JP4973100B2 - 湿式成膜法により形成された異方性色素膜及び偏光素子 - Google Patents
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Description
特に、光の旋光性や複屈折性を表示原理に用いているLCDにおいて偏光素子は重要な構成要素であり、近年、表示性能などの向上を目的に新たな偏光素子の開発が進められている。
そこで、最近では他の方法が着目されるようになってきた。この方法として、非特許文献1では、ガラスや透明フィルムなどの基板上に有機色素分子の分子間相互作用などを利用して二色性色素を配向させ、偏光膜(異方性色素膜)を形成している。しかしながら、該文献に記載の方法では、耐熱性の問題があることが知られていた。
Dreyer,J.F., Journal de Physique, 1969, 4, 114., "Light Polarization From Films of Lyotropic Nematic Liquid Crystals"
すなわち、本発明は、遊離酸の形が下記式(1)で表されることを特徴とする、湿式成膜法により形成された異方性色素膜及び該異方性色素膜を有する偏光素子に存する。
B1は、スルホ基を有するナフチレン基を表す。nは1を表し、mは0または1を表す。
R1は、水酸基または−NHR5(R5は、水素原子、またはアルキルアシル基を表す)を表す。
R2は、水素原子、アルキル基、または塩素原子を表す。
R3およびR4 は水素原子を表す。)
尚、本発明でいう異方性色素膜とは、色素膜の厚み方向及び任意の直交する面内2方向
の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有する色素膜である。電磁気学的性質としては、吸収、屈折などの光学的性質、抵抗、容量などの電気的性質などが挙げられる。吸収、屈折などの光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光膜、円偏光膜、位相差膜、導電異方性膜などがある。
本発明は、遊離酸の形が下記式(1)で表されることを特徴とする、湿式成膜法により形成される異方性色素膜用のアゾ色素に関する。
B1は、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。nは0または1を表し、mは0または1を表す。
R1は、水酸基または−NHR5(R5は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基ま
たは置換基を有していてもよいアルキルアシル基を表す)を表す。
R2は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいア
ルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。
R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアシル基または置換基を有していてもよいトリアジニル基を表す。)
前記式(1)で表される色素は、置換基R1に、水酸基または−NHR5のような、ヘテロ
原子と結合した水素原子を有し、R1が置換したベンゼン環上に、R1から数えてオルト位に置換したアゾ基と水素結合しやすく、R1に水素結合に寄与しうる水素原子を持たない色素に比べ、アゾ基の位置が固定され、分子平面性が高くなると考えられる。その結果として、異方性色素膜用組成物中において、分子会合性がより高く、リオトロピック液晶のような好ましい会合状態を形成し、異方性色素膜中においても、色素分子は高い秩序で配列し、高い二色性を示す異方性色素膜を提供することができるものと考えられる。特に異方性色素膜に使用した際、該色素の副吸収に相当する短波長領域において、従来の色素に比べて高い二色性を示すため、広い吸収帯において高い二色性を示す異方性色素膜を得ることができるものと推測される。
<A1>
式(1)中、A1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
ここで本発明において、置換基を有していてもよいとは、置換基を1または2以上有していてもよいことを意味する。
A1が置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である場合、該芳香族炭化水素基は上記置換基を1〜5個有していてもよく、好ましくは1〜2個有していることである。
ては単環または二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子などのヘテロ原子が挙げられ、中でも窒素原子が好ましい。芳香族複素環基が該へテロ原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジル基、キノリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、
ン原子、水酸基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、カルボキシ基またはスルホ基を表す。rは0〜2の整数を表し、sは0〜3の整数を表す。)
上記式(2−a)または(2−b)のいずれかの基が好ましい理由としては、色素分子間で造塩するのに適した構造となるためと考えられる。すなわち、ベンゼン環もしくはナフタレン環に置換したスルホ基の位置が、色素分子のA1とは反対の末端に位置するナフチル基の7位に位置するアミノ基と造塩する際に、適切な位置に配置できるため、強く引き合うなどして安定な会合状態を作りやすくなっていると考えられる。
有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、カルボキシ基またはスルホ基を表す。置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアルコキシ基の具体例としては、それぞれ、A1が芳香族炭化水素基の場合に有していてもよい置換基として例示した、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアルコキシ基と同様である。分子の会合促進の観点から、rおよびsは0であることが特に好ましい。
式(1)中、B1は、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。
該芳香族炭化水素基としては、フェニレン基またはナフチレン基が好ましい。該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、水酸基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシ基、シアノ基及びハロゲン原子等が挙げられる。尚、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例、その具体例は、前記A1が芳香族炭化水素基の場合に有していてもよい置換基として記載したものと同様である。中でも、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子等の極性の小さい基または水素結合性を有する基がリオトロピック液晶を形成する上での相互作用による会合性向上の点で好ましく、水溶化の観点からは、スルホ基が好ましい。
該芳香族炭化水素基は、無置換でも、上記置換基を1〜5個有していてもよく、好ましくは置換基を1〜2個有していることである。
該芳香族炭化水素基は、分子会合性の観点から、1,4−ナフチレン基であることが特に好ましく、1,4−ナフチレン基は水溶性の観点から、スルホ基が置換していることがさらに好ましい。また、該スルホ基は、6位に置換していることが好ましい。
水酸基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。中でも、水酸基、スルホ基、カルボキシ基が好ましい。該芳香族複素環基は、無置換または上記置換基を1〜5個有していてもよく、好ましくは無置換の芳香族複素環基であることまたは上記置換基を1〜2個有している芳香族複素環基であることである。
尚、Xが主鎖に窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含むとは、該2価の基により形成される環が窒素原子、酸素原子又は硫黄原子をヘテロ原子として含む環になりうることを意味する。また、上記式(3−a)又は(3−b)で表される2価の複素環基が有していてもよい置換基としては、上記B1が芳香族複素環基である場合の、有していてもよい置換基として列記したものが挙げられる。
上記式(3−a)で表される2価の複素環基としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン及びピラジンから誘導され、かつ連結位置が互いにp−位にある基が挙げられる。上記式(3−b)で表される2価の複素環基としては、キノリン、イソキノリン、ベンゾチアジアゾール、フタルイミド等から誘導され、かつ連結位置がベンゼン環の互いにp−位にある基が挙げられる。色素全体の平面性の点から式(3−b)の基であることが好ましく、特に、5,8−キノリンジイル基及び5,8−イソキノリンジイル基が特に好ましい
。
式(1)においてR1は、水酸基または−NHR5を表す。ここで、R5は、水素原子、置換
基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。
該アルキル基は、炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基等の置換基を有していてもよい低級アルキル基が挙げられる。
<R2>
式(1)においてR2は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を
有していてもよいアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基または置換基を有していてもよいアシルアミノ基を表す。尚、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例、その具体例は、前記A1が芳香族炭化水素基の場合に有していてもよい置換基として記載したものと同様である。中でも、メチル基、エチル基、メトキシ基、ハロゲン原子等の立体的にかさ高くない基やアミノ基、水酸基のような水素結合性を有する基は、R2からみてオルト位に位置するアゾ基のコンホメーションを固定し、かつ立体的に会合を阻害しないことから分子会合性を向上する点で好ましい。
式(1)においてR3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアシル基またはトリアジニル基を表す。
該アルキル基及び該フェニル基の有していてもよい置換基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。
該トリアジニル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基等のアルキルアミノ基、メチル基、メトキシ基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基等が置換していてもよいフェニルアミノ基、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。
子及びR4がアルキル基であるアルキルアミノ基、R3が水素原子及びR4がフェニル基であるフェニルアミノ基などが好ましく、アルキルアミノのアルキル基の炭素数は1〜2が好ましい。
特にR3及びR4のいずれもが水素原子であることが好ましい。
nは0または1を表し、1であることが好ましい。mは0または1を表す。本発明の式(
1)で表される色素は、通常ジスアゾ色素またはトリスアゾ色素である。
<分子量>
式(1)で表される色素の分子量としては、遊離酸の形で、600以上が好ましく、1500以下が好ましく、1100以下がさらに好ましい。
式(1)で表される色素は、通常、会合性が高く、高いリオトロピック液晶状態を形成することができる。従って、式(1)で表される本発明の色素は、湿式成膜法により形成される異方性色素膜用の色素として適しており、またその二色比も高いので、該色素を含有する組成物を異方性色素膜に使用すれば、二色性の高い異方性色素膜を得ることが出来る。
<塩>
本発明の色素は式(1)で示されるような遊離酸の形(遊離酸型)のまま使用してもよく、酸基の一部が塩型を取っているものであってもよい。また、塩型の色素と遊離酸型の色素が混在していてもよい。また、製造時に塩型で得られた場合はそのまま使用してもよいし、所望の塩型に変換してもよい。塩型の交換方法としては、公知の方法を任意に用いることができ、例えば以下の方法が挙げられる。
せしめたのち、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で色素酸性基を中和し塩交換する方法。
2) 塩型で得られた色素の水溶液に、所望の対イオンを有する大過剰の中性塩(例え
ば、塩化リチウム)を添加し、塩析ケーキの形で塩交換を行う方法。
酸の形で酸析せしめたのち、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で色素酸性基を中和し塩交換する方法。
4) 予め所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で処
理した強酸性陽イオン交換樹脂に、塩型で得られた色素の水溶液を作用させ、塩交換を行う方法。
上記の塩型の例としては、Na、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩が挙げられる。
有機アミンの例として、炭素数1〜6の低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン、カルボキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン等が挙げられる。
<具体例>
本発明の色素の具体例としては、遊離酸の形として、例えば以下の(I−1)から(I−21)に示す構造の色素が挙げられるが、これに限定されるものではない。
式(1)で表される色素は、それ自体周知の方法に従って製造することができる。例えばNo.(I−7)で示される色素は、下記(A)(B)(C)の工程で製造できる。
(A)6−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(ダール酸)と3−アミノ−4−クロロフ
ェノールとから常法[例えば、細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日、技報堂発行)第396頁第409頁参照]に従って、ジアゾ化、カップリング工程を経てモノアゾ化合物を製造する。
(B)得られたモノアゾ化合物を同様に、常法によりジアゾ化し、8−アミノ−2−ナフ
タレンスルホン酸(1,7−Cleves 酸)とカップリング反応を行い、ジスアゾ化合物を
製造する。
(C)得られたジスアゾ化合物を同様に、常法によりジアゾ化し、7−アミノ−1−ナフ
トール−3,6−ジスルホン酸(RR酸)とカップリング反応を行い塩化ナトリウムで塩析することにより目的の色素No.(I−7)が得られる。
<組成物>
本発明の異方性色素膜用組成物は、式(1)で表される色素及び溶剤を含有する。組成物中において、式(1)で表される色素を単独で使用できるが、式(1)に記載の色素同士、あるいは配向を低下させない程度に他の色素と混合して用いることができる。これにより、各種の色相を有する異方性色素膜を製造することができる。
(配合用色素)
配合用として好ましい色素の例としては、例えばC.I.Direct Yellow
12、C.I.Direct Yellow 34、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Y
ellow 132、C.I.Acid Yellow 25、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 79、C.I.Acid Orange 28、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 79、C.I.Direct Red 81、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Acid Red 37、C.I.Direct Violet 9、C.I.Direct Violet 35、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 57、C.I.Direct Blue 1、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 83、C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Green 42、C.I.Direct Green 51、C.I.Direct Green 59等が挙げられる。
本発明の異方性色素膜用組成物に使用される溶剤としては、水、水混和性のある有機溶剤、或いはこれらの混合物が適している。有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類等の単独又は二種以上の混合溶剤が挙げられる。
色素を溶解する場合の濃度としては、色素の溶解性やリオトロピック液晶状態などの会合状態の形成濃度にも依存するが、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
(添加剤)
また、本発明の異方性色素膜用組成物は、基材への濡れ性、塗布性を向上させるため、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を加えることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれも使用可能である。その添加濃度は通常0.05重量%以上、0.5重量%以下が好ましい。
また、本発明の異方性色素膜は、前記式(1)で表される本発明の色素を含有し、好ましくは湿式成膜法で形成された異方性色素膜である。通常、本発明の異方性色素膜は、前記本発明の異方性色素膜用組成物を基板上に湿式成膜法により形成することにより得られる。
本発明の異方性色素膜は高い二色比を示すが、二色比は9以上のものが好ましく、より好ましくは12以上、特に好ましくは15以上のものが使用される。
色系において、√{(a*)2+(b*)2}≦30、好ましくは√{(a*)2+(b*)2}≦10、さらに好ましくは、√{(a*)2+(b*)2}≦5、かつ色素膜の透過率が35%以上、好ましくは40%以上、さらに好ましくは44%以上を満たすものが表示素子、特にカラー表示素子用偏光子として好ましい。
本発明においては、湿式成膜法により異方性色素膜を作製する。前記異方性色素膜用組
成物を調製後、ガラス板などの各種基材に塗布し、色素を配向、積層して得る方法など公知の方法が挙げられる。
異方性色素膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、上述した本発明の色素は異方性色素膜用組成物中、リオトロピック液晶状態等の良好な分子間相互作用による会合体を形成した状態を形成するので、これをガラス等の基材上に塗布し、剪断力を与えて色素を一定方向に配向させた後、乾燥させることにより、異方性色素膜を得ることができる。
基材の表面には、異方性色素膜用組成物中の色素分子の配向方向を制御するために、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)第226頁〜第239頁などに記載の公知の方法により、配向処理層を施しておいてもよい。
塗布時の温度は、好ましくは0℃以上、80℃以下、湿度は好ましくは10%RH以上、80%RH以下程度である。乾燥時の温度は好ましくは0℃以上、120℃以下、湿度は好ましくは10%RH以上、80%RH以下程度である。
また、異方性色素膜の可視光波長領域における透過率は、好ましくは25%以上である。透過率は高いほどよく、通常35%以上、特に40%以上であるのが好ましい。最も好ましくは44%以上である。透過率が低いと、表示素子、特にカラー表示素子用偏光子として用いるのは難しい。
また、本発明の異方性色素膜をLCDやOLEDなどの各種の表示素子に偏光膜等として用いる場合には、これらの表示素子を構成する電極基板などに直接色素膜を形成したり、色素膜を形成した基材をこれら表示素子の構成部材に用いることができる。
<偏光素子>
本発明の異方性色素膜は、光吸収の異方性を利用し直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得
る偏光膜として機能する他、膜形成プロセスと基材や色素を含有する組成物の選択により、屈折異方性や伝導異方性などの各種異方性膜として機能化が可能となり、様々な種類の、多様な用途に使用可能な偏光素子とすることができる。
本発明の異方性色素膜を基材上に形成して偏光素子として使用する場合、基材と形成された異方性色素膜のみで使用してもよく、また上記の様な保護層のほか、粘着層或いは反射防止層、配向膜、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能などの光学機能をもつ層など、様々な機能をもつ層を湿式成膜法などにより積層形成し、積層体として使用してもよい。
位相差フィルムとしての機能を有する層は、例えば特許第2841377号公報、特許第3094113号公報などに記載の延伸処理を施したり、特許第3168850号公報などに記載された処理を施したりすることにより形成することができる。
また、輝度向上フィルムとしての機能を有する層は、例えば特開 2002-169025号公報や特開2003-29030 号公報に記載されるような方法で微細孔を形成すること、或いは、選択
反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより形成することができる。
また、位相差フィルムや光学補償フィルムとしての機能を有する層は、ディスコティック液晶性化合物、ネマティック液晶性化合物などの液晶性化合物を塗布して配向させることにより形成することができる。
尚、以下の実施例中、二色比は、ヨウ素系偏光素子を入射光学系に配した分光光度計で異方性色素膜の透過率を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az=−log(Tz)
Ay=−log(Ty)
Tz:色素膜の吸収軸方向の偏光に対する透過率
Ty:色素膜の偏光軸方向の偏光に対する透過率
(実施例1)
水84部に色素No.(I−1)のリチウム塩を16部加え、撹拌溶解後濾過してpH
7の色素水溶液(異方性色素膜用組成物)を得た。この色素水溶液は、リオトロピック液
晶性を示した。
水72部に色素No.(I−2)のナトリウム塩を28部加え、撹拌溶解後濾過してpH7の色素水溶液(異方性色素膜用組成物)を得た。この色素水溶液は、リオトロピック
液晶性を示した。
スライドガラス(松浪硝子工業製 スライドグラス白縁磨フロストNo.1)に前記色素水溶液をギャップ10μmのアプリケーター(井元製作所社製)で塗布した後、自然乾燥することにより異方性色素膜を得た。
(実施例3)
水80部に色素No.(I−7)のナトリウム塩を20部加え、撹拌溶解後濾過してpH7の色素水溶液(異方性色素膜用組成物)を得た。この色素水溶液は、リオトロピック
液晶性を示した。
水80部に色素No.(I−8)のリチウム塩を20部加え、撹拌溶解後濾過してpH
7の色素水溶液(異方性色素膜用組成物)を得た。この色素水溶液は、リオトロピック液晶性を示した。
一方、基材としてガラス基板上にスピンコート法によりポリイミドの配向膜が形成されたガラス製基板(75mm×25mm、厚さ1.1mm、ポリイミド膜厚約800Åのポリイミド配向膜をあらかじめ布でラビング処理を施したもの)を用意しておき、これに前記色素水溶液をギャップ20μmのアプリケーター(井元製作所社製)で塗布した後、自
然乾燥することにより異方性色素膜を得た。
水74部に色素No.(I−13)のリチウム塩を26部加え、撹拌溶解後濾過してpH7の色素水溶液(異方性色素膜用組成物)を得た。この色素水溶液は、リオトロピック
液晶性を示した。
一方、基材としてガラス基板上にスピンコート法によりポリイミドの配向膜が形成されたガラス製基板(75mm×25mm、厚さ1.1mm、ポリイミド膜厚約800Åのポリイミド配向膜をあらかじめ布でラビング処理を施したもの)を用意しておき、これに前記色素水溶液をギャップ10μmのアプリケーター(井元製作所社製)で塗布した後、自然乾燥することにより異方性色素膜を得た。
ロピック液晶性は確認されなかった。
(比較例2)
(比較例3)
(比較例4)
Claims (3)
- 上記式(1)中、B1がスルホ基を有する1,4−ナフチレン基であることを
特徴とする、請求項1に記載の湿式成膜法により形成された異方性色素膜。 - 請求項1又は2に記載の異方性色素膜を有する偏光素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006266581A JP4973100B2 (ja) | 2006-09-29 | 2006-09-29 | 湿式成膜法により形成された異方性色素膜及び偏光素子 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2006266581A JP4973100B2 (ja) | 2006-09-29 | 2006-09-29 | 湿式成膜法により形成された異方性色素膜及び偏光素子 |
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