JP6036787B2 - 異方性膜用アゾ化合物、該化合物を含有する組成物、異方性膜及び偏光素子 - Google Patents

異方性膜用アゾ化合物、該化合物を含有する組成物、異方性膜及び偏光素子 Download PDF

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本発明は、調光素子や液晶素子(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)等の表示素子に具備される偏光板等に有用な高い二色性を示すアゾ化合物、該化合物を含有する組成物、異方性膜及び偏光素子に関するものである。
LCDでは表示における旋光性や複屈折性を制御するために直線偏光板や円偏光板が用いられている。OLEDにおいても外光の反射防止のために円偏光板が使用されている。
従来、これらの偏光板(偏光素子)にはヨウ素が二色性物質として広く使用されてきた。しかしながら、ヨウ素は昇華性が大きいために偏光素子に使用した場合、その耐熱性や耐光性が十分ではなかった。また、その消光色が深い青になり、全可視スペクトル領域にわたって理想的な無彩色偏光素子とは言えなかった。
そのため、有機化合物を二色性物質に使用する偏光素子が検討されている。しかし、これら有機化合物では、ヨウ素に比べると二色性がかなり劣る程度の偏光素子しか得られないなどの問題点があった。
光の旋光性や複屈折性を表示原理に用いているLCDにおいて、偏光素子は重要な構成要素であり、近年、表示性能などの向上を目的に新たな偏光素子の開発が進められている。
その一つの方法として、ヨウ素を含む偏光素子と同様に、二色性を有する有機化合物(いわゆる二色性色素)をポリビニルアルコールのような高分子材料に溶解または吸着させ、その膜を一方向にフィルム状に延伸して二色性化合物を配向させる方法が挙げられている。しかしながら、該方法では延伸処理等のプロセスに手間がかかる等の問題点があった。
そこで、最近では他の方法が着目されるようになってきた。
この方法として、非特許文献1では、ガラスや透明フィルムなどの基板上に有機化合物の分子間相互作用などを利用して二色性化合物を配向させ、偏光膜(異方性膜)を形成している。しかしながら、該文献に記載の方法では、耐熱性の問題があることが知られていた。
また、上記ガラスや透明フィルムなどの基板上に有機化合物の分子間相互作用などを利用して二色性化合物を配向させることは湿式成膜法により達成されるが、湿式成膜法で偏光膜が作製される場合、この膜には、使用される分子の高い二色性の他に、湿式成膜法のプロセスに適した化合物であることが要求される。湿式成膜法におけるプロセスとしては、化合物を基板上に堆積、配向させる方法やその配向を制御する方法などが挙げられ、従来の上記延伸処理を経る偏光素子に使用される化合物であっても、湿式成膜法には適していないことが多くある。
特許文献1〜4では、湿式成膜法のプロセスに適した各種材料が提案されている。
また、該プロセスに適した材料として、特許文献4では、(クロモゲン)(SOM)で表される色素が提案されている。
特開2002−180052号公報 特表2002−528758号公報 特開2002−338838号公報 特表平8−511109号公報
Dreyer,J.F.,Journal de Physique,1969,4,114.,"Light Polarization From Films of Lyotropic Nematic Liquid Crystals"
前記特許文献1〜4で提案されている各種材料は、該プロセスに適してはいても、高い偏光特性(消光比)を得ることができないという問題点があった。これらは数種類の二色性化合物を組み合わせて無彩色を表しているが、この様に数種類の二色性化合物を組み合わせて異方性膜を得た場合、異なる分子を混合するため分子配向が乱れてしまい、高い二色性を得ることは困難であるという問題点があった。
本発明は、湿式成膜法により形成される異方性膜に用いるアゾ化合物であって、該膜が高い二色性、高い分子配向度を示す異方性膜となるアゾ化合物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、遊離酸の形が下記式(1)で表されるアゾ化合物を用いることにより、湿式成膜法で形成される異方性膜において、高い二色性、高い分子配向度を示す異方性膜をなすことができ、その異方性膜を備えてなる偏光素子は、高い光学性能を有することができることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、遊離酸の形が下記式(1)で表されることを特徴とする、湿式成膜法により形成される異方性膜用アゾ化合物、該化合物及び溶剤を含有する異方性膜用組成物、該化合物を含有する異方性膜及び該異方性膜を備えてなる偏光素子に存する。
Figure 0006036787
(上記式(1)において、A1は、シアノ基有するフェニル基を表す。
1、D1およびE1は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表し、B1およびD1の少なくとも1つが、ルホ基を有する1,4−ナフチレン基を表す。
1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。mおよびnは、0または1を表す。)
本発明のアゾ化合物を用いることにより、湿式成膜法で形成される異方性膜においても
、高い二色性、高い分子配向度を示す異方性膜を提供できる。また、このような特性を有する異方性膜を備えてなる偏光素子は、調光素子、液晶素子、有機エレクトロルミネッセンス素子等の表示素子など多方面に利用することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明でいう異方性膜とは、膜の厚み方向および任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有する膜である。電磁気学的性質としては、吸収、屈折などの光学的性質、抵抗、容量などの電気的性質などが挙げられる。吸収、屈折などの光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光膜、円偏光膜、位相差膜、導電異方性膜などがある。
本発明の異方性膜は、偏光膜、位相差膜、導電異方性膜に用いられることが好ましく、偏光膜に用いられることがより好ましい。
本発明の異方性膜用アゾ化合物は、いわゆる色素としての機能も有する化合物であって、本発明の異方性膜用アゾ化合物を含有する異方性膜は、色素膜としても機能し得るものである。なお、ここでいう色素とは、一般に、可視光波長領域において吸収を有する化合物を意味する。
なお、本明細書において置換基を有していてもよいとは、置換基を1または2以上有していてもよいことを意味する。
また、本明細書において「置換基の総炭素数」という場合には、その置換基中に含まれる炭素原子の数を表し、その置換基がさらなる置換基を有している場合には、さらなる置換基に含まれる炭素数も含めたすべての炭素数である。
[異方性膜用アゾ化合物]
本発明の異方性膜用アゾ化合物は、湿式成膜法により形成される異方性膜用のアゾ化合物であって、遊離酸の形が下記式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 0006036787
(上記式(1)において、Aは、置換基として非イオン性の電子吸引基を少なくとも一つ有するフェニル基を表す。
、DおよびEは、それぞれ独立に置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
1およびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。mおよびnは、0または1を表す。)
上記式(1)で表される異方性膜用アゾ化合物は、末端に配置されたフェニル基(A)が置換基として非イオン性の電子吸引基を有することにより電子不足な(ベンゼン環上の電子密度が減弱された)状態になっており、これと、逆の末端に配置された水酸基およ
びアミノ基が置換した電子過剰な(ベンゼン環上の電子密度が増強された)状態のナフチル基が、分子間で強く引き合い、さらに、分子中央に配置されたB、D、Eの環同士が分子間でπ-π相互作用することにより、分子同士が会合状態を作りやすい性質を有
している。そのため、この異方性膜用アゾ化合物は、該化合物を含有した組成物中において、湿式成膜法による異方性膜用アゾ化合物に必要とされるリオトロピック液晶のような、溶液中での高い会合状態を形成することができる。そして、このアゾ化合物を含有した組成物に湿式成膜法特有のプロセス、すなわち、基材表面に塗布などの積層プロセスを適用して得られる異方性膜中においても、本発明のアゾ化合物は高い秩序で配列し、高い二色性を示す異方性膜を提供することができるものと考えられる。
また、本発明の式(1)で表されるアゾ化合物は、可視光波長領域全体に吸収をもち、このアゾ化合物を用いた異方性膜は無彩色となる。従って、本発明の異方性膜用アゾ化合物は高い異方性を有する無彩色の異方性膜を形成することが可能である。
以下、本発明の前記式(1)で表される異方性膜用アゾ化合物について説明する。
<A
前記式(1)において、Aは、置換基として非イオン性の電子吸引基を少なくとも一つ有するフェニル基を表す。
ここでイオン性基とは、鈴木洋著「界面と界面活性物質」(産業図書株式会社、1990年1月23日発行)第33頁〜第35頁に記載されているように、親水性基のうち水の中で分子が解離してアニオン(陰イオン)部とカチオン(陽イオン)部に分かれる基を指す。具体的には、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、トリメチルアンモニオ基等、J.N.イスラエルアチヴィリ著、近藤保、大島広行訳「分子間力と表面力」(マグロウヒル出版株式会社、1991年12月25日発行)第105頁〜第106頁に記載されているもの等が挙げられる。「非イオン性」の置換基とは、イオン性基でないものを指す。
また、電子吸引基とは、水素原子と比べて結合原子側から電子を引きつけやすい置換基を指し、電子吸引基がフェニル基に置換した場合には、ベンゼン環上の電子密度を減弱させる、つまり、電子不足にさせる効果がある。電子吸引基としては、ハロゲン原子、酸素原子や窒素原子などの電気陰性度が高い原子と多重結合をしている原子、ハロゲン原子が置換した炭素原子、正電荷を帯びている原子等が挙げられる。置換基が電子吸引性であることの指標の例としては、例えば、小西謙三、黒木宣彦著「合成染料の化学」(槇書店、1963年2月25日発行)第23頁〜第25頁に記載されているハメット式における置換基定数が正であることが挙げられ、本発明においては、該置換基定数がメタ位、パラ位のいずれにおいても正である置換基が好ましい。
非イオン性の電子吸引基は、該フェニル基のベンゼン環の電子密度を減弱させるとともに、本化合物を後述する異方性膜用組成物に用いた場合に、溶剤として主に用いる水中で電荷分離しないため、溶剤との相互作用が小さく、該フェニル基の逆の末端に配置された水酸基およびアミノ基が置換した電子過剰なナフチル基との間で、分子間で強く引き合い、分子同士が会合状態を作りやすい性質が生じる。なお、電子過剰であるとは、ベンゼン環上の電子密度が増強された状態を意味する。
非イオン性の電子吸引基としては、ハロゲン原子、酸素原子や窒素原子などの電気陰性度が高い原子と多重結合をしている原子、ハロゲン原子が置換した炭素原子などが挙げられる。具体的には、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基または置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基または置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルファモイル基、置換基を有して
いてもよいアルキルスルファモイル基または置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基等が挙げられる。
該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、なかでも電気陰性度の高いフッ素原子、塩素原子が好ましい。
置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基は−CO−R31で表され、R31は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基は、置換基の総炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子などが挙げられる該アルキルカルボニル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールカルボニル基は、−CO−R32で表され、R32は、置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基を表す。該フェニル基は、置換基の総炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該ナフチル基は、置換基の総炭素数が通常10以上、通常14以下、好ましくは12以下である。該フェニル基および該ナフチル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子などが挙げられる。該アリールカルボニル基の具体例としてはベンゾイル基、ナフチルカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基は、−CO−NHR33で表され、R33は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R31のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルカルバモイル基の具体例としては、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基は、−CO−NHR34で表され、R34は置換基を有していてもよいフェニル基または、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基およびナフチル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R32のフェニル基およびナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールカルバモイル基の具体例としてはフェニルカルバモイル基、ナフチルカルバモイル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基は、−SO−R35で表され、R35は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R31のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルホニル基の具体例としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールスルホニル基は、−SO−R36で表され、R36は置換基を有していてもよいフェニル基または、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基およびナフチル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R32のフェニル基およびナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールカルバモイル基の具体例としてはフェニルスルホニル基、トリルスルホニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基は、−SO−NHR37で表さ
れ、R37は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R31のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルファモイル基の具体例としては、メチルスルファモ
イル基、エチルスルファモイル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基は、−SO−NHR38で表され、R38は置換基を有していてもよいフェニル基または、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基およびナフチル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R32のフェニル基およびナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールスルファモイル基の具体例としてはフェニルスルファモイル基、ナフチルスルファモイル基等が挙げられる。
ハロゲン原子が置換したアルキル基は、置換基の総炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下である。該アルキル基に置換していてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、なかでも電気陰性度の高いフッ素原子、塩素原子が好ましい。ハロゲン原子が置換したアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリクロロメチル基等が挙げられる。
のフェニル基は、上記のような性質を損ねない範囲でさらに他の置換基を有していてもよく、具体的には、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、水酸基等が挙げられる。
該フェニル基が有する置換基を有していてもよいアルキル基は、置換基の総炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基等の置換基を有していてもよい低級アルキル基が挙げられる。
該フェニル基が有する置換基を有していてもよいアルコキシ基は、置換基の総炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは3以下である。該アルコキシ基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子などが挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、1,2−ジヒドロキシプロポキシ基等の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基が挙げられる。
該フェニル基が有する置換基を有していてもよいアルキルアミノ基は、−NR4142で表され、R41は、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R42は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基は、置換基の総炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子などが挙げられる。該アルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基等が挙げられる。
該フェニル基が有する置換基を有していてもよいアリールアミノ基は、−NR4344で表され、R43は、置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基を表し、R44は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R41およびR42のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該フェニル基は、置換基の総炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該ナフチル基は、置換基の総炭素数が通常10
以上、通常14以下、好ましくは12以下である。該フェニル基および該ナフチル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子などが挙げられる。該アリールアミノ基の具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、ナフチルアミノ基等が挙げられる。
該フェニル基が有する置換基を有していてもよいアシルアミノ基は、−NH−COR45で表され、R45は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該アルキル基は、置換基の総炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該フェニル基は、置換基の炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該ナフチル基は、置換基の総炭素数が通常10以上、通常14以下、好ましくは12以下である。該アルキル基、該フェニル基および該ナフチル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子などが挙げられる。アシルアミノ基の具体例としては、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
上記のとおり詳述したAの中でも、本発明の異方性膜用アゾ化合物においては、置換基としてシアノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基または置換基を有していてもよいフェニルカルバモイル基を有するフェニル基であることが好ましい。中でも、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基または置換基を有していてもよいフェニルカルバモイル基を一つ有するフェニル基であることが好ましい。
これらの基は、水素結合性を有するため、これらを置換基として有するフェニル基が逆の末端に配置された電子過剰なナフチル基と分子間で強く引き合う際に、該ナフチル基に置換したアミノ基と相互作用し、分子間の会合を促進する性質があるため好ましい。逆の末端に配置されたナフチル基と十分に引き合う構造とするとの観点からは、これらの置換基がフェニル基の4位に置換していることが好ましい。
<B
前記式(1)において、Bは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基が好ましく、該フェニレン基としては1,4−フェニレン基が、また該ナフチレン基としては1,4−ナフチレン基が分子間の相互作用を示すために好ましい。
該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基または置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、水酸基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシ基、シアノ基およびハロゲン原子等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基は、置換基の総炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基等の置換基を有していてもよい低級アルキ
ル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルコキシ基は置換基の総炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは3以下である。該アルコキシ基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、1,2−ジヒドロキシプロポキシ基等の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキルアミノ基は、−NR5152で表され、R51は、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R52は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基は、置換基の総炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基およびハロゲン原子などが挙げられる。該アルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールアミノ基は、−NR5354で表され、R53は、置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基を表し、R54は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R51およびR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該フェニル基は、置換基の総炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該ナフチル基は、置換基の総炭素数が通常10以上、通常14以下、好ましくは12以下である。該フェニル基および該ナフチル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基およびハロゲン原子などが挙げられる。該アリールアミノ基の具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、ナフチルアミノ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアシルアミノ基は、−NH−COR55で表され、R55は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該アルキル基は、置換基の総炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該フェニル基は、置換基の炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該ナフチル基は、置換基の総炭素数が通常10以上、通常14以下、好ましくは12以下である。該アルキル基、該フェニル基および該ナフチル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基およびハロゲン原子などが挙げられる。アシルアミノ基の具体例としては、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基は、−NH−SO61で表され、R61は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R51およびR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルホニルアミノ基の具体例としては、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基は、−NH−SO62で表され、R62は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基およびナフチル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R53およびR54のフェニル基およびナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールスルホニ
ルアミノ基の具体例としては、ベンゼンスルホニルアミノ基、p−トリルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基は、−CO−NHR56で表され、R56は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R51およびR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルカルバモイル基の具体例としては、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基は、−CO−NHR57で表され、R57は置換基を有していてもよいフェニル基または、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基およびナフチル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R53およびR54のフェニル基およびナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールカルバモイル基の具体例としてはフェニルカルバモイル基、ナフチルカルバモイル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基は、−SO−NHR58で表さ
れ、R58は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R51およびR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルファモイル基の具体例としては、メチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基は、−SO−NHR59で表され、R59は置換基を有していてもよいフェニル基または、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基およびナフチル基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R53およびR54のフェニル基およびナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールスルファモイル基の具体例としてはフェニルスルファモイル基、ナフチルスルファモイル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、なかでもフッ素原子、塩素原子が好ましい。
の芳香族炭化水素基は、無置換でも、上記置換基を1〜5個有していてもよく、好ましくは置換基を1〜2個有する。上記の中でも、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子等の極性の小さい基或いは水素結合性を有する基を有することが、リオトロピック液晶を形成する上での相互作用による会合性向上の点で好ましく、水溶化の観点からは、スルホ基を有することが好ましい。
の複素環基としては、単環または二環性の複素環由来の基が好ましい。複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子および酸素原子が挙げられるが、窒素原子が特に好ましい。複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。また、Bの複素環基は、置換基を有していてもよい。
の複素環基としては、下記式(5−a)または(5−b)で表される2価の複素環基であることがさらに好ましい。すなわち、(5−a)で表される含窒素芳香族6員環の2,5位または3,6位で結合する2価の連結基であるか、または、(5−b)で表される複素環のaおよびdの置換位置で結合する2価の連結基であることが好ましい。このような複素環基であることにより、前記式(1)で表されるアゾ化合物同士が相互作用を示しやすくなる。
Figure 0006036787
(式中、Q〜Qはそれぞれ独立に炭素原子、または窒素原子を表すが、Q〜Qの1個または2個が窒素原子であり、残りは炭素原子であり、Q〜Qは置換基を有していてもよい。)
Figure 0006036787
(式中、Xは主鎖に窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含み、5〜7員環を形成する2価の連結基を表し、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。)
なお、上記式(5−b)において、2価の連結基Xが主鎖に窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含むとは、該2価の基により形成される環上に窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含むことをいう。また、上記式(5−a)または(5−b)で表される2価の複素環基が有していてもよい置換基としては、後述するBの複素環基の置換基として列記のものと同様である。
上記式(5−b)におけるXで表される2価の連結基としては、例えば、−N=CH−CH=C−、−CO−NH−CO−、=N−S−N=、−CH=N−CH=CH−等が挙げられる。但し、CHおよびNHにおけるCおよびNには、Hの代わりに有機基等の置換基(Bの複素環基の置換基として列記したものなど)が置換していてもよい。
上記式(5−a)で表される2価の複素環基としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジンおよびピラジンから誘導され、かつアゾ基との連結位置が2,5位または3,6位にある基が挙げられ、上記式(5−b)で表される2価の複素環基としては、キノリン、イソキノリン、ベンゾチアジアゾール、フタルイミド等から誘導され、かつアゾ基との連結位置が(5−b)で示したaおよびdの位置にある基が挙げられる。
具体的には、ピリジンジイル基、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基、ベンゾチアジアゾールジイル基、フタルイミドジイル基等が挙げられる。中でも、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基が好ましい。
これらの中でも、化合物全体の平面性の点から、Bの複素環基は式(5−b)で表される基であるのが好ましく、特に、5,8−キノリンジイル基および5,8−イソキノリンジイル基が好ましい。
上記したBの複素環基は、置換基を有していてもよい。
の複素環基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホ基、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。該アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基
およびアシルアミノ基の好ましい置換基の総炭素数、有していてもよい置換基の例および好ましい具体例は、Bが芳香族炭化水素基の場合に有していてもよい置換基として例示したものと同様である。
の複素環基は、前記置換基を1〜5個有していてもよく、好ましくは無置換であるか、またはこれらの置換基を1〜2個有する。前記の中でも、Bの複素環基の置換基としては、水溶化の観点から水酸基、スルホ基、カルボキシ基が好ましい。
上記のとおり詳述したBの中でも、本発明の異方性膜用アゾ化合物においては、スルホ基が置換したナフチレン基であることが好ましく、スルホ基が置換した1,4−ナフチレン基であることがさらに好ましい。これらはスルホ基によって分子平面と同一平面方向からの会合が阻害され、一方、ナフタレン環は広いπ共役平面を有するので、分子平面間での会合形成が起こりやすくなる。このため、分子が積み重なって形成されるカラム状の会合体に関与する分子数が多くなる、つまり、高い分子配向度の異方性膜を得ることができる。特にBがナフチレン基であると、分子全体のアスペクト比(分子の長短軸比)が小さくなり、分子間でπ-π相互作用による力が大きくなるため、会合促進の効果が大き
い。
<D
前記式(1)において、Dは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
の置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の複素環基としては、前記Bの置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の複素環基と同様である。
の中でも、スルホ基が置換したナフチレン基であることが好ましく、スルホ基が置換した1,4−ナフチレン基であることがさらに好ましい。その理由はBの場合と同様である。
<E
前記式(1)において、Eは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
の置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の複素環基としては、前記Bの置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の複素環基と同様である。
の中でも、スルホ基が置換したナフチレン基であることが好ましく、スルホ基が置換した1,4−ナフチレン基であることがさらに好ましい。その理由はBの場合と同様である。
<好ましいB、DおよびEの組合せ>
前記式(1)で表される本発明の異方性膜用アゾ化合物においては、B、DおよびEのうち少なくともいずれか一つがスルホ基が置換したナフチレン基であることが好ましく、スルホ基が置換した1,4−ナフチレン基であることがさらに好ましい。
、DおよびEのうち少なくともいずれか一つがスルホ基が置換したナフチレン基であることにより、スルホ基によって分子平面と同一平面方向からの会合が阻害され、一方、ナフタレン環は広いπ共役平面を有するので、分子平面間での会合形成が起こりやすくなる。このため、分子が積み重なって形成されるカラム状の会合体に関与する分子数が多くなる、つまり、高い分子配向度の異方性膜を得ることができる。
特にBがナフチレン基であると、分子全体のアスペクト比(分子の長短軸比)が小さくなり、分子間でπ-π相互作用による力が大きくなるため、会合促進の効果が大きいの
でより好ましい。
<RおよびR
前記式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。
置換基を有していてもよいアルキル基は、置換基の総炭素数が通常1以上、6以下、好ましくは4以下である。置換基を有していてもよいフェニル基は、置換基の総炭素数が通常6以上、通常12以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。
該アルキル基および該フェニル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアシル基は、−NH−COR71で表され、R71は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。該アルキル基は、置換基の総炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該フェニル基は、置換基の炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該アルキル基および該フェニル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
特に、RおよびRが水素原子である場合(NRとしてはアミノ基となる)、Rが水素原子およびRがアルキル基である場合(NRとしてはアルキルアミノ基となる)、Rが水素原子およびRがフェニル基である場合(NRとしてはフェニルアミノ基となる)などが好ましいが、リオトロピック液晶性を発現し易いという観点からは、RまたはRが水素原子、カルボキシ基またはスルホ基を有するアルキル基、カルボキシ基またはスルホ基を有するアシル基であることが好ましい。とりわけ、比較的低濃度でリオトロピック液晶性を発現し易く、プロセス適性に優れているという観点から、R及びRのいずれもが水素原子であることが好ましい。
<m>
mは、0または1を表す。好ましくは1である。
<n>
nは、0または1を表す。すなわち、前記式(1)で表される本発明の異方性膜用アゾ化合物は、トリスアゾ化合物またはテトラキスアゾ化合物である。
<分子量>
遊離酸の形が前記式(1)で表される本発明の異方性膜用アゾ化合物(以下「本発明のアゾ化合物」ということがある)の分子量は、遊離酸の形で、600以上が好ましく、2000以下が好ましく、1500以下がさらに好ましい。
<水溶性>
本発明のアゾ化合物は、通常、水溶性の化合物である。
本発明のアゾ化合物は、常温常圧下、具体的には25℃、1気圧において、水への溶解度が0.1重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることがより好ましい。また、この溶解度は、50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましい。例えば、後述するように、異方性膜を作製する場合、溶剤としては水、水混和性のある有機溶剤、または水と水混和性のある有機溶剤の混合物を使用するのが一般的であるため、化合物の水への溶解性が低すぎるとこのような用途への使用が難しくなる可能性がある。逆に、化合物の良好な会合状態形成の観点からは、水への溶解性が高すぎない方が好ましいことがある。
<塩>
本発明のアゾ化合物は式(1)で示されるような遊離酸の形(遊離酸型)のまま使用してもよく、酸基の一部が塩型を取っているものであってもよい。また、塩型の化合物と遊離酸型の化合物が混在していてもよい。また、製造時に塩型で得られた場合はそのまま使用してもよいし、所望の塩型に変換してもよい。塩型の交換方法としては、公知の方法を任意に用いることができ、例えば以下の方法が挙げられる。
1) 塩型で得られたアゾ化合物の水溶液に塩酸等の強酸を添加し、アゾ化合物を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で化合物の酸性基を中和し塩交換する方法。
2) 塩型で得られたアゾ化合物の水溶液に、所望の対イオンを有する大過剰の中性塩(例えば、塩化リチウム)を添加し、塩析ケーキの形で塩交換を行う方法。
3) 塩型で得られたアゾ化合物の水溶液を、強酸性陽イオン交換樹脂で処理し、アゾ化合物を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で化合物の酸性基を中和し塩交換する方法。
4) 予め所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で処理した強酸性陽イオン交換樹脂に、塩型で得られたアゾ化合物の水溶液を作用させ、塩交換を行う方法。
本発明の異方性膜用アゾ化合物の酸性基が遊離酸型を取るか、塩型を取るかは、化合物のpKaと化合物溶液のpHに依存する。そのため、本発明の異方性膜用アゾ化合物の酸性基は、遊離酸型、塩型、酸性基が2つ以上ある場合には遊離酸型と塩型の混合または2種類以上の塩型の混合など、さまざまな型を取りうる。特に、異方性膜中でのアゾ化合物の酸性基は、後述する異方性膜用組成物の好ましいpHや異方性膜用アゾ化合物を含んだ基材の解離性の塩を含む溶液での処理の影響を受けて、異方性膜を作成する工程で用いたものとは異なる塩型としていることもありうる。
上記の塩型の例としては、Na、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、または有機アミンの塩が挙げられる。
該アンモニウムの塩が有していてもよい置換基であるアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜6の低級アルキル基およびヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキル基が挙げられる。
有機アミンの例としては、炭素数1〜6の低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン、カルボキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン等が挙げられる。
これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。また、化合物の一分子内に複数種混在してもよいし、組成物中に複数種混在していてもよい。
本発明の異方性膜用アゾ化合物の酸性基の好ましい型としては、アゾ化合物の製造工程、後述する異方性膜用組成物の内容や好ましいpHなどによって異なるが、水に対して高溶解度が必要な場合(例えば、リオトロピック液晶相を発現させるために、異方性膜用組成物中において高い化合物濃度が必要な場合など)には、リチウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、水溶性基が置換した有機アミン塩またはこれらの塩を1以上有することが好ましい。一方、水に対して低溶解度が必要な場合(例えば、低濃度のアゾ化合物を含有する低粘度の異方性膜用組成物が必要な場合や、アゾ化合物製造工程において化合物溶液から該化合物を析出させたい場合など)には、遊離酸の型、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩またはこれらの塩を1以上有することが好ましい。
<式(2)で表される化合物>
前記式(1)で表される本発明の異方性膜用アゾ化合物は、下記式(2)で表されることが好ましい。
Figure 0006036787
(上記式(2)において、B、D、E、R1、Rおよびnは、前記式(1)にお
けると同義である。
3およびR4は、それぞれ独立に、水素、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表す。)
すなわち、前記式(1)におけるA1が、カルバモイル基、置換基を有していてもよい
アルキルカルバモイル基または置換基を有していてもよいフェニルカルバモイル基を置換基として4位に有するフェニル基であって、mが1である化合物であることが好ましい。
このように、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基または置換基を有していてもよいフェニルカルバモイル基がフェニル基の4位に置換している場合、これらのカルバモイル基と逆の末端に配置されたナフチル基の6位に置換したスルホ基との相互作用により、分子が垂直に積層するような会合状態を取りやすく、二色性が格段に向上するという大きな効果が得られる。すなわち、上記式(2)で表される異方性膜用アゾ化合物は、二色性が良好であり特に好ましい。
3及びR4は、それぞれ独立に、水素、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいフェニル基であるが、中でも、R3及びR4ともに水素であることが好ましい。すなわち、前記フェニル基に置換する置換基は、R3及びR4がともに水素であるカルバモイル基であることが好ましい。
<具体例>
本発明の異方性膜用アゾ化合物の具体例としては、遊離酸の形として、例えば以下に示す構造の化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 0006036787
Figure 0006036787
Figure 0006036787
Figure 0006036787
<合成法>
前記式(1)で表される本発明の異方性膜用アゾ化合物は、それ自体周知の方法に従って製造することができる。
例えば、前記式(I−1)で表されるアゾ化合物は、下記(A)〜(D)の工程に従い製造することができる。
(A)4−アミノベンゾニトリルと8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸(1,7−Cleves 酸)とから常法[例えば、細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日、技報堂発行)第396頁第409頁参照]に従って、ジアゾ化、カップリング工程を経てモノアゾ化合物を製造する。
(B)得られたモノアゾ化合物を同様に、常法によりジアゾ化し、8−アミノ−2−ナフ
タレンスルホン酸(1,7−Cleves 酸)とカップリング反応を行い、ジスアゾ化合物を
製造する。
(C)得られたジスアゾ化合物を同様に、常法によりジアゾ化し、8−アミノ−2−ナフ
タレンスルホン酸(1,7−Cleves 酸)とカップリング反応を行い、トリスアゾ化合物
を製造する。
(D)得られたトリスアゾ化合物を同様に、常法によりジアゾ化し、7−アミノ−1−ナ
フトール−3,6−ジスルホン酸(RR酸)とカップリング反応を行い塩化ナトリウムで塩析することにより目的の前記式(I−1)で表されるアゾ化合物がナトリウム塩として得られる。
本発明の異方性膜用アゾ化合物は、通常、後述する異方性膜用組成物として調製され、二色性の高い異方性膜の作製に好適に用いられる。
本発明の異方性膜用アゾ化合物を用いた異方性膜の作製方法としては、好ましくは、例えば、該化合物を適当な溶剤に溶解して、成膜用(異方性膜形成用)の組成物(異方性膜用組成物)を調製し、この組成物を用いてガラス板などの各種基材表面に湿式成膜法にて成膜し、組成物中に含まれる該化合物を配向・積層させる方法等が挙げられる。湿式成膜法については、後に詳述する。
前記式(1)で表されるアゾ化合物は、会合性に優れており、高いリオトロピック液晶
状態を形成することができる。従って、湿式成膜法により形成される異方性膜用のアゾ化合物として特に適しており、またその二色比も高いので、該化合物を含有する組成物を異方性膜の作製に使用すれば、二色性の高い異方性膜を得ることができる。
以下に、本発明の異方性膜用アゾ化合物を含有する異方性膜用組成物について説明する。本発明の異方性膜用組成物は、湿式成膜法により異方性膜を作製する際に好適に用いられる組成物である。
[異方性膜用組成物]
本発明の異方性膜用組成物は、前記本発明の異方性膜用アゾ化合物と溶剤を含有し、通常、本発明の異方性膜用アゾ化合物が溶剤に溶解もしくは分散されたものである。
なお、本発明の異方性膜用組成物中または以下に詳述する本発明の異方性膜において、本発明の異方性膜用アゾ化合物は1種を単独で使用することができるが、本発明の異方性膜用アゾ化合物を2種以上組み合わせて使用したり、他の二色性物質を組み合わせて使用することもできる。さらに、製造される異方性膜に所望の性能を与えたり、製造に好適な組成物とするために、種々の配合用化合物、溶剤、添加剤等を適宜組み合わせて使用することができる。
<配合用化合物>
本発明の異方性膜用組成物には、異方性膜の色調を調整したり、異方性膜用アゾ化合物の会合性を向上させたり、異方性膜の耐久性の向上や欠陥の低減等の目的で、本発明の異方性膜用アゾ化合物に配合用化合物を併用してもよい。
本発明のアゾ化合物とともに併用しうる化合物の好ましい例としては、アゾ化合物、アントラキノン化合物、アミノ酸、ヒドロキシアミン等が挙げられる。
例えば、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 34、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Yellow 132、C.I.Acid
Yellow 25、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 79、C.I.Acid Orange 28、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 79、C.I.Direct Red 81、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Acid Red 37、C.I.Direct Violet 9、C.I.Direct Violet 35、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 57、C.I.Direct Blue 1、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 83、C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Green 42、C.I.Direct Green 51、C.I.Direct Green 59等が挙げられる。
また、特開2007−199333号公報および特開2008−101154号公報に記載の方法に従い、アントラキノン化合物を配合してもよい。さらに、特開2006−3864号公報に記載の方法や、特開2006−323377号公報に記載の方法を用いてもよい。
特開2007−178993号公報に記載されたように、前記アゾ化合物の酸性基に対して、カチオン0.9当量以上0.99当量以下と、強酸性アニオン0.02当量以上0.1当量以下とを含有させるなどして、異方性膜用組成物における温度5℃、歪印加後0.01秒後の緩和弾性率Gが10分の1に低下するまでの時間が0.1秒以下となる組成物とすることで、異方性膜の欠陥を抑制することもできる。
こうした配合ではpHが低くなり易いので、製造装置の腐食等を防ぐ目的で、必要に応
じさらに緩衝物質を添加してもよい。緩衝物質としては、D.D.ペリン、B.デンプシー著「緩衝液の選択と応用」、講談社サイエンティフィク(1981)に記載されているような、一部もしくは全て中和された弱酸や弱塩基が挙げられる。具体的には、例えば、リン酸塩、炭酸塩、有機酸等が挙げられ、有機酸としては、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、アミノ酸類等が挙げられる。中でもアミノ酸は、異方性膜用アゾ化合物の会合を促進し、配向性を向上させる働きもあるので、好ましく用いられる。また、アミノ酸が複数縮合したアミノ酸オリゴマーは、異方性膜用組成物のレオロジー調整剤としての働きも有するので好ましく、添加により流動配向性の向上が期待できる。これらの緩衝物質は、単独で用いて異方性膜上で結晶析出する場合等には、異なる緩衝物質を複数組み合わせて用いることが好ましい。
さらには、紫外線吸収剤や近赤外線吸収剤などを組み合わせて用いることもできる。
なお、本発明の異方性膜用アゾ化合物と、他の二色性物質や配合用化合物などの他の化合物を併用する場合、本発明の異方性膜用アゾ化合物による効果を十分に発揮させるために、他の併用化合物は、本発明の異方性膜用アゾ化合物に対して50重量%以下とすることが好ましく、10重量%以下とすることがさらに好ましい。
このようにして得られる異方性膜用組成物のpHは通常2〜10程度である。
<添加剤>
本発明の異方性膜用組成物は、例えば、後述の湿式成膜法等において異方性膜形成用溶液として基材に塗布するために用いられる場合には、基材への濡れ性、塗布性を向上させるため、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を加えることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の何れも使用可能である。更に、上記以外にも、例えば、"Additivesfor Coating"(Editedby J.Bieleman、Willey-VCH、2000年刊)等
に記載の公知の添加剤を用いることができる。その添加濃度は、目的の効果を得るために十分であって、かつ本発明の異方性膜用アゾ化合物および必要に応じて用いられる前述の配合用化合物分子の配向を阻害しない量として、異方性膜用組成物中の濃度として通常0.05重量%以上、0.5重量%以下がより好ましい。
<溶剤>
本発明の異方性膜用組成物に使用される溶剤としては、水、水混和性のある有機溶剤、或いはこれらの混合物が適している。有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類等の単独または2種以上の混合溶剤が挙げられる。
<濃度>
本発明の異方性膜用アゾ化合物および必要に応じて用いられる前述の配合用化合物や添加剤等の他の化合物を溶解する場合の濃度としては、これらの溶質の溶解性やリオトロピック液晶状態などの会合状態の形成濃度にも依存するが、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
[異方性膜]
本発明の異方性膜は、本発明の異方性膜用アゾ化合物を含有することを特徴とする。該異方性膜は、好ましくは湿式成膜法で形成された異方性膜である。通常、本発明の異方性膜は、前記本発明の異方性膜用組成物を基板上に湿式成膜法により成膜することにより得られる。
上記説明した様に、前記式(1)で表される本発明の異方性膜用アゾ化合物は、高いリ
オトロピック液晶状態を形成し、高次の分子配向状態を示すことができ、高い二色性を示すことができる。従って、このような本発明の異方性膜用アゾ化合物を含む本発明の異方性膜は、高い二色性を示す有用な膜となる。
本発明の異方性膜は高い二色比を示すが、二色比は8以上のものが好ましく、より好ましくは12以上、特に好ましくは15以上のものが使用される。
特に、偏光膜に使用する際には中庸な色調の膜が好ましく、色相として、L*a*b*表色系において、√{(a+(b}≦30、好ましくは√{(a+(b}≦10、さらに好ましくは、√{(a+(b}≦5、かつ膜の透過率が35%以上、好ましくは40%以上、さらに好ましくは44%以上を満たすものが表示素子、特にカラー表示素子用偏光素子として好ましい。
<湿式成膜法>
本発明においては、湿式成膜法により異方性膜を作製する。より好ましくは、前記本発明の異方性膜用組成物を用いる湿式成膜法により作製する。
本発明でいう湿式成膜法とは、異方性膜用組成物をガラス板などの各種基材上に何らかの手法により適用し、溶剤が乾燥する過程を経て異方性膜用化合物等を基材上で配向・積層させる方法である。湿式成膜法では、溶剤を含む該組成物そのものが基材上に形成されると、すでに組成物中で、または溶剤が乾燥する過程で、化合物自体が自己会合することにより微小面積での配向が起こる。この状態に外場を与えることより、マクロな領域で一定方向に配向させ、所望の性能を有する異方性膜を得ることが特徴である。この点で、いわゆるポリビニルアルコール(PVA)フィルム等を異方性化合物を含む溶液で染色して延伸し、延伸工程だけで該化合物を配向させることを原理とする方法とは異なる。なお、ここで外場とは、あらかじめ基材上に施された配向処理層の影響、剪断力、磁場などが挙げられ、これらを単独で用いても良いし、組み合わせて用いてもよい。また、組成物を基材上に形成する過程、外場を与えて配向させる過程、溶剤を乾燥させる過程は、逐次行っても良いし、同時に行っても良い。
湿式成膜法における異方性膜用組成物の基材上への適用方法としては、例えば、塗布法、ディップコート法、LB膜形成法、公知の印刷法などが挙げられる。また、このようにして得た異方性膜を別の基材に転写する方法もある。これらの中でも、本発明においては塗布法を用いることが好ましく、以下、塗布法について詳述する。
前記本発明の異方性膜用アゾ化合物は、異方性膜用組成物中でリオトロピック液晶状態等の良好な分子間相互作用による会合体を形成した状態となり得る。したがって、これをガラスや樹脂等の基材上に塗布したり、塗布と同時もしくは塗布後に剪断力を与えたり、あらかじめ基材上に配向処理層を施してその影響を与えたり、かくして成された膜を乾燥させることにより、本発明の異方性膜用アゾ化合物および必要に応じて用いられる前述の配合用化合物を一定方向に配向させ、優れた異方性膜を得ることができる。
基材としては、ガラス、樹脂等からなる厚さ10〜1500μm程度の透明なものが用いられる。樹脂としては、トリアセテート、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース、ウレタン系樹脂などが挙げられる。
基材の表面には、異方性膜用組成物中の本発明の異方性膜用アゾ化合物および必要に応じて用いられる前述の配合用化合物分子等の配向方向を制御するために、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)第226頁〜第239頁などに記載の公知の方法により、配向処理層を施しておいてもよい。
基材上へ異方性膜用組成物を塗布する方法としては、従来公知の方法で行えばよく、例えば、原崎勇次著「コーティング工学」(株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行)第253頁〜第277頁、または市村國宏監修「分子協調材料の創製と応用」(株式会
社シーエムシー出版、1998年3月3日発行)第118頁〜第149頁などに記載の方法や、例えば、あらかじめ配向処理を施した基材上に、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法、フリースパンコート法、ダイコート法などが挙げられる。
基材上に塗布した異方性膜組成物中の本発明の異方性膜用アゾ化合物および必要に応じて用いられる前述の配合用化合物等に剪断力を与えることにより、本発明のアゾ化合物および必要に応じて用いられる前述の配合用化合物等は一定方向に配向する。バーコート、ロールコート、ブレードコート、フリースパンコート法、ダイコート法などは、塗布と同時に剪断力を与えることができるので好ましい。
異方性膜用組成物の基材への塗布時の温度は、好ましくは0℃以上、80℃以下、湿度は好ましくは10%RH以上、80%RH以下程度である。
乾燥時の温度は好ましくは0℃以上、120℃以下、湿度は好ましくは10%RH以上、80%RH以下程度である。
前記の方法等で基材上に異方性膜を形成する場合、形成される異方性膜の厚さは、通常乾燥後の膜厚で、好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、好ましくは50μm以下、更に好ましくは1μm以下である。
このようにして得られた異方性膜には、不溶化処理を行ってもよい。
不溶化とは、膜中の化合物の溶解性を低下させることにより該化合物の膜からの溶出を抑制し、膜の安定性を高める処理工程を意味する。例えば、本発明の異方性膜用化合物の塩型による溶解性の相違は前述のとおりであり、本工程ではそのような相違を利用することにより処理を行うことができる。
具体的には、例えば、少ない価数のイオンをそれより大きい価数のイオンに置き換える(例えば、1価のイオンを多価のイオンに置き換える)処理が挙げられる。このような処理方法としては、例えば、細田豊著「理論製造 染料化学」(技報堂、1957年)435〜437頁等に記載されている処理工程等の公知の方法が用いられる。好ましくは、得られた異方性膜を、特開2007−241267号公報等に記載の方法で処理し、水に対して不溶性の膜にするのが、後工程の容易さ及び耐久性等の観点から好ましい。
また、異方性膜の可視光波長領域における透過率は、好ましくは25%以上である。この透過率は高いほどよく、35%以上、特に40%以上であるのが好ましく、最も好ましくは44%以上である。透過率が低いと、表示素子、特にカラー表示素子用偏光素子として用いるのは難しい。
このような方法で製造された異方性膜は機械的強度が低い場合もあるので、必要に応じ、保護層を設けて使用する。この保護層は、例えば、トリアセテート、アクリル、ポリエステル、ポリイミド、トリアセチルセルロースまたはウレタン系のフィルム等の透明な高分子膜により異方性膜をラミネーションして形成され、実用に供する。
また、本発明の異方性膜をLCDやOLEDなどの各種の表示素子に偏光膜等として用いる場合には、これらの表示素子を構成する電極基板などに直接膜を形成したり、膜を形成した基材をこれら表示素子の構成部材に用いることができる。
[偏光素子]
本発明の異方性膜は、光吸収の異方性を利用し直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光膜として機能する他、膜形成プロセスと基材や、本発明の異方性膜用アゾ化合物および必要に応じて用いられる前述の配合用色素等を含有する組成物の選択により、屈折異方性や伝導異方性などの各種異方性膜として機能化が可能となり、様々な種類の、多様な用途に使用可能な偏光素子とすることができる。
本発明の偏光素子は、上述した本発明の異方性膜を備えてなるものであるが、異方性膜のみからなる偏光素子であってもよいし、基材上に異方性膜を備えてなる偏光素子であってもよい。本発明において、基材上に異方性膜を備えてなる偏光素子は、基材も含めて偏光素子とよぶ。
本発明の異方性膜を基材上に形成して偏光素子として使用する場合、基材と形成された異方性膜のみで使用してもよく、また前記の様な保護層のほか、粘着層或いは反射防止層、配向膜、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能などの光学機能をもつ層など、様々な機能をもつ層を湿式成膜法などにより積層形成し、積層体として使用してもよい。
これら光学機能を有する層は、例えば以下の様な方法により形成することができる。
位相差フィルムとしての機能を有する層は、例えば特開平2−59703号公報、特開平4−230704号公報などに記載の延伸処理を施したり、特開平7−230007号公報などに記載された処理を施したりすることにより形成することができる。
また、輝度向上フィルムとしての機能を有する層は、例えば特開2002−169025号公報や特開2003−29030号公報に記載されるような方法で微細孔を形成すること、或いは、選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより形成することができる。
反射フィルムまたは半透過反射フィルムとしての機能を有する層は、蒸着やスパッタリングなどで得られた金属薄膜を用いて形成することができる。拡散フィルムとしての機能を有する層は、上記の保護層に微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、形成することができる。
また、位相差フィルムや光学補償フィルムとしての機能を有する層は、ディスコティック液晶性化合物、ネマティック液晶性化合物などの液晶性化合物を塗布して配向させることにより形成することができる。
本発明の異方性膜用アゾ化合物を用いた異方性膜は、ガラスなどの高耐熱性基板上に直接形成することが可能であり、高耐熱性の偏光素子を得ることができるという点から、液晶ディスプレーや有機エレクトロルミネッセンスディスプレーだけでなく液晶プロジェクタや車載用表示パネル等、高耐熱性が求められる用途にも好適に使用することができる。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の記載において、「部」は「重量部」を示す。
また、以下の各実施例において、異方性膜の二色比は、プリズム偏光素子を入射光学系に配した分光光度計で異方性膜の透過率を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az=−log(Tz)
Ay=−log(Ty)
Tz:異方性膜の吸収軸方向の偏光に対する透過率
Ty:異方性膜の偏光軸方向の偏光に対する透過率
[実施例1]
4−アミノベンゾニトリル4.73重量部、および水200重量部に塩酸酸性条件下、亜硝酸ナトリウム3.04重量部を加えてジアゾ化し、水600重量部に溶解した8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸(1,7−クレーブ酸)8.93重量部とpH=2〜3
でカップリングを行った後、中和、塩析して析出物を濾過してモノアゾ化合物を得た。
このモノアゾ化合物をN−メチルピロリドン300重量部、および水150重量部に溶解し、塩酸酸性条件下、亜硝酸ナトリウム3.04重量部を加えてジアゾ化し、水600重量部に溶解した8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸(1,7−クレーブ酸)8.93重量部とpH=2〜3でカップリングを行った後、中和、塩析して析出物を濾過してジスアゾ化合物を得た。
このジスアゾ化合物をN−メチルピロリドン600重量部、および水400重量部に溶解し、塩酸酸性条件下、亜硝酸ナトリウム3.04重量部を加えてジアゾ化し、水1200重量部に溶解した7−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(RR酸)(純度:65.5%)19.6重量部とpH=9〜10でカップリングを行った。反応後、吸引ろ過により下記式で表される本発明の化合物(I−1)のナトリウム塩を得た。
化合物(I−1)のナトリウム塩の水溶液を陽イオン交換樹脂(三菱化学社製SK1BH)に通し、遊離酸とした後、水酸化リチウム水溶液で中和、濃縮乾燥することにより、化合物(I−1)のリチウム塩を得た。この色素の10ppm水溶液での極大吸収波長(λmax)は628nmであった。
Figure 0006036787
[実施例2]
4−アミノベンズアミド5.45重量部、および水200重量部に塩酸酸性条件下、亜硝酸ナトリウム3.00重量部を加えてジアゾ化し、水240重量部に溶解した8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸(1,7−クレーブ酸)8.93重量部とpH=2〜3でカップリングを行った後、中和、塩析して析出物を濾過してモノアゾ化合物を得た。
このモノアゾ化合物をN−メチルピロリドン220重量部、および水110重量部に溶解し、塩酸酸性条件下、亜硝酸ナトリウム3.00重量部を加えてジアゾ化し、水200重量部に溶解した8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸(1,7−クレーブ酸)8.93重量部とpH=2〜3でカップリングを行った後、塩析して析出物を濾過してジスアゾ化合物を得た。
このジスアゾ化合物をN−メチルピロリドン200重量部、および水260重量部に溶解し、塩酸酸性条件下、亜硝酸ナトリウム3.04重量部を加えてジアゾ化し、水400重量部に溶解した7−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(RR酸)(純度:65.5%)19.5重量部とpH=9〜10でカップリングを行った。反応後、吸引ろ過により下記式で表される本発明の化合物(I−3)のナトリウム塩を得た。
化合物(I−3)のナトリウム塩の水溶液を陽イオン交換樹脂(三菱化学社製SK1B
H)に通し、遊離酸とした後、水酸化リチウム水溶液で中和、濃縮乾燥することにより、化合物(I−3)のリチウム塩を得た。この色素の10ppm水溶液での極大吸収波長(λmax)は627nmであった。
Figure 0006036787
[実施例3]
4−アミノベンズアミド5.45重量部、および水200重量部に塩酸酸性条件下、亜硝酸ナトリウム3.00重量部を加えてジアゾ化し、水240重量部に溶解したo−アニシジンメタンスルホン酸ナトリウム9.57重量部とpH=2〜3でカップリングを行った後、中和、塩析して析出物を濾過し、得られたケーキを水酸化ナトリウム水溶液中60℃で加水分解してモノアゾ化合物を得た。
このモノアゾ化合物をN−メチルピロリドン220重量部、および水110重量部に溶解し、塩酸酸性条件下、亜硝酸ナトリウム3.00重量部を加えてジアゾ化し、水300重量部に溶解した8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸(1,7−クレーブ酸)8.93重量部とpH=2〜3でカップリングを行った後、塩析して析出物を濾過してジスアゾ化合物を得た。
このジスアゾ化合物をN−メチルピロリドン200重量部、および水260重量部に溶解し、塩酸酸性条件下、亜硝酸ナトリウム3.00重量部を加えてジアゾ化し、水400重量部に溶解した7−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(RR酸)(純度:65.5%)19.5重量部とpH=9〜10でカップリングを行った。反応後、吸引ろ過により下記式で表される本発明の化合物(I−7)のナトリウム塩を得た。
化合物(I−7)のナトリウム塩の水溶液を陽イオン交換樹脂(三菱化学社製SK1BH)に通し、遊離酸とした後、水酸化リチウム水溶液で中和、濃縮乾燥することにより、化合物(I−7)のリチウム塩を得た。この色素の10ppm水溶液での極大吸収波長(λmax)は620nmであった。
Figure 0006036787
[実施例4]
実施例2の中間体として得たジスアゾ化合物をN−メチルピロリドン480重量部、および水720重量部に溶解し、塩酸酸性条件下、亜硝酸ナトリウム3.41重量部を加えてジアゾ化し、水1200重量部に溶解した8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸(1,7−クレーブ酸)8.93重量部とpH=2〜3でカップリングを行った後、塩析して析出物を濾過してトリスアゾ化合物を得た。
このトリスアゾ化合物をN−メチルピロリドン480重量部、および水600重量部に溶解し、塩酸酸性条件下、亜硝酸ナトリウム3.45重量部を加えてジアゾ化し、水1200重量部に溶解した7−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(RR酸)(純度:65.5%)19.5重量部とpH=9〜10でカップリングを行った。反応後、吸引ろ過により下記式で表される本発明の化合物(I−10)のナトリウム塩を得た。
化合物(I−10)のナトリウム塩の水溶液を陽イオン交換樹脂(三菱化学社製SK1BH)に通し、遊離酸とした後、水酸化リチウム水溶液で中和、濃縮乾燥することにより、化合物(I−10)のリチウム塩を得た。この色素の10ppm水溶液での極大吸収波長(λmax)は648nmであった。
Figure 0006036787
[実施例5]
水87部に、前記式(I−1)で表わされるアゾ化合物のリチウム塩13部を加え、撹拌して溶解させた後、濾過して不溶分を除去することにより異方性膜用組成物を得た。スピンコート法により表面にポリイミドの配向膜が形成されたガラス製基板(75mm×25mm、厚さ1.1mm、膜厚約80nmのポリイミド配向膜に、予め布でラビング処理を施したもの)に、上記の異方性膜用組成物をギャップ4μmのアプリケーター(堀田製作所社製)で塗布した後、自然乾燥することにより異方性膜を得た。
得られた異方性膜について、最大吸収波長(λmax)と二色比(D)を測定した。その結果を下記表1に示す。本実施例の異方性膜は、偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
[実施例6]
水88部に、前記式(I−3)で表わされるアゾ化合物のリチウム塩12部を加え、撹拌して溶解させた後、濾過して不溶分を除去することにより、異方性膜用組成物を得た。該組成物を用いて、実施例5と同様の方法で異方性膜を得た。
得られた異方性膜について、最大吸収波長(λmax)と二色比(D)を測定した。その結果を下記表1に示す。本実施例の異方性膜は、偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
[実施例7]
水88部に、前記式(I−7)で表わされるアゾ化合物のリチウム塩12部を加え、撹拌して溶解させた後、濾過して不溶分を除去することにより、異方性膜用組成物を得た。該組成物を用いて、実施例5と同様の方法で異方性膜を得た。
得られた異方性膜について、最大吸収波長(λmax)と二色比(D)を測定した。その結果を下記表1に示す。本実施例の異方性膜は、偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
[実施例8]
水90部に、前記式(I−10)で表わされるアゾ化合物のリチウム塩10部を加え、撹拌して溶解させた後、濾過して不溶分を除去することにより、異方性膜用組成物を得た。該組成物を用いて、実施例5と同様の方法で異方性膜を得た。
得られた異方性膜について、最大吸収波長(λmax)と二色比(D)を測定した。その結果を下記表1に示す。本実施例の異方性膜は、偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
[実施例9]
水85.5部に、前記式(I−3)で表わされるアゾ化合物のリチウム塩13部と、前記式(I−3)で表わされるアゾ化合物の80モル%リチウム中和塩1部と、塩化リチウム0.5部を加え、撹拌して溶解させた後、濾過して不溶分を除去することにより、異方性膜用組成物を得た。該組成物を用いて、実施例5と同様の方法で異方性膜を得た。
得られた異方性膜について、最大吸収波長(λmax)と二色比(D)を測定した。その結果を下記表1に示す。本実施例の異方性膜は、偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
[実施例10]
水78.83部に、前記式(I−3)で表わされるアゾ化合物のリチウム塩14.9部、前記式(I−3)で表わされるアゾ化合物の80モル%リチウム中和塩1.1部、塩化リチウム0.57部、東京化成社製タウリン4.6部を加え、撹拌して溶解させた後、濾過して不溶分を除去することにより、異方性膜用組成物を得た。該組成物を用いて、実施例5と同様の方法で異方性膜を得た。
得られた異方性膜について、最大吸収波長(λmax)と二色比(D)を測定した。その結果を下記表1に示す。本実施例の異方性膜は、偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
Figure 0006036787
[実施例11]
水83部に、前記式(I−3)で表わされるアゾ化合物のリチウム塩3.7部、前記式(I−3)で表わされるアゾ化合物の50モル%リチウム中和塩7.3部、塩化リチウム
0.458部、東京化成社製グリシン1.8部、東京化成社製グリシルグリシルグリシン3.7部を加え、撹拌して溶解させた後、濾過して不溶分を除去することにより、異方性膜用組成物を得た。該組成物を用いて、実施例5と同様の方法で異方性膜を得た。
得られた異方性膜について、最大吸収波長(λmax)と二色比(D)を測定した。その結果を下記表2に示す。本実施例の異方性膜は、偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
[実施例12]
水81.8部に、前記式(I−10)で表わされるアゾ化合物のリチウム塩2部、前記式(I−10)で表わされるアゾ化合物の50モル%リチウム中和塩10部、塩化リチウム0.2部、東京化成社製グリシン2部、東京化成社製グリシルグリシルグリシン4部を加え、撹拌して溶解させた後、濾過して不溶分を除去することにより、異方性膜用組成物を得た。該組成物を用いて、実施例5と同様の方法で異方性膜を得た。
得られた異方性膜について、最大吸収波長(λmax)と二色比(D)を測定した。その結果を下記表2に示す。本実施例の異方性膜は、偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
Figure 0006036787

Claims (7)

  1. 湿式成膜法により形成される異方性膜用のアゾ化合物であって、遊離酸の形が下記式(1)で表されることを特徴とする異方性膜用アゾ化合物。
    Figure 0006036787
    (上記式(1)において、A1は、シアノ基を有するフェニル基を表す。
    1、D1およびE1は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表し、B1およびD1の少なくとも1つが、スルホ基を有する1,4−ナフチレン基を表す。
    1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。mおよびnは、0または1を表す。)
  2. 上記式(1)において、D1が、スルホ基を有する1,4−ナフチレン基である、請求項1に記載の異方性膜用アゾ化合物。
  3. 上記式(1)において、B1およびD1が、スルホ基を有する1,4−ナフチレン基である、請求項1または2に記載の異方性膜用アゾ化合物。
  4. 上記式(1)において、mが1である、請求項1〜3の何れか1項に記載の異方性膜用アゾ化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の異方性膜用アゾ化合物および溶剤を含有するものである、異方性膜用組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の異方性膜用アゾ化合物を含有するものである、異方性膜。
  7. 請求項6に記載の異方性膜を備えてなるものである、偏光素子。
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