材上に偏光層を形成した後に、該偏光層上にプライマー層を形成する態様を挙げることができる。
通常、偏光層の偏光性能は、二色性色素を一軸配向させることにより発現される。このように二色性色素を一軸配向させるために、溝を有する表面上に偏光層塗布液を塗布することが広く行われている。上記溝は、基材表面に形成してもよいが、特許文献1〜3に記載されているように、基材上に設けた配列層の表面に形成することが、二色性色素の偏光性能を良好に発現させるうえで有利である。また、プライマー層形成前の偏光層には、膜安定性を高めるために塗布液を塗布乾燥した後に非水溶化処理を施すことが好ましく、また、膜強度および安定性を高めるために二色性色素の固定化処理(色素を固定するための保護層の形成)を施すことが好ましい。この固定化処理は非水溶化処理の後に行うことが望ましい。固定化処理により、偏光膜中で二色性色素の配向状態を固定化することができる。
配列層と二色性色素を含む偏光層を有する偏光レンズの詳細については、例えば特表2008−527401号公報段落[0056]〜[0100]およびその実施例、特開2009−237361号公報段落[0013]〜[0024]、[0026]〜[0036]およびその実施例に記載があり、本発明でも、上記記載に従い、プライマー層と基材との間に偏光層を有する眼鏡レンズを製造することができる。
本発明では、ハードコート層の上に、更なる機能性膜を形成することもできる。例えば、機能成膜として反射防止膜を形成する場合、反射防止膜としては、公知の無機酸化物よりなる単層、多層膜を使用することができる。この無機酸化物としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化イットリウム(Y23)等が挙げられる。その形成方法は特に限定されるものではない。反射防止膜の厚さは、例えば0.1〜5μmとすることができる。また、更なる機能性膜として、撥水膜、紫外線吸収膜、赤外線吸収膜、フォトクロミック膜、帯電防止膜等も積層可能である。
以上説明した本発明の製造方法により製造される眼鏡レンズは、プライマー層とハードコート層との密着性に優れるため、長期にわたり優れた耐久性を示すことができる。
以下に、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
1.溶媒のSP値
表1に示す溶媒を、ハードコート液調製のための候補溶媒とした。公知文献に記載の各溶媒のSP値を、表1に示す。
2.水系ポリウレタン樹脂組成物の調製およびSP値の測定
株式会社ADEKA製商品名アデカボンタイターHUX−232(ポリエステルポリオールを基本骨格にもちカルボキシル基を含有する末端イソシアネートプレポリマーを水に分散させた結果得られた水分散液、固形分30質量%、樹脂成分の粒径0.1μm未満、25℃での粘度20mPa・s、25℃でのpH8.5)をPGMにて6倍に希釈することにより、プライマー層形成に使用する水系ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
調製した水系ポリウレタン樹脂組成物のSP値を、前述の方法で実測したところ、11.0であった。
3.偏光レンズの作製
(1)配列層の形成
レンズ基材として、ポリウレタンウレアンレンズ(HOYA株式会社製商品名フェニックス、屈折率1.53、ハードコート付き、直径70mm、ベースカーブ4、中心肉厚1.5mm)を用いて、レンズ凹面に真空蒸着法により、厚さ0.2μmのSiO2膜を形成した。
形成されたSiO2膜に、研磨剤含有ウレタンフォーム(研磨剤:フジミインコーポレー テッド社製商品名POLIPLA203A、平均粒径0.8μmのAl23粒子、ウレタンフォーム:球面レンズの凹面の曲率とほぼ同形状)を用いて、一軸研磨加工処理を回転数350rpm、研磨圧50g/cm2の条件で30秒間施した。研磨処理を施したレンズは純水により洗浄、乾燥させた。
(2)偏光膜の形成
レンズを乾燥後、研磨処理面上に、水溶性の二色性色素(スターリング オプティクス インク(Sterling Optics Inc)社製商品名Varilight solution 2S)の約5質量%水溶液2〜3gを用いてスピンコートを施し、偏光膜を形成した。スピンコートは、色素水溶液を回転数300rpmで供給し、8秒間保持、次に回転数400rpmで45秒間保持、さらに1000rpmで12秒間保持することで行った。
次いで、塩化鉄濃度が0.15M、水酸化カルシウム濃度が0.2MであるpH3.5の水溶液を調製し、この水溶液に上記で得られたレンズをおよそ30秒間浸漬し、その後引き上げ、純水にて充分に洗浄を施した。この工程により、水溶性であった色素は難溶性に変換される(非水溶化処理)。
(3)固定化処理
上記(2)の後、レンズをγ−アミノプロピルトリエトキシシラン10質量%水溶液に15分間浸漬し、その後純水で3回洗浄し、加熱炉内(炉内温度85℃)で30分間加熱処理した後、炉内から取り出し室温まで冷却した。
上記冷却後、レンズをγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2質量%水溶液に30分浸漬した。上記固定化処理後、レンズを加熱炉内(炉内温度60℃)で30分間加熱処理した後、炉内から取り出し室温まで冷却した。
以上の処理後、形成された偏光膜の厚さは、約1μmであった。
(4)水系樹脂層(プライマー層)の形成
上記冷却処理後の偏光膜表面に、スピンコート法により、前記水系ポリウレタン樹脂組成物を塗布した。スピンコートは、上記組成物を偏光膜上に回転数100rpmで供給し、10秒間保持、次に回転数400rpmで10秒間保持、さらに1000rpmで30秒間保持することで行った。
スピンコート後、レンズを加熱炉(炉内温度60℃)で30分間乾燥処理し水分を除去することによって、偏光膜上にプライマー層(水系ポリウレタン樹脂層)を形成した。形成されたプライマー層の厚さは、0.30μmであった。
なお、使用した水系ポリウレタン樹脂組成物の前記した方法で測定される膜特性は、ガラス転移温度Tgが−18℃、鉛筆硬度がH、引っ張り強度は49MPaである。
(5)ハードコート層の形成
上記(4)の処理を施したレンズにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製KAYARAD DPHA)1000質量部、表1に示す溶媒3000質量部、光重合開始剤(チバジャパン製Irgacure819)30質量部を混合した塗布液をスピンコート(1000rpmで、30秒保持)により塗布した。塗布後、紫外線照射装置によりUV照射光量1200mJ/cm2で硬化し、厚さ4.5μmのハードコートを得た。
以上の工程により、図1に示す層構成を有する偏光レンズを合計3枚用意した。
4.評価方法
(1)初期密着性の評価
作製直後のレンズについて、以下の方法で密着性を評価した。
<密着性評価方法>
ハードコート層に1.5mm間隔で100目クロスカットし、このクロスカットしたところに粘着テープ(ニチバン株式会社製セロファンテープ)を強く貼り付けた後、粘着テープを急速に剥がした後の硬化膜の100目中の剥離マス目数を調べた。判断基準は以下の通りである。
(評価基準)
○ 剥離マス目数0〜2/100
△ 剥離マス目数3〜5/100
× 剥離マス目数6以上/100
(2)耐温水性試験後の密着性
異なる溶媒を用いて作製した各偏光レンズについて、50℃の温水に24時間浸漬した後に風乾させた偏光レンズの密着性を上記方法で評価した。
(3)耐湿性試験後の密着性
実施例、比較例の各偏光レンズについて、温度40℃かつ湿度90%RHの環境下で168時間保管した後の偏光レンズの密着性を上記方法で評価した。
以上の結果を、下記表2に示す。
5.評価結果
表2に示すように、レンズ4、5は、作製直後、耐温水性試験後、耐湿性試験後のいずれにおいてもハードコート膜とプライマー層との密着性が低かったのに対し、レンズ1〜3は、いずれの評価においても高い密着性を示した。レンズ4、5について、密着性評価においてハードコート層が剥離した部分を観察したところ、剥離部分にプライマー層が残留していたことから、プライマー層と偏光層との密着性が原因ではなく、ハードコート層とプライマー層との密着性が低いことが、剥離の原因であることが確認できる。
図2は、ハードコート液調製に使用した溶媒のSP値と、プライマー層形成に使用した水系ポリウレタン樹脂組成物のSP値との関係を示す図である。図2から、水系ポリウレタン樹脂組成物のSP値に近い範囲内のSP値を有する溶媒を使用するとハードコート層の密着性が低下し、上記範囲外のSP値を有する溶媒を使用するとハードコート層の密着性が良好であるという明確な傾向があることが確認できる。この場合には、図2に示すように、水系ポリウレタン樹脂組成物のSP値(SP1)を基準として、「SP1±2」を許容不可範囲に設定することにより、プライマー層との密着性が良好なハードコート層を形成することができる。
以上の結果から、プライマー層形成に使用する水系樹脂組成物のSP値を基準として、ハードコート液調製に使用する溶媒を選択することにより、プライマー層とハードコート層との密着性が良好な眼鏡レンズを製造できることが示された。
本発明は、偏光レンズ等の各種眼鏡レンズの製造分野に有用である。

Claims (4)

  1. 水系溶媒中に樹脂成分が分散ないし溶解された水系樹脂組成物を基材上に塗布し、次いで上記水系溶媒を除去することによりプライマー層を形成すること、および、
    形成されたプライマー層上に直接、硬化性成分と溶媒とを含むハードコート液を塗布し、次いで硬化処理を施すことによりハードコート層を形成すること、
    を含む、基材上にプライマー層とハードコート層とをこの順に有する眼鏡レンズの製造方法であって
    前記水系樹脂組成物の溶解パラメータは10〜12の範囲であり、
    前記ハードコート液に含まれる溶媒は、溶解パラメータが7以上9未満の有機溶媒である眼鏡レンズの製造方法
  2. 前記水系樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂成分を含む請求項1に記載の眼鏡レンズの製造方法。
  3. 前記硬化性成分は光硬化性成分であり、前記硬化処理を光照射により行う、請求項1または2に記載の眼鏡レンズの製造方法。
  4. 前記基材上に偏光層を形成した後に、該偏光層上に前記プライマー層を形成する、請求項1〜のいずれか1項に記載の眼鏡レンズの製造方法。
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