以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の運転支援装置1の構成概略図である。運転支援装置1は、自車両に搭載され、ECU(Electronic Control Unit)2と、GPS(Global Positioning System)受信機3と、ナビゲーションシステム4と、車載カメラ5と、レーダ6と、通信装置7と、車速センサ8と、加速度センサ9と、ブレーキアクチュエータ11と、アクセルアクチュエータ12と、を含んで構成されている。
ECU2は、自車両の位置等に応じて運転支援を行う装置である。ECU2は、自車両に搭載されており、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェイス等を含むコンピュータを主体として構成されている。ECU2は、GPS受信機3、ナビゲーションシステム4、車載カメラ5、レーダ6、通信装置7、車速センサ8、加速度センサ9、ブレーキアクチュエータ11、アクセルアクチュエータ12に接続されている。またECU2は、近接交差点選定部21と自車両通過時間帯算出部22と他車両通過時間帯算出部23と時間帯重複判定部24とリスクポテンシャル算出部25と運転支援部26とを備えて構成されている。
GPS受信機3は、衛星測位システムの情報端末機であって、自車両の走行位置を取得するために用いられるものである。GPS受信機3は、取得した自車両の走行位置に関する走行位置情報をECU2に送信する。ナビゲーションシステム4は、地図情報を記憶する図示しない地図情報DBを備えており、地図情報DBに記憶された地図情報に基づいて、入力された目的地までの経路を算出し、図示しないディスプレイやスピーカ等を用いて経路案内を行うものである。また、ナビゲーションシステム4は、自車両が現在走行している位置に関する走行位置情報や、自車両の走行位置の近傍における地図情報をECU2に送信する。
車載カメラ5は、例えば自車両の前部に設けられており、自車両が走行する道路の路面や周囲環境等を撮像する。車載カメラ5は、撮像した画像を画像情報としてECU2に送信する。レーダ6は、例えば自車両の前面中央に設けられており、ミリ波を利用して前方の物体を検出するレーダである。レーダ6は、ミリ波を自車両から前方に向けて出射し、先行車や対向車、路側物、障害物等から反射してきたミリ波を受信する。そして、レーダ6は、出射から受信までの時間を計測することによって自車両から先行車や対向車、路側物、障害物までの距離を算出する。レーダ6は、算出した自車両から先行車や対向車、路側物、障害物までの距離に関する距離情報をECU2に送信する。
通信装置7は、主要道路等に設けられた路側装置や基地局、あるいは他車両との間で双方向通信を行う通信装置である。通信装置7は、例えば他車両の走行位置を示す他車両走行位置情報、他車両の車速を示す他車両車速情報、他車両の走行経路を示す他車両走行経路情報等の他車両走行情報を取得し、ECU2に送信する。
車速センサ8は、例えば自車両の車輪部に設けられ、車輪の回転数を検出しており、検出した車輪の回転数から走行状態の車速を算出する。車速センサ8は、算出した車速に基づく車速情報をECU2に送信する。加速度センサ9は、例えば自車両の前部に設けられており、自車両の前後加速度と横加速度を検出する。加速度センサ9は、各加速度に基づく加速度情報をECU2に送信する。
ブレーキアクチュエータ11は、自車両のブレーキの制動量を制御するアクチュエータであり、ECU2から出力される加減速度情報に基づいて、ブレーキの制動量を調整する。アクセルアクチュエータ12は、自車両のスロットル開度を調整するアクチュエータであり、ECU2から出力される加減速度情報に基づいて、スロットル開度を調整する。
続いて、第1実施形態のECU2の各機能について以下に説明を行う。
近接交差点選定部21は、自車両の進行方向において最初に到達する交差点である近接交差点を選定する近接交差点選定手段として機能するものである。近接交差点選定部21は、GPS受信機3から受信した走行位置情報と、ナビゲーションシステム4から受信した地図情報とに基づいて、自車両の現在位置から進行方向に存在する最も近い交差点を近接交差点として選定する。近接交差点選定部21は、選定した近接交差点を識別可能な交差点識別情報等を含む近接交差点情報を、自車両通過時間帯算出部22及び他車両通過時間帯算出部23に送信する。
自車両通過時間帯算出部22は、自車両の走行情報に基づいて、自車両が交差点を通過する時間帯である自車両通過時間帯を算出する自車両通過時間帯算出手段として機能するものである。自車両通過時間帯算出部22は、近接交差点選定部21から近接交差点情報を受信すると、当該近接交差点情報が示す近接交差点の入口及び出口の位置情報をナビゲーションシステム4からそれぞれ取得する。そして、自車両通過時間帯算出部22は、GPS受信機3から受信した走行位置情報と近接交差点の入口の位置情報及び出口の位置情報とに基づいて、自車両の現在走行位置から近接交差点の入口及び出口までの距離をそれぞれ算出する。
自車両通過時間帯算出部22は、車速センサ8から受信した車速情報、加速度センサ9から受信した加速度情報等の自車両走行情報に基づいて、自車両が近接交差点の入口及び出口に到達するのに要するそれぞれ時間を推定する。さらに、自車両通過時間帯算出部22は、推定した時間を現在時刻にそれぞれ加えることで、自車両が近接交差点の入口に到達する時刻と自車両が近接交差点の出口に到達する時刻とを算出する。自車両通過時間帯は、この自車両が近接交差点の入口に到達する時刻から自車両が近接交差点の出口に到達する時刻までの時間帯である。
他車両通過時間帯算出部23は、他車両の走行情報である他車両走行情報に基づいて、他車両が交差点を通過する時間帯である他車両通過時間帯を算出する他車両通過時間帯算出手段として機能するものである。他車両通過時間帯算出部23は、近接交差点選定部21から近接交差点情報を受信すると、当該近接交差点情報が示す近接交差点の入口及び出口の位置情報をナビゲーションシステム4からそれぞれ取得する。他車両通過時間帯算出部23は、車載カメラ5から受信した画像情報を解析して、他車両の走行位置、車速、向き、サイズ等を算出する。
そして、他車両通過時間帯算出部23は、他車両の走行位置と近接交差点の入口の位置情報及び出口の位置情報とに基づいて、他車両の現在走行位置から近接交差点の入口及び出口までの距離をそれぞれ算出する。他車両通過時間帯算出部23は、算出した他車両の車速と、他車両の現在走行位置から近接交差点の入口及び出口までの距離と、に基づいて、他車両が近接交差点の入口及び出口に到達するのに要するそれぞれ時間を推定する。
さらに、他車両通過時間帯算出部23は、現在時刻に推定した時間をそれぞれ加えることで、他車両が近接交差点の入口に到達する時刻と他車両が近接交差点の出口に到達する時刻とを算出する。他車両通過時間帯は、この他車両が近接交差点の入口に到達する時刻から他車両が近接交差点の出口に到達する時刻までの時間帯である。なお、他車両通過時間帯算出部23は、近接交差点選定部21から受信した近接交差点情報と、通信装置7から受信した他車両走行情報と、に基づいて、他車両通過時間帯を算出してもよい。
時間帯重複判定部24は、自車両通過時間帯算出部22によって算出された自車両通過時間帯と他車両通過時間帯算出部23によって算出された他車両通過時間帯とが重複するか否かを判定する時間帯重複判定手段として機能するものである。時間帯重複判定部24は、自車両通過時間帯と他車両通過時間帯とが重複すると判定した場合は、重複を示す情報である時間帯重複情報をリスクポテンシャル算出部25又は運転支援部26に送信する。
リスクポテンシャル算出部25は、所定の位置に対するリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段として機能するものである。リスクポテンシャルとは、所定の位置や障害物等に対する衝突リスクの度合いを示す値である。具体的には、所定の位置や障害物等に対する現在の自車両の相対速度に基づいて、自車両が所定の位置や障害物等に衝突するまでの時間を算出し、その逆数にリスクポテンシャル算出対象の種別に応じて設定される重み係数を乗じた値である。
リスクポテンシャル算出部25は、時間帯重複判定部24から時間帯重複情報を受信した場合にのみ、所定の位置に対するリスクポテンシャルを算出する。リスクポテンシャル算出部25は、GPS受信機3から受信した走行位置情報及び車速センサ8から受信した車速情報と、リスクポテンシャル算出対象の位置情報とに基づいて、所定の位置に到達するまでに要する時間を算出する。リスクポテンシャル算出部25は、算出した時間の逆数に、リスクポテンシャル算出対象の種別に応じて設定される重み係数を乗じた値をリスクポテンシャルとして算出する。第1実施形態においては、リスクポテンシャル算出部25は、近接交差点の入口に対するリスクポテンシャルを算出する。リスクポテンシャル算出部25は、算出したリスクポテンシャルを示す情報であるリスクポテンシャル情報を運転支援部26に送信する。
運転支援部26は、自車両の運転支援を行う運転支援手段として機能するものである。運転支援部26は、時間帯重複判定部24から時間帯重複情報を受信した場合にのみ運転支援を行う。運転支援部26は、リスクポテンシャルと加減速度量とを対応付けて保持している制御量マップを参照し、リスクポテンシャル算出部25から受信したリスクポテンシャル情報に基づいて、ブレーキアクチュエータ11、アクセルアクチュエータ12の少なくともいずれかに対して加減速度情報を送信する。第1実施形態においては、運転支援部26は、リスクポテンシャルが高いほど自車両が交差点に進入するのを抑制するように制御するための押し返し制御量マップを参照する。
続いて、図2のフローチャートを用いて、第1実施形態に係る運転支援装置1における運転支援処理の手順について説明する。この処理は、ECU2に予め設定された周期で繰り返し実施される。
まず、ECU2は、自車両が走行中であるか否かを判定する(S1)。ECU2は、例えば、車速センサ8から受信した車速情報に基づいて判定を行う。自車両が走行中でないと判定された場合(S1;No)、ECU2は、運転支援を行うことなく処理を終了する。一方で、S1の判定において、自車両が走行中であると判定された場合(S1;Yes)、ECU2は、GPS受信機3から送信された自車両の走行位置情報、車速センサ8から送信された車速情報、加速度センサ9から送信された加速度情報の少なくともいずれかを含む自車両走行情報を取得する(S2)。
ECU2は、車載カメラ5から送信された画像情報、レーダ6から送信された距離情報、通信装置7から送信された他車両走行情報の少なくともいずれかを含む他車両走行情報を取得する(S3)。次に、近接交差点選定部21は、GPS受信機3から取得した走行位置情報と、ナビゲーションシステム4から取得した地図情報とに基づいて、自車両の現在位置に対して進行方向に存在する最も近い交差点を近接交差点として選定する(S4)。
次に、自車両通過時間帯算出部22は、自車両が近接交差点選定部21によって選定された近接交差点を通過する自車両通過時間帯を算出する(S5)。また、他車両通過時間帯算出部23は、他車両が近接交差点選定部21によって選定された近接交差点を通過する他車両通過時間帯を算出する(S6)。時間帯重複判定部24は、自車両通過時間帯算出部22により算出された自車両通過時間帯と他車両通過時間帯算出部23により算出された他車両通過時間帯とを比較し、重複するか否かを判定する(S7)。自車両通過時間帯と他車両通過時間帯とが重複しないと判定された場合は(S7;No)、他車両と衝突する可能性が低いことから、運転支援を行うことなく処理を終了する。
一方、S7の判定において、自車両通過時間帯と他車両通過時間帯とが重複すると判定された場合は(S7;Yes)、リスクポテンシャル算出部25は、近接交差点の入口に対するリスクポテンシャルを算出する(S8)。そして、運転支援部26は、押し返し制御量マップを参照して、リスクポテンシャル算出部25によって算出されたリスクポテンシャルに対応する加減速度量を取得し、加減速度情報としてブレーキアクチュエータ11、あるいは、アクセルアクチュエータ12に送信する(S9)。
このように、第1実施形態の運転支援装置1によれば、自車両通過時間帯と他車両通過時間帯とが重複しない場合は、運転支援を行わないことにより、他車両と衝突する可能性が低い場合に、運転支援を行わないようにすることができる。このため、他車両が十分遠方に存在する場合等、他車両と衝突する可能性が低い場合には、減速等の不要な支援が行われることを抑制することが可能となる。その結果、運転支援を必要に応じてより適切に行うことが可能となる。
また、第1実施形態の運転支援装置1によれば、自車両通過時間帯と他車両通過時間帯とが重複する場合に、近接交差点の入口に対するリスクポテンシャルを算出し、リスクポテンシャルに応じて加減速度等の制御量を調整することで、他車両と衝突する可能性がある状態において、自車両が交差点に近づくほど自車両が交差点内に進入するのを抑制することができ、自車両が交差点内で停止することを抑制することができる。
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の運転支援装置1Aの構成概略図である。第1実施形態の運転支援装置1と比較すると、運転支援装置1Aは、ECU2に代えてECU2Aを備える点が異なる。第1実施形態のECU2と比較すると、ECU2Aは、自車両走行位置判定部27と、TTC算出部28と、をさらに含んで構成され、リスクポテンシャル算出部25、運転支援部26に代えて、リスクポテンシャル算出部25A、運転支援部26Aを備える点が異なる。
自車両走行位置判定部27は、自車両が交差点を走行中か否かを判定する走行位置判定手段として機能するものである。自車両走行位置判定部27は、近接交差点選定部21から受信した近接交差点情報と、GPS受信機3から受信した自車両の走行位置情報と、に基づいて、自車両が近接交差点を走行中か否かを判定する。具体的に説明すると、自車両走行位置判定部27は、自車両の走行位置情報により特定される自車両の現在位置が、近接交差点情報によって示される交差点の領域内に存在するか否かを判定することによって自車両が近接交差点を走行中か否かを判定する。
TTC算出部28は、他車両とのTTC(Time To Collision)を算出するTTC算出手段として機能するものである。TTC算出部28は、GPS受信機3から受信した走行位置情報及び車速センサ8から受信した車速情報と、車載カメラ5から受信した画像情報を解析して算出した他車両の走行位置情報及び車速情報と、に基づいて、他車両に対するTTCを算出する。ここで、TTCは、自車両と他車両とが現在の走行状態で走行した場合に何秒後に衝突するかを示す値である。TTC算出部28は、算出したTTCを示すTTC情報をリスクポテンシャル算出部25A又は運転支援部26Aに送信する。なお、他車両と自車両とが衝突する可能性がない場合には、TTCは最大値として算出される。
リスクポテンシャル算出部25Aは、自車両走行位置判定部27により自車両が近接交差点内を走行していないと判定され、時間帯重複判定部24により自車両通過時間帯と他車両通過時間帯とが重複すると判定された場合に、近接交差点の入口に対するリスクポテンシャルを算出する。また、リスクポテンシャル算出部25Aは、自車両走行位置判定部27により自車両が近接交差点内を走行していると判定された場合、TTC算出部28により算出された他車両に対するTTCが所定の値T1より小さいか否かを判定する。そして、リスクポテンシャル算出部25Aは、TTCが所定の値T1より小さいと判定した場合に、近接交差点の中心位置に対するリスクポテンシャルを算出する。リスクポテンシャル算出部25Aは、算出したリスクポテンシャルを示す情報であるリスクポテンシャル情報を運転支援部26Aに送信する。
運転支援部26Aは、自車両走行位置判定部27により自車両が近接交差点内を走行していないと判定された場合、運転支援部26と同様に押し返し制御量マップを参照し、リスクポテンシャル算出部25Aから受信したリスクポテンシャル情報に基づいて、ブレーキアクチュエータ11、アクセルアクチュエータ12の少なくともいずれかに対して加減速度情報を送信する。
また、運転支援部26Aは、自車両走行位置判定部27により自車両が近接交差点内を走行していると判定された場合、リスクポテンシャルが高いほど自車両を交差点から追い出すように制御するための押し出し制御量マップを参照し、リスクポテンシャル算出部25Aから受信したリスクポテンシャル情報に基づいて、ブレーキアクチュエータ11、アクセルアクチュエータ12の少なくともいずれかに対して加減速度情報を送信する。
その他の構成については、第1実施形態のECU2と同様であるので、その説明を省略する。
続いて、図4のフローチャートを用いて、第2実施形態に係る運転支援装置1Aにおける処理手順について説明する。この処理は、ECU2Aに予め設定された周期で繰り返し実施される。
S11〜S14の処理は、図2のS1〜S4の処理と同様であるので、その説明を省略する。次に、自車両走行位置判定部27は、自車両が近接交差点選定部21により選定された近接交差点内を走行中か否かの判定を行う(S15)。自車両が近接交差点内を走行中でないと判定された場合(S15;No)、自車両通過時間帯算出部22は、自車両が近接交差点選定部21によって選定された近接交差点を通過する自車両通過時間帯を算出する(S16)。以降S16〜S20の処理は、図2のS5〜S9の処理と同様であるので、その説明を省略する。
S15の判定において、自車両が近接交差点内を走行中であると判定された場合(S15;Yes)、TTC算出部28は、他車両とのTTCを算出する(S21)。リスクポテンシャル算出部25Aは、TTC算出部28により算出されたTTCが所定の値T1より小さいか否かの判定を行う(S22)。ここで、所定の値T1は、ECU2Aに予め設定されている値であって、例えば2〜3秒程度である。TTCが所定の値T1以上である場合(S22;No)、ECU2Aは、運転支援を行うことなく処理を終了する。
一方で、S22の判定において、TTCが所定の値T1より小さい場合(S22;Yes)、リスクポテンシャル算出部25は、近接交差点選定部21により選定された近接交差点の中心位置に対して、リスクポテンシャルを算出する(S23)。そして、運転支援部26は、押し出し制御量マップを参照して、リスクポテンシャル算出部25によって算出されたリスクポテンシャルに対応する加減速度量を取得し、加減速度情報としてブレーキアクチュエータ11、あるいは、アクセルアクチュエータ12に送信する(S24)。
このように、第2実施形態の運転支援装置1Aによれば、自車両が交差点外を走行しており、自車両通過時間帯と他車両通過時間帯とが重複しない場合は、運転支援を行わないことにより、他車両と衝突する可能性が低い場合に、運転支援を行わないようにすることができる。このため、他車両が十分遠方に存在する場合等、他車両と衝突する可能性が低い場合には、減速等の不要な支援が行われることを抑制することが可能となる。その結果、運転支援を必要に応じてより適切に行うことが可能となる。
また、第2実施形態の運転支援装置1Aによれば、自車両が交差点外を走行しており、自車両通過時間帯と他車両通過時間帯とが重複する場合に、近接交差点の入口に対するリスクポテンシャルを算出し、リスクポテンシャルに応じて加減速度等の制御量を調整することで、他車両と衝突する可能性がある状態において、自車両が交差点に近づくほど自車両が交差点内に進入するのを抑制することができ、自車両が交差点内で停止することを抑制することができる。
また、第2実施形態の運転支援装置1Aによれば、自車両が交差点内を走行しており、他車両とのTTCが所定の値以上である場合は、運転支援を行わないことにより、他車両と衝突する可能性が低い場合に、運転支援を行わないようにすることができる。このため、他車両が十分遠方に存在する場合等、他車両と衝突する可能性が低い場合には、たとえ他車両との距離が相対的に短くなったとしても減速等の不要な支援が行われることを抑制することが可能となる。その結果、運転支援を必要に応じてより適切に行うことが可能となる。
また、第2実施形態の運転支援装置1Aによれば、自車両が交差点内を走行しており、他車両との衝突の可能性が高い場合に、交差点の中央位置に対するリスクポテンシャルを算出し、リスクポテンシャルに応じて加減速度等の制御量を調整することにより、他車両と衝突する可能性がある状態において、自車両が交差点中央に近づくほど自車両を交差点内から追い出すように制御することができ、自車両が交差点内で停止することを抑制することができる。
引き続いて、図5及び図6のフローチャートを用いて、第2実施形態に係る運転支援装置1Aにおける他の処理手順について説明する。この処理は、ECU2Aに予め設定された周期で繰り返し実施される。
S31〜S33の処理は、図2のS1〜S3の処理と同様であるので、その説明を省略する。次に、ECU2Aは、車載カメラ5から受信した画像情報、レーダ6から受信した距離情報、通信装置7から受信した他車両の走行情報の少なくともいずれかに基づいて、所定の範囲内に存在する他車両の台数Nを検出する(S34)。ここで、所定の範囲内とは、車載カメラ5又はレーダ6により検出可能な範囲としてもよいし、自車両を中心とした一定の範囲内であってもよい。また、ECU2Aは、検出した他車両それぞれに1から順に他車両番号を割り当てる。
次に、近接交差点選定部21は、GPS受信機3から取得した走行位置情報と、ナビゲーションシステム4から取得した地図情報とに基づいて、自車両の現在位置に対して進行方向に存在する最も近い交差点を近接交差点として選定する(S35)。次に、自車両走行位置判定部27は、自車両が近接交差点選定部21により選定された近接交差点内を走行中か否かの判定を行う(S36)。自車両が近接交差点内を走行中でないと判定された場合(S36;No)、ECU2Aは、変数jに1を加える(S37)。なお、変数jは初期値が0に設定されており、一連の処理が終了した場合に0にリセットされる。
以降S38〜S40、S42、S43の処理は、図2のS5〜S9の処理と同様であるので、その説明を省略する。S40の判定において、自車両通過時間帯と他車両通過時間帯とが重複しないと判定された場合は(S40;No)、ECU2Aは、変数jがN以上であるか否かを判定する(S41)。変数jがNより小さいと判定された場合(S41;No)、S37の処理に戻り、次の他車両について時間帯重複の判定処理を行う。一方で、S41の判定において、変数jがN以上であると判定された場合(S41;Yes)、検出した全ての他車両と衝突する可能性が低いことから、運転支援を行うことなく処理を終了する。
S36の判定において、自車両が近接交差点内を走行中であると判定された場合(S36;Yes)、ECU2Aは、変数jに1を加える(S44)。次に、TTC算出部28は、他車両番号jの他車両とのTTCを算出する(S45)。以降S46,S48,S49の処理は、図4のS22〜S24の処理と同様であるので、その説明を省略する。S46の判定において、TTCが所定の値T1以上である場合は(S46;No)、ECU2Aは、変数jがN以上であるか否かを判定する(S47)。変数jがNより小さいと判定された場合(S47;No)、S44の処理に戻り、次の他車両についてTTCの判定処理を行う。一方で、S47の判定において、変数jがN以上であると判定された場合(S47;Yes)、検出した全ての他車両と衝突する可能性が低いことから、運転支援を行うことなく処理を終了する。
このように、第2実施形態の運転支援装置1Aによれば、複数台の他車両を検出した場合、順番に他車両との衝突可能性の判定を行う。そして、第2実施形態の運転支援装置1Aによれば、いずれか1台の他車両と衝突する可能性がある場合には、以降の他車両との衝突可能性の判定を行うことなく、運転支援を行う。このため、交通量の多い交差点においても、計算負荷を抑えることができる。
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の運転支援装置1Bの構成概略図である。第2実施形態の運転支援装置1Aと比較すると、運転支援装置1Bは、ECU2Aに代えてECU2Bを備える点が異なる。第2実施形態のECU2Aと比較すると、ECU2Bは、自車両走行経路設定部29と、他車両走行経路推測部30と、走行経路重複判定部31と、一時停止判定部32と、優先車両判定部33と、をさらに含んで構成され、自車両通過時間帯算出部22、他車両通過時間帯算出部23、時間帯重複判定部24、TTC算出部28に代えて、自車両通過時間帯算出部22B、他車両通過時間帯算出部23B、時間帯重複判定部24B、TTC算出部28Bを備える点が異なる。
自車両走行経路設定部29は、ナビゲーションシステム4により算出された自車両の現在位置から目的地までの経路を取得し、自車両走行経路として設定する自車両走行経路設定手段として機能するものである。自車両走行経路設定部29は、設定した自車両走行経路を識別可能な自車両走行経路情報を走行経路重複判定部31に送信する。自車両走行経路設定部29は、自車両の現在位置から近接交差点選定部21により選定された近接交差点の出口までの経路を自車両走行経路として設定してもよい。
他車両走行経路推測部30は、他車両走行情報に基づいて、他車両の走行経路である他車両走行経路を推測する他車両走行経路推測手段として機能するものである。具体的に説明すると、他車両走行経路推測部30は、車載カメラ5から連続して受信した複数の画像情報を解析して、他車両の走行位置、車速、向き、サイズ等を判別する。さらに、他車両走行経路推測部30は、車載カメラ5から受信した画像情報を解析して、他車両の方向指示器が点滅しているか否かを判別し、点滅している場合にはいずれの方向指示器が点滅しているかを判別する。
他車両走行経路推測部30は、上記他車両の走行情報に基づいて他車両走行経路を推測する。他車両走行経路推測部30は、推測した他車両走行経路を識別可能な他車両走行経路情報を走行経路重複判定部31に送信する。なお、他車両走行経路推測部30は、通信装置7から受信した他車両走行情報に基づいて、他車両走行経路を推測してもよい。
走行経路重複判定部31は、自車両走行経路設定部29により設定された自車両走行経路と他車両走行経路推測部30により推測された他車両走行経路とを比較し、重複するか否かを判定する走行経路重複判定手段として機能するものである。走行経路重複判定部31は、自車両走行経路設定部29から受信した自車両走行経路情報と他車両走行経路推測部30から受信した他車両走行経路情報とに基づいて自車両走行経路と他車両走行経路とが重複するか否かを判定する。走行経路重複判定部31は、自車両走行経路と他車両走行経路とが重複すると判定した場合は、重複を示す情報である経路重複情報をTTC算出部28B及び優先車両判定部33に送信する。
一時停止判定部32は、近接交差点選定部21により選定された近接交差点に対して、自車両が一時停止する義務があるか否かを判定する一時停止判定手段として機能するものである。一時停止判定部32は、例えば、自車線が近接交差点選定部21により選定された近接交差点に対して一時停止線を有する車線である、自車線が近接交差点に対して信号機が設置されていない車線である、といった自車線の種別を判定する。一時停止判定部32は、判定した自車線の種別を予め定められた規則と照合し、近接交差点に対して自車両が一時停止の義務を有するか否かを判定する。
優先車両判定部33は、走行経路重複判定部31により走行経路が重複すると判定された自車両と他車両のうち、いずれの車両が優先車両であるかを判定する優先車両判定手段として機能するものである。優先車両判定部33は、予め定められた規則に基づいて優先車両を判定する。例えば、優先車両判定部33は、自車線が右折レーンである場合、他車両が優先車両であると判定する。また、優先車両判定部33は、交差点の車線のうち幅員が広い車線を走行する車両を優先車両であると判定する。自車線の幅員と他車両の幅員とが同等である場合には、他車両が優先車両であると判定する。このように、優先車両判定部33は、自車両が優先であることが明らかでない場合は、他車両が優先車両であると判定する。
自車両通過時間帯算出部22Bは、自車両通過時間帯算出部22と同様にして、自車両が近接交差点の入口に到達する時刻と自車両が近接交差点の出口に到達する時刻とを算出する。さらに、自車両通過時間帯算出部22Bは、この自車両が近接交差点の入口に到達する時刻から自車両が近接交差点の出口に到達する時刻までの時間帯に対してマージンを設定する。例えば、自車両通過時間帯算出部22Bは、自車両が近接交差点の入口に到達する時刻よりも数秒前の時刻から、自車両が近接交差点の出口に到達する時刻よりも数秒後の時刻までを自車両通過時間帯として設定する。自車両通過時間帯算出部22Bにより設定されるマージンは、予め設定された既定値である。
他車両通過時間帯算出部23Bは、他車両通過時間帯算出部23と同様にして、他車両が近接交差点の入口に到達する時刻と自車両が近接交差点の出口に到達する時刻とを算出する。さらに、他車両通過時間帯算出部23Bは、他車両が近接交差点の入口に到達する時刻から自車両が近接交差点の出口に到達する時刻までの時間帯に対してマージンを設定する。
例えば、他車両通過時間帯算出部23Bは、他車両が近接交差点の入口に到達する時刻よりも数秒前の時刻から、他車両が近接交差点の出口に到達する時刻よりも数秒後の時刻までを自車両通過時間帯として設定する他車両通過時間帯算出部23Bにより設定されるマージンは、予め設定された既定値である。
時間帯重複判定部24Bは、自車両通過時間帯算出部22Bによって設定された自車両通過時間帯と他車両通過時間帯算出部23Bによって設定された他車両通過時間帯とが重複するか否かを判定する時間帯重複判定手段として機能するものである。時間帯重複判定部24Bは、自車両通過時間帯と他車両通過時間帯とが重複すると判定した場合は、重複を示す情報である時間帯重複情報をリスクポテンシャル算出部25A又は運転支援部26Aに送信する。
TTC算出部28Bは、他車両とのTTCを算出するTTC算出手段として機能するものである。TTC算出部28Bは、走行経路重複判定部31から経路重複情報を受信した場合に、自車両と走行経路が重複すると判定された他車両に対するTTCを算出する。TTC算出部28Bは、TTC算出部28と同様にして、他車両に対するTTCを算出する。TTC算出部28は、算出したTTCを示すTTC情報をリスクポテンシャル算出部25A又は運転支援部26Aに送信する。なお、他車両と自車両とが衝突する可能性がない場合には、TTCは最大値として算出される。
その他の構成については、第2実施形態のECU2Aと同様であるので、その説明を省略する。
続いて、図8〜10のフローチャートを用いて、第3実施形態に係る運転支援装置1Bにおける処理手順について説明する。この処理は、ECU2Bに予め設定された周期で繰り返し実施される。
まず、運転者によってナビゲーションシステム4を使用して目的地が設定されると、ナビゲーションシステム4は自車両の現在位置から当該目的地までの経路を算出する。そして、自車両走行経路設定部29は、ナビゲーションシステム4が算出した自車両の現在位置から当該目的地までの経路を取得して、自車両走行経路として設定する(S61)。以降S62〜S67の処理は、図5のS31〜S36の処理と同様であるので、その説明を省略する。
S67の判定において、自車両が近接交差点内を走行中でないと判定された場合(S67;No)、一時停止判定部32は、自車両が近接交差点に対して一時停止の義務を有するか否かの判定を行う(S68)。なお、一時停止線を有する車線、自車線の信号が赤である車線等、他車両が不在であっても止まる義務がある車線を自車両が走行している場合、一時停止の義務を有すると判定される。
S68の判定において、自車線が一時停止の義務を有する車線であると判定された場合(S68;Yes)、リスクポテンシャル算出部25Aは、近接交差点の入口に対するリスクポテンシャルを算出する(S69)。そして、運転支援部26Aは、押し返し制御量マップを参照して、リスクポテンシャル算出部25Aによって算出されたリスクポテンシャルに対応する加減速度量を取得し、加減速度情報としてブレーキアクチュエータ11、あるいは、アクセルアクチュエータ12に送信する(S70)。
S67の判定において、自車両が近接交差点内を走行中であると判定された場合(S67;Yes)、ECU2Bは、変数jに1を加える(S71)。なお、変数jは初期値が0に設定されており、一連の処理が終了した場合に0にリセットされる。次に、他車両走行経路推測部30は、他車両走行情報に基づいて他車両番号jの他車両の他車両走行経路を推測する(S72)。そして、走行経路重複判定部31は、自車両走行経路設定部29により設定された自車両走行経路と他車両走行経路推測部30により推測された他車両走行経路とを比較し、重複するか否かを判定する(S73)。
S73の判定において、重複しないと判定された場合(S73;No)、ECU2Bは、変数jがN以上であるか否かを判定する(S74)。変数jがNより小さいと判定された場合(S74;No)、S71の処理に戻り、次の他車両について経路重複の判定処理を行う。一方で、S74の判定において、変数jがN以上であると判定された場合(S74;Yes)、検出した全ての他車両と衝突する可能性が低いことから、運転支援を行うことなく処理を終了する。
S73の判定において、重複すると判定された場合(S73;Yes)、TTC算出部28Bは、他車両番号jの他車両とのTTCを算出する(S75)。TTC算出部28Bにより算出されたTTCが所定の値T2より小さいか否かの判定を行う(S76)。ここで、所定の値T2は、ECU2Bに予め設定されている値であって、例えば2〜3秒程度である。TTCが所定の値T2以上である場合(S76;No)、ECU2Bは、S74の処理を行う。
一方で、S76の判定において、TTCが所定の値T2より小さい場合(S76;Yes)、ECU2Bは、自車両通過領域に他車両が存在するか否かの判定を行う(S77)。この判定は、車載カメラ5から受信した画像情報を解析することにより行う。自車両通過領域に他車両が存在すると判定された場合(S77;Yes)は、運転支援を行うことなく処理を終了する。
一方で、自車両通過領域に他車両が存在しないと判定された場合(S77;No)、リスクポテンシャル算出部25Aは、近接交差点選定部21により選定された近接交差点の中心位置に対して、リスクポテンシャルを算出する(S78)。そして、運転支援部26Aは、押し出し制御量マップを参照して、リスクポテンシャル算出部25Aによって算出されたリスクポテンシャルに対応する加減速度量を取得し、加減速度情報としてブレーキアクチュエータ11、あるいは、アクセルアクチュエータ12に送信する(S79)。
S68の判定において、自車線が一時停止の義務を有する車線でないと判定された場合(S68;No)、ECU2Bは、変数jに1を加える(S81)。以降S82〜S84の処理は、S72〜S74の処理と同様であるので、その説明を省略する。S83の判定において、自車両走行経路と他車両走行経路とが重複すると判定された場合(S83;Yes)、自車両が他車両番号jの他車両に対して優先車両であるか否かを判定する(S85)。自車両が優先車両であると判定された場合(S85;Yes)、ECU2Bは、S84の処理を行う。
一方で、S85の判定において、自車両が優先車両でないと判定された場合(S85;No)、自車両通過時間帯算出部22Bは、近接交差点選定部21により選定された近接交差点に対する自車両通過時間帯を算出する(S86)。自車両通過時間帯算出部22Bは、算出した自車両通過時間帯にマージンを設定して、自車両通過時間帯を設定する(S87)。同様に、他車両通過時間帯算出部23Bは、近接交差点に対する他車両通過時間帯を算出する(S88)。他車両通過時間帯算出部23Bは、算出した他車両通過時間帯にマージンを設定して、他車両通過時間帯を設定する(S89)。
次に、時間帯重複判定部24Bは、自車両通過時間帯算出部22Bにより設定された自車両通過時間帯と他車両通過時間帯算出部23Bにより設定された他車両通過時間帯とを比較し、重複するか否かを判定する(S90)。重複しないと判定された場合(S90;No)、ECU2Bは、S84の処理を行う。一方で、重複すると判定された場合(S90;Yes)、リスクポテンシャル算出部25Aは、近接交差点の入口に対するリスクポテンシャルを算出する(S69)。
そして、運転支援部26Aは、押し返し制御量マップを参照して、リスクポテンシャル算出部25Aによって算出されたリスクポテンシャルに対応する加減速度量を取得し、加減速度情報としてブレーキアクチュエータ11、あるいは、アクセルアクチュエータ12に送信する(S70)。
このように、第3実施形態の運転支援装置1Bによれば、交差点における優先・非優先のルールに準拠できるようにして、交通を妨げないようにしている。具体的には、第3実施形態の運転支援装置1Bによれば、自車両が交差点外を走行しており、他車両と走行経路が重複していないか、あるいは、自車両通過時間帯と他車両通過時間帯とが重複していない場合には、運転支援を行わない。これにより、全ての他車両と衝突する可能性が低い場合に、運転支援を行わないようにすることができる。このため、他車両が十分遠方に存在する場合や他車両が近距離に存在しても走行経路が重複しない場合等、他車両と衝突する可能性が低い場合には、減速等の不要な支援が行われることを抑制することが可能となる。その結果、運転支援を必要に応じてより適切に行うことが可能となる。
また、第3実施形態の運転支援装置1Bによれば、自車両が交差点外を走行しており、他車両との衝突の可能性が高い場合に、近接交差点の入口に対するリスクポテンシャルを算出し、リスクポテンシャルに応じて加減速度等の制御量を調整することで、他車両と衝突する可能性がある状態において、自車両が交差点に近づくほど自車両が交差点内に進入するのを抑制することができ、自車両が交差点内で停止することを抑制することができる。
また、第3実施形態の運転支援装置1Bによれば、自車両が交差点内を走行しており、他車両と走行経路が重複していないか、あるいは、他車両と走行経路が重複していてもTTCが所定の値以上である場合は、運転支援を行わない。これにより、全ての他車両と衝突する可能性が低い場合に、運転支援を行わないようにすることができる。このため、他車両が十分遠方に存在する場合や他車両が近距離に存在しても走行経路が重複しない場合等、他車両と衝突する可能性が低い場合には、減速等の不要な支援が行われることを抑制することが可能となる。その結果、運転支援を必要に応じてより適切に行うことが可能となる。
また、第3実施形態の運転支援装置1Bによれば、自車両が交差点内を走行しており、他車両との衝突の可能性が高い場合に、交差点の中央位置に対するリスクポテンシャルを算出し、リスクポテンシャルに応じて加減速度等の制御量を調整することにより、他車両と衝突する可能性がある状態において、自車両が交差点中央に近づくほど自車両を交差点内から追い出すように制御することができ、自車両が交差点内で停止することを抑制することができる。
さらに、第3実施形態の運転支援装置1Bによれば、複数台の他車両を検出した場合、順番に他車両との衝突可能性の判定を行う。そして、第3実施形態の運転支援装置1Bによれば、いずれか1台の他車両と衝突する可能性がある場合には、以降の他車両との衝突可能性の判定を行うことなく、運転支援を行う。このため、交通量の多い交差点においても、計算負荷を抑えることができる。
なお、上記第1〜第3実施形態は本発明に係る運転支援装置の最良な実施形態を説明したものであり、本発明に係る運転支援装置は上記第1〜第3実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る運転支援装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る運転支援装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
運転支援部26,26Aは、例えば、他車両の接近を知らせるための警告画面を不図示のディスプレイに表示し、あるいは、他車両の接近を知らせるための警告音を不図示のスピーカから出力する等の運転支援を行ってもよい。この場合には、リスクポテンシャル算出部25,25Aは不要である。
自車両情報取得処理と他車両情報取得処理(図2のS2とS3、図4のS12とS13、図5のS32とS33、図8のS63とS64)は、いずれを先に行ってもよく、又は、並列に行ってもよい。同様に、自車両通過時間帯の算出処理と他車両通過時間帯の算出処理(図2のS5とS6、図4のS16とS17、図5のS38とS39、図10のS86及びS87とS88及びS89)は、いずれを先に行ってもよく、又は、並列に行ってもよい。
車載カメラ5から受信した画像情報を解析して得られた他車両走行情報や通信装置7から受信した他車両走行情報は、外部のノイズ等の影響を受けて変動する可能性がある。このため、他車両通過時間帯算出部23,23A、他車両走行経路推測部30は、カルマンフィルタ等のフィルタを用いて他車両の走行位置、車速、向き等を算出するのが好ましい。このようにすることで、他車両走行情報の変動を抑えることができ、より適切な他車両通過時間帯及び他車両走行経路を求めることが可能となる。
上記第3実施形態に係る運転支援装置1Bでは、自車両通過時間帯及び他車両通過時間帯にそれぞれマージンを設定しているが、いずれか一方でもよい。また、マージンは、車外の環境データ、車両の状態に基づいて変動する値であってもよい。例えば、車速に応じて増やしてもよく、天候等センサに影響を与える因子により増やしてもよい。すなわち、車両の車速が遅くなる要因がある場合には、自車両通過時間帯算出部22B及び他車両通過時間帯算出部23Bは、近接交差点の出口に到達する時刻よりその程度に応じた時間分後に設定する。車両の車速が速くなる要因がある場合には、自車両通過時間帯算出部22B及び他車両通過時間帯算出部23Bは、近接交差点の入口に到達する時刻からその程度に応じた時間分前に設定する。また、マージンは、運転者の趣向又は特性に基づくものであってもよく、この場合には学習により最適な値とすることができる。
自車両通過時間帯算出部22,22Bは、自車両が近接交差点の入口に到達する時刻から出口に到達する時刻までを自車両通過時間帯として算出しているが、自車両及び他車両が共に通過する領域のみを自車両通過時間帯として算出してもよい。他車両通過時間帯算出部23,23Bについても、同様に自車両及び他車両が共に通過する領域のみを他車両通過時間帯として算出してもよい。
時間帯重複判定部24,24Bは、ハンチングが発生しないように、ヒステリシスを設けて時間帯重複判定を行ってもよい。つまり、t=nの時の判定では、自車両の少し前に重複して他車両が通過すると計算したが、t=n+1の時の判定では、自車両と被らない程度事前に通過すると計算された場合でも、減速側に判定する。
また、制御量マップに保持されている加減速度量は、TTCに反比例する(リスクポテンシャルに比例する)ものでなくてよく、ジャーク(加加速度)が低く、加速度Gが一定になるように定められたものが好ましい。