以下、本発明の一実施形態に係る駐車装置について、添付図面を参照して説明する。
本実施形態に係る駐車装置は、図1及び図2に示す如く、上下に二つ以上の駐車スペースPa,Pb,Pc,Pdが設けられ、駐車スペースPa,Pb,Pc,Pdに対する自動車Cの入出庫を行うべく、自動車Cを載せるパレット2が昇降可能に設けられている。
より具体的に説明すると、本実施形態に係る駐車装置1は、上下に四つの駐車スペースPa,Pb,Pc,Pdが設けられ、最下の駐車スペースPa以外の駐車スペースPb,Pc,Pdのパレット2が昇降可能に設けられている。
パレット2は、自動車Cを載せることができるように、平面視略長方形状に形成されている。該パレット2は、長手方向と直交する短手方向の略中央部、及び両端部に長手方向に沿った凸部を形成するように鋼板を曲げ加工して形成されたパレット本体(採番しない)と、短手方向に延びるようにパレット本体の下部に固定された補強梁(図示しない)とを備えている。これにより、パレット2は、自動車Cが長手方向の一端側から進入でき、進入してきた自動車Cのタイヤをパレット本体の凸部間で支持できるようになっている。
そして、本実施形態に係る駐車装置1は、上下に四つ(四段)の駐車スペースPa,Pb,Pc,Pdが設けられているため、最下の駐車スペースPaよりも上方にある駐車スペースPb,Pc,Pdのパレット2を下降させるときに、下方の駐車スペースPb,Pcのパレット2(自動車Cを載せている場合には、パレット2と自動車C)が邪魔になることから、最上の駐車スペースPd以外の駐車スペースPa,Pb,Pc(パレット2)を横方向に移動させることで、上方の駐車スペースPb,Pc,Pdのパレット2の昇降路を確保するようになっている。
本実施形態の駐車装置1は、最下の駐車スペースPaが地面(グランドレベル)に合わせて設けられているため、最下の駐車スペースPaのパレット2は、横方向のみに移動するようになっている。また、これとは逆に、最上の駐車スペースPdは、上方に他の駐車スペースがないため、横方向に移動する必要がないことから、二つ横並びに設けられており、最上よりも下方の駐車スペースPa,Pb,Pcのパレット2が最上の駐車スペースPd,Pdの一方の下方に位置して上下一列に並ぶことで、最上の駐車スペースPdの他方のパレット2が昇降できるようになっている。
ここで上記動作を実現させるための構成について説明すると、本実施形態に係る駐車装置1は、最下の駐車スペースPaを除き、各駐車スペースPb,Pc,Pdに、電動モータ等の駆動源(図示しない)からの駆動を受けて回転する駆動スプロケット3,3と、該駆動スプロケット3,3に巻き掛けられるとともに、一端側がパレット2に連結されたチェーン(複数のリンクプレートをピン結合したローラチェーン)4a,4b,5a,5bとを備え、駆動スプロケット3,3の回転でチェーン4a,4b,5a,5bを長手方向に移動させることで各駐車スペースPb,Pc,Pdのパレット2を昇降させるように構成されている。
すなわち、駐車装置1は、駐車スペースPb,Pc,Pd毎に(本実施形態においては最下の駐車スペースPa以外の各駐車スペースPb,Pc,Pdに)、一端がパレット2の長手方向の一端部(パレット2上の自動車Cのフロント側に位置する一端部)に連結された左右一対のチェーン(前側吊下チェーン)4a,4bと、一端がパレット2の長手方向の他端部(パレット2上の自動車Cのリア側と対応する他端部)に連結された左右一対のチェーン(後側吊下チェーン)5a,5bと、チェーン4a,4b,5a,5b毎に設けられ、対応するチェーン4a,4b,5a,5bが巻き掛けられる駆動スプロケット3,3とを備え、駆動スプロケット3,3の回転でチェーン4a,4b,5a,5bを長手方向に移動させることでパレット2を昇降させるように構成されている。
本実施形態に係る駐車装置1は、従動スプロケット6,6がパレット2の長手方向の一端部におけるチェーン4a,4bの接続位置に対応して設けられており、前記駆動スプロケット3,3がパレット2の長手方向の他端部におけるチェーン5a,5bの接続位置に対応して設けられている。
すなわち、本実施形態に係る駐車装置1は、一対の前側吊下チェーン4a,4bの一端側が巻き掛けられる一対の従動スプロケット6,6と、該一対の前側吊下チェーン4a,4bの他端側が巻き掛けられる一対の駆動スプロケット3,3とを備え、さらに、一対の後側吊下チェーン5a,5bが巻き掛けられる一対の駆動スプロケット3,3を備えている。
これにより、一対の前側吊下チェーン4a,4bは、一端が従動スプロケット6,6から垂下してパレット2の長手方向の一端部に連結され、他端側が駆動スプロケット3,3から垂下した状態になっている。これに対し、一対の後側吊下チェーン5a,5bは、駆動スプロケット3,3を境にした一端側が垂下してパレット2の長手方向の他端部に連結され、他端側が駆動スプロケット3,3から垂下した状態になっている。
なお、前側吊下チェーン4a,4bの他端側が巻き掛けられる駆動スプロケット3,3と、後側吊下チェーン5a,5bが巻き掛けられる駆動スプロケット3,3とは、回転軸心を異にしてもよいが、本実施形態においては、共通の駆動源からの駆動で回転するように、全ての駆動スプロケット3,3が共通の軸体に取り付けられて回転軸心が同心になっている。
そして、本実施形態に係る駐車装置1は、図3に示す如く、駆動スプロケット3,3から垂下するチェーン4a,4b,5a,5b(前側吊下チェーン4a,4b及び後側吊下チェーン5a,5b)をガイドするチェーンガイド手段7と、駆動スプロケット3,3の回転でチェーン4a,4b,5a,5bを他端側に移動させてパレット2を上昇させた時に余剰となるチェーン4a,4b,5a,5bを他端側から順次収容するチェーン収容部8とを備えている。
チェーンガイド手段7は、駆動スプロケット3,3とチェーン収容部8との間に配置されており、チェーン4a,4b,5a,5bを幅方向の両側から案内するようになっている。具体的には、チェーンガイド手段7は、一対のガイド体7a,7bで構成されている。一対のガイド体7a,7bのそれぞれは、上下方向に延びるように形成されるとともに、前後方向(チェーン4a,4b,5a,5bの幅方向に対応する方向)に所定の間隔をあけて配置されている。これにより、一対のガイド体7a,7bの間には、チェーン4a,4b,5a,5bを上下方向に通過させる間隙が形成されている。
そして、一方のガイド体7aは、駆動スプロケット3,3とも対向するように上下方向に延びている。これにより、駆動スプロケット3,3に巻き掛けられたチェーン4a,4b,5a,5bが該スプロケットの径方向外側に離脱するのを規制するようになっている。また、一方のガイド体7aは、下端部が他方のガイド体7bの下端部よりも下方位置にまで延びるとともに、該下端部が他方のガイド体7b側に膨出している。これに対し、他方のガイド体7bは、下端部が一方のガイド体7aの下端部との間にチェーン4a,4b,5a,5bの通過を許容する隙間を形成するように、一方のガイド体7aの下端部の膨出方向と同方向に屈曲している。これにより、一対のガイド体7a,7bからチェーン4a,4b,5a,5bがチェーン収容部8(チェーン4a,4b,5a,5bの進入領域)に向けて垂下できるようになっている。すなわち、チェーンガイド手段7は、駆動スプロケット3,3に巻き掛けられて垂下するチェーン4a,4b,5a,5bがチェーン収容部8の後述する上部開口80の範囲内に位置するように構成されている。
なお、各駐車スペースPb,Pc,Pdにおいて、上述の如く、前側吊下チェーン4a,4bが巻き掛けられる駆動スプロケット3,3と後側吊下チェーン5a,5bが巻き掛けられる駆動スプロケット3,3とが共通の軸に取り付けられ、且つ、一方の前側吊下チェーン4aと一方の後側吊下チェーン5aとがパレット2の短手方向の一端部(凸部)に対応して配置されるとともに、他方の前側吊下チェーン4bと他方の後側吊下チェーン5bとがパレット2の短手方向の他端部(凸部)に対応して配置されることから、一方の前側吊下チェーン4aが巻き掛けられる駆動スプロケット3と一方の後側吊下チェーン5aが巻き掛けられる駆動スプロケット3とが隣接した配置になり、他方の前側吊下チェーン4bが巻き掛けられる駆動スプロケット3と他方の後側吊下チェーン5bが巻き掛けられる駆動スプロケット3とが隣接した配置になる。そのため、チェーンガイド手段7は、駐車スペースPb,Pc,Pd毎に二つ設けられており、一方のチェーンガイド手段7で一方の前側吊下チェーン4aと一方の後側吊下チェーン5aとをガイドし、他方のチェーンガイド手段7で他方の前側吊下チェーン4bと他方の後側吊下チェーン5bとをガイドするようにしている。
そして、本実施形態に係る駐車装置1は、チェーン収容部8についても、駐車スペースPa,Pb,Pc,Pd毎に二つ設けられており、一方のチェーン収容部8に一方の前側吊下チェーン4aと一方の後側吊下チェーン5aとを収容し、他方のチェーン収容部8に他方の前側吊下チェーン4bと他方の後側吊下チェーン5bとを収容するようになっている。
各チェーン収容部8は、垂下するチェーン4a,4b,5a,5bの通過を許容する上部開口80の形成された箱状の収容部本体81と、収容部本体81の内部空間を前記上部開口80からチェーン4a,4b,5a,5bが進入可能な二つの部屋(以下、一方の部屋を第一室R1といい、他方の部屋と第二室R2ということとする)に仕切る仕切壁82とを備えている。
そして、チェーン収容部8を備えることを前提に、前記チェーン4a,4b,5a,5bは、何れも他端が上部開口80の近傍、又は上部開口80よりも上方位置で固定される。本実施形態においては、第一室R1の上方位置に設けられたフック部83にチェーン4a,4b,5a,5bの他端部を掛止することで該他端部を固定するようにしている。
第一室R1及び第二室R2は、駆動スプロケット3,3の回転軸と直交する横方向に並んで形成される。そして、第一室R1及び第二室R2は、図4(a)乃至図4(c)に示す如く、横方向における部屋寸法W1,W2が第一室R1よりも第二室R2の方が広く設定される。また、第一室R1の横方向の部屋寸法W1は、上下方向に延びるチェーン4a,4b,5a,5bを横並び状態で二列配置できる寸法(上下に延びるチェーン4a,4b,5a,5bが横並びで二本しか入らない寸法)に設定されている。
本実施形態に係るチェーン収容部8は、垂下状態にあるチェーン4a,4b,5a,5bの横方向における幅寸法をAとし、チェーン収容部8内に収容するチェーン4a,4b,5a,5bの全長(パレット2の上昇時乃至駐車スペースPb,Pc,Pdに到達時に余剰となるチェーン4a,4b,5a,5bの長さ)をLとし、第一室R1及び第二室R2の上下方向の高さをHとしたとき、第一室R1及び第二室R2の高さH,第一室R1の横方向の部屋寸法W1、及び、第二室R2の横方向の部屋寸法W2が、L/4≦H…(1)、4A≦W1+W2…(2)、2A≦W1<3A…(3)、2A≦W2…(4)の条件式を満たすように設定されている。
ここでチェーン収容部8の寸法設定についての考え方について説明すると、チェーン4a,4b,5a,5bの幅をAとし、チェーン収容部8に収容する必要のあるチェーン4a,4b,5a,5bの長さをLとした場合、駆動スプロケット3,3(チェーン4a,4b,5a,5bの曲げ中心となるピン)の軸心方向から見たチェーン収容部8の必要最低面積(容積)VはV≧A×Lとなる。
そして、チェーン収容部8の横方向における部屋寸法W(第一室R1及び第二室R2の部屋寸法W1,W2の合計寸法)とした場合、チェーン収容部8の必要最低高さHは、H≧V/Wで、W=5Aと仮定すると、H≧L/5となる。
また、チェーン4a,4b,5a,5bの積み重なりが生じる場合、横方向の部屋寸法Wの最低寸法が3Aとなるため、偶然の重なりを考慮し、収容したチェーン4a,4b,5a,5bが溢れでないようにするには、W=5Aであっても、H≧L/3とする必要がある。
チェーン収容部8を第一室R1及び第二室R2(二つの部屋)に区画し、第一室R1の横方向の部屋寸法W1を2A以上、第二室R2の横方向の部屋寸法W2を2A以上にすると、第一室R1に2A×Hのチェーン4a,4b,5a,5bが入り、第二室R2に2A×Hのチェーン4a,4b,5a,5bが最低でも入ることになる。
そうすると、チェーン収容部8の高さは4A×H≧V=ALより、H≧L/4であればよいことになる。従って、チェーン収容部8の横方向の部屋寸法W(=W1+W2)が4A以上である場合、収容部本体81の内部空間を上述のような条件を満たす二つの部屋(第一室R1及び第二室R2)に区画することでチェーン4a,4b,5a,5bの収容効率を上げることができる。
そして、本実施形態に係るチェーン収容部8は、前側吊下チェーン4a,4bと後側吊下チェーン5a,5bとを収容するように構成されているため、内部空間(第一室R1及び第二室R2)の駆動スプロケット3,3の回転軸線方向における部屋寸法W3は、チェーン4a,4b,5a,5bの曲げ中心となるピンの軸線方向における幅寸法Bの二倍以上に設定されている。
本実施形態に係るチェーン収容部8は、第一室R1及び第二室R2の底を傾斜面とするための傾斜部材84が設けられている。本実施形態において傾斜部材84は、板材を山形に折り曲げ加工したのもので、その折り曲げ稜線が仕切壁82の下端と略平行になるように設けられている。本実施形態において、傾斜部材84は、折り曲げ稜線が第二室R2内に位置するように配置されている。これにより、第一室R1の底は、仕切壁82に向けて上り勾配をなし、第二室R2の底は、仕切壁82から内部に向けて一部が上り勾配をなし、その上端から壁部に向けて下り勾配をなしている。
そして、本実施形態に係るチェーン収容部8は、仕切壁82の上端にチェーン4a,4b,5a,5bを部分的に掛止可能な掛止爪85が設けられている。本実施形態においては、並列状態にある前側吊下チェーン4a,4bと後側吊下チェーン5a,5bとを収容するため、掛止爪85は各チェーン4a,4b,5a,5bの配置に対応するように設けられている。本実施形態に係る駐車装置1は、第一室R1にチェーン4a,4b,5a,5bを収容した上で第二室R2にチェーン4a,4b,5a,5bを収容するようになっており、これを前提に前記掛止爪85は先端側が基端よりも第二室R2側に位置するように傾斜して形成されている。なお、本実施形態において、前記チェーン4a,4b,5a,5bとして、間隔をあけて対向配置された二枚一組のリンクプレートを複数組ピン結合したローラチェーンが採用されているため、各掛止爪85の幅は、チェーン4a,4b,5a,5bのリンクプレート間(採番しない)に挿入できる幅に設定されている。
そして、本実施形態に係る駐車装置1は、上述の如く、最上の駐車スペースPdにおいてパレット2の昇降のみを行うように構成されるため、図1に示す如く、最上の駐車スペースPdにおいては、上述の駆動スプロケット3,3、従動スプロケット6,6、チェーンガイド手段7、及びチェーン収容部8が当該駐車装置1の骨組みを構成する構造体9に固定されている。すなわち、駐車装置1の骨組みを構成する構造体9は、形鋼等を組み合わせて形成されたもので、敷地上の四隅に立設された支柱9aと、支柱9a同士を連結する梁材9b等から構成されており、最上の駐車スペースPdにおける駆動スプロケット3,3、従動スプロケット6,6、チェーンガイド手段7、及びチェーン収容部8は、構造体9(支柱9a又は梁材9b)に固定されている。
本実施形態に係る駐車装置1は、最下の駐車スペースPa(パレット2)が横行のみを行うようになっているため、最下の駐車スペースPaのパレット2には、基礎コンクリート上に配置されたレール(採番しない)に沿って転動するローラが取り付けられており、該パレット2自体が最上の駐車スペースPd,Pdそれぞれの下方領域に跨って横行するようになっている。
そして、本実施形態に係る駐車装置1は、最下及び最上の駐車スペースPa,Pd以外の駐車スペースPb,Pc(パレット2)が昇降及び横行(横方向の移動)を行うようになっているため、最下及び最上の駐車スペースPa,Pd以外の駐車スペースPb,Pcには、最上の駐車スペースPd,Pdそれぞれの下方領域に跨って横移動可能な横行装置10が設けられており、該横行装置10に対して駆動スプロケット3,3、従動スプロケット6,6、チェーンガイド手段7、及びチェーン収容部8が固定されている。
なお、横行装置10は、横方向に移動できれば種々態様のものを採用することができるが、本実施形態に係る横行装置10は、平面視枠状をなすフレーム100と、フレーム100の四隅部分に枢着されたローラ101と、少なくとも何れか一つのローラ101を駆動する駆動源(図示しない)とを備え、構造体9に設けられたレール90に各ローラ101が受けられている。これにより、横行装置10は、ローラ101を駆動することで、レール90に沿って横移動できるようになっている。また、本実施形態に係る駐車装置1は、最下の駐車スペースPaの前方に昇降ゲート(採番しない)が設けられており、パレット2の動作中に駐車スペースPa,Pb,Pc,Pdへ人が進入するのを防止するようになっている。
本実施形態に係る駐車装置1は、以上の構成からなり、次に、かかる駐車装置1の作動について説明する。
上記構成の駐車装置1は、最下の駐車スペースPa以外の駐車スペースPb,Pc,Pdに対して自動車Cを入出庫するに当り、その駐車スペースPb,Pc,Pdの真下に駐車スペースPa,Pb,Pc(パレット2)が存在する場合には、その駐車スペースPa,Pb,Pc(パレット2)、又は、その下方にある駐車スペースPa,Pb,Pc(パレット2)を横移動させ、入出庫の対象となる駐車スペースPb,Pc,Pdの下方に駐車スペースPa,Pb,Pc(パレット2)が存在しない状態にする。
そして、入出庫の対象となる駐車スペースPb,Pc,Pdのパレット2を下降させる。すなわち、入出庫の対象となる駐車スペースPb,Pc,Pdの駆動スプロケット3,3を回転(正転)駆動し、各チェーン4a,4b,5a,5b(前側吊下チェーン4a,4b及び後側吊下チェーン5a,5b)を長手方向の一端側に移動させてパレット2を下降させる。この際、チェーン収容部8(第一室R1及び第二室R2)に収容されていたチェーン4a,4b,5a,5bは、順々に駆動スプロケット3,3側に送り出されることになる。そして、パレット2が自動車Cの乗り降り位置である最下位置に到達すると、該パレット2に対して自動車Cの乗り降りが行われる。
しかる後、入出庫の対象となる駐車スペースPb,Pc,Pdの駆動スプロケット3,3を回転(逆転)駆動し、各チェーン4a,4b,5a,5b(前側吊下チェーン4a,4b及び後側吊下チェーン5a,5b)を長手方向の他端側に移動させてパレット2を上昇させる。このとき、他端側に送られてスプロケット(本実施形態においては駆動スプロケット)3,3から垂下する各チェーン4a,4b,5a,5bの他端側(駆動スプロケット3,3を境にした他端側)が余剰となり、その余剰となるチェーン4a,4b,5a,5bは、図5(a)乃至図5(b)に示す如く、順次チェーン収容部8内に収容されることになる。
本実施形態において、図3に示す如く、パレット2が最下位置にある状態で各チェーン4a,4b,5a,5bの他端側は、第一室R1内でU字をなすようになっており、上述の如く、パレット2の上昇に伴って余剰になったチェーン4a,4b,5a,5bは、図5(a)に示す如く、他端側から一端に向けて順々に第一室R1内に収容されることになる。
本実施形態に係るチェーン収容部8は、第一室R1の横方向の部屋寸法W1が、上下方向に延びるチェーン4a,4b,5a,5bを横並び状態で二列配置できる寸法に設定されているので、第一室Rに進入するチェーン4a,4b,5a,5bは、U字状をなした状態(下部に形成されたターン部の両端から上下方向に延びる一対の鉛直部を形成した状態)で第一室R1内に進入することになる。これにより、第一室R1内でチェーン4a,4b,5a,5bを整列状態で収容することができ、第一室R1内でのチェーン4a,4b,5a,5bの収容効率が高くなる。
そして、第一室R1内のチェーン4a,4b,5a,5bが一杯になると、チェーン4a,4b,5a,5bの行き場がなくなる結果、図5(b)に示す如く、仕切壁82を乗り越え、第二室R2内に進入することになる。本実施形態に係る駐車装置1は、仕切壁82の上端に掛止爪85を突設されているため、チェーン4a,4b,5a,5bが仕切壁82を乗り越えるときに、チェーン4a,4b,5a,5bが掛止爪85に掛止され、第一室R1内のチェーン4a,4b,5a,5bが第二室R2内に滑り込んでしまうことが防止される。
そして、本実施形態に係るチェーン収容部8は、第二室R2の横方向の部屋寸法W2が第一室R1よりも広く設定されているため、チェーン4a,4b,5a,5bが無造作に収容されることになるが、第二室R2の底に傾斜部材84が設けられているため、チェーン4a,4b,5a,5bは、順々に折り返されることになり、チェーン4a,4b,5a,5bが比較的密集した状態で収容されることになる。
このように本実施形態に係るチェーン収容部8は、第一室R1内でチェーン4a,4b,5a,5bを整列状態で収容することができ、第一室R1内でのチェーン4a,4b,5a,5bの収容効率が高くなる。そのため、本実施形態に係る駐車装置1は、第二室R2でチェーン4a,4b,5a,5bが無造作に収容されたとしても、第一室R1でチェーン4a,4b,5a,5bの収容効率が高まっているため、第二室R2での収容効率の悪さが吸収され、結果としてチェーン収容部8内にチェーン4a,4b,5a,5bが効率的に収容され、チェーン4a,4b,5a,5bが溢れ出てしまうことが防止される。
すなわち、収容部本体81の内部空間の容積が同じチェーン収容部8であること前提に、収容部本体81に仕切壁82を設けたものと仕切壁82を設けていないものとを比較すると、仕切壁82のないチェーン収容部8では収容部本体81の内部空間全体にチェーン4a,4b,5a,5bが無造作に収容されて多くのデッドスペースが形成されるが、本実施形態のように仕切壁82を設けて収容部本体81の内部空間を第一室R1及び第二室R2に区画し、第一室R1の横方向の部屋寸法W1を上下方向に延びるチェーン4a,4b,5a,5bが横方向に並んで二列で配置される寸法にすることで、第一室R1でのチェーン4a,4b,5a,5bの密集度(収容効率)が高くなる結果、第二室R2でのチェーン4a,4b,5a,5bの収容効率が悪くても、チェーン収容部8全体でのチェーン4a,4b,5a,5bの収容効率が高くなる。従って、本実施形態に係る駐車装置1は、チェーン収容部8から余剰なチェーン4a,4b,5a,5bが溢れ出ることを防止することができる。従って、駆動スプロケット3,3とチェーン収容部8との間にチェーンガイド手段7を設けたとしても、余剰なチェーン4a,4b,5a,5bがチェーンガイド手段7に干渉することが防止される。
以上のように、本実施形態に係る駐車装置1のチェーン収容部8は、垂下するチェーン4a,4b,5a,5bの通過を許容する上部開口80の形成された箱状の収容部本体81と、収容部本体81の内部空間を前記上部開口80からチェーン4a,4b,5a,5bが進入可能な第一室R1及び第二室R2に仕切る仕切壁82とを備え、前記チェーン4a,4b,5a,5bは、他端が上部開口80の近傍、又は上部開口80よりも上方位置で固定され、第一室R1及び第二室R2は、駆動スプロケット3,3の回転軸と直交する横方向に並んで形成されるとともに、横方向における部屋寸法が第一室R1よりも第二室R2の方が広く設定され、第一室R1の横方向の部屋寸法W1は、上下方向に延びるチェーン4a,4b,5a,5bを横方向に並んで二列で配置できる寸法に設定されているため、パレット2の上昇時に余剰となるチェーン4a,4b,5a,5bがチェーン収容部8から溢れ出るのを確実に防止することができる。
特に、本実施形態に係るチェーン収容部8は、垂下状態にあるチェーン4a,4b,5a,5bの横方向における幅寸法をAとし、チェーン収容部8内に収容するチェーン4a,4b,5a,5bの全長をLとし、第一室R1及び第二室R2の上下方向の高さをHとしたとき、第一室R1及び第二室R2の高さH,第一室R1における横方向の部屋寸法W1、及び、第二室R2における横方向の部屋寸法W2が、L/4≦H…(1)、4A≦W1+W2…(2)、2A≦W1<3A…(3)、2A≦W2…(4)の条件式を満たすように設定されているため、パレット2の上昇時にチェーン収容部8から余剰なチェーン4a,4b,5a,5bを溢れ出させることなく効率的に収容することができる。
また、前記仕切壁82の上端にチェーン4a,4b,5a,5bを部分的に掛止可能な掛止爪85が設けられているので、第一室R1がチェーン4a,4b,5a,5bで一杯になり、更に送り込まれるチェーン4a,4b,5a,5bが第二室R2に乗り移るときに、チェーン4a,4b,5a,5bが収容されている第一室R1から該チェーン4a,4b,5a,5bが滑り出て第二室R2側に入り込むことを防止することができる。従って、第一室R1及び第二室R2の両方に対してチェーン4a,4b,5a,5bを効率的に収容することができる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能であることは勿論のことである。
例えば、上記実施形態において、チェーン収容部8の底部に傾斜部材84を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、図6(a)乃至図6(c)に示す如く、傾斜部材84を設けることなくチェーン収容部8(収容部本体81)の底を平面状に形成しても勿論よい。このようにしても、上記実施形態と同様に、第一室R1でチェーン4a,4b,5a,5bが整列状態で効率的に収容されることになるため、全体の収容効率を高めることができ、チェーン4a,4b,5a,5bが溢れ出るのを防止することができる。
上記実施形態において、駆動スプロケット3,3に巻き掛けられたチェーン4a,4b,5a,5bの他端側をチェーン収容部8に収容するようにしたが、これに限定されるものではなく、駆動スプロケット3,3の配置によっては、従動スプロケット6,6に巻き掛けられて垂下するチェーン4a,4b,5a,5bの他端側をチェーン収容部8に収容するようにしてもよい。
すなわち、上記実施形態において、パレット2の長手方向の一端側に従動スプロケット6,6を配置するとともに、パレット2の長手方向の他端側に駆動スプロケット3,3を配置し、該駆動スプロケット3,3からチェーン4a,4b,5a,5bの他端側が垂下する態様としたため、そのチェーン4a,4b,5a,5bの他端側をチェーン収容部8に収容するようにしたが、例えば、パレット2の長手方向の他端側に従動スプロケット6,6を配置するとともに、パレット2の長手方向の一端側に駆動スプロケット3,3を配置し、該従動スプロケット6,6から垂下するチェーン4a,4b,5a,5bの他端側をチェーン収容部8に収容するようにしてもよい。
また、上記実施形態において、前側吊下チェーン4a,4bと後側吊下チェーン5a,5bとを一つのチェーン収容部8に収容するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、チェーン収容部8はチェーン4a,4b,5a,5b毎に独立して設けるようにしてもよい。この場合、駆動スプロケット3,3の回転軸線方向(チェーン4a,4b,5a,5bのピンの軸線方向)における内部空間(第一室R1及び第二室R2)の部屋寸法W3は、チェーン4a,4b,5a,5bの曲げ中心となるピンの軸線方向における幅寸法Bの一倍以上に設定されればよい。
上記実施形態において、チェーン4a,4b,5a,5bを第一室R1に収容した後、第一室R1がチェーン4a,4b,5a,5bで一杯になると更に送り込まれるチェーン4a,4b,5a,5bを第二室R2に乗り移るようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図7(a)及び図7(b)に示す如く、チェーン4a,4b,5a,5bを第二室R2に収容した後、第二室R2がチェーン4a,4b,5a,5bで一杯になると第一室R1に乗り移るようにしてもよい。
すなわち、上記実施形態において、チェーン4a,4b,5a,5bの他端を第一室R1の上方で固定するとともにパレット2が最下位置に到達した状態で、チェーン4a,4b,5a,5bが第一室R1内でU字状態をなすようにチェーン4a,4b,5a,5bの長さを設定したが、例えば、チェーン4a,4b,5a,5bの他端を第二室R2の上方で固定するとともにパレット2が最下位置に到達した状態で、チェーン4a,4b,5a,5bが第二室R2内でU字状態をなすようにチェーン4a,4b,5a,5bの長さを設定するようにしてもよい。
このようにすると、チェーン4a,4b,5a,5bが第二室R2に収容された後、第一室R1でチェーン4a,4b,5a,5bが整列状態で収容されることになる。従って、上記実施形態と同様に、第一室R1内でのチェーン4a,4b,5a,5bの収容効率が高くなる結果、全体のチェーン4a,4b,5a,5bの収容効率が高くなり、チェーン収容部8からチェーン4a,4b,5a,5bが溢れ出てしまうことを確実に防止することができる。なお、第一室R1及び第二室R2の何れからチェーン4a,4b,5a,5bを収容するようにしても、最初からチェーン4a,4b,5a,5bが密集していると余剰なチェーン4a,4b,5a,5bを収容することができなくなるため、パレット2が最下位置にあるときに、U字状をなすチェーン4a,4b,5a,5bのターン部が第一室R1又は第二室R2内の上部領域に位置するようにチェーン4a,4b,5a,5bの長さを設定することは言うまでもない。
上記実施形態において、仕切壁82の上端にチェーン4a,4b,5a,5bを部分的に掛止可能な掛止爪85を突設したが、これに限定されるものではなく、例えば、仕切壁82の上端に掛止爪85を設けることなくその上端を真っ直ぐに形成してもよい。但し、チェーン4a,4b,5a,5bが滑って隣の部屋に移動するのを確実に防止するには掛止爪85を設けることが好ましいことは言うまでもない。
上記実施形態において、上下に四つの駐車スペースPa,Pb,Pc,Pdが設けられた駐車装置1について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、上下に二つの駐車スペースが設けられた駐車装置1であってもよいし、上下に三つ以上の駐車スペースが設けられた駐車装置1であってもよい。すなわち、駐車装置1は、上下に二つ以上の駐車スペースが設けられ、各駐車スペースに対する入出庫を行うために、パレット2が昇降可能に設けられたものであればよい。
上記実施形態において、チェーン収容部8(収容部本体81)の内部空間を二つの部屋(第一室R1及び第二室R2)に区画したが、これに限定されるものではなく、例えば、収容部本体81の内部空間を三つ以上の部屋に区画するように複数の仕切壁82を設け、少なくとも何れか一つの部屋の横方向の部屋寸法を、上下方向に延びるチェーン4a,4b,5a,5bを横並び状態で二列配置できる寸法に設定するようにしてもよい。このようにしても、少なくとも何れか一つの部屋でチェーン4a,4b,5a,5bの収容効率が高まるため、他の部屋でのチェーン4a,4b,5a,5bの収容効率が悪くても、チェーン収容部8全体の収容効率が高まることになり、チェーン4a,4b,5a,5bが溢れ出てしまうことを防止することができる。
上記実施形態において、チェーンガイド手段7を構成する一対のガイド体7a,7bのうち、上端側がスプロケット3側と対向するよう配置される一方のガイド体7aの下端部を他方のガイド体7bの下端部よりも下方に位置させるとともに、該一方のガイド体7aの下端部を他方のガイド体7b側に膨出させた態様で形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図8(a)に示す如く、一対のガイド体7a,7bの下端部の位置を略同レベルに設定するとともに、両ガイド体7a,7bの下端部における間隔が下端に向かうにつれて拡大するように形成してもよい。このようにしても、スプロケット3に巻き掛けられてスプロケット3から垂下するチェーン4a,4b,5a,5bを上下方向で真っ直な姿勢にすることができ、チェーン4a,4b,5a,5bをチェーン収容部8とスプロケット3との間でガイドすることができる。
また、図8(b)に示す如く、チェーンガイド手段7を構成する一対のガイド体7a,7bのうち、スプロケット3側に配置される他方のガイド体7bの下端部を、上端側がスプロケット3側と対向するよう配置される一方のガイド体7aの下端部よりも下方に位置させるとともに、該他方のガイド体7bの下端部を一方のガイド体7a側に屈曲させるように形成してもよい。このようにすれば、チェーンを他方のガイド体7bの下端部に沿わせることができ、これによってチェーン4a,4b,5a,5bをチェーン収容部8の上部開口とスプロケット4a,4b,5a,5bとの間でガイドすることができる。すなわち、チェーンガイド手段7を設ける場合、チェーンガイド手段7は、スプロケット3とチェーン収容部8との間でチェーン4a,4b,5a,5bをチェーン収容部8の上部開口(チェーン4a,4b,5a,5bの進入領域)に向けてチェーン4a,4b,5a,5bを案内できれば種々態様のものを採用することができる。
また、上記実施形態において、チェーンガイド手段7を設けたが、これに限定されるものではなく、チェーンガイド手段7は必要に応じて設ければよい。但し、チェーン4a,4b,5a,5bをチェーン収容部8やスプロケット3に対して確実に案内できるようにするには、上記実施形態と同様、チェーンガイド手段7を設けることが好ましいことは言うまでもない。