JP5562318B2 - 流体漏洩箇所特定装置及びこれを備えた冷凍空調装置 - Google Patents

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Description

本発明は、周囲流体と異なる流体を保持している機器やプラント等からの内部流体(機器の内部に充填されている流体)の漏れを検知する流体漏洩箇所特定装置及びこれを備えた冷凍空調装置に関するものである。
従来より、内部流体の漏洩を限られた個数の流体漏洩検知装置で検知したり(たとえば、特許文献1参照)、漏洩しやすいと思われる箇所へ事前に流体漏洩検知装置を設置することで漏洩を検知したり(たとえば、特許文献2参照)する等の漏洩検知方法が存在している。
特許文献1では、数個の小穴を有するリジットチューブ又はフレキシブルチューブを用いることで広範囲のガス漏れを検知するようにした多孔チューブ式広範囲ガス漏れ検知装置が開示されている。
特許文献2では、流体保持体と、2つの電極を有するセンサ本体と、を漏洩予測箇所へ設置して内部流体の漏洩を検知するようにした冷媒漏洩検知装置が開示されている。
また、携帯小形漏洩検知装置を用いて、作業者が要素機器や配管等の表面に沿って検知センサ部を移動させることにより漏洩箇所を特定していく方法が、現在一般的に採用されている。
実開昭61−206837号公報(第3−4頁、第1図等) 特開2009−198154号公報(変形例1、図8等)
現在一般的に採用されている検知方法では、作業者の負荷が大きい上に、内部流体の希薄と流動により漏洩箇所が特定することができなかった。内部流体の希薄とは、周囲流体により内部流体が薄くなることである。また、内部流体の流動とは、内部流体と周囲流体とに分子量の差がある場合、つまり流体の重さにより発生し、内部流体が周囲流体よりも重いと内部流体は下部へ移動、内部流体が周囲流体よりも軽いと内部流体は上部へ移動することである。なお、周囲流体に流れ等がある場合においても、その流れにより漏洩箇所から移動してしまうことがあり、この場合も内部流体の流動に含まれる。
特許文献1に記載されているような検知方法では、複数の小穴を有するリジットチューブ又はフレキシブルチューブにより1台で漏洩有無を検知できるが、どの部分で流体が漏洩しているかを特定することができなかった。また、特許文献1に記載されているような検知方法では、内部流体の希薄と流動についても解決できていない。
また、特許文献2に記載されているような検知方法では、予め流体の漏洩が予測できる箇所をピックアップしてセンサを取り付ける必要があり、また複数の予測箇所に個別に設置することから、センサ個数が多数必要となり、手間及び費用を多く要してしまう。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、微量の流体の漏洩を検知でき、漏洩箇所の測定を短時間で特定することができる流体漏洩箇所特定装置及びこれを備えた冷凍空調装置を提供することを目的としている。
本発明に係る流体漏洩箇所特定装置は、機器の内部に充填されている流体の機器外部への漏洩を検知し、漏洩箇所を特定する流体漏洩箇所特定装置において、海綿状の不規則な網状配列となっている材料で構成され、前記機器から漏洩した流体を保持する拡散防止材と、前記拡散防止材に保持された流体を吸引して、前記機器からの流体の漏洩を検知し、前記機器から漏洩した流体が保持された前記拡散防止材の位置に対応して流体の漏洩箇所を特定する流体漏洩検知装置と、を備え、前記拡散防止材は、流体の漏れ範囲を2つ以上に仕切るように、前記流体の漏れ範囲に配置されるものである。
本発明に係る冷凍空調装置は、上記の流体漏洩箇所特定装置と、圧縮機、室外熱交換器、膨張機構及び室内熱交換器を配管接続した冷媒回路と、を備えたものである。
本発明に係る流体漏洩箇所特定装置によれば、拡散防止材を備えたことにより、漏洩した流体の希薄を抑えることができ、従来検知できなかった流体の漏洩量を検知することができる。また、拡散防止材を備えたことにより、漏洩した流体の流動を抑制できるため、漏洩箇所を短時間で特定することが可能となる。
本発明に係る冷凍空調装置によれば、上記の流体漏洩箇所特定装置を備えているので、機器の故障、流体の漏洩による災害を抑制することができる。
本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置の冷媒回路構成の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置に備えられた流体漏洩特定装置の流体漏洩検知装置を説明するための概略図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置に備えられた流体漏洩特定装置の拡散防止材を説明するための概略図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置の機械室に設置した拡散防止材をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置の機械室の分割状態をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置の要素機器の近傍に設置した拡散防止材をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置の機械室の更なる分割状態をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置に備えられた流体漏洩特定装置の拡散防止材の具体的な構成例をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置に備えられた流体漏洩特定装置の拡散防止材の具体的な構成例をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置に備えられた流体漏洩特定装置の拡散防止材の具体的な構成例をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置に備えられた流体漏洩特定装置の拡散防止材の具体的な構成例をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置に備えられた流体漏洩特定装置の拡散防止材の具体的な構成例をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置に備えられた流体漏洩特定装置の拡散防止材の具体的な構成例をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置の機械室内に周囲流体よりもさらに軽い流体を流入させた場合をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置の熱交換器のフィンに取り付けた拡散防止材をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置の熱交換器のUベンドに取り付けた拡散防止材をイメージ化して示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置に備えられた流体漏洩特定装置の流体漏洩検知装置を拡散防止材の内部に取り付けた状態をイメージ化して示すイメージ図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る冷凍空調装置1の冷媒回路構成の一例を示す概略構成図である。図1に基づいて、冷凍空調装置1の構成及び動作について説明する。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図1及び後述の図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
冷凍空調装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、たとえばビルやマンション、ホテル等に設置され、室内などの空調対象空間の冷暖房に使用されるものである。また、冷凍空調装置1は、流体の漏洩を検知し、流体の漏洩箇所を特定することができる流体漏洩箇所特定装置200を備えている。なお、流体漏洩箇所特定装置200の構成については図4で説明するものとする。
[冷凍空調装置1の構成]
冷凍空調装置1は、主として、熱源ユニットとしての室外ユニット2と、それに並列に接続された複数台(図1では2台)の利用ユニットとしての室内ユニット4(室内ユニット4A、室内ユニット4B)と、室外ユニット2と室内ユニット4とを接続する液側延長配管6及びガス側延長配管7と、を備えている。そして、室外ユニット2と、室内ユニット4A及び室内ユニット4Bと、を液側延長配管6及びガス側延長配管7で接続することによって、冷凍空調装置1の冷媒回路10が構成されている。なお、以下の説明において、室内ユニット4A、室内ユニット4Bをまとめて室内ユニット4と称する場合があるものとする。
液側延長配管6は、室外ユニット2と室内ユニット4Aとを、室外ユニット2と室内ユニット4Bとを接続する配管であり、液冷媒が通過するようになっている。液側延長配管6は、液主管6Aと、液枝管6aと、液枝管6bと、で構成されている。液主管6Aは、分配器51を介して液枝管6a、液枝管6bに接続している。そして、液枝管6aは室内ユニット4Aに、液枝管6bは室内ユニット4Bに、それぞれ接続される。
ガス側延長配管7は、室外ユニット2と室内ユニット4Aとを、室外ユニット2と室内ユニット4Bとを接続する配管であり、ガス冷媒が通過するようになっている。ガス側延長配管7は、ガス主管7Aと、ガス枝管7aと、ガス枝管7bと、で構成されている。ガス主管7Aは、分配器52を介してガス枝管7a、ガス枝管7bに接続している。そして、ガス枝管7aは室内ユニット4Aに、ガス枝管7bは室内ユニット4Bに、それぞれ接続される。
[室内ユニット4]
室内ユニット4は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。つまり、室内ユニット4は、空調対象空間に空調空気を供給できる位置に設置されている。室内ユニット4は、室外ユニット2からの冷熱又は温熱の供給を受けて空調対象空間の冷房又は暖房を行うものである。上述したように、室内ユニット4は、液側延長配管6とガス側延長配管7とを用いて室外ユニット2に接続されている。
室内ユニット4A、室内ユニット4Bは、同様の構成であるため、ここでは室内ユニット4としてまとめて説明する。なお、図1では、「室内ユニット4A」に備えられている各機器の符号の後に「A」を付加し、「室内ユニット4B」に備えられている各機器の符号の後に「B」を付加して図示している。そして、以下の説明においては、符号の後の「A」、「B」を省略する場合があるが、室内ユニット4A、室内ユニット4Bのいずれにも各機器が備えられていることは言うまでもない。
室内ユニット4は、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路(室内ユニット4Aでは室内側冷媒回路10a、室内ユニット4Bでは室内側冷媒回路10b)を有している。この室内側冷媒回路は、主として、膨張機構としての膨張弁41(膨張弁41A、膨張弁41B)と、利用側熱交換器としての室内熱交換器42(室内熱交換器42A、室内熱交換器42B)とを有している。また、室内ユニット4は、室内ファン43(室内ファン43A、室内ファン43B)を有している。
膨張弁41は、室内側冷媒回路内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、室内熱交換器42の液側に接続された電動膨張弁である。
室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する。
室内ファン43は、室内ユニット4内に室内空気を吸入して、室内熱交換器42に供給し、室内熱交換器42において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内等の空調対象空間に供給するものである。室内ファン43は、室内熱交換器42に供給する空気の風量を可変することが可能なファンであり、たとえばDCファンモーターによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等で構成するとよい。
また、室内ユニット4には、各種のセンサーが設けられている。室内熱交換器42の液側には、冷媒の温度(すなわち、冷房運転時における蒸発温度Teに対応する冷媒温度)を検出する液側温度センサー(室内ユニット4Aでは液側温度センサー33e、室内ユニット4Bでは液側温度センサー33h)が設けられている。室内熱交換器42のガス側には、冷媒の温度を検出するガス側温度センサー(室内ユニット4Aではガス側温度センサー33f、室内ユニット4Bではガス側温度センサー33i)が設けられている。
また、室内ユニット4の室内空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度Tr)を検出する室内温度センサー(室内ユニット4Aでは室内温度センサー33g、室内ユニット4Bでは室内温度センサー33j)が設けられている。なお、室内ユニット4Aに設置されているガス側温度センサー33e、液側温度センサー33f、室内温度センサー33g、及び室内ユニット4Bに設置されているガス側温度センサー33h、液側温度センサー33i、室内温度センサー33jを特に限定するものではないが、たとえばサーミスターで構成するとよい。
さらに、室内ユニット4は、室内ユニット4を構成する各部の動作を制御する室内側制御部(室内ユニット4Aでは室内側制御部32a、室内ユニット4Bでは室内側制御部32b)を有している。そして、室内側制御部は、室内ユニット4の制御を行うために設けられたマイクロコンピューターやメモリ等を有しており、室内ユニット4を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット2との問で伝送線を介して制御信号等のやりとりを行ったりすることができるようになっている。また、室内側制御部には、各センサーからの検知情報が入力されるようになっている。
[室外ユニット2]
室外ユニット2は、たとえばビル等の室外に設置されている。室外ユニット2は、室内ユニット4に冷熱又は温熱を供給する機能を有している。室外ユニット2は、液主管6A、液枝管6a、ガス主管7A、ガス枝管7aを介して室内ユニット4Aに接続され、液主管6A、液枝管6b、ガス主管7A、ガス枝管7bを介して室内ユニット4Bに接続されている。
室外ユニット2は、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路10cを有している。この室外側冷媒回路10cは、主として、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、余剰液冷媒貯留容器であるアキュムレーター(以下、ACCという)24と、室外ファン27と、液側閉鎖弁28と、ガス側閉鎖弁29と、を有している。これらの要素機器、配管は、金属箱内に収められており、室外ファン27と室外熱交換器23で構成される熱交換部70と、それ以外の要素機器が設置される機械室71と、に分類される。
圧縮機21は、冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にするものであり、運転容量を可変することが可能なもので構成されている。ここでは、圧縮機21は、インバーターにより周波数が制御されるモーターによって駆動される用積式圧縮機であるものとする。なお、図1では、圧縮機21が1台のみである場合を例に示しているが、これに限定するものではなく、室内ユニット4の接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機21を並列又は直列に接続してもよい。
四方弁22は、圧縮機21の吐出側に設けられ、冷媒の流れ方向を切り換えるための弁である。四方弁22は、冷房運転時には、実線で示されるように切り替えられ、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに、ACC24とガス主管7A側とを接続する。これにより、室外熱交換器23は圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能し、室内熱交換器42は蒸発器として機能することになる。また、四方弁22は、暖房運転時には、四方弁22の破線で示されるように切り替えられ、圧縮機21の吐出側とガス主管7Aとを接続するとともに、ACC24と室外熱交換器23のガス側とを接続する。これにより、室内熱交換器42は圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能し、室外熱交換器23は蒸発器として機能することになる。
室外熱交換器23は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成されている。そして、室外熱交換器23は、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能するようになっている。また、室外熱交換器23は、ガス側が四方弁22に接続され、液側が液主管6Aに接続されている。なお、室外熱交換器23の構成については、図15、図16で詳細に説明する。
室外ファン27は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するものである。室外ファン27は、室外熱交換器23に供給する空気の風量を可変することが可能なファンであり、たとえばDCファンモーターによって駆動されるプロペラファン等で構成するとよい。
ACC24は、圧縮機21の吸入部に接続されており、運転負荷の変動等に応じて冷媒回路10内に発生する余剰冷媒を溜めることが可能な容器である。ACC24は、たとえば炭素鋼等の金属で形成し、しかも法規に則って耐圧強度を考えて設計、製作された圧力容器でなければならない。なお、冷房運転と暖房運転が切り換えられない機種においては四方弁22及びACC24は、必ずしも設けなくてもよい。
液側閉鎖弁28は、液側延長配管6の液主管6Aに設けられ、液主管6Aを開閉するものである。ガス側閉鎖弁29は、ガス側延長配管7のガス主管7Aに設けられ、ガス主管7Aを開閉するものである。なお、液側閉鎖弁28及びガス側閉鎖弁29は、室外ユニット2の配管出入口近傍に設けられ、室外ユニット2や室内ユニット4を接続したり、取り外したりする際に使用される。
また、室外ユニット2には、各種のセンサーが設けられている。圧縮機21の吸入側には、冷媒の温度(吸入温度)を検出する吸入温度センサー33aが設けられている。圧縮機21の吐出側には、冷媒の温度(吐出温度)を検出する吐出温度センサー33bが設けられている。室外熱交換器23と液側閉鎖弁28との間には、冷媒の温度を検出する温度センサー33lが設けられている。室外熱交換器23には、室外熱交換器23を流れる冷媒の温度を検出する温度センサー33kが設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち外気温)を検出する室外温度センサー33cが設けられている。
また、圧縮機21の吸入側には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサー34aが設けられている。圧縮機21の吐出側には、圧縮機21から吐出された冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサー34bが設けられている。なお、室外ユニット2に設置されている吸入温度センサー33a、吐出温度センサー33b、温度センサー33l、温度センサー33k、室外温度センサー33cを特に限定するものではないが、たとえばサーミスターで構成するとよい。
さらに、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部31を有している。そして、室外側制御部31は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピューターやメモリ等を有しており、室内ユニット3との問で伝送線を介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。また、室外側制御部31には、各センサーからの検知情報が入力されるようになっている。
なお、圧縮機21は、インバーター制御可能なものであればよく、特にタイプを限定するものではない。たとえば、レシプロ、ロータリー、スクロールあるいはスクリューなどの各種タイプを利用して圧縮機21を構成することができる。さらに、冷凍空調装置1に使用する冷媒の種類を特に限定するものではなく、たとえば二酸化炭素や炭化水素、ヘリウムなどの自然冷媒、HFC410AやHFC407C、HFC404Aなどの塩素を含まない代替冷媒、若しくは既存の製品に使用されているR22やR134aなどのフロン系冷媒のいずれを使用してもよい。
また、冷凍空調装置1の動作を制御する室内側制御部及び室外側制御部31がそれぞれのユニットに搭載されている場合を例に示しているが、室外ユニット2又は室内ユニット4のいずれか一方に設けるようにしてもよく、室外ユニット2及び室内ユニット4の外部に設けるようにしてもよい。また、室内側制御部と室外側制御部31とを有線ではなく、無線で接続し、通信可能にしておいてもよい。
[冷凍空調装置1の動作]
冷凍空調装置1が実行する基本的な運転動作について説明する。
冷凍空調装置1は、室内ユニット4からの指示に基づいて、その室内ユニット4で冷房運転あるいは暖房運転が可能になっている。冷凍空調装置1が実行する運転モードには、駆動している室内ユニット4の全てが冷房運転を実行する冷房運転モード、駆動している室内ユニット4の全てが暖房運転を実行する暖房運転モードがある。
[冷房運転モード]
低温・低圧の冷媒が圧縮機21によって圧縮され、高温・高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機21から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、四方弁22を介して室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外熱交換器23で室外空気に放熱しながら凝縮・液化する。室外熱交換器23から流出した高圧液冷媒は、液主管6Aを流れ、液側閉鎖弁28を経由した後、室外ユニット2から流出する。
室外ユニット2から流出した高圧液冷媒は、分配器51によって液枝管6aと液枝管6bに分配される。そして、液枝管6aを通った冷媒は室内ユニット4Aに流入し、液枝管6bを通った冷媒は室内ユニット4Bに流入する。室内ユニット4に流入した液冷媒は、膨張弁41(膨張弁41A、膨張弁41B)にて絞られ、低温の気液二相冷媒となる。この低温の気液二相冷媒は、室内熱交換器42(室内熱交換器42A、室内熱交換器42B)に流入し、周囲から熱を奪うことで空調空間を冷房するとともに、自身は蒸発・気化し、室内熱交換器42から流出する。
室内熱交換器42Aから流出した冷媒は、室内ユニット4Aから出た後にガス主管7Aを通って分配器52に至る。室内熱交換器42Bから流出した冷媒は、室内ユニット4Bから出た後にガス枝管7bを通って分配器52に至る。室内ユニット4から流出した冷媒は、分配器52で合流され、ガス側延長配管7のガス主管7Aを通り、ガス側閉鎖弁29を介して室外ユニット2に流入する。室外ユニット2に流入した冷媒は、四方弁22、ACC24を介して、圧縮機21に再度吸入される。以上の流れで、冷凍空調装置1は冷房運転を実行する。
[暖房運転モード]
低温・低圧の冷媒が圧縮機21によって圧縮され、高温・高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機21から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、四方弁22を介して、ガス主管7Aを流れ、ガス側閉鎖弁29を経由した後、室外ユニット2から流出する。室外ユニット2から流出した高温・高圧のガス冷媒は、分配器52によってガス枝管7aとガス枝管7bに分配される。そして、ガス枝管7aを通った冷媒は室内ユニット4Aに流入し、ガス枝管7bを通った冷媒は室内ユニット4Bに流入する。
室内ユニット4に流入したガス冷媒は、室内熱交換器42(室内熱交換器42A、室内熱交換器42B)に流入し、室内熱交換器42で周囲に放熱することで空調空間を暖房するとともに、自身は凝縮・液化し、室内熱交換器42から流出する。室内熱交換器42から流出した液冷媒は、膨張弁41(膨張弁41A、膨張弁41B)で中間圧力まで絞られる。膨張弁41で低圧まで絞られた気液二相冷媒は、液主管6Aを介して、室外ユニット2に戻る。室外ユニット2に戻った気液二相冷媒は、室外熱交換器23に流入する。
室外熱交換器23に流入した低圧の気液二相冷媒は、室外熱交換器23で室外空気から熱を奪いながら蒸発・気化して、室外熱交換器23から流出する。室外熱交換器23から流出したガス冷媒は、四方弁22及びACC24を介して圧縮機21に再度吸入される。以上の流れで、冷凍空調装置1は暖房運転を実行する。
<流体漏洩の検知>
冷凍空調装置1は、上記構成の他に、流体漏洩検知装置60と拡散防止材61とで構成される流体漏洩箇所特定装置200を備えている。
[流体漏洩検知装置60の構成]
次に、流体漏洩検知装置60について図2を参照しながら説明する。図2は、流体漏洩検知装置60を説明するための概略図である。流体漏洩検知装置60は、検知対象となる機器やプラント等の内部流体の漏れを検知し、その漏れ箇所を特定するものである。したがって、流体漏洩検知装置60を備えた流体漏洩箇所特定装置200は、内部流体漏洩に起因する災害や機器の損傷を未然に防止することを可能にする保安監視装置として機能することになる。図2に示すように、流体漏洩検知装置60は、本体部60aと、表示部60bと、アーム部60cと、で構成されている。
本体部60aは、収集した気体の分析を行なう検知部としての機能を有している。すなわち、本体部60aは、搭載されている検知センサーによって、収集した周囲の気体の中に検知対象流体が含まれているかを確認するようになっている。表示部60bは、本体部60aで分析された分析結果を表示する機能を有している。また、表示部60bは、操作部として機能も有しており、使用者は表示部60bを介して作業を行うことが可能になっている。
アーム部60cは、本体部60aに取り付けられており、高所や本体部60aが入りにくい細かな場所で漏洩検知をする際に利用されるものである。つまり、アーム部60cは、本体部60aに取り付けられることで、本体部60aとともに検知部を構成するものである。アーム部60cを取り付ければ、検知範囲が広がるだけでなく、検知しやすいという効果も得られる。
流体漏洩検知装置60は、検知方式の違いにより、電子式、赤外線式等いくつかの検知方式を採用することができる。電子式を採用した場合、流体漏洩検知装置60は、センサー部の抵抗により内部流体の漏洩を検知する。赤外線式を採用した場合、流体漏洩検知装置60は、内部流体の吸収スペクトルにより変化する透過率の違いから漏洩有無を検知する。どちらの方式を採用したとしても、流体漏洩検知装置60は、周囲のガス(気体)を吸引し、その中に検知対象流体(たとえば、冷媒ガス)が含まれているかを検知するようになっている。したがって、流体漏洩検知装置60には、いずれの検知方式を採用してもよい。
なお、流体漏洩検知装置60にいずれの検知方式を採用したとしても、流体漏洩検知装置60の検知センサー部には、流体を保持する流体保持材、たとえば網状配列となっている材料で構成される高分子の発泡材を設けていない。これは、流体漏洩検知装置60が吸引ポンプ等を内蔵し、時間応答性を高めているからである。時間応答性が良いと、配管や要素機器に沿って本体部60a(又はアーム部60c)を移動させ、漏洩箇所を特定することができる。つまり、検知センサー部に流体保持材があると、流体保持材により時間応答性が悪化するため流体漏洩検知装置60には流体保持材を設置していない。
このように、流体漏洩検知装置60は、複雑な構成を備える必要がなく、高精度な検知精度が要求されることもないため、安価で、小型かつ携帯可能に構成することができる。
[拡散防止材61の構成]
次に、拡散防止材61について図3を参照しながら説明する。図3は、拡散防止材61を説明するための概略図である。拡散防止材61は、海綿状で不規則な網状配列となっている材料で構成され、漏洩した内部流体の移動を抑制するものである。この拡散防止材61は、海綿状で不規則な網状配列となっている材料で構成され、漏洩した内部流体の移動を抑制することができるものであればよく、たとえば発泡高分子材料等で構成するとよい。このような発泡高分子材料は、安価であるだけでなく、発泡密度も様々である。なお、拡散防止材61の形状も、図3に示すような直方体形状に限定するものではない。
また、発泡高分子材料は、形状を変形させることが比較的に容易であることから、様々な要素機器や配管が密集して設置しにくい場所にも対応した形状に変形することができ、設置場所を大きく限定することがない。発泡高分子材料は、作業が終わり、取り外せば、元の形状に戻るため、何度でも繰り返し使用することができる。
さらに、拡散防止材61の構成材料を発泡高分子材料に限定するものではない。たとえば、焼結金属や、ハニカム構造等構造体の内部に流体を溜めることができる隙間の空いた金属、不織布に代表される隙間のある布、ダンボール等の紙を用いて拡散防止材61を構成してもよい。また、これらの材料を単体で拡散防止材61を構成してもよいし、複数の材料を任意に組み合わせて拡散防止材61を構成してもよい。
拡散防止材61は、内部流体の流動を考慮して、内部にできるだけ流体を保持できる構造であることが望ましい。内部流体が外部の周囲流体よりも重い場合、内部流体は下部へ移動する。このような状況において、海綿状の材料を用いた場合、海綿状材料へ上部から進入した内部流体が時間と共に下部へ抜け出てしまうことが考えられる。このような場合を想定し、漏洩した内部流体が下部から抜け出ないように、拡散防止材61に流体通過防止材を取り付けることが望ましい。なお、流体通過防止材を取り付けた拡散防止材61については、図8、図9で説明するものとする。
また、拡散防止材61は、奥(図3に示す紙面奥側)の流体を手前(図3に示す紙面手前側)から吸引できる構造であることが望ましい。これは、拡散防止材61を設置する箇所は、要素機器等で込み入った場所に設置することが多いことが想定され、奥まで流体漏洩検知装置60を設置することが困難である場合が多いと考えられるためである。このような状況において、手前から拡散防止材61の奥の気体を収集できれば、作業負荷が低減することになる。なお、手前から奥の気体を収集できるようにした拡散防止材61の具体例については、図10、図11で説明するものとする。
さらに、拡散防止材61は、要素機器で込み入った部屋に設置し易い構造であることが望ましい。なお、拡散防止材61の要素機器で込み入った部屋に設置し易い構造については、図12で説明するものとする。
また、拡散防止材61は、作業負荷の低減や必要物品数の削減のため、拡散防止材61を単独で固定、連結できる構造であることが望ましい。なお、拡散防止材61を単独で固定、連結できる構造については、図13で説明するものとする。
さらに、拡散防止材61の形状を、拡散防止材61同士が連結しやすいような形状としてもよい。たとえば、一例として、拡散防止材61の一部もしくはある面を凹凸とし、その部分を使って複数の拡散防止材61を嵌め合い連結すること等が挙げられる。
[拡散防止材61の設置方法]
図4は、機械室71に設置した拡散防止材61をイメージ化して示すイメージ図である。図4に基づいて、拡散防止材61の設置方法について説明する。図4では、拡散防止材61を冷凍空調装置1の機械室71に複数段に分けて設置し、その1つに流体漏洩検知装置60が取り付けられている状態を例に示している。流体漏洩検知装置60は、小型かつ携帯可能に構成されているので、複数の拡散防止材61のそれぞれに順に取り付けて流体漏洩を検知するとよい。
流体漏洩箇所特定装置200は、流体漏洩検知装置60と拡散防止材61とによって構成されている。流体漏洩検知装置60は、検知対象となる機器やプラント等の内部流体の漏れを検知し、その漏れ箇所を特定するものである。なお、ここでは、流体漏洩検知装置60は、室外ユニット2の機械室71内で冷媒の漏れを検知し、その漏れ箇所を特定する場合を例に示している。拡散防止材61は、検知対象となる機器やプラント等から漏洩した内部流体の移動を抑制するものである。この拡散防止材61は、漏洩した内部流体の希薄と流動を抑制することを目的として設置されている。この場合は、拡散防止材61が室外ユニット2の機械室71内の全範囲に設置され、流体漏洩検知装置60により流体の漏洩を検知することもできる。
ただし、機械室71の全範囲に拡散防止材61を配置するようにすると、拡散防止材61を設置する際に要する手間がかかり、漏洩箇所の特定に時間がかかることになる。このことから、範囲を少しずつ絞り、漏洩箇所を特定する方法も考えられる。この際、拡散防止材61は、機械室71をいくつかの部屋に区切る区切り板としての機能を兼用することになる。なお、2つの検知方法を例として挙げたが、後者、つまり範囲を少しずつ絞って漏洩箇所を特定する方法を例に、拡散防止材61の設置方法を説明するものとする。
流体漏洩検知及び漏洩箇所の特定は、(1)漏れ範囲の把握、(2)漏れ範囲の細分化、(3)漏洩箇所の特定、の順に行なう。図5は、機械室71の分割状態をイメージ化して示すイメージ図である。図6は、要素機器(ここでは液側閉鎖弁28)の近傍に設置した拡散防止材61をイメージ化して示すイメージ図である。図7は、機械室71の更なる分割状態をイメージ化して示すイメージ図である。図5〜図7に図4を加えて、流体漏洩検知及び漏洩箇所の特定について説明する。
(1)漏れ範囲の把握
まず、大まかな漏れ範囲を把握する。図5に示すように、拡散防止材61により、機械室71を区切り、区切った部屋内で内部流体の漏洩有無を把握する。図5では、拡散防止材61によって機械室71を上下方向に3つの部屋に区切った状態を例に示している。なお、広域で検知装置(流体漏洩検知装置60)が反応する場合は、内部流体が広域に充満しているため、換気を行う必要がある。流体漏洩検知装置60は、各拡散防止材61に保持されている流体をアーム部60cを介して本体部60aに取り込むことによって、本体部60aの検知センサー部が内部流体を検知するようになっている。
また、内部流体の流動を考慮して、検知する部屋の順序を決める必要がある。内部流体が外部の周囲流体よりも重い場合は、漏洩した内部流体が機械室71の下部に流動し、機械室71の下部に溜まりやすい。よって、このような内部流体の流動特性を考慮し、機械室71を区切った上部の部屋から漏洩有無の検知を行なうとよい。こうすることにより、流動してきた内部流体による漏洩箇所以外での誤検知を抑制することができる。
さらに、内部流体の流動には時間がかかる場合もあることから、拡散防止材61の内部の流体を吸引して漏洩有無を特定するだけではなく、区切った部屋内部の流体を吸引することにより漏洩有無を特定してもよい。つまり、この際、拡散防止材61は、機械室71をいくつかの部屋に区切る、区切り板として機能することになる。
また、拡散防止材61の設置方法として、漏洩の確率が高い要素機器の位置を考慮して機械室71を区切ってもよい。漏洩の確率が高い部品や箇所としては、たとえば冷凍空調装置1で言えば、膨張弁や止め弁等の弁(たとえば、液側閉鎖弁28、ガス側閉鎖弁29等)、フレア接続部、溶接箇所、配管密集箇所などが漏洩の多い部品や箇所として挙げられる。冷凍空調装置1以外の機器で言えば、フランジ接続部や機械の摺動部等が考えられる。内部流体が外部の周囲流体よりも重い場合は、漏洩した内部流体が下部に流動することから、図6のように、漏洩の確率が高い要素機器(図6に示す液側閉鎖弁28))の下部に拡散防止材61を配置することが望ましい。
(2)漏れ範囲の細分化
(1)により、漏れ範囲の大まかな特定ができれば、その後、図7に示すように、漏れ箇所特定のため更に漏れ範囲を細分化していく。つまり、漏れ範囲を狭い範囲に限定していくことで漏洩箇所を絞り込んでいくのである。
(3)漏れ箇所の特定
(1)、(2)により、漏れ範囲をある程度絞ることができれば、最後に漏れ箇所の特定を行う。つまり、漏洩した流体が保持された拡散防止材61の位置に対応して流体の漏れ箇所が特定できる。この際も、内部流体と周囲流体の関係に注意して作業を実施し、たとえば内部流体が周囲流体よりも重い場合は、機械室71の部屋の下部に漏洩した内部流体が充満している可能性があるため、その部屋の上部から作業する。なお、漏洩量が少量で漏洩した流体が保持された拡散防止材61の位置に対応した流体の漏れ箇所が特定に時間がかかる場合を想定し、漏洩箇所検知で主流の検知方法である、石鹸水を用いた漏洩箇所検知(石鹸水を漏れ箇所が疑われる部分に拭きかけ膜を形成し、その膜が漏洩冷媒により膨らむことにより検知する方法)を兼用するとよい。このようにしておけば、漏洩量が少量であっても、漏れ箇所を特定することが可能になる。
[拡散防止材61の具体的な構成例]
図8〜図13は、拡散防止材61の具体的な構成例をイメージ化して示すイメージ図である。図8〜図13に基づいて、拡散防止材61の具体的な構成例のいくつかを説明する。なお、図8は下部にシール材62を貼った拡散防止材61を、図9は網状配列となっている部分の密度が2種類の異なる材質で構成した拡散防止材61を、図10は奥まで貫通した穴をあけた拡散防止材61を、図11は複数の小穴をあけた中空棒63を内部に設置した拡散防止材61を、図12は切り込みを入れた拡散防止材61を、図13は磁石64を内部もしくは外部に設置した拡散防止材61を、それぞれ図示している。
上述したように、拡散防止材61は、内部流体の流動を考慮して、内部にできるだけ流体を保持できる構造であることが望ましい。そこで、図8に示すように、拡散防止材61の下部に、流体が通過できないもの、つまり通気性のないシール材62を流体通過防止材として用いるとよい。また、図9に示すように、海綿状の素材で構成する場合においても、上部に低密度で通気性の高い、たとえばウレタン等の材質で構成される拡散防止材61Aを、下部に高密度で通気性の低い、たとえばポリエチレン等の材質で構成される拡散防止材61Bを、設置した構成としてもよい。この場合、拡散防止材61Bが流体通過防止材として機能することになる。
また、上述したように、拡散防止材61は、奥の流体を手前から吸引できる構造であることが望ましい。そこで、たとえば図10に示すように、拡散防止材61に奥まで貫通した穴(貫通穴部61c)を空けるとよい。貫通穴部61cは、奥側外部と手前側外部とを連通するように長手方向に延びるように形成するとよい。貫通穴部61cの形成位置は、拡散防止材61を手前側から見た状態において中央部を含めた略中央部にするとよい。また、図11に示すように、拡散防止材61の内部に多数の小穴を空けた中空棒63を設置してもよい。この中空棒63は、図10で示した貫通穴部61cに設置してもよいし、貫通穴部61cとは別に設置してもよい。
また、上述したように、拡散防止材61は、要素機器で込み入った部屋に設置し易い構造であることが望ましい。そこで、たとえば図12に示すように、拡散防止材61に切れ込み61dを入れるようにするとよい。拡散防止材61に切れ込み61dを形成することによって、拡散防止材61の形状を更に容易に変形することができ、拡散防止材61を要素機器で込み入った部屋に設置し易い構造にできる。なお、図12に示すような長手方向に延びるように入れられた切れ込み61dに限定するものではなく、どのような方向に切れ込み61dを形成してもよい。
また、上述したように、拡散防止材61は、作業負荷の低減や必要物品数の削減のため、拡散防止材61を単独で固定、連結できる構造であることが望ましい。そこで、たとえば図13に示すように、機械室71の周囲の壁は鉄板で覆われていることから、拡散防止材61の内部もしくは外部に磁石64を設置し、機械室71の周囲壁面に接着させたり、拡散防止材61同士を連結させたりするとよい。
なお、拡散防止材61の具体的な構成例を図8〜図13に分けて説明したが、これらを適宜組み合わせて、拡散防止材61を構成するとよい。つまり、拡散防止材61の設置される機械室71の大きさ、形状、材質、内部構造等に応じて、拡散防止材61の構成を決定すればよい。
以上、拡散防止材61の設置について説明したが、これは一例であり、これに限るものではない。たとえば、予め漏洩確率が高い要素機器が想定できているような場合には、内部流体と周囲流体の関係から内部流体の流動特性を考慮に入れて、直接その要素機器の近傍に拡散防止材61を設置するようにしてもよい。
また、流体漏洩箇所特定装置200は、要素機器が設置された部屋(たとえば機械室71)に拡散防止材61を設置して、拡散防止材61の内部に保持された流体(冷媒ガス)を流体漏洩検知装置60により吸引して、内部流体の漏洩箇所を特定するという場合を例に説明したが、これに限るものではない。たとえば、図17に示すように流体漏洩検知装置65を拡散防止材61の内部に設置して流体漏洩箇所特定装置200を構成してもよい。なお、流体漏洩検知装置65は、上述した流体漏洩検知装置60と同様の構成及び機能を有している。
この場合も同様に、内部流体と外部周囲流体の重さの関係から内部流体の流動特性を考慮して、たとえば内部流体が重い場合には流体漏洩検知装置65の吸引部を拡散防止材61の下部に設置し、逆に内部流体が軽い場合には、吸引部を拡散防止材61の上部に設置する構成とすることが望ましい。なお、図17は、流体漏洩検知装置65を拡散防止材61の内部に取り付けた状態をイメージ化して示すイメージ図である。
このように、流体漏洩検知装置65を拡散防止材61の内部に設置する構成にすることにより、流体漏洩検知装置65を作業者が操作することなく、内部流体の希薄と流動を防止しながら、漏洩箇所を特定することが可能となり、作業負荷がより軽減する。また、流体漏洩検知装置65に通信機能を持たせることにより、漏洩検知を遠隔で監視することができる。
このような遠隔通信機能を持った流体漏洩検知装置65を高さ方向に複数設置することにより、漏洩有無、漏洩箇所特定に加え、漏洩の程度、つまり内部流体の漏洩量の大小まで遠隔から予測することが可能となる。これは、内部流体の流動を考慮に入れて予測するものである。具体的には、内部流体が周囲流体よりも重い場合を例にすると、漏れ量が少ない場合はまず漏洩箇所近傍の流体漏洩検知装置65が発報し、その後、設置状況によっては、内部流体が流動することでそれより下部の流体漏洩検知装置65が発報するようにする。
しかしながら、漏れ量が多い場合は、漏洩した内部流体が下部から蓄積してくるため、機械室71の内部に存在する漏洩流体が多くなると、漏洩箇所よりも上部の流体漏洩検知装置65が発報することになる。このように、流体漏洩検知装置65の発報の経過を蓄積・分析することにより、漏洩の程度を把握でき、これにより、たとえばメンテナンスに必要な装備を予め予測できる等の対応を取ることができる。
また、内部流体と周囲流体の関係に応じて、要素機械の設置してある部屋に別の流体を充填させることで、更に漏洩箇所検知の時間短縮を図ることができる。これは、たとえば周囲流体より内部流体が重い場合、図14に示すように要素機器が設置されている部屋に周囲流体よりも更に軽い流体80(たとえばHeガス等)をガスボンベ81等を用いて入れることで、充填される流体に要素機器の設置部屋内の流体が押されるため、拡散防止材61に周囲流体が流入する。これにより、別の流体を充填させない場合に比べて充填させたほうが、漏洩検出を早めることができる。なお、図14は、機械室71内に周囲流体よりもさらに軽い流体80を流入させた場合をイメージ化して示すイメージ図である。
また、機械室71の内の要素機器が密集している部分以外の空間に対して、この空間を埋めるものを設置することにより、漏洩した内部流体の流動箇所を減少させる方法をとってもよい。空間を埋めるものとしては、たとえば空気を封入して構成される風船や多数の微小固体や液体を袋に入れたもの等で、機械室71に合わせて形状が任意に変形できるものであることが望ましい。これにより、内部流体の流動箇所が減少するため、早期検知できるほか、拡散防止材61の数を減少させることができる。
以上、拡散防止材61の設置場所として要素機器が設置された機械室71を例に説明したが、これに限るものではなく、たとえば冷凍空調装置1においては、フィンと配管で構成される熱交換器に拡散防止材61を設置してもよい。拡散防止材61の配置の方法としては、たとえば図15に示すように、熱交換器のフィン701の間の一部を埋めるように拡散防止材61を配置する方法でもよいし、図16に示すようにロウ付け箇所で内部流体の漏洩の確率の高い熱交換器端部のUベンド部分を挟み込むように、拡散防止材61を配置してもよい。なお、図15は、冷凍空調装置1の熱交換器のフィンに取り付けた拡散防止材61をイメージ化して示すイメージ図である。図16は、冷凍空調装置1の熱交換器のUベンド702に取り付けた拡散防止材61をイメージ化して示すイメージ図である。
これにより、流体漏洩箇所特定装置200は、多数のフィンが設置され複雑な形状をしていたり、ファンにより周囲流体が流動していたり等、漏洩箇所特定が困難であった熱交換器において、拡散防止材61の設置場所を考慮することで、内部流体の流動を抑制し、漏洩箇所の検知、特定をしやすくすることができる。
1 冷凍空調装置、2 室外ユニット、4 室内ユニット、4A 室内ユニット、4B 室内ユニット、6 液側延長配管、6A 液主管、6a 液枝管、6b 液枝管、7 ガス側延長配管、7A ガス主管、7a ガス枝管、7b ガス枝管、10 冷媒回路、10a 室内側冷媒回路、10b 室内側冷媒回路、10c 室外側冷媒回路、21 圧縮機、22 四方弁、23 室外熱交換器、24 アキュムレーター、27 室外ファン、28 液側閉鎖弁、29 ガス側閉鎖弁、31 室外側制御部、32a 室内側制御部、32b 室内側制御部、33a 吸入温度センサー、33b 吐出温度センサー、33c 室外温度センサー、33e ガス側温度センサー、33f 液側温度センサー、33g 室内温度センサー、33h ガス側温度センサー、33i 液側温度センサー、33j 室内温度センサー、33k 温度センサー、33l 温度センサー、34a 吸入圧力センサー、34b 吐出圧力センサー、41 膨張弁、41A 膨張弁、41B 膨張弁、42 室内熱交換器、42A 室内熱交換器、42B 室内熱交換器、43 室内ファン、43A 室内ファン、43B 室内ファン、51 分配器、52 分配器、60 流体漏洩検知装置、60a 本体部、60b 表示部、60c アーム部、61 拡散防止材、61A 拡散防止材、61B 拡散防止材、61c 貫通穴部、61d 切れ込み、62 シール材、63 中空棒、64 磁石、65 流体漏洩検知装置、70 熱交換部、71 機械室、80 流体、81 ガスボンベ、200 流体漏洩箇所特定装置、701 フィン、702 Uベンド。

Claims (17)

  1. 機器の内部に充填されている流体の機器外部への漏洩を検知し、漏洩箇所を特定する流体漏洩箇所特定装置において、
    海綿状の不規則な網状配列となっている材料で構成され、前記機器から漏洩した流体を保持する拡散防止材と、
    前記拡散防止材に保持された流体を吸引して、前記機器からの流体の漏洩を検知し、前記機器から漏洩した流体が保持された前記拡散防止材の位置に対応して流体の漏洩箇所を特定する流体漏洩検知装置と、
    を備え
    前記拡散防止材は、
    流体の漏れ範囲を2つ以上に仕切るように、前記流体の漏れ範囲に配置される
    ことを特徴とする流体漏洩箇所特定装置。
  2. 前記拡散防止材は、
    前記機器を構成する要素機器の周辺に設置される
    ことを特徴とする請求項1に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  3. 機器の内部に充填されている流体の機器外部への漏洩を検知し、漏洩箇所を特定する流体漏洩箇所特定装置において、
    海綿状の不規則な網状配列となっている材料で構成され、前記機器から漏洩した流体を保持する拡散防止材と、
    前記拡散防止材に保持された流体を吸引して、前記機器からの流体の漏洩を検知し、前記機器から漏洩した流体が保持された前記拡散防止材の位置に対応して流体の漏洩箇所を特定する流体漏洩検知装置と、
    を備え、
    前記拡散防止材は、
    前記機器を構成する要素機器が設置された部屋の内部を2つ以上に仕切るように配置される
    ことを特徴とする流体漏洩箇所特定装置。
  4. 前記拡散防止材は、
    高分子を材料とする発泡体である
    ことを特徴とした請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  5. 前記機器の内部に充填されている流体が前記機器の周囲の流体よりも重い場合において、
    前記拡散防止材の下部に、
    保持されている流体の通過を防止する流体通過防止材を設けている
    ことを特徴とした請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  6. 前記機器の内部に充填されている流体が前記機器の周囲の流体よりも軽い場合において、
    前記拡散防止材の上部に、
    保持されている流体の通過を防止する流体通過防止材を設けている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  7. 前記流体通過防止材は、
    通気性のないシール材で構成されている
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  8. 前記流体通過防止材は、
    前記拡散防止材の一部を高密度化することで構成されている
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  9. 前記拡散防止材には、
    長手方向に延びる貫通穴部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  10. 前記拡散防止材には、
    多数の穴が形成され、長手方向に延びる中空棒が設置されている
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  11. 前記拡散防止材には、
    切れ込みが入っている
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  12. 前記拡散防止材の内部及び外部の少なくとも一方に磁石を設置し、
    前記拡散防止材は、
    前記磁石により前記機器を構成する要素機器の周辺または前記機器を構成する要素機器が設置された部屋に固定される
    ことを特徴とする請求項2、3又は請求項2、3に従属する請求項4〜11のいずれか一項に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  13. 前記拡散防止材は、
    前記磁石により、複数の拡散防止材同士を連結可能になっている
    ことを特徴とする請求項12に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  14. 前記流体漏洩検知装置は、
    前記拡散防止材の内部又は外部に設置されている
    ことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  15. 前記流体漏洩検知装置は、
    通信機能を有しており、遠隔操作が可能な構成となっている
    ことを特徴とする請求項14に記載の流体漏洩箇所特定装置。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の流体漏洩箇所特定装置と、
    圧縮機、室外熱交換器、膨張機構及び室内熱交換器を配管接続した冷媒回路と、
    を備えた
    ことを特徴とする冷凍空調装置。
  17. 前記配管のうちガス冷媒が導通する配管を接続しているガス側閉鎖弁の近傍に前記拡散防止材を設置している
    ことを特徴とする請求項16に記載の冷凍空調装置。
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