JP4676010B2 - 耐水性偏光フィルム、耐水性偏光フィルムの製造方法、及び画像表示装置 - Google Patents

耐水性偏光フィルム、耐水性偏光フィルムの製造方法、及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、耐久性に優れた耐水性偏光フィルムに関する。
従来、スルホン酸基などのアニオン性基を有する有機色素(染料)と、窒素原子を有する有機窒素化合物と、を含む耐水性偏光フィルムが知られている。
例えば、特許文献1には、アニオン性基を有する有機色素を含む偏光フィルムの表面に、2個以上の窒素原子を有する有機窒素化合物を含む溶液を塗布することにより、耐水性偏光フィルムを得ることが開示されている。
特開平11−21538号公報
上記特許文献1の耐水性偏光フィルムは、ある程度の耐水性を有する。
しかしながら、この耐水性偏光フィルムは、高温下及び/又は高湿下に曝されると、その光学特性が低下し易い(以下、「高温下及び/又は高湿下」を、「高温高湿下」と記す)。
本発明の目的は、高温高湿下においても光学特性が低下し難い耐水性偏光フィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、高温高湿下において、従来の偏光フィルムの光学特性が低下する原因について鋭意研究した。その研究過程で、本発明者らは、従来の耐水性偏光フィルムが、分子中に2個以上の窒素原子を有する有機窒素化合物を1種類しか用いていないことに着目した。そして、本発明者らは、窒素原子間の距離が異なる2種以上の有機窒素化合物を使用することにより、上記目的を達成できることを見出した。
本発明の耐水性偏光フィルムは、アニオン性基を有する有機色素と、有機窒素化合物と、を含んでおり、前記有機窒素化合物が、分子中に2個以上の窒素原子を有する第1の有機窒素化合物と、分子中に2個以上の窒素原子を有する第2の有機窒素化合物と、を含み、前記第1の有機窒素化合物の窒素原子及び第2の有機窒素化合物の窒素原子が、それぞれカチオン性基中に含まれる窒素原子であり、前記第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物が、非環式化合物であり、前記第1の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離(A)が、前記第2の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離(B)よりも短い。
本発明の耐水性偏光フィルムは、高温高湿下に曝されても、その光学特性が低下し難い。これは、次のような作用に基づくと推定される。
隣接した窒素原子間の距離が相対的に短い第1の有機窒素化合物は、比較的近くに存在する有機色素同士を架橋する。他方、隣接した窒素原子間の距離が相対的に長い第2の有機窒素化合物は、比較的遠くに存在する有機色素同士を架橋する。このため、窒素原子間の距離が異なる第1及び第2の有機窒素化合物を用いて有機色素を架橋した場合、1種類の有機窒素化合物を用いた場合に比して、有機色素の配向が乱れ難くなる。よって、本発明の耐水性偏光フィルムは、高温高湿下において、その光学特性が殆ど変化しない。
本発明の好ましい耐水性偏光フィルムは、前記第1の有機窒素化合物の窒素原子間の距離(A)と、前記第2の有機窒素化合物の窒素原子間の距離(B)との比(A/B)が、0.10〜0.99である。
本発明の好ましい耐水性偏光フィルムは、前記第1の有機窒素化合物の窒素原子間の距離(A)が0.30〜0.70nmであり、前記第2の有機窒素化合物の窒素原子間の距離(B)が0.71〜1.80nmである。
本発明の好ましい耐水性偏光フィルムは、前記第1の有機窒素化合物が前記第2の有機窒素化合物と同量又はそれよりも多く含まれている。
本発明の好ましい耐水性偏光フィルムは、前記第1の有機窒素化合物の含有量(W)と、前記第2の有機窒素化合物の含有量(W)との質量比(W:W)が、5:5〜9.5:0.5である。
また、本発明の好ましい耐水性偏光フィルムは、前記第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物が、その分子中にそれぞれ窒素原子を2個〜5個有する。
本発明の好ましい耐水性偏光フィルムは、前記カチオン性基が、アミノ基又はその塩である。
本発明の好ましい耐水性偏光フィルムは、前記第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物が、分子両末端にそれぞれアミノ基又はその塩を有する化合物である。
本発明の好ましい耐水性偏光フィルムは、前記第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物が、それぞれ独立して、脂肪族ジアミン又はその塩、脂肪族トリアミン又はその塩、及び脂肪族エーテルジアミン又はその塩から選ばれる少なくとも1種である。
本発明の別の局面によれば、耐水性偏光フィルムの製造方法を提供する。
本発明の耐水性偏光フィルムの製造方法は、アニオン性基を有する有機色素を含む偏光フィルムの一面又は両面に、有機窒素化合物を含む耐水化処理液を接触させる工程を有し、前記第1の有機窒素化合物の窒素原子及び第2の有機窒素化合物の窒素原子が、それぞれカチオン性基中に含まれる窒素原子であり、前記第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物が、非環式化合物であり、前記第1の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離(A)が、前記第2の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離(B)よりも短い。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置を提供する。
本発明の画像表示装置は、上記いずれかの耐水性偏光フィルムを有する。
本発明の耐水性偏光フィルムは、高温高湿下においても、その光学特性が低下し難い。このように耐久性に優れた本発明の耐水性偏光フィルムを、例えば、画像表示装置に組み込むことにより、長期間に渡って表示性能が変わらない画像表示装置を提供できる。
また、本発明の製造方法によれば、偏光フィルムの一面又は両面に、特定の耐水化処理液を接触させるという簡単な工程を行うことによって、光学特性が低下し難い耐水性偏光フィルムを得ることができる。
実施例及び比較例の偏光フィルムについて、加熱試験後及び加湿試験後の透過率及び偏光度の変化量のグラフ図。
本発明の耐水性偏光フィルムは、アニオン性基を有する有機色素と、分子中に2個以上の窒素原子を有する第1の有機窒素化合物と、分子中に2個以上の窒素原子を有する第2の有機窒素化合物と、を少なくとも含んでいる。前記第1の有機窒素化合物と第2の有機窒素化合物は、それらの分子中における隣接した窒素原子間の距離が相対的に異なる。例えば、前記第1の有機窒素化合物は、その分子中における隣接した窒素原子間の距離(A)が、第2の有機窒素化合物の分子中における隣接した窒素原子間の距離(B)よりも短い化合物である。
本明細書において、「有機窒素化合物」とは、その分子中に窒素原子を有する有機化合物を意味する。
第1の有機窒素化合物と第2の有機窒素化合物は、その分子中における隣接した窒素原子間の距離が相違している。便宜上、隣接した窒素原子間の距離が相対的に短い方を「第1の有機窒素化合物」という。ただし、第1及び第2という接頭語は、有機窒素化合物を区別するために付けたものであり、化合物の性質の優劣、その配合量の大小などを表すわけではない。
本明細書において、「A〜B」は、「A以上B以下」を意味する。
[耐水性偏光フィルム]
(アニオン性基を有する有機色素について)
本発明の有機色素は、吸収二色性を有する偏光フィルムを形成し得る有機化合物である。なお、偏光フィルムとは、自然光又は偏光から特定の直線偏光を透過する機能を有する光学フィルムである。
アニオン性基を有する有機色素は、吸収二色性を示す有機化合物であれば特に限定されない。
前記アニオン性基は、有機色素の骨格に結合した固定アニオン基を有し、通常、前記固定アニオン基に対イオンが結合している。
前記対イオンの一部又は全部は、2個以上の窒素原子を有する有機窒素化合物のカチオン種で置換されたものである。
前記アニオン性基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基及びこれらの塩基などが挙げられる。アニオン性基は、好ましくはスルホン酸基又はスルホン酸塩基(−SOM基)であり、さらに好ましくはスルホン酸塩基である。ただし、Mは対イオンを表す。
前記有機色素のアニオン性基の数(置換数)は、特に限定されないが、好ましくは2個以上であり、さらに好ましくは2個〜5個であり、より好ましくは2個〜4個である。
アニオン性基を2個以上有する有機色素は、水系溶媒に対する親和性が高い。そのため、前記有機色素を水系溶媒に溶解させることができ、良好なコーティング液を容易に調製できる。このコーティング液を用いることにより、偏光フィルムを得ることができる。
前記2個以上のアニオン性基は、耐水化処理を行ったときに、2個以上の窒素原子を有する有機窒素化合物と架橋点を複数形成する作用があると考えられる。そのため、2個以上のアニオン性基を有する有機色素は、その配向が乱れ難い強固な超分子を形成できる。2個以上のアニオン性基を有する有機色素を用いれば、耐久性に優れた偏光フィルムを得ることができる。
前記有機色素としては、例えば、特開2007−126628号公報、特開2006−323377号公報などに記載されている化合物などが挙げられる。
前記有機色素がアニオン性基を2個以上有する場合、それぞれのアニオン性基の位置は、隣接していない(オルト位でない)ことが好ましく、特に、メタ位であることがさらに好ましい。前記アニオン性基がメタ位にある有機色素は、アニオン性基同士の立体障害が小さくなる。このため、耐水化処理前後において、前記有機色素が直線的に配向することによって、偏光度の高い耐水性偏光フィルムを得ることができる。
前記有機色素は、例えば、下記一般式(I)又は一般式(II)で表されるアゾ化合物が好ましい。
Figure 0004676010
Figure 0004676010
前記一般式(I)及び(II)において、Qは、置換若しくは無置換のアリール基を表し、Qは、置換若しくは無置換のアリーレン基を表し、Aは、アニオン性基を表し、Mは、前記アニオン性基の対イオンを表し、Rは、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜3のアルキル基、置換若しくは無置換のアセチル基、置換若しくは無置換のベンゾイル基、又は置換若しくは無置換のフェニル基を表し、kは、0〜4の整数を表し、lは、0〜4の整数を表す。ただし、k+l≦5である。なお、本明細書において、「置換若しくは無置換」とは、「置換基で置換されている、又は置換基で置換されていない」ことを意味する。
前記一般式(I)又は(II)で表されるアゾ化合物は、その分子中にアニオン性基を2個以上有し、ナフチル基の2個のアニオン性基(式のA)はメタ位で結合している。
前記Q又はQで表されるアリール基又はアリーレン基は、置換基を有していても、或いは、置換基を有していなくてもよい。Q又はQで表されるアリール基又はアリーレン基が、置換若しくは無置換のいずれの場合でも、一般式(I)又は(II)のアゾ化合物は、吸収二色性を示す。
前記アリール基又はアリーレン基が置換基を有する場合、その置換基としては、例えば、ハロゲノ基、ニトロ基、シアノ基、ジヒドロキシプロピル基、フェニルアミノ基、−OM、−COOM、−SOM、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアシルアミノ基などが挙げられる。好ましくは、前記置換基としては、ニトロ基、又は−SOM基などのアニオン性基である。なお、Mは、対イオンを表す。
また、一般式(I)及び(II)のRの炭素数1〜3のアルキル基、ベンゾイル基又はフェニル基が置換基を有する場合、その置換基としては、上記アリール基の説明欄で例示した置換基と同様のものが挙げられる。
前記アリール基としては、フェニル基の他、ナフチル基などのようなベンゼン環が縮合した縮合環基が挙げられる。
前記アリーレン基としては、フェニレン基の他、ナフチレン基などのようなベンゼン環が縮合した縮合環基が挙げられる。
前記一般式(I)及び(II)のQは、好ましくは置換若しくは無置換のフェニル基であり、さらに好ましくはパラ位に置換基を有するフェニル基である。
前記一般式(II)のQは、好ましくは置換若しくは無置換のナフチレン基であり、さらに好ましくは置換若しくは無置換の1,4−ナフチレン基である。
また、一般式(I)及び(II)のAは、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基又はこれらの塩基などである。前記Aは、好ましくは、スルホン酸基又はスルホン酸塩基であり、さらに好ましくは、スルホン酸塩基である。
前記一般式(I)及び(II)のMは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、又は金属イオンである。なお、前記一般式(I)又は(II)で表されるアゾ化合物を含む偏光フィルムに耐水化処理を行った後には、前記一般式(I)又は(II)のMの一部又は全部は、有機窒素化合物由来のカチオン種となる。
前記一般式(I)及び(II)のRは、好ましくは、水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
さらに、前記一般式(I)及び(II)のkは、好ましくは0〜2の整数であり、さらに好ましくは0〜1の整数である。一般式(I)及び(II)のlは、好ましくは0〜2の整数であり、さらに好ましくは0〜1の整数である。
前記有機色素は、より好ましくは下記一般式(III)で表されるアゾ化合物である。
Figure 0004676010
前記一般式(III)において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、又は−SOM基を表す。
一般式(III)のR及びMは、前記一般式(I)のR及びMと同様である。
なお、一般式(III)のXの炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基が置換基を有する場合、その置換基としては、前記アリール基の説明欄で例示した置換基と同様のものが挙げられる。
前記一般式(III)のXは、好ましくは、水素原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、さらに好ましくはニトロ基である。
上記アゾ化合物のような有機色素は、溶媒に溶解した状態で液晶性(リオトロピック液晶性)を示す。具体的には、前記アゾ化合物のような有機色素は、溶媒に溶解したとき、超分子を形成している。この有機色素を含む液を所定方向に流延すると、前記超分子に剪断応力が加わる。その結果、前記超分子の長軸が流延方向に配向した塗膜を形成することができる。得られた塗膜は、有機色素が所定方向に配向しているため、良好な吸収二色性を示す。
特に、前記一般式(III)で表されるアゾ化合物は、2個以上の−SOM基が隣接していない。よって、前記アゾ化合物は、−SOM基同士の立体障害が小さい。このため、耐水化処理前後において、前記アゾ化合物が直線的に配向することによって、偏光度の高い耐水性偏光フィルムを得ることができる。
上記一般式(I)〜(III)で表されるアゾ化合物は、例えば、次の方法で得ることができる。アニリン誘導体とナフタレンスルホン酸誘導体とを、常法によりジアゾ化及びカップリング反応させてモノアゾ化合物を得る。このモノアゾ化合物をジアゾ化した後、これをアミノナフトールジスルホン酸誘導体とカップリング反応させる。
(有機窒素化合物について)
本発明の耐水性偏光フィルムは、有機窒素化合物として、第1の有機窒素化合物と第2の有機窒素化合物を少なくとも含んでいる。第1の有機窒素化合物は、その分子中における隣接した窒素原子間の距離(A)が第2の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離(B)よりも短い化合物である。
前記第1及び第2の有機窒素化合物は、分子中に2個以上の窒素原子を有する限り特に限定されない。
第1及び第2の有機窒素化合物に含まれる、窒素原子の数は特に限定されないが、好ましくは2個〜5個であり、さらに好ましくは2個又は3個であり、より好ましくは2個である。前記有機窒素化合物中の窒素原子が5個よりも多い場合、有機色素のアニオン性基との架橋点が複雑になりすぎるおそれがある。架橋点が複雑になりすぎると、有機色素の配向が乱れるため、偏光フィルムの光学特性が低下するおそれがある。一方、有機窒素化合物中の窒素原子の数が前記範囲である場合、有機色素との架橋点が多くなりすぎることなく、配向を乱さずに有機色素を強固に架橋できる。
さらに、前記第1及び第2の有機窒素化合物は、その分子中に2個以上のカチオン性基を有していてもよい。前記カチオン性基の中に窒素原子を含んでいることが好ましい。前記第1及び第2の有機窒素化合物は、好ましくは、その分子両末端(例えば主鎖の両末端)に前記カチオン性基を少なくとも有する。
前記カチオン性基としては、アミノ基、グアニジノ基、イミノ基、アンモニウム基、及びそれらの塩などが挙げられる。前記塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;酢酸、蟻酸、シュウ酸などの有機酸塩などが挙げられる。前記カチオン性基は、アミノ基又はその塩が好ましい。
前記第1及び第2の有機窒素化合物は、好ましくはアミノ基又はその塩を2個〜5個有し、さらに好ましくはアミノ基又はその塩を2個又は3個有し、より好ましくはアミノ基又はその塩を2個有する。
前記アミノ基は、−NH、−NHR、−NHR、又は−NRで表される。前記R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のアルキル基又はハロゲンを表す。前記アルキル基は、炭素数が4以下であることが好ましく、より好ましくは炭素数が2以下である。前記アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基等が挙げられる。
また、前記第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物は、非環式化合物であることが好ましい。前記有機窒素化合物が非環式化合物である場合、環式化合物に比して、有機色素の配向を乱すことなく有機色素を架橋できる。これは、環式化合物が嵩高く且つ剛直であるのに対して、非環式化合物が柔軟であることに由来する。従って、非環式の有機窒素化合物を用いることで、より機械的強度に優れた耐水性偏光フィルムを得ることができ、また、前記耐水性偏光フィルムにクラック等の欠陥が発生することを防止できる。
特に、前記非環式の有機窒素化合物は、非環式の脂肪族窒素化合物であることが好ましい。非環式の脂肪族窒素化合物は、柔軟性に優れているからである。
前記非環式の有機窒素化合物(非環式の脂肪族窒素化合物)としては、例えば、アルキレンジアミンなどの脂肪族ジアミン又はその塩;アルキレントリアミンなどの脂肪族トリアミン又はその塩;アルキレンテトラアミンなどの脂肪族テトラアミン又はその塩;アルキレンペンタアミンなどの脂肪族ペンタアミン又はその塩;アルキレンエーテルジアミンなどの脂肪族エーテルジアミン又はその塩などが挙げられる。これら非環式の有機窒素化合物は、その炭素数が2〜8であることが好ましい。
好ましくは、前記第1及び第2の有機窒素化合物は、それぞれ独立して、脂肪族ジアミン又はその塩、脂肪族トリアミン若しくはその塩、及び、脂肪族エーテルジアミン又はその塩から選ばれる少なくとも1種である。これらの脂肪族ジアミンなどは、その主鎖の両末端にアミノ基又はその塩を少なくとも有することが好ましい。
また、前記非環式の有機窒素化合物は、直鎖状又は分岐状でもよいが、直鎖状が好ましい。直鎖状の有機窒素化合物を用いることにより、より機械的強度に優れた耐水性偏光フィルムを得ることができる。
直鎖状の脂肪族ジアミンとしては、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンなどが挙げられる。これらの中では、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミンなどの炭素数2〜8の直鎖状のアルキレンジアミンを用いることが好ましい。
また、分岐状の脂肪族ジアミンとしては、1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミンなどが挙げられる。
脂肪族トリアミンとしては、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、1,2,4−ブタントリアミン、1,2,5−ペンタントリアミン、1,3,5−ペンタントリアミン、1,2,6−ヘキサントリアミン、1,4,7−ヘプタントリアミンなどが挙げられる。
脂肪族テトラアミンとしては、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンテトラミンなどが挙げられる。
脂肪族ペンタアミンとしては、テトラエチレンペンタミンなどが挙げられる。
炭素数2〜8で且つ直鎖状の脂肪族エーテルジアミンとしては、2,2’−オキシビス(エチルアミン)、3,3’−オキシビス(プロピルアミン)、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタンなどが挙げられる。
前記第1及び第2の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離は、特に限定されない。
前記第1の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離(A)は、好ましくは0.30nm〜0.70nmであり、より好ましくは0.40nm〜0.60nmである。一方、第2の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離(B)は、好ましくは0.71nm〜1.80nmであり、より好ましくは0.80nm〜1.20nmである。このような窒素原子間の距離(A)、(B)を有する第1及び第2の有機窒素化合物の使用は、比較的近くに存在する有機色素同士の架橋と、比較的遠くに存在する有機色素同士の架橋を可能にする。
本明細書において、前記「隣接した窒素原子間の距離」とは、立体分子において、隣接した2個の窒素原子のうち、一方の窒素原子から他方の窒素原子までの直線距離を意味する。なお、3個以上の窒素原子を有する有機窒素化合物は、隣接した窒素原子間が2つ以上あるが、この場合、前記2つ以上の窒素原子間の距離のうち最小の値を、前記「隣接した窒素原子間の距離」とする。
例えば、下記式(A)に示すように、1,3−プロパンジアミンの窒素原子間の距離はd1である。前記d1は、分子が立体的に安定化した状態における窒素原子間の直線距離である。
また、下記式(B)に示すように、1,2,5−ペンタントリアミンには、隣接した窒素原子間が2つある。第1の隣接した窒素原子間の距離は、d2であり、第2の隣接した窒素原子間の距離は、d3である。 前記d2及びd3は、分子が立体的に安定化した状態における窒素原子間の直線距離である。本発明では、1,2,5−ペンタントリアミンの隣接した窒素原子間の距離は、前記距離d2に相当する。
Figure 0004676010
なお、下記表1に、いくつかの有機窒素化合物の隣接した窒素原子間の距離を列記している。
Figure 0004676010
前記第1の有機窒素化合物中の隣接した窒素原子間の距離(A)と、第2の有機窒素化合物中の隣接した窒素原子間の距離(B)の差(B−A)は、好ましくは0.05nm〜1.5nmであり、さらに好ましくは0.1nm〜1.0nmであり、より好ましくは0.2nm〜0.8nmである。
前記第1の有機窒素化合物中の隣接した窒素原子間の距離(A)と、第2の有機窒素化合物中の隣接した窒素原子間の距離(B)との比(A/B)は、特に限定されないが、好ましくは0.10〜0.99であり、より好ましくは0.50〜0.70である。
距離差(B−A)及び/又は距離比(A/B)が前記範囲となる第1及び第2の有機窒素化合物を用いることにより、比較的近くに存在する有機色素同士と比較的遠くに存在する有機色素同士を、それぞれ架橋することができる。このため、複数の有機色素間が網目状に架橋された超分子を形成できる。
例えば、前記第1の有機窒素化合物は、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、及び1,4−ブタンジアミンから選ばれる少なくとも1種が用いられる。第2の有機窒素化合物は、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2,2’−オキシビス(エチルアミン)、及びビス(ヘキサメチレン)トリアミンから選ばれる少なくとも1種が用いられる。このような第1及び第2の有機窒素化合物は、上記窒素原子間の距離などを満足し且つ直鎖状の非環式化合物であるので好ましい。
(耐水性偏光フィルムの組成及び諸特性)
本発明の耐水性偏光フィルム中における上記有機色素の含有量は、特に限定されないが、偏光フィルムの総質量に対し、好ましくは80質量%以上100質量%未満であり、さらに好ましくは90質量%以上100質量%未満である。
本発明の耐水性偏光フィルム中における上記第1及び第2の有機窒素化合物の合計含有量は、偏光フィルムの総質量に対し、好ましくは0を超え20質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%〜10質量%である。
また、本発明の耐水性偏光フィルム中における第1及び第2の有機窒素化合物のそれぞれの含有量は、特に限定されない。もっとも、前記第1の有機窒素化合物が、質量換算で、第2の有機窒素化合物と同量又はそれよりも多く含まれていることが好ましい。例えば、第1の有機窒素化合物の含有量(W)と、第2の有機窒素化合物の含有量(W)との質量比(W:W)は、好ましくは5:5〜9.5:0.5であり、さらに好ましくは7:3〜9:1である。
前記第1の有機窒素化合物は、比較的近くに存在する有機色素同士を架橋し、有機色素の超分子を強く固める作用があると推定される。一方、第2の有機窒素化合物は、比較的遠くに存在する有機色素同士を架橋し、前記第1の有機窒素化合物によって架橋された有機色素の超分子の結合を補完する作用があると推定される。このため、第1の有機窒素化合物を多く配合することにより、より強固な有機色素の超分子を形成できる。
なお、本発明の耐水性偏光フィルムには、第1及び第2の有機窒素化合物以外の他の有機窒素化合物が含まれていてもよい。
前記他の有機窒素化合物は、2個以上の窒素原子を有する有機窒素化合物でもよいし、或いは、1個の窒素原子を有する有機窒素化合物でもよい。好ましくは、他の有機窒素化合物は、前記第1及び第2の有機窒素化合物と同様に、2個以上の窒素原子を有する非環式の有機窒素化合物であることが好ましい。
また、本発明の耐水性偏光フィルムには、本発明の効果を損なわない限度で、前記有機色素及び有機窒素化合物以外に、他の成分が含まれていてもよい。
前記他の成分としては、他の有機色素(アニオン性基を有する有機色素以外の有機色素)、各種添加剤、任意の液晶性化合物、ポリマーなどが挙げられる。
本発明の耐水性偏光フィルムは、可視光領域(波長380nm〜780nm)の少なくとも一部の波長において吸収二色性を示す。
前記耐水性偏光フィルムの透過率は、35%以上であり、好ましくは36%以上であり、さらに好ましくは37%以上である。
前記耐水性偏光フィルムの偏光度は、95%以上であり、好ましくは98%以上である。
また、前記耐水性偏光フィルムの厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1μm〜10μmである。耐水性偏光フィルムの厚みが1μm未満である場合には、自立性を確保するために、基材上に積層された状態で使用してもよい。
本発明の耐水性偏光フィルムは、高温高湿下において、その光学特性が低下し難い。これは、次のような作用に基づくと推定される。
一般的に、有機色素は、隣接した有機色素に対して所定間隔を空けて略同じ方向に配向する性質がある。この配向した有機色素を固定することにより、偏光フィルムが得られる。その際、配向した複数の有機色素のアニオン性基に架橋剤を結合させて、前記有機色素を超分子化(巨大化)することにより、耐水性に優れた偏光フィルムが得られる。
前記架橋剤として、窒素原子間の距離が異なる2種以上の有機窒素化合物(第1及び第2の有機窒素化合物)を用いると、より強固な超分子が形成され得る。具体的には、隣接した窒素原子間の距離が相対的に短い第1の有機窒素化合物は、比較的近くに存在する有機色素同士を架橋する。他方、隣接した窒素原子間の距離が相対的に長い第2の有機窒素化合物は、比較的遠くに存在する有機色素同士を架橋する。このように2種以上の有機窒素化合物がそれぞれ有機色素間に結合することにより、複数の有機色素間が網目状に架橋された超分子を形成できる。このため、前記第1及び第2の有機窒素化合物を用いて有機色素を架橋した場合、1種類の有機窒素化合物を用いて有機色素を架橋した場合に比して、有機色素の配向が乱れ難くなる。このような作用により、本発明の耐水性偏光フィルムは、高温高湿下に曝されても、その光学特性が殆ど変化しないと推定される。
[耐水性偏光フィルムの製造方法]
本発明の耐水性偏光フィルムは、例えば、下記工程A〜工程Cを経て製造でき、さらに、工程Cの後、下記工程Dを行ってもよい。
工程A:アニオン性基を有する有機色素を含むコーティング液を基材上に塗布することによって、有機色素を含む塗膜を形成する工程。
工程B:工程Aで形成された塗膜を乾燥することによって、偏光フィルムを得る工程。
工程C:工程Bで得られた偏光フィルムの一面又は両面に、有機窒素化合物を含む耐水化処理液を接触させる工程(耐水化処理)。
工程D:前記偏光フィルムに付着した余分な耐水化処理液を取り除くため、前記偏光フィルムを洗浄などする工程。
(工程A)
工程Aにおいては、有機色素を含むコーティング液を、基材上に塗布し、塗膜を形成する。
前記有機色素としては、前記例示の色素などが用いられ、好ましくは一般式(III)で表されるアゾ化合物が用いられる。
前記有機色素を、適当な溶媒に溶解させることによって、コーティング液を調製することができる。
前記コーティング液は、有機色素が液中で超分子を形成し、その結果、液晶相を示す。液晶相は、特に限定されず、ネマチック液晶相、ミドル相、スメクチック液晶相、コレステリック液晶相、又はヘキサゴナル液晶相などが挙げられる。前記液晶相は、偏光顕微鏡で観察される光学模様によって、確認、識別できる。
前記溶媒は、特に限定されず、従来公知の溶媒を用いることができる。好ましくは、前記有機色素が良好に溶解し得る溶媒が用いられる。前記有機色素が良好に溶解されたコーティング液を用いることによって、前記コーティング液を基材上に塗布して製膜したときに、有機色素が析出し難くなる。従って、透過率に優れた偏光フィルムを得ることができる。
前記有機色素が良好に溶解し得る溶媒は、例えば水系溶媒である。
水系溶媒は、水、親水性溶媒、水と親水性溶媒の混合溶媒などが挙げられる。親水性溶媒は、水と均一に溶解させることができる溶媒である。
親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、メチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。好ましくは、前記溶媒は、水、又は、水と親水性溶媒の混合溶媒である。
前記コーティング液中における有機色素の濃度は、液晶相を示す濃度に調製することが好ましい。具体的には、前記有機色素の濃度は、好ましくは0.5質量%〜50質量%である。このような濃度範囲の一部で、前記コーティング液は、液晶相を示し得る。
また、コーティング液のpHは、好ましくはpH4〜10程度、さらに好ましくはpH6〜8程度に調整される。
さらに、前記コーティング液には、添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌剤、相溶化剤、架橋剤、増粘剤などが挙げられる。コーティング液中における添加剤の濃度は、好ましくは0を超え10質量%以下である。また、コーティング液には、界面活性剤が添加されていてもよい。界面活性剤は、コーティング液の基材表面へのぬれ性や塗布性を向上させるために添加される。前記界面活性剤は、非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。コーティング液中における界面活性剤の濃度は、好ましくは0を超え5質量%以下である。
前記コーティング液を、適当な基材上に塗布することによって、塗膜を形成できる。
基材は、コーティング液を均一に展開するために用いられる。基材の種類は、この目的に適していれば特に限定されず、例えば、合成樹脂フィルム、ガラス板などを用いることができる。
好ましい実施形態においては、基材は、単独のポリマーフィルムである。好ましい他の実施形態においては、基材は、ポリマーフィルムを含む積層体である。より好ましくは、基材は、配向層を有する。このような基材としては、配向層が設けたポリマーフィルムなどが挙げられる。
前記ポリマーフィルムとしては、特に限定されないが、透明性に優れているフィルム(例えば、ヘイズ値5%以下)が好ましい。
前記基材の厚みは、強度などに応じて適宜に設計し得る。薄型軽量化の観点から、基材の厚みは、好ましくは300μm以下、より好ましくは5μm〜200μm、特に好ましくは10μm〜100μmである。
前記基材が配向層を有する場合、その配向層は、基材に配向処理を施すことで形成できる。前記配向処理としては、ラビング処理などの機械的配向処理、光配向処理などの化学的配向処理などが挙げられる。
前記基材上(好ましくは基材の配向層上)に、コーティング液を塗布する。
また、前記基材の塗布面(コーティング液が塗布される基材の表面)の親水性が低い場合には、この塗布面に親水化処理を施すことが好ましい。
親水化処理は、乾式処理でもよく、湿式処理でもよい。乾式処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理又はグロー放電処理などの放電処理;火炎処理;オゾン処理;UVオゾン処理;紫外線処理又は電子線処理などの電離活性線処理などが挙げられる。湿式処理としては、例えば、水やアセトンなどの溶媒を用いた超音波処理、アルカリ処理、アンカーコート処理などを例示できる。これらの処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上を組み合せて行ってもよい。
コーティング液を塗布する方法としては、例えば、適切なコータを用いた塗布方法が採用され得る。前記コータとしては、例えば、バーコータ、リバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ロッドコータ、スロットダイコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータなどが挙げられる。
液晶相状態のコーティング液を塗布すると、コーティング液の流動過程で、有機色素に剪断応力が加わる。その結果、有機色素が所定方向に配向した塗膜を形成できる。
なお、前記有機色素は、コーティング液の流延時に加わる剪断応力によって配向するが、これに代えて又はこれに併用して、他の手段によって有機色素を配向させることもできる。
前記他の手段としては、例えば、配向処理が施された基材上にコーティング液を塗布する手段、及び、基材上にコーティング液を塗布して塗膜を形成した後、磁場又は電場を印加する手段などが挙げられる。これらの他の手段を単独で行っても、有機色素が所定方向に配向した塗膜を形成できる。
(工程B)
工程Bにおいては、前記工程Aで形成された塗膜を乾燥する。
前記塗膜を乾燥する方法は、自然乾燥、強制的な乾燥の何れでもよい。強制的な乾燥には、例えば、空気循環式恒温オーブン、ヒーター、ヒートパイプロール、加熱された金属ベルトなどの乾燥手段を用いることができる。
乾燥温度は、コーティング液の等方相転移温度以下であり、低温から高温へ徐々に昇温させることが好ましい。具体的には、前記乾燥温度は、好ましくは10℃〜80℃であり、さらに好ましくは20℃〜60℃である。かかる温度範囲であれば厚みバラツキの小さい乾燥塗膜を得ることができる。
乾燥時間は、乾燥温度や溶媒の種類によって、適宜、選択され得る。自然乾燥の場合には、乾燥時間は、好ましくは1秒〜120分であり、より好ましくは10秒〜5分である。
前記塗膜は、乾燥する過程で濃度が高くなり、配向した有機色素が固定される。前記有機色素の配向が固定されることによって、吸収二色性を生じる。得られた乾燥塗膜が、偏光フィルムである。
得られた偏光フィルム(乾燥塗膜)の厚みは、好ましくは0.1μm〜10μmである。
(工程C)
工程Cにおいては、工程Bで得られた偏光フィルムの表面(基材の接合面と反対面)に、上記第1及び第2の有機窒素化合物を含む耐水化処理液を接触させる。
前記耐水化処理液は、前記第1の有機窒素化合物と第2の有機窒素化合物を含み、必要に応じて、他の有機窒素化合物及び/又は他の成分を含んでいてもよい。
前記第1及び第2の有機窒素化合物、他の有機窒素化合物及び他の成分としては、上記に詳述したものから適宜選択できるのでそれを参照されたい。
前記耐水化処理液は、第1及び第2の有機窒素化合物などを、適当な溶媒に溶解又は分散させることによって調製できる。
前記溶媒は、好ましくは水系溶媒が用いられる。前記水系溶媒は、前記コーティング液の説明欄で例示したものを用いることができる。
前記耐水化処理液中における第1及び第2の有機窒素化合物の濃度(両化合物の合計量)は、好ましくは3質量%〜30質量%であり、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
前記耐水化処理液中において、前記第1の有機窒素化合物は、第2の有機窒素化合物と同量又はそれよりも多く配合されていることが好ましい。例えば、第1の有機窒素化合物と第2の有機窒素化合物との配合比は、好ましくは5:5〜9.5:0.5であり、さらに好ましくは7:3〜9:1である。
前記耐水化処理液を工程Bで得られた偏光フィルムの一面又は両面に接触させることによって、耐久性に優れた本発明の耐水性偏光フィルムを得ることができる。
耐水化処理液を偏光フィルムに接触させる方法は、特に限定されない。前記接触方法としては、偏光フィルムの表面に耐水化処理液を塗布する方法、偏光フィルムを耐水化処理液中に浸漬する方法などが挙げられる。耐水化処理液の塗布は、上述のコータの他、スプレーなどを用いて実施できる。
これらの方法を採用する場合、偏光フィルムの表面は、水又は任意の溶剤で洗浄し乾燥しておくことが好ましい。
前記接触方法は、偏光フィルムを耐水化処理液中に浸漬する方法が好ましい。この方法によれば、偏光フィルム全体に耐水化処理液を確実に接触させることができる。また、この方法によれば、偏光フィルム内に耐水化処理液が浸透し易くなるため、より多くの有機色素と有機窒素化合物が架橋し得る。
前記耐水化処理液を偏光フィルムに接触させると、前記偏光フィルム中の有機色素間が第1及び第2の有機窒素化合物を介して架橋される。前記架橋により、耐水性及び機械的強度に優れ、且つ高温高湿下で光学特性が殆ど変化しない、本発明の耐水性偏光フィルムが得られる。
(工程D)
工程Dにおいては、耐水化処理後の偏光フィルムの表面を、洗浄及び/又は乾燥する。
工程Dは、前記工程Cで得られた耐水性偏光フィルムに付着している余分な耐水化処理液を取り除くために実施される。
例えば、耐水化処理後の偏光フィルムを水で洗浄した後、乾燥してもよい。また、耐水化処理後の偏光フィルムを、単に乾燥するだけでもよい。
また、本発明の製造方法は、前記工程A〜工程D以外に、さらに、他の工程を有していてもよい。
[耐水性偏光フィルムの用途]
本発明の耐水性偏光フィルムは、例えば、その一面又は両面に保護フィルムを積層することにより、偏光板として使用できる。
偏光板として使用する場合、さらに、耐水性偏光フィルムに位相差フィルムを積層してもよい。
本発明の製造方法で得られた耐水性偏光フィルムは、前記基材上に積層された状態で使用でき、或いは、前記基材から引き剥がして使用することもできる。
なお、前記耐水性偏光フィルムを基材上に積層された状態で使用する場合、前記基材は、保護フィルムとして利用され得る。
また、本発明の耐水性偏光フィルムは、好ましくは、画像表示装置内に組み込まれる。
本発明の耐水性偏光フィルムを有する画像表示装置は、液晶表示装置、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイなどを含む。前記画像表示装置の好ましい用途はテレビである。
本発明について、実施例及び比較例を示して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施例のみに限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた各測定方法は、以下の通りである。
[液晶相の観察方法]
2枚のスライドガラスの間にコーティング液を少量挟み込み、偏光顕微鏡(オリンパス(株)製、製品名「OPTIPHOT−POL」)を用いて、液晶相を観察した。
[偏光フィルムの厚みの測定方法]
偏光フィルムの厚みは、ポリマーフィルムから偏光フィルムの一部を剥離し、3次元非接触表面形状計測システム((株)菱化システム製、製品名「Micromap MM5200」)を用いて、前記ポリマーフィルムと偏光フィルムとの段差を測定した。
[偏光フィルムの透過率及び偏光度の測定方法]
グラントムソン偏光子を備える分光光度計(日本分光(株)製、製品名「U−4100」)を用いて、波長380nm〜780nmの直線偏光を偏光フィルムに入射させ、波長毎に視感度補正係数をかけて積分することにより、前記波長領域における平均のk及びkを測定した。このk及びkを下記式1及び式2に代入することにより、透過率及び偏光度を求めた。
式1:単体透過率=(k+k)/2
式2:偏光度={(k−k)/(k+k)}×100
なお、kは、最大透過率方向の直線偏光の透過率を表し、kは、最大透過率方向に直交する方向の直線偏光の透過率を表す。
[加熱試験方法及び光学特性の変化量の測定方法]
試験を行う前に、耐水性偏光フィルムの透過率及び偏光度を、上記測定方法に従って測定しておいた。
次に、耐水性偏光フィルムと基材との積層体を、縦横5cm×5cmに裁断した。この積層体の耐水性偏光フィルムの表面(基材に接着した面とは反対側の面)を、透明な粘着剤(日東電工(株)製、製品名「NO.7)を介して、ガラス板に貼り合わせ、これを温度90℃の恒温装置(ヤマト科学(株)製、製品名「DKN−812」)に入れて500時間放置した。加熱試験後の耐水性偏光フィルムの透過率及び偏光度を、上記測定方法に従って測定した。加熱前後の透過率及び偏光度を、下記式3及び式4に代入することにより、ΔTheat(加熱前後の透過率の変化量)及びΔPheat(加熱前後の偏光度の変化量)を求めた。
式3:ΔTheat=T−T
式4:ΔPheat=P−P
なお、Tは、試験前の偏光フィルムの透過率を表し、Tは、加熱試験後の偏光フィルムの透過率を表す。Pは、加熱試験前の偏光フィルムの偏光度を表し、Pは、加熱試験後の偏光フィルムの偏光度を表す。
[加湿試験方法及び光学特性の変化量の測定方法]
耐水性偏光フィルムと基材との積層体を、縦横5cm×5cmに裁断した。この積層体の耐水性偏光フィルムの表面を、透明な粘着剤(日東電工(株)製、製品名「NO.7)を介して、ガラス板に貼り合わせ、これを温度60℃、湿度90%RHの恒温装置(エスペック(株)製、製品名「PH−3KT」)に入れて500時間放置した。加湿試験後の耐水性偏光フィルムの透過率及び偏光度を、上記測定方法に従って測定した。加湿前後の透過率及び偏光度を、下記式5及び式6に代入することによりΔThum(加湿前後の透過率の変化量)及びΔPhum(加湿前後の偏光度の変化量)を求めた。
式5:ΔThum=T−T
式6:ΔPhum=P−P
なお、T及びPは、上記と同様である。Tは、加湿試験後の偏光フィルムの透過率を表し、Pは、加湿試験後の偏光フィルムの偏光度を表す。
[窒素原子間の距離の計算方法]
各有機窒素化合物を、Chem 3D pro(Cambridge Soft社製)を用いて、MM2計算でMinimize Energyにより安定化状態を計算した。その構造を元にして、MOPAC計算(Minimize Energy)をし、安定化状態を計算した。そして、窒素原子間の距離を算出した。
[実施例1]
4−ニトロアニリンと8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸とを、常法(細田豊著「理論製造 染料化学 第5版」昭和43年7月15日技法堂発行、135ページ〜152ページに記載の方法)により、ジアゾ化及びカップリング反応させて、モノアゾ化合物を得た。得られたモノアゾ化合物を、前記常法によりジアゾ化し、さらに、1−アミノ−8−ナフトール−2,4−ジスルホン酸(リチウム塩)とカップリング反応させて粗生成物を得た。これを塩化リチウムで塩析することによって、下記の構造式(IV)のアゾ化合物を得た。
Figure 0004676010
前記式(IV)のアゾ化合物をイオン交換水に溶解することにより、20質量%のコーティング液を調製した。このコーティング液を、ポリスポイトで採取し、上記液晶相の観察方法に従って、室温(23℃)にて観察したところ、前記コーティング液はネマチック液晶相を示していた。また、このコーティング液のpHは、7.8であった。
前記コーティング液を、ラビング処理及びコロナ処理が施されたノルボルネン系ポリマーフィルム(日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオノア」)上に、バーコータ(BUSHMAN社製、製品名「Mayer rot HS4」)を用いて塗布し、23℃の恒温室内で十分に自然乾燥させた。乾燥により基材上に形成された乾燥塗膜が、偏光フィルムである。前記偏光フィルムの厚みは、0.4μmであった。
1,3−プロパンジアミン塩酸塩(東京化成工業(株)製。窒素原子間の原子数:3、窒素原子間の距離:0.50nm)と、1,7−ヘプタンジアミン塩酸塩(東京化成工業(株)製。窒素原子間の原子数:7、窒素原子間の距離:1.0nm)を、質量比80:20の割合でイオン交換水に混合することにより、10質量%の耐水性処理液を調製した。
次に、上記基材と偏光フィルムとの積層体を、前記耐水化処理液中に約1分間浸漬した後、それを取り出してその表面を水で洗って乾燥させることにより、耐水化処理を施した。この処理後の偏光フィルムが、実施例1の耐水化偏光フィルムである。
この積層体を水に1時間浸漬した後、これを取り出して観察したところ、耐水化偏光フィルムは水に溶解しなかった。
実施例1の耐水化偏光フィルム(基材に積層された状態の耐水性偏光フィルム)を、上記加熱試験に従って加熱した後、その透過率及び偏光度の変化量を求めた。また、実施例1の耐水化偏光フィルムを、上記加湿試験に従って加湿した後、その透過率及び偏光度の変化量を求めた。その結果を表2に示す。また、加熱試験後の透過率及び偏光度の変化量、及び、加湿試験後の透過率及び偏光度の変化量をそれぞれ図1に示す。
[実施例2]
1,3−プロパンジアミン塩酸塩と1,7−ヘプタンジアミン塩酸塩との質量比を50:50に変えたこと以外は、上記実施例1と同様にして、耐水性偏光フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、水に浸漬後観察したところ、実施例2の耐水化偏光フィルムは水に溶解していなかった。
実施例2の耐水化偏光フィルムも、実施例1と同様に、加熱前後及び加湿前後の透過率及び偏光度の変化量を求めた。その結果を表2、及び図1に示す。
[実施例3]
1,7−ヘプタンジアミン塩酸塩を、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン塩酸塩(Aldrich社製。窒素原子間の原子数:6、窒素原子間の距離:0.88nm)に代えたこと以外は、前記実施例1と同様にして耐水性偏光フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、水に浸漬後観察したところ、実施例3の耐水化偏光フィルムは水に溶解していなかった。
実施例3の耐水化偏光フィルムも、実施例1と同様に、加熱前後及び加湿前後の透過率及び偏光度の変化量を求めた。その結果を表2、及び図1に示す。
[実施例4]
1,7−ヘプタンジアミン塩酸塩を、2,2’−オキシビスエチレンジアミン塩酸塩(東京化成工業(株)製。窒素原子間の原子数:5、窒素原子間の距離:0.73nm)にに代えたこと以外は、前記実施例1と同様にして耐水性偏光フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、水に浸漬後観察したところ、実施例4の耐水化偏光フィルムは水に溶解していなかった。
実施例4の耐水化偏光フィルムも、実施例1と同様に、加熱前後及び加湿前後の透過率及び偏光度の変化量を求めた。その結果を表2、及び図1に示す。
Figure 0004676010
Figure 0004676010
[比較例1]
実施例1の耐水化処理液に代えて、1,3−プロパンジアミン塩酸塩のみを水に溶解させた10質量%の耐水化処理液を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして耐水性偏光フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、水に浸漬後観察したところ、比較例1の耐水化偏光フィルムは水に溶解していなかった。
比較例1の耐水化偏光フィルムも、実施例1と同様に、加熱前後及び加湿前後の透過率及び偏光度の変化量を求めた。その結果を表3に示す。また、加熱試験後の透過率及び偏光度の変化量、及び、加湿試験後の透過率及び偏光度の変化量をそれぞれ図1に示す。
[比較例2]
実施例1の耐水化処理液に代えて、1,7−ヘプタンジアミン塩酸塩のみを水に溶解させた10質量%の耐水化処理液を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして耐水性偏光フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、水に浸漬後観察したところ、比較例2の耐水化偏光フィルムは水に溶解していなかった。
比較例2の耐水化偏光フィルムも、実施例1と同様に、加熱前後及び加湿前後の透過率及び偏光度の変化量を求めた。その結果を表3、及び図1に示す。
[比較例3]
実施例1の耐水化処理液に代えて、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン塩酸塩のみを水に溶解させた10質量%の耐水化処理液を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして耐水性偏光フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、水に浸漬後観察したところ、比較例3の耐水化偏光フィルムは水に溶解していなかった。
比較例3の耐水化偏光フィルムも、実施例1と同様に、加熱前後及び加湿前後の透過率及び偏光度の変化量を求めた。その結果を表3、及び図1に示す。
[比較例4]
実施例1の耐水化処理液に代えて、2,2’−オキシビスエチレンジアミン塩酸塩のみを水に溶解させた10質量%の耐水化処理液を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして耐水性偏光フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、水に浸漬後観察したところ、比較例4の耐水化偏光フィルムは水に溶解していなかった。
比較例4の耐水化偏光フィルムも、実施例1と同様に、加熱前後及び加湿前後の透過率及び偏光度の変化量を求めた。その結果を表3、及び図1に示す。
[比較例5]
実施例1の耐水化処理液に代えて、塩化バリウム(東京化成工業(株)製)を水に溶解させた10質量%の耐水化処理液を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして耐水性偏光フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、水に浸漬後観察したところ、比較例4の耐水化偏光フィルムは水に溶解していなかった。
比較例5の耐水化偏光フィルムも、実施例1と同様に、加熱前後及び加湿前後の透過率及び偏光度の変化量を求めた。その結果を表3、及び図1に示す。
[比較例6]
耐水化処理を行わなかったこと以外は、前記実施例1と同様にして偏光フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、水に浸漬後観察したところ、比較例6の偏光フィルムは、全体が水に溶解してしまった。
比較例6の偏光フィルムは、水に溶解するので、耐水性を有しない。このため、比較例6の偏光フィルムについては、加湿試験及び加湿試験を行わなかった。
なお、各実施例及び各比較例で用いた、各有機窒素化合物の構造式を下記に示す。
Figure 0004676010
[評価]
実施例1〜4のように、窒素原子間の距離が異なる第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物を含む耐水化処理液を用いて耐水化処理を行うと、透過率及び偏光度の各変化量が±2%以下であった。従って、実施例1〜4の耐水化偏光フィルムは、加熱加湿下においても、その光学特性が殆ど変化しないことが確認された。
これに対し、比較例1〜4のように、1種類の有機窒素化合物のみ含む耐水化処理液を用いて耐水化処理を行うと、透過率又は偏光度の変化量が±2%よりも大きくなった。
本発明の耐水性偏光フィルムは、液晶表示装置などの画像表示装置、偏光サングラスなどに利用できる。
本発明の製造方法は、耐水性偏光フィルムを製造する際に好適に利用できる。

Claims (10)

  1. アニオン性基を有する有機色素と、有機窒素化合物と、を含み、
    前記有機窒素化合物が、分子中に2個以上の窒素原子を有する第1の有機窒素化合物と、分子中に2個以上の窒素原子を有する第2の有機窒素化合物と、を含み、
    前記第1の有機窒素化合物の窒素原子及び第2の有機窒素化合物の窒素原子が、それぞれカチオン性基中に含まれる窒素原子であり、
    前記第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物が、非環式化合物であり、
    前記第1の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離(A)が、前記第2の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離(B)よりも短い、耐水性偏光フィルム。
  2. 前記第1の有機窒素化合物の窒素原子間の距離(A)と、前記第2の有機窒素化合物の窒素原子間の距離(B)との比(A/B)が、0.10〜0.99である、請求項1に記載の耐水性偏光フィルム。
  3. 前記第1の有機窒素化合物の窒素原子間の距離(A)が0.30〜0.70nmであり、
    前記第2の有機窒素化合物の窒素原子間の距離(B)が0.71〜1.80nmである、請求項1又は2に記載の耐水性偏光フィルム。
  4. 前記第1の有機窒素化合物が、前記第2の有機窒素化合物と同量又はそれよりも多く含まれている請求項1〜3の何れかに記載の耐水性偏光フィルム。
  5. 前記第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物が、その分子中にそれぞれ窒素原子を2個〜5個有する、請求項1〜4の何れかに記載の耐水性偏光フィルム。
  6. 前記カチオン性基が、アミノ基又はその塩である、請求項1〜5の何れかに記載の耐水性偏光フィルム。
  7. 前記第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物が、その分子両末端にそれぞれアミノ基又はその塩を有する化合物である、請求項1〜の何れかに記載の耐水性偏光フィルム。
  8. 前記第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物が、それぞれ独立して、脂肪族ジアミン又はその塩、脂肪族トリアミン又はその塩、及び脂肪族エーテルジアミン又はその塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜の何れかに記載の耐水性偏光フィルム。
  9. アニオン性基を有する有機色素を含む偏光フィルムの一面又は両面に、有機窒素化合物を含む耐水化処理液を接触させる工程を有し、
    前記有機窒素化合物が、分子中に2個以上の窒素原子を有する第1の有機窒素化合物と、分子中に2個以上の窒素原子を有する第2の有機窒素化合物と、を含み、
    前記第1の有機窒素化合物の窒素原子及び第2の有機窒素化合物の窒素原子が、それぞれカチオン性基中に含まれる窒素原子であり、
    前記第1の有機窒素化合物及び第2の有機窒素化合物が、非環式化合物であり、
    前記第1の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離(A)が、前記第2の有機窒素化合物中における隣接した窒素原子間の距離(B)よりも短い、耐水性偏光フィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜の何れかに記載の耐水性偏光フィルムを有する画像表示装置。
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