JP6016409B2 - 眼鏡レンズおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、眼鏡レンズに関するものであり、詳しくは、厚膜の硬化被膜の形成と耐久性の向上とを両立した眼鏡レンズに関するものである。
眼鏡レンズは、一般に、レンズ基材により所望の屈折率を実現した上で、レンズ基材上に設けられる機能性膜により各種性能(調光性能、反射防止能、耐久性向上等)が付与される。
レンズ基材上に設けられる機能性膜について、特許文献1には、当該機能性膜を厚膜化することが提案されている。
特開2010−128423号公報
特許文献1では、眼鏡レンズの外観不良の原因となる干渉縞の発生を防ぐために、レンズ基材上に形成するハードコート層等の機能性膜の膜厚を、所定の関係式を満たす中で厚膜化することが提案されている。しかるに、加熱等の硬化処理により形成される硬化被膜は、厚膜化するほど硬化時の収縮量が多くなるため、硬化時にクラックが発生しやすい傾向がある。また、スピンコートにより硬化被膜形成用塗布液を塗布する方法において厚膜の被膜を形成するためには、スピンコートの回転数を低下させる、塗布液の粘度を上げる、塗布量を増やす、といった手段を取ることになるが、いずれの手段も厚膜の被膜を形成しようとするほどに面内で膜厚のばらつきが大きくなる傾向がある。この傾向は、ディップコート法等のスピンコート以外の塗布方法でも見られるものであるが、膜厚が厚くなった部分はクラック発生の起点となる可能性がある。
このように、眼鏡レンズにおいて硬化被膜の厚膜化と耐久性向上を両立することは、従来困難であった。
そこで本発明の目的は、厚膜の硬化被膜を備えた、優れた耐久性を有する眼鏡レンズを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた。その検討の中で本発明者らは、硬化被膜を三層以上に分割し累積成膜することで、厚膜の硬化被膜におけるクラック発生の課題を解決することを考えた。しかるに、硬化被膜を単に積層するのみでは、層間の密着が弱いため耐候性試験を行うと層間から剥離が発生してしまい優れた耐久性を有する眼鏡レンズを得ることはできなかった。そこで更に本発明者らが、密着性向上に寄与する水系樹脂層を硬化被膜間に介在させることを試みたところ、眼鏡レンズの保管中ないし長期使用中に硬化被膜にクラックが発生し、また何らかの原因により最表層の硬化被膜に傷が入った場合には、水系樹脂層が存在するにもかかわらず、その傷に起因して層間剥離が生じてしまうという新たな課題が存在することが明らかとなった。
そこで本発明者らは、上記新たな課題を解決するために更なる検討を重ねた結果、硬化被膜間の水系樹脂層の膜厚が0.5μm超では、累積成膜された硬化被膜中の硬化被膜の破壊荷重値が、層間剥離が発生する荷重値を上回るため、最表層の硬化被膜の傷に起因して層間剥離が優先して発生してしまうのに対し、硬化被膜間の水系樹脂層の膜厚が0.5μm以下になると、0.5μm超の場合と比べて硬化被膜の破壊荷重値が上昇し剥離が発生する荷重値と一致するという、従来知られていなかった現象を見出すに至った。したがって、上記現象に起因し、三層以上の硬化被膜を累積成膜するにあたり硬化被膜間に形成する水系樹脂層の膜厚を0.5μm以下とすれば、硬化被膜の破壊耐性が向上するため上記したクラックの発生を防ぐことができるとともに、層間剥離も抑制できることとなる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]レンズ基材上に、三層以上の硬化被膜が水系樹脂層を介して累積成膜された積層構造を有し、該硬化被膜間に存在する水系樹脂層の膜厚は0.5μm以下であることを特徴とする眼鏡レンズ。
[2]硬化被膜の表層側表面はプラズマ処理面である[1]に記載の眼鏡レンズ。
[3]前記硬化被膜は、有機ケイ素化合物および金属酸化物粒子を含む熱硬化性組成物を加熱処理することで形成された硬化被膜である[1]または[2]に記載の眼鏡レンズ。
本発明によれば、優れた耐久性を有する眼鏡レンズを提供することができる。
実施例および比較例における層間水系樹脂層の膜厚と層間剥離荷重値、硬化被膜破壊荷重値との関係を示すグラフである。
本発明は、レンズ基材上に、三層以上の硬化被膜が水系樹脂層を介して累積成膜された積層構造を有し、該硬化被膜間に存在する水系樹脂層の膜厚は0.5μm以下であることを特徴とする眼鏡レンズに関する。本発明の眼鏡レンズは、三層以上の硬化被膜が膜厚0.5μm以下の水系樹脂層を介して累積成膜されていることで、層間剥離およびクラックの発生を防ぐことができる。これにより本発明の眼鏡レンズは、長期にわたり優れた耐久性を維持することができる。
以下、本発明の眼鏡レンズについて、更に詳細に説明する。
レンズ基材は、眼鏡レンズのレンズ基材に通常使用される材料、例えば、ポリウレタン系材料(例えばポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリチオウレタン)、ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等のプラスチック、無機ガラス、等からなるものであることができる。レンズ基材の厚さおよび直径は、特に限定されるものではないが、通常、厚さは1〜30mm程度、直径は50〜100mm程度である。本発明の眼鏡レンズが視力矯正用の眼鏡レンズの場合、レンズ基材としては、屈折率ndが1.5〜1.8程度のものを使用することが通常である。レンズ基材としては、通常無色のものが使用されるが、透明性を損なわない範囲で着色したものを使用することもできる。また、その上に硬化被膜が形成される基材の表面形状は特に限定されず、平面、凸面、凹面等の任意の形状であることができる。
レンズ基材上には、三層以上の硬化被膜が水系樹脂層を介して設けられるが、レンズ基材側の硬化被膜とレンズ基材との間には、他の機能性膜が存在していてもよい。そのような機能性膜の一例としては水系樹脂層を挙げることができ、その詳細は後述する。レンズ基材と硬化被膜との間に位置する水系樹脂層の膜厚は、例えば0.05μm〜1.0μmの範囲が好適である。なお本発明における膜厚は、球面についてはレンズ幾何中心、非球面については平均曲率球面上の幾何中心における膜厚をいうものとする。
本発明の眼鏡レンズは、先に説明したようにクラックが発生しやすい単層厚膜の硬化被膜を有することに代え、三層以上の硬化被膜が水系樹脂層を介して累積成膜された積層構造を有する。各硬化被膜の膜厚は、クラック発生と均一な成膜を両立する観点から、0.5μm〜10μmの範囲とすることが好ましく、1.0μm〜5.0μmの範囲とすることがより好ましい。
本発明の眼鏡レンズにおいて、表層側からレンズ基材側に向かって、「硬化被膜/水系樹脂層/(硬化被膜/水系樹脂層)n/硬化被膜/任意に設けられる機能性膜(例えば水系樹脂層)/レンズ基材」の層構成において、nは1以上の整数であり、例えば1〜8の範囲の整数であることができる。上記積層構造の層厚を、例えば5μm〜50μmの範囲とすることで、厚膜の硬化被膜と同等の機能を持たせることができるうえに、単層厚膜の硬化被膜におけるクラック発生という課題の解決も可能となる。
本発明の眼鏡レンズに含まれる前記硬化被膜は、ハードコート層として機能し得る層であることが、耐久性向上の観点から好ましい。前記硬化被膜を形成するための硬化性組成物としては、熱硬化性組成物または光硬化性組成物を用いることができる。
熱硬化性組成物としては、有機ケイ素化合物および金属酸化物粒子を含む熱硬化性組成物が好ましい。そのような熱硬化性組成物を用いることで、レンズの耐久性向上に寄与するハードコート層を形成することができる。ハードコート層を形成可能な組成物の一例としては、特開昭63−10640号公報に記載されているものを挙げることができる。
また、上記有機ケイ素化合物の好ましい態様としては、下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物を挙げることもできる。
(R1a(R3bSi(OR24-(a+b) ・・・(I)
一般式(I)中、R1は、グリシドキシ基、エポキシ基、ビニル基、メタアクリルオキシ基、アクリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、フェニル基等を有する有機基を表し、R2は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアシル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、aおよびbはそれぞれ0または1を示す。
2で表される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖または分岐のアルキル基であって、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
2で表される炭素数1〜4のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、オレイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
2で表される炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
3で表される炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖または分岐のアルキル基であって、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
3で表される炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、特開2007−077327号公報段落[0073]に記載されているものを挙げることができる。一般式(I)で表される有機ケイ素化合物は硬化性基を有するため、塗布後に硬化処理を施すことにより、硬化膜としてハードコート層を形成することができる。
前記ハードコート層に含まれる金属酸化物粒子は、ハードコート層の屈折率の調整および硬度向上に寄与し得る。具体例としては、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化アンチモン(Sb25)等の粒子が挙げられ、単独または2種以上の金属酸化物粒子を併用することができる。金属酸化物粒子の粒径は、耐擦傷性と光学特性とを両立する観点から、5〜30nmの範囲であることが好ましい。同様の理由から、ハードコート層における金属酸化物粒子の含有量は、屈折率および硬度を考慮して適宜設定可能であるが、通常、ハードコート組成物の固形分あたり5〜80質量%程度である。また、上記金属酸化物粒子は、ハードコート層中での分散性の点から、コロイド粒子であることが好ましい。
上記成分および必要に応じて有機溶媒、界面活性剤(レベリング剤)等の任意成分を混合することで、硬化被膜形成用の熱硬化性組成物を調製することができる。一方、光硬化性組成物としては、アクリル系化合物等の光硬化性成分を含む組成物を用いることができる。
硬化被膜形成用組成物の塗布手段としては、スピンコーティング法、ディッピング法、スプレー法等の通常行われる方法を適用することができる。硬化のための加熱処理は、例えば熱硬化性組成物を塗布したレンズを50〜150℃の雰囲気温度の環境下に10分〜3時間程度配置することで行うことができる。複数の硬化被膜の硬化処理は、逐次行ってもよく、硬化被膜形成用組成物の塗布を順次行った後に、複数の硬化被膜を形成するための硬化処理を一度の加熱により行ってもよい。または、各層を形成するための硬化被膜形成用組成物を塗布した後に予備硬化処理を行い層間の成分の混ざり合いを防止することもできる。
硬化被膜間に形成される水系樹脂層は、樹脂成分と水系溶媒とを含有する水系樹脂組成物から水系溶媒を乾燥除去することにより形成される層であり、密着性向上のためのプライマー層として機能し得る。水系樹脂層の詳細については、特開2011−170339号公報段落[0036]〜[0044]を参照できる。水系樹脂層形成のための加熱処理は、例えば40〜100℃の雰囲気温度の環境下に5分〜24時間、水系樹脂組成物を塗布したレンズを配置することにより行うことができる。本発明の眼鏡レンズでは、三層以上の硬化被膜間に上記水系樹脂層が存在するため、合計で二層以上の水系樹脂層が含まれるが、このような層構成において水系樹脂層の膜厚が0.5μmを超えると、硬化被膜の破壊荷重値が層間剥離が発生する荷重値を上回ってしまうため、最表層の硬化被膜に傷が発生すると、硬化被膜の破壊に先駆けて層間剥離が発生してしまうため層間の密着性を維持することが困難となる。これに対し水系樹脂層の膜厚が0.5μm以下になると、後述の実施例で実証するように、上記2つの荷重値が一致するため、硬化被膜の破壊耐性の向上とともに層間剥離の防止が可能となる。各水系樹脂層の厚さは、0.5μm以下であり、均一な成膜を行うためには、0.05μm〜0.5μmの範囲とすることが好ましい。
上記の通り薄い水系樹脂層を形成する際には、硬化被膜表面上に水系樹脂組成物を塗布しようとすると液がはじかれてしまい、均一な塗布膜を形成することが難しい場合がある。そのような場合には、硬化被膜の水系樹脂層が形成される表面にプラズマ処理を施し、硬化被膜表面を易接着化(親水化)することが好ましい。プラズマ処理条件としては、出力10〜100W、処理時間10秒〜100秒程度とすることが好ましい。導入ガスは特に限定されず、例えば大気、酸素、窒素等を使用できる。なお、その上に硬化被膜が形成される水系樹脂層表面も同様にプラズマ処理してもよい。
更に本発明の眼鏡レンズは、最表層の硬化被膜上に一層以上の機能性膜を有することもできる。そのような機能性膜としては、反射防止膜、撥水膜、紫外線吸収膜、赤外線吸収膜、フォトクロミック膜、帯電防止膜等の機能性膜を挙げることができる。これらの機能性膜は、公知の方法で成膜可能である。
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例では、スピンコーターとしてミカサ株式会社製1H-DX IIを使用し、レンズ基材上に形成した全層の総膜厚は分光計により測定し、各層の膜厚は成膜条件から算出した。
[実施例1、2、比較例1〜4]
1.ハードコート形成用塗布液の調製
有機ケイ素化合物γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM−403)17質量部にメタノールを溶媒として30質量部添加した。
これを10分間撹拌した後にpH調整剤として1mol/Lの硝酸を1.2質量部添加し、さらに10分間撹拌した。こうして得られた溶液にコロイダルシリカ(GRACE社製ルドックスAM)44質量部を添加し24時間室温で撹拌した。
24時間撹拌後、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトナート1質量部とレベリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製FZ−77)0.1質量部を添加し、さらに48時間室温撹拌してハードコート形成用塗布液を調製した。得られた塗布液の粘度は9mPa・S(20℃)であった。
2.レンズ基材上へのプライマー層の形成
HOYA株式会社製プラスチックレンズ(商品名「ニュールックス」)の平面上に、以下の方法でスピンコート法により水系ポリウレタン樹脂層を形成した。
水系ポリウレタン樹脂組成物として、株式会社ADEKA製商品名アデカボンタイターHUX−232(ポリエステルポリオールを基本骨格にもちカルボキシル基を含有する末端イソシアネートプレポリマーを水に分散させた結果得られた水分散液、固形分30質量%、樹脂成分の粒径0.1μm未満、25℃での粘度20mPa・s、25℃でのpH8.5)をプロピレングリコールモノメチルエーテルにて6倍に希釈したものを使用した。滴下量約1cc、スピンコート回転条件を500rpm/5sec→2000rpm/15secとして、上記組成物をレンズ平面上にスピンコートにより塗布した後、レンズを加熱炉内(炉内温度60℃)で20分間加熱処理することにより乾燥させて膜厚0.6μmのプライマー層(水系樹脂層)を形成した。
3.硬化被膜および水系樹脂層の累積成膜
(1)上記2.で形成したプライマー層を加熱炉から取り出した後に約5分間放冷した。その後、プラズマ処理装置(サムコ社製コンパクトエッチャー)を使用し、プライマー層表面をプラズマ処理した(プラズマ処理条件:20W/20sec、O2流量:20sccm)。
(2)プライマー層のプラズマ処理面に、上記1.で調製したハードコート形成用塗布液を、滴下量約1.5cc、スピンコート回転条件を200rpm/3sec→500〜1200rpm/5secとしてスピンコートにより塗布した。塗布後、レンズを加熱炉内(炉内温度60℃)で20分間加熱処理することで予備硬化させた。加熱炉内から取り出したレンズを約5分間放冷し、上記と同様の方法で予備加熱後のハードコート層表面をプラズマ処理した。
(3)上記ハードコート層プラズマ処理面に、上記2.で調製した水系ポリウレタン樹脂組成物を滴下量約1ccの、スピンコート回転条件を500rpm/5sec→500rpm以上/15secとしてスピンコートにより塗布した後、レンズを加熱炉内(炉内温度60℃)に配置し20分間加熱処理することで乾燥させてプライマー層(水系樹脂層)を形成した。その後、形成したプライマー層表面に、上記と同様の方法でプラズマ処理を施した。
(4)上記(3)で形成したプライマー層のプラズマ処理面に、上記(2)と同様の方法でハードコート層の形成およびプラズマ処理を行った。
(5)上記(4)で形成したハートコート層のプラズマ処理面に、上記(3)と同様の方法でプライマー層(水系樹脂層)の形成およびプラズマ処理を行った。
(6)上記(5)で形成したプライマー層のプラズマ処理面に、上記(2)と同様の方法でハードコート層の形成を行った。
(7)以上の工程でレンズ基材上にプライマー層とハードコート層を積層したレンズを、加熱炉内(炉内温度100℃)に配置し120分間加熱処理することで、各ハードコート層を本硬化させた。
以上により、レンズ基材側から表層側に向かって、プライマー層1/ハードコート層1/プライマー層2/ハードコート層2/プライマー層3/ハードコート層3、がこの順に累積成膜された眼鏡レンズを得た。実施例、比較例で形成した各ハードコート層の膜厚は2.4μm、ハードコート層間の各プライマー層の膜厚はスピンコート回転条件により制御した結果、下記表1に示す値となった。
[比較例5]
上記3.において層間プライマー層の形成を行わなかった点以外は同様として、レンズ基材側から表層に向かって、プライマー層1/ハードコート層1/ハードコート層2/ハードコート層3、がこの順に累積成膜された眼鏡レンズを得た。比較例5の眼鏡レンズにおける各ハードコート層の膜厚は2.4μmであった。
層間剥離荷重およびハードコート破壊荷重の測定
連続荷重式引っ掻き試験機を用いて、以下の方法により層間剥離荷重値、破壊荷重値を測定した。
測定対象レンズを連続荷重式引っ掻き試験機に設置し、最表層の硬化被膜表面上で傷つけツールを水平方向0.25mm/secで移動させ、垂直方向に0.25g/secで連続的に荷重をかけることにより表面に傷をつけ、その時の垂直方向分力および水平方向分力を同時に計測し、その波形より層間剥離荷重値および破壊荷重値を求めた。水平方向分力の波形から発生している現象(層間剥離、ハードコート破壊)を判断することができ、当該現象が発生した垂直方向分力を層間剥離荷重値、ハードコート層破壊荷重値として決定した。傷つけツールは多結晶ダイヤモンドバイト(先端径R0.06mm)を使用した。
得られた結果を、プライマー層2、3の膜厚に対してプロットしたグラフが図1である。下記表1に、図1に示した層間剥離荷重値とハードコート破壊荷重値の大小関係を示す。
上記方法で測定される層間剥離荷重値がハードコート層破壊荷重値を上回る眼鏡レンズでは、傷のある最表層ハードコート層に何らかの荷重が加わると層間剥離が発生しやすく密着性に劣るものとなり、また、軽荷重の負荷でも傷として認識されやすい。図1に示すように、層間プライマー層の膜厚が0.5μm以下になると、層間剥離荷重値がハードコート層破壊荷重値と一致するという、従来知られていなかった現象が見られた。この結果から、三層以上の硬化被膜が水系樹脂層を介して累積成膜された眼鏡レンズでは、層間の水系樹脂層の膜厚を0.5μm以下とすることで、層間剥離を抑制できることが確認できる。
ハードコート層耐久性の評価
上記実施例、比較例の眼鏡レンズをQ−Lab社製QUV紫外線蛍光管式促進耐候試験機において紫外線照射と暗所での結露発生のサイクルを250時間繰り返した後、蛍光灯下でハードコート層におけるクラックの有無を評価したところ、比較例1〜4の眼鏡レンズでは重度のクラックが発生していたのに対し、実施例1、2の眼鏡レンズではクラックは確認されなかった。また、層間にプライマー層を形成しなかった比較例5の眼鏡レンズでは、層間剥離の発生が確認された。
以上の結果から、レンズ基材上に、三層以上の硬化被膜が水系樹脂層を介して累積成膜された積層構造を有する眼鏡レンズにおいて、層間の水系樹脂層の膜厚を0.5μm以下とすることで、層間の密着性および硬化被膜の耐久性の両立が可能となることが確認された。
本発明は、眼鏡レンズの製造分野に有用である。

Claims (5)

  1. レンズ基材上に、三層以上の硬化被膜が水系ポリウレタン樹脂層を介して累積成膜された積層構造を有し、
    前記硬化被膜は、有機ケイ素化合物および金属酸化物粒子を含む硬化性組成物を硬化した硬化被膜であり、かつ
    前記硬化被膜間に存在する水系ポリウレタン樹脂層の膜厚は0.5μm以下であることを特徴とする眼鏡レンズ。
  2. 硬化被膜の表層側表面はプラズマ処理面である請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  3. 眼鏡レンズの製造方法であって、
    前記眼鏡レンズは、レンズ基材上に、三層以上の硬化被膜が水系ポリウレタン樹脂層を介して累積成膜された積層構造を有し、該硬化被膜間に存在する水系ポリウレタン樹脂層の膜厚は0.5μm以下である眼鏡レンズであり、
    前記硬化被膜を、有機ケイ素化合物および金属酸化物粒子を含む硬化性組成物を硬化することにより形成することを含む、前記眼鏡レンズの製造方法。
  4. 前記硬化を、加熱処理により行う請求項3に記載の眼鏡レンズの製造方法。
  5. 前記眼鏡レンズに含まれる前記硬化被膜の表層側表面はプラズマ処理面である、請求項3または4に記載の眼鏡レンズの製造方法。
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