JP5561591B2 - 配線回路基板および配線回路基板の製造方法 - Google Patents

配線回路基板および配線回路基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属支持基板と、金属支持基板上に配置されて貫通孔が設けられた絶縁層と、絶縁層上に所定のパターンで配置された導体パターンと、を備えた配線回路基板と、このような配線回路基板を製造するための製造方法に関する。
配線回路基板上には、種々の電子部品が実装される。これら電子部品の動作に伴い電子機器の誤動作等の原因となるノイズが発生する。このノイズを低減するために、一般的には、大面積のグランド層(ステンレスなどからなる金属支持基板)が設けられる。
配線回路基板を製造する従来の方法としては、まず、金属支持基板30上に絶縁層21が形成される(図6参照)。次に、絶縁層21に、貫通孔21aが形成される。その後、貫通孔21aを通じて金属支持基板30と電気的に導通するように絶縁層21上に導体パターン10’が形成される。このような構成により、配線回路基板上に実装される電子部品の接地側の端子を、導体パターン10’を通じて大面積の金属支持基板30に電気的に接続することができ、その結果、ノイズを低減することができる。
このような従来の配線回路基板においては、図6に示すように、貫通孔21aの径よりも導体パターン10’の上端の径が大きくなっている。このため、絶縁層21上での、金属支持基板30と接触する導体パターン10’以外の導体パターン形成エリアが限られてしまい、近年の情報量増大にともなう、導体パターンの高密度化への対応が困難となる。これらのことから、図6に示すような導体パターン10’に隣接する導体パターン(図示しないが)のデザイン自由度が低くなってしまうという問題がある。
この点、特許文献1では、導体パターンと金属支持基板との密着性が懸念されるとしたうえで、図7(a)(b)に示すように、金属支持基板30と、金属支持基板30上に貫通孔21aを有する絶縁層21と、絶縁層21上に貫通孔21a内で金属支持基板30に接触するように延びる導体パターン10”とを備え、当該導体パターン10の幅方向における貫通孔21aの長さが導体パターン10”の幅よりも大きいことを特徴とする配線回路基板が提供されている。
しかしながら、図7(a)(b)に示したように、導体パターン10”の幅が貫通孔21aの長さより小さい場合には、金属支持基板30と導体パターン10”の密着面積が小さいため、図6に示すような従来の構造よりも密着性が悪くなる。このことから、金属支持基板30と導体パターン10の接地部分の電気抵抗が従来技術より大きくなり、不安定になってしまう問題がある。また、図7(a)(b)に示した構造では、導体パターン10の幅が貫通孔21aの長さより小さいため、貫通孔21aの内周面への導体パターン10への応力集中が起こり、導体パターン10が断線してしまうおそれもある。
特開2007−115864号公報
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、金属支持基板と接触する導体パターン以外の導体パターン形成エリアが限られてしまうことを防止して導体パターンのデザイン自由度を高い状態で維持しつつ、金属支持基板と導体パターンの密着面積を大きく保つことができる配線回路基板と、このような配線回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明による配線回路基板は、
金属支持基板と、
前記金属支持基板上に配置され、貫通孔が設けられた第一絶縁層と、
所定のパターンで配置されるとともに、前記貫通孔内で前記金属支持基板に接触するように形成された導電接続用の導体パターンと、を備え、
前記貫通孔は、横断面において、下端の長さが上端の長さよりも短くなり、前記金属支持基板が延在する方向に対して所定の角度で傾斜し、
前記貫通孔内の前記導体パターンは、横断面において、下端の長さが上端の長さよりも短くなり、前記金属支持基板が延在する方向に対して所定の角度で傾斜している。
本発明による配線回路基板において、
前記貫通孔内の前記導体パターンは、前記貫通孔の幅方向の中央部に配置され、端部に配置されていなくてもよい。
本発明による配線回路基板において、
前記所定の角度は、20°以上50°以下であってもよい。
本発明による配線回路基板において、
前記所定の角度は、50°以上70°以下であってもよい。
本発明による配線回路基板において、
前記導体パターンは、前記金属支持基板に対して接地するため、または、前記金属支持基板を介して電気信号を伝達するために用いられてもよい。
本発明による配線回路基板において、
前記導体パターンは、当該導体パターンに供給される電流を、金属支持基板を介して別の導体パターンに供給するために用いられてもよい。
本発明による配線回路基板は、
導電接続用の前記導体パターンに隣接して配置された他の導体パターンをさらに備えてもよい。
本発明による配線回路基板の製造方法は、
金属支持基板を準備する工程と、
前記金属支持基板上に第一絶縁層を形成する工程と、
前記第一絶縁層に、横断面において、下端の長さが上端の長さよりも短くなり、前記金属支持基板が延在する方向に対して所定の角度で傾斜している貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔内で前記金属支持基板に接触する導体パターンを形成する工程と、を備え、
前記貫通孔内に形成される前記導体パターンが、該貫通孔の形状に合致して形成され、横断面において、下端の長さが上端の長さよりも短くなり、前記金属支持基板が延在する方向に対して所定の角度で傾斜している。
本発明による配線回路基板の製造方法において、
前記貫通孔内で形成される前記導体パターンは、前記貫通孔の幅方向の中央部に配置されて端部に配置されないように形成されてもよい。
本発明による配線回路基板の製造方法は、
前記第一絶縁層のうち前記貫通孔以外の部分を除去する工程をさらに備えてもよい。
本発明によれば、貫通孔内の導体パターンが、横断面において、下端の長さが上端の長さよりも短くなり、金属支持基板が延在する方向に対して所定の角度で傾斜している。このため、金属支持基板と接触する導体パターン以外の導体パターン形成エリアが限られてしまうことを防止して導体パターンのデザイン自由度を高い状態で維持しつつ、金属支持基板と導体パターンの密着面積を大きく保つことができる。
本発明の実施の形態による配線回路基板の構成を示す断面図。 本発明の実施の形態による配線回路基板を示す上方平面図と、当該上方平面図内の直線B−B’における断面図。 本発明の実施の形態による配線回路基板を製造する工程を示した断面図。 本発明の実施の形態による配線回路基板を製造する工程であって、図3に示した工程の後の工程を示した断面図。 本発明の実施の形態による配線回路基板において、導体パターンを給電用に用いる場合の構成を示した断面図。 従来の配線回路基板を示す断面図。 従来の別の配線回路基板を示す上方平面図と、当該上方平面図内の直線C−C’における断面図。
実施の形態
以下、本発明に係る配線回路基板および配線回路基板の製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図5は本発明の実施の形態を示す図である。なお、本実施の形態による配線回路基板は、サスペンション用基板として用いることができ、サスペンション、磁気ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブなどに用いることができる。
図1に示すように、配線回路基板は、金属支持基板30と、金属支持基板30上に配置され、貫通孔21aが設けられた第一絶縁層(ベース絶縁層)21と、第一絶縁層21上に所定のパターンで配置され、貫通孔21a内で金属支持基板30に接触するように形成された導電接続用の導体パターン10a,10bと、他の導体パターン10c,10d,10eを備えている。導体パターン10(10a―10e)には、素子搭載部や外部基板との接続部となる導体パターン10c,10dを除いて第二絶縁層(カバー絶縁層)22が形成されている。
また、図1に示すように、金属支持基板30と導体パターン10a,10bとの間、第一絶縁層21と導体パターン10a−10eとの間には、金属薄膜層40が設けられている。また、導体パターン10の一部には、その表面(図1の左から一番目の導体パターン10d、参照)、裏面、または表面と裏面の両面(図1の右から一番目の導体パターン10c、参照)に、接続パッド層45が形成されている。
なお、導体パターン10の材料としては、所望の導電性を有する材料であれば特に限定されることはないが、例えば銅などを用いることができる。銅以外にも、純銅に準ずる電気特性を有する材料であれば用いることもできる。ここで、導体パターン10の厚さは、4μm〜14μmであることが好ましい。このことにより、導体パターン10の導電性を確保するとともに、サスペンション用基板全体としての弾力性が喪失されることを防止することができる。
第一絶縁層21および第二絶縁層22の材料としては、所望の絶縁性を有する材料であれば特に限定されることはないが、例えばポリイミド系樹脂などを用いることができる。なお、各絶縁層21,22の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であってもよく、これらを用いることができる。ここで、第一絶縁層21の厚さは、4μm〜15μmであることが好ましく、第二絶縁層22の厚さは、1μm〜10μmであることが好適である。このことにより、金属支持基板30と導体パターン10a−10dの間の絶縁性能を確保するとともに、サスペンション用基板全体としての弾力性が喪失されることを防止することができる。
導体パターン10a−10eと第一絶縁層21との間、および、導体パターン10a,10bと金属支持基板30との間には、ニッケル、クロム、銅もしくはそれらの二元系あるいは三元系合金からなる金属薄膜層と、銅スパッタリング層からなる金属薄膜層40が形成される。このようにして、導体パターン10a−10eと第一絶縁層21、および、導体パターン10a,10bと金属支持基板30を確実に密着させるように構成されている。
金属支持基板30の材料としては、所望の導電性、弾力性、および強度を有するものであれば特に限定されることはないが、例えばステンレス、アルミニウム、ベリリウム銅、またはその他の銅合金などを用いることができ、好ましくはステンレスを用いることが好適である。ここで、金属支持基板30の厚さは、15〜20μmであることが好ましい。このことにより、金属支持基板30の導電性および弾力性を確保することができる。
接続パッド層45の材料としては、導体パターン10c,10d上に、例えばニッケルめっき層と、このニッケルめっき層上に金めっき層などを用いることができる。このようにして、導体パターン10c,10dの表面が劣化することを防止するとともに、半田接合やワイヤーボンディングなどにおける接触抵抗を低減させている。
また、図2(b)に示すように、貫通孔21aは、横断面において、ボトム径(下端の長さ)がトップ径(上端の長さ)よりも短くなり、金属支持基板30が延在する方向(本実施の形態では水平方向)に対して所定の角度θで傾斜している。そして、貫通孔21a内の導体パターン10は、当該貫通孔21aの形状に合致して、ボトム径(下端の長さ)がトップ径(上端の長さ)よりも短くなり、金属支持基板30が延在する方向(本実施の形態では水平方向)に対して所定の角度θで傾斜して形成されている。ここで、図2(a)は、本実施の形態による配線回路基板を示す上方平面図を示し、図2(b)は、図2(a)の上方平面図内の直線B−B’における断面図を示している。なお、トップ径をa、ボトム径b、絶縁層の厚みをTとすると、tanθ=T/{(a−b)/2}とすることで所定の角度θが算出されることとなる。
また、図2(b)に示すように、貫通孔21a内の導体パターン10は、横断面において、貫通孔21aの幅方向の中央部に配置されているものの、端部には配置されていない構造となっている。
ところで、本願で「横断面」とは、導体パターン10が延在する方向に直交する方向で切断した断面のことを意味している。そして、本実施の形態のように貫通孔21aが切頭円錐状(略テーパー状)からなっている場合には(図2(a)(b)参照)、「横断面」とは、切頭円錐の中心軸を含む面であって導体パターン10が延在する方向に直交する方向で切断した断面のことを意味している(図2(a)の直線B−B’参照)。
また、本実施の形態による貫通孔21a内に配置される導体パターン10は、例えば金属支持基板30に対して接地するため(グランド用)に用いることができる(図1の右から二番目の導体パターン10a参照)。しかしながら、これに限られることはなく、例えば、貫通孔21a内に配置される導体パターン10を、金属支持基板30を介して電気信号を伝達するため(信号伝達用)に用いることができる。なお、図1の右から二番目と四番目の導体パターン10a,10bの間の金属支持基板30が図1のように切断されずに連続している場合には図1の右から二番目と四番目の導体パターン10a,10bを信号伝達用に用いることができる。
また、別の例としては、図5に示すような構成として、導体パターン10pに供給される電流を、金属支持基板30を介して別の導体パターン10qに供給するため(給電用)に用いることもできる。なお、図5においては、(図1および図2(b)とは異なり)貫通孔21a内の導体パターン10p,10qとして、横断面において、貫通孔21aの幅方向の中央部だけでなく端部にも配置されている構造を用いて示している。ところで、このような給電は、表面にメッキを形成する際に用いることができる。
次に、本実施の形態の配線回路基板の製造方法について述べる。
まず、金属支持基板30が準備される。
次に、金属支持基板30上に第一絶縁層21が形成される(図3(a)参照)。
次に、第一絶縁層21の表面と裏面の一部にドライフィルムレジスト70が配置される(図3(b)参照)。
次に、エッチングによって、金属支持基板30の一部が除去される(図3(c)参照)。
次に、エッチングによって、第一絶縁層21に、横断面において、下端の長さが上端の長さよりも短くなり、金属支持基板30が延在する方向(本実施の形態では水平方向)に対して所定の角度θで傾斜している貫通孔21aが形成される(図3(d)参照)。この結果、貫通孔21a内で金属支持基板30の表面が露出されることとなる。
次に、ドライフィルムレジスト70が除去され(図3(e)参照)、その後、第一絶縁層21と貫通孔21a内で露出している金属支持基板30の表面上に金属薄膜層40が形成される(図3(f)参照)。
次に、金属薄膜層40の一部と金属支持基板30の裏面にドライフィルムレジスト70が配置され(図3(g)参照)、その後、金属薄膜層40上(第一絶縁層21上でもある)に電解銅めっきにより、導体パターン10が形成される(図3(h)参照)。この結果、貫通孔21a内では、金属支持基板30に金属薄膜層40を介して接触する導体パターン10が形成されることとなる。
ここで、本実施の形態では、ドライフィルムレジスト70が貫通孔21aの幅方向の端部に配置されている(図3(h)の右から二番目の導体パターン10に対応するドライフィルムレジスト70参照)。このため、貫通孔21a内に形成される導体パターン10は、貫通孔21aの幅方向の中央部に配置されて端部に配置されないように形成されることとなる。
このようにして導体パターン10が形成されると、次に、ドライフィルムレジスト70が除去され(図3(i)参照)、その後、金属薄膜層40の一部が除去され(図3(j)参照)、その後、導体パターン10および第一絶縁層21上に第二絶縁層22が形成される(図3(k)参照)。
次に、第二絶縁層22の表面の一部と金属支持基板30の裏面にドライフィルムレジスト70が配置される(図4(a)参照)。
次に、第二絶縁層22のうちドライフィルムレジスト70が配置されていない箇所がエッチングによって除去される(図4(b)参照)。
次に、ドライフィルムレジスト70が除去され(図4(c)参照)、その後、導体パターン10と第二絶縁層22の表面と、金属支持基板30の裏面の一部にドライフィルムレジスト70が配置される(図4(d)参照)。
次に、エッチングによって、第一絶縁層21のうち貫通孔21a以外の部分が除去される(図4(e)参照)。
このように第一絶縁層21のうち貫通孔21a以外の部分が除去されると、ドライフィルムレジスト70が除去され、続いて金属薄膜層40の一部(図4(e)の右から一番目の導体パターン10の裏面の金属薄膜層40)が除去される。その後、ドライフィルムレジスト70が設けられた後で、導体パターン10の一部が露出した表面、および、表面と裏面に、ニッケルめっき層と金めっき層が順次形成される。このようにして、導体パターン10に接続パッド45が形成される(図4(f)の右から一番目と五番目の導体パターン10、参照)。
次に、ドライフィルムレジスト70が一度除去された後で、第二絶縁層22と接続パッド層45の表面と金属支持基板30の一部の裏面にドライフィルムレジスト70が配置され、その後、金属支持基板30の一部がエッチングによって除去され(図4(g)参照)、最後にドライフィルムレジスト70が除去される(図4(h)参照)。このようにして、図1に示した本実施の形態の配線回路基板が製造されることとなる。
次に、このような構成からなる配線回路基板の作用について述べる。
本実施の形態の配線回路基板によれば、図2(b)に示すように、貫通孔21a内の導体パターン10が、貫通孔21aの形状に合致して形成されており、横断面において、ボトム径(下端の長さ)がトップ径(上端の長さ)よりも短くなり、金属支持基板30が延在する方向(水平方向)に対して所定の角度θで傾斜して形成されている。
このため、導体パターン10が金属支持基板30に接触する部分として、特許文献1に記載された発明と異なり、貫通孔21aの底面の全面を利用することができ、接地面積を大きくすることができる。この結果、導体パターン10を金属支持基板30に対して接地するため(グランド用)に用いた場合には、ノイズを低減することができる。また、金属支持基板30と導体パターン10とのが密着性を高めることができるので、金属支持基板30と導体パターン10との間の接触部分における電気信号を安定して伝送することができる。
また、従来の配線回路基板のうち、貫通孔21aの径よりも導体パターン10’の径が大きくなっているタイプの場合には(図6参照)、絶縁層21上での、金属支持基板30と接触する導体パターン10以外の導体パターン形成エリアが限られてしまうため、デザイン自由度が低くなってしまう問題があった。
これに対して、本実施の形態によれば、貫通孔21a内の導体パターン10が貫通孔21aから横断面においてはみ出していないだけでなく、貫通孔21aの幅方向の中央部に配置されて端部に配置されていない構造となっている(図2(b)参照)。このため、本実施の形態によれば、導体接続用の導体パターン10a,10bの小径化に対応することができ、さらに導体接続用の導体パターン10a,10bに隣接する他の導体パターン10c−10eを設けた場合でも、導体パターン10どうしのスペース間隔を保てるため、金属支持基板30と接触する導体パターン10以外の導体パターン形成エリアが限られてしまうことを防止して導体パターン10のデザイン自由度を高い状態で維持することができる。
また、貫通孔21aが、ボトム径がトップ径よりも短くなり、所定の角度θで傾斜していることから(図2(b)参照)、例え導体パターン10が水平方向に、貫通孔21aの端部まで配置されない程度に、ずれた位置に形成されたとしても、貫通孔21aの傾斜に沿って導体パターン10が移動することとなり、導体パターン10を確実に金属支持基板30に接触させることができる。
なお、所定の角度θが20°以上50°以下である場合には、導体パターン10を形成する前のドライフィルムレジスト70がずれることを防止することができ、好ましい。また、貫通孔21aを横断するようにして配置された導体パターン10(図1の左から二番目の導体パターン10b、参照)に加わる応力を小さくすることができる点でも好ましい。なお、このように緩やかな角度からなる貫通孔21aを作成する場合、ドライフィルムレジスト70として、例えば樹脂レジストを用いればよい。
他方、所定の角度θが50°以上70°以下である場合には、導体パターン10と金属支持基板30との接触面積を大きくすることができ、好ましい。なお、このように急な角度からなる貫通孔21aを作成する場合、ドライフィルムレジスト70として、例えば銅などからなる金属レジストを用いればよい。
また、本実施の形態によれば、第一絶縁層21に貫通孔21aを形成する際のエッチング(図3(d)参照)と、第一絶縁層21のうち貫通孔21a以外の部分を除去する際のエッチング(図4(e)参照)を別々に行っている。このため、第一絶縁層21の強度の強い状態で導体パターン10を形成したり、第二絶縁層22を形成したりすることができ(特に、図4の右から一番目の導体パターン10参照)、第一絶縁層21上に形成される導体パターン10や第二絶縁層22が下方に落ち込むことを防止することができる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例に限定されることはない。なお、実施例1では、金属支持基板30が延在する方向に対して所定の角度θが20°以上50°以下に傾斜している貫通孔21aが得られた事例を示し、実施例2では、金属支持基板30が延在する方向に対して所定の角度θが50°以上70°以下の貫通孔21aが得られた事例を示す。
[実施例1]
以下、実施例1について説明する。
まず、厚み20μmのSUS304からなる金属支持基板30を用意し、金属支持基板30上に、ポリイミド前躯体であるワニスを塗工し、熱乾燥後、厚み10μmの第一絶縁層21として積層材を得た(図3(a)参照)。
次に、第一絶縁層21の表面と金属支持基板30の裏面の一部に、ドライフィルムレジスト70をフォトリソ法にて、同時にパターニングし(図3(b)参照)、金属支持基板30の一部を塩化第二鉄溶液により、エッチングした(図3(c)参照)。
次に、エッチングされた金属支持基板30の全面を樹脂系接着フィルムにて、保護した後(図示せず)、有機アルカリ系エッチング液を用いて、第一絶縁層21の一部を処理時間35秒にて、エッチングした。この際に得られた第一絶縁層21の形状を、三次元測長機(オリンパス製)にて測定したところ、下端の長さbが69.6μm、上端の長さaが106.5μmとなり(図2(b)参照)、横断面において、下端の長さが上端の長さより短くなり、金属支持基板30が延在する方向に対して所定の角度23.1°で傾斜している貫通孔21aを得た(図3(d)参照)。
次に、金属支持基板30側を保護していた樹脂系接着フィルムを剥離し(図示せず)、ドライフィルムレジスト70を除去した後(図3(e)参照)、第一絶縁層21と貫通孔21a内で露出している金属支持基板30の表面上に、スパッタリング法によって、厚さ0.06μmのクロム薄膜層および厚さ0.3μmの銅薄膜層からなる金属薄膜層40を形成
した(図3(f)参照)。
次に、金属薄膜層40の表面の一部と金属支持基板30の裏面に、ドライフィルムレジスト70をパターニングし(図3(g)参照)、硫酸銅めっき液を用いて、電解銅めっき法により、ドライフィルムレジスト70から露出する金属薄膜層40の上に、厚み12μmの導体パターン10を形成した後(図3(h)参照)、ドライフィルムレジスト70を除去し(図3(i)参照)、金属薄膜層40が露出した部分を、エッチングにより除去した(図3(j)参照)。
次に、導体パターン10および第一絶縁層21上に、第二絶縁層22として、ポリイミド前躯体であるワニスを塗布し(図3(k)参照)、第二絶縁層22の表面の一部と金属支持基板30の裏面に、ドライフィルムレジスト70をパターニングした後(図4(a)参照)、第二絶縁層22のうち、ドライフィルムレジスト70が形成されていない一部を有機アルカリ系エッチング液により、エッチングし(図4(b)参照)、ドライフィルムレジスト70を除去した(図4(c)参照)。その後、熱乾燥し、厚み4μmの第二絶縁層22を形成した。
次に、導体パターン10と第二絶縁層22の表面と、金属支持基板30の裏面の一部にドライフィルム70をパターニングし(図4(d)参照)、有機アルカリ系エッチング液によって、第一絶縁層21のうち貫通孔21a以外の部分をエッチングした後(図4(e)参照)、ドライフィルムレジスト70を除去し、導体パターン10の裏面(図4(e)の右から一番目の導体パターン10の裏面)の金属薄膜層40をエッチングした。
次に、第一絶縁層21と第二絶縁層22の表面および金属支持基板30の裏面の一部に、ドライフィルムレジスト70をパターニングし、導体パターン10の一部の表面および表面と裏面に、電解ニッケルめっきを0.3μm施した後、電解金めっきを2.2μm施した接続パッド45を形成した後(図4(f)参照)、ドライフィルムレジスト70を除去した。
次に、第一絶縁層21、第二絶縁層22と接続パッド45の表面と金属支持基板30の裏面の一部にドライフィルムレジスト70をパターニングし(図4(g)参照)、金属支持基板30が露出した一部を塩化第二鉄溶液により、エッチングした後、ドライフィルムレジスト70を除去した(図4(h)参照)。このようにして、図1に類似した本実施の形態の配線回路基板を作製した。
得られた配線回路基板を樹脂包埋し、断面研磨装置にて、貫通孔21a付近において三次元測長機(オリンパス製)にて断面観察を行ったところ、横断面において、金属支持基板30が延在する方向に対して所定の角度23.1°で傾斜している貫通孔21aに合致した形状の導体パターン10を得ることができた。この導体パターン10は、下端の長さが69.6μmとなり、上端の長さが81.9μmとなっていた。なお、この導体パターン10は、前記貫通孔の幅方向の中央部に配置されており、当該貫通孔の幅方向の端部に配置されていない図2(b)に類似した形状からなっていた。
[実施例2]
以下、実施例2について説明する。
まず、厚み20μmのSUS304からなる金属支持基板に、厚さ10μmのポリイミドからなる第一絶縁層を形成した。その後、この第一絶縁層上に、スパッタリング法により金属薄膜層を成膜した。その後、この金属薄膜層上に、厚さ5μmの電解銅めっきにより形成された銅めっき層(メタルレジスト層)を形成することで、順次積層した積層体を準備した。
次に、銅めっき層の表面と金属支持基板の裏面の一部に、ドライフィルムレジストをフォトリソ法にて、同時にパターニングし、銅めっき層の全面を樹脂系接着フィルムにて、保護した。その後に、金属支持基板の一部を塩化第二鉄溶液により、エッチングした。次に、銅めっき層の表面にある接着フィルムを除去し、エッチングされた金属支持基板の全面を樹脂系接着フィルムにて、保護した。その後、銅めっき層の一部を塩化第二鉄溶液にて、エッチングし、ドライフィルムレジストを除去した。この際に、金属レジストとしての銅めっき層は、横断面において、下端の長さ70.2μmの切頭円錐状の形状を得た。
次に、前記金属レジスト部分以外で露出した第一絶縁層を、有機アルカリ系エッチング液によって処理時間60秒にてエッチングしたところ、横断面において、下端の長さbが62.1μm、上端の長さaが71.5μmとなり(図2(b)参照)、下端の長さが上端の長さより短くなり、金属支持基板が延在する方向に対して64.8°で傾斜している貫通孔を得た。
次に、銅めっき層(金属レジスト)を過水硫酸系エッチング液にて、除去し、露出した金属薄膜層を有機酸系エッチング液にて、除去した後、前記貫通孔をもった第一絶縁層と一部エッチングされた金属支持基板の積層材を準備した。
以下、実施例1と同様の手順にて、金属薄膜層と導体パターンを形成し、第二絶縁層および前記貫通孔以外の第一絶縁層の一部を有機アルカリ系エッチング液にて加工した後、電解めっき法により導体パターンの表裏に接続パッドを形成し、金属支持基板を塩化第二鉄溶液にてエッチング加工することによって、図1に類似した本実施の形態の配線回路基板を作製した。
得られた配線回路基板を樹脂包埋し、断面研磨装置にて、貫通孔において三次元測長機(オリンパス製)にて、断面観察を行ったところ、横断面において、金属支持基板が延在する方向に対して所定の角度64.8°で傾斜している貫通孔に合致した形状の導体パターンを得ることができた。この導体パターンは、下端の長さが62.1μmとなり、上端の長さが70.4μmとなっていた。なお、この導体パターンは、前記貫通孔の幅方向の中央部に配置されており、当該貫通孔の幅方向の端部に配置されていない図2(b)に類似した形状からなっていた。
10 導体パターン
21 第一絶縁層
21a 貫通孔
22 第二絶縁層
30 金属支持基板
40 金属薄膜層
45 接続パッド層
70 ドライフィルムレジスト
θ 所定の角度

Claims (10)

  1. 金属支持基板と、
    前記金属支持基板上に配置され、貫通孔が設けられた第一絶縁層と、
    所定のパターンで配置されるとともに、前記貫通孔内で前記金属支持基板に接触するように形成された導電接続用の導体パターンと、を備え、
    前記貫通孔は、横断面において、下端の長さが上端の長さよりも短くなり、前記金属支持基板が延在する方向に対して所定の角度で傾斜し、
    前記貫通孔内の前記導体パターンは、横断面において、下端の長さが上端の長さよりも短くなり、前記金属支持基板が延在する方向に対して所定の角度で傾斜し
    前記導体パターンは、横断面において、その上端の長さが前記貫通孔の上端の長さ以下であることを特徴とする配線回路基板。
  2. 前記貫通孔内の前記導体パターンは、前記貫通孔の幅方向の中央部に配置され、端部に配置されていないことを特徴とする請求項1に記載の配線回路基板。
  3. 前記所定の角度は、20°以上50°以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の配線回路基板。
  4. 前記所定の角度は、50°以上70°以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の配線回路基板。
  5. 前記導体パターンは、前記金属支持基板に対して接地するため、または、前記金属支持基板を介して電気信号を伝達するために用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配線回路基板。
  6. 前記導体パターンは、当該導体パターンに供給される電流を、金属支持基板を介して別の導体パターンに供給するために用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配線回路基板。
  7. 導電接続用の前記導体パターンに隣接して配置された他の導体パターンをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の配線回路基板。
  8. 金属支持基板を準備する工程と、
    前記金属支持基板上に第一絶縁層を形成する工程と、
    前記第一絶縁層に、横断面において、下端の長さが上端の長さよりも短くなり、前記金属支持基板が延在する方向に対して所定の角度で傾斜している貫通孔を形成する工程と、
    前記貫通孔内で前記金属支持基板に接触する導体パターンを形成する工程と、を備え、
    前記貫通孔内に形成される前記導体パターンは、該貫通孔の形状に合致して形成され、横断面において、下端の長さが上端の長さよりも短くなり、前記金属支持基板が延在する方向に対して所定の角度で傾斜し
    前記導体パターンは、横断面において、その上端の長さが前記貫通孔の上端の長さ以下であることを特徴とする配線回路基板の製造方法。
  9. 前記貫通孔内で形成される前記導体パターンは、前記貫通孔の幅方向の中央部に配置されて端部に配置されないように形成されることを特徴とする請求項8に記載の配線回路基板の製造方法。
  10. 前記第一絶縁層のうち前記貫通孔以外の部分を除去する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項8または9のいずれかに記載の配線回路基板の製造方法。
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