すなわち、キチンを酸または酵素で分解することにより得られるオリゴ糖混合物を、活性炭クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ODSクロマトグラフィー等の周知の分離精製手法を用いて精製することにより、各重合度のキチンオリゴ糖を得ることができる。また、キチンを酸または酵素で分解することにより得られるオリゴ糖混合物をそのまま、あるいは周知の分離精製手法を用いて部分精製したオリゴ糖混合物を用いることもできる。また、市販のものを用いてもよい。
すなわち、乳糖とN-アセチルグルコサミンにβ‐ガラクトシダーゼを作用させて生成するN-アセチルラクトサミンを活性炭クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ODSクロマトグラフィーなどの周知の分離精製手法を用いて精製した高純度のN-アセチルラクトサミンを得ることができる。あるいは、乳糖とN-アセチルグルコサミンにβ‐ガラクトシダーゼを作用させたN-アセチルラクトサミン含有溶液をそのまま、あるいは周知の分離精製手法を用いて部分精製したN-アセチルラクトサミン混合物を用いることもできる。また、天然のケラタン硫酸を分解することにより得られるN-アセチルラクトサミンまたはN-アセチルラクトサミン混合物や、周知の有機合成手法により合成されたN-アセチルラクトサミンまたはN-アセチルラクトサミン混合物を用いることができる。また、市販のものを用いてもよい。
本発明においては、上記キチンオリゴ糖及び/又はN−アセチルラクトサミンを含む水溶液を加熱する。これにより、下記一般式(7)で表される、還元末端糖の2位と3位が二重結合とされた還元末端構造を有するオリゴ糖が生成する。
また、後述の実施例で示すように、下記一般式(1)で表される化学構造を有するキチンオリゴ糖誘導体、又は下記式(2)で表される化学構造を有するN−アセチルラクトサミン誘導体を得ることができる。
本発明においては、そのようにして得られた誘導体に、更に活性炭素及び/又はパラジウム炭素を作用させることにより、下記一般式(8)で表される、還元末端糖の2位と3位が二重結合とされ、かつ還元末端糖の1位にケト基を有する還元末端構造を有するオリゴ糖を生成させることができる。
また、後述の実施例で示すように、下記一般式(5)で表される化学構造を有するキチンオリゴ糖誘導体、又は下記式(6)で表される化学構造を有するN−アセチルラクトサミン誘導体を得ることができる。
活性炭素及び/又はパラジウム炭素を作用させる方法としては、バッチ法、カラム法など、通常の方法で行えばよく、具体的には、例えば、活性炭、パラジウム炭素担体、活性炭−セライトクロマトグラフィーなどを用いて行うことができる。
上記キチンオリゴ糖及び/又はN−アセチルラクトサミンを含む水溶液を加熱するにあたり、上記水溶液には、ホウ酸イオンを含有させることが好ましい。ホウ酸イオンの由来としては、例えば、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、及び四ホウ酸二カリウムを好ましく例示できる。
上記水溶液中のホウ酸イオンの濃度としては、生成物の選択性や収率などを考慮して適宜選択することができるが、1〜1000mM程度であることが好ましく、25〜900mM程度であることがより好ましく、100〜900mM程度であることが最も好ましい。
また、上記水溶液を加熱するにあたり、上記水溶液のpHは、生成物の選択性や収率などを考慮して適宜選択することができるが、pH3〜8程度であることが好ましく、pH6〜8程度であることがより好ましく、pH6〜7程度であることが最も好ましい。
また、上記水溶液を加熱するにあたり、上記水溶液の温度は、生成物の選択性や収率などを考慮して適宜選択することができるが、およそ80〜140℃であることが好ましく、およそ80〜120℃であることがより好ましく、およそ90〜110℃であることが最も好ましい。なお、通常当業者に周知の技術によって加圧下に加熱等することで、上記水溶液を、大気圧の沸点以上の温度に加熱することができる。
また、上記水溶液を加熱するにあたり、上記水溶液中のキチンオリゴ糖及び/又はN−アセチルラクトサミンの濃度は、生成物の選択性や収率などを考慮して適宜選択することができるが、0.1〜30質量%程度であることが好ましく、0.5〜25質量%程度であることがより好ましく、1〜20質量%程度であることが最も好ましい。反応時間は、0〜600分程度であることが好ましく、5〜240分程度であることがより好ましく、30〜180分程度であることが最も好ましい。
本発明においては、目的によって、生成したものをほぼそのまま用いてもよく、あるいは通常当業者に周知の分離精製手段である、例えば、限外ろ過、イオン交換膜電気透析、活性炭、活性炭−セライトクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、ODSクロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、HPLC等により、脱塩、濃縮したり、不純物、夾雑物を取り除いたりしてから用いることもできる。あるいは、また、複数種のキチンオリゴ糖誘導体及び/又はN−アセチルラクトサミン誘導体が生成する場合には、これらを個別に分離精製して、又は部分的に分離精製して、又は個別に若しくは部分的に分離精製したものを組合せてから用いることもできる。
また、上記のように分離精製して、生成した各誘導体の純度を、好ましくは30質量%以上、より好ましくは70質量%以上、最も好ましくは95質量%以上にまで高めることもできる。
本発明のキチンオリゴ糖誘導体及び/又はN−アセチルラクトサミン誘導体は、産業用素材として、医療、食品、化粧品、化成品、トイレタリー、農業などに利用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。
<実施例1> N−アセチルキトビオース誘導体の製造
下記構造式で表されるN−アセチルキトビオース(1g, 2.3mmol)を0.4Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH7.0, 25mL)に溶解後、100℃で1時間反応を行なった。
続いて反応液を、水で平衡化した活性炭−セライトクロマトグラフィー(φ4.5×100cm)に供した。その後、H2O/エタノールの直線濃度勾配法により溶出し、チューブに60mLずつ分取後、各フラクションをN−アセチル基に由来する210nmの吸光度で測定した。そのクロマトグラムを図1に示す。
その結果、図1中F-1で示すように、H2O→40%エタノールの直線濃度勾配(流速:4.8mL/min)により、原料であるN−アセチルキトビオースを含む吸着画分が溶出された。その後、溶出液を50%エタノールに切り替えることにより、図1中F-2で示す溶出画分(フラクション146〜148,8760mL〜8880mL)、及びF-3で示す溶出画分(フラクション157〜159,9420mL〜9540mL)が得られた。
図1中F-2で示す溶出画分を濃縮し、重水に溶解して各種NMR分析により構造解析した。
・NMR分析
分析機器 :JEOL lamda 500FT NMR spectrometer
外部標準 :3-トリメチルシリルプロピン酸ナトリウム(TPS)
溶媒 :D2O
温度 :30℃
サンプル管 :φ3mm
その構造解析の結果は以下のとおりであった。
HRESIMS: m/z 429.14822 [M + Na]+ (calcd for C16H26N2Na1O10, 429.14851); 1H-NMR (D2O, 500 MHz): α-anomer; δ 6.43 (1H, H-3), 5.43 (1H, H-1), 4.67 (d, 1H, J1', 2' = 8.5 Hz, H-1'), 4.37 (1H, H-4), 2.11-2.08 (6H, CH 3CONH-, CH 3CONH-'). β-anomer; δ 6.47 (1H, H-3), 5.47 (1H, H-1), 4.66 (d, 1H, J1', 2' = 8.5 Hz, H-1'), 4.37 (1H, H-4), 2.11-2.08 (6H, CH 3CONH-, CH 3CONH-'). 13C-NMR (D2O, 500 MHz): α-anomer; δ 177.3 (CH3 CONH-'), 176.3 (CH3 CONH-), 136.2 (C-2), 118.4 (C-3), 104.7 (C-1'), 90.3 (C-1), 78.60 (C-5'), 76.4 (C-3'), 75.5 (C-4), 72.7 (C-5), 72.5 (C-4'), 63.5 (C-6'), 63.3 (C-6), 58.5 (C-2'), 25.7 (CH3CONH-), 24.9 (CH3CONH-'). β-anomer; δ 177.3 (CH3 CONH-'), 176.3 (CH3 CONH-), 137.3 (C-2), 117.7 (C-3), 104.3 (C-1'), 92.4 (C-1), 78.9 (C-5), 78.63 (C-5'), 76.4 (C-3'), 75.2 (C-4), 72.5 (C-4'), 63.7 (C-6), 63.5 (C-6'), 58.5 (C-2'), 25.8 (CH3CONH-), 24.9 (CH3CONH-').
以上の構造解析の結果から、図1中F-2で示す溶出画分に溶出した物質は、下記構造式を有するN−アセチルキトビオース誘導体であることが明らかとなった。また、その収量は46.4mgであり、収率は4.8%であった。
また、図1中F-3で示す溶出画分について、同様の構造解析を行った。その構造解析の結果は以下のとおりであった。
HRESIMS: m/z 427.13260 [M + Na]+ (calcd for C16H24N2Na1O10, 427.13286); 1H-NMR (D2O, 500 MHz): δ 7.45 (1H, d, H-3), 4.81 (dd, 1H, H-4), 4.74 (d, 1H, J1', 2' = 8.5 Hz, H-1'), 4.61 (1H, H-5), 2.17 (s, 3H, CH 3CONH-), 2.08 (s, 3H, CH 3CONH-'). 13C-NMR (D2O, 500 MHz): δ 177.4 (CH3 CONH-'), 176.4 (CH3 CONH-), 164.7 (C-1), 129.8 (C-3), 128.0 (C-2), 104.2 (C-1'), 83.9 (C-5), 78.7 (C-5'), 76.3 (C-3'), 73.1 (C-4), 72.5 (C-4'), 63.4 (C-6'), 62.9 (C-6), 58.4 (C-2'), 25.9 (CH3CONH-), 24.9 (CH3CONH-').
以上の構造解析の結果から、図1中F-3で示す溶出画分に溶出した物質は、下記構造式を有するN−アセチルキトビオース誘導体であることが明らかとなった。また、その収量は9.7mgであり、収率は1.0%であった。
なお、本実施例1において、図1中F-3で示す溶出画分に溶出した、上記N−アセチルキトビオース誘導体は、図1中F-2で示す溶出画分に溶出すべきN−アセチルキトビオース誘導体が、活性炭−セライトクロマトグラフィーでの分離過程で、カラムに担持された活性炭に作用して生成したものであると考えられた。
<実施例2> N−アセチルキトトリオース誘導体の製造
下記構造式で表されるN−アセチルキトトリオース(2.0g, 3.2mmol)を用いて、実施例1と同様の条件および方法により、上記実施例1における図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分を得、実施例1と同様の構造解析を行った。
その構造解析の結果は以下のとおりであった。
HRESIMS: m/z 632.22722 [M + Na]+ (calcd for C24H39N3Na1O15, 632.22789); 1H-NMR (D2O, 500 MHz): α-anomer; δ 6.44 (1H, H-3), 5.41 (1H, H-1), 4.66 (d, 1H, J1', 2' = 8.0 Hz, H-1'), 4.61 (d, 1H, J1'', 2'' = 8.5 Hz, H-1''), 4.36 (1H, H-4), 2.11-2.07 (9H, CH 3CONH-, CH 3CONH-', CH 3CONH-''). β-anomer; δ 6.48 (1H, H-3), 5.46 (1H, H-1), 4.66 (d, 1H, J1', 2' = 8.0 Hz, H-1'), 4.61 (d, 1H, J1'', 2'' = 8.5 Hz, H-1''), 4.36 (1H, H-4), 2.11-2.07 (9H, CH 3CONH-, CH 3CONH-', CH 3CONH-''). 13C-NMR (D2O, 500 MHz): α-anomer; δ 177.5 (CH3 CONH-'), 177.3 (CH3 CONH-''), 176.34 (CH3 CONH-), 136.2 (C-2), 118.1 (C-3), 104.6 (C-1'), 104.3 (C-1''), 90.3 (C-1), 81.9 (C-4'), 78.7 (C-5''), 77.2 (C-5'), 76.3 (C-3''), 75.6 (C-4), 75.1 (C-3'), 72.6 (C-5), 72.5 (C-4''), 63.3 (C-6''), 63.2 (C-6), 62.85 (C-6'), 58.4 (C-2''), 57.9 (C-2'), 25.7 (CH3CONH-), 24.9 (CH3CONH-', CH3CONH-''). β-anomer; δ 177.5 (CH3 CONH-'), 177.3 (CH3 CONH-''), 176.30 (CH3 CONH-), 137.3 (C-2), 117.6 (C-3), 104.3 (C-1''), 104.2 (C-1'), 92.5 (C-1), 82.0 (C-4'), 78.8 (C-5), 78.7 (C-5''), 77.3 (C-5'), 76.3 (C-3''), 75.3 (C-4), 75.1 (C-3'), 72.5 (C-4''), 63.3 (C-6''), 63.6 (C-6), 62.91 (C-6'), 58.4 (C-2''), 57.9 (C-2'), 25.8 (CH3CONH-), 24.9 (CH3CONH-', CH3CONH-'').
以上の構造解析の結果から、本実施例2において、上記実施例1における図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分に溶出した物質は、下記構造式を有するN−アセチルキトトリオース誘導体であることが明らかとなった。また、その収率は6.3%であった。
また、上記実施例1における図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分ついて、同様の構造解析を行った。その構造解析の結果は以下のとおりであった。
HRESIMS: m/z 630.21221 [M + Na]+(calcd for C24H37N3Na1O15, 630.21224); 1H-NMR (D2O, 500 MHz): δ 7.44 (1H, d, H-3), 4.80 (dd, 1H, H-4), 4.73 (d, 1H, J1', 2' = 7.5 Hz, H-1'), 4.61 (d, 1H, J1'', 2'' = 8.5 Hz, H-1''), 4.60 (1H, H-5), 2.17 (s, 3H, CH 3CONH-), 2.09-2.07 (s, 6H, CH 3CONH-', CH 3CONH-''). 13C-NMR (D2O, 500 MHz): δ 177.5 (CH3 CONH-'), 177.4 (CH3 CONH-''), 176.4 (CH3 CONH-), 164.7 (C-1), 129.6 (C-3), 128.0 (C-2), 104.3 (C-1''), 104.0 (C-1'), 83.9 (C-5), 81.9 (C-4'), 78.7 (C-5''), 77.4 (C-5'), 76.3 (C-3''), 75.0 (C-3'), 73.2 (C-4), 72.5 (C-4''), 63.3 (C-6''), 62.8 (C-6', C-6), 58.4 (C-2''), 57.8 (C-2'), 25.9 (CH3CONH-), 24.9 (CH3CONH-', CH3CONH-'').
以上の構造解析の結果から、本実施例2において、上記実施例1における図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分に溶出した物質は、下記構造式を有するN−アセチルキトトリオース誘導体であることが明らかとなった。また、その収率は1.0%であった。
なお、本実施例2において、図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分に溶出した、上記N−アセチルキトトリオース誘導体は、図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分に溶出すべきN−アセチルキトトリオース誘導体が、活性炭−セライトクロマトグラフィーでの分離過程で、カラムに担持された活性炭に作用して生成したものであると考えられた。
<実施例3> N−アセチルキトテトラオース誘導体の製造
下記構造式で表されるN−アセチルキトテトラオース(1.4g, 1.7mmol)を用いて、実施例1と同様の条件および方法により、上記実施例1における図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分を得、実施例1と同様の構造解析を行った。
その構造解析の結果は以下のとおりであった。
HRESIMS: m/z 835.30714 [M + Na]+ (calcd for C32H52N4Na1O20, 835.30726); 1H-NMR (D2O, 500 MHz): α-anomer; δ 6.43 (1H, H-3), 5.42 (1H, H-1), 4.66 (d, 1H, J1', 2' = 7.5 Hz, H-1'), 4.60 (d, 2H, J1'', 2'' = 9.0, J1''', 2''' = 9.0 Hz, H-1'', H-1'''), 4.36 (1H, H-4), 2.11-2.07 (12H, CH 3CONH-, CH 3CONH-', CH 3CONH-'', CH 3CONH-'''). β-anomer; δ 6.47 (1H, H-3), 5.46 (1H, H-1), 4.66 (d, 1H, J1', 2' = 7.5 Hz, H-1'), 4.60 (d, 2H, J1'', 2'' = 9.0, J1''', 2''' = 9.0 Hz, H-1'', H-1'''), 4.36 (1H, H-4), 2.11-2.07 (12H, CH 3CONH-, CH 3CONH-', CH 3CONH-'', CH 3CONH-'''). 13C-NMR (D2O, 500 MHz): α-anomer; δ 177.4 (CH3 CONH-'', CH3 CONH-'), 177.3 (CH3 CONH-'''), 176.31 (CH3 CONH-), 136.2 (C-2), 118.2 (C-3), 104.6 (C-1'), 104.3 (C-1'''), 104.1 (C-1''), 90.3 (C-1), 82.0 (C-4''), 81.70 (C-4''), 78.7 (C-5'''), 77.3 (C-5'', C-5'), 76.3 (C-3'''), 75.6 (C-4), 75.0 (C-3'', C-3'), 72.6 (C-5), 72.5 (C-4'''), 63.4 (C-6'''), 63.2 (C-6), 62.8 (C-6'', C-6'), 58.4 (C-2'''), 58.0 (C-2'), 57.8 (C-2''), 25.7 (CH3CONH-), 24.9 (CH3CONH-''', CH3CONH-'', CH3CONH-'). β-anomer; δ 177.4 (CH3 CONH-'', CH3 CONH-'), 177.3 (CH3 CONH-'''), 176.26 (CH3 CONH-), 137.3 (C-2), 117.6 (C-3), 104.3 (C-1'''), 104.2 (C-1'), 104.1 (C-1''), 92.5 (C-1), 82.0 (C-4''), 81.76 (C-4''), 78.8 (C-5), 78.7 (C-5'''), 77.3 (C-5'', C-5'), 76.3 (C-3'''), 75.3 (C-4), 75.0 (C-3'', C-3'), 72.5 (C-4'''), 63.7 (C-6), 63.4 (C-6'''), 62.8 (C-6'', C-6'), 58.4 (C-2'''), 58.0 (C-2'), 57.8 (C-2''), 25.7 (CH3CONH-), 24.9 (CH3CONH-''', CH3CONH-'', CH3CONH-').
以上の構造解析の結果から、本実施例3において、上記実施例1における図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分に溶出した物質は、下記構造式を有するN−アセチルキトテトラオース誘導体であることが明らかとなった。また、その収率は4.4%であった。
また、上記実施例1における図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分ついて、同様の構造解析を行った。その構造解析の結果は以下のとおりであった。
HRESIMS: m/z 833.29109 [M + Na]+(calcd for C32H50N4Na1O20, 833.29161); 1H-NMR (D2O, 500 MHz): δ 7.43 (1H, d, H-3), 4.79 (dd, 1H, H-4), 4.73 (d, 1H, J1', 2' = 7.5 Hz, H-1'), 4.61-4.59 (3H, H-1'', H-1''', H-5), 2.17 (s, 3H, CH 3CONH-), 2.08-2.07 (s, 9H, CH 3CONH-', CH 3CONH-'', CH 3CONH-'''). 13C-NMR (D2O, 500 MHz): δ 177.41 (CH3 CONH-'', CH3 CONH-'), 177.37 (CH3 CONH-'''), 176.4 (CH3 CONH-), 164.6 (C-1), 129.6 (C-3), 128.0 (C-2), 104.3 (C-1'''), 104.0 (C-1'', C-1'), 83.9 (C-5), 82.0 (C-4''), 81.7 (C-4'), 78.7 (C-5'''), 77.4 (C-5'), 77.3 (C-5''), 76.3 (C-3'''), 74.96 (C-3'), 74.90 (C-3''), 73.2 (C-4), 72.5 (C-4'''), 63.4 (C-6'''), 62.9 (C-6), 62.8 (C-6'', C-6'), 58.4 (C-2'''), 57.8 (C-2'', C-2'), 25.9 (CH3CONH-), 24.9 (CH3CONH-''', CH3CONH-'', CH3CONH-').
以上の構造解析の結果から、本実施例3において、上記実施例1における図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分に溶出した物質は、下記構造式を有するN−アセチルキトテトラオース誘導体であることが明らかとなった。また、その収率は1.3%であった。
なお、本実施例3において、図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分に溶出した、上記N−アセチルキトテトラオース誘導体は、図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分に溶出すべきN−アセチルキトテトラオース誘導体が、活性炭−セライトクロマトグラフィーでの分離過程で、カラムに担持された活性炭に作用して生成したものであると考えられた。
<実施例4> N−アセチルキトペンタオース誘導体の製造
下記構造式で表わされるN−アセチルキトペンタオース (2.5 g, 2.4 mmol) を用いて、実施例1と同様の条件および方法により、上記実施例1における図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分を得、実施例1と同様の構造解析を行った。
その構造解析の結果は以下のとおりであった。
ESIMS: m/z 1038.4 [M + Na]+ ; 1H-NMR (D2O, 500 MHz): α-anomer; δ 6.44 (1H, H-3), 5.41 (1H, H-1), 4.65 (d, 1H, J1', 2'= 8.0 Hz, H-1'), 4.59 (d, 3H, J1'', 2'' = 8.5, J1''', 2'''= 8.5, J1'''', 2'''' = 8.5 Hz, H-1'', H-1''', H-1''''), 4.35 (1H, H-4), 2.10-2.06 (15H, CH 3CONH-, CH 3CONH-', CH 3CONH-'', CH 3CONH-''', CH 3CONH-''''). β-anomer; δ 6.47 (1H, H-3), 5.45 (1H, H-1), 4.65 (d, 1H, J1', 2' = 8.0 Hz, H-1'), 4.59 (d, 3H, J1'', 2'' = 8.5, J1''', 2'''= 8.5, J1'''', 2'''' = 8.5 Hz, H-1'', H-1''', H-1''''), 4.35 (1H, H-4), 2.10-2.06 (15H, CH 3CONH-, CH 3CONH-', CH 3CONH-'', CH 3CONH-''', CH 3CONH-''''). 13C-NMR (D2O, 500 MHz): α-anomer; δ 177.4 (CH3 CONH-''', CH3 CONH-'', CH3 CONH-'), 177.2 (CH3 CONH-''''), 176.29 (CH3 CONH-), 136.2 (C-2), 118.1 (C-3), 104.6 (C-1'), 104.3 (C-1''''), 104.0 (C-1'', C-1'''), 90.3 (C-1), 82.0 (C-4'''), 81.76-81.72 (C-4', C-4''), 78.7 (C-5''''), 77.3 (C-5''', C-5'', C-5'), 76.3 (C-3''''), 75.6 (C-4), 75.0-74.9 (C-3''', C-3'', C-3'), 72.6 (C-5), 72.5 (C-4''''), 63.4 (C-6''''), 63.2 (C-6), 62.8 (C-6''', C-6'', C-6'), 58.4 (C-2''''), 58.0-57.8 (C-2''', C-2'', C-2'), 25.8 (CH3CONH-), 24.9 (CH3CONH-'''', CH3CONH-''', CH3CONH-'', CH3CONH-'). β-anomer; δ 177.4 (CH3 CONH-''', CH3 CONH-'', CH3 CONH-'), 177.2 (CH3 CONH-''''), 176.2 (CH3 CONH-), 137.3 (C-2), 117.5 (C-3), 104.6 (C-1'), 104.3 (C-1''''), 104.0 (C-1'', C-1'''), 92.5 (C-1), 82.0 (C-4'''), 81.76-81.72 (C-4', C-4''), 78.7 (C-5''''), 77.3 (C-5''', C-5'', C-5'), 76.3 (C-3''''), 75.3 (C-4), 75.0-74.9 (C-3''', C-3'', C-3'), 78.8 (C-5), 72.5 (C-4''''), 63.4 (C-6''''), 63.7 (C-6), 62.8 (C-6''', C-6'', C-6'), 58.4 (C-2''''), 58.0-57.8 (C-2''', C-2'', C-2'), 25.8 (CH3CONH-), 24.9 (CH3CONH-'''', CH3CONH-''', CH3CONH-'', CH3CONH-').
以上の構造解析の結果から、本実施例4において、上記実施例1における図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分に溶出した物質は、下記構造式で表わされる化学構造を有するN−アセチルキトペンタオース誘導体であることが明らかとなった。また、その収率は、6.6%であった。
また、上記実施例1における図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分について、同様の構造解析を行った。その構造解析の結果は以下のとおりであった。
ESIMS: m/z 1036.4 [M + Na]+ ; 1H-NMR (D2O, 500 MHz): δ 7.42 (1H, d, H-3), 4.78 (dd, 1H, H-4), 4.71 (d, 1H, J1', 2'= 8.0 Hz, H-1'), 4.60-4.58 (4H, H-1'', H-1''', H-1'''', H-5), 2.15 (s, 3H, CH 3CONH-), 2.07-2.06 (s, 12H, CH 3CONH-', CH 3CONH-'', CH 3CONH-''', CH 3CONH-''''). 13C-NMR (D2O, 500 MHz): δ 177.37 (CH3 CONH-''', CH3 CONH-'', CH3 CONH-'), 177.34 (CH3 CONH-''''), 176.4 (CH3 CONH-), 164.6 (C-1), 129.6 (C-3), 128.0 (C-2), 104.3 (C-1''''), 104.0 (C-1''', C-1'', C-1'), 83.9 (C-5), 82.0-81.7 (C-4''', C-4'', C-4'), 78.7 (C-5''''), 77.4 (C-5'), 77.3 (C-5''', C-5''), 76.3 (C-3''''), 74.94 (C-3'), 74.89 (C-3''', C-3''), 73.2 (C-4), 72.6 (C-4''''), 63.4 (C-6''''), 62.9 (C-6), 62.8 (C-6''', C-6'', C-6'), 58.4 (C-2''''), 57.9-58.0 (C-2''', C-2'', C-2'), 25.9 (CH3CONH-), 25.0 (CH3CONH-'''', CH3CONH-''', CH3CONH-'', CH3CONH-').
以上の構造解析の結果から、本実施例4において、上記実施例1における図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分に溶出した物質は、下記構造式で表わされる化学構造を有するN−アセチルキトペンタオース誘導体であることが明らかとなった。また、その収率は、1.2%であった。
なお、本実施例4において、図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分に溶出した、上記N−アセチルキトペンタオース誘導体は、図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分に溶出すべきN−アセチルキトペンタオース誘導体が、活性炭−セライトクロマトグラフィーでの分離過程で、カラムに担持された活性炭に作用して生成したものであると考えられた。
<実施例5> N−アセチルラクトサミン誘導体の製造
下記構造式で表されるN−アセチルラクトサミン(1.2g, 3.1mmol)を用いて、実施例1と同様の条件および方法により、上記実施例1における図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分を得、実施例1と同様の構造解析を行った。
その構造解析の結果は以下のとおりであった。
HRESIMS: m/z 388.12195 [M + Na]+ (calcd for C14H23N1Na1O10, 388.12196); 1H-NMR (D2O, 500 MHz): α-anomer; δ 6.39 (1H, H-3), 5.46 (1H, H-1), 4.534 (d, 1H, J1', 2' = 7.5 Hz, H-1'), 4.45 (1H, H-4), 2.09 (3H, CH 3CONH-). β-anomer; δ 6.46 (1H, H-3), 5.49 (1H, H-1), 4.527 (d, 1H, J1', 2' = 8.0 Hz, H-1'), 4.45 (1H, H-4), 2.10 (3H, CH 3CONH-). 13C-NMR (D2O, 500 MHz): α-anomer; δ 176.3 (CH3 CONH-), 136.2 (C-2), 118.9 (C-3), 106.4 (C-1'), 90.3 (C-1), 77.9 (C-5'), 75.4 (C-3'), 75.0 (C-4), 73.7 (C-2'), 73.0 (C-5), 71.3 (C-4'), 63.7 (C-6'), 63.3 (C-6), 25.7 (CH3CONH-). β-anomer; δ 176.3 (CH3 CONH-), 137.3 (C-2), 117.9 (C-3), 105.9 (C-1'), 92.1 (C-1), 79.1 (C-5), 77.9 (C-5'), 75.5 (C-3'), 74.6 (C-4), 73.6 (C-2'), 71.3 (C-4'), 63.8 (C-6), 63.7 (C-6'), 25.8 (CH3CONH-).
以上の構造解析の結果から、本実施例5において、上記実施例1における図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分に溶出した物質は、下記構造式を有するN−アセチルラクトサミン誘導体であることが明らかとなった。また、その収率は4.8%であった。
また、上記実施例1における図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分ついて、同様の構造解析を行った。その構造解析の結果は以下のとおりであった。
HRESIMS: m/z 386.10635 [M + Na]+ (calcd for C14H21N1Na1O10, 386.10631); 1H-NMR (D2O, 500 MHz): δ 7.43 (1H, d, H-3), 4.88 (dd, 1H, H-4), 4.61 (d, 1H, J1', 2' = 8.0 Hz, H-1'), 2.17 (s, 3H, CH 3CONH-). 13C-NMR (D2O, 500 MHz): δ 176.4 (CH3 CONH-), 164.8 (C-1), 130.4 (C-3), 128.0 (C-2), 105.9 (C-1'), 84.3 (C-5), 78.1 (C-5'), 75.4 (C-3'), 73.5 (C-2'), 72.9 (C-4), 71.3 (C-4'), 63.7 (C-6'), 63.0 (C-6), 25.8 (CH3CONH-).
以上の構造解析の結果から、本実施例5において、上記実施例1における図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分に溶出した物質は、下記構造式を有するN−アセチルラクトサミン誘導体であることが明らかとなった。また、その収率は1.3%であった。
なお、本実施例5において、図1中F-3で示す溶出画分に相当する画分に溶出した、上記N−アセチルラクトサミン誘導体は、図1中F-2で示す溶出画分に相当する画分に溶出すべきN−アセチルラクトサミン誘導体が、活性炭−セライトクロマトグラフィーでの分離過程で、カラムに担持された活性炭に作用して生成したものであると考えられた。
<実施例6> N−アセチルキトビオース誘導体の製造 その2
実施例1の方法により調整された、還元末端糖の2位と3位が二重結合である下記構造式で表わされるN−アセチルキトビオース誘導体(20 mg, 0.047mmol)を0.4Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0, 0.40mL)に溶解後、10%パラジウム炭素(60 mg)をN−アセチルキトビオース誘導体に対して15%(w/w)となるように添加し、その後空気封入下40℃で攪拌しながら反応を行った。
TLC(クロロホルム:メタノール:水=6:4:1)にて反応を追跡し反応開始後6時間で反応を終了した。その後、反応液を0.45 μmフィルターに通し不純物濾過した後、50%エタノールで目的物をパラジウム炭素担体から溶出させた。溶出液を濃縮し、重水に溶解して各種NMR分析により構造解析したところ、下記構造式で表わされる化学構造を有するN−アセチルキトビオース誘導体であることを確認した。また、その収率は87%であった。