JP5568800B2 - 耐水化された光学異方性フィルムの製造方法、及び画像表示装置 - Google Patents

耐水化された光学異方性フィルムの製造方法、及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、耐水性に優れた光学異方性フィルムの製造方法に関する。
従来、スルホン酸基を有する有機色素を含む光学異方性フィルムが知られている。
この光学異方性フィルムは、前記有機色素と水を含む溶液を基材上に塗工し乾燥することによって得られる。
上記スルホン酸基を有する有機色素を含む光学異方性フィルムは、耐水性に劣っている。このため、このフィルムに耐水化処理を施すことが知られている。
特許文献1及び2には、スルホン酸基を有する有機色素を含むフィルムを、バリウム塩などの金属塩を含む溶液に接触させることによって、前記フィルムを耐水化することが開示されている。
特許文献1及び2の何れの耐水化処理においても、金属塩を含む溶液をフィルムに接触させた後にフィルムに残存する金属塩を除去するため、水を用いてフィルムの表面を洗浄している。
しかしながら、洗浄液として水を用いると、フィルムにクラックが生じる場合がある。また、上述のように、フィルムが基材上に形成されている場合には、洗浄液として水を用いると、フィルムが基材から部分的に剥離するおそれもある。
特開平11−21538号公報 特開2007−241267号公報
本発明の目的は、クラックのような欠陥が発生することを抑制できる、耐水化された光学異方性フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者らは、フィルムにクラックが発生する原因について鋭意研究し、その原因を次のように推察した。
上述のように金属塩を含む溶液を用いて耐水化されたフィルムは、耐水性が向上しているものの、そのフィルム中には、極性基であるスルホン基を有する有機色素が含まれている。このため、従来のように、フィルムを水で洗浄すると、水分子がこのスルホン酸基に結合することにより、フィルム内に僅かに水が浸透する。洗浄液である水がフィルム内に浸透すると、膨潤することによってその部分が小さい凸状に膨れる。その後、洗浄液を除去するためにフィルムを乾燥すると、フィルムの一部が収縮し、その結果、フィルムにクラックが発生する。
かかる推察の下、本発明者らは、下記の手段によって、上記目的を達成できることを見出した。
本発明の耐水化された光学異方性フィルムの製造方法は、アニオン性基を有する有機色素から形成された超分子会合体を含む光学異方性フィルムを、多価金属塩又は分子中に2個以上の窒素原子を有する化合物を含む耐水化処理液に接触させる耐水化処理工程と、前記耐水化処理後の光学異方性フィルムを、親水性有機化合物と水のみを含み、且つ、親水性有機化合物が10質量%以上含まれている洗浄液を用いて洗浄する洗浄工程と、を有する。
本発明の好ましい光学異方性フィルムの製造方法は、前記親水性有機化合物が、分子中に窒素又は酸素の少なくとも何れか一方を有する有機化合物である
本発明の他の好ましい光学異方性フィルムの製造方法は、前記親水性有機化合物が、アルコール又はケトンである
本発明の他の好ましい光学異方性フィルムの製造方法は、前記親水性有機化合物が、ケトンである。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置を提供する。
この画像表示装置は、上記いずれかの製造方法によって得られた光学異方性フィルムを有する。
本発明の製造方法によれば、クラックのような欠陥を有さない光学異方性フィルムを得ることができる。かかる光学異方性フィルムは耐水化処理がなされているので、耐水性に優れている。耐水性に優れた本発明の光学異方性フィルムを、例えば、画像表示装置に組み込むことにより、長期間に渡って表示性能が変わらない画像表示装置を提供できる。
光学異方性フィルムの洗浄装置を示す参考側面図。
[耐水化された光学異方性フィルムの製造方法の概要]
本発明の製造方法は、アニオン性基を有する有機色素を含む光学異方性フィルムを、多価金属塩又は分子中に2個以上の窒素原子を有する化合物を含む耐水化処理液に接触させる耐水化処理工程と、前記耐水化処理後の光学異方性フィルムを、親水性有機化合物を含む洗浄液を用いて洗浄する洗浄工程と、を有する。
通常、前記耐水化処理工程の前には、光学異方性フィルムを形成する製膜工程を有する。
本発明の製造方法では、洗浄工程において、親水性有機化合物を含む洗浄液を用いる。親水性有機化合物は、水に比して、アニオン性基を有する有機色素に対する親和性が低い。このため、親水性有機化合物を含む洗浄液でフィルムを洗浄した際、フィルム内に洗浄液が浸透し難い。よって、本発明の製造方法によれば、クラックを有さない耐水化された光学異方性フィルムを得ることができる。また、光学異方性フィルムが基材表面に設けられている場合には、洗浄工程によって、光学異方性フィルムが基材から部分的に剥離することも防止できる。以下、具体的に説明する。
なお、本明細書において、「X〜Y」の記載は、「X以上Y以下」を意味する。
[製膜工程]
製膜工程は、アニオン性基を有する有機色素を含む光学異方性フィルムを得る工程である。
製膜工程においては、アニオン性基を有する有機色素を含むコーティング液を展開面に塗工することによって、有機色素を含む塗膜を形成し、この塗膜を固化することによって、光学異方性フィルムが得られる。
(アニオン性基を有する有機色素について)
本発明に用いられる有機色素は、その分子中にアニオン性基を有する有機色素であれば特に限定されないが、好ましくは、アニオン性基を2個以上有する有機色素が用いられる。有機色素の基本構造としては、例えば、アゾ系、シアニン系、メロシアニン系、ペリレン系、ナフトキノン系などが挙げられる。良好なリオトロピック液晶性を示すことから、アゾ系有機色素を用いることが好ましい。
なお、アゾ系有機色素は、その分子中にアゾ基を1個以上有する有機色素である。中でも、アゾ基を2個以上有するアゾ系有機色素を用いることが好ましい。
前記アニオン性基は、有機色素の骨格に結合した固定アニオン基を有し、通常、前記固定アニオン基に対イオンが結合している。
前記対イオンの一部又は全部は、多価金属塩の金属イオン又は2個以上の窒素原子を有する化合物のカチオン種で置換されたものである。
前記アニオン性基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基及びこれらの塩基などが挙げられる。アニオン性基は、好ましくはスルホン酸基又はスルホン酸塩基(−SOM基)であり、さらに好ましくはスルホン酸塩基である。ただし、Mは対イオンを表す。
前記有機色素のアニオン性基の数(置換数)は、特に限定されないが、好ましくは2個以上であり、さらに好ましくは2個〜5個であり、より好ましくは2個〜4個である。
アニオン性基を2個以上有する有機色素は、水系溶媒に対する親和性が高い。そのため、前記有機色素を水系溶媒に溶解させることができ、良好なコーティング液を容易に調製できる。このコーティング液を用いることにより、配向性に優れた光学異方性フィルムを得ることができる。
前記2個以上のアニオン性基は、耐水化処理を行ったときに、多価金属塩又は2個以上の窒素原子を有する化合物と複数の架橋点を形成する作用があると考えられる。そのため、2個以上のアニオン性基を有する有機色素は、その配向が乱れ難い強固な超分子を形成できる。2個以上のアニオン性基を有する有機色素を用いれば、耐水性に優れた光学異方性フィルムを得ることができる。
前記有機色素としては、例えば、特開2007−126628号公報などに記載されている化合物などが挙げられる。
前記有機色素がアニオン性基を2個以上有する場合、それぞれのアニオン性基の位置は、隣接していない(オルト位でない)ことが好ましく、特に、メタ位であることがさらに好ましい。前記アニオン性基がメタ位にある有機色素は、アニオン性基同士の立体障害が小さくなる。このため、耐水化処理前後において、前記有機色素が略直線的に配向し易い。
前記有機色素は、例えば、下記一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)又は(2−2)で表されるアゾ化合物が好ましい。
Figure 0005568800
Figure 0005568800
前記一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)及び(2−2)において、Qは、置換若しくは無置換のアリール基を表し、Qは、置換若しくは無置換のアリーレン基を表し、Aは、アニオン性基を表し、Mは、前記アニオン性基の対イオンを表し、Rは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアセチル基、置換若しくは無置換のベンゾイル基、又は置換若しくは無置換のフェニル基を表し、kは、0〜4の整数を表し、lは、0〜4の整数を表し、mは、1〜6の整数を表す。ただし、式(1−1)及び(2−1)において、k+l+m≦7であり、式(1−2)及び式(2−2)において、k+l≦5である。なお、本明細書において、「置換若しくは無置換」とは、「置換基で置換されている、又は、置換基で置換されていない」ことを意味する。
前記Q又はQで表されるアリール基又はアリーレン基は、置換基を有していても、或いは、置換基を有していなくてもよい。Q又はQで表されるアリール基又はアリーレン基が、置換若しくは無置換のいずれの場合でも、前記各一般式で表されるアゾ化合物は、吸収二色性を示す。
前記アリール基又はアリーレン基が置換基を有する場合、その置換基としては、例えば、ハロゲノ基、ニトロ基、シアノ基、ジヒドロキシプロピル基、フェニルアミノ基、−OM、−COOM、−SOM、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアシルアミノ基などが挙げられる。好ましくは、前記置換基としては、ニトロ基や−SOM基などのアニオン性基である。なお、Mは、対イオンを表す。
また、前記一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)及び(2−2)のRのアルキル基、アセチル基、ベンゾイル基又はフェニル基が置換基を有する場合、その置換基としては、上記アリール基又はアリーレン基の説明欄で例示した置換基と同様のものが挙げられる。
前記Rのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
前記アリール基としては、フェニル基の他、ナフチル基などのようなベンゼン環が縮合した縮合環基が挙げられる。
前記アリーレン基としては、フェニレン基の他、ナフチレン基などのようなベンゼン環が縮合した縮合環基が挙げられる。
前記一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)及び(2−2)のQは、好ましくは置換若しくは無置換のフェニル基であり、さらに好ましくは置換基を有するフェニル基であり、より好ましくは少なくともパラ位に置換基を有するフェニル基である。
前記一般式(2−1)及び(2−2)のQは、好ましくは置換若しくは無置換のナフチレン基であり、さらに好ましくは置換若しくは無置換の1,4−ナフチレン基である。
また、一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)及び(2−2)のAは、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基又はこれらの塩基などである。前記Aは、好ましくは、スルホン酸基又はスルホン酸塩基であり、さらに好ましくは、スルホン酸塩基である。
前記一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)及び(2−2)のMは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、その他の金属イオン、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムイオン、有機アミンの塩などが挙げられる。なお、前記各一般式で表されるアゾ化合物の少なくとも1種を含む光学異方性フィルムに耐水化処理を行った後には、前記各一般式のMの一部又は全部は、耐水化処理液中の多価金属塩又は2個以上の窒素原子を有する化合物由来のカチオン種となる。
前記一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)及び(2−2)のRは、好ましくは、水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
さらに、前記一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)及び(2−2)のkは、好ましくは0〜2の整数であり、さらに好ましくは1〜2の整数である。一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)及び(2−2)のlは、好ましくは0〜2の整数であり、さらに好ましくは0〜1の整数である。前記一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)及び(2−2)のmは、好ましくは1〜4の整数であり、さらに好ましくは2〜4の整数である。
前記有機色素は、より好ましくは下記一般式(2−3)又は(2−4)で表されるアゾ化合物である。
Figure 0005568800
前記一般式(2−3)及び(2−4)において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、又は−SOM基を表す。
一般式一般式(2−3)及び(2−4)のR及びMは、前記一般式(2−1)のR及びMと同様である。
なお、一般式(2−3)及び(2−4)のXの炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基が置換基を有する場合、その置換基としては、前記アリール基の説明欄で例示した置換基と同様のものが挙げられる。
前記一般式(2−3)及び(2−4)のXは、好ましくは、水素原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、さらに好ましくはニトロ基である。
上記アゾ化合物のような有機色素は、溶媒に溶解した状態で液晶性(リオトロピック液晶性)を示す。具体的には、前記有機色素は、溶媒に溶解したとき、超分子を形成している。この有機色素を含む液を所定方向に流延すると、前記超分子に剪断応力が加わる。その結果、前記超分子の長軸が流延方向に配向した塗膜を形成することができる。得られた塗膜は、有機色素が所定方向に配向しているため、光学異方性を示す。
上記各一般式で表されるアゾ化合物は、例えば、次の方法で得ることができる。アニリン誘導体とナフタレンスルホン酸誘導体とを、常法によりジアゾ化及びカップリング反応させることにより、モノアゾ化合物が得られる。さらに、このモノアゾ化合物をジアゾ化した後、これをアミノナフトールジスルホン酸誘導体とカップリング反応させることにより、ジスアゾ化合物が得られる。
(コーティング液について)
コーティング液は、上記有機色素を、適当な溶媒に溶解又は分散させることによって得られる。有機色素は、1種類でもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記コーティング液は、有機色素が液中で超分子を形成し、その結果、液晶相を示す。液晶相は、特に限定されず、ネマチック液晶相、ミドル相、スメクチック液晶相、コレステリック液晶相、又はヘキサゴナル液晶相などが挙げられる。前記液晶相は、偏光顕微鏡で観察される光学模様によって、確認、識別できる。
前記溶媒は、特に限定されず、従来公知の溶媒を用いることができる。好ましくは、前記有機色素が良好に溶解し得る溶媒が用いられる。前記有機色素が良好に溶解されたコーティング液を用いることによって、製膜したときに有機色素が析出し難くなる。
前記有機色素が良好に溶解し得る溶媒は、例えば水系溶媒である。
水系溶媒は、水、親水性溶媒、水と親水性溶媒の混合溶媒などが挙げられる。親水性溶媒は、水と均一に溶解させることができる溶媒である。
親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;エチレングリコールなどのグリコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;アセトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。好ましくは、前記溶媒は、水、又は、水と親水性溶媒の混合溶媒である。
前記コーティング液中における有機色素の濃度は、液晶相を示す濃度に調製することが好ましい。具体的には、前記有機色素の濃度は、好ましくは0.5質量%〜50質量%である。このような濃度範囲の一部で、前記コーティング液は、液晶相を示し得る。
また、コーティング液のpHは、好ましくはpH4〜10程度、さらに好ましくはpH6〜8程度に調製される。
さらに、前記コーティング液には、添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌剤、相溶化剤、架橋剤、増粘剤、各種ポリマーなどが挙げられる。コーティング液中における添加剤の濃度は、好ましくは0を超え10質量%以下である。また、コーティング液には、界面活性剤が添加されていてもよい。
(光学異方性フィルムの形成について)
前記コーティング液を、適当な展開面上に塗工することによって、塗膜を形できる。
展開面は、コーティング液を略均一に展開するためのものである。この目的に適していれば展開面の種類は特に限定されない。展開面としては、例えば、ポリマーフィルムの表面、ガラス板の表面、金属ドラムの表面などが挙げられる。また、ポリマーフィルムとして配向フィルムを用いてもよい。配向フィルムは、その表面において配向規制力を有するので、有機色素を確実に配向させることができる。
好ましくは展開面として、ポリマーフィルムやガラス板のような基材が用いられる。
前記ポリマーフィルムとしては、特に限定されないが、透明性に優れているフィルム(例えば、ヘイズ値5%以下)が好ましい。
前記基材の厚みは、強度などに応じて適宜に設計し得る。薄型軽量化の観点から、基材の厚みは、好ましくは300μm以下、さらに好ましくは5μm〜200μm、より好ましくは10μm〜100μmである。
通常、機械的生産過程では、長尺状の基材が用いられる。長尺状の基材の長さは、10m以上であり、好ましくは300m以上である。
前記基材の表面が配向規制力を有していてもよい。その配向規制力は、基材に配向処理を施すことで形成できる。前記配向処理としては、ラビング処理などの機械的配向処理、光配向処理などの化学的配向処理などが挙げられる。
コーティング液を基材などの展開面に塗工する方法としては、例えば、適切なコータを用いた塗工方法が採用され得る。
液晶相状態のコーティング液を展開面上に塗工すると、その過程で有機色素の超分子会合体に剪断力が加わる。よって、その超分子会合体が所定方向に配向した塗膜を展開面上に形成できる。
次に、上記塗膜を固化させる。溶媒として水系溶媒が用いられている場合には、前記塗膜を乾燥する。塗膜を乾燥する方法は、自然乾燥、強制的な乾燥の何れでもよい。乾燥温度は、コーティング液の等方相転移温度以下であり、低温から高温へ徐々に昇温させることが好ましい。具体的には、前記乾燥温度は、好ましくは10℃〜80℃であり、さらに好ましくは20℃〜60℃である。かかる温度範囲であれば厚みバラツキの小さい乾燥塗膜を得ることができる。
乾燥時間は、乾燥温度や溶媒の種類によって、適宜、選択され得る。自然乾燥の場合には、乾燥時間は、好ましくは1秒〜120分であり、さらに好ましくは10秒〜5分である。
塗膜の乾燥過程で、配向した有機色素が固定される。乾燥後の塗膜が光学異方性フィルムである。
得られた光学異方性フィルム(乾燥塗膜)の厚みは、好ましくは0.1μm〜10μmである。
[耐水化処理工程]
耐水化処理工程は、上記製膜工程によって得られた光学異方性フィルムに耐水性を付与する工程である。
耐水化処理工程においては、上記有機色素を含む光学異方性フィルムを、耐水化処理液に接触させる。
(耐水化処理液について)
耐水化処理液は、多価金属塩又は分子中に2個以上の窒素原子を有する化合物を含む。耐水化処理液は、多価金属塩から選ばれる1種又は2種以上、或いは、分子中に2個以上の窒素原子を有する化合物から選ばれる1種又は2種以上、或いは、前記多価金属塩の1種以上及び前記化合物の1種以上を含んでいてもよい。
前記多価金属塩としては、水溶性の塩であれば特に限定されず、例えば、塩化塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩などが挙げられる。多価金属塩の対金属としては、バリウム、アルミニウム、鉛、クロム、ストロンチウム、セリウム、ランタン、サマリウム、イットリウム、銅、鉄などが挙げられる。
また、前記分子中に2個以上の窒素原子を有する化合物としては、2個以上の窒素原子を有する有機窒素化合物を用いることができる。
前記有機窒素化合物に含まれる、窒素原子の数は特に限定されないが、好ましくは2個〜5個であり、さらに好ましくは2個又は3個であり、より好ましくは2個である。前記有機窒素化合物中の窒素原子が5個よりも多い場合、有機色素のアニオン性基との架橋点が複雑になりすぎるおそれがある。架橋点が複雑になりすぎると、有機色素の配向が乱れるため、光学異方性フィルムの光学特性が低下するおそれがある。一方、有機窒素化合物中の窒素原子の数が前記範囲である場合、有機色素との架橋点が多くなりすぎることなく、配向を乱さずに有機色素を強固に架橋できる。
さらに、前記有機窒素化合物は、アミノ基、グアニジノ基、イミノ基、アンモニウム基、又はそれらの塩などを有していることが好ましい。
前記有機窒素化合物の具体例としては、例えば、アルキレンジアミンなどの脂肪族ジアミン又はその塩;アルキレントリアミンなどの脂肪族トリアミン又はその塩;アルキレンテトラアミンなどの脂肪族テトラアミン又はその塩;アルキレンペンタアミンなどの脂肪族ペンタアミン又はその塩;アルキレンエーテルジアミンなどの脂肪族エーテルジアミン又はその塩などが挙げられる。これらの非環式の有機窒素化合物は、その炭素数が2〜8であることが好ましい。
前記非環式の有機窒素化合物は、直鎖状又は分岐状でもよいが、直鎖状が好ましい。直鎖状の有機窒素化合物を用いることにより、より機械的強度に優れた光学異方性フィルムを得ることができる。
前記多価金属塩又は分子中に2個以上の窒素原子を有する化合物を、適当な溶媒に溶解又は分散させることによって、耐水化処理液を得ることができる。
前記溶媒は、好ましくは水系溶媒が用いられる。前記水系溶媒は、前記コーティング液の説明欄で例示したものを用いることができる。
前記耐水化処理液中における多価金属塩などの濃度は、好ましくは1質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
(耐水化処理について)
前記耐水化処理液を上記光学異方性フィルムの一面又は両面に接触させることによって、耐水化された本発明の光学異方性フィルムを得ることができる。
耐水化処理液を光学異方性フィルムに接触させる方法は、特に限定されない。前記接触方法としては、光学異方性フィルムの表面に耐水化処理液を塗布する方法、光学異方性フィルムを耐水化処理液中に浸漬する方法などが挙げられる。耐水化処理液の塗布は、適宜なコータ、又は、スプレーなどを用いて実施できる。
これらの中では、光学異方性フィルムを耐水化処理液中に浸漬する方法が好ましい。この方法によれば、光学異方性フィルム全体に耐水化処理液を確実に接触させることができる。また、この方法によれば、光学異方性フィルム内に耐水化処理液が浸透し易くなるため、より多くの有機色素が多価金属塩などを介して架橋され得る。
前記耐水化処理液を光学異方性フィルムに接触させると、前記光学異方性フィルム中の有機色素間が多価金属イオン又は有機窒素化合物のカチオン性基を介して架橋される。前記架橋により、耐水性及び機械的強度に優れた光学異方性フィルムが得られる。
[洗浄工程]
洗浄工程は、耐水化処理後の光学異方性フィルムを、親水性有機化合物を含む洗浄液を用いて洗浄する工程である。
洗浄工程を行うことにより、上記光学異方性フィルムに残存している耐水化処理液を除去することができる。従って、洗浄工程後の光学異方性フィルムの表面において、多価金属塩などが析出することを防止できる。
親水性有機化合物としては、分子中に窒素又は酸素の少なくとも何れか一方を有する有機化合物を用いることができ、好ましくは分子中に極性基を有する有機化合物を用いることができる。前記親水性有機化合物は、常温(20℃±15℃)で液状であるものが好ましい。
前記極性基は、極性を持つ官能基を意味する。極性基としては、比較的電気陰性度の大きい酸素及び/又は窒素を含む官能基が挙げられる。
極性基の具体例としては、水酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、ニトロ基、シアノ基、イソシアネート基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、カルボニル基、スルホン酸基、SO基などが挙げられる。
親水性有機化合物の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチレングリコールなどのグリコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどの鎖状エーテル類;テトラヒドロフランなどの環状エーテル類;ホルムアミド、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、アセトニトリルなどのニトリル類;酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。
前記洗浄液は、親水性有機化合物のみから構成されていてもよい。洗浄液が親水性有機化合物のみから構成される場合、その親水性有機化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
また、前記洗浄液は、親水性有機化合物から選ばれる1種単独で又は2種以上と、水と、を混合した混合液から構成されていてもよい。
好ましくは、親水性有機化合物と水を混合してなる洗浄液を用いることが好ましい。この好ましい洗浄液は、水を含んでいるので、フィルムに残存した多価金属塩などを効率よく除去することができる。一方、親水性有機化合物と相溶した水はその極性が低下するので、親水性有機化合物と水を含む洗浄液を用いても、光学異方性フィルム内に多くの水分が浸透しない。
洗浄液が親水性有機化合物と水を含む場合、親水性有機化合物の濃度は10質量%以上であり、好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上である。
一方、洗浄液が親水性有機化合物と水を含む場合、親水性有機化合物の濃度の上限は100質量%未満であり、好ましくは95質量%以下であり、さらに好ましくは90質量%以下である。
親水性有機化合物の含有量が余りに少ないと、水の極性が十分に低下せず、光学異方性フィルム内に多くの水分が浸透するおそれがある。
上記洗浄液を用いて光学異方性フィルムを洗浄する方法は、特に限定されない。
例えば、(a)光学異方性フィルムの表面に洗浄液を吹き付ける、(b)洗浄液が所定方向に流れている浴中に光学異方性フィルムを浸漬させる、(c)洗浄液が満たされた洗浄浴中に光学フィルムを通過させる、などの方法が挙げられる。
上記光学異方性フィルムが長尺状の基材上に形成されている場合には、図1に示すように、製造ラインにおいて送出される光学異方性フィルムを、洗浄液が満たされた洗浄浴に通過させることによって、このフィルムを洗浄することが好ましい。
図1は、光学異方性フィルムの製造ラインの途中に設けられた洗浄装置の参考側面図である。図1において、1は、長尺状の基材と光学異方性フィルムが積層された積層フィルムを示し、2は、洗浄液が満たされた洗浄浴を示し、3は、洗浄液を示し、41、42、43、44は、フィルム搬送用ローラを示し、矢印は、積層フィルムの送出方向を示す。
洗浄液の温度は、特に限定されないが、通常、20℃〜50℃である。光学異方性フィルムを洗浄液に曝す時間は、特に限定されないが、通常、1〜20分間程度である。
洗浄後、光学異方性フィルムの表面に残存する洗浄液を除去するため、このフィルムを乾燥する。
乾燥方法は、自然乾燥、強制的な乾燥の何れでもよい。乾燥温度は、特に限定されないが、通常、20℃〜60℃である。乾燥時間は、フィルムの表面が乾くまで行えばよい。
前記洗浄液を用いて光学異方性フィルムを洗浄することによって、光学異方性フィルムに残存している耐水化処理液を除去することができる。
前記洗浄液に含まれる親水性有機化合物は、水に比して、アニオン性基を有する有機色素に対する親和性が低いため、光学異方性フィルム内に洗浄液が浸透し難い。よって、洗浄後の光学異方性フィルムに、クラックが発生することを抑制できる。さらに、洗浄後の光学異方性フィルムが基材から部分的に剥離することもない。
従来のように水のみを用いて光学異方性フィルムを洗浄すると、フィルム内に水が浸透することに起因して、クラックの発生や基材から剥離などの欠陥が光学異方性フィルムに生じる。本発明によれば、このような欠陥が生じることを抑制できる。
また、本発明の光学異方性フィルムは、有機色素が多価金属塩などを介して架橋されているので、耐水性及び機械的強度に優れている。
[光学異方性フィルムの組成及び諸特性]
本発明の光学異方性フィルム中における上記有機色素の含有量は、特に限定されないが、そのフィルムの総質量に対し、好ましくは80質量%以上100質量%未満であり、さらに好ましくは90質量%以上100質量%未満である。
また、本発明の光学異方性フィルムには、前記有機色素以外に、他の成分が含まれていてもよい。
前記他の成分としては、他の有機色素(アニオン性基を有する有機色素以外の有機色素)、各種添加剤、任意の液晶性化合物、ポリマーなどが挙げられる。
また、前記光学異方性フィルムの厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1μm〜10μmである。光学異方性フィルムの厚みが1μm未満である場合には、自立性を確保するために、前記光学異方性フィルムを基材上に積層された状態で使用してもよい。
可視光領域において吸収能を有する有機色素を用いた場合には、その有機色素を含む光学異方性フィルムは偏光フィルムとして利用できる。可視光領域において実質的に吸収能を有しない又は吸収能が小さい有機色素を用いた場合には、その有機色素を含む光学異方性フィルムは位相差フィルムとして利用できる。
本発明の光学異方性フィルムが偏光フィルムである場合、可視光領域(波長380nm〜780nm)の少なくとも一部の波長において吸収二色性を示す。この光学異方性フィルムの透過率は、35%以上であり、好ましくは36%以上であり、さらに好ましくは37%以上であり、その偏光度は、95%以上であり、好ましくは98%以上である。
[光学異方性フィルムの用途]
本発明の光学異方性フィルムは、例えば、その一面又は両面に保護フィルムを積層することにより、偏光板として使用できる。
本発明の製造方法で得られた光学異方性フィルムは、上記基材上に積層された状態で使用でき、或いは、基材から引き剥がして使用することもできる。
なお、前記光学異方性フィルムを基材上に積層された状態で使用する場合、前記基材を保護フィルムとして利用できる。
また、本発明の光学異方性フィルムは、好ましくは、画像表示装置内に組み込まれる。
本発明の光学異方性フィルムを有する画像表示装置は、液晶表示装置、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイなどを含む。前記画像表示装置の好ましい用途はテレビである。
本発明について、実施例及び比較例を示して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施例のみに限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた各測定方法は、以下の通りである。
[液晶相の観察方法]
2枚のスライドガラスの間にコーティング液を少量挟み込み、偏光顕微鏡(オリンパス(株)製、製品名「OPTIPHOT−POL」)を用いて、液晶相を観察した。
[光学異方性フィルムの厚みの測定方法]
光学異方性フィルムの厚みは、ポリマーフィルムから光学異方性フィルムの一部を剥離し、3次元非接触表面形状計測システム((株)菱化システム製、製品名「Micromap MM5200」)を用いて、前記ポリマーフィルムと光学異方性フィルムとの段差を測定した。
[光学異方性フィルムの欠陥の評価法]
洗浄後の積層体について、その光学異方性フィルムの表面全体を、目視によって観察し、その表面に析出物が付着しているかどうかを確認した。
次に、この積層体を、偏光顕微鏡(オリンパス(株)製、製品名「OPTIPHOT−POL」)の観察ステージ上に載せ、光学異方性フィルムの表面を100倍で観察し、そのフィルムのクラックや剥離を確認した。同時に、顕微鏡で拡大した光学異方性フィルムの表面に、析出物が析出しているかどうかも再度確認した。
[実施例1]
4−ニトロアニリンと8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸とを、常法(細田豊著「理論製造 染料化学 第5版」昭和43年7月15日技法堂発行、135ページ〜152ページに記載の方法)により、ジアゾ化及びカップリング反応させて、モノアゾ化合物を得た。得られたモノアゾ化合物を、前記常法によりジアゾ化し、さらに、1−アミノ−8−ナフトール−2,4−ジスルホン酸リチウム塩とカップリング反応させて粗生成物を得た。これを塩化リチウムで塩析することによって、下記構造式(3)のジスアゾ化合物を得た。
Figure 0005568800
前記式(3)のジスアゾ化合物をイオン交換水に溶解することにより、20質量%のコーティング液を調製した。このコーティング液のpHは、7.8であった。
このコーティング液を、ポリスポイトで採取し、上記液晶相の観察方法に従って、室温(23℃)にて観察したところ、前記コーティング液はネマチック液晶相を示していた。
前記コーティング液を、ラビング処理及びコロナ処理が施されたノルボルネン系ポリマーフィルム(日本ゼオン(株)製、製品名「ゼオノア」)上に、バーコータ(BUSHMAN社製、製品名「Mayer rot HS4」)を用いて塗工し、23℃の恒温室内で十分に自然乾燥させた。乾燥により前記ポリマーフィルム上に形成された乾燥塗膜が、光学異方性フィルムである。前記光学異方性フィルムの厚みは、0.4μmであった。
1,3−プロパンジアミン塩酸塩(アルドリッチ社製)とビス(ヘキサメチレン)トリアミン塩酸塩(アルドリッチ社製)を質量比80:20の割合で、イオン交換水に混合することにより、10質量%の耐水化処理液を調製した。
この耐水化処理液中に、上記ポリマーフィルムと光学異方性フィルムの積層体を、約1分間浸漬することにより、耐水化処理を行った。
Figure 0005568800
別途、イソプロピルアルコールと水を質量比90:10の割合で混合することにより、洗浄液を調製し、この洗浄液を充分に満たした浴槽を準備しておいた。
そして、前記耐水化処理液から前記積層体を取り出した後、この積層体に付着した余剰の耐水化処理液を洗い流すため、前記洗浄液を満たした浴槽中に、積層体を約1分間浸漬した。次に、この浴から積層体を取り出た後、積層体の表裏面に付着している洗浄液を、エアーブロアを用いて吹き飛ばし、積層体を十分に風乾した。
洗浄後の積層体について、上記光学異方性フィルムの欠陥の評価法に従って、クラック、剥離及び析出物の有無を観察した。その結果、実施例1の光学異方性フィルムには、クラックや剥離などの欠陥が発生していなかった。
また、光学異方性フィルムの表面に、析出物が析出していなかった。
[実施例2]
実施例1の洗浄液に代えて、イソプロピルアルコールと水を質量比50:50の割合で混合した洗浄液を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、耐水化された光学異方性フィルムを作製した。
この光学異方性フィルムを、実施例1と同様に観察したところ、クラックなどの欠陥が発生しておらず、且つ析出物も析出していなかった。
[実施例3]
実施例1の洗浄液に代えて、イソプロピルアルコールと水を質量比20:80の割合で混合した洗浄液を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、耐水化された光学異方性フィルムを作製した。
この光学異方性フィルムを、実施例1と同様に観察したところ、クラックなどの欠陥が発生しておらず、且つ析出物も析出していなかった。
[実施例4]
実施例1の洗浄液に代えて、アセトンと水を質量比50:50の割合で混合した洗浄液を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、耐水化された光学異方性フィルムを作製した。
この光学異方性フィルムを、実施例1と同様に観察したところ、クラックなどの欠陥が発生しておらず、且つ析出物も析出していなかった。
[実施例5]
実施例1の洗浄液に代えて、イソプロピルアルコールのみからなる洗浄液を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、耐水化された光学異方性フィルムを作製した。
この光学異方性フィルムを、実施例1と同様に観察したところ、クラックなどの欠陥が発生していなかった。また、光学異方性フィルムの表面には、耐水化処理液の成分に起因する析出物が若干析出していた。
[比較例1]
実施例1の洗浄液に代えて、イソプロピルアルコールと水を質量比5:95の割合で混合した洗浄液を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、耐水化された光学異方性フィルムを作製した。
この光学異方性フィルムを、実施例1と同様に観察したところ、一部にクラックや剥離が発生していた。また、光学異方性フィルムの表面には、析出物が析出していなかった。
[比較例2]
実施例1の洗浄液に代えて、水のみからなる洗浄液を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、耐水化された光学異方性フィルムを作製した。
この光学異方性フィルムを、実施例1と同様に観察したところ、一部にクラックや剥離が発生していた。また、光学異方性フィルムの表面には、析出物が析出していなかった。
[比較例3]
実施例1の洗浄液に代えて、トルエンのみからなる洗浄液を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、耐水化された光学異方性フィルムを作製した。
この光学異方性フィルムを、実施例1と同様に観察したところ、クラックなどの欠陥は発生していなかったが、光学異方性フィルムの表面に、耐水化処理液の成分に起因する析出物が多量に析出していた。
Figure 0005568800
[評価]
実施例1〜5のように親水性有機化合物を含む洗浄液を用いることにより、クラックなどの欠陥を有さない光学異方性フィルムが得られた。また、実施例5の洗浄液は、親水性有機化合物のみからなるが、この洗浄液の場合には、析出物が若干確認された。そのため、親水性有機化合物と水の混合液を洗浄液として用いれば、フィルムの欠陥の発生や析出物の発生を確実に抑制できることが判った。さらに、比較例1のように、親水性有機化合物と水の混合液を洗浄液として用いた場合でも、洗浄液中に水が高い割合で含まれていると、フィルムの欠陥の発生を十分に抑制できないことが判った。それ故、実施例3と比較例1の対比から、水溶性有機化合物が10質量%以上含まれる洗浄液を用いれば、フィルムの欠陥の発生や析出物の発生を抑制できると推察できる。
本発明の光学異方性フィルムの製造方法は、耐水性に優れた光学異方性フィルムを製造する際に好適に利用できる。
本発明の製造方法によって得られた光学異方性光フィルムは、液晶表示装置などの画像表示装置、偏光サングラスなどに利用できる。

Claims (5)

  1. アニオン性基を有する有機色素から形成された超分子会合体を含む光学異方性フィルムを、多価金属塩又は分子中に2個以上の窒素原子を有する化合物を含む耐水化処理液に接触させる耐水化処理工程と、
    前記耐水化処理後の光学異方性フィルムを、親水性有機化合物と水のみを含み、且つ、親水性有機化合物が10質量%以上含まれている洗浄液を用いて洗浄する洗浄工程と、
    を有する、耐水化された光学異方性フィルムの製造方法。
  2. 前記親水性有機化合物が、分子中に窒素又は酸素の少なくとも何れか一方を有する有機化合物である請求項1に記載の光学異方性フィルムの製造方法。
  3. 前記親水性有機化合物が、アルコール又はケトンである請求項1又は2に記載の耐水化された光学異方性フィルムの製造方法。
  4. 前記親水性有機化合物が、ケトンである請求項1又は2に記載の耐水化された光学異方性フィルムの製造方法。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の製造方法によって得られた光学異方性フィルムを有する画像表示装置。
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