JP5570124B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法,静電記録法,トナージェット方式記録法などを利用した記録方法に用いられるトナーに関する。詳しくは、本発明は、静電潜像担持体上にトナー画像を形成後、転写材上に転写させてトナー画像を形成し、熱圧力下で定着して定着画像を得る、複写機、プリンター、ファックスに用いられるトナーに関する。
近年、電子写真装置に於いても省エネルギー化が大きな技術的課題として考えられ、定着装置にかかる熱量の大幅な削減が挙げられている。従って、トナーにおいて、より低エネルギーで定着が可能ないわゆる「低温定着性」のニーズが高まっている。
従来、より低温での定着を可能とするためには結着樹脂をよりシャープメルトにする手法が効果的な方法の一つとして知られている。この点においてポリエステル樹脂は優れた特性を示す。
一方、高画質化の別の観点として、高解像・高精細化の目的から、トナーの小粒径化・粒度分布シャープ化が進められるとともに、転写効率や流動性の向上の目的から球形のトナーが好適に用いられるようになってきている。そして効率的に小粒径で球形なトナー粒子を調製する方法としては、湿式法が用いられるようになってきている。
シャープメルトなポリエステル樹脂を用いることのできる湿式法として、樹脂成分を、水と非混和性である有機溶媒に溶解し、この溶液を水相中に分散して油滴を形成することにより、球形トナー粒子を製造する「溶解懸濁」法が提案されている(特許文献1)。この手法によれば、低温定着性に優れるポリエステルを結着樹脂とした小粒径で球形のトナーを簡便に得ることができる。
更に、上述したポリエステルを結着樹脂とした溶解懸濁法で生成されたトナー粒子において、更なる低温定着性を目的として、カプセル型のトナー粒子も提案されている。
特許文献2には以下の方法が提案されている。
ポリエステル樹脂、イソシアネート基を有する低分子化合物、およびその他の成分を酢酸エチルに溶解及び分散して油相を調製し、水中で液滴を調製する。これにより、液滴界面でイソシアネート基を有する化合物を界面重合させることで、ポリウレタンもしくはポリウレアを最外殻としたカプセルトナー粒子を調製する。
また、特許文献3、4には、それぞれビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかまたはそれらを併用した樹脂微粒子の存在下で溶解懸濁法によりトナー母粒子を調製し、上記樹脂微粒子でトナーの母粒子の表面が被覆されたトナー粒子を調製する手法が提案されている。
特許文献5には、ウレタン変性ポリエステル樹脂微粒子を分散剤として用いた溶解懸濁法によるトナー粒子が提案されている。
特許文献6には、ポリウレタン樹脂(a)からなる皮膜状の1層以上のシェル層(P)と樹脂(b)からなる1層のコア層(Q)とで構成されるコア・シェル型のトナー粒子が提案されている。
このコア・シェル型のトナー粒子においては、コア部分を低粘度にし、耐熱性保存性に劣る性質を、シェル部分の耐熱保存性で補う構成をとる。この場合、シェル部分はやや熱的に固いものを用いるために、高度に架橋したり、高い分子量にしたりするなどの工夫が必要であるため低温定着性を阻害してしまう傾向にある。
しかしながら、耐熱を満足するために、シェル部分に粘度の高い部材を用いた場合、定着性の阻害が発生し、十分な低温定着性を得ることが出来ない。そのためシェルに用いる材料は、耐熱保存性を満足できる範囲内で出来るだけ低粘度の材料を用いることが好ましい。
湿式法でコア・シェル型のトナーを作製する場合、トナー表面に極性の材料を配置することが可能である。また、樹脂微粒子を分散剤に用いる工程においては、樹脂微粒子が極性を持つことにより、水相となじみやすく、カプセル構造をとりやすくなる。
しかしながら、表層材料に極性基を持つ場合は、トナー表面の吸水による弊害を引き起こしやすかった。また表面材料が吸水量の大きい材料の場合、環境での帯電性が不安定になったり、また、吸水により粘度が下がり、高湿下で十分な耐熱保存性を得にくくなる。そのため表面材料の粘度を上げる必要があり、通常環境下で低温定着性を十分に発揮できなくなりやすかった。その結果、高湿下での耐熱性や長期耐久安定性、低湿下での定着性の両立を達成しにくいという問題があった。
特開平08−248680号公報 特開平05−297622号公報 特開2004−226572号公報 特開2004−271919号公報 特許3455523号 WO2005/073287
本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであり、低温定着性に優れたトナーでありながら、耐オフセット性が高く、帯電性にも優れたトナーを提供することにある。特に、環境での保存性を満足した上での、低温定着性を満足させることを目的とする。更に、文字、ライン、ドットが精細であり、高品位な画像を得ることにある。更に、小粒径で粒度分布がシャープで球形のトナーを提供することにある。
本発明のトナーは、ポリエステルを主成分とする樹脂(a)、着色剤及びワックスを含有するトナー母粒子(A)並びに前記トナー母粒子(A)の表面に形成された樹脂(b)を主成分とする表面層(B)を有するカプセル型のトナー粒子を含有するトナーであって、
前記樹脂(b)が、ウレタン結合を有する樹脂であり
前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による測定において、昇温速度が0.5℃/minで測定されたガラス転移温度をTg(0.5)とし、昇温速度が4.0℃/minで測定されたガラス転移温度をTg(4.0)としたとき、
Tg(0.5)が35℃以上60℃以下であり、
Tg(4.0)−Tg(0.5)が2.0℃以上10.0℃以下であり、
前記トナーの平均円形度が0.960以上0.990以下であり
度23℃の環境下で、前記トナーが入った試料セルを真空脱気した後、窒素を注入した試料セルを用いて測定した前記トナーのBET比表面積をS(0)(m/g)とし、
該BET比表面積S(0)を測定したトナーを温度40℃及び相対湿度95%の環境下に3日間放置した後、温度40℃及び相対湿度95%の環境下に3日間放置後のトナーが入った試料セルを温度23℃の環境下で真空脱気した後、窒素を注入した試料セルを用いて測定した前記トナーのBET比表面積をS(95)(m/g)としたとき、
BET比表面積の比{S(95)/S(0)}が0.8以上1.00以下であることを特徴とする。
本発明のトナーによれば低粘度、離型性、着色といった機能をトナー粒子がもっている。そのため、優れた低温定着性を実現する。また、本発明のトナーは、トナーの物性を特定の範囲とすることにより、トナーの表面層に耐熱保存性や現像性に係る機能をもたせるとともに、環境変動における表面層による低温定着の阻害性を抑制し、高品質な画像を得ることができる。更に、トナー飛散、かぶりといった問題を解決でき、加えて、低粘度である内部のシェルの影響を押さえることにより、帯電性、現像性、転写性、クリーニング性といった電子写真特性に求められる特性を満足できるトナーを提供することが可能となった。
本発明のトナーは、ポリエステルを主成分にする樹脂(a)、着色剤、及びワックスを少なくとも含有するトナー粒子を含有するトナーである。そして、特定の物性を満たすトナーであり、この物性を満たすトナーは、トナー表面とトナー内部の物性が異なるトナーである。このようなトナーには、トナー内部と外部で性質を異にしながら一体型で生成する一体型トナーと、母粒子の表面に表面層を形成するカプセル型トナーが存在する。カプセル型トナーとは、ポリエステルを主成分とする樹脂(a)、着色剤及びワックスを少なくとも含有するトナー母粒子(A)の表面に、樹脂(b)を主成分にする表面層(B)を有する構造である。本発明においては、カプセル型トナーが好ましく用いられるため、以下カプセル型トナーにより説明する。
本発明のトナーは、カプセル型構造を有する場合、表面層に比較的粘度の高いシェル層を設ける。本発明においては、樹脂の分散剤を用い、カプセル型トナーを生成することができる。カプセル型のトナーとして、表面層に比較的粘度の高いシェル層を設けることでコア部分の特性が発揮しにくく、着色剤の特性、ワックスの特性をコアに閉じ込めることが出来る。しかしながら、完全なカプセル型トナーになった場合においては、コア部分が有する低温定着性の特性が発揮されない。そのため、シェルの部分の低温定着性と耐熱保存性の両立が必要であり、粘度をコントロールしたシェル材料の設計が必要である。
低温定着を満足するためには、ガラス転移温度の低いトナー設計を用いることが有効であるが、耐熱保存性の両立から、適正の温度に設計することが好ましい。また、画像の保存安定性のためにも適切な、ガラス転移温度に設計することが望ましい。そのため本発明のトナーは、トナーの示差走査熱量計(DSC)による測定において、昇温速度が0.5℃/minで測定されたのガラス転移温度をTg(0.5)としたとき、Tg(0.5)が35℃以上、60℃以下であることを特徴とする。
好ましくは40.0℃以上58.0℃以下である。ガラス転移温度Tg(0.5)が35.0℃より小さい場合、低温での定着性に優れるものの、使用時に高温での巻きつき、オフセットという問題が発生しやすく、定着の温度領域が狭くなりやすい。また、トナーの保管時の安定性を損ねたり、定着後の画像保存時における画像安定性が不足しやすい。一方、ガラス転移温度Tg(0.5)が60.0℃を超える場合、トナーの低温定着性を実現し難い。
本発明のトナーは、DSC測定におけるガラス転移温度に、更なる特徴がある。
トナーのDSC測定においては、トナーのガラス転移温度が吸熱ピークとして観測されるが、本発明のトナーは、トナーのガラス転移点測定の昇温時において、昇温速度を変化させた場合、ガラス転移温度の変化が特定の関係を満足することを特徴とする。具体的には、昇温速度が4.0℃/minで測定されたガラス転移温度をTg(4.0)としたとき、Tg(4.0)−Tg(0.5)が2.0℃以上、10.0℃以下であることを特徴とする。昇温速度が0.5℃/minの場合、サンプルにおける熱の移動が平衡に達しや
すく、サンプル全体の値として観測される。一方、昇温速度が4.0℃/minの場合、測定サンプルのTgは、表層材料のTgに近い値として観察されやすい。本発明ではその差に着目した。
好ましくはTg(4.0)−Tg(0.5)が2.5℃以上8.0℃以下である。Tg(4.0)−Tg(0.5)が2.0℃より小さい場合、トナーの耐熱保存性が不十分になったり、トナーがワックス、着色剤の特性を封じ込めることが難しくなる。また、Tg(4.0)−Tg(0.5)が10.0℃より大きい場合、トナーは、十分なカプセル構造はとるものの、低温定着性を発揮できなくなる場合がある。また、トナーからのワックスの染み出しが不十分になり、使用時に定着部材への巻きつきが発生しやすい。
上記Tgの特性を達成するためには、トナー粒子がカプセル型の構造をとることが好ましく、トナー母粒子(A)と、樹脂(b)のそれぞれのTgの適正化が有効である。この場合表面に存在する樹脂(b)の被覆量、及び被覆状態を適正にすることで、上記範囲を満足することが出来る。
本発明のトナーは、トナーの平均円形度が0.960以上0.990以下である。トナーの平均円形度が0.960より小さい場合、転写効率の低下を引き起こしやすい。また、0.990を超えると、クリーニングの低下を引き起こしやすい。本発明では、溶解懸濁法を用いたトナー作製と、スラリー中での球形化処理などにより達成することが出来た。より好ましくは、トナーの平均円形度は0.965以上0.990以下である。
本発明のトナーは、トナーの表面比表面積をS(0)(m/g)、表面比表面積S(0)を測定した前記トナーを温度40℃、相対湿度95%に3日間放置した後で測定したトナーの表面比表面積をS(95)(m/g)とした場合、表面比表面積の比S(95)/S(0)が0.80以上1.00以下であることを特徴とする。上記範囲を満たすことによりトナーは、低湿及び高湿下においても保存安定性に優れ、外添剤劣化も少なく、低湿下においてもシェルの硬化が起こらず、優れた低温定着性を示す。
表面比表面積の比S(95)/S(0)が0.80より小さい場合、外添剤劣化によるトリボ低下、トナー凝集による現像効率の不良や、現像器内攪拌不良による画像低下を起こしやすい。また、クリーニング流動性不良によるクリーニングの低下を引き起こしやすい。表面比表面積の比S(95)/S(0)が1.00より大きい場合、外添剤遊離や乳化粒子のはがれが起こりやすく、結果、現像キャリア、現像スリーブ等の汚染を引き起こしやすくなる。表面比表面積の比S(95)/S(0)は0.85以上0.99以下であることが好ましく、より好ましくは0.90以上0.98以下である。
上記表面比表面積の比の値を範囲内に調整するためには、トナー粒子がカプセル型の構造をとることが好ましく、トナー粒子表面に存在する樹脂(b)のTgの適正化及び、吸水量を適性にすることで達成することが可能である。
本発明のトナーは、トナーに対する微小圧縮試験において、温度40℃、相対湿度95%で以下のように測定した復元率Z(95)が40%以上80%以下であることが好ましい。
1)トナーに、9.8×10−5N/secの負荷速度で最大荷重2.94×10−4Nをかけたときの変位量をXとする。
2)前記最大荷重をかけ終えた後、その荷重で0.1秒間放置したときの最大変位量をXとする。
3)前記放置終了後、9.8×10−5N/secの除荷速度で除荷し、荷重が0Nになったときの変位量をXとする。
4)前記最大変位量Xと変位量Xとの差を弾性変位率とし、前記弾性変位率の前記最大変位量Xに対する百分率[{(X−X)/X}×100]を復元率Zとする。
復元率Z(95)が40%より小さい場合、高湿下での力を受けた場合において、トナーが復元できず、トナーのひずみが生じたり、表面では外添剤がトナー中に埋め込まれやすくなりやすい。復元率Z(95)が80%を超える場合は、トナーのひずみが生じにくく外添剤のトナー中への埋め込みには有利なものの、トナー使用時における定着機内の変形において、トナーが変形しづらく、低温定着性を達成しにくくなる傾向にある。好ましくは、復元率Z(95)が45%以上80%以下であり、より好ましくは、復元率が50%以上75%以下である。
更に、本発明のトナーは、トナーに対する微小圧縮試験において、温度40℃、相対湿度95%で測定した、9.8×10−5N/secの負荷速度で最大荷重2.94×10−4Nをかけたときのトナーの変形量H(95)が5.00×10−4N/μm以上2.00×10−3N/μm以下であることが好ましい。変形量H(95)が5.00×10−4N/μmより小さい場合、機械的的ストレスでトナーの変形が起こりやすく、現像機内で凝集や割れ等が発生しやすくなりやすい。一方、変形量H(95)が2.00×10−3N/μmより大きい場合、トナーの変形は無起こりにくいが、低温での定着性が達成できない場合があったり、2色以上のトナーを混合して用いる場合に、混色性に劣り画像の色域が狭くなりやすい。好ましくは、変形量H(95)が6.00×10−4N/μm以上1.50×10−3N/μm以下であり、より好ましくは、変形量H(95)が7.00×10−4N/μm以上1.00×10−3Nμm以下である。
本発明のトナーは、トナーに対する微小圧縮試験において温度40℃、相対湿度95%で測定した、9.8×10−5N/secの負荷速度で最大荷重2.94×10−4Nをかけたときのトナーの変形量をH(95)、温度40℃、相対湿度0%で測定した、9.8×10−5N/secの負荷速度で最大荷重2.94×10−4Nをかけたときのトナーの変形量をH(0)とした場合、トナーの変形量の比H(0)/H(95)が5より小さいことが好ましい。トナーの変形量の比H(0)/H(95)が5以上の場合、湿度変化に対するトナーの変異量が大きいため、湿度の高低によりトナーが変化しやすく、画像に光沢などのムラが発生しやすい。好ましくは、トナーの変形量比H(0)/H(95)が4より小さく、更に好ましくは、トナーの変形量の比H(0)/H(95)が3より小さい。
上記範囲のトナーを達成するためには、トナーの吸水量、とりわけトナー表面の吸水性を制御することが必要である。本発明のトナーは、温度40℃、相対湿度95%で測定したトナーの吸水量が2.0%以下であることが好ましい。より好ましくは1.5%以下である。
トナー表面の吸水量を下げるためには、カプセル型トナーであれば、表層に用いる材料の吸水量を下げることが考えられる。しかしながら、湿式法でカプセル型のトナーを作製する場合、極性を持つ材料がトナー表面に配置しやすい。また、樹脂微粒子を分散剤に用いる工程においては、樹脂微粒子が極性を持っており水分のコントロールをしにくい。そこで、湿式法でカプセル型トナーを製造する場合には、極性を維持しながら吸水量の低い表層材料を用いることが好ましい。
本発明のトナーは、カプセル型トナーであれば表面層の吸水量を調整しトナー粒子の表面の吸水を抑制することもできる。すなわち、トナー粒子を水に分散して得た分散物を滴定法により測定して得たトナー粒子の酸価をUt(mgKOH/g)とし、トナー粒子の比表面積をSt(m/g)としたとき、0.20mgKOH/m≦(Ut/St)≦1.50mgKOH/mの関係を満足することが好ましい。(Ut/St)が0.20
mgKOH/mより小さい場合、吸水によるトナー表面強度の変化は小さいものの、低
湿度下での電化の保持性の不足や、チャージアップ等の帯電的問題を引き起こしやすい。また、(Ut/St)が1.50mgKOH/mより大きい場合、吸水によるトナー表
面粘度の変化か顕著になり、耐熱保存性、定着性の両立が厳しくなる。トナー粒子の酸価Utは0.20mgKOH/g以上、1.00mgKOH/g以下であることが好ましく、トナー粒子の比表面積Stは0.60m/g以上、2.00m/gが好ましい。
本発明のトナーは、上記吸収量を満たすため、本発明のトナーに用いるポリエステルを主成分にする樹脂(a)は、温度40℃、相対湿度95%で測定した、樹脂(a)の吸水量が2.0%以下であることが好ましく、より好ましくは、1.5%以下である。また、本発明のトナーは、カプセル型トナーにおいては、樹脂(b)は、温度40℃、相対湿度95%で測定した、樹脂(b)の吸水量が3.0%以下であることが好ましく、より好ましくは、2.5%以下である。
また、上記の樹脂(b)は、ウレタン樹脂を含有する樹脂であることが好ましく、樹脂(b)がウレタン樹脂を含有する場合には、ジイソシアネートを2.5mmol/g以上、3.5mmol/g以下含有することが好ましい。2.5mmol/gより低い場合、
カルボン酸、スルホン酸といった官能基を少なくし、吸水量を低くした場合、トナー作製がしにくくなったり、カプセル性が崩れ、十分なトナー性能を出しにくくなる。3.5mmol/gより多い場合、トナーの作製はしやすくなるものの、ウレタン樹脂含有する樹
脂(b)の粘弾性測定がしにくくなったりする。本発明のウレタン結合を有する樹脂(b)は、粘弾性測定におけるG″ピーク値が50℃以上90℃以下であることが好ましい。G″ピーク値が50℃より小さい場合は、耐熱保存性を満足出来ない場合がある。また、G″ピーク値が90℃を超える場合は、トナーの低温での定着性において劣る場合がある。より好ましくはG″ピーク値が60℃以上85℃以下、更にはG″ピーク値が70℃以上85℃以下であることが好ましい。
G″ピーク値を以下の範囲にするためには、樹脂(b)の用いるモノマーの当の構成単位の組成や、分子量によって帰ることが出来る。特にウレタン材料を用いる場合、ジイソシアネートの種類、分子中の含有量によっても調整することが出来る。
以下に、本発明のトナーがカプセル型トナーの場合に用いられるトナー母粒子(A)について詳しく述べる。
上記トナー母粒子(A)は、ポリエステルを主成分とする樹脂(a)、着色剤、ワックスを少なくとも含有する。従って、必要に応じて上記以外に、他の添加剤を含んでもよい。
上記樹脂(a)は、主成分としてポリエステルを含有する。ここで「主成分」とは、上記樹脂(a)の総量に対し50質量%以上をポリエステルが占めることを意味する。上記ポリエステルには、アルコール成分として脂肪族ジオールを主成分として用いたポリエステル、及び/又は、アルコール成分として芳香族ジオールを主成分として用いたポリエステルを用いることが好ましい。
上記脂肪族ジオールは、好ましくは炭素数が2乃至8であり、より好ましくは炭素数が2乃至6である。
上記炭素数2乃至8の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオールのジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンの3価以上の多価アルコールが挙げ
られる。これらの中では、α,ω−直鎖アルカンジオール好ましく、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。更に耐久性の観点から、脂肪族ジオールの含有量はポリエステルを構成するアルコール成分中、30乃至100モル%であることが好ましく、より好ましくは50乃至100モル%である。
上記芳香族ジオールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。
上記ポリエステルを構成するカルボン酸成分としては以下のものが挙げられる。
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1乃至20のアルキル基又は炭素数2乃至20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1乃至8)エステル等。
上記カルボン酸は、帯電性の観点から、芳香族多価カルボン酸化合物が含有されていることが好ましく、その含有量は、上記ポリエステルを構成するカルボン酸成分中、30乃至100モル%が好ましく、50乃至100モル%がより好ましい。
また、原料モノマー中には、定着性の観点から、3価以上の多価モノマー、即ち3価以上の多価アルコール及び/又は3価以上の多価カルボン酸化合物が含有されていてもよい。
上記ポリエステルの製造方法は特に限定されず、公知の方法に従えば良い。例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じてエステル化触媒を用いて、180乃至250℃の温度で縮重合する製造方法が挙げられる。
上記樹脂(a)は、上記脂肪族ジオールをアルコール成分として使用したポリエステルを主成分として含むことが好ましい。一方、上記樹脂(a)が、アルコール成分としてビスフェノール系モノマーを使用したポリエステルを含む場合であっても、該樹脂(a)の溶融特性に大きな差は見られない。しかしながら、ウレタン結合を有する樹脂(b)を含有する場合には、ウレタン樹脂(b)との関係で、造粒性に影響を及ぼすため、適宜適正なポリエステルを選ぶことが有効である。
上記樹脂(a)は、脂肪族ジオールや芳香族ジオールをアルコール成分として使用したポリエステル以外のポリエステル、例えば、脂肪族ジオールの使用量が上記範囲外であるポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステルとスチレンアクリルの混合樹脂、エポキシ樹脂等が含有されていてもよい。その場合、上記特定量の脂肪族ジオールをアルコール成分として使用したポリエステルの含有量が、樹脂(a)全量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
更に本発明のトナーに用いる樹脂(a)の分子量は、ピーク分子量が8,000以下、好ましくは5,500以下であることがより好ましい形態の一つである。更に、分子量10万以上の割合が5.0%以下、より好ましくは1.0%以下であることも好ましい形態の一つである。
ピーク分子量が8,000を超える場合であったり、分子量10万以上の割合が5.0%を超える場合であったりすると、表層樹脂の種類や量によっては定着性が著しく損なわれる場合がある。
また本発明においては、結着樹脂の分子量が1,000以下の割合が10.0%以下、より好ましくは7.0%未満であることが好ましい。
分子量が1,000以下の割合が10.0%より多い場合には、比較的熱的に不安定である低分子量成分が部材を汚染してしまう場合がある。
本発明においては、特に上記した分子量が1,000以下の割合を10.0%以下にするために、以下のような調製方法を好適に用いることができる。
分子量1,000以下の割合を少なくするためには、結着樹脂を溶媒に溶解させその溶液を水と接触させて放置することによって、分子量1,000以下の割合を効果的に減少させることができる。すなわちこのような操作により、水中に上記分子量1,000以下の低分子量成分が溶出し、効果的に樹脂溶液から除去することができる。
上記理由から、例えば、トナーの製造方法として前述した溶解懸濁法を用いることが好ましい。樹脂(a)と着色剤とワックスとを溶解乃至分散した溶液を、水系媒体中で懸濁させる前に、水系媒体と接触させたまま放置する方法を用いることで効率的に低分子量成分を除去することができる。
本発明では、着色剤を樹脂(a)に予め分散させるた後、用いることが、着色剤の分散性を上げるため好ましい。着色剤を分散させる樹脂は、分散性の面からジアルコールの成分が、ビスフェノールAを主成分にする樹脂が好ましい。特に、樹脂(a)の酸価が15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、重量平均分子量Mwが30,000以下であることが好ましい。上記範囲に設定することにより、着色剤の凝集を防ぎ、且つ、トナー粒子より単離する着色剤を押さえることが可能である。
本発明においてトナーの分子量を調節する場合には、2種類以上の分子量を持つ樹脂を混合して用いても良い。
本発明において、樹脂(a)中に結晶性ポリエステルを含有しても良い。結晶性ポリエステルとしては、脂肪族ジオールを主成分にしたアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分としたカルボン酸成分を縮重合させて得られる樹脂が好ましい。
上記結晶性ポリエステルは、2価以上の多価アルコールからなるアルコール成分と、2価以上の多価カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とを含有した単量体を用いて得られる。その中でも、炭素数が2乃至6、好ましくは4乃至6の脂肪族ジオールを60モル%以上含有したアルコール成分と炭素数が2乃至8、好ましくは4乃至6、より好ましくは4の脂肪族ジカルボン酸化合物を60モル%以上含有したカルボン酸成分を縮重合させて得られた樹脂が好ましい。
上記結晶性ポリエステルを構成する上記炭素数2乃至6の脂肪族ジオールとしては以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール。これらの中でも、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
上記結晶性ポリエステルを構成するアルコール成分には、脂肪族ジオール以外の多価ア
ルコール成分が含有されていてもよい。該多価アルコール成分としては以下のものが挙げられる。ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2乃至3)オキサイド(平均付加モル数1乃至10)付加物等の2価の芳香族アルコールやグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール。
上記結晶性ポリエステルを構成する炭素数2乃至8の脂肪族ジカルボン酸化合物と以下のものが挙げられる。シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1乃至3)エステル。これらの中ではフマル酸及びアジピン酸が好ましく、フマル酸がより好ましい。
上記結晶性ポリエステルを構成するカルボン酸成分には、脂肪族ジカルボン酸化合物以外の多価カルボン酸成分が含有されていてもよい。該多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1乃至3)エステル等が挙げられる。
上記結晶性ポリエステルを構成するアルコール成分とカルボン酸成分は、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒等を用いて、150乃至250℃の温度で反応させること等により縮重合させることができる。
本発明に用いられるワックスとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明において特に好ましく用いられるワックスは、溶解懸濁法において、ワックス分散液の作製のしやすさ、作製したトナー中への取り込まれやすさ、定着時におけるトナーからの染み出し性、離型性から、エステルワックスが好ましい。
本発明においてエステルワックスとは、1分子中にエステル結合を少なくとも1つ有していればよく、天然エステルワックス、合成エステルワックスのいずれを用いてもよい。
合成エステルワックスとしては、例えば、長鎖直鎖飽和脂肪酸と長鎖直鎖飽和アルコールから合成されるモノエステルワックスが挙げられる。長鎖直鎖飽和脂肪酸は一般式C2n+1COOHで表わされ、n=5乃至28程度のものが好ましく用いられる。また長鎖直鎖飽和アルコールはC2n+1OHで表わされn=5乃至28程度のものが好ましく用いられる。
ここで長鎖直鎖飽和脂肪酸の具体例としては、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ヘプタデカン酸、テト
ラデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラモン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸およびメリシン酸等が挙げられる。
一方、長鎖直鎖飽和アルコールの具体例としては、アミルアルコール、ヘキシールアルコール、ヘプチールアルコール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコールおよびヘプタデカンノオールが挙げられる。
また、1分子にエステル結合を2つ以上有するエステルワックスとしては、例えば、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオール−ビス−ステアレート、ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートが挙げられる。
また、天然エステルワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油、蜜ろう、ラノリン、カスターワックス、モンタンワックスおよびその誘導体が挙げられる。
また、その他の変性ワックスとしては、ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミド);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミド);及びジアルキルケトン(ジステアリルケトン)が挙げられる。なお、上記ワックスは部分ケン化されていてもよい。
上記のうち、より好ましいワックスとしては、長鎖直鎖飽和脂肪酸と長鎖直鎖飽和脂肪族アルコールとによる合成エステルワックスもしくは、上記エステルを主成分とする天然ワックスである。
この理由は定かでないが、ワックスが直鎖状の構造を持つことにより、溶融状態での移動度が高くなるためであると思われる。すなわち、ワックスは定着時に結着樹脂であるポリエステルや表面層のジオールとジイソシアネートの反応物といった比較的極性の高い物質の間を通り抜けてトナー表層へ染み出ることが必要である。従って、このような極性の高い物質の間を通り抜けるには、ワックスは出きるだけ直鎖状の構造であることが有利に働いているものと思われる。
さらに、本発明においては上記した直鎖構造に加えてエステルがモノエステルであることがより好ましい。これも上述した理由と同様に、分岐した鎖にそれぞれエステルが結合しているようなバルキーな構造では、ポリエステルや本発明の表面層のような極性の高い物質を通り抜けて表面に染み出るのが困難な場合があると筆者らは推測している。
また本発明においては、必要に応じてエステルワックス以外の炭化水素系ワックスを併用することも好ましい形態の一つである。
上記エステルワックス以外の炭化水素系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムおよびこれらの誘導体の如き石油系天然ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)の如き合成炭化水素、オゾケライト、セレシンの如き天然ワックスが挙げられる。
本発明において、トナー中におけるワックスの含有量は、好ましくは5.0乃至20.0質量%、より好ましくは5.0乃至15.0質量%である。5.0質量%より少ないと、トナーの離型性を保てなくなり、20.0質量%より多い場合は、トナー表面にワックスが露出し易くなり、耐熱保存性の低下を招く恐れがある。
本発明においてワックスは、示差走査熱量測定(DSC)において、60℃以上90℃以下に最大吸熱ピークを有することが好ましい。最大吸熱ピークが60℃より低いと、トナー表面にワックスが露出し易くなり、耐熱保存性の低下を招く恐れがある。
一方、最大吸熱ピークが90℃より高いと、定着時に適切にワックスが溶融せず低温定着性や耐オフセット性に劣る場合がある。
本発明のトナーに用いられる着色剤としては以下のものが挙げられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。
具体的には、顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191;C.I.バットイエロー1、3、20。
染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162。これらは単独或いは2種類以上を併用して用いることが可能である。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。
具体的には、顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:2、48:3、48:4、49、50、51、52、53、54、55、57、57;1、58、60、63、64、68、81、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、52、58、63、81、82、83、84、100、109、111、121、122;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27;C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料;C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。これらは単独或いは2種類以上を併用して用いることが可能である。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。
具体的には、顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45。
染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントブルー25、36、60
、70、93、95。これらは単独或いは2種類以上を併用して用いることが可能である。
黒色の顔料として、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックの如きカーボンブラックが用いられる。また、マグネタイト、フェライトの如き磁性粉も用いられる。
本発明においては着色剤として、極端に水への溶解度の高い染料、顔料を用いた場合、製造工程中に水中へ溶解し、造粒が乱れたり、所望の着色を得られなくなる可能性がある。
本発明においては、通常のカラートナー用の着色剤として用いる場合、着色剤の含有量は、トナーに対し、3.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。3.0質量%より少ない場合、着色力が低下する。一方、20.0質量%より多い場合、分散不良やフィラー効果によるトナーの粘性が上がりシャープメルト性を損なう。その結果色空間が小さくなったり、低温での定着性能が落ちる結果となる。より好ましくは4.0質量
%以上15.0質量%以下である。
上記着色剤は、トナー粒子の断面の拡大写真を撮影し、得られたトナー粒子の画像において、個数平均粒子径が200nm以下であることが好ましい。より好ましくは150nm以下である。一方、上記個数平均粒子径は50nm以上であることが好ましい。200nmを超える場合、粒隗が大きく着色剤のシェルが形成しにくい。そのため、着色力の低下や色域の低下を引き起こしやすい。
本発明においては、必要に応じて荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、カプセル型トナーであれば、樹脂(a)、着色剤及びワックスを少なくとも含むトナー母粒子(A)に含まれていてもよいし、表面層(B)に含まれていても良い。
本発明に用いることのできる帯電制御剤としては、公知のものが使用でき、以下のものがあげられる。
ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料或いはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルフォン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物。
次に、本発明のトナーがカプセル型トナーである場合に用いられる表面層(B)について述べる。
上記表面層(B)は樹脂(b)を含有していることが好ましい。樹脂(b)としては、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記樹脂(b)としては、上記樹脂の2種以上を併用しても差し支えない。
上記樹脂(b)としては、水性分散液を形成しうる樹脂が好ましい。従って、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が、微細球状樹脂粒子の水性
分散体が得られやすいため、好ましい。
表面層(B)の粘度を下げるためには、ポリエステルを構成要素にもつポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。さらに、溶剤に対する適度の親和性を示し、水分散性、粘度の調整、粒径の揃えやすさからは、樹脂(b)は、ジオール成分とジイソシアネート成分との反応物である樹脂を含むこと好ましく、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。また、表面層(B)に様様な機能をもたせる事も可能である。特に、表面はトナーの帯電性に影響するため、表面層に荷電制御性を持つ樹脂を用いることも可能である。
以下、ポリウレタン樹脂について詳しく述べる。
上記ウレタン樹脂は、プレポリマーであるジオール成分とジイソシアネート成分との反応物である。該ジオール成分、ジイソシアネート成分の調整により、各種機能性をもつ樹脂を得ることが出来る。
上記ジイソシネート成分としては以下のものが挙げられる。
炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6乃至20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2乃至18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4乃至15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8乃至15の芳香族炭化水素ジイソシアネート、及びこれらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物。以下、変性ジイソシアネートともいう)、並びにこれらの2種以上の混合物。
上記芳香族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられるが特に限定するものではない。
1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート。
上記脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。
エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート。
上記脂環式ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。
イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネート。
これらのうちで好ましいものは6乃至15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4乃至12の脂肪族ジイソシアネート、及び炭素数4乃至15の脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものはHDI及びIPDIである。
また上記ウレタン樹脂(b)は、上記したジイソシアネート成分に加えて、3官能以上のイソシアネート化合物を用いることもできる。上記した3官能以上のイソシアネート化合物としては、例えば、ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)、4,4’,4”−
トリフェニルメタントリイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。また、上記ウレタン樹脂(b)に用いることのできるジオール成分としては、以下のものが挙げられる。
アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール);
アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール);
脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);
ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);
上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;
上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;
その他、ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど)、ポリブタジエンジオール。
上記したアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は直鎖状であっても、分岐していてもよい。本発明においては分岐構造のアルキレングリコールも好ましく用いることができる。
これらのうち好ましいものは、酢酸エチルへの溶解性(親和性)を考えるとアルキル構造が好ましく、炭素数2乃至12のアルキレングリコールを用いることが好ましい。
また上記ウレタン樹脂においては、上記したジオール成分に加えて、末端が水酸基であるポリエステルオリゴマー(末端ジオールポリエステルオリゴマー)も好適なジオール成分として用いることができる。このとき、末端ジオールポリエステルオリゴマーの分子量(数平均分子量)は、好ましくは3,000以下、より好ましくは800以上2,000以下である。末端ジオールポリエステルオリゴマーの分子量が上記以上大きくなると、イソシアネート末端の化合物との反応性が低下し、ポリエステルの性質が強くなりすぎて酢酸エチルに可溶となってしまう。
また、上述した末端ジオールポリエステルオリゴマーの含有量は、ジオール成分とジイソシアネート成分との反応物を構成するモノマー中において、好ましくは1モル%以上10モル%以下、より好ましくは3モル%以上6モル%以下である。末端ジオールポリエステルオリゴマーが10モル%を超えて含有されている場合、ジオール成分とジイソシアネート成分との反応物が酢酸エチルに可溶となってしまう場合がある。一方、末端ジオールポリエステルオリゴマーが1モル%より少ない場合は、ジオール成分とジイソシアネート成分との反応物が熱的に固くなりすぎて定着性を阻害したり、樹脂(a)との親和性が低下して表面層が形成され難くなったりする場合がある。
上記した末端ジオールポリエステルオリゴマーのポリエステル骨格と、樹脂(a)のポリエステル骨格は、同一であることが、良好なカプセル型トナー粒子を形成するためには好ましい。これは表面層のジオール成分とジイソシアネート成分との反応物と、トナー母粒子(コア)との親和性に関係している。
また上述した末端ジオールポリエステルオリゴマーは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどで変性された、エーテル結合を有していても良い。
また、上記ウレタン樹脂においては、ジオール成分とジイソシアネート成分との反応物に加えて、アミノ化合物とイソシアネート化合物の反応物がウレア結合した化合物も併用して含有することができる。
上記アミノ化合物としては以下のものが挙げられる。
ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン、IPDA)、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物などのジアミン。
トリエチルアミン、ジエチレントリアミンおよび1,8−ジアミノ−4−アミノメチルオクタンなどのトリアミン。
上記ウレタン樹脂においては、上記以外にも、イソシアネート化合物と、カルボン酸基、シアノ基、チオール基などの反応性の高い水素が存在する基を有する化合物との反応物も併用して用いることが可能である。
上記ウレタン樹脂においては、側鎖にカルボン酸基、スルホン酸基、カルボン酸塩又はスルホン酸塩を有していることが好ましい。これにより、水性分散液を形成しやすく、また、油相の溶剤に溶けることなく、安定にカプセル型構造を形成するために有効である。これらは、ジオール成分、又はジイソシアネート成分の側鎖にカルボン酸基、スルホン酸基、カルボン酸塩又はスルホン酸塩を導入することで容易に製造することができる。
例えば、側鎖にカルボン酸基、又はカルボン酸塩が導入されたジオール成分としては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールペンタン酸などのジヒドロキシルカルボン酸類及びその金属塩を挙げることができる。
一方、側鎖にスルホン酸基、又はスルホン酸塩が導入されたジオール成分としては、例えば、スルホイソフタル酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸及びその金属塩を挙げることができる。
上記した、側鎖にカルボン酸基、スルホン酸基、カルボン酸塩又はスルホン酸塩が導入されたジオール成分の含有量は、ジオール成分とジイソシアネート成分との反応物を形成する全モノマーに対して、好ましくは10モル%以上50モル%以下、より好ましくは20モル%以上30モル%以下である。
上記ジオール成分が10モル%より少ない場合には、後述する樹脂微粒子の分散性が悪くなり易く造粒性が損なわれる場合がある。一方、50モル%より多い場合には、ジオール成分とジイソシアネート成分との反応物が水系媒体中に溶解する場合が生じ、分散剤としての機能を果たせない場合がある。
ビニル系樹脂を用いる場合、下記一般式(1)で表されるビニル系ユニットを表面層に均一に分散させることが好ましい形態の一つである。表面層における下記一般式(1)で表されるビニル系ユニットの分布が均一になり、良好な摩擦帯電性を発揮するものと考えられる。
本発明において下記一般式(1)で表されるビニル系ユニットはトナー表面近傍に偏在することが好ましい。そうすることでより良好な摩擦帯電性を発揮する。以下に本発明において好適に用いることのできる一般式(1)で表されるビニル系ユニットについて述べる。
Figure 0005570124
:芳香族もしくは脂肪族炭化水素基,R:プロトンもしくは脂肪族炭化水素基
一般式(1)で表されるビニル系ユニットは、ポリエチレン側鎖にアミド結合およびスルホン酸エステルを有し、優れた摩擦帯電性を発揮する。さらに、一般式(1)で表されるビニル系ユニットは樹脂(b)と混合されやすいので好ましい。また一般式(1)で表されるビニル系ユニットは、トナー表面層に均一に分散可能であることが好ましい。
上記表面層(B)は、上記樹脂(b)を含有する樹脂微粒子によって形成されることが好ましい。上記樹脂微粒子の調製方法は特に限定されるものではなく、乳化重合法や、樹脂を溶媒に溶解又は溶融して液状化し、これを水系媒体中で懸濁させることにより造粒して調製する方法を用いることができる。
上記樹脂微粒子の調製には、公知の界面活性剤や分散剤を用いること、又は、樹脂微粒子を構成する樹脂に自己乳化性を持たせることが可能である。
樹脂を溶媒に溶解させて樹脂微粒子を調製する場合に用いることのできる溶媒としては、特に制限をうけないが、以下のものが挙げられる。
酢酸エチル、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒。
また、上記樹脂微粒子を調製する場合において、ジオール成分とジイソシアネート成分との反応物を含有する樹脂微粒子を分散剤として用いる製造方法が好ましい形態の一つである。この製造方法では、ジイソシアネート成分を有するプレポリマーを製造し、これを水に急速に分散させ、引き続きジオール成分を添加することにより、鎖を延長させるかまたは架橋する。
すなわち、ジイソシアネート成分を有するプレポリマーと必要に応じてその他に必要な成分を、上記の溶媒のうちアセトンやアルコールといった水への溶解度が高い溶媒中に溶解又は分散する。これを水に投入することにより、ジイソシアネート成分を有するプレポリマーを急速に分散させる。そして、引き続き上記ジオール成分を添加して、所望の物性を持ったジオール成分とジイソシアネート成分との反応物を調製する方法である。
上記樹脂(b)を含有する樹脂微粒子の粒径は、トナー粒子がカプセル構造を形成するために、数平均粒子径が100nm以上300nm以下であることが好ましい。
即ち、数平均粒子径が100nmより小さい場合は、樹脂(b)を適正量添加する場合
、造粒不良物を発生しやすい。造粒安定性等が低下する傾向にある。結果、カプセル構造の形成が難くなり、コア内部の遮蔽効果が現れにくくなる。
一方、数平均粒子径が300nmよりも大きい場合は、樹脂微粒子の被覆量が多くなり、樹脂(b)特徴を受けやすくなる。
より好ましくは120nm以上250nm以下である。この範囲の樹脂微粒子を用いることにより、樹脂(b)のコート性が良くなり、保存時や現像時での安定性に優れる。
本発明においては、トナーの重量平均粒子径(D4)が4.0μm以上9.0μm以下であることが好ましい。4.5μm以上7.0μm以下がより好ましい。
トナーの重量平均粒子径が4.0μmより小さいと、特に長時間の使用後などにおいてトナーがチャージアップし、濃度が低下するなどの問題を生じやすい。また、トナーの重量平均粒子径が9.0μmよりも大きい場合には、ライン画像等を出力する場合において飛び散りやボタ落ちを招き易くなり、細線再現性に劣ることがある。
また、トナーの重量平均粒子径(D4)は、樹脂(b)の添加量、油相や分散液の配合量を制御することで上記範囲に調整することが可能である。
本発明のトナーにおいて、トナーの0.6μm以上2.0μm以下の粒子(以下、トナーの微粉量ともいう)が2.0個数%以下であることが好ましい。2.0μm以下の微粉が多い場合、剤汚染、帯電量変動の要因となりやすく、長期画出し後に濃度低下、飛散かぶりといった問題を引き起こしやすい。より好ましくは、1.5個数%以下である。
本発明のトナーの重量平均粒子径(D4)と個数平均粒子径(D1)の比D4/D1は1.25以下であることが好ましい。より好ましくは1.20以下である。一方、上記D4/D1は1.00以上であることが好ましい。
以下、本発明に用いられるトナー粒子の簡便な調製方法を説明するが、これに限定されるものではない。なお、以下の調製方法は、本発明に好ましく用いられるカプセル型トナーに関するものである。
トナー粒子は、樹脂(b)を主成分とする微粒子を分散させた水系媒体中に、少なくとも、前記結着樹脂(a)、着色剤及びワックスを有機媒体中で溶解又は分散させて得られた溶解物又は分散物を分散させ得られた分散液から溶媒を除去した後、樹脂(b)を主成分とする微粒子を水系媒体中に添加し、樹脂(b)の等電位点までpHを調整し撹拌した後、水系媒体を除去、乾燥する事によって粒子を得ることが好ましい。
上記の系においては、樹脂微粒子が上記溶解物又は分散物(油相)を上記水相に懸濁する際の分散剤としても機能する系である。上記方法でトナー粒子を調製することにより、トナー表面への凝集工程などを必要とせず、簡便にカプセル型のトナー粒子を調製することができる。
上記油相の調製方法において、樹脂(a)等を溶解させる有機媒体として以下のものが例示できる。
酢酸エチル、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン
、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒。
上記樹脂(a)は、上記有機媒体に溶解させた樹脂分散液の形で用いることが好ましい。この場合、樹脂の粘度、溶解度により異なるが、次工程での製造のしやすさを考え、有機溶媒中に樹脂成分として、40質量%から60質量%の範囲で樹脂(a)を配合することが好ましい。また、溶解時に有機媒体の沸点以下で加熱すると、樹脂の溶解度が上がるため好ましい。
上記ワックス、着色剤についても上記有機媒体中に分散された形態をとることが好ましい。すなわち、予め湿式もしくは乾式で機械的に粉砕されたワックス、着色剤を有機媒体中に分散し、それぞれワックス分散液、着色剤分散液を調製することが好ましい。
尚、ワックス、着色剤はそれぞれに合致した分散剤、樹脂を添加することによっても分散性を上げることが出来る。これらは用いるワックス、着色剤、樹脂、有機溶媒によって異なるため、適時選択し用いることが出来る。特に、上記着色剤は、上記樹脂(a)とともに、有機媒体に予め分散した後、用いることが好ましい。
上記油相は、これら、樹脂分散液、ワックス分散液、着色剤分散液、及び有機媒体を所望量配合し、上記各成分を該有機媒体中に分散させることで調製することが出来る。
以下、着色剤の分散液の調製方法について、例を挙げて、更に説明する。
本発明において、着色剤の分散性を通常以上に上げるために以下の手法を用いた。
(1)湿式分散(メディア分散)
着色剤を、分散用メディア存在下で溶媒に分散する方法である。例えば、着色剤、樹脂、その他添加剤と上記有機溶媒を混合し、分散用メディア存在下で分散機を用いて、該混合物を分散する。用いた分散用メディアは回収し着色剤分散液を得る。上記分散機としては、例えば、アトライター(三井三池工機(株))を使用する。上記分散用メディアとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、ガラス及び鉄のビーズが挙げられるが、メディア汚染が極めて少ないジルコニアビーズが好ましい。その際のビーズ径は、2乃至5mmが分散性に優れており好ましい。
(2)乾式混練
樹脂、着色剤、その他添加剤を、ニーダー、ロール式の分散器で溶融混練し(乾式)、得られた樹脂と着色剤の溶融混練物を粉砕後、上記有機溶媒に溶解させることにより着色剤分散液を得る。
(3)乾式溶融混練物の湿式分散
上記乾式で得られた樹脂と着色剤の溶融混練物を用いて作製された着色剤分散液を、上記分散用メディア及び分散機を用いて更に湿式分散する。
(4)乾式溶融混練物作製時の溶媒添加
上記乾式溶融混練物の作製時に、溶媒を添加する。溶融混練時の温度は、樹脂のガラス転移点(Tg)以上、溶媒の沸点以下が好ましい。用いる溶媒は、樹脂を溶解できるものが好ましく、上記油相に用いられる溶媒が好ましい。
(5)乾式溶融混練物作製時のワックス添加
上記乾式溶融混練物の作製時に、ワックスを添加する。溶融混練時の温度は、樹脂のガラス転移点(Tg)以上、溶媒の沸点以下が好ましい。用いるワックスは、上記油相に溶
解するワックスを用いてもいいが、他の比較的高融点のワックスを用いてもよい。
(6)樹脂に着色剤との親和性の高い樹脂を用いる。
上記乾式溶融混練物の作製に用いる樹脂に、着色剤との親和性の高い樹脂を用いる。特に、着色剤を分散させる樹脂は、ジアルコールの成分が、ビスフェノールAを主成分にしたポリエステル樹脂が好ましい。樹脂(a)の酸価は、15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下が好ましく、重量平均分子量Mwが30,000以下であることが好ましい。
更に、各分散液の混合後、超音波による微分散工程が有効である。この場合、油相調整後の分散液の着色剤の凝集隗がほぐれやすくなり更に微分散が可能である。
本発明に好ましく用いられる超音波発振装置は、円柱状の構造を有する超音波を照射するための振動子を有する超音波発振素子方式のもの、超音波洗浄槽を有し、槽底面に超音波振動子を取り付け、水中で超音波被照を行うものを用いることができる。
超音波照射による顔料の高分散化のメカニズムについては、正確には不明であるが、おそらくは以下の理由によるものと推測される。
超音波照射による溶液自身の振動は、周波数に比例する。その加速度は、重力加速度の約1,000乃至5,000倍と非常に大きいため、従来の撹拌翼によるせん断力作用に比べ、効率良く顔料を高分散化することができると思われる。
上記水系媒体は、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することも出来る。混和可能な溶剤としては、アルコール類(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)が挙げられる。また、本発明に用いる水系媒体中に、上記油相として用いる有機媒体を適量混ぜておくことも好ましい方法である。これは造粒中の液滴安定性を高め、また水系媒体と油相とをより懸濁しやすくする効果があると思われる。
本発明において水系媒体に、上記ウレタン結合を有する樹脂(b)を含有する樹脂微粒子を分散させて用いることが好ましい。ウレタン結合を有する樹脂(b)を含有する樹脂微粒子は、次工程での油相の安定性、トナー母粒子のカプセル化にあわせ所望量配合して用いる。本発明において、表面層(B)の形成に樹脂微粒子を用いた場合には、該樹脂微粒子の使用量は、トナー母粒子(A)に対し、5.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。
上記水系媒体中には、公知の界面活性剤、分散剤、分散安定剤、水溶性ポリマー、又は、粘度調整剤を添加することも出来る。
上記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、トナー粒子形成の際の極性に併せて任意に選択可能である。
具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等のアニオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム
塩型のカチオン界面活性剤;脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤;アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
上記分散剤として、以下のものが挙げられる。
アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類;
アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体;
ビニルアルコール、又はビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコールとのエ一テル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類;
アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド或いはこれらのメチロール化合物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子、又はその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体;
ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン類;
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとする事も出来るが、溶解洗浄除去する方がトナーの帯電面から好ましい。
又、本発明に於いては、より好ましい分散状態を維持する上で固体の分散安定剤を使用しても構わない。
本発明においては、分散安定剤を使用することが好ましい。その理由は以下の通りである。トナーの主成分である樹脂(a)が溶解した有機媒体は高粘度のものである。よって、高剪断力で有機媒体を微細に分散して形成された油滴の周囲を分散安定剤が囲み、油滴同士が再凝集するのを防ぎ、安定化させる。
上記分散安定剤としては、無機分散安定剤、及び有機分散安定剤が使用出来、無機分散安定剤の場合は、分散後に粒子表面上に付着した状態でトナー粒子が造粒されるので溶媒と親和性がない塩酸等の酸類によって除去が出来るものが好ましい。例えば、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、炭化水素ナトリウム、炭化水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ヒドロキシアパタイト、三リン酸カルシウムが使用出来る。
トナー粒子の調製時に用いられる分散方法は特に制約されず、低速せん断式、高速せん
断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等の汎用装置が使用可能であるが、分散粒径を2乃至20μm程度にする為には高速せん断式が好ましい。
回転羽根を有する撹拌装置であれば、特に制約はなく、乳化機、分散機として汎用のものであれば上記分散方法に使用可能である。
例えば、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業(株)製)、エバラマイルダー(荏原製作所(株)製)、TKホモミックラインフロー(特殊機化工業(株)製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機(株)製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工(株)製)等の連続式乳化機、クレアミックス(エムテクニック社製)、フィルミックス(特殊機化工業(株)製)のバッチ式、若しくは連続両用乳化機が挙げられる。
上記分散方法に高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定されないが、通常1,000乃至30,000rpm、好ましくは3,000乃至20,000rpmである。
上記分散方法における分散時間としてはバッチ方式の場合は、通常0.1乃至5分である。分散時の温度としては、通常、10乃至150℃(加圧下)、好ましくは10乃至100℃である。
得られた分散液から有機溶媒を除去する為には、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用する事が出来る。
或いは又、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧し、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー粒子を形成し、合せて分散液中の水を蒸発除去する事も可能である。
その場合、分散液が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理でも十分に目的とする品質が得られる。
上記分散方法により得られた分散液の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整える事が出来る。
上記分散方法に用いた分散剤は得られた分散液から出来るだけ取り除く事が好ましいが、より好ましくは分級操作と同時に行うのが好ましい。
製造方法においては有機溶媒を除去した後、更に加熱工程を設けることも可能である。加熱工程を設けることで、トナー粒子表面を平滑化したり、トナー粒子表面の球形化度を調節したりすることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除く事が出来る。勿論乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行う事が効率の面で好ましい。
上記分級操作で得られた不要の微粒子、又は粗粒子は再び溶解工程に戻して粒子の形成に用いる事が出きる。その際微粒子、又は粗粒子はウェットの状態でも構わない。
本発明のトナーは、トナーの流動性、現像性、及び帯電性を補助する為の外添剤として、無機微粒子を用いる事が出来る。
無機微粒子の一次粒子径は、5nm以上2μm以下であることが好ましく、5nm以上500nm以下であることがより好ましい。また、無機微粒子のBET法による比表面積は、20m/g以上500m/g以下であることが好ましい。
無機微粒子の使用割合は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上2.0質量部以下であることがより好ましい。
これら無機微粒子は単独、若しくは複数種を併用し用いても何ら構わない。
無機微粒子の具体例としては、以下のものが挙げられる。
シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素。
上記無機微粒子は、高湿度下のトナーの流動特性や帯電特性の悪化を防止するために、表面処理剤を用いて疎水性を上げることが好ましい。
好ましい表面処理剤としては、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が例示できる。
また、感光体や一次転写媒体に残存する転写後のトナーを除去する為の外添剤(クリーニング性向上剤)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合等によって製造された、ポリマー微粒子が例示できる。
上記ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
本発明のトナーの各種物性の測定方法について以下に説明する。
<樹脂の酸価の測定方法>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。結着樹脂の酸価はJIS K 0070−1966に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、「フェノールフタレイン溶液」を得る。特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガスに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、「水酸化カリウム溶液」を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。標定はJIS K 0070−1996に準じて行う。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結着樹脂の試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとした。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行った。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(B−C)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:試料の酸価(mgKOH/g)である。
<Tgの測定方法>
本発明におけるTgの測定方法は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を用いて以下の条件にて測定を行った。
《測定条件》
・モジュレーションモード
・昇温速度:0.5℃/分または4.0℃/分
・モジュレーション温度振幅:±1.0℃/分
・測定開始温度:25℃
・測定終了温度:130℃
昇温速度を変えるときは、新しい測定サンプルを用意した。昇温は1度のみ行い、「Reversing Heat Frow」を縦軸にとることでDSCカーブを得、図1に示すオンセット値を本発明のTgとした。
昇温速度0.5℃/分でのガラス転移温度をTg(0.5)、昇温速度4.0℃/分でのガラス転移温度をTg(4.0)をそれぞれ測定し、Tg(4.0)−Tg(0.5)は、両者の差として算出した。
<損失弾性率(G")のピーク値の測定方法>
粘弾性測定装置(レオメーター)ARES(Rheometrics Scientific社製)を用いて測定を行う。測定の概略は、Rheometrics Scientific社製発行のARES操作マニュアル902−30004(1997年8月版)、902−00153(1993年7月版)に記載されているが、以下の通りである。
・測定治具:直径7.9mm、セレイテッド型のパラレルプレートを使用
・測定試料:トナー粒子を、加圧成型機を用い直径約8mm、高さ約2mmの円柱状試料を作製する(常温で1分間15kNを維持する)。加圧成型機はNPaシステム社製100kNプレスNT−100Hを用いる。
セレイテッド型のパラレルプレートの温度を80℃に温調し、該円柱状試料を加熱溶融させ鋸歯を食い込ませ、axial forceが30(g重)を超えないように垂直方向に荷重をかけ、セレイテッド型のパラレルプレートに固着させる。このとき試料の直径がパラレルプレートの直径と同じになるよう、スチールベルトを用いてもよい。測定開始温度30.00℃まで1時間かけてセレイテッド型のパラレルプレートおよび該円柱状試料を徐冷する。
・測定周波数 :6.28ラジアン/秒
・測定歪みの設定:初期値を0.1%に設定し、自動測定モードにて測定を行う
・試料の伸長補正:自動測定モードにて調整
・測定温度 :30℃から150℃まで毎分2℃の割合で昇温する
・測定間隔 :30秒おき、すなわち1℃おきに粘弾性データを測定する
Microsoft社製Winows2000上で動作するRSI Orchesrator(制御、データ収集および解析ソフト)(Rheometrics Scientific社製)へ、インターフェースを通じてデータ転送する。このうち損失弾性率の最大値を示す温度を読み取る。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。 測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下と
なる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<トナーの平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)を用い、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却した。測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上200.00μm以下に限定し、トナー粒子の平均円形度を求めた。測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製の「5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<樹脂微粒子の粒子径の測定方法>
樹脂微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)を用い、0.001μm乃至10μmのレンジ設定で測定を行い、個数平均粒子径(μm又はnm)として測定した。なお、希釈溶媒としては水を選択した。
<ワックスの融点の測定方法>
ワックスの融点は、ワックスを、示差走査熱量計(DSC)「Q1000」(TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて測定した。 装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いた。
具体的には、試料約10mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行った。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを示す温度をワックスの融点とした。上記最大吸熱ピークとは、ピークが複数存在する場合には、最も吸熱量の大きいピークをいう。
<温度40℃湿度95%RH環境下における吸水量の測定方法>
(サンプル準備)
トナー粒子は乾燥させたものを用いる。樹脂(a)、樹脂(b)は中心径10μmに粉砕し、乾燥させたものを用いる。粉砕手段としては公知のものが使用できるが、日本分析工業社製冷凍粉砕機JFC−300を用いることができる。
(吸水量測定)
試料の温度40℃湿度95%RH環境下における吸水量は、TAInstruments社製吸着分析器Q5000SAを用いて測定する。測定の概略は、TA社発行の操作説明書「Qシリーズ スタートアップガイド」(改訂B2006年2月発行)に記載されているが、以下の通りである。
Q5000SAのリファレンスチャンバー、サンプルチャンバーにそれぞれ空パンをセットし零点調整を行う。ついで試料をサンプル側パンに投入し、測定開始する。
《測定条件》
・装置:TA Instruments社製 Q5000SA
・パン:Q5000SA用クォーツ蒸着パン957210.903
・ガス:乾燥空気
・サンプル量:1〜2mg
・温湿度プログラム:
step1)温度40℃湿度0%RHを30分
step2)温度40℃湿度95%RHを60分
step3)温度40℃湿度0%RHを30分
(解析)
図2に示すチャートを得て、以下のように解析する。
step2終了時(測定開始から90分)のweight(%)(W2)からstep1終了時(測定開始から30分)のweight(%)(W1)を引いた値を、40℃95%RH環境下における吸水量(%)として得る。
<トナー粒子の表面酸価(Ut)の測定方法>
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、「フェノールフタレイン溶液」を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、「水酸化カリウム溶液」を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。標定はJIS K 0070−1996に準じて行う。
(2)滴定
(A)本試験 トナー粒子0.5gを100mlの三角フラスコに精秤し、イオン交換水25mL、和光純薬工業社製界面活性剤「コンタミノンN」の3質量%水溶液を約0.3ml加える。超音波分散器(シャープ製UT−305HS)で1分間分散させる。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を5滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約10秒間続いたときとする。
(B)空試験 試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、Utを算出する。
Ut=[(B−C)×f×56.1]/W
Ut:トナー粒子水分散液の酸価(mgKOH/g)
B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
f:水酸化カリウム溶液のファクター
W:試料(g)
なお、マゼンタトナー測定の場合、終点で色の変化を観察しにくいため、フェノールフ
タレインの代わとして、チモルブルーを用いる。
<トナーのBET比表面積(S0)及びトナー粒子のBET比表面積(St)の測定方法>
トナーのBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とする。
尚、BET比表面積は以下のようにして算出する。
まず、トナーに窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)とトナーの窒素吸着量Va(モル・g−1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g−1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、トナーの表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g−1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm)から、下記の式に基づいて、トナーのBET比表面積S(m・g−1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10−18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。)
また、トナー粒子のBET比表面積の測定についても、上記トナーのBET比表面積の測定と同様の方法により行なう。
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約1.5gのトナーを入れる。
トナーを入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚、真空脱気の際には、トナーが真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差からトナーの正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内のトナーが大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、トナーが入った前記の試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポート
に試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してトナーに窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したようにトナーのBET比表面積を算出する。
<温度40℃、相対湿度95%に3日放置したトナーのBET比表面積S(95)の測定
方法>
トナー1.0gを秤量し、50mlのポリカップに入れ、更にチャック付き袋ユニパックJ−4(生産日本社)に入れ封をする。温度40℃、相対湿度95%の環境にサンプルを入れ、1時間温度を環境に合わせた上で、チャック付き袋より取り出し、3日間放置する。温度40℃、相対湿度95%の環境より取り出し、通常環境下(温度23℃、相対湿度60%)に1日放置する。放置したトナーを上記BET比表面積の測定方法に従い測定する。
<微小圧縮試験による復元率、変形量の測定方法>
図3は微小圧縮試験で本発明のトナーを測定した際のプロファイル(荷重−変位曲線)であり、横軸はトナーが変形した変位量、縦軸はトナーにかけている荷重量を表している。
本発明における微小圧縮試験は、(株)エリオニクス製 超微小硬度計ENT1100を用いた。使用圧子は計測器に付属されている先端面が20μm×20μmの平圧子を用いて測定した。図中の1−1は試験を始める前の最初の状態(原点)であり、最大荷重2.94×10−4Nに対し、9.8×10−5N/secの負荷速度で荷重を掛ける。最大荷重に到達直後は1−2の状態であり、この状態の変位量をX(μm)とする。1−2の状態で0.1秒間、その荷重で放置する。放置終了直後の状態が1−3を示しており、このときの最大変位量をX(μm)とし、さらに最大荷重を経て9.8×10−5N/secの除荷速度で荷重を減らし、荷重が0Nになったときが1−4の状態である。このときの変位量をX(μm)とする。
原点から最大荷重に達するまでの[荷重−変位曲線の傾き]Hは1−1から1−2までの荷重−変位曲線を一次直線と近似し、その直線の傾きは(2.94×10−4)/X(N/μm)として算出した。また、弾性変位量(X−X)の最大変位量Xに対する百分率(以下、復元率(%)とも称する)を示すZは{(X−X)/X}×100として求めた。
実際の測定は、セラミックセル上にトナーを塗布し、トナーがセラミックセル上に分散するようにエアーを吹き付けた後に、そのセラミックセルの温度及び湿度を調整する。1時間放置した後、超微小硬度計にセットして測定する。
また、測定の際にはセラミックセルを温度及び湿度を制御が可能な状態にし、このセラミックセルの温度を測定温度とした。H(95)及び復元率Z(95)はセルの温度を40℃、相対湿度を95%で測定したとして測定した荷重−変位曲線の傾きと復元率の値であり、H(0)はセルの温度を40℃、相対湿度を0%で測定したとして測定した荷重−変位曲線の傾きである。なお、セラミックセルの温度調整は、セラミックセルを超微小硬度計に設置し、セラミックセルが測定温度に到達してから60分放置した後、測定を開始した。
測定は超微小硬度計に付帯する顕微鏡を覗きながら測定用画面(横幅:160μm、縦幅:120μm)にトナーが1粒子で存在しているもの選択した。変位量の誤差を極力無くすため、トナーの個数平均粒径D1の±0.2μmのものを選択して測定した。なお、測定用画面から任意のトナーを選択するが、測定画面上でのトナーの粒子径の測定手段は超微小硬度計ENT1100付帯のソフトを用いてトナー粒子の長径と短径を測定し、それらから求められるアスペクト比[(長径+短径)/2]の値がD1の±0.2μmとなるトナーを選択して測定した。
測定データに関しては任意の粒子100個を選んで測定し、測定結果として得られたH(95)、H(0)及びZ(95)について、最大値、最小値からそれぞれ10個を除いた残り80個をデータとして使用し、その80個の相加平均値としてH(95)、H(0)及びZ(95)を求めた。
以下、実施例を持って本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。
<樹脂微粒子分散液1の調製>
撹拌機および温度計を備えた反応装置に、窒素を導入しながら下記を仕込んだ。
・ポリエステルジオール(ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとイソフタル酸の縮合反応物、数平均分子量(Mn):1,500) 47.5質量部
・ネオペンチルグリコール 52.5質量部
・2,2−ジメチロールプロパン酸 10質量部
・3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム
5質量部
・イソホロンジイソシアネート 35質量部
・ヘキサンジイソシアネート 100質量部
・アセトン 250質量部
上記を仕込んだ反応装置を50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー液を得た。このプレポリマーにトリエチルアミンを加え2,2−ジメチロールプロパン酸由来のカルボン酸を100等量%アミン中和する。この溶液を攪拌下、水750質量部に加え、乳化する。更に水160質量部と、エチレンジアミン5.5質量部、n−ブチルアミン5.0を加え50℃、4時間伸張反応を行いウレタン系樹脂の水性分散液b1を得た。この水性分散液b1の体積平均粒径は75nm、乾燥品の粘弾性測定におけるG″のピーク温度は73度、乾燥品の温度40℃、相対湿度95%における吸水量は1.8質量%であった。
<樹脂微粒子分散液2の調製>
撹拌機および温度計を備えた反応装置に、窒素を導入しながら下記を仕込んだ。
・ポリエステルジオール(ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンとイソフタル酸の縮合反応物、数平均分子量(Mn):1,500) 41.3質量部
・ネオペンチルグリコール 31.2質量部
・2,2−ジメチロールプロパン酸 37.5質量部
・3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム
5質量部
・イソホロンジイソシアネート 35質量部
・ヘキサンジイソシアネート 100質量部
・アセトン 250質量部
上記を仕込んだ反応装置を50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー液を得た。このプレポリマーにトリエチルアミンを加え2,2−ジメチロールプロパン酸由来のカルボン酸を100等量%アミン中和する。この溶液を攪拌下、水750質量部に加え、乳化する。更に水160質量部と、エチレンジアミン5.5質量部、n−ブチルアミン5.0を加え50℃、4時間伸張反応を行いウレタン系樹脂の水性分散液b2を得た。この水性分散液b2の体積平均粒径は40nm、乾燥品の粘弾性測定におけるG″のピーク温度は75度、乾燥品の温度40℃、相対湿度95%における吸水量は3.2質量%であった。
<樹脂微粒子分散液3の調製>
撹拌機および温度計を備えた反応装置に、窒素を導入しながら下記を仕込んだ。
・ポリエステルジオール(ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとイソフタル酸の縮合反応物、数平均分子量(Mn):1,500) 43.7質量部
・ネオペンチルグリコール 51.3質量部
・2,2−ジメチロールプロパン酸 10質量部
・3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム
5質量部
・イソホロンジイソシアネート 62.5質量部
・ヘキサンジイソシアネート 77.5質量部
・アセトン 250質量部
上記を仕込んだ反応装置を50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー液を得た。このプレポリマーにトリエチルアミンを加え2,2−ジメチロールプロパン酸由来のカルボン酸を100等量%アミン中和する。この溶液を攪拌下、水750質量部に加え、乳化する。更に水160質量部と、エチレンジアミン5.5質量部、n−ブチルアミン5.0を加え50℃、4時間伸張反応を行いウレタン系樹脂の水性分散液b3を得た。この水性分散液b3の体積平均粒径は70nm、乾燥品の粘弾性測定におけるG″のピーク温度は93度、乾燥品の温度40℃、相対湿度95%における吸水量は2.1質量%であった。
<樹脂微粒子分散液4の調製>
撹拌機および温度計を備えた反応装置に、窒素を導入しながら下記を仕込んだ。
・ポリエステルジオール(ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとイソフタル酸の縮合反応物、数平均分子量(Mn):1,500) 43.8質量部
・ネオペンチルグリコール 41.2質量部
・2,2−ジメチロールプロパン酸 25質量部
・3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム
5質量部
・イソホロンジイソシアネート 35質量部
・ヘキサンジイソシアネート 100質量部
・アセトン 250質量部
上記を仕込んだ反応装置を50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー液を得た。このプレポリマーにトリエチルアミンを加え2,2−ジメチロールプロパン酸由来のカルボン酸を100等量%アミン中和する。この溶液を攪拌下、水750質量部に加え、乳化する。更に水160質量部と、エチレンジアミン5.5質量部、n−ブチルアミン5.0を加え50℃、4時間伸張反応を行いウレタン系樹脂の水性分散液b4を得た。この水性分散液b4の体積平均粒径は55nm、乾燥品の粘弾性測定におけるG″のピーク温度は75度、乾燥品の温度40℃、相対湿度95%における吸水量は3.2質量%であった。
<樹脂微粒子分散液5の調製>
撹拌機および温度計を備えた反応装置に、窒素を導入しながら下記を仕込んだ。
・ポリエステルジオール(ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとイソフタル酸の縮合反応物、数平均分子量(Mn):1,500) 46.2質量部
・ネオペンチルグリコール 51.3質量部
・2,2−ジメチロールプロパン酸 10質量部
・3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム
5質量部
・イソホロンジイソシアネート 50質量部
・ヘキサンジイソシアネート 87.5質量部
・アセトン 250質量部
上記を仕込んだ反応装置を50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー液を得た。このプレポリマーにトリエチルアミンを加え2,2−ジメチロールプロパン酸由来のカルボン酸を100等量%アミン中和する。この溶液を攪拌下、水750質量部に加え、乳化する。更に水160質量部と、エチレンジアミン5.5質量部、n−ブチルアミン5.0を加え50℃、4時間伸張反応を行いウレタン系樹脂の水性分散液b5を得た。この水性分散液b5の体積平均粒径は75nm、乾燥品の粘弾性測定におけるG″のピーク温度は83度、乾燥品の温度40℃、相対湿度95%における吸水量は質量1.2%であった。
<樹脂微粒子分散液6の調製>
撹拌機および温度計を備えた反応装置に、窒素を導入しながら下記を仕込んだ。
・ポリエステルジオール(ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとイソフタル酸の縮合反応物、数平均分子量(Mn):1,500) 46.3質量部
・ネオペンチルグリコール 46.3質量部
・2,2−ジメチロールプロパン酸 17.4質量部
・3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム
5質量部
・イソホロンジイソシアネート 35質量部
・ヘキサンジイソシアネート 100質量部
・アセトン 250質量部
上記を仕込んだ反応装置を50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー液を得た。このプレポリマーにトリエチルアミンを加え2,2−ジメチロールプロパン酸由来のカルボン酸を100等量%アミン中和する。この溶液を攪拌下、水750質量部に加え、乳化する。更に水160質量部と、エチレンジアミン5.5質量部、n−ブチルアミン5.0を加え50℃、4時間伸張反応を行いウレタン系樹脂の水性分散液b6を得た。この水性分散液b6の体積平均粒径は60nm、乾燥品の粘弾性測定におけるG″のピーク温度は74度、乾燥品の温度40℃、相対湿度95%における吸
水量は2.1質量%であった。
<樹脂微粒子分散液7の調製>
撹拌機および温度計を備えた反応装置に、窒素を導入しながら下記を仕込んだ。
・ポリエステルジオール(ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとイソフタル酸の縮合反応物、数平均分子量(Mn):1,500) 49質量部
・ネオペンチルグリコール 51質量部
・2,2−ジメチロールプロパン酸 10質量部
・3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム
5質量部
・イソホロンジイソシアネート 42.5質量部
・ヘキサンジイソシアネート 92.5質量部
・アセトン 250質量部
上記を仕込んだ反応装置を50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー液を得た。このプレポリマーにトリエチルアミンを加え2,2−ジメチロールプロパン酸由来のカルボン酸を100等量%アミン中和する。この溶液を攪拌下、水750質量部に加え、乳化する。更に水160質量部と、エチレンジアミン5.5質量部、n−ブチルアミン5.0を加え50℃、4時間伸張反応を行いウレタン系樹脂の水性分散液b7を得た。この水性分散液b7の体積平均粒径は80nm、乾燥品の粘弾性測定におけるG″のピーク温度は80度、乾燥品の温度40℃、相対湿度95%における吸水量は質量1.4%であった。
<樹脂微粒子分散液8の調製>
撹拌機および温度計を備えた反応装置に、窒素を導入しながら下記を仕込んだ。
・ポリエステルジオール(ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとイソフタル酸の縮合反応物、数平均分子量(Mn):1,500) 135質量部
・ネオペンチルグリコール 15質量部
・2,2−ジメチロールプロパン酸 10質量部
・3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム
5質量部
・イソホロンジイソシアネート 35質量部
・ヘキサンジイソシアネート 50質量部
・アセトン 250質量部
上記を仕込んだ反応装置を50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー液を得た。このプレポリマーにトリエチルアミンを加え2,2−ジメチロールプロパン酸由来のカルボン酸を100等量%アミン中和する。この溶液を攪拌下、水750質量部に加え、乳化する。更に水160質量部と、エチレンジアミン5.5質量部、n−ブチルアミン5.0を加え50℃、4時間伸張反応を行いウレタン系樹脂の水性分散液b8を得た。この水性分散液b8の体積平均粒径は110nm、乾燥品の粘弾性測定におけるG″のピーク温度は78度、乾燥品の温度40℃、相対湿度95%における吸水量は質量2.4%であった。
<樹脂微粒子分散液9の調製>
撹拌機および温度計を備えた反応装置に、窒素を導入しながら下記を仕込んだ。
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
25質量部
・ネオペンチルグリコール 60質量部
・2,2−ジメチロールプロパン酸 10質量部
・3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム
5質量部
・イソホロンジイソシアネート 25質量部
・ヘキサンジイソシアネート 125質量部
・アセトン 250質量部
上記を仕込んだ反応装置を50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー液を得た。このプレポリマーにトリエチルアミンを加え2,2−ジメチロールプロパン酸由来のカルボン酸を100等量%アミン中和する。この溶液を攪拌下、水750質量部に加え、乳化する。更に水160質量部と、エチレンジアミン5.5質量部、n−ブチルアミン5.0を加え50℃、4時間伸張反応を行いウレタン系樹脂の水性分散液b9を得た。この水性分散液b9の体積平均粒径は65nm、乾燥品の粘弾性測定におけるG″のピーク温度は70度、乾燥品の温度40℃、相対湿度95%における吸水量は質量2.6%であった。
<樹脂微粒子分散液10の調製>
撹拌機および温度計を備えた反応装置に、窒素を導入しながら下記を仕込んだ。
・ポリエステルジオール(ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとイソフタル酸の縮合反応物、数平均分子量(Mn):1,500) 82.5質量部
・ネオペンチルグリコール 37.5質量部
・2,2−ジメチロールプロパン酸 10質量部
・3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム
5質量部
・イソホロンジイソシアネート 35質量部
・ヘキサンジイソシアネート 80質量部
・アセトン 250質量部
上記を仕込んだ反応装置を50℃に加熱し、15時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー液を得た。このプレポリマーにトリエチルアミンを加え2,2−ジメチロールプロパン酸由来のカルボン酸を100等量%アミン中和する。この溶液を攪拌下、水750質量部に加え、乳化する。更に水160質量部と、エチレンジアミン5.5質量部、n−ブチルアミン5.0を加え50℃、4時間伸張反応を行いウレタン系樹脂の水性分散液b10を得た。この水性分散液b10の体積平均粒径は95nm、乾燥品の粘弾性測定におけるG″のピーク温度は76度、乾燥品の温度40℃、相対湿度95%における吸水量は質量2.3%であった。
<樹脂微粒子分散液11の調製>
冷却管、窒素導入管および撹拌機のついた反応容器中に、
下記式(3)で表されるビニル系ユニットのモノマー 11質量部
Figure 0005570124
スチレン 60質量部
ブチルアクリレート 29質量部
アセトン 30質量部
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 2質量部
を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。60℃で8時間重合を行い、150℃まで昇
温させた。常温まで冷却した後、アセトンで、固形分比で76質量%になるよう希釈しアセトン溶液を得た。
上記のアセトン溶液(固形分比76質量%)100質量部を、イオン交換水200質量部に撹拌しながら滴下し、乳化させた。ついでロータリーエバポレーターで100mmHgの減圧下アセトンを除去した。イオン交換を添加し固形分が20質量%になるように希釈し樹脂微粒子分散液b11を得た。該樹脂微粒子分散液b11を乾固した樹脂は、ガラス転移温度78℃であった。
Figure 0005570124
<ポリエステル−1の調製>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
30質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
33質量部
・テレフタル酸 21質量部
・無水トリメリット酸 1質量部
・フマル酸 3質量部
・ドデセニルコハク酸 12質量部
・酸化ジブチル錫 0.1質量部
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、210℃で2.5時間反応させ、ポリエステル−1を得た。ポリエステル−1のTgは45℃、酸価は18mgKOH/g、水酸基価は26mgKOH/g、温度40℃相対湿度95%で測定した吸水量は0.9%であった。
<ポリエステル−2の調製>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
30質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
33質量部
・テレフタル酸 21質量部
・無水トリメリット酸 1質量部
・フマル酸 3質量部
・ドデセニルコハク酸 12質量部
・酸化ジブチル錫 0.1質量部
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、200℃で3.0時間反応させ、ポリエステル−2を得た。ポリエステル−2のTgは33℃、酸価は22mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/g、温度40℃相対湿度95%で測定した吸水量は3.5%であった。
<ポリエステル−3の調製>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
30質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
33質量部
・テレフタル酸 21質量部
・無水トリメリット酸 1質量部
・フマル酸 3質量部
・ドデセニルコハク酸 12質量部
・酸化ジブチル錫 0.1質量部
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、215℃で5時間反応させ、ポリエステル−3を得た。ポリエステル−3のTgは62℃、酸価は6mgKOH/g、温度40℃相対湿度95%で測定した吸水量は0.6%であった。
<ポリエステル−4の調製>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
30質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
33質量部
・テレフタル酸 21質量部
・無水トリメリット酸 1質量部
・フマル酸 3質量部
・ドデセニルコハク酸 12質量部
・酸化ジブチル錫 0.1質量部
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、200℃で3.5時間反応させ、ポリエステル−4を得た。ポリエステル−4のTgは36℃、酸価は21mgKOH/g、水酸基価は28mgKOH/g、温度40℃相対湿度95%で測定した吸水量は1.8%であった。
<ポリエステル−5の調製>
冷却管、窒素導入管および撹拌機のついた反応容器中に、下記を投入した。
・1,2−プロパンジオール 799質量部
・テレフタル酸ジメチルエステル 815質量部
・1,5−ペンタン二酸 238質量部
・テトラブトキシチタネート(縮合触媒) 3質量部
180℃で窒素気流下、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。ついで230℃まで徐々に昇温させながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに20mmHgの減圧下にて1時間反応させた。ついで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸173質量部を加え、常圧密閉下2時間反応後、220℃常圧で反応させ、軟化点が170℃になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕、粒子化し、非線形ポリエステル樹脂であるポリエステル−4を得た。ポリエステル−4のTgは58℃、酸価は4mgKOH/g、水酸基価は2
0mgKOH/g、温度40℃相対湿度95%で測定した吸水量は0.8%であった。
<ポリエステル−6の調製>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
30質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
33質量部
・テレフタル酸 21質量部
・無水トリメリット酸 1質量部
・フマル酸 3質量部
・ドデセニルコハク酸 12質量部
・酸化ジブチル錫 0.1質量部
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、200℃で2.5時間
反応させ、ポリエステル−6を得た。ポリエステル−6のTgは41℃、酸価は19mgKOH/g、水酸基価は27mgKOH/g、温度40℃相対湿度95%で測定した吸水量は1.0%であった。
<ポリエステル−7の調製>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
30質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
33質量部
・テレフタル酸 21質量部
・無水トリメリット酸 1質量部
・フマル酸 3質量部
・ドデセニルコハク酸 12質量部
・酸化ジブチル錫 0.1質量部
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、210℃で4.5時間反応させ、ポリエステル−7を得た。ポリエステル−7のTgは54℃、酸価は9mgKOH/g、水酸基価は18mgKOH/g、温度40℃相対湿度95%で測定した吸水量は0.8%であった。
<ポリエステル−8の調製>
冷却管、窒素導入管および撹拌機のついた反応容器中に、下記を投入した。
・1,4−ブタンジオール 928質量部
・テレフタル酸ジメチルエステル 776質量部
・1,6−ヘキサン二酸 292質量部
・テトラブトキシチタネート(縮合触媒) 3質量部
160℃で窒素気流下、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。ついで210℃まで徐々に昇温させながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに20mmHgの減圧下にて1時間反応させた。ついで160℃まで冷却し、無水トリメリット酸173質量部および1,3−プロパン二酸125質量部を加え、常圧密閉下2時間反応後、200℃常圧で反応させ、軟化点が150℃になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕、粒子化し、非線形ポリエステル樹脂であるポリエステル−8を得た。ポリエステル−8のTgは42℃、酸価は31mgKOH/g、水酸基価は38mgKOH/g、温度40℃相対湿度95%で測定した吸水量は2.3%であった。
<ポリエステル−9の調製>
冷却管、窒素導入管および撹拌機のついた反応容器中に、下記を投入した。
・1,4−ブタンジオール 928質量部
・テレフタル酸ジメチルエステル 776質量部
・1,6−ヘキサン二酸 292質量部
・テトラブトキシチタネート(縮合触媒) 3質量部
160℃で窒素気流下、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。ついで210℃まで徐々に昇温させながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに20mmHgの減圧下にて1時間反応させた。ついで160℃まで冷却し、無水トリメリット酸173質量部および1,3−プロパン二酸125質量部を加え、常圧密閉下2時間反応後、200℃常圧で反応させ、軟化点が160℃になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕、粒子化し、非線形ポリエステル樹脂であるポリエステル−9を得た。ポリエステル−9のTgは47℃、酸価は29mgKOH/g、水酸基価は35mgKOH/g、温度40℃相対湿度95%で測定した吸水量は1.7%であった。
<ポリエステル樹脂溶液の調製>
撹拌羽つきの密閉性容器に酢酸エチルを投入し、100rpmで撹拌しているところに、上記ポリエステル−1乃至9を入れ室温で3日撹拌することでポリエステル樹脂溶液−1乃至9を調製した。樹脂含有量はすべて50質量%になるように調整した。
<ワックス分散液−1の調製>
・カルナウバワックス(融点81℃) 20質量部
・酢酸エチル 80質量部
上記を撹拌羽根突きのガラスビーカー(IWAKIガラス製)に投入し、系内を70℃に加熱することでカルナウバワックスを酢酸エチルに溶解させた。ついで、系内を50rpmで緩やかに撹拌しながら徐々に冷却し、3時間かけて25℃にまで冷却させ乳白色の液体を得た。この溶液を1mmのガラスビーズ20質量部とともに耐熱性の容器に投入し、ペイントシェーカー(東洋精機製)にて3時間の分散を行い、ワックス分散液−1を得た。上記ワックス分散液−1中のワックス粒子径をマイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)にて測定したところ、個数平均粒子径で0.15μmであった。特性を表2に示す。
<ワックス分散液−2の調製>
・エステル1(ステアリン酸ステアリル:融点67℃) 16質量部
・ワックス分散樹脂(ニトリル基含有スチレンアクリル樹脂:スチレン65質量部、n−ブチルアクリレート35質量部、アクリロニトリル10質量部、ピーク分子量8,500) 8質量部
・酢酸エチル 76質量部
上記を撹拌羽根突きのガラスビーカー(IWAKIガラス製)内に投入し、系内を65℃に加熱することでステアリン酸ステアリルを酢酸エチルに溶解させた。ついで、ワックス分散液−1と同様操作を行い、ワックス分散液−2を得た。上記ワックス分散液−2中のワックス粒子径をマイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)にて測定したところ、個数平均粒子径で0.12μmであった。特性を表2に示す。
<ワックス分散液−3の調製>
・エステル2(トリメチロールプロパントリベヘネート融点58℃) 16質量部
・ワックス分散樹脂(ニトリル基含有スチレンアクリル樹脂:スチレン65質量部、n−ブチルアクリレート35質量部、アクリロニトリル10質量部、ピーク分子量8,500) 8質量部
・酢酸エチル 76質量部
上記を撹拌羽根突きのガラスビーカー(IWAKIガラス製)内に投入し、系内を60℃に加熱することでトリメチロールプロパントリベヘネートを酢酸エチルに溶解させた。ついで、ワックス分散液−1と同様操作を行い、ワックス分散液−3を得た。上記ワックス分散液−3中のワックス粒子径をマイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)にて測定したところ、個数平均粒子径で0.18μmであった。特性を表2に示す。
なお、表3中のカルナバ−1、エステル−1、エステル−2は、表2の如き対応を示す。
Figure 0005570124
<着色剤分散液−C1の調製>
・銅フタロシアニン顔料 C.I.ピグメントブルー15:3 100質量部
・上記ポリエステル−1 100質量部
・酢酸エチル 300質量部
・ガラスビーズ(1mm) 400質量部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントシェーカーにて5時間分散を行い、ナイロンメッシュでガラスビーズを取り除き、着色剤分散液−C1を得た。
<着色剤分散液−C2乃至C9の調製>
着色剤分散液−C1の作製において、用いる樹脂をポリエステル−2乃至9に変更して、着色剤分散液−C2乃至C9を得た。
<キャリアの製造例>
個数平均粒径0.25μmのマグネタイト粉と、個数平均粒径0.60μmのヘマタイト粉に対して、夫々4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で、100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を親油化処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
6質量部
・親油化処理したマグネタイト 63質量部
・親油化処理したヘマタイト 21質量部
上記材料と、28%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃で乾燥して、磁性体が分散された状態の球状の磁性樹脂粒子を得た。
コート樹脂として、メチルメタクリレートとパーフルオロアルキル基(m=7)を有するメチルメタクリレートの共重合体(共重合比8:1 重量平均分子量45,000)を用いた。該コート樹脂100質量部に、粒径290nmのメラミン粒子を10質量部、比
抵抗1×10−2Ω・cmで粒径30nmのカーボン粒子を6質量部加え、超音波分散機で30分間分散させた。更に、コート樹脂分がキャリアコアに対し、2.5質量部となるようにメチルエチルケトン及びトルエンの混合溶媒コート溶液を作製した(溶液濃度10質量%)。
このコート溶液を、剪断応力を連続して加えながら溶媒を70℃で揮発させて、磁性樹脂粒子表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、冷却、解砕した後、200メッシュの篩で分級して個数平均粒子径33μm、真比重3.53g/cm、見かけ比重 1.84g/cm、磁化の強さ42Am/Kgのキャリアを得た。
<実施例1>
(液状トナー組成物1の調製)
・ワックス分散液−1 50質量部
(カルナバワックス固形分:20%)
・着色剤分散液−C1 25質量部
(顔料固形分:20%、樹脂固形分:20%)
・ポリエステル樹脂溶液−1 160質量部
(樹脂固形分:50%)
・トリエチルアミン 0.5質量部
・酢酸エチル 14.5質量部
上記溶液を容器内に投入し、ホモディスパー(特殊機化工業(株)社製)で、1,500rpmで10分間撹拌・分散した。更に、上記溶液を常温下で超音波分散器により30分間分散させることにより油相1を調製した。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 220.5質量部
・樹脂微粒子分散液−1 30.0質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子6.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
(乳化及び脱溶剤工程)
上記水相中に油相を投入し、TKホモミクサーで回転数を8,000rpmまでの条件で、1分間撹拌を続け、油相1を懸濁させた。ついで、容器に撹拌羽をセットし、200rpmで撹拌しながら系内を50℃に昇温し、かつ500mmHgに減圧した状態で5時間かけて脱溶剤を行い、トナー粒子の水分散液を得た。
(洗浄〜乾燥工程)
ついで、上記のトナー粒子の水分散液をろ過し、イオン交換水500質量部にリスラリーした後、系内を撹拌しつつ、系内がpH4になるまで塩酸を加えて、5分間撹拌した。上記スラリーを再度ろ過し、イオン交換水200質量部添加し5分間撹拌する操作を3回繰り返すことで、系内に残存したトリエチルアミンを除去し、トナー粒子のろ過ケーキを得た。上記ろ過ケーキを温風乾燥機にて45℃で3日間乾燥し、目開き75μmメッシュでふるい、トナー粒子1を得た。
(トナー及び二成分現像剤の調製)
次に、上記トナー粒子1の100質量部に対し、アナターゼ型酸化チタン微粉末(BET比表面積80m/g、個数平均粒径(D1):15nm、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理)0.9質量部をまずヘンシェルミキサーにより外添し、さらにオイル処理シリカ微粒子(BET比表面積95m/g、シリコーンオイル15質量%処理)
1.2質量部、無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子:BET比表面積24m/g、個数平均粒径(D1):110nm) 1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)FM−10Bにて混合し、トナー1を得た。本発明においては、上記トナー1を8質量部と上記キャリア92質量部を混合し、二成分現像剤1を調製した。トナーの成分組成を表3に、トナーの特性及び以下の評価結果を表4,5に示す。
得られたトナーの評価方法について説明する。画像評価には市販のキヤノン製カラー複写機(商品名:CLC5000)を用いた。
<低温定着性の評価>
評価には上記二成分現像剤1、カラーレーザー複写機CLC5000(キヤノン社製)を用いた。紙上のトナー載り量を1.2mg/cmになるように上記複写機の現像コントラストを調整し、単色モードで、先端余白5mm、幅100mm、長さ280mmの、「べた」の未定着画像を常温常湿度環境下(23℃/60%RH)で作成した。紙は、厚紙A4用紙(「プローバーボンド紙」:105g/m、フォックスリバー社製)を用いた。
次に、LBP5900(キヤノン社製)の定着器を手動で定着温度設定が可能となるように改造した。定着部材が245mm/sになるように設定し、該改造定着器を用い、常
温常湿度環境下NN(23℃/60%)および常温常湿度環境下NL(23℃/5%)で、80℃から200℃の範囲で10℃ずつ定着温度を上昇させながら、上記「べた」の未定着画像の各温度における定着画像を得た。
得られた定着画像の画像領域に、柔和な薄紙(例えば、商品名「ダスパー」、小津産業社製)を被せ、該薄紙の上から4.9KPaの荷重をかけつつ5往復、該画像領域を摺擦した。摺擦前と摺擦後の画像濃度をそれぞれ測定して、下記式により画像濃度の低下率ΔD(%)を算出した。このΔD(%)が10%未満のときの温度を定着開始温度とし、以下のような評価基準で低温定着性を評価した。
尚、画像濃度はカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A:製造元 X−Rite社製)で測定した。
ΔD(%)=(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)/摺擦前の画像濃度×100
(評価基準)
A:定着開始温度が120℃以下
B:定着開始温度が120℃より大きく140℃以下
C:定着開始温度が140℃より大きく160℃以下
D:定着開始温度が160℃より大きい
尚、本発明においてはBランクまでを良好な低温定着性と判断した。
<耐熱保存性>
約10gのトナーを100mlのポリカップに入れ、50℃で3日放置した後、目視で評価した。
(評価基準)
A:凝集物は見られない。
B:凝集物は見られるが容易に崩れる。
C:凝集物をつかむことができ容易に崩れない。
<苛酷保存性>
約10gのトナーを100mlのポリカップに入れ、更にチャック付き袋ユニパックJ−4(生産日本社)に入れ封をする。温度40℃、相対湿度95%の環境にサンプルを入れ、1時間温度を環境に合わせた上で、チャック付き袋より取り出し、3日間放置する。温度40℃、相対湿度95%の環境より取り出し、通常環境下(温度23℃、相対湿度60%)に1日放置する。放置したトナーを目視で評価した。
(評価基準)
A:凝集物は見られない。
B:凝集物は見られるが容易に崩れる。
C:凝集物をつかむことができ容易に崩れない。
上記画像評価の為の試験機を、23℃、5%RHの環境に一晩放置後、印字率3%となる横線パターンを1枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、A4普通紙(75g/m)を使用して10,000枚の画出し耐久試験を行った。
<転写効率>
上記画像評価の為の試験機を、温度23℃、相対湿度60%の条件下で、A4普通紙(75g/m)を使用して評価を行った。上記評価機の感光体上の載り量が0.60mg/cmになるように感光体の電位コントラストを調整し、転写紙上に転写した画像と、感光体上の転写残の画像濃度を、X−rite社製 反射濃度計(500 Series
Spectrodensitemeter)を用いて測定した。画像濃度から、載り量を換算し転写紙上への転写効率を求めた。
(評価基準)
A:トナーの転写効率が95%以上である。
B:トナーの転写効率が93%以上である。
C:トナーの転写効率が90%以上である。
D:トナーの転写効率が90%未満である。
<クリーニング性>
上記画像評価の為の試験機を、温度23℃、相対湿度60%の条件下で、A4普通紙(75g/m)を使用して評価を行った。10枚後(初期)及び1,000枚後のクリーニングブレードからのトナーの抜けを調べた。上記評価機の感光体上の載り量が0.60mg/cmになるように感光体の電位コントラストを調整した。画像はA4普通紙の先端部分5mmを非印字とし、その後面積で印字部が10%になるようにべた画像を出し、その後が非印字になるように画像形成を行った。
なお、クリーニングブレードはCLC5000のものを用い、クリーニングブレードの感光体への当接圧は5、10gw/cm(4.9、9.8N/m)に設定した。このときの初期(10枚後)にクリーニングブレードからのすり抜けを評価した。また、10gw/c
mですり抜けが発生しないトナーについては、当接圧を10gw/cmに設定し1,00
0枚後のトナーのすり抜けを評価した。評価基準を以下に記す。
A:初期5gw/cmですり抜けなし。10gw/cmに変更し1000枚通紙後も良好。
B:初期10gw/cmですり抜けなし。1000枚後も良好。
C:初期10gw/cmですり抜けなし。1000枚後ですり抜け発生。
D:初期10gw/cmですり抜け発生。
<NL耐久時での光沢度の差>
上記画像評価の為の試験機を、温度23℃、相対湿度5%の条件下で、A4普通紙(75g/m)を使用して評価を行った。10枚後(初期)及び1,000枚後の画像の光沢度を調べた。上記評価機の感光体上の載り量が0.60mg/cmになるように感光体の電位コントラストを調整した。画像はA4普通紙の先端部分5mmを非印字とし、その後面積で印字部が10%になるようにべた画像を出し、その後が非印字になるように画像形成を行った。
光沢度の測定には、日本電色社製VG−10型光沢度計を用いた。測定にあたっては、まず定電圧装置により6Vにセットし、次いで投光角度、受光角度をそれぞれ60°に合わせ、0点調整及び標準板を用い、標準設定の後に、試料台上に、試料画像を置き、更に白色紙を3枚上に重ね測定を行い、表示部に示される数値を%単位で読み取った。評価基準を以下に記す。
A:初期と1000枚通紙後の光沢度差が2.0%以内
B:初期と1000枚通紙後の光沢度差が5.0%以内
C:初期と1000枚通紙後の光沢度差が10.0%以内
D:初期と1000枚通紙後の光沢度差が10.0%より大きい。
<長期保存サンプルの帯電変化>
(トナーの長期保存)
トナー100gを秤量し500mlのポリカップに入れ、更にチャック付き袋ユニパックJ−4(生産日本社)に入れ封をする。温度40℃、相対湿度95%の環境にサンプルを入れ、1時間温度を環境に合わせた上で、チャック付き袋より取り出し、3日間放置する。温度40℃、相対湿度95%の環境より取り出し、通常環境下(温度23℃、相対湿度60%)に1日放置する。
トナー及び所定のキャリア(日本画像学会標準キャリア フェライトコアを表面処理した球形キャリア N−01)を蓋付きのプラスチックボトルにそれぞれ、1.0g、19.0g入れ、環境に1日放置する。環境はN/L(温度23.0℃/湿度 5%)、H/H(温度30.0℃/湿度 80%)である。帯電性(トリボ)の評価は、トナーの摩擦帯電量を用いて評価した。以下にトナーの摩擦帯電量の測定方法について説明する。
まず、所定のキャリア(日本画像学会標準キャリア フェライトコアを表面処理した球形キャリア N−01)とトナーとを蓋付きのプラスチックボトルに入れ、振盪器(YS−LD、(株)ヤヨイ製)で、上記H/Hの環境下、1秒間に4往復のスピードで1分間振とうし(上記N/Lの環境下においては、1秒間に4往復のスピードで1時間振とうし
)、トナーとキャリアからなる現像剤を帯電させる。次に、図4に示す摩擦帯電量を測定する装置を用いて摩擦帯電量を測定する。図4において、底に500メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に、前述した現像剤約0.5〜1.5gを入れ、金属製のフタ4をする。この時の測定容器2全体の質量を秤りW1(g)とする。次に吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態で2分間吸引を行い、トナーを吸引除去する。この時の電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで、8はコンデンサーであり容量をC(mF)とする。また、吸引後の測定容器全体の質量を秤りW2(g)とする。この試料の摩擦帯電量(mC/kg)は下式の如く算出される。
(式)試料の摩擦帯電量(mC/kg)=C×V/(W1−W2)
(評価基準)
A:試料の摩擦帯電量が、-35mC/kg以上、-25mC/kg以下
B:試料の摩擦帯電量が、-40mC/kg以上、-20mC/kg以下
C:試料の摩擦帯電量が、-45mC/kg以上、-15mC/kg以下
D:試料の摩擦帯電量が、-45mC/kg以下または、-15mC/kg以上
<長期保存サンプルの画質>
(トナーの長期保存)
トナー100gを秤量し500mlのポリカップに入れ、更にチャック付き袋ユニパックJ−4(生産日本社)に入れ封をする。温度40℃、相対湿度95%の環境にサンプルを入れ、1時間温度を環境に合わせた上で、チャック付き袋より取り出し、3日間放置する。温度40℃、相対湿度95%の環境より取り出し、通常環境下(温度23℃、相対湿度60%)に1日放置する。その後、トナーを32gと上記キャリア368gを混合してなる二成分現像剤を調製した。
(細線再現性の評価)
評価には上記二成分現像剤、画像評価には市販のキヤノン製カラー複写機(商品名:CLC5000)を用いた。細線再現性の評価は、上記耐久試験中、10枚後の画像を確認した。
まず、潜像のライン幅が85μmになるようにレーザー露光して、厚紙(105g/m)にプリントした定着画像を測定用サンプルとした。測定装置として、ルーゼックス450粒子アナライザー(株式会社ニレコ)を用いて、拡大したモニター画像から、インジケーターを用いて線幅の測定を行った。このとき、線幅の測定位置はトナーの細線画像の幅方向に凹凸があるため、凹凸の平均的線幅をもって測定点とした。細線再現性の評価は、線幅測定値の、潜像線幅(85μm)に対する比(線幅比)を算出することによって評価した。細線再現性の評価基準を以下に示す。
(評価基準)
線幅測定値の、潜像線幅に対する比(線幅比)が、
A:1.08未満である。
B:1.08以上、1.12未満である。
C:1.12以上、1.18未満である。
D:1.18以上である。
<比較例1>
液状トナー組成物1の代わりに、以下の条件で作製した液状トナー組成物2を用いた以外は、実施例1と同じ製造方法でトナー2を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー2を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(液状トナー組成物2の調製)
・ワックス分散液−1 50質量部
(カルナバワックス固形分:20%)
・着色剤分散液−C2 25質量部
(顔料固形分:20%、樹脂固形分:20%)
・ポリエステル樹脂溶液−2 160質量部
(樹脂固形分:50%)
・トリエチルアミン 0.5質量部
・酢酸エチル 14.5質量部
上記溶液を容器内に投入し、ホモディスパー(特殊機化工業(株)社製)で、1500rpmで10分間撹拌・分散した。更に、上記溶液を常温下で超音波分散器により30分間分散させることにより液状トナー組成物2を調製した。
<比較例2>
液状トナー組成物1の代わりに、以下の条件で作製した液状トナー組成物3を用いた以外は、実施例1と同じ製造方法でトナー3を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナ
ー3を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(液状トナー組成物3の調製)
・ワックス分散液−1 50質量部
(カルナバワックス固形分:20%)
・着色剤分散液−C3 25質量部
(顔料固形分:20%、樹脂固形分:20%)
・ポリエステル樹脂溶液−3 160質量部
(樹脂固形分:50%)
・トリエチルアミン 0.5質量部
・酢酸エチル 14.5質量部
上記溶液を容器内に投入し、ホモディスパー(特殊機化工業(株)社製)で、1,500rpmで10分間撹拌・分散した。更に、上記溶液を常温下で超音波分散器により30分間分散させることにより液状トナー組成物3を調製した。
<比較例3>
実施例1で用いた液状トナー組成物1、水相の代わりに、以下に示す、液状トナー組成物4、水相を用いた以外は、実施例1と同じ製造方法でトナー4を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー4を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(液状トナー組成物4の調製)
・ワックス分散液−1 50質量部
(カルナバワックス固形分:20%)
・着色剤分散液−C1 25質量部
(顔料固形分:20%、樹脂固形分:20%)
・ポリエステル樹脂溶液−1 160質量部
(樹脂固形分:50%)
・トリエチルアミン 0.8質量部
・酢酸エチル 14.2質量部
上記溶液を容器内に投入し、ホモディスパー(特殊機化工業(株)社製)で、1,500rpmで10分間撹拌・分散した。更に、上記溶液を常温下で超音波分散器により30分間分散させることにより液状トナー組成物4を調製した。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 243.0質量部
・樹脂微粒子分散液−1 7.5質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子1.5質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<比較例4>
実施例1で用いた液状トナー組成物1、水相の代わりに、以下に示す液状トナー組成物5、水相を用いた以外は、実施例1と同じ製造方法でトナー5を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー5を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(液状トナー組成物5の調製)
・ワックス分散液−1 50質量部
(カルナバワックス固形分:20%)
・着色剤分散液−C1 25質量部
(顔料固形分:20%、樹脂固形分:20%)
・ポリエステル樹脂溶液−1 160質量部
(樹脂固形分:50%)
・トリエチルアミン 0.2質量部
・酢酸エチル 14.8質量部
上記溶液を容器内に投入し、ホモディスパー(特殊機化工業(株)社製)で、1,500rpmで10分間撹拌・分散した。更に、上記溶液を常温下で超音波分散器により30分間分散させることにより液状トナー組成物5を調製した。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 165.5質量部
・樹脂微粒子分散液−1 85.0質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子17.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<比較例5>
乳化及び脱溶剤工程を以下のように変更した以外は実施例1と同様にトナーを調製し、トナー6を得た。
(乳化及び脱溶剤工程)
水相中に油相を投入し、TKホモミクサーで回転数を12,000rpmまでの条件で、5分間撹拌を続け、液状トナー組成物1を懸濁させた。ついで、容器に撹拌羽をセットし、200rpmで撹拌しながら系内を50℃に昇温し、かつ500mmHgに減圧した状態で5時間かけて脱溶剤を行い、トナー粒子の水分散液を得た。
その後の洗浄から乾燥工程、トナーの調製工程は実施例1と同様にして、トナー6を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー6を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<比較例6>
乳化及び脱溶剤工程を以下のように変更した以外は実施例1と同様にトナーを調製し、トナー7を得た。
(乳化及び脱溶剤工程)
水相中に油相を投入し、TKホモミクサーで回転数を8,000rpmまでの条件で、1分間撹拌を続け、液状トナー組成物1を懸濁させた。ついで、容器に撹拌羽をセットし、200rpmで撹拌しながら常温(23℃)に保ち、かつ500mmHgに減圧した状態で5時間かけて脱溶剤を行い、トナー粒子の水分散液を得た。
その後の洗浄から乾燥工程、トナーの調製工程は実施例1と同様にして、トナー7を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー7を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<比較例7>
乳化及び脱溶剤工程を以下のように変更した以外は実施例1と同様にトナーを調製し、トナー8を得た。
(乳化及び脱溶剤工程)
水相中に油相を投入し、TKホモミクサーで回転数を8,000rpmまでの条件で、1分間撹拌を続け、液状トナー組成物1を懸濁させた。ついで、容器に撹拌羽をセットし、200rpmで撹拌しながら系内を60℃に昇温し、かつ500mmHgに減圧した状態で5時間かけて脱溶剤を行い、トナー粒子の水分散液を得た。
その後の洗浄から乾燥工程、トナーの調製工程は実施例1と同様にして、トナー8を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー8を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<比較例8>
実施例1で用いた水相の代わりに、以下に示す水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー9を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー9を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 220.5質量部
・樹脂微粒子分散液−2 30質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子6.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<比較例9>
実施例1で用いた水相の代わりに、以下に示す水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー10を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー10を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 220.5質量部
・樹脂微粒子分散液−3 30質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子6.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例2>
実施例1で用いた液状トナー組成物1について、着色剤分散液−C1の代わりに着色剤分散液−C4を、ポリエステル樹脂溶液−1の代わりにポリエステル樹脂溶液−4を用い液状トナー組成物11を作製した。これ以外は、実施例1と同じ製造方法でトナー11を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー11を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<実施例3>
実施例1で用いた液状トナー組成物1について、着色剤分散液−C1の代わりに着色剤分散液−C5を、ポリエステル樹脂溶液−1の代わりにポリエステル樹脂溶液−5を用い液状トナー組成物12を作製した。これ以外は、実施例1と同じ製造方法でトナー12を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー12を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<実施例4>
実施例1で用いた液状トナー組成物1について、着色剤分散液−C1の代わりに着色剤分散液−C6を、ポリエステル樹脂溶液−1の代わりにポリエステル樹脂溶液−6を用い液状トナー組成物13を作製した。これ以外は、実施例1と同じ製造方法でトナー13を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー13を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<実施例5>
実施例1で用いた液状トナー組成物1について、着色剤分散液−C1の代わりに着色剤分散液−C7を、ポリエステル樹脂溶液−1の代わりにポリエステル樹脂溶液−7を用い液状トナー組成物14を作製した。これ以外は、実施例1と同じ製造方法でトナー14を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー14を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<実施例6>
実施例1で用いた液状トナー組成物1、水相の代わりに、以下に示す、液状トナー組成物15、水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー15を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー15を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(液状トナー組成物15の調製)
・ワックス分散液−1 50質量部
(カルナバワックス固形分:20%)
・着色剤分散液−C1 25質量部
(顔料固形分:20%、樹脂固形分:20%)
・ポリエステル樹脂溶液−1 160質量部
(樹脂固形分:50%)
・トリエチルアミン 0.7質量部
・酢酸エチル 14.3質量部
上記溶液を容器内に投入し、ホモディスパー(特殊機化工業(株)社製)で、1,500rpmで10分間撹拌・分散した。更に、上記溶液を常温下で超音波分散器により30分間分散させることにより液状トナー組成物15を調製した。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 251.5質量部
・樹脂微粒子分散液−1 16.0質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子3.2質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例7>
実施例1で用いた液状トナー組成物1、水相の代わりに、以下に示す液状トナー組成物16、水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製しトナー16を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー16を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(液状トナー組成物16の調製)
・ワックス分散液−1 50質量部
(カルナバワックス固形分:20%)
・着色剤分散液−C1 25質量部
(顔料固形分:20%、樹脂固形分:20%)
・ポリエステル樹脂溶液−1 160質量部
(樹脂固形分:50%)
・トリエチルアミン 0.3質量部
・酢酸エチル 14.7質量部
上記溶液を容器内に投入し、ホモディスパー(特殊機化工業(株)社製)で、1,500rpmで10分間撹拌・分散した。更に、上記溶液を常温下で超音波分散器により30分間分散させることにより液状トナー組成物16を調製した。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 178.0質量部
・樹脂微粒子分散液−1 72.5質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子14.5質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例8>
実施例1で用いた液状トナー組成物1、水相の代わりに、以下に示す、液状トナー組成物17、水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー17を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー17を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(液状トナー組成物17の調製)
・ワックス分散液−1 50質量部
(カルナバワックス固形分:20%)
・着色剤分散液−C1 25質量部
(顔料固形分:20%、樹脂固形分:20%)
・ポリエステル樹脂溶液−1 160質量部
(樹脂固形分:50%)
・トリエチルアミン 0.6質量部
・酢酸エチル 14.4質量部
上記溶液を容器内に投入し、ホモディスパー(特殊機化工業(株)社製)で、1,500rpmで10分間撹拌・分散した。更に、上記溶液を常温下で超音波分散器により30分間分散させることにより液状トナー組成物17を調製した。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分
撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 230.0質量部
・樹脂微粒子分散液−1 20.5質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子4.1質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例9>
実施例1で用いた液状トナー組成物1、水相の代わりに、以下に示す液状トナー組成物18、水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー18を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー18を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(液状トナー組成物18の調製)
・ワックス分散液−1 50質量部
(カルナバワックス固形分:20%)
・着色剤分散液−C1 25質量部
(顔料固形分:20%、樹脂固形分:20%)
・ポリエステル樹脂溶液−1 160質量部
(樹脂固形分:50%)
・トリエチルアミン 0.4質量部
・酢酸エチル 14.6質量部
上記溶液を容器内に投入し、ホモディスパー(特殊機化工業(株)社製)で、1,500rpmで10分間撹拌・分散した。更に、上記溶液を常温下で超音波分散器により30分間分散させることにより液状トナー組成物18を調製した。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 190.5質量部
・樹脂微粒子分散液−1 60.0質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子12.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例10>
乳化及び脱溶剤工程を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー19を得た。
(乳化及び脱溶剤工程)
水相中に油相を投入し、TKホモミクサーで回転数を8,000rpmまでの条件で、1分間撹拌を続け、液状トナー組成物1を懸濁させた。ついで、容器に撹拌羽をセットし、200rpmで撹拌しながら系内を40℃に昇温し、かつ500mmHgに減圧した状態で5時間かけて脱溶剤を行い、トナー粒子の水分散液を得た。その後の洗浄から乾燥工程、トナーの調製工程は実施例1と同様にして、トナー19を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー19を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<実施例11>
乳化及び脱溶剤工程を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー20を得た。
(乳化及び脱溶剤工程)
水相中に油相を投入し、TKホモミクサーで回転数を8,000rpmまでの条件で、1分間撹拌を続け、液状トナー組成物1を懸濁させた。ついで、容器に撹拌羽をセットし、200rpmで撹拌しながら系内を45℃に昇温し、かつ500mmHgに減圧した状態で5時間かけて脱溶剤を行い、トナー粒子の水分散液を得た。その後の洗浄から乾燥工程、トナーの調製工程は実施例1と同様にして、トナー20を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー20を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<実施例12>
乳化及び脱溶剤工程を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー21を得た。
(乳化及び脱溶剤工程)
水相中に油相を投入し、TKホモミクサーで回転数を8,000rpmまでの条件で、1分間撹拌を続け、液状トナー組成物1を懸濁させた。ついで、容器に撹拌羽をセットし、200rpmで撹拌しながら系内を57℃に昇温し、かつ500mmHgに減圧した状態で5時間かけて脱溶剤を行い、トナー粒子の水分散液を得た。その後の洗浄から乾燥工程、トナーの調製工程は実施例1と同様にして、トナー21を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー21を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<実施例13>
乳化及び脱溶剤工程を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー22を得た。
(乳化及び脱溶剤工程)
水相中に油相を投入し、TKホモミクサーで回転数を8,000rpmまでの条件で、1分間撹拌を続け、液状トナー組成物1を懸濁させた。ついで、容器に撹拌羽をセットし、200rpmで撹拌しながら系内を55℃に昇温し、かつ500mmHgに減圧した状態で5時間かけて脱溶剤を行い、トナー粒子の水分散液を得た。その後の洗浄から乾燥工程、トナーの調製工程は実施例1と同様にして、トナー22を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー22を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<実施例14>
実施例1で用いた水相の代わりに、以下に示す水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー23を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー23を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 220.5質量部
・樹脂微粒子分散液−4 30.0質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子6.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例15>
実施例1で用いた水相の代わりに、以下に示す水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー24を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー24を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 220.5質量部
・樹脂微粒子分散液−5 30.0質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子6.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例16>
実施例1で用いた水相の代わりに、以下に示す水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー25を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー25を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 220.5質量部
・樹脂微粒子分散液−6 30.0質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子6.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例17>
実施例1で用いた水相の代わりに、以下に示す水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー26を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー26を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 220.5質量部
・樹脂微粒子分散液−7 30.0質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子6.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例18>
実施例1で用いた水相の代わりに、以下に示す水相を用いた以外は、実施例1と同様に
トナーを調製し、トナー27を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー27を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 220.5質量部
・樹脂微粒子分散液−8 30.0質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子6.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例19>
実施例1で用いた水相の代わりに、以下に示す水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー28を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー28を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 220.5質量部
・樹脂微粒子分散液−9 30.0質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子6.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例20>
実施例1で用いた液状トナー組成物1について、着色剤分散液−C1の代わりに着色剤分散液−C8を、ポリエステル樹脂溶液−1の代わりにポリエステル樹脂溶液−8を用い液状トナー組成物29を作製した。これ以外は、実施例1と同じ製造方法でトナー29を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー29を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<実施例21>
実施例1で用いた液状トナー組成物1について、着色剤分散液−C1の代わりに着色剤分散液−C9を、ポリエステル樹脂溶液−1の代わりにポリエステル樹脂溶液−9を用い液状トナー組成物30を作製した。これ以外は、実施例1と同じ製造方法でトナー30を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー30を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
<実施例22>
実施例1で用いた水相の代わりに、以下に示す水相を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー31を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー31を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(水相の調製)
容器に下記を投入し、TKホモミクサー(特殊機化社製)にて5,000rpmで1分撹拌し、水相を調製した。
・イオン交換水 220.5質量部
・樹脂微粒子分散液−10 30.0質量部
(トナー母粒子100質量部に対して、樹脂微粒子6.0質量部)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業製) 25.0質量部
・酢酸エチル 30.0質量部
<実施例23>
液状トナー組成物1の代わりに、以下の条件で作製した液状トナー組成物32を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー32を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー32を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(液状トナー組成物32の調製)
・ワックス分散液−2 43.8質量部
(ワックス固形分:16質量%、ワックス分散剤8質量%)
・着色剤分散液−C1 15質量部
(顔料固形分:20質量%、樹脂固形分:20質量%)
・ポリエステル樹脂溶液−1 167質量部
(樹脂固形分:50質量%)
・トリエチルアミン 0.5質量部
・酢酸エチル 23.7質量部
<実施例24>
液状トナー組成物1の代わりに、以下の条件で作製した液状トナー組成物33を用いた以外は、実施例1と同様にトナーを調製し、トナー33を得た。そして実施例1と同様の方法で、トナー33を評価した。トナーの成分組成比を表3に、トナーの特性及び評価結果を表4,5に示す。
(液状トナー組成物33の調製)
・ワックス分散液−3 81.3質量部
(ワックス固形分:16質量%、ワックス分散剤8質量%)
・着色剤分散液−C1 40質量部
(顔料固形分:20質量%、樹脂固形分:20質量%)
・ポリエステル樹脂溶液−1 129質量部
(樹脂固形分:50質量%)
・トリエチルアミン 0.5質量部
・酢酸エチル 0.8質量部
Figure 0005570124
Figure 0005570124
Figure 0005570124
DSCカーブによるTgの算出方法を示す。 温度40℃、相対湿度95%での吸水量を測定するための、質量変化曲線である。 トナーの微小圧縮試験における荷重−変位曲線である。 摩擦帯電量を測定する装置の概略図である。
1 吸引機(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)
2 金属製の測定容器
3 500メッシュのスクリーン
4 金属製のフタ
5 真空計
6 風量調節弁
7 吸引口
8 コンデンサー
9 電位計

Claims (8)

  1. ポリエステルを主成分とする樹脂(a)、着色剤及びワックスを含有するトナー母粒子(A)並びに前記トナー母粒子(A)の表面に形成された樹脂(b)を主成分とする表面層(B)を有するカプセル型のトナー粒子を含有するトナーであって、
    前記樹脂(b)が、ウレタン結合を有する樹脂であり、
    前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による測定において、昇温速度が0.5℃/minで測定されたガラス転移温度をTg(0.5)とし、昇温速度が4.0℃/minで測定されたガラス転移温度をTg(4.0)としたとき、
    Tg(0.5)が、35℃以上60℃以下であり、
    Tg(4.0)−Tg(0.5)が、2.0℃以上10.0℃以下であり、
    前記トナーの平均円形度が、0.960以上0.990以下であり、
    温度23℃の環境下で、前記トナーが入った試料セルを真空脱気した後、窒素を注入した試料セルを用いて測定した前記トナーのBET比表面積をS(0)(m/g)とし、
    該BET比表面積S(0)を測定したトナーを温度40℃及び相対湿度95%の環境下に3日間放置した後、温度40℃及び相対湿度95%の環境下に3日間放置後のトナーが入った試料セルを温度23℃の環境下で真空脱気した後、窒素を注入した試料セルを用いて測定した前記トナーのBET比表面積をS(95)(m/g)としたとき、
    BET比表面積の比{S(95)/S(0)}が、0.81以上1.00以下であることを特徴とするトナー。
  2. 前記トナーは、トナーに対する微小圧縮試験において、温度40℃及び相対湿度95%の環境下で以下の1)〜3)のように測定し、{(X−X)/X}×100で算出される復元率Z(95)が、40%以上80%以下である請求項1記載のトナー。
    1)トナーに、9.8×10−5N/secの負荷速度で最大荷重2.94×10−4Nをかける。
    2)前記最大荷重をかけ終えた後、その荷重で0.1秒間放置する。放置後の最大変位量をXとする。
    3)前記放置終了後、9.8×10−5N/secの除荷速度で荷重0Nまで除荷する。荷重が0Nになったときの変位量をXとする。
  3. 前記トナーは、トナーに対する微小圧縮試験において、温度40℃及び相対湿度95%の環境下で測定した、9.8×10−5N/secの負荷速度で最大荷重2.94×10−4Nをかけたときのトナーの変形量H(95)が、5.00×10−4N/μm以上2.00×10−3N/μm以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記トナーは、トナーに対する微小圧縮試験において、温度40℃及び相対湿度95%の環境下で測定した、9.8×10−5N/secの負荷速度で最大荷重2.94×10−4Nをかけたときのトナーの変形量をH(95)とし、温度40℃及び相対湿度0%の環境下で測定した、9.8×10−5N/secの負荷速度で最大荷重2.94×10−4Nをかけたときのトナーの変形量をH(0)とした場合、トナーの変形量の比{H(0)/H(95)}が、5より小さい請求項1〜3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記トナーは、温度40℃及び相対湿度95%の環境下で測定したトナーの吸水量が、2.0%以下である請求項1〜4のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記トナー粒子を水に分散して得た分散物を滴定法により測定して得たトナー粒子の酸価をUt(mgKOH/g)としたとき、前記Utが、0.20mgKOH/g以上1.00mgKOH/g以下であり、
    前記トナー粒子の比表面積をSt(m/g)としたときに、前記Stが、0.60m/g以上2.00m/gであり、前記Ut及びStが、0.20mgKOH/m≦(Ut/St)≦1.50mgKOH/mの関係を満足する請求項1〜5のいずれかに
    記載のトナー。
  7. 前記ポリエステルを主成分とする樹脂(a)は、温度40℃及び相対湿度95%の環境下で測定した、樹脂(a)の吸水量が、2.0%以下である請求項1〜6のいずれかに記載のトナー。
  8. 前記トナーは、
    i)前記樹脂(b)を主成分とする微粒子を分散させた水系媒体中に、少なくとも、前記結着樹脂(a)、着色剤及びワックスを有機媒体に溶解又は分散させて得られた溶解物又は分散物を分散させた分散液を得、
    ii)得られた分散液から前記有機媒体を除去して水分散液を得、
    iii)前記樹脂(b)の等電位点まで前記水分散液のpHを調整し、
    iv)pH調整された水分散液から前記水系媒体を除去し、残存する粒子を乾燥させてトナー粒子を得る、
    工程を経て得られる請求項1〜7のいずれかに記載のトナー。
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