以下に添付図面を参照して、この発明に係る測位装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
まず、本実施例1にかかる無線測位システムの概要および特徴について説明する。図1は、本実施例1にかかる無線測位システムの概要および特徴を説明するための図である。図1に示すように、この無線測位システムは、基地局100〜300と、移動端末400と、測位サーバ500とを有する。
このうち、基地局100〜300は、移動端末400から電波を受信した場合に、電波を受信した時刻を特定し、特定した受信時刻の情報を測位サーバ500に出力する装置である。以下の説明において、受信時刻の情報を受信時刻データと表記する。
測位サーバ500は、基地局100〜300から取得する受信時刻データを基にして移動端末400の位置座標を算出する装置である。この測位サーバ500は、基地局100〜300が、移動端末400からの電波を受信できた場合には、周知のTDOA方式に基づいて移動端末400の位置座標を算出する。
例えば、時刻T1において基地局100〜300が移動端末400から電波を受信可能であり、測位サーバ500が基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、測位サーバ500が保持しているものとする)。そして、測位サーバ500は、双曲線1と双曲線2との交点Aを、時刻T1における移動端末400の位置座標として算出する。
一方、障害物等の影響により、基地局100〜300のいずれかが、移動端末400からの電波を受信できない場合(電波を受信できる基地局の数が規定数「3」未満の場合)には、電波を受信できた基地局から送信される受信時刻データと、過去の時点における移動端末400の移動方向とを基にして移動端末400の位置座標を算出する。
例えば、時刻T2において基地局300が移動端末400の電波を受信できない場合(例えば、双曲線4が求まらない場合)について説明する。測位サーバ500は、基地局100,200から受信時刻データを取得し、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を算出する。
そして、測位サーバ500は、時刻T1における位置座標Aから移動端末400の移動方向に伸ばした線と、双曲線3との交点Bを求め、求めた交点Bを時刻T2における移動端末400の位置座標として算出する。ただし、前提条件として、基地局100〜300は、時刻T1において移動端末400と電波の送受信が可能であり、測位サーバ500は、時刻T1における移動端末400の位置座標Aおよび移動方向を算出しているものとする。
このように、本実施例1にかかる無線測位システムは、過去の時点における移動端末400の移動方向と受信時刻データとを基にして移動端末400の位置座標を算出するので、移動端末400からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末400の位置座標を算出することができる。
次に、図1に示した基地局100〜300、移動端末400、測位サーバ500の構成について順に説明する。図2は、本実施例1にかかる基地局100〜300の構成を示す機能ブロック図である。なお、基地局100〜300の構成は同一なので、ここでは基地局100の構成のみ説明する。
図2に示すように、この基地局100は、バンドパスフィルタ部(BPF)101と、低雑音アンプ部(LNA)102と、パルス検出部103と、PN系列発生部104と、相関器105と、受信時刻保持部106と、タイマ107と、PPM(Pulse Position Modulation)データ復調部108と、MPU(Micro Processing Unit)109とを有する。
このうち、バンドパスフィルタ部101は、アンテナを介して移動端末400からインパルス電波を受信した場合に、受信したインパルス電波に含まれる余分な周波数成分(例えば、3.4GHz以下の成分と、4.8GHz以上の成分)を除去する手段である。バンドパスフィルタ部101は、余分な周波数成分を除去したインパルス電波を低雑音アンプ部102に出力する。
低雑音アンプ部102は、バンドパスフィルタ部101から入力されるインパルス電波を増幅する手段である。低雑音アンプ部102は、増幅したインパルス電波をパルス検出部103に出力する。
パルス検出部103は、インパルス電波に含まれるパルスを検出する手段である。このパルス検出部103は、公知のダイオードによる包絡線検波回路とコンパレータなどで実現される。パルス検出部103は、検出したパルスを相関器105に出力する。
PN系列発生部104は、PN系列(PN系列に関する説明は、特開2008−2888号公報等参照)を発生させる手段である。PN系列発生部104は、発生させたPN系列を相関器105に出力する。
相関器105は、パルス検出部103から入力されるパルスとPN系列発生部104から入力されるRN系列とを比較することにより、パルスのプリアンブル部を検出し、同期を確立する手段である。
受信時刻保持部106は、相関器105によってパルスのプリアンブル部が検出された場合に、パルスのプリアンブル部に続くデータ部を検出し、かかるデータ部を検出した時刻の情報(受信時刻データ)を特定して保持する手段である。受信時刻保持部106は、受信時刻データをMPU109に出力する。タイマ107は、時刻の情報を受信時刻保持部106に出力する手段(タイマ)である。このタイマ107は、測位サーバ500からのクロックに同期して動作する。
PPMデータ復調部108は、相関器105によってパルスのプリアンブル部が検出された場合に、パルスのプリアンブル部に続くデータ部のPPM(パルス位置変調された信号)を復調し、受信データを生成する手段である。PPMデータ復調部108は、生成した受信データをMPU109に出力する。
MPU109は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理手順を実行する制御手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、MPU109は、受信時刻保持部106から入力される受信時刻データを測位サーバ500に出力する。かかる受信時刻データには、基地局を識別するデータが含まれているものとする。
次に、図1に示した移動端末400の構成について説明する。図3は、本実施例1にかかる移動端末400の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この移動端末400は、MPU401と、PN系列発生部402と、PPMデータ変調部403と、インパルス生成部404と、バンドパスフィルタ部(BPF)405と、パワーアンプ部(PA)406とを有する。
このうち、MPU401は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理手順を実行する制御手段である。例えば、MPU409は、宛先となる端末装置に送信する送信データを生成し、生成した送信データをPPMデータ変調部403に出力する。
PN系列発生部402は、PN系列を発生させる手段である。PN系列発生部402は、発生させたPN信号をPPMデータ変調部403に出力する。
PPMデータ変調部403は、PN系列発生部402から入力されるPN信号を利用して、送信データをパルス位置変調する手段である。PPMデータ変調部403は、パルス位置変調した送信データの信号をインパルス生成部404に出力する。
インパルス生成部404は、PPMデータ変調部403から入力される信号に基づいてインパルス電波を生成する手段である。インパルス生成部404は、生成したインパルス信号をバンドパスフィルタ部405に出力する。
バンドパスフィルタ部405は、インパルス生成部404からインパルス電波を取得した場合に、取得したインパルス電波に含まれる余分な周波数成分を除去する手段である。バンドパスフィルタ部405は、余分な周波数成分を除去したインパルス電波をパワーアンプ部406に出力する。
パワーアンプ部406は、バンドパスフィルタ部405からインパルス電波が入力された場合に、入力されたインパルス電波を増幅する手段である。パワーアンプ部406は、アンテナを介して、増幅したインパルス電波を基地局100〜300に送信する。
次に、図1に示した測位サーバ500の構成について説明する。図4は、本実施例1にかかる測位サーバ500の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この測位サーバ500は、入力部510と、出力部520と、通信制御IF部530と、入出力制御IF部540と、記憶部550と、制御部560とを有する。
このうち、入力部510は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどに対応する。なお、後述するディスプレイ(出力部520)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
出力部520は、各種の情報を出力する出力手段であり、ディスプレイ(若しくはモニタ、タッチパネル)やスピーカなどに対応する。通信制御IF部530は、基地局100〜300との間におけるデータ通信を制御する手段である。入出力制御IF部540は、入力部510、出力部520、通信制御IF部530、記憶部550、制御部560によるデータの入出力を制御する手段である。
記憶部550は、制御部560による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、記憶部550は、受信時刻管理テーブル550aと位置座標管理テーブル550bとを記憶する。
受信時刻管理テーブル550aは、基地局100〜300から送信される受信時刻データを管理するテーブルである。図5は、本実施例1にかかる受信時刻管理テーブル550aのデータ構造の一例を示す図である。
図5に示すように、この受信時刻管理テーブル550aは、基地局を識別する基地局識別情報と、受信時刻(受信時刻データに対応)とを有する。例えば、基地局識別情報「1001」は基地局100、基地局識別情報「1002」は基地局200、基地局識別情報「1003」は基地局300にそれぞれ対応する。図5において、基地局識別情報に対応する受信時刻データが存在しない場合には、該当する基地局が移動端末400からの電波を受信していないこととなる。
例えば、基地局識別情報「1003」に対応する受信時刻データが存在しない場合には、障害物等の影響により、基地局300が移動端末400からの電波を受信できていない旨を示す。
位置座標管理テーブル550bは、移動端末400の位置座標に関わる情報を管理するテーブルである。図6は、本実施例1にかかる位置座標管理テーブル550bのデータ構造の一例を示す図である。図6に示すように、この位置座標管理テーブル550bは、移動端末400を識別する移動端末識別情報と、位置座標を測定した時刻と、位置座標とを有する。
図4の説明に戻ると、制御部560は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、制御部560は、データ管理部560aと、位置座標算出部560bとを有する。
データ管理部560aは、記憶部550に記憶されたデータを管理する手段である。例えば、データ管理部560aは、基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、取得した受信時刻データを受信時刻管理テーブル550aに登録する。なお、データ管理部560aは、位置座標算出部560bから位置座標の算出が完了した旨の情報を取得した場合には、受信時刻管理テーブル550aに登録されたデータを削除する。
位置座標算出部560bは、受信時刻管理テーブル550aと、位置座標管理テーブル550bとを基にして、移動端末400の位置座標を測定(算出)する手段である。位置座標算出部560bは、測定結果(測定した時刻、位置座標)を位置座標管理テーブル550bに登録する。
以下において、位置座標算出部560bの処理を具体的に説明する。まず、位置座標算出部560bは、受信時刻管理テーブル550aを参照し、移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数(例えば、3)未満であるか否かを判定する。
移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数以上の場合には、位置座標算出部560bは、周知技術であるTDOA方式と同様の手法を用いて移動端末400の位置座標を算出する。
すなわち、位置座標算出部560bは、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、位置座標算出部560bが保持しているものとする)。そして、位置座標算出部560bは、双曲線1と双曲線2との交点Aを、移動端末400の位置座標として算出する(図1参照)。
一方、移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数未満の場合には、位置座標算出部560bは、電波を受信できた基地局から送信された受信時刻データと、位置座標管理テーブル550bとを基にして移動端末400の位置座標を算出する。
ここでは一例として、基地局300が移動端末400からの電波を受信できていない場合の位置座標算出部560bの処理を説明する。位置座標算出部560bは、位置座標管理テーブル550bに基づいて、移動端末400の移動方向を特定する。
位置座標算出部560bは、どのように移動端末400の移動方向を算出しても構わない。例えば、位置座標算出部560bは、位置座標管理テーブル550bに最後に登録された位置座標の一つ前の位置座標(図6の位置座標「C」)から最後に登録された位置座標(図6の位置座標「A」)の向きを移動端末400の移動方向として特定することができる。
位置座標算出部560bは、移動端末の移動方向に伸ばした線と、基地局100の受信時刻と、基地局200の受信時刻との差分から算出される双曲線との交点を求め、求めた交点を移動端末400の位置座標として算出する。そして、位置座標算出部560bは、算出した位置座標と、算出した時刻を位置座標管理テーブル550bに登録すると共に、位置座標の算出が完了した旨の情報をデータ管理部560aに出力する。
次に、本実施例1にかかる測位サーバ500の処理手順について説明する。図7は、本実施例1にかかる測位サーバ500の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、測位サーバ500は、データ管理部560aが各基地局から受信時刻データを取得し(ステップS101)、受信時刻データを受信時刻管理テーブル550aに登録する(ステップS102)。
そして、位置座標算出部560bが、受信時刻データのみで位置座標を算出可能であるか否かを判定し(ステップS103)、算出可能である場合には(ステップS104,Yes)、受信時刻データから算出される双曲線を基にして移動端末400の位置座標を算出する(ステップS105)。
一方、受信時刻データのみで位置座標を算出できない場合には(ステップS104,No)、位置座標算出部560bは、受信時刻データから算出される双曲線と、移動端末400の移動方向とを基にして移動端末400の位置座標を算出する(ステップS106)。
上述してきたように、本実施例1にかかる無線測位システムは、測位サーバ500が過去の時点における移動端末400の移動方向と受信時刻データとを基にして移動端末400の位置座標を算出するので、移動端末400からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末400の位置座標を算出することができる。
次に、本実施例2にかかる無線測位システムの概要および特徴について説明する。図8は、本実施例2にかかる無線測位システムの概要および特徴を説明するための図である。図8に示すように、この無線測位システムは、基地局100〜300と、移動端末400と、測位サーバ600とを有する。
このうち、基地局100〜300は、移動端末400から電波を受信した場合に、電波を受信した時刻を特定し、特定した受信時刻の情報を測位サーバ600に出力する装置である。以下の説明において、受信時刻の情報を受信時刻データと表記する。
測位サーバ600は、基地局100〜300から受信時刻データを基にして移動端末400の位置座標を算出する装置である。この測位サーバ600は、基地局100〜300が、移動端末400からの電波を受信できた場合には、周知のTDOA方式に基づいて移動端末400の位置座標を算出する。
例えば、時刻T1において基地局100〜300が移動端末400から電波を受信可能であり、測位サーバ600が基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、測位サーバ600が保持しているものとする)。そして、測位サーバ600は、双曲線1と双曲線2との交点Aを、時刻T1における移動端末400の位置座標として算出する。
一方、障害物等の影響により、基地局100〜300のいずれかが、移動端末400からの電波を受信できない場合(電波を受信できる基地局の数が規定数「3」未満の場合)には、電波を受信できた基地局から送信される受信時刻データと、過去の時点における移動端末400の移動速度とを基にして移動端末400の位置座標を算出する。
例えば、時刻T2において基地局300が移動端末400の電波を受信できない場合について説明する。測位サーバ600は、基地局100,200から受信時刻データを取得し、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を算出する。
そして、測位サーバ600は、時刻T1における移動端末400の位置座標Aを中心として半径V(T2-T1)の円1を算出する。ここで、「V」は、時刻T1における移動端末400の速度(移動速度)である。
測位サーバ600は、双曲線3と円1との交点Bを求め、求めた交点Bを時刻T2における移動端末400の位置座標として算出する。ただし、前提条件として、基地局100〜300は、時刻T1において移動端末400と電波の送受信が可能であり、測位サーバ600は、時刻T1における移動端末400の位置座標Aおよび移動速度を算出しているものとする。
このように、本実施例2にかかる無線測位システムは、過去の時点における移動端末400の移動速度と受信時刻データとを基にして移動端末400の位置座標を算出するので、移動端末400からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末400の位置座標を算出することができる。
次に、図8に示した基地局100〜300、移動端末400、測位サーバ600の構成について説明する。なお、基地局100〜300の構成は、図2に示した基地局100と同様であり、移動端末400の構成は、図3に示した移動端末400の構成と同様であるので説明を省略する。
図9は、本実施例2にかかる測位サーバ600の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この測位サーバ600は、入力部610と、出力部620と、通信制御IF部630と、入出力制御IF部640と、記憶部650と、制御部660とを有する。
このうち、入力部610は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどに対応する。なお、後述するディスプレイ(出力部620)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
出力部620は、各種の情報を出力する出力手段であり、ディスプレイ(若しくはモニタ、タッチパネル)やスピーカなどに対応する。通信制御IF部630は、基地局100〜300との間におけるデータ通信を制御する手段である。入出力制御IF部640は、入力部610、出力部620、通信制御IF部630、記憶部650、制御部660によるデータの入出力を制御する手段である。
記憶部650は、制御部660による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、記憶部650は、受信時刻管理テーブル650aと位置座標管理テーブル650bとを記憶する。
受信時刻管理テーブル650aは、基地局100〜300から送信される受信時刻データを管理するテーブルである。この受信時刻管理テーブル650aのデータ構造は、図5に示した受信時刻管理テーブル550aと同様である。
位置座標管理テーブル650bは、移動端末400の位置座標に関わる情報を管理するテーブルである。この位置座標管理テーブル650bのデータ構造は、図6に示した位置座標管理テーブル550bと同様である。
図9の説明に戻ると、制御部660は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、制御部660は、データ管理部660aと、位置座標算出部660bとを有する。
データ管理部660aは、記憶部650に記憶されたデータを管理する手段である。例えば、データ管理部660aは、基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、取得した受信時刻データを受信時刻管理テーブル650aに登録する。なお、データ管理部660aは、位置座標算出部660bから位置座標の算出が完了した旨の情報を取得した場合には、受信時刻管理テーブル650aに登録されたデータを削除する。
位置座標算出部660bは、受信時刻管理テーブル650aと、位置座標管理テーブル650bとを基にして、移動端末400の位置を測定(算出)する手段である。位置座標算出部660bは、測定結果(測定した時刻、位置座標)を位置座標管理テーブル650bに登録する。
以下において、位置座標算出部660bの処理を具体的に説明する。まず、位置座標算出部660bは、受信時刻管理テーブル650aを参照し、移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数(例えば、3)未満であるか否かを判定する。
移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数以上の場合には、位置座標算出部660bは、周知技術であるTDOA方式と同様の手法を用いて移動端末400の位置座標を算出する。
すなわち、位置座標算出部660bは、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、位置座標算出部660bが保持しているものとする)。そして、位置座標算出部660bは、双曲線1と双曲線2との交点Aを、移動端末400の位置座標として算出する(図8参照)。
一方、移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数未満の場合には、位置座標算出部660bは、電波を受信できた基地局から送信された受信時刻データと、位置座標管理テーブル650bとを基にして移動端末400の位置座標を算出する。
ここでは一例として、基地局300が移動端末400からの電波を受信できていない場合の位置座標算出部660bの処理を説明する。位置座標算出部660bは、位置座標管理テーブル650bに基づいて、移動端末400の移動速度を特定する。
位置座標算出部660bは、どのように移動端末400の移動速度を算出しても構わない。例えば、位置座標算出部660bは、位置座標管理テーブル650bに最後に登録された位置座標の一つ前の位置座標をb、位置座標bを算出した時刻をTbとし、最後に登録された位置座標をa、位置座標aを算出した時刻をTaとすると、移動端末400の移動速度Vはaからbまでの移動距離を(Ta-Tb<aからbまでの移動時間>)で割ることで算出することができる。
位置座標算出部650bは、位置座標aを中心とした半径V(Ta-T)<Taは、最後に位置座標を算出した時刻、Tは、現在の時刻>の円を算出し、算出した円と、基地局100の受信時刻および基地局200の受信時刻の差分から算出される双曲線との交点を求める。位置座標算出部650bは、算出した位置座標と算出した時刻を位置座標管理テーブル650bに登録すると共に、位置座標の算出が完了した旨の情報をデータ管理部660aに出力する。
次に、本実施例2にかかる測位サーバ600の処理手順について説明する。図10は、本実施例2にかかる測位サーバ600の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、測位サーバ600は、データ管理部660aが各基地局から受信時刻データを取得し(ステップS201)、受信時刻データを受信時刻管理テーブル650aに登録する(ステップS202)。
そして、位置座標算出部660bが、受信時刻データのみで位置座標を算出可能であるか否かを判定し(ステップS203)、算出可能である場合には(ステップS204,Yes)、受信時刻データから算出される双曲線を基にして移動端末400の位置座標を算出する(ステップS205)。
一方、受信時刻データのみで位置座標を算出できない場合には(ステップS204,No)、位置座標算出部660bは、受信時刻データから算出される双曲線と、移動端末400の移動速度とを基にして移動端末400の位置座標を算出する(ステップS206)。
上述してきたように、本実施例2にかかる無線測位システムは、測位サーバ600が過去の時点における移動端末400の移動速度と受信時刻データとを基にして移動端末400の位置座標を算出するので、移動端末400からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末400の位置座標を算出することができる。
次に、本実施例3にかかる無線測位システムの概要および特徴について説明する。図11は、本実施例3にかかる無線測位システムの概要および特徴を説明するための図である。図11に示すように、この無線測位システムは、基地局100〜300と、移動端末400と、測位サーバ700とを有する。
このうち、基地局100〜300は、移動端末400から電波を受信した場合に、電波を受信した時刻を特定し、特定した受信時刻の情報を測位サーバ700に出力する装置である。以下の説明において、受信時刻の情報を受信時刻データと表記する。
測位サーバ700は、基地局100〜300から受信時刻データを基にして移動端末400の位置座標を算出する装置である。この測位サーバ700は、基地局100〜300が、移動端末400からの電波を受信できた場合には、周知のTDOA方式に基づいて移動端末400の位置座標を算出する。
例えば、時刻T1において基地局100〜300が移動端末400から電波を受信可能であり、測位サーバ700が基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、測位サーバ700が保持しているものとする)。そして、測位サーバ700は、双曲線1と双曲線2との交点Aを、時刻T1における移動端末400の位置座標として算出する。
一方、障害物等の影響により、基地局100〜300のいずれかが、移動端末400からの電波を受信できない場合(電波を受信できる基地局の数が規定数「3」未満の場合;双曲線4を求めることが出来ない場合)には、電波を受信できた基地局から送信される受信時刻データと、過去の時点における移動端末400の速度ベクトルとを基にして移動端末400の位置座標を算出する。
例えば、時刻T2において基地局300が移動端末400の電波を受信できない場合について説明する。測位サーバ700は、基地局100,200から受信時刻データを取得し、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を算出する。
そして、測位サーバ700は、時刻T1における移動端末400の位置座標Aから、移動端末400の移動方向に長さV(T2-T1)延ばしたB3を仮の位置座標とする。そして、測位サーバ700は、B3から双曲線3に垂線をおろし、その交点B3’を時刻T2における移動端末400の位置座標として算出する。
このように、本実施例3にかかる無線測位システムは、過去の時点における移動端末400の速度ベクトルと受信時刻データとを基にして移動端末400の位置座標を算出するので、移動端末400からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末400の位置座標を算出することができる。
次に、図11に示した基地局100〜300、移動端末400、測位サーバ700の構成について説明する。なお、基地局100〜300の構成は、図2に示した基地局100と同様であり、移動端末400の構成は、図3に示した移動端末400の構成と同様であるので説明を省略する。
図12は、本実施例3にかかる測位サーバ700の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この測位サーバ700は、入力部710と、出力部720と、通信制御IF部730と、入出力制御IF部740と、記憶部750と、制御部760とを有する。
このうち、入力部710は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどに対応する。なお、後述するディスプレイ(出力部720)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
出力部720は、各種の情報を出力する出力手段であり、ディスプレイ(若しくはモニタ、タッチパネル)やスピーカなどに対応する。通信制御IF部730は、基地局100〜300との間におけるデータ通信を制御する手段である。入出力制御IF部740は、入力部710、出力部720、通信制御IF部730、記憶部750、制御部760によるデータの入出力を制御する手段である。
記憶部750は、制御部760による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、記憶部750は、受信時刻管理テーブル750aと位置座標管理テーブル750bとを記憶する。
受信時刻管理テーブル750aは、基地局100〜300から送信される受信時刻データを管理するテーブルである。この受信時刻管理テーブル750aのデータ構造は、図5に示した受信時刻管理テーブル550aと同様である。
位置座標管理テーブル750bは、移動端末400の位置座標に関わる情報を管理するテーブルである。この位置座標管理テーブル750bのデータ構造は、図6に示した位置座標管理テーブル550bと同様である。
図12の説明に戻ると、制御部760は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、制御部760は、データ管理部760aと、位置座標算出部760bとを有する。
データ管理部760aは、記憶部750に記憶されたデータを管理する手段である。例えば、データ管理部760aは、基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、取得した受信時刻データを受信時刻管理テーブル750aに登録する。なお、データ管理部760aは、位置座標算出部760bから位置座標の算出が完了した旨の情報を取得した場合には、受信時刻管理テーブル750aに登録されたデータを削除する。
位置座標算出部760bは、受信時刻管理テーブル750aと、位置座標管理テーブル750bとを基にして、移動端末400の位置を測定(算出)する手段である。位置座標算出部760bは、測定結果(測定した時刻、位置座標)を位置座標管理テーブル750bに登録する。
以下において、位置座標算出部760bの処理を具体的に説明する。まず、位置座標算出部760bは、受信時刻管理テーブル750aを参照し、移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数(例えば、3)未満であるか否かを判定する。
移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数以上の場合には、位置座標算出部760bは、周知技術であるTDOA方式と同様の手法を用いて移動端末400の位置座標を算出する。
すなわち、位置座標算出部760bは、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、位置座標算出部760bが保持しているものとする)。そして、位置座標算出部760bは、双曲線1と双曲線2との交点Aを、移動端末400の位置座標として算出する(図11参照)。
一方、移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数未満の場合には、位置座標算出部760bは、電波を受信できた基地局から送信された受信時刻データと、位置座標管理テーブル750bとを基にして移動端末400の位置座標を算出する。
ここでは一例として、基地局300が移動端末400からの電波を受信できていない場合の位置座標算出部760bの処理を説明する。まず、位置座標算出部760bは、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を求める。
位置座標算出部760bは、位置座標管理テーブル750bに基づいて、移動端末400の速度ベクトル(移動方向、移動速度)を特定する。位置座標算出部760bが移動方向を求める方法は、実施例1に示した位置座標算出部560bと同様である。また、位置座標算出部760bが移動速度を求める方法は、実施例2に示した位置座標算出部660bと同様である。
位置座標算出部760bは、時刻T1における移動端末400の位置座標Aから、移動端末400の移動方向に長さV×(T2-T1)延ばしたB3を仮の位置座標とする。ここで、Vは、移動端末400の移動速度である。そして、測位サーバ700は、B3から双曲線3に垂線をおろし、その交点B3’を時刻T2における移動端末400の位置座標として算出する。位置座標算出部760bは、算出した位置座標と算出した時刻を位置座標管理テーブル750bに登録すると共に、位置座標の算出が完了した旨の情報をデータ管理部760aに出力する。
次に、本実施例3にかかる測位サーバ700の処理手順について説明する。図13は、本実施例3にかかる測位サーバ700の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、測位サーバ700は、データ管理部760aが各基地局から受信時刻データを取得し(ステップS301)、受信時刻データを受信時刻管理テーブル750aに登録する(ステップS302)。
そして、位置座標算出部760bが、受信時刻データのみで位置座標を算出可能であるか否かを判定し(ステップS303)、算出可能である場合には(ステップS304,Yes)、受信時刻データから算出される双曲線を基にして移動端末400の位置座標を算出する(ステップS305)。
一方、受信時刻データのみで位置座標を算出できない場合には(ステップS304,No)、位置座標算出部760bは、受信時刻データから算出される双曲線と、移動端末400の速度ベクトルとを基にして移動端末400の位置座標を算出する(ステップS306)。
上述してきたように、本実施例3にかかる無線測位システムは、測位サーバ700が過去の時点における移動端末400の速度ベクトルと受信時刻データとを基にして移動端末400の位置座標を算出するので、移動端末400からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末400の位置座標を算出することができる。
次に、本実施例4にかかる無線測位システムの概要および特徴について説明する。図14は、本実施例4にかかる無線測位システムの概要および特徴を説明するための図である。図14に示すように、この無線測位システムは、基地局100〜300と、移動端末400と、測位サーバ800とを有する。
このうち、基地局100〜300は、移動端末400から電波を受信した場合に、電波を受信した時刻を特定し、特定した受信時刻の情報を測位サーバ800に出力する装置である。以下の説明において、受信時刻の情報を受信時刻データと表記する。
測位サーバ800は、基地局100〜300から受信時刻データを基にして移動端末400の位置座標を算出する装置である。この測位サーバ800は、基地局100〜300が、移動端末400からの電波を受信できた場合には、周知のTDOA方式に基づいて移動端末400の位置座標を算出する。
例えば、時刻T1において基地局100〜300が移動端末400から電波を受信可能であり、測位サーバ800が基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、測位サーバ800が保持しているものとする)。そして、測位サーバ800は、双曲線1と双曲線2との交点Aを、時刻T1における移動端末400の位置座標として算出する。
一方、障害物等の影響により、基地局100〜300のいずれかが、移動端末400からの電波を受信できない場合(電波を受信できる基地局の数が規定数「3」未満の場合)には、電波を受信できた基地局から送信される受信時刻データと、過去の時点における受信時刻データとを基にして移動端末400の位置座標を算出する。
例えば、時刻T2において基地局300が移動端末400の電波を受信できない場合について説明する。測位サーバ800は、基地局100,200から受信時刻データを取得し、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を算出する。
そして、測位サーバ800は、時刻T1における基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を算出し、双曲線2と双曲線3との交点B4を時刻T2における移動端末400の位置座標として算出する。
このように、本実施例4にかかる無線測位システムは、過去に取得した受信時刻データを基にして移動端末400の位置座標を算出するので、移動端末400からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末400の位置座標を算出することができる。
次に、図14に示した基地局100〜300、移動端末400、測位サーバ800の構成について説明する。なお、基地局100〜300の構成は、図2に示した基地局100と同様であり、移動端末400の構成は、図3に示した移動端末400の構成と同様であるため説明を省略する。
図15は、本実施例4にかかる測位サーバ800の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この測位サーバ800は、入力部810と、出力部820と、通信制御IF部830と、入出力制御IF部840と、記憶部850と、制御部860とを有する。
このうち、入力部810は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどに対応する。なお、後述するディスプレイ(出力部820)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
出力部820は、各種の情報を出力する出力手段であり、ディスプレイ(若しくはモニタ、タッチパネル)やスピーカなどに対応する。通信制御IF部830は、基地局100〜300との間におけるデータ通信を制御する手段である。入出力制御IF部840は、入力部810、出力部820、通信制御IF部830、記憶部850、制御部860によるデータの入出力を制御する手段である。
記憶部850は、制御部860による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、記憶部850は、受信時刻管理テーブル850aと位置座標管理テーブル850bとを記憶する。
受信時刻管理テーブル850aは、基地局100〜300から送信される受信時刻データを管理するテーブルである。図16は、本実施例4にかかる受信時刻管理テーブル850aのデータ構造の一例を示す図である。
図16に示すように、この受信時刻管理テーブル850aは、測位サーバ800が各基地局から受信時刻データを受信した時刻を示す時刻情報、基地局識別情報、受信時刻(受信時刻情報に対応)を有する。
位置座標管理テーブル850bは、移動端末400の位置座標に関わる情報を管理するテーブルである。この位置座標管理テーブル850bのデータ構造は、図6に示した位置座標管理テーブル550bと同様である。
図15の説明に戻ると、制御部860は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、制御部860は、データ管理部860aと、位置座標算出部860bとを有する。
データ管理部860aは、記憶部850に記憶されたデータを管理する手段である。例えば、データ管理部860aは、基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、取得した時刻と対応付けて、受信時刻データを受信時刻管理テーブル850aに登録する。
位置座標算出部860bは、受信時刻管理テーブル850aに基づいて移動端末400の位置を測定(算出)する手段である。そして、位置座標算出部860bは、測定結果(測定した時刻、位置座標)を位置座標管理テーブル850bに登録する。
以下において、位置座標算出部860bの処理を具体的に説明する。まず、位置座標算出部860bは、受信時刻管理テーブル850aを参照し、最新の時刻情報(図16に示す例では、最新の時刻情報はT2となる)において、移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数(例えば、3)未満であるか否かを判定する。
移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数以上の場合には、位置座標算出部860bは、周知技術であるTDOA方式と同様の手法を用いて移動端末400の位置座標を算出する。
すなわち、位置座標算出部860bは、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、位置座標算出部860bが保持しているものとする)。そして、位置座標算出部860bは、双曲線1と双曲線2との交点Aを、移動端末400の位置座標として算出する(図14参照)。
一方、移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数未満の場合には、位置座標算出部860bは、電波を受信できた基地局から送信された過去の受信時刻データを基にして移動端末400の位置座標を算出する。
ここでは一例として、時刻T2において、基地局300が移動端末400からの電波を受信できていない場合の位置座標算出部860bの処理を説明する。位置座標算出部860bは、まず時刻T2における基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を算出する。
そして、測位サーバ800は、時刻T1における基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を算出し、双曲線2と双曲線3との交点B4を時刻T2における移動端末400の位置座標として算出する。
次に、本実施例4にかかる測位サーバ800の処理手順について説明する。図17は、本実施例4にかかる測位サーバ800の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、測位サーバ800は、データ管理部860aが各基地局から受信時刻データを取得し(ステップS401)、受信時刻データを受信時刻管理テーブル850aに登録する(ステップS402)。
そして、位置座標算出部860bが、現在の受信時刻データのみで位置座標を算出可能であるか否かを判定し(ステップS403)、算出可能である場合には(ステップS404,Yes)、受信時刻データから算出される双曲線を基にして移動端末400の位置座標を算出する(ステップS405)。
一方、現在の受信時刻データのみで位置座標を算出できない場合には(ステップS404,No)、位置座標算出部860bは、受信時刻データから算出される双曲線と、前回の受信時刻データから算出される双曲線とを基にして移動端末400の位置座標を算出する(ステップS406)。
上述してきたように、本実施例4にかかる無線測位システムは、測位サーバ800が過去の受信時刻データを基にして移動端末400の位置座標を算出するので、移動端末400からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末400の位置座標を算出することができる。
次に、本実施例5にかかる無線測位システムの概要および特徴について説明する。図18は、本実施例5にかかる無線測位システムの概要および特徴を説明するための図である。図18に示すように、この無線測位システムは、基地局100〜300と、移動端末450と、測位サーバ900とを有する。
このうち、基地局100〜300は、移動端末450から電波を受信した場合に、電波を受信した時刻を特定し、特定した受信時刻の情報を測位サーバ900に出力する装置である。以下の説明において、受信時刻の情報を受信時刻データと表記する。また、本実施例5にかかる基地局100〜300は、移動端末450の加速度の情報(以下、加速度データと表記する)および角速度の情報(以下、角速度データ)を取得した場合には、かかる加速度データおよび角速度データを測位サーバ900に出力する。
測位サーバ900は、基地局100〜300から受信時刻データを基にして移動端末450の位置座標を算出する装置である。この測位サーバ900は、基地局100〜300が、移動端末450からの電波を受信できた場合には、周知のTDOA方式に基づいて移動端末450の位置座標を算出する。
例えば、時刻T1において基地局100〜300が移動端末450から電波を受信可能であり、測位サーバ900が基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、測位サーバ900が保持しているものとする)。そして、測位サーバ900は、双曲線1と双曲線2との交点Aを、時刻T1における移動端末450の位置座標として算出する。
一方、障害物等の影響により、基地局100〜300のいずれかが、移動端末450からの電波を受信できない場合(電波を受信できる基地局の数が規定数「3」未満の場合)には、電波を受信できた基地局から送信される受信時刻データと、加速度データおよび角速度データを基にして移動端末450の位置座標を算出する。
例えば、時刻T2において基地局300が移動端末450の電波を受信できない場合(双曲線4が求まらない場合)について説明する。測位サーバ900は、基地局100,200から受信時刻データを取得し、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を算出する。
そして、測位サーバ900は、時刻T1から時刻T2まで時々刻々と変化する加速度データおよび角速度データを取得し、時刻T1の加速度および角速度を初期値として、加速度および角速度を積分することにより、時刻T2における移動端末450の仮の位置座標B6を算出する。測位サーバ900は、B6から双曲線3に垂線を下ろしその交点B6’を時刻T2における移動端末450の位置座標として算出する。
このように、本実施例5にかかる無線測位システムは、加速度データおよび角速度データと、受信時刻データとを基にして移動端末450の位置座標を算出するので、移動端末450からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末450の位置座標を算出することができる。
次に、図18に示した基地局100〜300、移動端末450、測位サーバ900の構成について説明する。なお、基地局100〜300の構成は、図2に示した基地局100と同様である。ただし、基地局100〜300は、移動端末450から加速度データ、角速度データを受信した場合には、受信した加速度データおよび角速度データを測位サーバ900に出力する。
図19は、本実施例5にかかる移動端末450の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この移動端末450は、加速度センサ451と、ジャイロセンサ452と、MPU453と、PN系列発生部454と、PPMデータ変調部455と、インパルス生成部456と、バンドパスフィルタ部(BPF)457と、パワーアンプ部(PA)458とを有する。
このうち、加速度センサ451は、移動端末450の加速度を計測する手段(センサ)である。加速度センサ451は、計測した加速度の情報(加速度データ)をMPU453に出力する。
ジャイロセンサ452は、端末装置450の角速度を計測する手段(センサ)である。ジャイロセンサ452は、計測した角速度の情報(角速度データ)をMPU453に出力する。
MPU453は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理手順を実行する制御手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、MPU453は、加速度データおよび角速度データを送信データに格納し、基地局100〜300に出力する。なお、加速度データおよび角速度データは、加速度を測定した時刻および角速度を測定した時刻をそれぞれ含んでいるものとする。
PN系列発生部454は、PN系列を発生させる手段である。PN系列発生部454は、発生させたPN信号をPPMデータ変調部455に出力する。
PPMデータ変調部455は、PN系列発生部454から入力されるPN信号を利用して、送信データをパルス位置変調する手段である。PPMデータ変調部455は、パルス位置変調した送信データの信号をインパルス生成部456に出力する手段である。
インパルス生成部456は、PPMデータ変調部455から入力される信号に基づいてインパルス電波を生成する手段である。インパルス生成部456は、生成したインパルス信号をバンドパスフィルタ部457に出力する。
バンドパスフィルタ部457は、インパルス生成部456からインパルス電波を取得した場合に、取得したインパルス電波に含まれる余分な周波数成分を除去する手段である。バンドパスフィルタ部457は、余分な周波数成分を除去したインパルス電波をパワーアンプ部458に出力する。
パワーアンプ部458は、バンドパスフィルタ部457からインパルス電波が入力された場合に、入力されたインパルス電波を増幅する手段である。パワーアンプ部458は、アンテナを介して、増幅したインパルス電波を基地局100〜300に送信する。
図20は、本実施例5にかかる測位サーバ900の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この測位サーバ900は、入力部910と、出力部920と、通信制御IF部930と、入出力制御IF部940と、記憶部950と、制御部960とを有する。
このうち、入力部910は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどに対応する。なお、後述するディスプレイ(出力部920)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
出力部920は、各種の情報を出力する出力手段であり、ディスプレイ(若しくはモニタ、タッチパネル)やスピーカなどに対応する。通信制御IF部930は、基地局100〜300との間におけるデータ通信を制御する手段である。入出力制御IF部940は、入力部910、出力部920、通信制御IF部930、記憶部950、制御部960によるデータの入出力を制御する手段である。
記憶部950は、制御部960による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、記憶部950は、受信時刻管理テーブル950aと、加速度/角速度管理テーブル950bと、位置座標管理テーブル950cとを記憶する。
受信時刻管理テーブル950aは、基地局100〜300から送信される受信時刻データを管理するテーブルである。この受信時刻管理テーブル950aのデータ構造は、図5に示した受信時刻管理テーブル550aと同様である。
加速度/角速度管理テーブル950bは、各時刻における移動端末450の加速度および角速度を管理するテーブルである。図21は、本実施例5にかかる加速度/角加速度管理テーブル950bのデータ構造の一例を示す図である。図21に示すように、この加速度/角速度管理テーブル950bは、加速度および角速度を測定した時刻情報と、加速度と、角速度とを有する。
位置座標管理テーブル950cは、移動端末450の位置座標に関わる情報を管理するテーブルである。この位置座標管理テーブル950bのデータ構造は、図6に示した位置座標管理テーブル550bと同様である。
図20の説明に戻ると、制御部960は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、制御部960は、データ管理部960aと、位置座標算出部960bとを有する。
データ管理部960aは、記憶部950に記憶されたデータを管理する手段である。例えば、データ管理部960aは、基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、取得した受信時刻データを受信時刻管理テーブル950aに登録する。また、データ管理部960aは、基地局100〜300から加速度データおよび角速度データを取得した場合には、取得した加速度データおよび角速度データを加速度/角速度管理テーブル950bに登録する。
なお、データ管理部960aは、位置座標算出部960bから位置座標の算出が完了した旨の情報を取得した場合には、受信時刻管理テーブル950aに登録されたデータを削除する。
位置座標算出部960bは、受信時刻管理テーブル950aと、加速度/角速度管理テーブル950bとを基にして、移動端末450の位置を測定(計算)する手段である。位置座標算出部960bは、測定結果(測定した時刻、位置座標)を位置座標管理テーブル950cに登録する。
以下において、位置座標算出部960bの処理を具体的に説明する。まず、位置座標算出部960bは、受信時刻管理テーブル950aを参照し、移動端末450からの電波を受信できている基地局の数が規定数(例えば、3)未満であるか否かを判定する。
移動端末450からの電波を受信できている基地局の数が規定数以上の場合には、位置座標算出部960bは、周知技術であるTDOA方式と同様の手法を用いて移動端末450の位置座標を算出する。
すなわち、位置座標算出部960bは、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、位置座標算出部960bが保持しているものとする)。そして、位置座標算出部960bは、双曲線1と双曲線2との交点Aを、移動端末450の位置座標として算出する(図18参照)。
一方、移動端末450からの電波を受信できている基地局の数が規定数未満の場合には、位置座標算出部960bは、電波を受信できた基地局から送信された受信時刻データと、加速度/角速度管理テーブル950bとを基にして移動端末450の位置座標を算出する。
ここでは一例として、基地局300が移動端末450からの電波を受信できていない場合の位置座標算出部960bの処理を説明する。まず、位置座標算出部960aは、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を求める。
そして、現在の時刻がT2の場合に、位置座標算出部960aは、加速度/角速度管理テーブル950bを参照し、時刻T2から所定時間前(例えば、T1)までの加速度データおよび角速度データを抽出する。位置座標算出部960aは、時刻T1〜T2までの刻々と変化する加速度および角速度を積分することにより、時刻T2における移動端末450の仮の位置座標B6を算出する。
位置座標算出部960bは、B6から双曲線3に垂線を下ろしその交点B6’を時刻T2における移動端末450の位置座標として算出する。位置座標算出部950bは、算出した位置座標と算出した時刻を位置座標管理テーブル950cに登録すると共に、位置座標の算出が完了した旨の情報をデータ管理部960aに出力する。
次に、本実施例5にかかる測位サーバ900の処理手順について説明する。図22は、本実施例5にかかる測位サーバ900の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、測位サーバ900は、データ管理部960aが各基地局から受信時刻データを取得し(ステップS501)、受信時刻データを受信時刻管理テーブル950aに登録する(ステップS502)。
そして、位置座標算出部960bが、受信時刻データのみで位置座標を算出可能であるか否かを判定し(ステップS503)、算出可能である場合には(ステップS504,Yes)、受信時刻データから算出される双曲線を基にして移動端末450の位置座標を算出する(ステップS505)。
一方、受信時刻データのみで位置座標を算出できない場合には(ステップS504,No)、加速度データおよび角速度データを基にして、移動端末450の位置座標を推定し(ステップS506)、推定した位置座標と、受信時刻データから算出される双曲線を基にして移動端末450の位置座標を算出する(ステップS507)。
上述してきたように、本実施例5にかかる無線測位システムは、測位サーバ900が移動端末450の加速度データ・角速度データと受信時刻データとを基にして移動端末450の位置座標を算出するので、移動端末450からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末450の位置座標を算出することができる。
次に、本実施例6にかかる無線測位システムの概要および特徴について説明する。図23は、本実施例6にかかる無線測位システムの概要および特徴を説明するための図である。図23に示すように、この無線測位システムは、基地局100〜300と、移動端末460、測位サーバ1000とを有する。
このうち、基地局100〜300は、移動端末460から電波を受信した場合に、電波を受信した時刻を特定し、特定した受信時刻の情報を測位サーバ1000に出力する装置である。以下の説明において、受信時刻の情報を受信時刻データと表記する。
測位サーバ1000は、基地局100〜300から受信時刻データを基にして移動端末460の位置座標を算出する装置である。この測位サーバ1000は、基地局100〜300が、移動端末460からの電波を受信できた場合には、周知のTDOA方式に基づいて移動端末460の位置座標を算出する。
例えば、時刻T1において基地局100〜300が移動端末460から電波を受信可能であり、測位サーバ1000が基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、測位サーバ1000が保持しているものとする)。そして、測位サーバ1000は、双曲線1と双曲線2との交点Aを、時刻T1における移動端末460の位置座標として算出する。
一方、障害物等の影響により、基地局100〜300のいずれかが、移動端末460からの電波を受信できない場合(電波を受信できる基地局の数が規定数「3」未満の場合)には、電波を受信できた基地局から送信される受信時刻データと、移動端末460に設置された歩数計の歩数データ(移動端末460を携帯するユーザの歩数)とを基にして、移動端末460の位置座標を算出する。
例えば、時刻T2において基地局300が移動端末460の電波を受信できない場合について説明する。測位サーバ1000は、基地局100,200から受信時刻データを取得し、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を算出する。
そして、測位サーバ1000は、時刻T1から時刻T2までの歩数から移動端末460の移動距離Lを算出し、座標Aを中心とした半径Lの円2を求める。測位サーバ1000は、双曲線3と円2との交点B5を時刻T2における移動端末460の位置座標として算出する。
このように、本実施例6にかかる無線測位システムは、歩数データと、受信時刻データとを基にして移動端末460の位置座標を算出するので、移動端末460からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末460の位置座標を算出することができる。
次に、図23に示した基地局100〜300、移動端末460、測位サーバ1000の構成について説明する。なお、基地局100〜300の構成は、図2に示した基地局100と同様である。ただし、基地局100〜300は、移動端末460から歩数データを受信した場合には、受信した歩数データを測位サーバ1000に出力する。
図24は、本実施例6にかかる移動端末460の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この移動端末460は、歩数センサ461と、MPU462と、PN系列発生部463と、PPMデータ変調部464と、インパルス生成部465と、バンドパスフィルタ部(BPF)466と、パワーアンプ部(PA)467とを有する。
このうち、歩数センサ461は、移動端末460を携帯するユーザの歩数を計測する手段(センサ)である。歩数センサ461は、計測した歩数の情報(歩数データ)をMPU462に出力する。
MPU462は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理手順を実行する制御手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、MPU462は、歩数データを送信データに格納し、基地局100〜300に出力する。なお、歩数データは、歩数データを測定した時刻(期間)をそれぞれ含んでいるものとする。
PN系列発生部463は、PN系列を発生させる手段である。PN系列発生部463は、発生させたPN信号をPPMデータ変調部464に出力する。
PPMデータ変調部464は、PN系列発生部463から入力されるPN信号を利用して、送信データをパルス位置変調する手段である。PPMデータ変調部463は、パルス位置変調した送信データの信号をインパルス生成部465に出力する手段である。
インパルス生成部465は、PPMデータ変調部464から入力される信号に基づいてインパルス電波を生成する手段である。インパルス生成部465は、生成したインパルス信号をバンドパスフィルタ部466に出力する。
バンドパスフィルタ部466は、インパルス生成部465からインパルス電波を取得した場合に、取得したインパルス電波に含まれる余分な周波数成分を除去する手段である。バンドパスフィルタ部466は、余分な周波数成分を除去したインパルス電波をパワーアンプ部467に出力する。
パワーアンプ部467は、バンドパスフィルタ部466からインパルス電波が入力された場合に、入力されたインパルス電波を増幅する手段である。パワーアンプ部467は、アンテナを介して、増幅したインパルス電波を基地局100〜300に送信する。
図25は、本実施例6にかかる測位サーバ1000の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この測位サーバ1000は、入力部1010と、出力部1020と、通信制御IF部1030と、入出力制御IF部1040と、記憶部1050と、制御部1060とを有する。
このうち、入力部1010は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどに対応する。なお、後述するディスプレイ(出力部1020)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
出力部1020は、各種の情報を出力する出力手段であり、ディスプレイ(若しくはモニタ、タッチパネル)やスピーカなどに対応する。通信制御IF部1030は、基地局100〜300との間におけるデータ通信を制御する手段である。入出力制御IF部1040は、入力部1010、出力部1020、通信制御IF部1030、記憶部1050、制御部1060によるデータの入出力を制御する手段である。
記憶部1050は、制御部1060による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、記憶部1050は、受信時刻管理テーブル1050aと、歩数管理テーブル1050bと、位置座標管理テーブル1050cとを記憶する。
受信時刻管理テーブル1050aは、基地局100〜300から送信される受信時刻データを管理するテーブルである。この受信時刻管理テーブル1050aのデータ構造は、図5に示した受信時刻管理テーブル550aと同様である。
歩数管理テーブル1050bは、移動端末460を携帯するユーザの歩数を管理するテーブルである。図26は、本実施例6にかかる歩数管理テーブル1050bのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、この歩数管理テーブル1050bは、歩数を計測した期間を示す時刻情報と、歩数とを有する。
位置座標管理テーブル1050bは、移動端末460の位置座標に関わる情報を管理するテーブルである。この位置座標管理テーブル1050bのデータ構造は、図6に示した位置座標管理テーブル550bと同様である。
図25の説明に戻ると、制御部1060は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、制御部1060は、データ管理部1060aと、位置座標算出部1060bとを有する。
データ管理部1060aは、記憶部1050に記憶されたデータを管理する手段である。例えば、データ管理部1060aは、基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、取得した受信時刻データを受信時刻管理テーブル1050aに登録する。また、データ管理部1060aは、基地局100〜300から歩数データを取得した場合には、取得した歩数データを歩数管理テーブル1050bに登録する。
なお、データ管理部1060aは、位置座標算出部1060bから位置座標の算出が完了した旨の情報を取得した場合には、受信時刻管理テーブル1050aに登録されたデータを削除する。
位置座標算出部1060bは、受信時刻管理テーブル1050aと、歩数管理テーブル1050bとを基にして、移動端末460の位置を測定(算出)する手段である。位置座標算出部1060bは、測定結果(測定した時刻、位置座標)を位置座標管理テーブル1050cに登録する。
以下において、位置座標算出部1060bの処理を具体的に説明する。まず、位置座標算出部1060bは、受信時刻管理テーブル1050aを参照し、移動端末460からの電波を受信できている基地局の数が規定数(例えば、3)未満であるか否かを判定する。
移動端末460からの電波を受信できている基地局の数が規定数以上の場合には、位置座標算出部1060bは、周知技術であるTDOA方式と同様の手法を用いて移動端末460の位置座標を算出する。
すなわち、位置座標算出部1060bは、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、位置座標算出部1060bが保持しているものとする)。そして、位置座標算出部1060bは、双曲線1と双曲線2との交点Aを、移動端末460の位置座標として算出する(図23参照)。
一方、移動端末460からの電波を受信できている基地局の数が規定数未満の場合には、位置座標算出部1060bは、電波を受信できた基地局から送信された受信時刻データと、歩数管理テーブル1050bとを基にして移動端末460の位置座標を算出する。
ここでは一例として、基地局300が移動端末460からの電波を受信できていない場合の位置座標算出部1060bの処理を説明する。まず、位置座標算出部1060aは、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を求める。
そして、現在の時刻がT2の場合に、位置座標算出部1060aは、歩数管理テーブル1050bを参照し、時刻T1〜T2までの歩数を抽出する。位置座標算出部1060aは、ユーザの平均的な歩幅に歩数を乗算した距離Lを算出し、時刻T1における移動端末460の位置座標Aを中心とする半径Lの円2を求める(時刻T1における移動端末460の位置座標は算出済みであるとする)。
測位サーバ1000は、双曲線3と円2との交点B5を時刻T2における移動端末460の位置座標として算出する。位置座標算出部1060bは、算出した位置座標と算出した時刻を位置座標管理テーブル1050cに登録すると共に、位置座標の算出が完了した旨の情報をデータ管理部1060aに出力する。
次に、本実施例6にかかる測位サーバ1000の処理手順について説明する。図27は、本実施例6にかかる測位サーバ1000の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、測位サーバ1000は、データ管理部1060aが各基地局から受信時刻データを取得し(ステップS601)、受信時刻データを受信時刻管理テーブル1050aに登録する(ステップS602)。
そして、位置座標算出部1060bが、受信時刻データのみで位置座標を算出可能であるか否かを判定し(ステップS603)、算出可能である場合には(ステップS604,Yes)、受信時刻データから算出される双曲線を基にして移動端末460の位置座標を算出する(ステップS605)。
一方、受信時刻データのみで位置座標を算出できない場合には(ステップS604,No)、歩数データと、受信時刻データから算出される双曲線を基にして移動端末460の位置座標を算出する(ステップS606)。
上述してきたように、本実施例6にかかる無線測位システムは、測位サーバ1000が移動端末460の歩数データと受信時刻データとを基にして移動端末460の位置座標を算出するので、移動端末460からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末460の位置座標を算出することができる。
次に、本実施例7にかかる無線測位システムの概要および特徴について説明する。図28は、本実施例7にかかる無線測位システムの概要および特徴を説明するための図である。図28に示すように、この無線測位システムは、基地局100〜300と、移動端末400と、測位サーバ1100とを有する。
このうち、基地局100〜300は、移動端末400から電波を受信した場合に、電波を受信した時刻を特定し、特定した受信時刻の情報を測位サーバ1100に出力する装置である。以下の説明において、受信時刻の情報を受信時刻データと表記する。
測位サーバ1100は、基地局100〜300から受信時刻データを基にして移動端末400の位置座標を算出する装置である。この測位サーバ1100は、基地局100〜300が、移動端末400からの電波を受信できた場合には、周知のTDOA方式に基づいて移動端末400の位置座標を算出する。
例えば、時刻T1において基地局100〜300が移動端末400から電波を受信可能であり、測位サーバ1100が基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、測位サーバ1100が保持しているものとする)。そして、測位サーバ1100は、双曲線1と双曲線2との交点Aを、時刻T1における移動端末400の位置座標として算出する。
一方、障害物等の影響により、基地局100〜300のいずれかが、移動端末400からの電波を受信できない場合(電波を受信できる基地局の数が規定数「3」未満の場合)には、電波を受信できた基地局から送信される受信時刻データと、地図データとを基にして、移動端末440の位置座標を算出する。
例えば、時刻T2において基地局300が移動端末400の電波を受信できない場合について説明する。測位サーバ1100は、基地局100,200から受信時刻データを取得し、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を算出する。
そして、測位サーバ1100は、地図データと時刻T1での移動端末400の位置座標Aとを比較して、移動端末400の移動する経路を判定し、判定した経路と、双曲線3との交点B7を時刻T2における移動端末400の位置座標として算出する。
このように、本実施例7にかかる無線測位システムは、地図データと、受信時刻データとを基にして移動端末400の位置座標を算出するので、移動端末400からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末400の位置座標を算出することができる。
次に、図28に示した基地局100〜300、移動端末400、測位サーバ1100の構成について説明する。なお、基地局100〜300の構成は、図2に示した基地局100と同様であり、移動端末400の構成は、図3に示した移動端末400の構成と同様であるので説明を省略する。
図29は、本実施例7にかかる測位サーバ1100の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この測位サーバ1100は、入力部1110と、出力部1120と、通信制御IF部1130と、入出力制御IF部1140と、記憶部1150と、制御部1160とを有する。
このうち、入力部1110は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどに対応する。なお、後述するディスプレイ(出力部1120)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
出力部1120は、各種の情報を出力する出力手段であり、ディスプレイ(若しくはモニタ、タッチパネル)やスピーカなどに対応する。通信制御IF部1130は、基地局100〜300との間におけるデータ通信を制御する手段である。入出力制御IF部1140は、入力部1110、出力部1120、通信制御IF部1130、記憶部1150、制御部1160によるデータの入出力を制御する手段である。
記憶部1150は、制御部1160による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、記憶部1150は、受信時刻管理テーブル1150aと、地図データ1150bと、位置座標管理テーブル1150cとを記憶する。
受信時刻管理テーブル1150aは、基地局100〜300から送信される受信時刻データを管理するテーブルである。この受信時刻管理テーブル1150aのデータ構造は、図5に示した受信時刻管理テーブル550aと同様である。地図データ1150bは、地図上の情報(例えば、道路の座標・経路など)を含んだデータである。
位置座標管理テーブル1150cは、移動端末400の位置座標に関わる情報を管理するテーブルである。この位置座標管理テーブル1150cのデータ構造は、図6に示した位置座標管理テーブル550bと同様である。
図29の説明に戻ると、制御部1160は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、制御部1160は、データ管理部1160aと、位置座標算出部1160bとを有する。
データ管理部1160aは、記憶部1150に記憶されたデータを管理する手段である。例えば、データ管理部1160aは、基地局100〜300から受信時刻データを取得した場合には、取得した受信時刻データを受信時刻管理テーブル1150aに登録する。なお、データ管理部1160aは、位置座標算出部1160bから位置座標の算出が完了した旨の情報を取得した場合には、受信時刻管理テーブル1150aに登録されたデータを削除する。
位置座標算出部1160bは、受信時刻管理テーブル1150aと、地図データ1150bとを基にして、移動端末400の位置を測定(算出)する手段である。位置座標算出部1160bは、測定結果(測定した時刻、位置座標)を位置座標管理テーブル1150cに登録する。
以下において、位置座標算出部1160bの処理を具体的に説明する。まず、位置座標算出部1160bは、受信時刻管理テーブル1150aを参照し、移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数(例えば、3)未満であるか否かを判定する。
移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数以上の場合には、位置座標算出部1160bは、周知技術であるTDOA方式と同様の手法を用いて移動端末400の位置座標を算出する。
すなわち、位置座標算出部1160bは、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線1を求め、基地局100の受信時刻と基地局300の受信時刻との時間差から双曲線2を求める(基地局100〜300の位置座標は、位置座標算出部1160bが保持しているものとする)。そして、位置座標算出部1160bは、双曲線1と双曲線2との交点Aを、移動端末400の位置座標として算出する(図28参照)。
一方、移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数未満の場合には、位置座標算出部1160bは、電波を受信できた基地局から送信された受信時刻データと、地図データ1150bとを基にして移動端末400の位置座標を算出する。
ここでは一例として、基地局300が移動端末400からの電波を受信できていない場合の位置座標算出部1160bの処理を説明する。まず、位置座標算出部1160bは、基地局100の受信時刻と基地局200の受信時刻との時間差から双曲線3を算出する。
そして、測位サーバ1100は、地図データ1150bと時刻T1での移動端末400の位置座標Aとを比較して、移動端末400の移動する経路を判定し、判定した経路と、双曲線3との交点B7を時刻T2における移動端末400の位置座標として算出する。
位置座標算出部1160bは、算出した位置座標と算出した時刻を位置座標管理テーブル1150cに登録すると共に、位置座標の算出が完了した旨の情報をデータ管理部1160aに出力する。
次に、本実施例7にかかる測位サーバ1100の処理手順について説明する。図30は、本実施例7にかかる測位サーバ1100の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、測位サーバ1100は、データ管理部1160aが各基地局から受信時刻データを取得し(ステップS701)、受信時刻データを受信時刻管理テーブル1150aに登録する(ステップS702)。
そして、位置座標算出部1160bが、受信時刻データのみで位置座標を算出可能であるか否かを判定し(ステップS703)、算出可能である場合には(ステップS704,Yes)、受信時刻データから算出される双曲線を基にして移動端末400の位置座標を算出する(ステップS705)。
一方、受信時刻データのみで位置座標を算出できない場合には(ステップS704,No)、地図データと、受信時刻データから算出される双曲線を基にして移動端末400の位置座標を算出する(ステップS706)。
上述してきたように、本実施例7にかかる無線測位システムは、測位サーバ1100が移動端末400の地図データと受信時刻データとを基にして移動端末400の位置座標を算出するので、移動端末400からの電波を受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末400の位置座標を算出することができる。
次に、本実施例8にかかる無線測位システムの概要および特徴について説明する。図31は、本実施例8にかかる無線測位システムの概要および特徴を説明するための図である。図31に示すように、この無線測位システムは、基地局110,210と、移動端末480と、測位サーバ1200とを有する。
このうち、基地局110,210は、移動端末400との間で電波を送受信することにより、移動端末480との間の距離を算出し、算出した距離の情報を測位サーバ1200に出力する装置である。以下の説明において、基地局(110または210)と移動端末480との間の距離を距離データと表記する。
測位サーバ1200は、基地局110,210から取得する距離データを基にして移動端末480の位置座標を算出する装置である。この測位サーバ1200は、基地局110,210が、移動端末480からの電波を受信できた場合には、周知のTWR−TOA方式に基づいて移動端末480の位置座標を算出する。
例えば、時刻T1において、基地局110,120が移動端末480と電波の送受信を実行でき、測位サーバ1200が基地局110,210から距離データを取得した場合には、円1,2を求める。
円1は、基地局110の位置座標を中心とし、基地局110と移動端末480との距離を半径とする円であり、円2は、基地局210の位置座標を中心とし、基地局210と移動端末480との距離を半径とする円である。測位サーバ1200は、円1と円2との交点Aを移動端末480の位置座標として算出する。
一方、障害物等の影響により、基地局110,220のいずれかが、移動端末480からの電波を受信できない場合(電波を受信できる基地局の数が規定数「2」未満の場合)には、電波を受信できた基地局から送信される距離データと、過去の時点における移動端末480の移動方向とを基にして移動端末480の位置座標を算出する。
例えば、時刻T2において基地局210が移動端末480との間で電波を送受信できない場合について説明する。測位サーバ1200は、基地局110から距離データを取得し、基地局110の位置座標を中心とする円3を算出する。
そして、測位サーバ1200は、時刻T1における位置座標Aから移動端末480の移動方向に伸ばした線と、円3との交点B8を求め、求めた交点B8を時刻T2における移動端末480の位置座標として算出する。ただし、前提条件として、基地局110,210は、時刻T1において移動端末480と電波の送受信が可能であり、測位サーバ1200は、時刻T1における移動端末480の位置座標Aおよび移動方向を算出しているものとする。
このように、本実施例8にかかる無線測位システムは、過去の時点における移動端末480の移動方向と距離データとを基にして移動端末480の位置座標を算出するので、移動端末480からの電波を送受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末480の位置座標を算出することができる。
次に、図31に示した基地局110〜210、移動端末480、測位サーバ1200の構成について順に説明する。図32は、本実施例8にかかる基地局110,210の構成を示す機能ブロック図である。なお、基地局110,210の構成は同一なので、ここでは基地局110の構成のみ説明する。
図32に示すように、この基地局110は、MPU111と、PN系列発生部112と、PPMデータ変調部113と、インパルス生成部114と、バンドパスフィルタ部(BPF)115,119と、パワーアンプ部(PA)116と、送信時刻保持部117と、タイマ118と、低雑音アンプ部(LNA)120と、相関器122と、受信時刻保持部123と、PPMデータ復調部124とを有する。
このうち、MPU111は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理手順を実行する制御手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、MPU111は、基地局110と移動端末400との距離を算出し、算出した距離の情報(距離データ)を測位サーバ1200に出力する。
MPU111は、送信時刻保持部117から電波を移動端末400に送信した送信時刻を取得し、受信時刻保持部123から電波を移動端末400から受信した受信時刻を取得し、送信時刻と受信時刻との差および光速などを基にして、基地局110と移動端末400との距離を算出する。
PN系列発生部112は、送信データを送信する場合に、PN系列を発生させる手段である。PN系列発生部112は、発生させたPN系列をPPMデータ変調部113、送信時刻保持部117、相関器122に出力する。
PPMデータ変調部113は、PN系列発生部112から入力されるPN信号を利用して、送信データをパルス位置変調する手段である。PPMデータ変調部113は、パルス位置変調した送信データの信号をインパルス生成部114に出力する。
インパルス生成部114は、PPMデータ変調部113から入力される信号に基づいてインパルス電波を生成する手段である。インパルス生成部114は、生成したインパルス信号をバンドパスフィルタ部115に出力する。
バンドパスフィルタ部115は、インパルス生成部114からインパルス電波を取得した場合に、取得したインパルス電波に含まれる余分な周波数成分を除去する手段である。バンドパスフィルタ部115は、余分な周波数成分を除去したインパルス電波をパワーアンプ部116に出力する。
送信時刻保持部117は、移動端末400に送信される電波の送信時刻を特定し、特定した送信時刻の情報をMPU111に出力する手段である。例えば、送信時刻保持部117は、PN系列発生部112からPN系列を取得した時刻を送信時刻として特定する。タイマ118は、時刻の情報を送信時刻保持部117および受信時刻保持部123に出力する手段(タイマ)である。このタイマ118は、測位サーバ1200からのクロックに同期して動作する。
バンドパスフィルタ部119は、アンテナを介して移動端末400からインパルス電波を受信した場合に、受信したインパルス電波に含まれる余分な周波数成分を除去する手段である。バンドパスフィルタ部119は、余分な周波数成分を除去したインパルス電波を低雑音アンプ部120に出力する。
低雑音アンプ部120は、バンドパスフィルタ部119から入力されるインパルス電波を増幅する手段である。低雑音アンプ部120は、増幅したインパルス電波をパルス検出部121に出力する。
パルス検出部121は、インパルス電波に含まれるパルスを検出する手段である。このパルス検出部121は、公知のダイオードによる包絡線検波回路とコンパレータなどで実現される。パルス検出部121は、検出したパルスを相関器122に出力する。
相関器122は、パルス検出部121から入力されるパルスとPN系列発生部112から入力されるRN系列とを比較することにより、パルスのプリアンブル部を検出し、同期を確立する手段である。
受信時刻保持部123は、相関器122によってパルスのプリアンブル部が検出された場合に、パルスのプリアンブル部に続くデータ部を検出し、かかるデータ部を検出した時刻の情報(受信時刻)を特定して保持する手段である。受信時刻保持部123は、受信時刻の情報をMPU111に出力する。
PPMデータ復調部124は、相関器122によってパルスのプリアンブル部が検出された場合に、パルスのプリアンブル部に続くデータ部のPPM(パルス位置変調された信号)を復調し、受信データを生成する手段である。PPMデータ復調部124は、生成した受信データをMPU111に出力する。
移動端末480の構成は、図32に示した基地局110の構成と同様であるので説明を省略する。ただし、移動端末480は、基地局110,210から電波を受信した場合に、受信した電波の応答となる電波を送信元に返信する。
図33は、本実施例8にかかる測位サーバ1200の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この測位サーバ1200は、入力部1210と、出力部1220と、通信制御IF部1230と、入出力制御IF部1240と、記憶部1250と、制御部1260とを有する。
このうち、入力部1210は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどに対応する。なお、後述するディスプレイ(出力部1220)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
出力部1220は、各種の情報を出力する出力手段であり、ディスプレイ(若しくはモニタ、タッチパネル)やスピーカなどに対応する。通信制御IF部1230は、基地局110,210との間におけるデータ通信を制御する手段である。入出力制御IF部1240は、入力部1210、出力部1220、通信制御IF部1230、記憶部1250、制御部1260によるデータの入出力を制御する手段である。
記憶部1250は、制御部1260による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、記憶部1250は、距離管理テーブル1250aと位置座標管理テーブル1250bとを記憶する。
距離管理テーブル1250aは、基地局110,210から送信される距離データを管理するテーブルである。図34は、本実施例8にかかる距離管理テーブル1250aのデータ構造の一例を示す図である。
図34に示すように、この距離管理テーブル1250aは、基地局を識別する基地局識別情報と、距離情報(距離データに対応)と、距離データを測定した時刻の情報となる時刻情報とを有する。
例えば、基地局識別情報「1001」は基地局110、基地局識別情報「1002」は基地局210にそれぞれ対応する。また、仮に、基地局識別情報「1002」に対応する距離データが存在しない場合には、障害物等の影響により、基地局210が移動端末400との間で電波を送受信できていない旨を示す。
位置座標管理テーブル1250bは、移動端末400の位置座標に関わる情報を管理するテーブルである。この位置座標管理テーブル1250bのデータ構造は、図6に示した位置座標管理テーブル550bと同様である。
図33の説明に戻ると、制御部1260は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する手段である。特に、本発明に密接に関連するものとして、制御部1260は、データ管理部1260aと、位置座標算出部1260bとを有する。
データ管理部1260aは、記憶部1250に記憶されたデータを管理する手段である。例えば、データ管理部1260aは、基地局110,210から距離データを取得した場合には、取得した距離データを距離管理テーブル1250aに登録する。なお、データ管理部1260aは、位置座標算出部1260bから位置座標の算出が完了した旨の情報を取得した場合には、距離管理テーブル1250aに登録されたデータを削除する。
位置座標算出部1260bは、距離管理テーブル1250aと、位置座標管理テーブル1250bとを基にして、移動端末400の位置を測定(算出)する手段である。位置座標算出部1260bは、測定結果(測定した時刻、位置座標)を位置座標管理テーブル1250bに登録する。
以下において、位置座標算出部1260bの処理を具体的に説明する。まず、位置座標算出部1260bは、距離管理テーブル1250aを参照し、移動端末400からの電波を送受信できている基地局の数が規定数(例えば、2)未満であるか否かを判定する。
移動端末400からの電波を受信できている基地局の数が規定数以上の場合には、位置座標算出部1260bは、周知技術であるTWR−TOA方式と同様の手法を用いて移動端末400の位置座標を算出する。
すなわち、位置座標算出部1260bは、基地局110から取得した距離データおよび基地局210から取得した距離データにもとづいて、円1,2を求め、円1と円2との交点Aを移動端末400の位置座標として算出する。
一方、障害物等の影響により、基地局110,220のいずれかが、移動端末400からの電波を受信できない場合(電波を受信できる基地局の数が規定数「2」未満の場合)には、電波を受信できた基地局から送信される距離データと、過去の時点における移動端末400の移動方向とを基にして移動端末400の位置座標を算出する。
ここでは一例として、基地局210が移動端末400からの電波を受信できていない場合の位置座標算出部1260bの処理を説明する。まず、位置座標算出部1260bは、は、基地局110から受信した距離データに基づいて円3を求める。そして、位置座標算出部1260bは、位置座標管理テーブル1250bに基づいて、移動端末400の移動方向を特定する。
位置座標算出部1260bは、どのように移動端末400の移動方向を算出しても構わない。例えば、位置座標算出部1260bは、位置座標管理テーブル1250bに最後に登録された位置座標の一つ前の位置座標(図6の位置座標「C」)から最後に登録された位置座標(図6の位置座標「A」)の向きを移動端末400の移動方向として特定することができる。
そして、測位サーバ1200は、位置座標Aから移動端末400の移動方向に伸ばした線と、円3との交点B8を求め、求めた交点B8を時刻T2における移動端末400の位置座標として算出する。ただし、前提条件として、基地局110,210は、時刻T1において移動端末400と電波の送受信が可能であり、測位サーバ1200は、時刻T1における移動端末400の位置座標Aおよび移動方向を算出しているものとする。
このように、本実施例8にかかる無線測位システムは、過去の時点における移動端末400の移動方向と距離データとを基にして移動端末400の位置座標を算出するので、移動端末400からの電波を送受信可能な基地局の数が規定数未満であっても、移動端末400の位置座標を算出することができる。
ここで、実施例8に示した無線測位システムは、実施例1による移動端末の位置座標特定方法を、TWR−TOA方式に適用した場合の実施例である。同様に、実施例2〜7に示した移動端末の位置座標特定方法を、TWR−TOA方式に適用することもできる。
ところで、実施例1〜実施例8に示した移動端末の位置座標を算出する方法は、いずれか一つを選択して移動端末の位置座標を算出しても良いし、いくつかの方法を組合せてもよい。例えば、m種類の方法を組合せた場合、適当な重み付けをした平均値として位置座標(Xt、Yt)を算出しても良い。
例えば、方法1で算出した位置座標を(X1、Y1)、・・・、方法mで算出した位置座標を(Xm、Ym)とした場合、重みW1、・・・、Wmを使用して、
Xt=W1X1+W2Y2+・・・+WmXm
Yt=W1Y1+W2Y2+・・・+WmYm
となる。ただし、W1+W2+・・・+Wm=1とする。
上記の重みW1〜Wmは、どのように設定しても構わないが、例えば、過去に必要個数(例えば、3個)の基地局で受信できて測位可能であった場合に、その時点での位置情報から最適な重みを計算しておき、必要個数が得られなくなった時点(例えば、時刻T2)でその重みを使用しても良い。
すなわち、時刻T1、・・・、Tnのときに求められた測定結果(位置座標)をXt(T1)、Yt(T1)、・・・、Xt(Tn)、Yt(Tn)とし、方法mでの位置座標をXm(T1)、Ym(T1)、・・・、Xm(Tn)、Ym(Tn)とすると、Xt(T1)、Yt(T1)〜Xt(T1)、Yt(T1)と、Xm(T1)、Ym(T1)〜Xm(Tn)、Ym(Tn)との関係は、重みW1〜Wmを用いて次式で表すことができる。
そして、Ptを
Pを
Wを
とすると、式(2)は、
Pt=PWによって表すことができる。
従って、重みWは、
W=(PTP)−1PTPt
によって求めることができる。ただし、ATはAの転置行列であり、A−1はAの逆行列である。測位サーバの位置座標算出部は、上記式を用いて、重みを算出し、移動端末の位置座標を算出する。
ところで、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部あるいは一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、実施例1〜8に示した測位サーバ500〜1200の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部がCPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
図35は、実施例にかかる測位サーバを構成するコンピュータ60のハードウェア構成を示す図である。図35に示すように、このコンピュータ(測位サーバ)60は、入力装置61、ディスプレイ62、RAM(Random Access Memory)63、ROM(Read Only Memory)64、基地局とデータ通信を行う通信制御装置65、記憶媒体からデータを読み取る媒体読取装置66と、CPU(Central Processing Unit)67、HDD(Hard Disk Drive)68をバス69で接続している。
そして、HDD68には、上述した測定サーバ500〜1200の機能と同様の機能を発揮する位置座標算出プログラム68bが記憶されている。CPU67が、位置座標算出プログラム68bを読み出して実行することにより、位置座標算出プロセス67aが起動される。ここで、位置座標算出プロセス67aは、実施例1〜8に示したデータ管理部560a〜1260a、位置座標算出部560b〜1260aに対応する。
なお、HDD68は、実施例1〜8の記憶部550〜1250に記憶されたデータに対応する各種データ68aを記憶している。CPU67は、HDD68に記憶された各種データ68aをRAM63に読み出し、各種データ63aおよび基地局から送信されるデータを基にして移動端末の位置座標を算出する。
ところで、図35に示した位置座標算出プログラム68bは、必ずしも最初からHDD68に記憶させておく必要はない。たとえば、コンピュータに挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータに接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに位置座標算出プログラム68bを記憶しておき、コンピュータがこれらから位置座標算出プログラム68bを読み出して実行するようにしてもよい。
以上の実施例1〜8を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)移動端末と電波の送受信を行う位置が既知の基地局から、前記移動端末から電波を受信した時刻あるいは前記移動端末との距離の情報を含んだ電波情報を取得する取得手段と、
前記移動端末との間で電波の送受信を行うことのできる基地局の数が規定数未満の場合に、過去に測定した前記移動端末の位置および測定した時刻を含む測位情報、前記移動端末に設置されたセンサの情報あるいは地図情報と、前記電波情報とを基にして前記移動端末の位置を算出する算出手段と
を備えたことを特徴とする測位装置。
(付記2)前記算出手段は、前記測位情報に基づいて過去の時点における前記移動端末の移動方向を算出し、算出した移動方向と前記電波情報とを基にして前記移動端末の位置を算出することを特徴とする付記1に記載の測位装置。
(付記3)前記算出手段は、前記測位情報に基づいて過去の時点のおける前記移動端末の移動速度を算出し、算出した移動速度と前記電波情報とを基にして前記移動端末の位置を算出することを特徴とする付記1または2に記載の測位装置。
(付記4)前記算出手段は、前記測位情報に基づいて過去の時点における前記移動端末の速度ベクトルを算出し、算出した速度ベクトルと前記電波情報とを基にして前記移動端末の位置を算出することを特徴とする付記1、2または3に記載の測位装置。
(付記5)前記算出手段は、前記電波情報と、当該電波情報を前記基地局から取得する前に、前記基地局から取得した電波情報とを基にして前記移動端末の位置を算出することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の測位装置。
(付記6)前記算出手段は、前記センサの情報に含まれる前記移動端末の加速度および角速度を積分することで前記移動端末の推定位置を算出し、算出した推定位置と前記電波情報とを基にして前記移動端末の位置を算出することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の測位装置。
(付記7)前記算出手段は、前記センサの情報に含まれるユーザの歩数情報に基づいて前記移動端末の移動量を算出し、算出した移動量と前記電波情報とを基にして前記移動端末の位置を算出することを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の測位装置。
(付記8)前記算出手段は、前記地図情報に含まれる前記移動端末の移動通路と前記電波情報とを基にして前記移動端末の位置を算出することを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の測位装置。
(付記9)前記算出手段は、前記測位情報および電波情報を基にして算出した前記移動端末の第1の位置と、前記センサの情報および電波情報を基にして算出した前記移動端末の第2の位置と、前記地図情報および前記電波情報を基に算出した前記移動端末の第3の位置とを算出し、前記第1、2、3の位置に重みをかけて平均化した値を前記移動端末の位置として算出することを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の測位装置。
(付記10)移動端末と電波の送受信を行う位置が既知の基地局と、当該基地局と通信を行い前記移動端末の位置を測定する測位装置とを有する測位システムであって、
前記測位装置は、
前記基地局から、前記移動端末から電波を受信した時刻あるいは前記移動端末との距離の情報を含んだ電波情報を取得する取得手段と、
前記移動端末との間で電波の送受信を行うことのできる基地局の数が規定数未満の場合に、過去に測定した前記移動端末の位置および測定した時刻を含む測位情報、前記移動端末に設置されたセンサの情報あるいは地図情報と、前記電波情報とを基にして前記移動端末の位置を算出する算出手段と
を備えたことを特徴とする測位システム。