JP5563345B2 - 圧電体素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電体素子の製造方法に関する。
レーザ光等の光ビームを走査する装置(光スキャナ)が、バーコードリーダ、レーザプリンタ、レーザアニール装置等の光学機器に用いられている。現在、光スキャナの小型化、より正確な動作等が求められている。
特開2005−148459号公報は、下地単結晶Si基板上に酸化シリコン膜を介して薄い単結晶Si層を結合したSOI基板を用い、ミラー部を第1の枠に結合した第1の軸で支持し、第1の枠を第1の軸と交差する第2の軸で支持し、第2の軸を外枠で支持し、第1の軸、第2の軸を梁とその上に形成された圧電薄膜素子を含む圧電アクチュエータで揺動させて二次元走査する光スキャナを提案している。
このような圧電薄膜素子の圧電材料として、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZr1−xTi、PZT)等のペロブスカイト型酸化物圧電材料が用いられる。チタン酸ジルコン酸鉛(PbZr1−xTi、PZT)は、高い圧電率、高い強誘電率を有し、電圧(電界)−変位変換素子、メモリ等として利用されている。
マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)における圧電素子は、一般的にアモルファス相や多結晶相の絶縁膜の上に形成される。絶縁膜上に、電極を介して形成される圧電材料の多くは結晶粒子の集合体からなる多結晶体であり、各結晶粒子の結晶軸方向はランダムな方向を向いている。従って、自発分極の方向もランダムに配列している。電界を印加すると、各結晶粒子は、電界と平行方向に分極軸を向けようとする。圧電特性は電圧依存性を示し、バラツキが大きくなったり、経時変化が生じたりする。信頼性に問題が生じうる。PZT膜の配向が制御できれば、応答を大きくでき、信頼性の向上にもなる。
圧電薄膜素子は、基本的に圧電材料膜を上下の電極で挟んだ構成を有する。下部電極上に酸化物圧電材料膜を堆積するため、下部電極は酸化性雰囲気に曝される。下部電極としては、酸化しないか、酸化しても導電性である貴金属が用いられる。例えば、Pt/PZT/Ptの積層構造である。Pt層は酸化シリコン膜に対して密着性が弱い。酸化シリコン膜上に圧電薄膜素子を形成する場合には、酸化シリコン膜とPt下部電極との間にTi密着層を形成することも多い。
上下電極層は、電子ビーム蒸着、スパッタリングなどで成膜できる。PZT膜の成膜方法としては、ゾルゲル法、蒸着、スパッタリング、化学気相堆積(CVD)等が知られている。
特開2001−234331号公報、特開2002−177765号公報、特開2003−234331号公報は、それらの実施の態様の欄で、圧力勾配型アーク放電プラズマガンで生成した高密度プラズマで、蒸発源から蒸発したソースガスを活性化し、酸素雰囲気中で下地基板上に薄膜を形成する、アーク放電反応式イオンプレーティング法を提案している。アーク放電反応式イオンプレーティング法は、比較的低い成膜温度においても、高速に強誘電体(圧電体)膜を形成できる方法である。
酸化膜を形成したSi基板(SiO2/Si)上にPt/Ti下部電極層をスパッタリング法を用いて成膜したものを下地基板として、その上に強誘電体薄膜を成膜すると、強誘電体薄膜の結晶性は、下地であるPt/Ti層の結晶性に大きく依存する。
上記のような強誘電体薄膜にあっては、通常Pt層は(111)面に優先配向した多結晶構造を取りやすいので、その上に成長させた強誘電体薄膜層は、全く優先配向のない膜か、成膜プロセスの工夫によってPt層と同じ(111)面、または(100)面に優先配向した薄膜になる。
特開2005−148459号公報 特開2001−234331号公報 特開2002−177765号公報 特開2003−234331号公報
密着膜を備え、配向の揃った圧電体膜を製造する。
本発明の1観点によれば、
(a)基板上方に、Ti層、その上にPt層を堆積する工程と、
(b)前記Ti層、Pt層を堆積した基板をプラズマ気相堆積装置に搬入し、前記プラズマ気相堆積装置内を真空に排気する工程と、
(c)前記プラズマ気相堆積装置内に不活性ガスを供給し、前記基板を所定圧力の不活性ガス雰囲気中で、圧電体膜堆積温度まで昇温し加熱処理する工程と、
(d)前記(c)の工程の後、前記プラズマ気相堆積装置内において、加熱した前記基板上に、プラズマ気相堆積により、酸化物圧電体膜を堆積する工程と、
を含む圧電体素子の製造方法
が提供される。
(001)配向した圧電体膜が得られる。
均一性が向上する。
再現性が向上する。
図1Aは、圧電体薄膜素子製造工程中の基板断面図、図1Bは、Ti層上に成膜したPt層をX線回折により測定した結果を示すグラフである。 図2Aは、圧電体薄膜堆積に用いるアーク放電反応性イオンプレーティング装置を示す概略側面図、 図2Bは、PZT圧電体膜を形成した基板の概略断面図である。 図2Cは、PZT圧電体膜18表面を観察したスケッチ、図2Dは、真空中で加熱処理をおこなったときにPt層の結晶性の分布が図に示すように起こったと仮定したときのイメージ図、図2Eは、真空中で加熱処理したPt膜表面をX線回折で測定した結果を示すグラフである。 図3Aは、不活性ガス雰囲気中基板加熱処理工程におけるアーク放電反応性イオンプレーティング装置を示す概略側面図、図3Bは、不活性ガス雰囲気中基板加熱処理後アーク放電反応性イオンプレーティングでPZT膜を成膜した基板のX線回折結果を示すグラフである。 図4A−4Cは、真空中加熱サンプルの配向度測定結果を示すグラフである。 図4D−4Fは、(Ar+He)不活性ガス雰囲気中加熱サンプルの配向度測定結果を示すグラフである。 図5は、2次元光スキャナの斜視図である。
本発明者は、圧電薄膜素子を製造する技術を開発している。まず、予備実験に沿って説明する。MEMS用の圧電薄膜素子はSOI基板上に形成するが、研究用の圧電薄膜素子は、(100)面Si基板上に形成した。
図1Aに示すように、Si基板11表面に熱酸化により厚さ約500nmの酸化シリコン膜12を形成し、酸化シリコン膜12上にスパッタリングで、厚さ約50nmのTi密着層14、厚さ約150nmのPt主電極層16を形成した。Ti密着層14とPt主電極層16が下部電極を構成する。
図1Bは、Pt主電極層16を形成した基板をX線回折により測定した結果を示すグラフである。横軸が回折角2θを単位、度(deg)で示し、縦軸が回折強度を任意単位で示す。回折角2θ:30度−50度の範囲では、Ptの(111)面ピークのみが明瞭に認められる。Pt層16は、主として(111)配向していると考えられる。Pt層16を堆積した基板11をアーク放電反応性イオンプレーティング装置に装荷し、PZT圧電体膜を堆積した。
図2Aは、圧電体薄膜を堆積するのに用いたアーク放電反応性イオンプレーティング装置を示す概略側面図である。反応チャンバ101は真空排気装置に接続され、高真空(1x10−4Pa以上の真空度、圧力としては1x10−4Pa以下)に排気可能である。なお、真空度(圧力)の計器はTorrを単位としており、圧力の数値はほぼ有効数字1桁で扱っているため、本願においては100Pa=1Torrで換算している。
反応チャンバ101の上面を貫通して回転軸102が設けられており、背面に輻射加熱方式のヒータ103を備えた基板ホルダ104が接続されている。基板ホルダ104は、複数の基板105を支持できる構成である。反応チャンバ101底部には、Pb蒸発源106、Zr蒸発源107、Ti蒸発源108が備えられ、Pbビーム、Zrビーム、Tiビームを発生できる。反応チャンバ101上面を貫通して、ガス供給機構109が設けられている。
反応チャンバ101の側面には、陽極114、陰極112、磁場発生コイル116を備えたプラズマガン110が設けられている。プラズマガン110には、プラズマ発生ガス供給機構120が設けられ、Ar、He等の不活性ガス(放電ガス)が供給される。プラズマ発生ガス供給機構120から供給された不活性ガスは、プラズマガン110の陰極112と陽極114との間に直流電圧を印加することによりアーク放電プラズマとなって電離・活性化し、磁場発生コイル116によって発生した磁場・放電ガスの圧力勾配によって誘導されて反応チャンバ101内にプラズマ118が導出される。蒸発源106,107,108から蒸発した金属蒸気は、プラズマ118を通過する際に活性化され、基板105に到達する。ガス供給機構109からは酸素が導入されることによって、高密度の酸素プラズマ及び酸素の活性種が生成され、基板105近傍で蒸発源106、107、108から蒸発した金属蒸気と反応して酸化物を形成する。
図1Aに示すTi密着層14とPt主電極層16の積層からなる下部電極を形成したSi基板11を、基板105として、反応チャンバ101内に装荷し、反応チャンバ101内を、1x10−4Pa以上の高真空に排気し、輻射加熱方式のヒータ103により基板105の温度が500℃になるように加熱する。基板105の温度が約500℃に達した後、プラズマ発生ガス供給機構120からArガスを1sccm〜100sccm、Heガスを5sccm〜300sccm導入し、プラズマガン110の陰極112と陽極114との間に直流電圧を印加することによりアーク放電プラズマ118を発生させる。そしてガス供給機構109から酸素ガスを50sccm〜400sccm導入して高密度の酸素プラズマ及び酸素の活性種を生成し、蒸発源106,107,108からPb、Zr、Tiを蒸発させる。そしてガス供給機構109から酸素ガスを導入することによって反応チャンバ101内に生成された酸素活性種の存在下で、水晶振動子式膜厚モニタにて、Pb蒸発量がZrとTiの蒸発量の合計に対して10倍までの範囲になるように、かつZrとTiの蒸発量がほぼ同等になるように、蒸発源106,107,108のパワーを制御することにより、ペロブスカイト型結晶構造を有するPZT圧電体薄膜を形成する。
図2Bは、PZT圧電体膜を形成した基板の概略断面図である。Si基板11の上に、酸化シリコンの絶縁膜12が形成され、その上にTi層14、Pt層16によって下部電極が形成され、その上にPZT圧電体膜18が形成されている。なお、圧電体素子においては、さらに圧電体膜18上にPt等の上部電極20が形成される。
図2Cは、PZT圧電体膜18表面を観察したスケッチである。矩形状のPZT圧電体膜18に、例えば図に示すような大きな三角形状の不均一(ムラ)が観察される。
膜の様子はPt電極の影響を受けてグレーに見えるが、ムラの部分は図に示すように他の部分と比較して若干黒みがかった色をしている。
ともに光沢は見られるが、顕微鏡などで表面を拡大して観察すると、黒みがかった部分のほうは若干平坦性が無かった。
そして誘電率は、黒みがかった部分のほうが大きいという傾向が見られた。
このような不均一のある膜を用いて圧電薄膜素子を形成すると歩留まりは悪い。基板内の温度分布を無くすために長時間温度を保持した後に、圧電体膜を成膜しても、ムラは発生した。繰り返し成膜をおこなってもムラの発生のしかたが変化するので、基板ホルダに何らかの原因がある可能性は少ないと考えられる。どのような現象が生じているか検討する為に、Ti膜・Pt膜を成膜した基板を真空中で成膜基板温度で加熱処理をおこなった後、取り出して分析をおこなった。
図2Eは、真空中で加熱処理したPt膜表面をX線回折で測定した結果である。横軸が回折角2θを単位、度(deg)で示し、縦軸が回折強度を任意単位で示す。図1Bの(111)ピークと同じ位置に、回折強度が著しく減衰したピークが観察された。このことより真空中で基板を加熱することによって、(111)配向していたPt膜の結晶性が大きく変化したものと考えられる。この結晶性の変化のしかたが基板内で大きく異なり、例えば図2Dの色の濃淡で示すように結晶性に分布が出来たとすると、その上に成膜したPZT膜の結晶性などもそれによって大きな影響を受け、図2Cに示すような膜ムラになったものと考えられる。配向が変化しても、その変化が均一に生じるならムラとはなりにくいであろうが、ムラは生じている。
本発明者は、真空中での加熱に代え、不活性雰囲気中で加熱を行なうことを考えた。不活性雰囲気として、不活性ガスである(Ar+He)混合ガスを用いた。不活性ガスという点では、ArもHeも同等であるが、Heは熱伝導特性を改良する役割も有する。
図1Aに示すように、Si基板11表面に厚さ約500nmの酸化シリコン膜12を形成し、その上に厚さ約50nmのTi密着層14、厚さ約150nmのPt主電極層16をスパッタリングで成膜する。
図3Aに示すように、この基板をアーク放電反応性イオンプレーティング装置の反応チャンバ101内に導入し、基板ホルダ104上に装荷する。反応チャンバ101内を1x10−4Pa以上の高真空に排気した後、ガス導入機構109から(Ar+He)不活性ガス(例:流量比1:1)を供給し、雰囲気圧力を10Pa〜10−2Pa、例えば10−1Pa程度に維持する。この圧力下でSi基板11を輻射加熱ヒータ103で裏面側から加熱し、Si基板11の温度が500℃程度になるまで昇温させる。昇温時間としては、80分を目安に昇温させている。
輻射式加熱ヒータ103の温度の変化に対するSi基板11の温度変化には時間的なズレ(遅れて変化する)があるので、一定の時間をおいてから成膜をおこなう。一定の時間の例として、ヒータの温度が一定となってから60分程度経てから成膜を実施している。
プラズマ発生ガス供給機構120からArガスを1sccm〜100sccm、Heガスを5sccm〜300sccm導入し、プラズマガン110の陰極112と陽極114との間に直流電圧を印加することによりアーク放電プラズマ118を発生させる。そしてガス供給機構109から酸素ガスを50sccm〜400sccm導入して高密度の酸素プラズマ及び酸素の活性種を生成し、蒸発源106,107,108からPb、Zr、Tiを蒸発させる。このときの放電電圧は50V〜120V 、放電電流は15A〜80Aの間で制御をおこなった。
ガス供給機構109から酸素ガスを導入することによって反応チャンバ101内に生成された酸素活性種の存在下で、輻射加熱方式のヒータ103によって500℃程度に加熱された基板105上にPZT薄膜の成膜をおこなった。上記薄膜形成時の真空容器内圧力は0.1Pa前後であり、PZT膜の堆積速度は約15Å/sec程度であった。この膜の誘電率・誘電損を測定したところ、それぞれ800〜1200、0.03程度の、ものが得られた。
真空中加熱を(Ar+He)不活性ガス雰囲気中加熱に切り換えたところ、以下のような変化が生じた:
1)PZT圧電体膜において、膜ムラが見られなくなった、
2)膜厚分布が、±6.7%から±3.8%に減少した、
3)基板面内において誘電率の分布が±9.7%から±5.5%に減少し、誘電損が±25%から±11%に減少した(誘電特性のばらつきが減少した)、
4)再現性が向上した。
真空中の加熱を不活性ガス雰囲気中の加熱に切り換えたことにより、何故このような変化が生じたかは、未だ解明されていない。原理、作用は不明であるが、実験結果は明らかな変化を示している。
図3Bは、不活性ガス雰囲気中で基板加熱をおこなった後にアーク放電反応性イオンプレーティングでPZT膜を成膜した基板のX線回折結果を示す。横軸が回折角2θを単位、度(deg)で示し、縦軸が回折強度を任意単位で示す。Pt層の(111)回折ピークと、PZT膜の(001)、(002)の回折ピークがはっきりと観察される。
真空中で加熱した場合は、図2Eで示したように、Pt層の(111)配向、結晶性は失われ、膜ムラのできやすい表面状態であったと推測される。不活性ガス雰囲気中で加熱すると、真空中で加熱した場合同様Pt層の(111)配向性が減衰する傾向は見られるが、PZT膜が(001)に自己配向しやすい表面状態になったと推測される。
さらに、真空中で加熱したPt層上に堆積したPZT膜の配向分布と、(Ar+He)不活性ガス雰囲気中で基板加熱を行なったPt層上に堆積したPZT膜の配向性の評価を行った。
成膜した膜の配向性を、下記の式
α(xyz)=I(xyz)/ΣI(abc)
で定義した配向度で評価した。ここでI(xyz)は(xyz)面の回折強度、ΣI(abc)は全回折強度の総和で、配向度α(xyz)は全回折強度の総和に対する(xyz)面の回折強度の割合を示す。ただし(002)は、(001)面と等価な面であるため、回折強度の総和には含めなかった。
図4A−4Cは真空中加熱サンプルの測定結果を示し、図4D−4Fは(Ar+He)不活性ガス雰囲気中加熱サンプルの測定結果を示す。横軸は、図4A,4Dが<001>配向度分布、図4B,4Eが<110>配向度分布、図4C,4Fが<111>配向度分布を示す。縦軸は作製したサンプルのうち、表記した範囲の配向度を満たすサンプルの割合を示している。
真空中で基板加熱をおこなったサンプルにおいては、どちらかと言えば<001>配向が多いが、全回折強度の総和のうち、8割以上<100>の回折強度が占めるサンプルの割合は、約4割に留まる。全回折強度の総和のうち6割以上<100>の回折強度が占めるサンプルと範囲を広げても高々7割程度である。<110>の回折強度が全回折強度の総和の1割以上占めるサンプルの割合が5割を超え、<111>の回折強度が全回折強度の総和の1割以上占めるサンプルの割合が約3割あることより、配向性にバラツキが発生しやすいと言うことができよう。
これに対して、(Ar+He)不活性ガス雰囲気中で基板加熱をおこなったサンプルにおいては、<001>の回折強度が全回折強度の総和の8割以上占めるサンプルの割合が8割以上に達し、<110>の回折強度が全回折強度の総和の2割以下であるサンプルの割合が8割以上、<111>の回折強度が全回折強度の総和の1割以下であるサンプルの割合が10割であることより<001>に配向した圧電体膜が得られやすいと言うことができよう。
このように、結晶の配向が<001>に揃った圧電体膜が得られている。<001>に配向の揃った圧電体膜を用いることにより、特性のすぐれた圧電体素子が得られるものと推測される。
図5は、2次元光スキャナ201の斜視図を示す。2次元スキャナ201には、中央に矩形のミラー部が形成されている。ミラー部は、表面に酸化膜が形成されたシリコン(Si)層からなる可動基板203と、その上部に形成された金(Au)やアルミニウム(Al)等の金属薄膜による反射膜203mとを含んで構成されている。反射膜203mは、入射光の反射率を高める。
一対の第1のトーションバー204a、204bが、ミラー部を通過するひとつの軸上に配置され、可動基板203を各々の一端で軸支する。第1のトーションバー204a、204bの他端には、ミラー部を囲む矩形枠状の内部可動枠202が接続されている。
第1の圧電振動板205a、205d(および205b、205c)が、内部可動枠202の第1のトーションバーと平行な辺202Lと第1のトーションバー204a(および204b)とを接続する。第1の振動板205a、205d(および205b、205c)の表面上で、第1のトーションバー204a(および204b)の両側には、圧電素子208a、208d(および208b、208c)がそれぞれ積層されている。圧電素子208a〜208dは、第1の圧電振動板の表面から内部可動枠202の表面の一部にかけて形成されており、内部可動枠202の表面上に引き出し電極を有している。圧電素子208a〜208dは、上述の実施例に従って作成する。
第1のトーションバー204a、204bと軸方向が交差する一対の第2のトーションバー206a、206bが、各々の一端で内部可動枠202を軸支する。第1のトーションバーと第2のトーションバーは直交する。矩形開口を有する支持体201が、第2のトーションバー206a、206bの他端に接続され、内部可動枠202を囲む。
第2の圧電振動板207a、207d(および207b、207c)が、支持体201の第2のトーションバーと平行な辺201Lと第2のトーションバー206a(および206b)とを接続する。第2の圧電振動板207a(および207b)の表面上で、第2のトーションバー206a(および206b)の両側には、圧電素子209a、209d(および209b、209c)がそれぞれ積層されている。圧電素子209a〜209dは、第2の圧電振動板の表面から支持体201の表面の一部にかけて形成されており、支持体201の表面上に引き出し電極を有している。圧電素子209a〜209dは、上述の実施例に従って作成する。
これらの、内部可動枠202、可動基板203、第1のトーションバー204a、204b、第1の圧電振動板205a、205b、205c、205d、第2のトーションバー206a、206b、第2の圧電振動板207a、207b、207c、207dは、表面に酸化膜を有するシリコンからなる共通基板をエッチング加工することにより形成されている。また、この加工の際に、ミラー部および内部可動枠202が所定の角度で揺動するのに支障のないような空隙も形成される。上記の各構成要素202、203、204a、204b、205a、205b、205c、205d、206a、206b、207a、207b、207c、207dは、支持体201の厚さに比べて薄くなっており、曲げ変形及び捩れ変形が容易にできる構造になっている。ただし、内部可動枠202は、活性基板の下にSiからなる支持構造体202Mが形成されており、機械的な剛性を向上させている。この構造体202Mは厚さの調整が可能である。このような構造体は、例えばSOI基板を用いて作成できる。
以上実施例に沿って、本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。圧電体は、PZTに限らない。チタン酸鉛(PT),チタン酸ジルコン酸鉛ランタン(PLZT)等他のペロブスカイト型酸化物圧電体(強誘電体)も可能であろう。
圧電体膜の成膜方法は、アーク放電反応性イオンプレーティングに限らない。プラズマ励起を利用し、真空中で気相堆積するプラズマ気相堆積であれば、適用可能であろう。このような堆積方法は公知であり、公知の堆積方法、公知の堆積装置を用いることが可能であろう。
その他、種々の変更、置換、改良、組み合わせ等が可能なことは、当業者に自明であろう。
11 基板、
12 酸化シリコン膜、
14 Ti層、
16 Pt層、
18 PZT膜、
20 Pt層、
101 反応チャンバ、
103 ヒータ、
104 基板ホルダ、
109 ガス供給機構、
120 プラズマ発生ガス供給機構。

Claims (5)

  1. (a)基板上方に、Ti層、その上にPt層を堆積する工程と、
    (b)前記Ti層、Pt層を堆積した基板をプラズマ気相堆積装置に搬入し、前記プラズマ気相堆積装置内を真空に排気する工程と、
    (c)前記プラズマ気相堆積装置内に不活性ガスを供給し、前記基板を所定圧力の不活性ガス雰囲気中で、圧電体膜堆積温度まで昇温し加熱処理する工程と、
    (d)前記(c)の工程の後、前記プラズマ気相堆積装置内において、加熱した前記基板上に、プラズマ気相堆積により、酸化物圧電体膜を堆積する工程と、
    を含む圧電体素子の製造方法。
  2. 前記不活性ガスが、Ar,Heの少なくとも一方を含む、請求項1記載の圧電体素子の製造方法。
  3. 前記不活性ガスが、(Ar+He)の混合ガスである、請求項1又は2に記載の圧電体素子の製造方法。
  4. 前記工程(c)の不活性ガス雰囲気の所定圧力、10−0Pa〜10−2Paの範囲内である請求項1〜3のいずれか1項記載の圧電体素子の製造方法。
  5. 前記工程(a)がスパッタリング又は蒸着で行なわれ、前記工程(d)がアーク放電反応性イオンプレーティングで行なわれ、前記酸化物圧電体が、PZTである請求項1〜4のいずれか1項記載の圧電体素子の製造方法。
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