JP5564888B2 - 液体噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、噴射ノズルから液体を噴射する技術に関する。
微細な噴射ノズルが設けられた噴射ヘッドから、インクなどの液体を噴射する液体噴射装置が知られている。この液体噴射装置では、噴射しようとする液体(たとえばインク)を専用の容器(たとえばインクカートリッジ)に収容しておき、容器内の液体を、通路を介して噴射ヘッドに供給することによって噴射している。
また、噴射しようとする液体の成分には、沈降性の成分が使用されることがある。たとえばインクの場合であれば、いわゆる耐候性を高めたり、あるいは発色性を改善したりするなどの目的で顔料が用いられることがある。顔料は、インクの溶媒(水やアルコールなど)には溶けずに懸濁した状態となっているので、インクを長期間放置していると溶媒中で顔料が沈降する。その結果、インク中に顔料濃度の濃い部分と薄い部分とが発生して、画像を適切に印刷することができなくなってしまう。
そこで、沈降性の成分を含むインク(以下、「沈降性のインク」という)を搭載したインクジェットプリンターでは、噴射ヘッド内でインクの沈降が発生したと判断されると、噴射ノズルからインクを吸引することによって、沈降の進んだインクを排出する技術が提案されている(特許文献1)。
特開2002−234196号公報
しかし、噴射しようとする液体(インクなど)中の含有成分の沈降は、噴射ヘッドの内部だけでなく、収容容器から噴射ヘッドに液体を供給する通路内でも発生する。通路内で発生した沈降は、液体が通路内を通って噴射ヘッドに達するまでの間にある程度まで回復するが、それでも回復不能な程度にまで沈降が進んでしまった場合には、噴射ヘッド内の液体だけでなく、通路内の液体も排出しなければならず、多量の液体が無駄になってしまうという問題がある。特に、液体を収容する専用容器が噴射ヘッドから離れた位置に設けられており、長いチューブなどを介して噴射ヘッドに液体を供給する方式の液体噴射装置では、チューブ内に存在する多量の液体を排出しなければならないので、こうした問題がより一層顕著に現れる。
この発明は、従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、噴射しようとする液体中で含有成分の沈降が生じた場合でも、使用することなく液体を排出することを、抑制することが可能な技術の提供を目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体噴射装置は次の構成を
採用した。すなわち、
噴射ヘッドに設けられた噴射ノズルから、沈降性の成分を含んだ液体を噴射させる液体噴射装置であって、
前記液体が収容された液体収容容器と、
前記液体収容容器内の液体前記噴射ヘッドまで導かれる液体通路と、
前記噴射ヘッド内の液体前記噴射ノズルから排出される液体排出手段と、
前記液体を噴射あるいは排出してからの経過時間計時される計時手段と
を備え、
前記液体通路には、
水平方向に沿って形成された第1通路領域と、
前記第1通路領域よりも前記液体の流通方向の上流側で、前記沈降成分の沈降方向に沿って形成された第2通路領域と
前記第2通路領域よりも前記液体の流通方向の上流側で、水平方向に沿って形成された第3通路領域と
が設けられており、
前記液体排出手段は、前記計時手段によって計時される前記経過時間が所定の閾値時間に達した場合には、前記噴射ノズルから所定量の前記液体を排出することによって、前記第2通路領域に存在している分量の液体を前記第2通路領域から前記第1通路領域に移動させる手段であることを要旨とする。
このような本発明の液体噴射装置においては、液体収容容器内の液体を、液体通路を介して噴射ヘッドに導いて噴射ノズルから噴射する。また、噴射ノズルから噴射するために噴射ヘッド内に導いた液体を、実際には噴射することなく、噴射ノズルから無用に排出してしまうことも可能となっている。ここで、「噴射」も「排出」も、噴射ノズルから液体が流出する点では同じであるが、本明細書において「噴射」とは、液体噴射装置の本来の目的で噴射ノズルから液体を流出させることを指しており、これに対して「排出」とは、「噴射」以外で噴射ノズルから液体を流出させることを指しているものとする。また、液体収容容器から噴射ヘッドまでの液体通路には、液体中に含まれる沈降性の成分が沈降する方向(沈降方向)に対して、通路方向が略直交する方向の第1通路領域と、第1通路領域よりも上流側(液体収容容器側)で、通路方向が、第1通路領域に比べれば沈降方向に近い(沈降方向に沿った)第2通路領域とが形成されている。そして、噴射ノズルからの液体の噴射あるいは排出が終了すると、経過時間の計時を開始して、経過時間が所定の閾値時間に達した場合には、噴射ノズルから所定量の液体を排出することにより、第2通路領域の液体を第1通路領域まで移動させる。尚、噴射ノズルから排出する液体量(すなわち所定量)は、第2通路領域の液体を第1通路領域まで移動させることが可能な分量であればよく、少なくとも第2通路領域内に存在する液体の分量以上であればよい。
詳細なメカニズムについては後述するが、第1通路領域で液体に生じる沈降は、液体が液体通路を流れて噴射ヘッドに達するまでに、かなりの程度まで解消される。これに対して、第2通路領域で生じた沈降は、液体が液体通路を流れることによっては解消されないので、第2通路領域での沈降が進むと、液体の噴射に支障が生じるようになる。これを回避するためには、液体を噴射するに先立って、第2通路領域の液体を排出しておかなければならず、そのためには、より下流側(噴射ヘッド側)の液体通路内および噴射ヘッド内の液体を全て排出する必要が生じる。これに対して、本発明の液体噴射装置では、噴射ノズルから液体を噴射あるいは排出した後、所定の閾値時間が経過すると、第2通路領域の液体を第1通路領域まで移動させるので、第2通路領域に存在する液体の沈降を抑制することができる。その結果、液体を噴射するに先立って、第2通路領域よりも下流側(噴射ヘッド側)にある全ての液体を排出する必要がなくなるので、無用に液体を排出することを大幅に抑制することが可能となる。
尚、上述したように第2通路領域は、広い意味では、液体通路の中で、第1通路領域に比べて通路方向が沈降方向に近い部分と把握することができる。これは、第1通路領域に比べて通路方向が沈降方向に近ければ、沈降が発生したときに、液体中の沈降性の成分が通路方向に移動することになるからである。しかし狭い意味では、液体通路の中で、通路方向が、沈降方向に直交する方向よりは、沈降方向に近い部分を、第2通路領域と把握することも可能である。何故なら、液体通路のこのような部分では、沈降性の成分の移動量は、通路の断面方向への移動量よりも、通路方向への移動量の方が大きくなるからである。そして、このようの第2通路領域を狭義に把握した場合には、第2通路領域と第1通路領域との間に、一種の緩衝領域が発生するが、このような場合でも、第2通路領域の液体を第1通路領域まで移動させることによって、無用に液体が排出されることを大幅に抑制することが可能となる。また、このときに噴射ノズルから排出する液体の分量(所定量)としては、狭義の意味での第2通路領域に存在する液体の分量から、広義の意味での第2通路領域に存在する液体の分量までの範囲で、自由に設定することができる。もちろん、必要に応じて、それ以上の分量の液体を排出しても構わない。
また、上述した本発明の液体噴射装置においては、第2通路領域よりも下流側(噴射ヘッド側)にある液体通路内の容積と、噴射ヘッド内で液体が供給される部分の容積との合計容積を、第2通路領域内の容積よりも大きな容積に設定しておいても良い。
こうすれば、第2通路領域の液体を第1通路領域に移動させたときに、第2通路領域内にあった液体が噴射ノズルから排出されることがない。このため、次に液体を噴射する際には、第2通路領域から移動させた液体を用いて噴射することができるので、液体通路内の液体を有効に利用することが可能となる。
また、上述した本発明の液体噴射装置においては、次のようにして、噴射ヘッド内の液体を排出することとしても良い。先ず、噴射ヘッドの外表面の中で噴射ノズルが形成されている部分(ノズル面)に当接することで、噴射ノズルの周囲に閉空間を形成するキャップ部材を設けておく。また、キャップ部材に接続されて、閉空間に負圧を作用させることが可能な吸引ポンプを設けておく。そして、噴射ヘッドのノズル面にキャップ部材を当接させた状態で吸引ポンプを作動させ、負圧によって噴射ノズルから液体を吸引することによって、液体を排出するようにしてもよい。
このようなキャップ部材を設けておけば、液体を噴射しない間はノズル面にキャップ部材を当接させておくことで、噴射ノズルから液体の乾燥が進むことを抑制することが可能となる。また、経過時間が閾値時間に達して液体を排出させる場合でも、キャップ部材をノズル面に当接させたまま、吸引ポンプを作動させるだけで、所定量の液体を簡単に排出することが可能となる。
本実施例の液体噴射装置としてのインクジェットプリンターを例示した説明図である。 噴射ヘッドを往復動させるための駆動部やロール紙を紙送りするための紙送り部の大まかな構成を示した説明図である。 本実施例のインクジェットプリンターが噴射ヘッドを往復動させながら画像を印刷する様子を概念的に示した説明図である。 インクチューブ内でインクの沈降が発生する様子を概念的に示した説明図である。 本実施例のインクジェットプリンターが印刷を行わない間に実行する放置時インク管理処理のフローチャートである。 本実施例の放置時インク管理処理によって閾値時間が経過する度に所定量のインクが排出される様子を示した説明図である。 本実施例の放置時インク管理処理によってインクの排出量が抑制される理由を示した説明図である。 インクチューブ内でマイナスの沈降が生じる様子を示した説明図である。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
B.印刷動作の概要:
C.本実施例の放置時インク管理処理:
A.装置構成 :
図1は、本実施例の液体噴射装置としてのインクジェットプリンター100を例示した説明図である。図示したインクジェットプリンター100は、JIS規格のA1判やB1判などのいわゆる大判サイズの印刷用紙に印刷するラージフォーマットプリンター(LFP)であるが、A4判やハガキ判などの、より小さなサイズの印刷用紙に印刷する家庭用のプリンターであっても構わない。
図示されるように、インクジェットプリンター100は、大まかに言うと、本体ケース110や、本体ケース110の上面側に設けられて印刷用紙が装填される給紙部120などによって構成されており、本体ケース110の内部には、印刷用紙に向かってインクを噴射するためのインク噴射部130や、インクの乾燥を防ぐなどインクの状態を管理するためのインクメンテナンス部140や、インクジェットプリンター100の全体の動作を制御する制御部150などが搭載されている。
給紙部120は、スピンドル部122や、カバー部124などから構成されている。スピンドル部122は、両端を回転可能に軸支された軸状部材であり、ロール状の印刷用紙(以下、ロール紙という)が装着される。また、スピンドル部122の両端には、軸方向に沿って摺動可能なロール紙押さえが設けられており、スピンドル部122に装着されたロール紙が軸方向に動かないように固定することが可能となっている。更に、スピンドル部122に装着したロール紙が汚損することを回避するために、跳ね上げ式のカバー部124が設けられている。ロール紙をスピンドル部122に装着する際には、カバー部124を跳ね上げてスピンドル部122を露出させ、給紙部120から取り出したスピンドル部122にロール紙を装着する。そして、ロール紙が装着されたスピンドル部122を給紙部120にセットした後、カバー部124の先端を押し下げるようにしてカバー部124を閉じてやる。こうしておけば、給紙部120に装填したロール紙の汚損を防ぐことができる。
インク噴射部130は、インクを噴射する噴射ヘッド132や、噴射ヘッド132で噴射するインクが収容されているインクカートリッジ134や、インクカートリッジ134内のインクを噴射ヘッド132に供給するためのインクチューブ136などによって構成されている。噴射ヘッド132は、印刷用紙と向き合う側の面に、複数の微細な噴射ノズルが設けられており、噴射ノズルからインクを噴射することによって、印刷用紙上に文字や画像などを印刷することが可能となっている。尚、噴射ヘッド132の印刷用紙と向き合う側で、複数の噴射ノズルが形成されている部分の表面は、「ノズル面」と呼ばれている。また、インクジェットプリンター100では、シアンインクや、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどの複数種類のインクが用いられており、インクカートリッジ134や噴射ヘッド132、インクチューブ136は、インクの種類毎に設けられているが、図1では、図示が煩雑となることを避けるために、1つのインク種類についてのみ表示されている。
インクメンテナンス部140は、中央に凹部が形成されたキャップ142や、性状が劣化したために噴射ヘッド132から排出されたインクを貯めておくための廃インクタンク144などから構成されている。キャップ142は、図示しない駆動機構によって噴射ヘッド132のノズル面に当接させたり、ノズル面から離間させたりすることが可能となっており、画像の印刷を行わない間はノズル面に当接されている。こうすることで、噴射ノズルがキャップ142によって覆われるので、噴射ノズルからインクが乾燥することを抑制することができる。それでもインクの乾燥が進むなどしてインクの性状が劣化した場合には、キャップ142の凹部に向かって噴射ヘッド132からインクを噴射したり、あるいは噴射ヘッド132のノズル面にキャップ142を当接したまま、図示しない吸引ポンプを作動させて、キャップ142の凹部に負圧を作用させることにより、劣化したインクを噴射ノズルからインクを吸引したりする。こうして噴射ヘッド132の噴射ノズルから排出されたインクは、チューブを介して廃インクタンク144に流入して蓄えられるようになっている。
また、本体ケース110の上面には、ユーザーがインクジェットプリンター100を操作するための操作パネル112が設けられている。操作パネル112には、液晶装置などによって構成される表示画面(図示は省略)や、各種の操作ボタン(図示は省略)などが搭載されており、ユーザーは、表示画面を確認しながら操作ボタンを操作することで、インクジェットプリンター100を操作することが可能である。
また、図1では図示が省略されているが、本体ケース110の内部には、印刷用紙の表面に沿って噴射ヘッド132を往復動させるための駆動部や、給紙部120のロール紙を巻き出して紙送りするための紙送り部なども設けられている。
図2は、噴射ヘッド132を往復動させるための駆動部160や、ロール紙を紙送りするための紙送り部170の大まかな構成を示した説明図である。図示されるように駆動部160は、噴射ヘッド132が往復動する動きをガイドするガイドレール162や、ガイドレール162に沿って噴射ヘッド132を往復動するための駆動ベルト164や、駆動ベルト164を張設する一対のプーリー166や、駆動ベルト164を駆動するための駆動モーター168などから構成されている。駆動ベルト164の一箇所には噴射ヘッド132が固定されており、駆動モーター168を正方向あるいは負方向に回転させて駆動ベルト164を駆動すると、ガイドレール162にガイドされながら噴射ヘッド132が往復動するようになっている。
また、紙送り部170は、ガイドレール162と平行に設けられた紙送りローラー172や、紙送りローラー172を回転させる紙送りモーター174や、ローラー172に沿って設けられた図示しない従動ローラーなどから構成されている。紙送りローラー172は、ロール紙を幅方向に横断する長さを有する長尺の円柱部材によって形成されている。また、ロール紙は給紙部120に装填されると、一端が紙送りローラー172の位置まで巻き出されて、紙送りローラー172と従動ローラーとの間に挿入される。するとロール紙は、従動ローラーによって適度な力で紙送りローラー172に押し付けられた状態となる。そして、この状態で紙送りモーター174を回転させると、紙送りローラー172の回転に従って、ロール紙が少しずつ引き出されながら噴射ヘッド132の方向に紙送りされていく。
これら駆動モーター168や紙送りモーター174の動作は、制御部150によって制御されている。また、噴射ヘッド132がインクを噴射する動作も、制御部150の制御の下で行われている。更に、前述したように、噴射ヘッド132のノズル面に当接させるためにキャップ142を移動させる動作や、ノズル面にキャップ142を当接した状態で吸引ポンプ146を作動させて噴射ノズルからインクを吸い出す動作も、制御部150の制御の下で行われている。このように制御部150は、インクジェットプリンター100で行われるほとんど全ての動作に関わっており、印刷の開始や終了、あるいはキャップ142内へのインクの噴射や、インクの吸引などが行われると、それらのタイミングを正確に把握することが可能である。このことと対応して、本実施例のインクジェットプリンター100の制御部150には経過時間計時部152が搭載されており、この経過時間計時部152では、印刷や、キャップ142内へのインクの噴射や、インクの吸引などが最後に行われてからの経過時間を計時するようになっている。
B.印刷動作の概要 :
図3は、本実施例のインクジェットプリンター100が、噴射ヘッド132を往復動させながら画像を印刷する様子を概念的に示した説明図である。図3(a)および図3(b)に示されるように、噴射ヘッド132は、ガイドレール162に沿って往復動しながら、印刷用紙(ロール紙)に向かってインクを噴射することによって画像を印刷する。噴射ヘッド132とインクカートリッジ134とは、十分な長さのインクチューブ136によって接続されており、図示しないインク加圧機構によって、絶えずインクカートリッジ134から噴射ヘッド132にインクが供給されるようになっている。また、印刷を終了すると、図3(c)に示されるように、噴射ヘッド132をキャップ142の位置まで移動させ、図示しない駆動機構によってキャップ142を押し上げて噴射ヘッド132のノズル面に当接させる。こうすると、噴射ノズルをキャップ142で覆うことができるので、長時間、印刷を行わない場合でも、噴射ノズルの開口部分からインク中の水分や揮発成分などが蒸発あるいは揮発して、インクの性状が劣化することを抑制することができる。
ここで、噴射ヘッド132をキャップ142の位置まで移動させると、図3(c)に示したように、インクチューブ136は、ほぼ中央の位置で2つの折り返された状態となる。その結果、噴射ヘッド132の上流側には、インクチューブ136が略水平になる部分(図中の「A」の部分。以下、領域Aという)が形成され、領域Aの下流側(インクカートリッジ134側)には、領域Aに比べて、インクチューブ136が鉛直方向に向かう部分(図中の「B」の部分。以下、領域Bという)が形成されることになる。尚、図3(c)では、噴射ヘッド132に隣接して領域Aが形成され、領域Aに隣接して領域Bが形成されているものとして表示しているが、噴射ヘッド132と領域A、あるいは領域Aと領域Bとは必ずしも隣接している必要はなく、これら領域の間に何某かの中間領域や、緩衝領域が形成されていても良い。
また、インクは、水やアルコールなどの溶媒に、色を出すための色材や、粘度を調整するための添加剤や、界面活性剤などの各種成分を加えることによって製造されるが、溶媒に溶けない成分が加えられることがある。たとえば、耐候性に優れた色材である顔料は、染料とは違って水やアルコールなどには溶けないので、界面活性剤の作用によって溶媒中に懸濁した状態で存在している。このため、長い間インクを放置しておくと、懸濁していた顔料が、重力の影響で次第に沈降し、顔料濃度の濃い部分と、顔料濃度の薄い部分とができてしまう。尚、本明細書では、顔料のように、インクの溶媒に溶けずに懸濁した状態で存在する成分を、「沈降性の成分」と呼ぶことにする。また、沈降性の成分を含むインクを、「沈降性のインク」と呼び、更に、インク中の沈降性の成分が沈降することを、「インクの沈降」と呼ぶことがあるものとする。
このように沈降性のインクを用いた場合は、インク中の水分や揮発成分が蒸発あるいは揮発してインクが乾燥するだけでなく、インク中で沈降性の成分が沈降することによっても、インクの性状が劣化する。そして、インクの沈降による悪影響は、図3(c)中の領域Aよりも領域Bの部分で顕著に現れる。これは次の理由によるものである。
図4は、インクチューブ136内でインクの沈降が発生する様子を概念的に示した説明図である。図4(a)には、インクチューブ136の領域Aでインクの沈降が発生する様子が示されており、図4(b)には、インクチューブ136の領域Bでインクの沈降が発生する様子が示されている。
先ず初めに図4(a)を参照しながら、領域Aで発生するインクの沈降について説明する。前述したように領域Aの部分では、インクチューブ136が略水平方向を向いているから、インク中に含まれる沈降性の成分(顔料など)は、インクチューブ136の断面方向(インクチューブ136の軸方向に対して略直交する方向)に沈降する。その結果、インクチューブ136の断面方向に、顔料などの沈降性の成分が濃い部分と薄い部分とが発生することになる。ちなみに、このような濃度の不均一が生じても、沈降性の成分がインクチューブ136の軸方向に移動することはほとんどない。
これに対して領域Bの部分では、インクチューブ136の軸方向が、水平方向から鉛直方向に傾いているので、顔料などの沈降性の成分が沈降すると、インクチューブ136の軸方向にも移動する。その結果、図4(b)に示されているように、領域Bの部分には、沈降性の成分が薄くなった領域B1と、沈降性の成分が濃くなった領域B2とが生じる。すなわち、インクチューブ136の軸方向に、沈降性の成分濃度が濃い部分と、薄い部分とが発生することになる。
このようにしてインクの沈降が発生した状態から、印刷を開始するために噴射ヘッド132からインクを噴射すると、インクチューブ136内にインクの流れが発生し、この流れが、沈降していた成分を巻き上げるようにしてインクを撹拌する。その結果、領域Aで生じていたような、インクチューブ136の断面方向への濃度の不均一は、比較的速やかに解消される。
これに対して、領域Bでは、インクチューブ136の軸方向に濃度の不均一が生じており、このような濃度の不均一は、インクの流れによって解消することは困難である。何故なら、インクチューブ136の断面は小さいので、インクチューブ136内のインクの流れによって領域B2のインク(成分濃度の濃いインク)が移動すると、それと同時に領域B1のインク(成分濃度の薄いインク)も移動してしまうので、領域B2のインクと領域B1のインクとが、互いに混じり合い難いためである。
もちろん、領域B1にあるインクも、領域B2にあるインクも、インクチューブ136内にインクの流れが生じると、断面方向には比較的速やかに撹拌される。しかし、インクチューブ136の軸方向への撹拌はなかなか進まないので、領域B1のインクは、沈降性の成分濃度が薄いまま噴射ヘッド132に供給されてしまい、領域B2のインクは、沈降性の成分濃度が濃いまま噴射ヘッド132に供給されてしまう。その結果、領域B1にあったインクを噴射して印刷した部分は画像が薄くなり、領域B2にあったインクを噴射した部分は画像が濃くなって、画像にムラが生じてしまう。更に、領域Aの部分のインクは、噴射ヘッド132に供給されるまでの間に撹拌されて、沈降性の成分濃度がほぼ正常になっている。このため、特に大判の印刷用紙に画像を印刷している場合などには、初めのうちは正常に印刷できていたにも拘わらず、途中で画像が薄くなり、その後、画像が濃くなってしまい、印刷用紙が無駄になるだけでなく、途中までの印刷に要した時間も無駄になってしまう。
こうしたことを避けるためには、印刷を開始するに先立って、少なくとも領域B1にあるインクおよび領域B2にあるインクを排出する必要があり、そのためには、それより下流側(噴射ヘッド132側)にあるインクチューブ136内のインクや、噴射ヘッド132内のインクも排出しなければならないので、多量のインクが無駄になってしまう。そこで、本実施例のインクジェットプリンター100では、沈降によって排出するインク量をできるだけ抑制するために、印刷を行っていない間は以下のような処理を行うこととしている。
C.本実施例の放置時インク管理処理 :
図5は、本実施例のインクジェットプリンター100が印刷を行わない間に実行する放置時インク管理処理のフローチャートである。この処理は、インクジェットプリンター100に搭載された制御部150によって実行される処理である。
図示されるように、放置時インク管理処理では、先ず初めに、画像の印刷が終了したか否かを判断する(ステップS100)。前述したように、画像を印刷するための各種の動作は制御部150によって制御されていることから、制御部150は、画像の印刷が終了したか否かを直ちに判断することができる。その結果、画像の印刷を終了していない(すなわち、印刷中)と判断された場合は(ステップS100:no)、同様の判断を繰り返しながら、そのまま待機状態となっている。そして、画像の印刷が終了したと判断したら(ステップS100:yes)、経過時間計時部152(図2を参照のこと)に設けられたタイマーをセットすることによって、印刷終了からの経過時間の計時を開始する(ステップS102)。
こうして計時を開始したら、計時中の経過時間が所定の閾値時間に達したか否かを判断する(ステップS104)。ここで閾値時間は、図4を用いて前述した領域Bでのインクの沈降が、画質に悪影響を与えることのない時間に設定されている。すなわち、インクの沈降が進むほど、図4に示した領域B1のインクは薄くなり、領域B2のインクは濃くなるので、印刷終了からの経過時間が長くなるほど画質に与える悪影響は大きくなる。逆に言えば、経過時間が短ければ、画質に悪影響を与えることなく画像を印刷することができる。そこで、画質に与える影響が許容範囲を超える経過時間を、実験的な手法によって予め求めておく。そして、本実施例の放置時インク管理処理では、こうして得られた経過時間(許容限界時間)よりも若干短い時間が、閾値時間として設定されている。ちなみに、本実施例のインクジェットプリンター100では、実験的に求められた許容限界時間が72時間であり、閾値時間は、多少の余裕を見越して、60時間に設定されている。
印刷を終了した直後は、当然ながら、経過時間が閾値時間に達していないから(ステップS104:no)、今度は画像の印刷が開始されたか否かを判断する(ステップS106)。その結果、印刷が開始されていなければ(ステップS106:no)、再び、経過時間が閾値時間に達したか否かを判断する(ステップS104)。本実施例の放置時インク管理処理では、経過時間の計時を開始した後は、経過時間が閾値時間に達するか、画像の印刷が開始されるまで、このような判断を繰り返す。
その結果、経過時間が閾値時間に達する前に、画像の印刷が開始されたと判断された場合は(ステップS106:yes)、再び処理の先頭に戻って、印刷が終了したか否かを判断する(ステップS100)。そして、印刷が終了したら(ステップS100:yes)、経過時間計時部152のタイマーをセットして、経過時間の計時を開始する(ステップS102)。
これに対して、画像の印刷が開始されないまま、経過時間が閾値時間に達した場合には(ステップS104:yes)、噴射ヘッド132のノズル面にキャップ142を当接させたまま、吸引ポンプ146(図2を参照のこと)を作動させることによって、噴射ノズルから所定量のインクを吸引する(ステップS108)。このとき吸引するインク量(所定量)は、図4に示した領域Bに存在するインク量とほぼ同じ体積(正確には、領域Bのインク量よりも少しだけ多め)のインク量に設定されている。また、噴射ヘッド132の噴射ノズルから吸い出されるインク量は、吸引ポンプ146の作動時間によって決まるから、予め定めておいた所定時間だけ吸引ポンプ146を作動させることによって、所定量のインクを吸引することができる。
こうして所定量のインクを吸引したら、ステップS102に戻って経過時間計時部152のタイマーをセットし直した後、経過時間が閾値時間に達したか(ステップS104)、あるいは印刷が開始されたか(ステップS106)の判断を繰り返す。
尚、以上の説明では、経過時間が閾値時間に達した場合に(ステップS104:yes)、吸引ポンプ146を作動させてインクを吸い出すものとして説明した。これは、インクジェットプリンター100は、印刷を行っていない間は、噴射ヘッド132の噴射ノズルの部分からインクが乾燥することを抑制するために、噴射ヘッド132のノズル面にキャップ142を当接させており、従って、吸引ポンプ146を作動させるだけで噴射ノズルからインクを吸い出すことができるからである。しかし、噴射ノズルから所定量のインクを排出することができれば、必ずしも吸引ポンプ146を用いてインクを吸い出さなくても構わない。たとえば、噴射ヘッド132のノズル面にキャップ142を当接させたまま、あるいは一時的にノズル面からキャップ142を離間させた状態で、噴射ノズルからインクをキャップ142に向けてインクを噴射することによって、所定量のインクを排出するようにしても良い。
図6は、上述した放置時インク管理処理によって閾値時間が経過する度に、所定量のインクが排出される様子を示した説明図である。図6(a)には、印刷を終了した直後のインクチューブ136内のインクの状態が概念的に示されている。印刷を終了した直後は、インクチューブ136内のインクには、全く沈降は生じていない。図6では、沈降の生じていないインクを黒く塗り潰すことによって表している。また、何某かの沈降が生じたインクは斜線を付して表すことにする。尚、図6(a)に示した段階では、噴射ノズルからのインクの乾燥を抑制するために、既にキャップ142は噴射ヘッド132のノズル面に当接されている。この状態で印刷が行われないまま放置されると、インクチューブ136内のインクでは、時間の経過とともにインクの沈降が進行していく。
図6(b)には、印刷が行われないまま閾値時間が経過したときの、インクチューブ136内のインクの状態が、概念的に示されている。インクチューブ136の軸方向が略水平方向を向いている部分(すなわち、領域A)では、図4(a)を用いて前述したように、断面方向へのインクの沈降が発生する。また、インクチューブ136の軸方向が、水平方向から多少なりとも鉛直方向(沈降方向)に傾いている部分(すなわち、領域B)では、図4(b)を用いて前述したように、軸方向へもインクの沈降が発生し、その結果、領域Bには、成分濃度の薄い部分(図4(b)に示した領域B1)と、成分濃度の濃い部分(図4(b)に示した領域B2)とが発生する。
もっとも、前述したように閾値時間は、許容限界時間よりも短く設定されているから、インク中に成分濃度の薄い部分と濃い部分とが発生してはいるものの、この状態で画像を印刷しても画質に悪影響を与えることはない。このことと対応して、図6(b)では、領域B中でインクの成分濃度が薄くなっている部分のインクの状態を「状態b1」と表示し、成分濃度が濃くなっている部分のインクの状態を「状態b2」と表示している。すなわち、状態b1あるいは状態b2のインクは、成分濃度が薄くあるいは濃くなっているが、画質に影響を与えるほどではない状態のインクである。また、このことと対応して、領域Aに存在するインクの状態についても、図6(b)では「状態a」と表示している。この状態のインクは、インクチューブ136の断面方向に沈降が発生しているものの、沈降の程度はそれほど進んでいないインクである。
図5を用いて前述したように、本実施例の放置時インク管理処理では、閾値時間が経過すると、所定量のインクが噴射ノズルから排出される(図5のステップ108参照)。また、このとき排出されるインク量(所定量)は、インクチューブ136の領域Bに存在するインク量とほぼ同じインク量に設定されている。
図6(c)には、所定量のインクを排出した直後の状態が示されている。噴射ヘッド132から所定量のインクが排出されたことに伴って、インクチューブ136の領域Aに存在していたインク(状態aのインク)が噴射ヘッド132に吸い込まれ、領域Bに存在していたインク(状態b1および状態b2のインク)は、領域Aの部分(インクチューブ136が略水平となっている部分)に移動する。また、それまで状態b1および状態b2のインクが存在していた領域Bには、より上流側の、インクチューブ136が略水平な部分からインクが移動する。領域Bよりも上流側(インクカートリッジ134側)のインクチューブ136は略水平となっていることから、領域Bに移動してくるインクは状態aのインクである。更に、図4(a)を用いて前述したように、インクチューブ136の断面方向に生じたインクの沈降は、インクチューブ136内をインクが流れることによって速やかに解消されるから、上流側から領域Bに移動してくるインクは、実際には、かなりの程度まで沈降が回復したインクとなっている。
また、領域Bよりも上流側のインクチューブ136が水平な部分には、インクカートリッジ134からインクが供給される。このインクは、インクカートリッジ134から供給されるので、全く沈降の発生していないインクであると考えられる。このことと対応して、図6(c)では、インクカートリッジ134から供給されるインクを黒く塗り潰して表している。もっとも、インクチューブ136の水平な部分に元からあったインクも、インクが流れることによってかなりの程度まで沈降が回復している。このため実際には、インクカートリッジ134から新たに供給されたインクと、インクチューブ136内で閾値時間の間、放置されていたインクとの間で、インクの状態がそれほど大きく変わることはない。
図5を用いて前述したように、本実施例の放置時インク管理処理では、以上のようにして閾値時間が経過した時点で噴射ノズルから所定量のインクを排出すると、再び経過時間の計時を開始する。そして、閾値時間が経過する前に画像の印刷が開始された場合は、図6(c)に示す状態から印刷が開始されることになる。その結果、噴射ヘッド132内のインクを噴射した後は、先ず初めに状態aのインクを用いて印刷が行われる。状態aのインクはインクチューブ136の断面方向に沈降が発生しているが、この方向に沈降したインク成分は、前述したようにインクが流れることによって撹拌されるので、噴射ヘッド132に供給されるまでにはインクの沈降が解消されている。
更に印刷を継続していると、やがて、状態b1のインクを用いて印刷が行われ、続いて状態b2のインクを用いて印刷が行われる。状態b1のインクは成分濃度が薄くなっており、状態b2のインクは成分濃度が濃くなっているが、画質に悪影響を与えるほど大きく濃度が変化しているわけではない。また、これら状態b1のインクおよび状態b2のインクは、領域Bから領域Aに移動した後、その状態で放置されているので、更に、インクチューブ136の断面方向へのインクの沈降も生じている。すなわち、状態b1のインクは、インクの成分濃度が薄くなった状態から、更に断面方向にもインクの沈降が生じ、また、状態b2のインクは、成分濃度が濃くなった状態から、更に断面方向の沈降が生じている。しかし、前述したようにインクチューブ136の断面方向に生じた沈降は、インクが流れることによって解消されるから、噴射ヘッド132に供給される時点では、状態b1のインクは、成分濃度が薄いもののインク成分が均一に混ざったインクとなっており、状態b2のインクは、成分濃度が濃いものの均一なインクとなっている。このため、領域Aに移動された後にインクの沈降が生じても、領域Aで生じた沈降による影響はほとんど受けることなく、画像を印刷することが可能である。
また、図6(c)に示した状態から、画像の印刷が開始されないまま閾値時間が経過すると、領域Bの部分では、インクチューブ136の軸方向にインクの沈降が発生し、成分濃度の薄いインク(状態b1のインク)と、成分濃度の濃いインク(状態b2のインク)とが発生する。図6(d)には、領域Bの部分でインクチューブ136の軸方向にインクの沈降が発生した様子が示されている。そこで、再び吸引ポンプ146を作動させて、噴射ヘッド132の噴射ノズルから所定量のインクを吸引する。すると、図6(e)に示したように、領域A(インクチューブ136の軸方向が略水平の部分)に存在する状態aのインクが噴射ヘッド132に供給され、領域Bにあった状態b1のインクおよび状態b2のインクは、領域Aに移動する。そして、領域Bの部分には、上流側(インクカートリッジ134側)から状態aのインクが供給される。
こうして、噴射ヘッド132から所定量のインクを排出することによって、領域Bのインクを領域Aに移動させたら、再び経過時間計時部152のタイマーをセットして、経過時間の計時を開始する。そして、閾値時間が経過する前に画像に印刷が開始された場合は、図6(e)に示す状態から印刷が開始されることになる。その結果、噴射ヘッド132内のインクを噴射した後は、先ず初めに状態aのインクを用いて印刷が行われ、続いて、状態b1のインクが使用され、その次は状態b2のインクを用いて印刷が行われる。これらのインクは、領域Bから領域Aに移動した後、更に閾値時間以上の時間、放置されているので、その間に、インクチューブ136の断面方向にインクの沈降が生じているが、断面方向に生じた沈降はインクが流れることによってかなりの程度まで解消されるので、画質を悪化させることなく画像を印刷することが可能である。その後も、状態b1のインクおよび状態b2のインクを用いて画像が印刷されるが、これらのインクは、先に使用された状態b1のインクおよび状態b2のインクに比べて、放置時間が短く、更に噴射ヘッド132までの距離も長いので、インクの沈降が画質に与える影響は、より一層小さくなる。更に印刷を継続すると、状態aのインクを用いて印刷が行われるが、このインクは噴射ヘッド132に達するまでに沈降が解消されるので、何らインクの沈降による影響を受けることなく画像を印刷することが可能となる。
このように本実施例の放置時インク管理処理では、領域Bでは画質に悪影響を与えるインクの沈降が発生するのに対して、領域Aでは画質に悪影響を与える沈降が発生しない点に着目し、領域Bでのインクの沈降が許容限界に達する前に、所定量のインクを排出することによって、領域Bのインクを領域Aに移動させる。こうして沈降の生じたインクを領域Aに移動させてしまえば、その後、領域Aでインクの沈降が発生しても、その沈降は、印刷の際にインクチューブ136をインクが流れることによって解消されるので、適切に画像を印刷することができる。その結果、領域Bでインクの沈降が生じても、そのインクを捨てることなく、画像の印刷に使用することが可能となるのである。
もちろん、領域Bで沈降が生じたインクを領域Aに移動させるためには、噴射ヘッド132の噴射ノズルから所定量のインクを排出しなければならないので、無用に捨てるインクを皆無にできるわけではない。しかし、従来であれば、領域Bで沈降の生じたインクを捨てるために、より下流側(噴射ヘッド132側)のインクチューブ136内にある全てのインクと、噴射ヘッド132内の全てのインクとを捨てなければならないのに対して、本実施例のインクジェットプリンター100では、領域Bのインクが領域Aに移動するだけの分量のインク(領域Bに存在するインクの分量にほぼ等しい)を捨てるだけでよい。このため、印刷に用いることなく捨てるインクの分量を、大幅に抑制することが可能となっている。
また、本実施例のインクジェットプリンター100では、閾値時間が経過する度に、所定量のインクが噴射ヘッド132から排出されており、このときにインクチューブ136内にインクの流れが生じる。このため、インクチューブ136内で沈降した成分が、閾値時間が経過する度に撹拌されて、断面方向へのインク成分の偏りが解消されることになる。その結果、領域Bの部分だけでなく、領域Aの部分でも、インクの沈降が進行することを抑制することが可能となる。
図7は、本実施例の放置時インク管理処理によって、インクの排出量が抑制される理由を示した説明図である。ここでは一例として、印刷を終了してから7日間放置した後に、印刷を再開する場合を考える。前述したように、インクの沈降が画質に悪影響を与える許容限界時間は、72時間(3日間)であることが実験的に分かっており、これを踏まえて、閾値時間は若干の余裕を見越して60時間(2.5日間)に設定されている。
上述した本実施例の放置時インク管理処理によれば、印刷が終了した時点から経過時間の計時が開始され、経過時間が閾値時間に達すると(印刷終了から2.5日が経過時)、所定量(領域Bに存在するインク量に相当)のインクが噴射ヘッド132の噴射ノズルから排出される。図中では、このようにして排出されるインクの排出量を、斜線を付した棒グラフによって表している。こうして所定量のインクを排出することで、領域Bに存在していた状態b1のインクおよび状態b2のインクが領域A(インクチューブ136の略水平な領域)に移動し、領域Bには、上流側から状態aのインクが供給される(図6(c)を参照のこと)。
その後、改めて経過時間の計時が開始され、経過時間が閾値時間に達すると(印刷終了から5日が経過時)、再び、所定量のインクが噴射ヘッド132から排出される。その結果、領域Bに供給された状態aのインクが、沈降の影響によって状態b1あるいは状態b2のインクになった段階で領域Aに移動し、領域Bには、上流側(インクカートリッジ134側)から状態aのインクが供給された後、再び経過時間の計時が開始される(図6(e)を参照のこと)。
そして、経過時間が閾値時間に達する前に7日間が経過して、印刷が開始される。この段階では、領域Bに存在するインクは、未だ沈降が許容限界まで進んでおらず、更に、領域Bから下流側(噴射ヘッド132側)の領域Aに移動していたインクは、状態b1または状態b2のままに保たれている。もちろん、領域Aにおいても、インクチューブ136の断面方向へのインクの沈降は生じるが、前述したように、この方向の沈降は、インクチューブ136内をインクが流れることによって速やかに解消される。その結果、印刷終了から7日間が経過した時点でも、噴射ヘッド132から無用にインクをほとんど排出することなく、画像の印刷を開始することが可能となる。
これに対して、本実施例の放置時インク管理処理を行わず、単純に放置していた場合は、印刷終了後から3日間が経過した時点で、領域Bにおけるインクの沈降が、画質に悪影響を与える程度まで進行する。そして、前述したように領域Bで生じる沈降は、インクチューブ136の軸方向に沈降性の成分が移動してしまうので、軸方向に成分濃度の偏りを発生させ、更に、このような軸方向への成分濃度の偏りは、インクチューブ136内をインクが流れることによっては解消しない。結局、印刷終了後からの放置時間が、許容限界時間(ここでは3日間)を超えた場合は、領域Bにあるインクを捨てる以外になく、そのためには、領域Bよりも下流側(噴射ヘッド132側)にあるインクチューブ136内のインクも、噴射ヘッド132内のインクも、全て排出しなければならなくなる。図7には、図中では、このようにして無用に排出されるインクの排出量を、黒く塗り潰した棒グラフによって表している。
図7から直ちに了解できるように、本実施例の放置時インク管理処理を行った場合には、印刷終了後から2.5日および5日が経過した時点で、所定量のインクを排出すればよい。これに対して、単純に放置した場合には、それより遙かに多量のインクを、印刷開始時に排出しなければならなくなる。すなわち、本実施例の放置時インク管理処理を行うことによって、インクの沈降が原因で排出するインク量を大幅に抑制することが可能となるのである。
尚、以上の説明では、インク中の溶媒(水やアルコールなど)に溶けずに懸濁している成分が、重力の影響で沈むことによって、インクの沈降が生じるものとして説明した。インクに添加されて懸濁した状態で存在する成分は、顔料のように、インクの溶媒よりも比重が大きいことが通常なので、長時間放置していると、懸濁していた成分が重力によって沈むことが通常である。しかし、油分などを界面活性剤で乳化させて、インクの溶媒中に懸濁させたインクが製造されることもある。このようなインクを長時間放置していると、懸濁していた油分などの微粒子が浮力によって上昇し、言わば「マイナスの沈降」が生じる。
図8は、インクジェットプリンター100のインクチューブ136内で、マイナスの沈降が生じた様子を示した説明図である。前述した図4の場合には、沈降性の成分は、インクの溶媒よりも比重が大きいために、重力によって下方に移動する言わば「プラスの沈降」が生じたが、図8に示した例では、沈降性の成分(正確には、マイナスの沈降性の成分)は、インクの溶媒よりも比重が軽いため、浮力によって上方に移動する。その結果、図8(a)に示したように、インクチューブ136が略水平な領域Aの部分では、インクチューブ136の断面方向に、成分濃度の濃く部分と薄い部分とが発生する。一方、図8(b)に示したように、領域Bの部分では、インクチューブ136の軸方向に、成分濃度の濃く部分と薄い部分とが発生する。
図8に示したマイナスの沈降と、図4に示したプラスの沈降とを比較すれば明らかなように、成分濃度が濃い部分と薄い部分とが逆になっているものの、インクチューブ136内のインクには、マイナスの沈降が生じた場合でも、プラスの沈降が生じた場合と全く同様な現象が発生している。従って、前述したプラスの沈降を生じるインクに対しての説明は、マイナスの沈降を生じるインクに対しても全く同様に当て嵌まる。このため、本実施例の放置時インク管理処理を行うことで、マイナスの沈降が生じるインクを用いた場合にも、インクの排出量を大幅に抑制することが可能となる。
以上、本願発明の実施例、および各種の変形例について説明したが、本発明は上記に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
100…インクジェットプリンター、 110…本体ケース、
112…操作パネル、 120…給紙部、 122…スピンドル部、
124…カバー部、 130…インク噴射部、 132…噴射ヘッド
134…インクカートリッジ、 136…インクチューブ、
140…インクメンテナンス部、 142…キャップ、
144…廃インクタンク、 146…吸引ポンプ、 150…制御部、
152…経過時間計時部、 160…駆動部、 162…ガイドレール、
164…駆動ベルト、 166…プーリー、 168…駆動モーター、
170…紙送り部、 172…紙送りローラー、 174…紙送りモーター

Claims (3)

  1. 噴射ヘッドに設けられた噴射ノズルから、沈降性の成分を含んだ液体を噴射させる液体噴射装置であって、
    前記液体が収容された液体収容容器と、
    前記液体収容容器内の液体前記噴射ヘッドまで導かれる液体通路と、
    前記噴射ヘッド内の液体前記噴射ノズルから排出される液体排出手段と、
    前記液体を噴射あるいは排出してからの経過時間計時される計時手段と
    を備え、
    前記液体通路には、
    水平方向に沿って形成された第1通路領域と、
    前記第1通路領域よりも前記液体の流通方向の上流側で、前記沈降成分の沈降方向に沿って形成された第2通路領域と
    前記第2通路領域よりも前記液体の流通方向の上流側で、水平方向に沿って形成された第3通路領域と
    が設けられており、
    前記液体排出手段は、前記計時手段によって計時される前記経過時間が所定の閾値時間に達した場合には、前記噴射ノズルから所定量の前記液体を排出することによって、前記第2通路領域に存在している分量の液体を前記第2通路領域から前記第1通路領域に移動させる手段である液体噴射装置。
  2. 前記第2通路領域よりも下流側の前記液体通路内および前記噴射ヘッド内の合計容積は、前記第2通路領域内の容積よりも大きな容積に設定されている請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 請求項1に記載の液体噴射装置であって、
    前記噴射ヘッドの前記噴射ノズルが形成されたノズル面に当接されて、該噴射ノズルの周囲に閉空間を形成するキャップ部材と、
    前記キャップ部材に接続されて、前記閉空間に負圧を作用させる吸引ポンプと
    を備え、
    前記液体排出手段は、前記ノズル面に前記キャップ部材が当接された状態で前記吸引ポンプを作動させて、前記噴射ノズルから前記液体を吸引することによって、前記液体を排出する手段である液体噴射装置。
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