JP5564626B1 - 浸透方法、成分含有浸透液の製造方法、浸透抽出装置 - Google Patents

浸透方法、成分含有浸透液の製造方法、浸透抽出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被処理物の浸透方法(含浸食品の製造方法を含む)にあって、エネルギー消費が大きく、長時間を有する点である。
【解決手段】生物由来物である被処理物に浸透液を浸透する浸透方法である。被処理物を瞬間減圧して、被処理物の微細構造を変化させる。次に被処理物を浸透液と接触させて、被処理物に浸透液を浸透する。瞬間減圧は、大気圧から0.3kPa以上40.0kPa以下の値にするものであって、大気圧から当該低圧力値に至る時間が0.05秒から1.0秒の間である。
【選択図】なし

Description

本発明は、被処理物に浸透液を浸透する浸透方法と、当該浸透方法を行って成分含有浸透液を製造する成分含有浸透液の製造方法に関するものである。浸透方法の一例は含浸食品の製造方法である。成分含有浸透液の製造方法によって、例えば、植物体や動物体から生理活性物質が抽出される。
食材に調味液をしみ込ませた食品は多種あり、例えば、食材を調味液中で煮る、調味液に漬け込むなどの調理方法により製造されている。また、食材を含有水分が凍結しないように温度調節しながら減圧乾燥したのち、調味液と接触させて、食材中に調味液を含浸させる食品の含浸処理方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかし、従来の方法は所要エネルギーが大きい、処理に長時間を必要とするなどの欠点があった。
特開2002−354988号公報
解決しようとする問題点は、被処理物の浸透方法(含浸食品の製造方法を含む)にあって、エネルギー消費が大きく、長時間を有する点である。
本発明のその他の課題は、本発明の説明により明らかになる。
以下に課題を解決するための手段を述べる。浸透抽出装置にあっては理解を容易にするために、本発明の実施態様に対応する符号を付けて説明するが、本発明は当該実施態様に限定されるものではない。また、符号である数字は部品などを集合的に示す場合があり、後に説明する実施例において個別の部品などを示す場合に、当該数字のあとにアルファベットの添字を付けているものがある。
本発明の一の態様にかかる浸透方法は、
生物由来物である被処理物に浸透液を浸透する浸透方法において、以下の工程からなる。
イ 被処理物を処理槽内に収容する収容工程
ロ 処理槽内の圧力を大気圧とする第一大気圧工程
ハ 第一大気圧工程の後に、処理槽内の圧力値を第一低圧力値にして、被処理物の微細構造を変化させる構造改変工程であって、第一低圧力値は0.3kPa以上40.0kPa以下であり、処理槽内の圧力値が大気圧から第一低圧力値に至る時間が0.05秒から1.0秒の間である
ニ 前記構造改変工程を経た被処理物を浸透液と接触させて、被処理物に浸透液を浸透する接触・浸透工程
ハの構造改変工程により生じる事象を本発明と本明細書において「瞬間減圧」と呼ぶ。瞬間減圧により、被処理物の内部に在る水に含まれている(溶けている)気体がガス化して膨張する。ガス化によって内圧が急激に上がりそれが原動力となりガスと水分が被処理物内部から表面に押し出される。こうして、被処理物の内部構造が一部改変されて、内部と表面を連絡する連絡路が作られる。続いて、ニの接触・浸透工程において、浸透液が連絡路を通過して被処理物の内部へ浸透する。
本発明の浸透方法の好ましい実施態様において、
前記接触・浸透工程は以下の副工程を含むものであってもよい。
ニ−1 前記構造改変工程の後に、処理槽内の圧力を0.3kPa以上40.0kPa以下に保持して処理槽に浸透液を注入する注入副工程
ニ−2 前記注入副工程の後に、処理槽内の圧力を大気圧にする第二大気圧副工程であって、処理槽内の圧力値が一定の値から大気圧に至る時間が0.05秒から1.0秒の間である
本発明と本明細書において、ニ−2の第二大気圧副工程により生じる事象を「瞬間昇圧」と呼ぶ。瞬間昇圧により、被処理物の内部に在る浸透液及び/またはもともと含まれていた水分が動揺する。
本好ましい実施態様によれば、被処理物の内部に浸透液が圧入され、また、被処理物内部の浸透液が動揺するので、浸透液が一層短時間で内部に浸透する利点がある。
本発明の浸透方法の他の好ましい実施態様において、
前記接触・浸透工程はさらに以下の副工程を含むものであってもよい。
ニ−3 第二大気圧副工程の後に、処理槽内の圧力値を第二低圧力値にして、被処理物内部に浸透液を浸透させる浸透副工程であって、第二低圧力値は0.3kPa以上40.0kPa以下であり、処理槽内の圧力値が大気圧から第二低圧力値に至る時間が0.05秒から1.0秒の間である
本好ましい実施態様は、被処理物に浸透液を接触させた状態で瞬間減圧するものである。本好ましい実施態様によれば、被処理物内部の浸透液が動揺するので、浸透液が一層短時間で内部に浸透する利点がある。
本発明の浸透方法の好ましい実施態様において、
ニの工程またはニ−1の工程に使用する、浸透液は脱気処理を行った浸透液であってもよい。
本好ましい実施態様によれば、浸透液から離脱する気体が被処理物の表面に吸着して被処理物と浸透液の接触を阻害することが防止されるので、浸透液が一層短時間で内部に浸透する利点がある。
本発明の他の態様にかかる含浸食品の製造方法は、
生物由来物である食品材料に浸透液を浸透して含浸食品を製造する含浸食品の製造方法において、以下の工程からなる。
イ 含浸食品材料を処理槽内に収容する収容工程
ロ 処理槽内の圧力を大気圧とする第一大気圧工程
ハ 第一大気圧工程の後に、処理槽内の圧力値を第一低圧力値にして、食品材料の微細構造を変化させる構造改変工程であって、第一低圧力値は0.3kPa以上40.0kPa以下であり、処理槽内の圧力値が大気圧から第一低圧力値に至る時間が0.05秒から1.0秒の間である
ニ 前記構造改変工程を経た食品材料を浸透液と接触させ、被処理物に浸透液を浸透する接触・浸透工程
本発明の他の態様にかかる成分含有浸透液の製造方法は、
生物由来物である被処理物から、被処理物の成分を浸透液に抽出して成分含有浸透液を製造する、成分含有浸透液の製造方法であって、
本発明にかかる浸透方法を行い、
前記接触・浸透工程を行う間に前記処理槽から流出する流出流体に含まれる第一成分含有浸透液を回収し、前記接触・浸透工程を終了した後に前記処理槽に在る液体である第二成分含有浸透液を回収し、第一成分含有浸透液及び/または第二成分含有浸透液からなる成分含有浸透液を製造することを特徴とする。
本発明のその他の態様にかかる浸透抽出装置は、
生物由来物である被処理物に浸透液を浸透する浸透抽出装置において、
内部に被処理物を収容可能な処理槽(11)、
真空排気ポンプ(62)に接続された密閉容器である真空レシーバ(61)、前記真空レシーバは前記真空排気ポンプの作動により減圧され、
前記処理槽と前記真空レシーバを接続する管路であるA管路(12)、
A管路の途中に介在して配設されA管路を開閉するA開閉弁(13)、
前記処理槽と大気を導通する管路であるD管路(69)、
D管路の途中に介在して配設されD管路を開閉するD開閉弁(67)、
内部に浸透液を収容可能な脱気槽(41)、
前記脱気槽と前記真空レシーバを接続する管路であるC管路(42)であって、C管路は前記A管路のA開閉弁より真空レシーバ側である管路分岐点(21)から分岐していて、
C管路の途中に介在して配設されC管路を開閉するC開閉弁(43)、
A管路の途中であって、管路分岐点よりも前記真空レシーバ側に配設された浸透液出口(76)、
前記処理槽と前記脱気槽を接続し、途中に送液バルブ(52)を有する送液管路(51)を有し、
A開閉弁(13)は、前記処理槽と前記真空レシーバ間を導通し、また、前記処理槽と前記真空レシーバ間を遮断するものであり、大気圧下にある処理槽と減圧状態にある前記真空レシーバを圧力平衡状態にするものであって、圧力平衡状態における圧力値は0.3kPa以上40.0kPa以下であり、圧力平衡状態に至る時間が0.05秒から1.0秒の間であり、
C開閉弁(43)は、前記脱気槽と前記真空レシーバ間を導通し、また、前記脱気槽と前記真空レシーバ間を遮断するものであり、大気圧下にある前記脱気槽と減圧状態にある前記脱気槽を圧力平衡状態にするものであって、圧力平衡状態における圧力値は0.3kPa以上40.0kPa以下であり、圧力平衡状態に至る時間が0.05秒から1.0秒の間であり、
D開閉弁(67)は、前記処理槽と大気間を導通し、また、前記処理槽と大気間を遮断するものであり、一定の減圧下にある前記処理槽を大気圧にするものであって、前記処理槽の圧力値が一定の値から大気圧に至る時間が0.05秒から1.0秒の間であり、
前記送液バルブ(52)は、送液管路(51)を開閉するものであって、前記脱気槽内にあり送液圧力が負荷された状態にある浸透液を前記送液圧力よりも低圧にされた前記処理槽に前記浸透液を送液するものである。
本発明の好ましい実施態様にかかる浸透抽出装置は、
前記A管路(13)であって、前記管路分岐点(21)と前記真空レシーバ(61)の間に気液分離器(71)、熱交換器(72)と凝縮液容器(73)を設け、前記浸透液出口(76)は前記凝縮液容器に配設したものであってもよい。
本発明と本明細書にあって、管路分岐点21からA管路の一部分12c、気液分離器71、熱交換器72、凝縮液容器73と真空レシーバ61を真空系流路と呼ぶ。
本好ましい実施態様によれば、真空系流路中に流体に含まれる浸透液を分離する部品が含まれるので、より一層効率的な浸透液の浸透を行うことができる。
以上説明した本発明、本発明の好ましい実施態様、これらに含まれる構成要素は可能な限り組み合わせて実施することができる。
本発明の浸透方法は、瞬間減圧により被処理物の内部から表面に通じる連絡路が形成され当該連絡路を通って浸透液が浸透するので、所要エネルギーが小さく、短時間で浸透処理を行うことができる。また、瞬間減圧により被処理物から水分が奪われるので、浸透液の成分濃度が保たれて、浸透液成分などの浸透が良好となる。
本発明の含浸食品の製造方法は、上記浸透方法と同様に、瞬間減圧により食品材料の内部から表面に通じる連絡路が形成され当該連絡路を通って浸透液が浸透するので、含浸食品を製造するに必要なエネルギーが小さく、製造を短時間で行うことができる。また、瞬間減圧により被処理物から水分が奪われるので、浸透液の成分濃度が保たれて、浸透液成分などの浸透が良好となる。
本発明にかかる成分含有浸透液の製造方法は、瞬間減圧により被処理物の内部から表面に通じる連絡路が形成され当該連絡路を通って浸透液が出入りするので、所要エネルギーが小さく、物質移動が迅速に行われる、その結果、効率よく、短時間で抽出がなされる。また、瞬間減圧により被処理物から水分が奪われるので、浸透液の成分濃度が保たれて、抽出が効率よく行われる。このように優れた成分含有浸透液の製造方法である。
本発明の浸透抽出装置は、被処理物の瞬間減圧に適するとともに、瞬間減圧によって浸透液の脱気処理をも行うことができる。さらに、送液管路を備えているので、脱気処理済みの浸透液を処理槽に容易に注入することが出来るなど、浸透及び/または抽出処理に好適な装置である。
図1は浸透抽出装置の構成を示した説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施例にかかる浸透方法、含浸食品の製造方法、成分含有浸透液の製造方法と浸透抽出装置をさらに説明する。本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするため、一部の構成要素を誇張して表すなど模式的に表しているものがある。このため、構成要素間の寸法や比率などは実物と異なっている場合がある。また、本発明の実施例に記載した部材や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載のない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は浸透抽出装置6の構成を示した説明図である。浸透抽出装置6は浸透方法と含浸食品の製造方法を実施するに好適な装置である。また、浸透抽出装置6は成分含有浸透液の製造方法を実施するのに好適な装置である。
浸透抽出装置6は、処理槽11、真空系流路、真空排気ポンプ62を含んでいる。真空系流路は、気液分離器71、熱交換器72、凝縮液容器73と真空レシーバ61を含み、さらに管路分岐点21とA管路の一部分12cを含んでいる。真空レシーバ61は、バルブ63を介在して、真空排気ポンプ62と管路で接続されている。バルブ63を開閉すれば、真空レシーバ61と真空排気ポンプ62が導通し、遮断される。
真空系流路と処理槽11はA管路12で接続されている。A管路12aとA管路12bの間にA開閉弁13が在る。A開閉弁13はA管路12の開閉を行う。A開閉弁13が開状態になれば、処理槽11と真空レシーバ61が導通する。A開閉弁13が閉状態になれば、処理槽11と真空レシーバ61が遮断される。
処理槽11は密閉可能な耐圧容器である。被処理物は処理槽11内に収容される。処理槽11内に保持手段を設けてもよい。保持手段は、被処理物の形状、大きさ、柔剛性等に応じて適切な物を選定すればよい。
処理槽11内の圧力を測定するために圧力計を配置してもよい。
処理槽11はD管路69により大気と導通される。D管路69にD開閉弁67が在る。D開閉弁67はD管路69の開閉を行う。D開閉弁67が開状態になれば、処理槽11と大気が導通する。D開閉弁67が閉状態になれば、処理槽11と大気が遮断される。
処理槽11の外壁を取り巻く格好で加熱冷却器が付けられている。加熱冷却器は図示していない。加熱冷却器の一例は配管であり、配管中を水蒸気、加温油、加温水などの加熱媒体、冷水、低温油などの冷熱媒体を通過させるものである。加熱冷却器の他の例は、テープ形状の電熱ヒータである。
さらに、処理槽11に処理槽11中に在る気体を循環させるブロアを取り付けてもよい。
また、処理槽11の内部に加熱器を設置してもよい。処理槽11内に加熱器を設置すれば、被処理物の加熱にあって、輻射熱による加熱が優勢となる。
処理槽11はステンレススチール、チタン、鉄、アルミニウム、銅、すずなどで作られる。含浸食品の製造方法や食用、服用材料などの成分含有浸透液の製造方法を実施するのであれば、安全性と経済性に優れる観点からオーステナイト系ステンレススチールが好ましく、SUS304が特に好ましい。処理槽11の内容積に特に制限はなく、被処理物の1回処理量に合わせて内容積を決定すればよい。本実施例の浸透抽出装置6における処理槽11の内容積は1m(立方メートル)である。
真空レシーバ61は真空排気ポンプ62と接続されている。真空レシーバ61はバルブ66を介してドレイン排出口を有する。
真空レシーバ61はステンレススチール、チタン、鉄、アルミニウム、銅、すずなどで作られる。含浸食品の製造方法や食用、服用材料などの成分含有浸透液の製造方法を実施するのであれば、安全性と経済性に優れる観点からオーステナイト系ステンレススチールが好ましく、SUS304が特に好ましい。真空レシーバ61と処理槽11の材質は同一であってもよく異なっていてもよい。同一であれば手入れ等の観点から好ましい。
真空系流路内容積は、通常、処理槽11の1〜10倍、好ましくは1〜5倍、より好ましくは2〜4倍とする。気液分離器71、熱交換器72などの内容積は真空レシーバ61の内容積に比較して小さく、無視することができる。従って、上記した真空系流路内容積は、概ね真空レシーバ61の内容積とみなすことができる。
真空レシーバ61を備えた浸透抽出装置6を用いて行う浸透方法や成分含有浸透液の製造方法などは、被処理物を大きな圧力勾配に曝すものである。大きな勾配を実現するために、(1)単一回減圧または昇圧の工程における前後の圧力差を大きくし、(2)単一回減圧または昇圧の工程の時間を短くしている。
処理槽11と真空レシーバ61の容積比を大きくすれば単一回減圧工程における前後の圧力差を大きくできる。一方、真空レシーバ61の容積を大きくすれば、真空レシーバ61の減圧用真空排気ポンプの排気能力を大きくしなければならず、所定圧力に達するまで時間がかかる。また、処理槽11内には被処理物を充填するので実効空間容量が小さくなる。被処理物の実用的な最大充填率はおよそ30%である。これらの諸条件を勘案すると、処理槽と真空レシーバ61の容積比は上記範囲となる。
圧力計を配置して真空レシーバ61内の圧力を計測してもよい。
真空排気ポンプ62の種類に格別の制限は無く、所定真空度が得られる真空排気ポンプを選定すればよい。真空排気ポンプの種類は、例えばウォーターリングポンプ(別名水封ポンプ、水環ポンプ)、油回転ポンプである。
A開閉弁13は高速バルブである。高速とはA開閉弁の全開状態から一部開状態を経て全閉状態(又は全閉状態から全開状態)に至る時間が0.2秒以下である開閉弁を意味する。前記動作時間の下限値に特に制限はないが、一例をあげると0.01秒である。このような高速バルブは電磁バルブ(前記動作時間が最速0.07秒のものが市販されている)や圧縮空気バルブである。
処理槽11内の圧力値が大気圧から第一低圧力値に至る時間を望みの時間にするために、A管路12は一定の断面積を必要とする。処理槽11に在る気体が真空レシーバ61に移動して、処理槽11と真空レシーバ61が圧力平衡に達するまでに必要とする時間は、A管路12を含む真空系流路内における気体の移動速度に依存するからである。通常は、A管路12の断面積が他の真空系流路構成品の断面積よりも小さくなる。このためA管路12が当該速度を律する。
A管路12を円柱管で構成し、A管路12の長さをLm、円形断面の内面直径をdmとした場合、式(1)を満足することが好ましい。
Figure 0005564626
式(1)中、等号(及び不等号)で左右を囲まれる項(中間項)の計算値の一例を表1に示す。表1に示す計算結果は中間項の値である。dはmmで表示した。表1に示したd値の0.9〜1.1の範囲が式(1)を満足する。
Figure 0005564626
ここで、A管路12の内径とバルブ内径は同一とすることが好ましい。
熱交換器72は瞬間減圧時などに処理槽11から真空レシーバ61に流れる流体の温度を下げる働きをする。熱交換器72は、抽出方法にあって、浸透液(すなわち抽出溶媒)に有機溶媒などを使用し、かつ、浸透工程を高い温度(例えば60℃以上)で行う場合に、格別に、その機能を発揮するものである。冷却は、例えば、室温程度まで流体の温度を下げることである。
凝縮液容器73は浸透液出口76を有する。凝縮液容器73と浸透液出口76の間にバルブ78を配置している。
脱気槽41は密閉可能な耐圧容器である。注入副工程に使用する浸透液を注入前に脱気する場合には、浸透液は脱気槽41内に収容される。接触・浸透工程または注入副工程において、浸透液は、注入前に脱気処理してもよく、注入前に脱気処理しなくてもよい。注入前に脱気処理することが好ましい。
脱気槽41と真空系流路はC管路42で接続されている。C管路42は管路分岐点21から分岐している。管路分岐点21はA管路12中の特定の位置であり、A開閉弁13より真空レシーバ61側であり、A開閉弁13と気液分離器71の間の位置である。管路分岐点21は、A開閉弁13の付け根でもよく、また、気液分離器71の付け根でもよい。
C管路42aとC管路42bの間にC開閉弁43が在る。C開閉弁43はC管路42の開閉を行う。C開閉弁43が開状態になれば、脱気槽41と真空レシーバ61が導通する。C開閉弁43が閉状態になれば、脱気槽41と真空レシーバ61が断絶する。
C管路42aはバルブ68を介して大気と接続される。バルブ68を開くと脱気槽41内は大気圧となる。
処理槽11と脱気槽41は送液管路51で接続されている。送液管路51は送液バルブ52を有する。脱気槽41に浸透液を入れ上部空間を一定圧力にし、一方、処理槽11内を前記一定圧力に比較して小さい値の圧力値にし、送液バルブ52を開くと、浸透液は脱気槽41から処理槽11に移動する。
脱気槽41の内容積、材質などは処理槽11と同じである。C管路42の形状、断面積と長さの関係などはA管路12と同じである。C開閉弁43の動作時間、動作方式などはA開閉弁13と同じである。
D開閉弁67の動作時間、動作方式などはA開閉弁13と同じである。
バルブ26は処理槽11中の浸透液を排出する用途の開閉弁である。成分含有浸透液の製造方法を実施する場合にはバルブ26を開けて第二成分含有浸透液を捕集できる。第二成分含有浸透液はバルブ47から取り出してもよい。また、フィルター75とバルブ77を通過して、凝縮液容器73に捕集してもよい。
成分含有浸透液の製造方法を実施する場合であって、接触・浸透工程実施過程で瞬間減圧を行えば、処理槽11中に在る抽出液の一部はA管路12と、気液分離器71、熱交換器72を経由して、凝縮液容器73に流入する。当該浸透液は第一成分含有浸透液である。
第二成分含有浸透液を凝縮液容器73に捕集すれば、第一成分含有浸透液と第二成分含有浸透液は、凝縮液容器73に集まる。凝縮液容器73中の第一成分含有浸透液などは、バルブ78を開けて浸透液出口76から取り出せる。
浸透抽出装置6は制御装置を有してもよい。制御装置は図示していない。制御装置は例えばコンピュータやプログラマブルシーケンサである。制御装置は(1)真空排気ポンプの運転、停止、(2)真空レシーバ61の減圧、(3)加熱冷却器の運転、停止による処理槽11内の温度調節、(4)A開閉弁13を開にして処理槽11の瞬間減圧、(5)C開閉弁43を開にして脱気槽41の瞬間減圧、(6)D開閉弁67を開にして処理槽11の瞬間昇圧、などを制御する。
続いて、本発明にかかる浸透方法と含浸食品の製造方法を説明する。含浸食品の製造方法において行う各工程は、浸透方法において行う各工程と同一である。以下の浸透方法と含浸食品の製造方法の説明にあっては、浸透方法という用語は含浸食品の製造方法を含むものである。
ここでは浸透抽出装置6を用いるものとして説明する。本発明にかかる浸透方法と含浸食品の製造方法はその要旨に従う限りいかなる装置を用いても実施することができる。
<収容工程>
被処理物を処理槽11内に収容する。被処理物は生物由来物である。生物由来物は内部に細孔、空隙、管状構造の微細構造を有している。このため、被処理物の内部にある水分を、微細構造を通じて被処理物の表面に移動でき、移動経路の跡が連絡路となる。連絡路は浸透液の通路となる。このように生物由来物は本発明にかかる浸透方法を適用するに適するものである。
生物由来物における生物とは植物・動物と微生物を意味する。由来とは生物体そのものに加えて、生物を加熱、醗酵、保存等の加工を行った結果物をいう。生物由来物には食品、家畜その他動物の餌、薬物を含む生理活性物質の原料、香料の原料、木材、チップ等が含まれる。食品には、葉菜、根菜、きのこ等の野菜、果物、穀物、牛、豚、鳥、鹿等の肉、魚、皮、卵、練り製品、これらを原料とした加工品、練り製品等が含まれる。
生物由来物は、なまもの、切断物、粉砕物、加熱品、冷凍品等を含むものである。
<第一大気圧工程>
被処理物を収容した処理槽11内の気圧を大気圧とする。通常、収容工程は大気圧下で行われるので格別の操作は不要である。処理槽の蓋を閉じる前の状態が、本工程実施の状態である。入念を期すのであれば、バルブ67を開にすれば、処理槽11の内部は大気圧に解放される。大気圧を気圧数値で表すと略100kPaである。
<真空レシーバ及び真空系流路の減圧>
真空排気ポンプを動作し、真空レシーバ61及び気液分離器71、熱交換器72と凝縮液容器73を所定圧力値まで減圧する。所定圧力値は引き続く工程で、処理槽11(又は脱気槽41の場合もある)を第一低圧力値(第二低圧力値の場合もある)にすることができる圧力値である。浸透抽出装置6では、真空レシーバ61と処理槽11の内容積の比を3:1にしているので、真空レシーバを第一低圧力値の概略1/3にすればよい。
真空系流路の内容積と処理槽11内の実効空隙容積を考慮すればより確度の高い数値を得ることができる。実効空隙容積とは、内容積から被処理物の体積を除いた容積値である。
真空レシーバ61の減圧は収容工程に先立って行ってもよい。また、加熱工程と並行して行ってもよい。瞬間減圧の前に真空レシーバ61内が所定圧力値にあればよい。
<加熱工程>
加熱冷却器を加熱運転し被処理物を加熱する。ブロアを運転して処理槽11内の大気を撹拌してもよい。被処理物の温度は、上限を80℃以下、下限を室温以上、好ましくは30℃以上にすることが好ましい。上記の範囲にすれば、通常は、被処理物の著しい変質を防止できる。
また、加熱工程において被処理物が一時的に高温になっても、構造改変工程で水分の一部が蒸発し潜熱が奪われると瞬時に被処理物の温度が下がる。
<構造改変工程>
処理槽11内を瞬間減圧して第一低圧力値にする工程である。第一低圧力値は、通常0.3kPa以上40.0kPa以下、好ましくは1.0kPa以上40.0kPa以下、より好ましくは3.0kPa以上40.0kPa以下である。
構造改変工程にあって、処理槽内の圧力値が大気圧から第一低圧力値に至るまでの時間は0.05秒以上1.0秒以下であり、好ましくは0.05秒以上0.5秒以下である。この範囲にすれば処理槽内の圧力勾配が好ましい大きさとなり適度に水分が移動し、連絡路が好適に形成される。同時に、バルブ開閉時間、容器、A管路を気体の流れに適切に設計製造可能となり、過剰に高性能な設備が必要となることもない。
瞬間減圧を行うと被処理物内部と外部との間に大きな圧力差が生じ、被処理物に含まれている水分およびそれに溶けている気体が瞬間的に気化(脱気)する。これにより被処理物内に気液混合体が形成され、その瞬発的圧力は被処理物の組織構造を一部破壊し、気液混合体は自らの膨張により原料の表面に噴き出す。このとき、被処理物の内部と表面を連絡する微細な連絡路が形成される。
一方で、瞬間減圧により、被処理物の外部に気流が発生する。被処理物の表面に至った水分は、発生する気流により表面から剥離し処理槽の自由空間に霧状に飛散し、真空レシーバに向かって拡散する。こうして水分が収奪される。このため、後に行う工程において、浸透液が過剰に希釈されることもない。例えば、浸透液の塩分濃度や有機溶媒濃度がいたずらに希釈されない。
具体的な操作の一例は以下のとおりである。真空排気ポンプ62を動作して、真空レシーバ61を含む真空系流路を減圧する。真空レシーバ61内部が適切な圧力値になれば、A開閉弁13を開にして処理槽11を瞬間減圧する。
<第一大気圧工程と構造改変工程の繰り返し操作>
本発明の浸透方法にあっては、瞬間減圧により生成する圧力勾配が微細な連絡路を形成し、また瞬間減圧により水分が収奪される。このため、被処理物に対して複数回の瞬間減圧を繰り返すことがより一層好ましい。
構造改変工程の後に、処理槽を大気に通じて大気圧に昇圧する(大気圧工程)。通常、分離工程において被処理物の温度が下がるので、被処理物を加熱する(加熱工程)。その後、瞬間減圧を生じる構造改変工程を行う。
必要に応じて、大気圧工程から分離工程までの操作を繰り返す。
繰り返し操作を行う場合に、構造改変工程での第一低圧値は、数回の操作にわたり各回同一の値にすることができ、また、各回独自の値にすることができる。各回独自の値にする場合に、一回毎に前回より低い値にしてもよい。こうすれば、過大な減圧エネルギーを浪費することなく、段階をふんで連絡路の形成と水分収奪を行うことができる。
<接触・浸透工程>
構造改変工程を経た被処理物を浸透液と接触させる。換言すれば、浸透液の中に、構造改変工程を経た被処理物を漬ける工程である。圧力を一定状態に保持しつつ接触状態を保持すればよい。被処理物の内部に既に微細な連絡路が形成されているので、短時間で被処理物に浸透液が浸透する。接触・浸透工程は、以下に述べる副工程を実行するものであってもよい。以下の副工程を実行すれば、より一層短時間で被処理物に浸透液が良好に浸透する。
接触・浸透工程では、被処理物と浸透液を同一の処理槽に収納すればよい。被処理物は周囲を浸透液に囲まれる状態とすることが好ましい。
容器は構造改変工程を行った処理槽と同一でもよく、異なる処理槽であってもよい。同一の処理槽を使用することが好ましい。被処理物移動の手間がないからである。
<浸透液の脱気>
浸透液は予め脱気処理を行った浸透液の使用が好ましい。特に浸透副工程を実行する場合には、予め脱気した浸透液を被処理物に接触させることが好ましい。その理由は、
浸透副工程は瞬間減圧を行う工程であり、脱気処理をしてない浸透液を使用した場合、瞬間減圧時に発生した気体が固体表面に吸着し強固な気相膜が形成され固液の接触を阻害し、浸透液の被処理物への浸透が遅延するからである。
浸透抽出装置6を使用する浸透液の脱気処理を説明する。
脱気槽41に浸透液を収容する。真空排気ポンプ62を動作して、真空レシーバ61を含む真空系流路を減圧する。また、必要に応じて脱気槽41を加温する。C開閉弁43を開にして、脱気槽と真空レシーバ61及び真空系流路を接続する。すなわち、瞬間減圧による脱気処理を行う。
脱気槽41の圧力は第三低圧値となる。第三低圧力値は0.3kPa以上40.0kPa以下の値である。また、脱気槽41内の圧力値が大気圧から第三低圧力値に至る時間が0.05秒から1.0秒の間である。
瞬間減圧により、脱気槽の圧力は浸透液の飽和水蒸気圧以下となり、浸透液に溶け込んでいる気体が取り除かれる。瞬間減圧後は、C開閉弁43を開にした状態を3分間から5分間保持し、浸透液脱気の完全化を図る。瞬間減圧による浸透液の脱気は浸透液から泡の発生が無くなるまで、瞬間減圧操作を繰り返すことが好ましい。
浸透液が水溶液主体(例えば牛肉の漬け汁)の場合には、第三低圧力値は0.3kPa以上10.0kPa以下の値にし、脱気槽の加温は行わず室温で脱気することが好ましい。
浸透液が有機溶媒主体(例えばエタノール含量50%(W/W)以上の水溶液)の場合には、第三低圧力値は30kPa以上40.0kPa以下の値にし、脱気槽を55℃以上65℃以下に加温して脱気することが好ましい。
繰り返し脱気を行う場合に、第三低圧値は、数回の操作にわたり各回同一の値にすることができ、また、各回異なる値にすることができる。各回異なる値にする場合に、一回毎に前回より低い値にしてもよい。このようにすれば、過大な減圧エネルギーを浪費することなく、また、突沸による脱気槽からの浸透液減少を軽減することができる。
具体的な操作の一例は以下のとおりである。真空排気ポンプ62を動作して、真空レシーバ61を含む真空系流路を減圧する。真空レシーバ61内部が適切な圧力値になれば、C開閉弁43を開にして脱気槽41を瞬間減圧する。
<注入副工程>
前記構造改変工程の後に、処理槽内の圧力を0.3kPa以上40.0kPa以下に保持して処理槽に浸透液を注入する副工程である。注入副工程と第二大気圧副工程を連続して行うことにより、微細な連絡路に浸透液が圧入されるので、より一層短時間で、かつ、被処理物のより一層内部深くまで浸透液が浸透する。
構造改変工程実行直後の処理槽11は第一低圧力値にある。一方、脱気槽41は減圧脱気処理後に低圧値にある。脱気槽41の圧力値が処理槽11の圧力値よりも大であれば、送液バルブ52を開にすれば、浸透液は送液管路51を通じて、脱気槽41から処理槽11に移送される。
浸透液の移送前に処理槽11の圧力値が相対的に大である場合には、真空レシーバ61を減圧してA開閉弁13を開にして、処理槽11の圧力値を下げればよい。
移送終了時の処理槽11の圧力値は0.3kPa以上40.0kPa以下の一定値にする。当該一定値にするには、移送直前の処理槽11と脱気槽41の圧力値、処理槽11と脱気槽41の実行内容積から移送終了時の処理槽11の圧力値を計算すればよい。また、数回予備的に実施して、当該一定値にする条件を決定してもよい。
<第二大気圧副工程>
第二大気圧副工程は、処理槽内の圧力を一定の低圧値から大気圧にする副工程である。処理槽11内の圧力値が一定の値から大気圧に至る時間は0.05秒から1.0秒の間に設定する。第二大気圧副工程は注入副工程直後に、注入副工程に引き続いて行う。
第二大気圧副工程によって、浸透液が被処理物の内部に圧入される。同時に浸透液面に空気が衝突して浸透液が動揺し、浸透が促進される。
浸透抽出装置6にあっては、D開閉弁67を開にすればよい。
<浸透副工程>
被処理物と浸透液を収容した処理槽11内を第二低圧力値にする副工程である。第二低圧力値は、通常0.3kPa以上40.0kPa以下、好ましくは1.0kPa以上40.0kPa以下、より好ましくは3.0kPa以上40.0kPa以下である。
浸透副工程にあって、処理槽内の圧力値が大気圧から第二低圧力値に至るまでの時間は0.05秒以上1.0秒以下であり、好ましくは0.05秒以上0.5秒以下である。この範囲にすれば処理槽内の圧力勾配が好ましい大きさとなり、被処理物内部の微細な連絡路などを浸透液が好適に動揺し、浸透が促進される。同時に、バルブ開閉時間や容器の耐圧能力などを適切に設計製造可能となり、過剰に高性能な設備が必要となることもない。
具体的な操作の一例は以下のとおりである。真空排気ポンプ62を動作して、真空レシーバ61を含む真空系流路を減圧する。真空レシーバ61内部が適切な圧力値になれば、A開閉弁13を開にして処理槽11を瞬間減圧する。
<第二大気圧副工程と浸透副工程の繰り返し操作>
浸透方法にあっては、瞬間減圧を生じる浸透工程を複数回繰り返すことが好ましい。
浸透副工程の後に、第二大気圧副工程を行う。すなわち、浸透副工程を実施して処理槽11内が第二低圧値にある状態で、D開閉弁67を開にする。こうして、処理槽11を0.05秒から1.0秒の間で大気圧に昇圧する。瞬間昇圧により、浸透液が被処理物の内部に圧入されると同時に、浸透液面に空気が衝突して浸透液が動揺し、浸透が促進される。引き続き浸透副工程を行う。浸透副工程を行う前に処理槽11を加温してもよい。加温は第二大気圧副工程の前または後に行ってもよく、あるいは同時に行ってもよい。
必要に応じて、第二大気圧副工程から浸透副工程までの操作を繰り返す。
<成分含有浸透液の製造方法>
続いて、成分含有浸透液の製造方法を説明する。成分含有浸透液の製造方法は、先に説明した浸透方法にあって、浸透液を回収する行為であると観念できる。
このため、先に説明した浸透方法を行い、生成する被処理物と浸透液の混合物から、浸透液を取り出すことになる。
本発明において当該浸透液を、便宜上第二成分含有浸透液と名付けている。また、注入・浸透工程において瞬間減圧(すなわち浸透副工程)を行うと、処理槽11から真空レシーバ61に向かって気流が生じ、流体が移動する。当該流体中の浸透液を気液分離器71で分離して、凝縮液容器73に溜める。当該浸透液を便宜上第一成分含有浸透液と名付けている。
第一成分含有浸透液及び/または第二成分含有浸透液を合わせて、成分含有浸透液とする。
以上本発明にかかる一実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成例はこの一実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても本発明に含まれる。
<漬け汁を含浸した肉の製造>
薄切り(厚さ約10mm)牛肉を処理槽に入れた。処理槽の温度は25℃であった。処理槽を真空系流路と接続して瞬間減圧した(構造改変工程)。第一低圧値は4.0kPa以下であった。この状態で、3分間から5分間負圧下で保持した。構造改変工程操作を経て肉の温度は8℃から10℃下がった。次に第一大気圧工程を行い、同時に処理槽を25℃に加温した。そして構造改変工程操作を繰り返した。
一方で漬け汁を脱気した。漬け汁は調味した水溶液であって、しょうゆ、酒など含むものであった。漬け汁を脱気槽に入れた。脱気槽の温度は25℃であった。脱気槽を圧力1.0kPaにした真空流路系(気液分離器、熱交換器、凝縮液溜と真空レシーバ)と接続し、瞬間減圧した。第三低圧値は3.2kPaであった。この状態で、3−5分間負圧下で保持した。脱気槽の圧力は漬け汁の飽和水蒸気圧以下となり、漬け汁から泡が発生した。漬け汁から泡の発生が無くなるまで、瞬間減圧による漬け汁の脱気を繰り返した。
脱気処理した脱気槽の漬け汁を、肉を収容した処理槽へ圧力差を利用し移送した。処理槽の温度は25℃であった。処理槽を真空系流路と接続して瞬間減圧した。第二低圧値は3.2kPaであった。
第二大気圧副工程と浸透副工程の繰り返し操作を行い、肉への漬け汁の最適含浸を実現した。繰り返し操作での浸透副工程の圧力、温度は上記と同一とした。
<タキシフォリン(2,3ジヒドロクウェルセチン)の抽出>
タキシフォリンは強力な抗酸化剤として医薬品や化粧品、健康食品などに利用されている。タキシフォリンはカラマツに比較的多く含まれ、原料として良く使われる。
カラマツの地上1.5m以下の木部及び根部を粉砕した。粉砕したカラマツを処理槽に入れ、処理槽を真空系流路と接続する構造改変工程を行った。その後、第一大気圧工程と構造改変工程の繰り返し操作を2回行った。
初回時の処理槽温度は70℃、第一低圧値は33.3kPaであった。第2回目と第3回目は処理槽の加温はしていない。第2回目の第一低圧値は11.1kPaであり、第3回目の第一低圧値は3.7kPaであった。
浸透液(すなわち抽出液)は80%エチルアルコール水溶液を使用した。脱気槽に浸透液を収容し、脱気槽を60℃に加熱した、脱気槽を真空流路と接続し、瞬間減圧した。第三低圧値は40.0kPaであった。当該低圧状態を3分間から5分間保持した。瞬間減圧により脱気槽内の圧力は浸透液の飽和蒸気圧以下となり脱気された。
脱気処理した脱気槽の浸透液を、カラマツを収容した処理槽へ圧力差を利用し移送した。処理槽を温度70℃に加温した。処理槽を真空系流路と接続して瞬間減圧した(浸透副工程)。第二低圧値は40.0kPa以下であった。
瞬間減圧時に流出する第一成分含有浸透液を捕集した。また、処理槽に在る浸透液を捕集して第二成分含有浸透液を得た。第一成分含有浸透液と第二成分含有浸透液を併せて成分含有浸透液とした。成分含有浸透液を濃縮してタキシフォリン含有液を得た。
6 浸透抽出装置
11 処理槽
12 A管路
13 A開閉弁
21 管路分岐点
26 バルブ
41 脱気槽
42 C管路
43 C開閉弁
51 送液管路
52 送液バルブ
61 真空レシーバ
67 D開閉弁
69 D管路
71 気液分離器
72 熱交換器
73 凝縮液容器
75 フィルター
76 浸透液出口

Claims (2)

  1. 生物由来物である被処理物に浸透液を浸透する浸透抽出装置において、
    内部に被処理物を収容可能な処理槽、
    真空排気ポンプに接続された密閉容器である真空レシーバ、前記真空レシーバは前記真空排気ポンプの作動により減圧され、
    前記処理槽と前記真空レシーバを接続する管路であるA管路、
    A管路の途中に介在して配設されA管路を開閉するA開閉弁、
    前記処理槽と大気を導通する管路であるD管路、
    D管路の途中に介在して配設されD管路を開閉するD開閉弁、
    内部に浸透液を収容可能な脱気槽、
    前記脱気槽と前記真空レシーバを接続する管路であるC管路であって、C管路は前記A管路のA開閉弁より真空レシーバ側である管路分岐点から分岐していて、
    C管路の途中に介在して配設されC管路を開閉するC開閉弁、
    A管路の途中であって、管路分岐点よりも前記真空レシーバ側に配設された浸透液出口、
    前記処理槽と前記脱気槽を接続し、途中に送液バルブを有する送液管路を有し、
    A開閉弁は、前記処理槽と前記真空レシーバ間を導通し、また、前記処理槽と前記真空レシーバ間を遮断するものであり、大気圧下にある処理槽と減圧状態にある前記真空レシーバを圧力平衡状態にするものであって、圧力平衡状態における圧力値は0.3kPa以上40.0kPa以下であり、圧力平衡状態に至る時間が0.05秒から1.0秒の間であり、
    C開閉弁は、前記脱気槽と前記真空レシーバ間を導通し、また、前記脱気槽と前記真空レシーバ間を遮断するものであり、大気圧下にある前記脱気槽と減圧状態にある前記脱気槽を圧力平衡状態にするものであって、圧力平衡状態における圧力値は0.3kPa以上40.0kPa以下であり、圧力平衡状態に至る時間が0.05秒から1.0秒の間であり、
    D開閉弁は、前記処理槽と大気間を導通し、また、前記処理槽と大気間を遮断するものであり、一定の減圧下にある前記処理槽を大気圧にするものであって、前記処理槽の圧力値が一定の値から大気圧に至る時間が0.05秒から1.0秒の間であり、
    前記送液バルブは、送液管路を開閉するものであって、前記脱気槽内にあり送液圧力が負荷された状態にある浸透液を前記送液圧力よりも低圧にされた前記処理槽に前記浸透液を送液するものである浸透抽出装置。
  2. A管路であって、前記管路分岐点と前記真空レシーバの間に気液分離器、熱交換器と凝縮液容器を設け、前記浸透液出口は前記凝縮液容器に配設したことを特徴とする請求項7に記載した浸透抽出装置。
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