JP5559522B2 - 微粒化装置 - Google Patents

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本発明は、ビーズミル及びジェットミルによる複合処理で原料粒子の微粒化を行う微粒化装置に関するものである。
最近のナノテクノロジーに対応して、各種材料の微粒化は必要不可欠なものとなってきている。現在、原料粒子を粒径1μm以下に微粒化するための粉砕・分散を行う技術として、主にビーズミルと湿式ジェットミルとが用いられている。
ビーズミルは、軸方向に沿って互いに平面同士が平行な複数の円盤が設けられた回転軸が外部駆動機構によって回転可能に挿入されたシリンダ内に球形ビーズを投入しておき、回転軸を回転させてビーズを撹拌しながら、微粒化対象の原料粒子を含むスラリーをシリンダ一端側のスラリー導入口から他端側のスラリー排出口へ向かって流動させるものである。この回転力によって、ビーズ間を移動する原料粒子がビーズに挟み込まれ、その圧壊力や摩擦力で粉砕されるものである(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。高い破壊強度を有する個々の粒子(1次粒子)の破砕には、このようなビーズミルによる圧壊力が有効である。
一方、湿式ジェットミルは、ウォータージェットにより、原料を245MPaもの高圧に加圧し、噴射口径0.1〜0.5mの微細ノズルから高速噴射させることによって、噴射の際の粒子同士または硬質部材への衝突やノズル通過及び対向流により生じる剪断力、また噴流キャビテーションによる衝撃力で、主に1次粒子が集まってなる2次凝集粒子の解砕、分散を行うものである(例えば、特許文献3および特許文献4参照。)。このジェットミルによる分散力は、比較的ソフトなものであるため、最終粒子の表面形状には、角張った形状から滑らかな形状への表面改質効果が良好に見られる。
特開平6−170199号公報 特開2007−190447号公報 特許第3151706号公報 特許第3686528号公報 特開2000−083622号公報 特開2003−113390号公報
しかしながら、ビーズミルは、ビーズ等の媒体を原料に混合して撹拌するものであるため、その媒体のかけら等が不純物として原料液に混入しやすいかった。しかも、ビーズミルだけでナノテク要求の1μm以下という粒径まで粉砕しようとすると、ビーズ径が1mm以下のものを使用する必要があるが、このような小径のビーズでは原料粒子との分離や洗浄工程での取り扱い等が困難であるだけでなく、ビーズの小径化に伴って粒子に対する圧壊力が小さくなってしまう。これを補うためには、回転数を早めるなど、より多くの運動量をビーズに与える必要ができるため、駆動系への負担が大きくなってしまう。
また、湿式ジェットミルは、衝突、剪断力、キャビテーション等の高速噴射時の作用によって凝集粒子を解砕・分散させるが、これらの作用は、1次粒子を粉砕するほどの応力は小さく、5μm程度の1次粒子を1μm以下まで粉砕することは困難であった。
また、ビーズミルと湿式ジェットミルの各装置を個別に使用し、一方の装置での処理を行った後のスラリーを、他方の装置で処理するという試みもなされている(例えば、特許文献5及び特許文献6参照。)。この2種の装置を用いる場合、個別にそれぞれの装置で適度な繰り返し処理を行えば、最終粒子は、一方の装置のみでの繰り返し処理で得られるものよりも良好に微粒化がなされる。しかし、このようにそれぞれ異なる装置を備えた全く別のラインにて2つの処理工程を行うのは、煩雑で非常に時間がかかり、また冷却ユーティリティ量も余分に必要となるため、非効率的であると共にコスト高となってしまう。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、原料粒子を、不純物が混合することなく効率的に1μm以下まで微粒化でき、しかも均一で高品質な微粒子製品が得られる微粒化装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る微粒化装置は、原料粒子を含むスラリーを収容する原料タンクと、
該原料タンクに対して直列循環回路で接続され、スラリー中で回転力を与えられたビーズによって原料粒子を挟み込んで粉砕するビーズミルと、
前記原料タンクに対して直列循環回路で接続され、加圧されたスラリーをノズルによって高速噴射するジェットミルと、を備え
前記ジェットミルとビーズミルとが前記原料タンクに対して同一の直列循環回路で接続されていると共に、前記原料タンクに近い上流側に配置された前記ジェットミルの直列循環回路に対して前記ビーズミルの直列循環回路がバイパス回路となっているものである。
請求項に記載の発明に係る微粒化装置は、請求項に記載の微粒化装置において、前記ビーズの粒径が1mm以上、5mm以下であることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明に係る微粒化装置は、請求項1または2に記載の微粒化装置において、前記ビーズミルは、容器本体内に挿入されている回転翼の回転駆動によって前記ビーズに回転力を与えるものであり、
前記回転翼の回転数n(1/s)が、使用動力P(kg・m/S)に対して、λp=[μ・S・n]・[n・W/(dB・ρs)],
W:ビーズ投入質量(kg),
dB:ビーズ径(m),
ρs:スラリー密度(kg/m),
S:ビーズ総表面積(m),
μ:スラリー粘度(kg/m・s),
としたとき、P=0.787λp+188、を満たすものである。
請求項に記載の発明に係る微粒化装置は、請求項1〜のいずれか1項に記載の微粒化装置において、前記ジェットミルは、前記ノズルから高速噴射された噴流が衝突する硬質部材を備えているものである。
請求項に記載の発明に係る微粒化装置は、請求項1〜のいずれか1項に記載の微粒化装置において、前記ジェットミルは、2つ以上のノズルを備え、各ノズルの噴射軸延長線が、予め定められた一点で互いに角度をもって交差することを特徴とするものである。
本発明の微粒化装置は、ビーズミルとジェットミルとが同一原料タンクに対して直列循環回路で接続されているため、スラリー内の原料粒子は、ビーズミルによる処理作用とジェットミルによる処理作用との異なる2種の処理作用を実質的にほぼ同時期に複合的に受けることになり、所謂「繰返し応力」のような作用を受けるため、このような複合処理を繰り返すことにより、従来の単一の装置での繰り返し処理よりも優れた微細化性能が得られるという効果がある。しかも、粒子の粉砕による微粒化をビーズミルに全て頼る必要がないため、同一の到達粒径を得ようとする場合、従来のビーズミル装置単独での場合より、その動力を低減でき、またビーズ径を大きくできるという効果もある。この動力の低減により、不純物の混入を抑えることができ、ビーズ径を大きくすることでビーズの取り扱いが容易となる。
本発明の一実施例による微粒化装置の概略構成を示す回路図である。 図1の微粒化装置による炭酸カルシウムの微粒化処理実験における各回(パス)の処理毎に測定した原料粒子のメジアン径を、他の処理方法による場合を比較対照として示した線図である。 図1の微粒化装置による、図2の場合とビーズミルの条件を変更して行った炭酸カルシウムの微粒化処理実験における各回(パス)の処理毎に測定した原料粒子のメジアン径を、他の処理方法によるものを比較対照として示した線図である。 図1の微粒化装置による炭酸カルシウムの処理とビーズミル装置単独での処理とで互いに異なる回転数条件での微粒化性能を比較した線図である。 図1の微粒化装置によるSiCの微粒化処理実験における各回(パス)の処理毎に測定した原料粒子のメジアン径を、他の処理方法による場合を比較対照として示した線図である。 図1の微粒化装置による処理とビーズミル装置の単独処理とで、ビーズミルの各動力(電流値)毎の微粒化性能を比較した線図である。 炭酸カルシウムおよびSiCに対する微粒化実験での結果に基づいて、F・v(N・m/s)の諸量を代入した値と、実験から得られた使用動力としての電流値の関係をプロットして得た直線を表すグラフ図である。 各処理方法によるSiCの微粒化処理後の粒子の表面形状を比較して示す電子顕微鏡写真であり、(a)は未処理の粒子(×10000)、(b)は湿式ジェットミル装置単独処理後の粒子(×10000)、(c)はビーズミル装置単独処理後の粒子(×10000)、(d)は(c)の拡大写真(×50000)、(e)はビーズミル装置単独処理後に湿式ジェットミル装置単独処理後の粒子(×50000)、をそれぞれ示す電子顕微鏡写真である。 図1の微粒化装置によるSiCの微粒化処理後の粒子の表面形状を示す電子顕微鏡写真であり、(a)は処理後粒子(×10000)、(b)は(a)の拡大写真(×50000)である。 各処理方法による炭酸カルシウムの微粒化処理後の粒子の表面形状を比較して示す電子顕微鏡写真であり、(a)は未処理の粒子(×50000)、(b)はビーズミル装置単独処理後の粒子(×50000)、(c)は図1の微粒化装置による処理後の粒子(×50000)、をそれぞれ示す電子顕微鏡写真である。 本発明による微粒化装置の図1とは異なる回路構成を例示する概略回路図である。 図1の微粒化装置に対して湿式ジェットミルとビーズミルが上流側と下流側で逆の配置とした例を示す概略回路図である。
本発明の微粒化装置においては、ビーズミルとジェットミルとが、それぞれ同一原料タンクに対して直列循環回路で接続されているため、スラリー内の原料粒子は、ビーズミルにおけるビーズ挟み込みによる圧壊力及び摩擦力と、ジェットミルにおけるノズルからの高速噴射による分散力との異なる処理作用を短時間で連続して受けることができるため、実質的に、粒子破壊に影響の強い異なる種類の応力がほぼ同時期に複合的に働き、所謂「繰返し応力」のような作用を受けることになり、このような複合処理を繰り返すことにより、従来の単一の装置での繰り返し処理よりも優れた微細化性能が得られる。
即ち、ビーズミルにおいては、撹拌回転するビーズ間での圧壊力で原料粒子は破砕されると共に破砕片に亀裂が付与されるような応力が生じる。この状態で直ちにジェットミルにてノズルから高速噴射されると、噴射時の剪断力やキャビテーション、また原料粒子同士の衝突による衝撃力で容易に微粒化が促進される。このように、本発明によれば、同一装置において、ビーズミルによる粉砕力とジェットミルによる分散力とを合わせた微粒化性能が発揮される。
従って、例えばナノテク要求の超微小径まで原料粒子を微粒化する際も、ビーズミルによる圧壊力に全て頼る必要がないため、従来のビーズミル単独使用の場合よりも必要な圧壊力、微粒化性能を抑えることができ、その分、ビーズ径を従来より大きくすることができ、ビーズの取り扱いが容易となるだけでなく、不純物の混入を低減でき、さらに、ビーズ投入量や回転翼の回転数を低減でき、駆動系を含むビーズミル自身の構造を単純化することも可能となる。
また、本発明の微粒化装置においては、実際の微粒化工程では、原料タンクからのスラリーが循環しながら繰り返し処理されるものであるため、ビーズミルの直列循環回路とジェットミルの直列循環回路とが同一の原料タンクに接続されれば、実質的に双方の作用をほぼ同時期に受けることとなり、互いの回路の関係は、所望の設計条件に応じて適宜選択すれば良い。
例えば、ジェットミルとビーズミルとで処理流量を同じに設定できるならば、原料タンクに対してジェットミルとビーズミルとを同一直列循環回路で接続する構成が簡便である。この場合、連続した一ライン上でビーズミルとジェットミルによる両処理が短時間で続けて行われる。
その他、一方の直列循環回路に対して他方をバイパス回路(原料タンクに対しては直列循環回路である)とする構成、あるいはジェットミルの直列循環回路とビーズミルの直列循環回路とが互いに並列となる構成が挙げられる。これらの構成では、ビーズミルとジェットミルのそれぞれの処理流量の設定が容易となる。
従来のビーズミル単一装置による1μm以下の微粒化においては、使用ビーズ径は1mm以下でなければ不可能であってが、前述のように、本発明の微粒化装置においては、同じ粒径目標でも従来の単一装置使用時よりもビーズ径を大きくすることができ、1μm以下の微粒化においては、ビーズ径1mm以上のものでも可能である。ビーズ径1mm以上のものでは、液面における表面張力よりも自重が大きいため、容器内又はネジ部への非付着性の観点で洗浄等の扱いが容易となる。もちろん原料との分離も容易となる。なお、ビーズ径の上限は5mmとするのが好適である。これは、ビーズ径が5mmを越えると、ビーズの原料挟み込み効率が極端に悪くなり、処理時間が大幅に増加するためである。
また、ビーズミルは、通常、回転翼が挿入された容器内にビーズを所定容積分充填し、外部駆動装置によって回転翼を回転させることによってビーズに回転力を付与するものである。従って、容器内に導入されたスラリーは、撹拌されながら回転するビーズ間で挟み込まれ、その圧壊力で破砕される。
前述の如く、本発明においては、微粒化性能の全てをビーズミルに頼る必要がないため、同じ最終粒径を得るのに、従来のビーズミル単一装置のみによる場合に比べて圧壊力等による破砕威力を低く抑えることができる。この威力は、回転力によるものであるため、結果的に、回転翼の回転数を小さくできる。即ち、この威力は、ビーズミルの駆動系の使用動力(単位時間当たりの仕事量)に相当すると考えられる。
そこで、本発明の微粒化装置においては、他の条件を同一として、ビーズミルの使用動力(電流値)のみを大きくしていくと、ある範囲内では、微粒化粒子の到達メジアン径も小さくでき、この関係を一定の関数で表せることが予測される。従って、ボーズミルの使用動力を、物理的要素と実験から求められる係数で数式化することによって、目標粒径に対する必要動力が求められることとなる。
まず、ボーズミルの動作において考えられる物理量として次の7つを選択した。即ち、動力P(kg・m/S)、回転数n(1/s)、ビーズ投入質量W(kg)、ビーズ径dB(m)、スラリー密度ρs(kg/m)、ビーズ総表面積S(m)、スラリー粘度μ(kg/m・s)、である。
これら諸量において、動力Pをバッキンガムのπ定理で導くと、P∝[μ・S・n]・[n・W/(dB・ρs) という式が得られる。ここで、[μ・S・n]=F(N)はスラリー中のビーズ表面積における粘性力に相当し、[n・W/(dB・ρs)]=v(m/s)はWの質量体のスラリー中の移動速度を示す。従って、[μ・S・n]・[n・W/(dB・ρs)]=F・v(N・m/s)は、原料スラリー流体の粘性力下でビーズ質量体が運動するときの仕事率(運動量×速度:N・m/s)を表すものである。
後述する実施例での実験結果に基づいて、このF・v(N・m/s)の諸量を代入した値と、該実験から得られた使用動力としての電流値の関係をプロットすると、一次近似できる直線を表すことができ、[μ・S・n]・[n・W/(dB・ρs)] =F・v=λpとすると、使用動力は、P=0.787λp+188、という式で表される。ビーズミルでは、始動時トルクが必要であるため、切片を有する式となる。従って、ビーズミルの回転数が、この関係式を満たすように各パラメータを設定することによって、目標粒径に必要充分な動力を効率的に得ることができ、従来のビーズミル単独での繰り返し処理に比べて動力を大幅に低減することができる。
なお、本発明におけるジェットミルとしては、種々のタイプを採用可能である。例えば、衝突による衝撃力を得るには、ノズルからの高速噴射された噴流を別部材に衝突させる場合、噴射軸延長線上にセラミックスボール等の硬質部材を配置したものとすれば良い。また、噴流同士の衝突を利用する場合には、2つ以上のノズルを、各ノズルの噴射軸延長線同士が予め定められた一点で角度を持って交差するように配置したものとすればよい。いずれも既存のジェットミルのチャンバー構成を採用することができ、この場合、本微粒化装置を間便に構成できる。
本発明の一実施例による微粒化装置の概略構成を図1の回路図に示す。本微粒化装置1は、原料粒子10を含むスラリーが収容される原料タンク2と、湿式ジェットミル3と、ビーズミル6とから主に構成されるものである。
本微粒化装置1においては、湿式ジェットミル3とビーズミル6とが原料タンク2に対して同一の直列循環回路で接続されている。またこの回路構成では、湿式ジェットミル3も原料タンク2に対して単独で直列循環回路で接続され、この湿式ジェットミル3の直列循環回路に対してはビーズミル6がバイパス回路となっている。湿式ジェットミル3の下流には噴射後のスラリーを冷却する熱交換機5が配置されており、ビーズミル6の下流には処理後のスラリーを原料タンク2へ戻すためのポンプ装置11が配置されている。
湿式ジェットミル3は、原料タンク2から供給されたスラリーが加圧手段(不図示)で高圧に加圧されてからチャンバー内に導入され、ノズル4から高速噴射されるものである。この噴射時に、原料粒子は、粒子同士の衝突による衝撃や、剪断力、キャビテーションによる衝撃力等の作用を受ける。噴射処理後のスラリーは、スラリー排出口からチャンバー外へ排出され、熱交換機5を経て冷却され、一部は循環回路で原料タンク2へ戻され、他はビーズミル6へ導入される。
ビーズミル6は、シリンダ(容器)7内に所定容積分のビーズ9が充填されており、シリンダ7に挿入され、外部駆動装置によって回転駆動される回転翼8の回転によって、ビーズ9が撹拌回転されるものである。このシリンダ7内に、上記の湿式ジェットミル3によって噴射処理された後冷却されたスラリーが導入口から導入されると、該スラリーは、排出口へ向けて流動される間に回転力が付与されたビーズ9の間を移動することになる。この際、原料粒子10は、ビーズ間に挟み込まれ、その圧壊力によって粉砕され、亀裂を有する状態となる。排出口からシリンダ7外へ排出されたスラリーは、ポンプ11を介して原料タンク2に戻される。
以上の工程が本微粒化装置1における1回分(1パス)の微粒化処理工程であり、次いで原料タンク2に戻されたスラリーの湿式ジェットミル3への供給を開始することによって次回(2パス目)の微粒化処理工程が開始される。このような微粒処理工程では、1パス分で湿式ジェットミルによる噴射処理とビーズミルによる圧壊処理とが短時間で連続的に行われるため、実質的には2種類の処理作用がほぼ同時期に複合的になされるものである。従って、この複合処理を繰り返すことによって、それぞれ単一装置での繰り返し処理による場合よりも効率的に原料粒子の微粒化が促進される。しかも、微粒化をビーズミルのみに依る必要がなくなるため、ビーズミルに使用されるビーズ径を同じ最終目標粒径とした場合の従来のビーズミル単独時よりも大きくすることができる。
以下に、本実施例による微粒化装置1を用いて、実際の繰り返し微粒化処理を行った実験結果を示す。
実験1
まず、原料粒子として炭酸カルシウムの微粒化実験を行った。本実験では、ビーズミル6において、粒径2mmのジルコニア製ビーズを使用するものとし、容器7に対するビーズ投入量の嵩体積割合を50%、回転翼8の回転数Nを300rpmと設定して行った。ビーズミル6の電動機動力仕様は1.5W(200V,60Hz)である。また、湿式ジェットミル3においては、ノズル4での高速噴射を圧力245MPaで行った。湿式ジェットミル3の噴射処理のタイプは斜向衝突型である。
即ち、チャンバー内の一点で互いの噴射軸延長線同士が角度を持って交差するように2つのノズル4が配置され、スラリー導入路から分岐された2つの流路を介して各ノズル4から高圧スラリーを噴射させ、高速噴流同士を衝突させるものである。繰り返し処理回数は10パスとして、各パス後に、原料粒子の粒度を粒度分布計(株式会社堀場製作所製LA−910W型)により測定し、粒度分布よりメジアン径を求め、その結果を図2の線図に示した。
なお、比較対照として、従来のビーズミル装置と湿式ジェットミル装置をそれぞれ単独で繰り返し処理を10パス行った場合に加え、単独のビーズミル装置による繰り返し処理を10パス行った後に、単独の湿式ジェットミル装置による繰り返し処理を10パス行った場合も図2の線図に示す。単独の湿式ジェットミル装置は2つのノズルから噴射された高速噴流同士を衝突させる斜向衝突装置である。但し、それぞれ単独でビーズミル装置での処理後に湿式ジェットミル装置での処理を行ったものの結果は、ビーズミル装置による処理(10パス)完了後を0パス目として図2に示した。比較対照における単独の各装置での処理条件は本実施例と同様の設定とした。即ち、ビーズミル装置はビーズミル6と同様に容器に対するビーズ投入量の嵩体積割合を50% 、回転翼の回転数Nを300rpmとし、湿式ジェットミル装置は湿式ジェットミル3と同じチャンバー構成で圧力245MPaとした。
図2から、まず、湿式ジェットミル装置単独による処理では、処理を繰り返しても粒度低下の割合は小さく、炭酸カルシウムの1次粒子を破砕することが困難であることが示されている。また、ビーズミル装置単独による処理では、湿式ジェットミル装置単独による処理よりは粒度低下が見られ、1次粒子を破砕できる圧壊力の作用が示されている。本実施例の微粒化装置1による複合処理においては、ビーズミル装置単独による繰り返し処理よりも原料粒子の微粒化が促進されていることが明らかとなった。湿式ジェットミル装置とビーズミル装置による各単独処理の組み合わせによる微粒化は、最終的に本実施例の微粒化装置1による微粒化より劣っている。以上の結果から、本実施例の微粒化装置1においては、従来のどのタイプの処理工程よりも微粒化性能に優れていることが判った。
実験2
次に、実験1におけるビーズミル6の条件設定を変更して炭酸カルシウムの微粒化実験を行った。即ち、ビーズミル6において、容器7に対するビーズ投入量の嵩体積割合を65%、回転翼8の回転数Nを650rpmとして、実験1よりも回転力を大きくして圧壊力を増大させる設定条件にて行った。これに応じて、比較対照におけるビーズミル装置単独での繰り返し処理における条件設定も同様にビーズの容器に対する嵩体積割合65%、回転数Nを650rpmとした。ビーズ径は2mmであり、他の条件、単独の湿式ジェットミル装置の設定は全て実験1と同じとした。各場合のパス毎の粒度測定に基づいてメジアン径を求めた結果を図3の線図に示した。
図3から明らかなように、実験1よりビーズミル6における破砕威力を強めた設定条件では、本実施例による微粒化装置1において、従来と同様の単独装置による繰り返し処理のみを行った場合よりも優れた微粒化性能が示された。また、湿式ジェットミル装置とビーズミル装置による各単独処理の組み合わせによる微粒化も、最終的に本実施例の微粒化装置1による微粒化より劣っており、結果として、本実施例の微粒化装置1による微粒化性能が、従来のどのタイプの処理工程よりも優れていた。
実験3
次に、相対的にビーズミル6の回転力、破砕威力を抑えるための回転数を小さくした条件(50%,300rpm)での本願実施例による微粒化装置1での繰り返し複合処理に対して、相対的にビーズミル装置の回転力、破砕威力を強めるための回転数を大きくした条件(50%,650rpm)での単独の繰り返し処理のみによる場合とにおいて、それぞれ10パスずつ処理を行い、各パス毎の原料粒子のメジアン径を求め、両者を比較する線図を図4に示した。なお本実験3においては、上記ビーズミルに関する条件設定以外は、前記実験1,2と同様の条件設定とし、粒度測定も同様に行った。
図4から、本実施例による微粒化装置1によれば、相対的にビーズミル6の回転力、破砕威力を小さくした設定でも、相対的に回転力、破砕威力を大きく設定したビーズミル装置単独での繰り返し処理を行う場合と同程度の微粒化が可能であることが確認された。即ち、本微粒化装置1のように、湿式ジェットミルとビーズミルとによる異なる2種の作用をほぼ同時期に働かせる複合処理を行う構成とすることによって、同じ最終目標粒径とした場合、従来のビーズミル装置単独での処理に必要な回転力に比べて大幅に回転力を低減できることが判った。
さらに、これら本微粒化装置1における低回転力のビーズミル6設定(50%、300rpm)での10パス処理後と、ビーズミル装置単独での高回転力設定(50%,650rpm)での10パス処理後とで、それぞれの処理済みスラリーに関して不純物混入量を比較した。まず、目視においてビーズミル装置単独での処理による方がスラリーに黒ずみが確認され、不純物量が多いことが示された。
次にこれら両処理済みスラリーに関して不純物含有量を測定した。上記実験では、本微粒化装置1においても、単独ビーズミル装置においても容器内壁がSUS304製、回転翼がSUS630及びSUS440Cから成るものを用いており、また湿式ジェットミル3に関しても、単独の湿式ジェットミル装置も共にチャンバー接液部がSUS630及びSUS304で構成されているものである。そこで、不純物の測定は、混入の可能性のある鉄(Fe)、クロム(Cr))、ジルコニア(Zr)について、それぞれ混入量を測定した。測定は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津製作所製、ICPS−7510型)によって行った。結果を以下の表1に示す。
表1の結果から、未処理の各種含有量を基準とすると、湿式ジェットミル装置単独での処理ではほとんど不純物混入は生じていないが、ビーズミル装置単独での処理で回転数が大きい条件では各種不純物の混入が生じている。これに対して本実施例の微粒化装置1によるビーズミルの回転数を小さくした条件では不純物混入が抑えられたことが判る。
以上の結果と、それぞれの処理条件における原料粒子の最終到達粒子径(10パス後のメジアン径)とを合わせて考えると、本実施例による微粒化装置1によって得られる粒子径(1.196μm)をビーズミル装置単独の処理で得ようとすると、ビーズミル回転数として650rpmが必要であり、この条件においては不純物混入量の増加も避けられない。
実験4
次に、原料粒子としてSiC粒の微粒化実験を行った。本実験4では、ビーズミル6において、粒径2mmのジルコニア製ビーズを、容器7に対してビーズ投入量の嵩体積割合が65%、回転翼8の回転数Nが550rpmとなる設定として行った。ビーズミル6の電動機動力仕様は1.5W(200V,60Hz)である。また、湿式ジェットミル3においては、ノズル4での高速噴射を圧力200MPaで行った。湿式ジェットミル3の噴射処理のタイプは斜向衝突型である。
即ち、チャンバー内の一点で互いの噴射軸延長線同士が角度を持って交差するように2つのノズル4が配置され、スラリー導入路から分岐された2つの流路を介して各ノズル4から高圧スラリーを噴射し、高速噴流同士を衝突させるものである。繰り返し処理回数は10パスとして、各パス後に、原料粒子の粒度を粒度分布計(株式会社堀場製作所製LA−910W型)により測定し、粒度分布よりメジアン径を求め、結果を図5の線図に示した。
ここでの、比較対照として、従来のビーズミル装置による単独処理を本微粒化装置1によるビーズミル6と同様の条件(65%,550rpm)で10パス行った場合と、湿式ジェットミル装置による単独処理を本微粒化装置1の湿式ジェットミル3と同様のチャンバー構成で同じ条件(200MPa)で10パス行った場合に加え、単独のビーズミル装置による繰り返し処理を10パス行った後に、単独の湿式ジェットミル装置による繰り返し処理を10パス行った場合も図5の線図に示す。単独の湿式ジェットミル装置は2つのノズルから噴射された高速噴流同士を衝突させる斜向衝突装置である但し、それぞれ単独でビーズミル装置での処理後に湿式ジェットミル装置での処理を行ったものの結果は、ビーズミル装置による処理(10パス)完了後を0パス目として図5に示した。
図5から、湿式ジェットミル装置による単独処理のみでは、やはり繰り返し処理しても粒度低下の割合は小さく、SiCの1次粒子を破砕することが困難であることが示されている。また、ビーズミル装置のよる単独処理では、湿式ジェットミル装置単独による処理よりは粒度低下が見られ、1次粒子を破砕できる圧壊力の作用が示された。本実施例の微粒化装置1による複合処理においては、ビーズミル装置単独による繰り返し処理よりも原料粒子の微粒化が促進されている。湿式ジェットミル装置とビーズミル装置による各単独処理の組み合わせによる微粒化は、最終的に本実施例の微粒化装置1による微粒化より劣っている。以上の結果から、本実施例の微粒化装置1においては、従来のどのタイプの処理工程よりも微粒化性能に優れていることが判った。
次に、本実施例の微粒化装置1による微粒化処理後の粒子の粒度均一度合を評価した。以上の実験結果に基づき、炭酸カルシウムとSiCの微粒化結果を粒度分布の均一性を示す尺度の標準偏差で表し、他の処理条件による微粒化の場合と比較した。結果を以下の表2及び表3に示す。
以上の表2,表3の結果から、本実施例による微粒化装置1での微粒化処理で、最もシャープな粒度分布が得られている。即ち、他の処理条件に比べて、本微粒化装置1によれば、最も微粒化の均一性に優れた性能が発揮されることが判った。
実験5
なお、前述の実験3において、本実施例による微粒化装置1においては、所定の粒度を得る際に、ビーズミル6の破砕威力に相当する回転数を、従来のビーズミル装置単独での使用の条件よりも小さくできることが示された。そこで、その威力をビーズミル6における駆動系の動力(単位時間当たりの仕事量)と考え、回転翼8の回転数とビーズ投入量を変化させて、本微粒化装置1の異なる動力における到達粒子径を評価した。本実験では、動力値に相当する値として、負荷電流値を測定した、ビーズミル6の運転条件は、回転数N=300rpm,650rpmの2種、ビーズ投入量は、容器7に対する嵩体積割合を50%、65%の2種として組み合わせて炭酸カルシウムの微粒化処理をそれぞれ10パス行った。各電流値に対する到達粒子径としてのメジアン径を図6の線図に示す。このとき比較対照として、ビーズミル装置単独による10パス処理の結果も合わせて示した。
図5から、本微粒化装置1による処理とビーズミル装置単独による処理とでは、同一の動力(電流値)で10パス処理を行った後の到達粒子径は、本微粒化装置1による処理の方がより小さくできる。換言すれば、ビーズミル装置単独に比べて低い動力で目標粒子径に到達することができる。このように、ビーズミルにおける動力を小さくすることで、ビーズミル処理における大きな問題点であった不純物混入の発生も抑えることが可能となる。
このような結果から、ビーズミルの使用動力(電流値)を大きくしていくと到達粒子径(メジアン径)を小さくしていくことができ、その関係は一定の関数で表せることが予測できる。そこで、ビーズミルの使用動力を、物理的要素と以上の実験結果から得られる係数で数式化することによって、目標粒径に対する必要電力が求められることとなる。以下に該数式化を行った経過を示す。
まず、ビーズミル動作における物理量として選択された以下の7つ、動力P(kg・m/S)、回転数n(1/s)、ビーズ投入質量W(kg)、ビーズ径dB(m)、スラリー密度ρs(kg/m)、ビーズ総表面積S(m)、スラリー粘度μ(kg/m・s)、に関し、動力Pをバッキンガムのπ定理で導くと、P∝[μ・S・n]・[n・W/(dB・ρs) という式が得られる。
[μ・S・n]=F(N)はスラリー中のビーズ表面積における粘性力に相当し、[n・W/(dB・ρs)] =v(m/s)はWの質量体のスラリー中の移動速度を示すことから、[μ・S・n]・[n・W/(dB・ρs)]=F・v(N・m/s) は、原料スラリーの粘性力下でビーズ質量体が運動するときの仕事率(運動量×速度:N・m/s)を表すものである。
そこで、以上の炭酸カルシウムおよびSiCに対する微粒化実験での結果に基づいて、このF・v(N・m/s)の諸量を代入した値と、実験から得られた使用動力としての電流値の関係をプロットすることによって、図7に示すように、一次近似できる直線を表すことができた。[μ・S・n]・[n・W/(dB・ρs)] =F・v=λpとすると、使用動力は、P=0.787λp+188、という式で表される。この式を満たす回転数n、ビーズ投入量W等を適宜選択することによって、目標粒径を得るためのビーズミルの動力を必要充分に抑えて設定することができる。
例えば、図4に示した炭酸カルシウムの微粒化処理において、ビーズ質量W=6.5kg(容器に対する嵩体積割合50%)で、ビーズミル装置単独での処理を回転数N=650rpmで行った場合の粒子径と、本微粒化装置1による処理を回転数N=300rpmで行った場合の粒子径とが同等であったが、λpの式に前者の回転数n=10.8(1/s)及び他の物理量を代入した場合の動力Aに対して、λpの式に本微粒化装置1による回転数n=5(1/s)及び他の物理量を代入した場合の動力Bが大幅に低減されていることが判る。以上の関係式を求めたビーズミルの物理量特性λpは130〜2000の範囲に対して有効である。
次に、本微粒化装置1による処理で得られる微粒化粒子の表面形状を評価した。本評価では、表面の滑らかさを一つの指標としている。各粒子が角張っていて、エッジが目立つ場合、粒子同士の凝集が生じ易いといわれている。また、セラミックス粒子など、最終的に焼結させる粒子においては、その焼結体の強度低下を招くと考えられている。従って、表面形状において、角が少なく滑らかな粒子ほど高品質と言える。
以下に、図5で示したSiCの微粒化処理を行った粒子の表面形状と、図4で示した炭酸カルシウムの微粒化処理を行った粒子の表面形状を、それぞれ図8、9と図10として示した電子顕微鏡写真で評価する。図8の(a)は未処理のSiC粒子(×10000)、(b)は湿式ジェットミル装置単独処理後のSiC粒子(×10000)、(c)はビーズミル装置単独処理後のSiC粒子(×10000)、(d)は(c)の拡大写真(×50000)、(e)はビーズミル装置単独処理後に湿式ジェットミル装置単独処理を行った後のSiC粒子(×50000)、をそれぞれ示す電子顕微鏡写真である。図9の(a)は本微粒化装置1による微粒化処理後のSiC粒子(×10000)、(b)は(a)の拡大写真(×50000)をそれぞれ示す電子顕微鏡写真である。図10の(a)は未処理の炭酸カルシウム粒子(×50000)、(b)はビーズミル装置単独処理後の炭酸カルシウム粒子(×50000)、(c)は本微粒化装置1による処理後の炭酸カルシウム粒子(×50000)、をそれぞれ示す電子顕微鏡写真である。
以上の電子顕微鏡写真から、各処理後の粒子の表面形状とを比較した。まず、図8(b)から、湿式ジェットミルで処理することで、未処理状態(図8(a))に比べてエッジがとれ、粒子表面が平滑になり、所謂湿式ジェットミル特有の表面改質効果が得られていることがわかる。しかし、ジェットミル処理のみで粒子径自体が小さくなるような粉砕は行われていない。一方、図8(c)から、ビーズミル処理後の粒子は、粉砕による粒子の微細化は行われていたが、拡大して見た個々の粒子(図8(d)および図10(b))は、角張ったエッジの目立つ新規活性面を持ち、全体的に粗粒が見られた。この状態の粒子は、再凝集しやすく、また焼結体にも悪影響を及ぼす。
しかし、図9(a)から、本微粒化装置1によるビーズミルと湿式ジェットミルの複合処理後の粒子では、粒径が小さくなる微細化がなされており、さらに拡大した個々の粒子(図9(b)および図10(c))に着目すると、角がとれた滑らかな表面形状となっている。なお、図8(e)に示すビーズミル装置単独での繰り返し処理の後に湿式ジェットミル装置単独での繰り返し処理を行った後の粒子は、最終的にジェットミル処理がなされているのに、本微粒化装置1による処理後のものに比べて粗粒の存在が多かった。また、これとは逆に、湿式ジェットミル装置単独での繰り返し処理の後にビーズミル装置単独での繰り返し処理を行った後の粒子(不図示)は、最終処理がビーズミルによるため先のジェットミルによる表面改質効果が殆ど反映されることなく各粒子は角張ったエッジが目立ち、粒子同士の凝集が生じやすくなっていた。
以上の結果から、本微粒化装置1によれば、ビーズミル処理とジェットミル処理による作用が共に良好に得られ、最終的に表面が滑らかで均一な微細粒子が得られることが確認された。これは、ビーズミルと湿式ジェットミルとによる処理が、原料粒子に所謂「繰返し応力」のように作用する複合作用として効果的に表れた結果であって、この効果は、両方の処理がなされることには違いないのに、単独の装置でそれぞれ処理を順次行う場合には得られないものであることが判った。以上全ての結果から、本微粒化装置1によれば、原料粒子に対して良好な粉砕、均一粉砕、表面改質という効果が不純物の混入なしで同時に得られることが明らかである。
なお、以上に示した本微粒化装置1のビーズミルと湿式ジェットミルとの複合作用による優れた微粒化性能は、図1に示した回路構成に限定して得られるものではなく、その効果は、例えば、図11に示す回路構成であっても同等に得られる。図11の回路構成では、同一の原料タンク2に対して、湿式ジェットミル3とビーズミル6とがそれぞれ直列循環回路で接続されているが、湿式ジェットミル3とビーズミル6同士は、互いに並列回路となっている。この場合、湿式ジェットミル3とビーズミル6とのそれぞれで処理された原料粒子は、同一の原料タンク2に戻され、該タンク2内で混合されてから再び各装置へ供給されるという循環処理が繰り返されるため、最終的には、図1の回路構成の場合と同程度の微粒化性能が得られる。
また、図1の回路構成では、同一直列循環回路で湿式ジェットミル3がビーズミル6の上流側に配置されているが、もちろん、図12に示すようにビーズミル6を上流側に湿式ジェットミル3をその下流側に配置しても、循環処理が繰り返されることにより、結果として図1の回路構成の場合と同様の微粒化性能が得られる。また、湿式ジェットミルのタイプとしては、上記実施例に示した斜向衝突型に限らず、例えば、ノズルから噴射された高速噴流を衝突部材に衝突させるタイプのものなど、他のジェットミルを採用した場合でも同様の効果は得られる。なお、従来から単独装置で利用されている既存の衝突チャンバー構成を利用するのが効率的である。
1:微粒化装置
2:原料タンク
3:湿式ジェットミル
4:ノズル
5:熱交換器
6:ビーズミル
7:シリンダ(容器)
8:回転翼
9:ビーズ
10:原料粒子
11:ポンプ

Claims (5)

  1. 原料粒子を含むスラリーを収容する原料タンクと、
    該原料タンクに対して直列循環回路で接続され、スラリー中で回転力を与えられたビーズによって原料粒子を挟み込んで粉砕するビーズミルと、
    前記原料タンクに対して直列循環回路で接続され、加圧されたスラリーをノズルによって高速噴射するジェットミルと、を備え
    前記ジェットミルとビーズミルとが前記原料タンクに対して同一の直列循環回路で接続されていると共に、前記原料タンクに近い上流側に配置された前記ジェットミルの直列循環回路に対して前記ビーズミルの直列循環回路がバイパス回路となっていることを特徴とする微粒化装置。
  2. 前記ビーズの粒径が1mm以上、5mm以下であることを特徴とする請求項に記載の微粒化装置。
  3. 前記ビーズミルは、容器本体内に挿入されている回転翼の回転駆動によって前記ビーズに回転力を与えるものであり、
    前記回転翼の回転数n(1/s)が、使用動力P(kg・m/S)に対して、λp=[μ・S・n]・[n・W/(dB・ρs)],
    W:ビーズ投入質量(kg),
    dB:ビーズ径(m),
    ρs:スラリー密度(kg/m),
    S:ビーズ総表面積(m),
    μ:スラリー粘度(kg/m・s),
    としたとき、P=0.787λp+188、を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の微粒化装置。
  4. 前記ジェットミルは、前記ノズルから高速噴射された噴流が衝突する硬質部材を備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の微粒化装置。
  5. 前記ジェットミルは、2つ以上のノズルを備え、各ノズルの噴射軸延長線が、予め定められた一点で互いに角度をもって交差することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の微粒化装置。
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