JP5557229B2 - 光分解性ヘテロ二価性架橋剤 - Google Patents

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Description

本発明は、光分解性架橋剤に係り、より詳しくは、2つの異なる反応性基の間に光分解性基を備えた光分解性ヘテロ二価性架橋剤に関する。
ヘテロ二価性架橋剤として、一方の末端にアミン反応性基を含み、他方の末端にチオール反応性基を含むものがよく知られており、従来においては、下記の一般式で示される化合物(化1)が市販されている。
このような架橋剤は、アミンやチオールを含む異なる構造のタンパク質やDNAをはじめとする種々の高分子の結合体(Conjugate)を調製するのに用いられている。また、タンパク質やDNAを基板上に固定したプロテインチップやDNAチップなどの調製にも用いられている(下記する特許文献1,2参照)。
本出願人も、ヘテロ二価性架橋剤のスペーサーとして、アミン反応性基とチオール反応性基との間に光分解性の2-ニトロベンジル誘導体を含む下記の化合物(化2)を開発し、提案している(特許文献3参照)。
しかしながら、アミン及びチオールはともに求核剤であり、特にアミン反応性基にあっては、アミンのみならずチオールとも反応する可能性が高い。このため、上述の化合物においては、先にアミンをアミン反応性基に反応させ、ついでチオール基をチオール反応性基に反応させる必要があり、この順序を誤るとチオールがアミン反応性基と反応する不都合が生じる。ヘテロ二価性架橋剤というからには、その2つの反応性基は、それぞれ選択的にいずれか一方の官能基と反応することが望ましく、これにより反応順序に依存しないようにすることが望ましい。そのような架橋剤としては、下記の化合物(化3)が近年報告されている。
この化合物(化3)に含まれるスクシノイミジルエステルは、活性エステルの1種であり、アミン反応性基である。もう一方のアルキンは、銅触媒の存在下でアジドと反応し、1,2,3-トリアゾールを生成する(反応式1参照)。
この反応は、シートベルトのバックルがカチッと音を立てて(clicking)つながるように、実験操作が簡便で、目的物のみを高収率で与えることから、クリックケミストリーと呼ばれている。クリックケミストリーは、2001年にSharplessらが提唱して以来、新規な医薬品やプラスチック素材などの発見をめざす研究に用いられている(非特許文献1参照)。
このような技術を利用すれば、クリックケミストリーの高い反応性と選択性とにより従来の架橋剤よりも優れた特性を得ることが期待できる。
現在までのところ、アルキンとアジドの組み合わせがクリックケミストリーのために最も有力な反応性基と考えられている。
本発明者は、アミン反応性基を固定した自己組織化膜(self-assembled monolayer:SAM)を調製するための化合物(化5)やチオール反応性基を固定した化学式のシランカップリング剤(化6)を既に開発している(特許文献3参照)。
もし、アミノプロピルシランで修飾した基板表面に、アミン反応性基とアジド反応性基(アルキン)と光分解性基とを有する化合物を反応させれば、アジドを末端に持つ種々の化合物とのクリックケミストリーにより、種々の機能を有するSAMを構築することが可能となる。
また、メルカプトプロピルシランで修飾した基板表面に、チオール反応性基とアジド反応性基(アルキン)とを有する化合物を反応させても、同様のSAMを構築することが可能となる。
さらに、アジドプロピルシランで修飾した表面に、アジド反応性基(アルキン)とアミン反応性基又はチオール反応性基とを有する化合物を反応させれば、アミンやチオールを含む化合物を固定できるSAMを構築することも可能となる。
そして、以上のようなSAMを得た後に、フォトマスクを用いた光照射により、接着性を制御することができれば、細胞パターニングが可能となる。
さらにまた、ブロック共重合体の合成において、アミン反応性基又はチオール反応性基とアジド反応性基(アルキン)と光分解性基とを有する化合物に、アミンやチオールを含むポリマーを反応させ、その後、アジドを含むポリマーと反応させることにより、光分解性基で連結したブロック共重合体を得ることが期待できる。このようなブロック共重合体を形成することができれば、光分解性ポリマーソーム、ナノポーラス材料などへの応用を期待することが可能となる。
また、以上のように化合物(架橋剤)にアルキンを持たせてクリックケミストリーによりアジドと反応させる代わりに、化合物(架橋剤)にアジドを持たせ、クリックケミストリーによりアルキンと反応させるようにすることも有用となる。
特開2006−47017号公報 特開2006−47019号公報 特開2007−186472号公報
H.C.Kolb, M, G. Finn,K.B. Sharpless, Angew, Chem., Int. Ed. 2001. 40. 2004-2021
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、アジド反応性基(アルキン)又はアルキン反応性基(アジド)と、アミン反応性基又はチオール反応性基とを同一分子内にスペーサを介して備え、これら反応性基間を容易に切り離すことが可能なヘテロ二価性架橋剤を提供し、上述した種々の問題を解決することを主たる課題としている。
上記課題を達成するために、本発明に係る光分解性ヘテロ二価性架橋剤は、一方の末端にクリックケミストリーによりアジドと反応するアルキン、又は、アルキンと反応するアジドを含み、他末端にアミン反応性基又はチオール反応性基を含み、これら両反応性基の間に光分解性基を含むことを特徴としている。
一方の末端にアルキンを有し、他末端にアミン反応性基を有する例としては、下記の光分解性ヘテロ二価性架橋剤(1)が考えられる。
また、一方の末端にアルキンを有し、他末端にチオール反応性基を有する例としては、下記の光分解性ヘテロ二価性架橋剤(2)又は(3)が考えられる。
さらに、一方の末端にアジドを有し、他末端にアミン反応性基を有する例としては、下記ので光分解性ヘテロ二価性架橋剤(4)が考えられる。

また、一方の末端にアジドを有し、他末端にチオール反応性基を有する例としては、下記の光分解性ヘテロ二価性架橋剤(5)又は(6)が考えられる。
以上述べた光分解性ヘテロ二価性架橋剤によれば、クリックケミストリーの高い反応性、選択性によって、従来の架橋剤よりも優れた反応性および選択性を奏することが可能となる。即ち、本発明に係るヘテロ二価性架橋剤によれば、一方の末端に設けられたアルキン又はアジドは、クリックケミストリーの相手であるアジド又はアルキンに選択的に反応し、他方の末端に設けたアミン反応性基又はチオール反応性基により、アミンやチオールを選択的に反応させることが可能となり、反応させる順序を異ならせても、反応する反応性基が異なることがなくなる。
例えば、アミノプロピルシランで修飾した基板表面に前記の架橋剤(1)を反応させれば、引き続くアジドを末端に持つ種々の化合物とのクリックケミストリーにより、種々の機能を有するSAMを構築することができる(反応式2)。またこの反応の順序を逆にすることも可能である。
また、メルカプトプロピルシランで修飾した基板表面に前記の架橋剤(2)を反応させれば、同様のSAMを構築することが可能となる(反応式3)。またこの反応の順序を逆にすることも可能である。
さらに、アジドプロピルシランで修飾した表面に前記の架橋剤(1)又は(2)を反応させた後、アミンやチオールを含む化合物を固定させたSAMの調製に利用することも可能となる(反応式4、5)。
そして、以上の各種SAMが得られた後に、フォトマスクを用いた光照射を行えば、細胞をパターン化培養した基板の作製が可能となる。
また、本発明に係る架橋剤は、ブロック共重合体の合成に有用である。まず、アミンやチオールを含むポリマーを架橋剤(1)又は(2)と反応させた後、アジドを含むポリマーと反応させることにより、光分解性基で連結したブロック共重合体が得られる(反応式6,7)。またこの反応の順序を逆にすることも可能である。このようなブロック共重合体は、光分解性ポリマーソーム、ナノポーラス材料などへの応用が期待できる。
その他、様々な機能性分子を固定できる感光性微粒子の作製への応用も期待できる。

さらに、アルキンの代わりに、クリックケミストリーの相手であるアジドを持つ架橋剤(4)又は(5)を用いても、アミノプロピルシラン、メルカプトプロピルシランとの組み合わせにより、末端にアジドを持つSAMを調製することができる。これに対して、クリックケミストリーにより末端アルキンの化合物を固定することができる(反応式8,9)。またこの反応の順序を逆にすることも可能である。反応式は示さないが、末端アルキンを含むシランとのクリックケミストリーにより、アミンやチオールを含む化合物を固定したSAMの調製に利用することができる。
また、前記(4)又は(5)で表される架橋剤もブロック共重合体の合成に利用できる。アミンやチオールを含むポリマーを架橋剤(4)又は(5)と反応させた後、アジドを含むポリマーと反応させることにより、光分解性基で連結したブロック共重合体が得られる(反応式10,11)。この場合にも、反応の順序を逆にすることも可能である。
図1は、アジドと反応するアルキンとアミン反応性基とを光分解性基を介して連結した光分解性へテロ二価性架橋剤(1-(5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyphenyl)ethyl N-succinimidyl carbonate )の合成スキームを示す図である。 図2は、図1で合成した光分解性へテロ二価性架橋剤に光照射を行った際のUVスペクトルの変化を示す線図である。 図3は、1-(5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyphenyl) ethyl N-succinimidyl carbonate を介してアミノ化基板をポリエチレングリコール(PEG)で修飾した新規ケージド基板を作成し、その後、光照射した場合を示す図である。 図4は、さまざまな溶液浸漬時間におけるアルキン終端化石英基板の紫外吸収スペクトルを示す図である。 図5は、石英基板の溶液浸漬時間と1-(5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyphenyl) ethyl N-succinimidyl carbonateの修飾密度の関係を示す図である。 図6は、水接触角測定から光照射による表面特性の変化を評価した結果を示す特性線図である。 図7は、照射・非照射部での細胞接着の様子を位相差顕微鏡で観察した結果を示す写真である。 図8は、PEG鎖のグラフト密度およびBSA排除能をPEGの分子量を異ならせて調べた結果を示すグラフである。 図9は、アジドと反応するアルキンとチオール反応性基とを光分解性基を介して連結した光分解性へテロ二価性架橋剤(3-(2-methoxy-5-nitro-4-(1-(oxabicyclo [2,2,1] hept-5-ene-dicarboxyimide) ethylphenoxy) -1- propyne)の合成スキームを示す図である。 図10は、両親媒性ブロックコポリマー(PS2500-PDL-deprotected with furan)の合成スキームを示す図である。 図11は、図10で得られた両親媒性ブロックコポリマーの光分解の過程でのUVスペクトルの変化を示す線図である。 図12は、図10で得られた両親媒性ブロックコポリマーの光照射前後のGPCの結果を示す。 図13は、遠心分離による調製法で得たポリマーソームの蛍光顕微鏡の写真である。 図14は、限外濾過による調製法で得たポリマーソームの蛍光顕微鏡の写真である。 図15は、calcein /PIPES(100 μL/ 5 mM) 10 mL にPS3300-b-PDL-b-mPEG350 /THF(10 mg /mL)溶液0.2 mLを加え、4時間置き、この溶液を純水で希釈し、これに光照射した場合の反応式と光照射した状態を蛍光顕微鏡で観察した写真である。
以下、この発明の実施形態を説明する。
本発明の光分解性カップリング剤は、下記一般式(7)で表されるヘテロ二価性の架橋剤であり、一方の末端にクリックケミストリーによりアジドと反応するアルキン、又は、クリックケミストリーによりアルキンと反応するアジド(反応性基Xとする)を有し、他末端にアミン反応性基又はチオール反応性基(反応性基Yとする)を有し、これら両反応性基の間に光分解性基を含むスペーサRを介在させたものである。
アミン反応性基は、生体分子等にあるアミン官能基と共有結合するものであり、N-ヒドロキシスクシンイミド( NHS )エステル基、イミドエステル基、イソシアネート基、ニトロフェニルハライド基などが利用可能であり、好適な例としては、下記の構造式(8)で示されるN-ヒドロキシスクシンイミドエステル基を含有するものである。
チオール反応性基は、生体分子等にあるチオール官能基と共有結合するものであり、マレイミド、ピリジルジスルフィド、チオフタルイミド、活性ハロゲン、ハロアセトアミド、ジスルフィド、チオサルフェートなどが利用可能であり、好適な例としては、下記の構造式(9)又は(10)で示される マレイミドを包含するものである。
尚、構造式(9)で示されるチオール反応性基は、構造式(10)で示されるチオール反応性基に熱を加えて形成されるものである。
スペーサRは、分枝鎖または直鎖の炭化水素などにより形成されてもよく、光分解性基は、光照射により離脱する任意の基をいい、例えば、2−ニトロベンジル誘導体骨格を有する基、ジメトキシベンゾイン基、2−ニトロピペロニルオキシカルボニル(NPOC)基、2−ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)基、α−メチル−2−ニトロピペロニルオキシカルボニル(MeNPOC)基、α−メチル−2−ニトロベラトリルオキシカルボニル(MeNVOC)基、2,6−ジニトロベンジルオキシカルボニル(DNBOC)基、α−メチル−2,6−ジニトロベンジルオキシカルボニル(MeDNBOC)基、1−(2−ニトロフェニル)エチルオキシカルボニル(NPEOC)基、1−メチル−1−(2−ニトロフェニル)エチルオキシカルボニル(MeNPEOC)基、9−アントラセニルメチルオキシカルボニル(ANMOC)基、1−ピレニルメチルオキシカルボニル(PYMOC)基、3′−メトキシベンゾイニルオキシカルボニル(MBOC)基、3′,5′−ジメトキシベンゾイルオキシカルボニル(DMBOC)基、7−ニトロインドリニルオキシカルボニル(NIOC)基、5,7−ジニトロインドリニルオキシカルボニル(DNIOC)基、2−アントラキノニルメチルオキシカルボニル(AQMOC)基、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、5−ブロモ−7−ニトロインドリニルオシキカルボニル(BNIOC)基等を挙げることができるが、シラン化合物におけるように、2−ニトロベンジル誘導体骨格を有する基が特に好ましい。
上述したように、前記(7)式で示される構造を有していれば、アルキン、アミン反応性基、チオール反応性基、スペーサの各構造は特に限定されるものではないが、アルキンとアミン反応性基との間に光分解性基を有する光分解性カップリング剤としては、下記の(1)で表される化合物が好ましい。
このような架橋剤を用いることで、アミノ化基板を光分解性リンカーを介してアミノ化基板をポリエチレングリコール(PEG)で修飾した新規ゲージド基板を形成し、光照射前後で細胞接着特性を変更させることが可能となる。
また、アルキンとチオール反応性基との間に光分解性基を有する光分解性カップリング剤としては、下記の(2)や(3)で表される化合物が好ましい。
このようなカップリング剤を用いれば、光分解性基を有する両親媒性ブロックコポリマーやこれを用いたポリマーソームを形成し、光分解の機能化等を実現することが可能となる。
さらに、アジドとアミン反応性基との間に光分解性基を有する光分解性カップリング剤としては、下記の(4)で表される化合物が好ましい。
また、アジドとチオール反応性基との間に光分解性基を有する光分解性カップリング剤としては、下記の(5)や(6)で表される化合物が好ましい。
以下において、実施例により、上述した各光分解性へテロ二価性架橋剤をより具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。尚、以下の実施例において、水とはイオン交換蒸留水を指す。
アジドと反応するアルキンとアミン反応性基とを光分解性基を有するスペーサで連結した光分解性へテロ二価性架橋剤の実施例として、1-(5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyphenyl)ethyl N-succinimidyl carbonate を示す。
この光分解性へテロ二価性架橋剤を図1に示す工程により合成した。
先ず、300 mL ナスフラスコに4-hydroxy-3-methoxyacetophenoneを9.51 g ( 57.2 mmol )、acetoneを70 mL K2CO3を7.92 g ( 57.3 mmol )入れ室温で30分撹拌した。そして、benzyl bromideを9.79 g ( 57.2 mmol )入れ、80℃で3時間還流しながら撹拌した。次に、濃縮し、waterを100 mL 入れ、抽出(chloroform 100 mL×4times)を行ない、有機層をanhydrous MgSO4で乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮し、ethyl acetateとhexaneにより再結晶を行い、吸引ろ過、真空乾燥して、白色固体を得た(化24:ステップ1)。
上記合成した4-benzyloxy-3-methoxyacetophenoneの同定結果を以下に示す。
yield ; 11.3 g ( 43.9 mmol, 77% )
Rf = 0.71 ( hexane : ethyl acetate= 1 : 1 )
1H-NMR(CDCl3 / TMS)400MHz
δ: 2.54 (3H, s) -C(O)CH 3
3.95 (3H, s) -OCH 3
5.23 (2H, s) -OCH 2
6.88~6.90 (1H, d, J = 8.4 Hz) Ar-H
7.31~7.55 (7H, m) Ar-H
IR(KBr)
1669 cm-1 (-C=O)
次に、氷浴にて、300 mL ナスフラスコに4-benzyloxy-3-methoxyacetophenoneを10.6 g ( 41.3 mmol )、acetic acidを100 mL、HNO3,fumingを10 mL 入れ、終夜撹拌した。ice waterを200 mL 入れ、吸引ろ過し、ethyl acetateとhexaneにより再結晶を行い、吸引ろ過、真空乾燥して、黄色固体を得た(化25:ステップ2)。
上記合成した 4-benzyloxy-3-methoxy-2-nitroacetophenoneの同定結果を以下に示す。
yield ; 7.23 g ( 24.0 mmol, 58%)
Rf = 0.94 ( hexane : ethyl acetate : = 1 : 1 )
1H-NMR(CDCl3 / TMS)400MHz
δ: 2.49 (3H, s) -C(O)CH 3
3.98 (3H, s) -OCH 3
5.22 (2H, s) -OCH 2
6.76 (1H, s) Ar-H
7.35~7.46 (5H, m) Ar-H
7.67 (1H, s) Ar-H
IR(KBr)
1699 cm-1 (-C=O)
1517 cm-1 and 1337 cm-1 (-NO2)
次に、300 mL ナスフラスコに4-benzyloxy-3-methoxy-2-nitroacetophenoneを6.25 g
( 20.7 mmol )、CF3COOHを65 mL 入れ、室温にて終夜撹拌した。濃縮し、5%NaHCO3を80 mL 、2N HClを30 mL 入れ、抽出( ethyl acetate 100 mL × 3 times )を行い、有機層をanhydrous MgSO4で乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮し、ethyl acetateとhexaneにより再結晶を行い、吸引ろ過、真空乾燥し、黄色固体を得た(化26:ステップ3)。

上記合成した 4-hydroxy-5-methoxy-2-nitroacetophenoneの同定結果を以下に示す。
yield ; 3.24 g ( 15.3 mmol, 74%)
Rf = 0.33 (hexane : ethyl acetate = 1 : 1 )
1H-NMR(CDCl3 / TMS)400MHz
δ: 2.49 (3H, s) -C(O)CH3
4.02 (3H, s) -OCH3
5.93 (1H, s) -OH
6.80 (1H, s) Ar-H
7.67 (1H, s) Ar-H
IR(KBr)
3150 cm-1 [br] (-OH)
1658 cm-1 (-C=O)
1502 cm-1 and 1335 cm-1 (-NO2)
次に、窒素雰囲気下にした100 mL 二口ナスフラスコに4-hydroxy-5-methoxy-2-
nitroacetophenoneを0.210g ( 0.994 mmol )、dry CH3CNを10 mL 、K2CO3を0.187 g ( 1.35 mmol )入れ、室温で1時間撹拌後、3-bromoprop-1-yne( b.p. 89℃ )を0.100 mL ( 0.157 g ,1.32 mmol )入れ、100℃で3時間還流しながら撹拌し、濃縮後、waterを50 mL 、2N HClを5 mL 入れ、抽出( chloroform 50 mL ×3 times )し、有機層をanhydrous MgSO4で乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮し、真空乾燥し、黄色固体を得た(化27:ステップ4)。
上記合成した 5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyacetophenoneの同定結果を以下に示す。
yield ; 0.229 g ( 0.919 mmol, 92%)
Rf = 0.57 (hexane : ethyl acetate = 1 : 1 )
1H-NMR(CDCl3 / TMS)400MHz
δ: 2.51 (3H, s) -C(O)CH 3
2.61~2.62 (1H, t, J = 2.4 Hz) CH≡C-
3.98 (3H, s) -OCH 3
4.86~4.87 (2H, d, J = 5.5 Hz ) -CH 2 O-
6.78 (1H, s) Ar-H
7.80 (1H, s) Ar-H
IR(KBr)
3248 cm-1 (C-H,alkyne)
2126 cm-1 (C≡C)
1698 cm-1 (-C=O)
1516 cm-1 and 1327 cm-1 (-NO2)
次に、100 mL ナスフラスコに5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyacetophenoneを0.123 g ( 0.494 mmol )、THFを10 mL 、methanolを20 mL入れ、さらに、氷浴中で撹拌しながら、少量ずつsodium tetrahydroborateを 0.129 g ( 3.41 mmol )入れ、氷浴にて3時間撹拌した。その後濃縮し、waterを50 mL 、2N HClを5 mL 加え、抽出( chloroform 50 mL×3 times)し、有機層をanhydrous MgSO4で乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮し、真空乾燥し、黄色固体を得た(化28:ステップ5)。
上記合成した 1-(5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyphenyl)ethanolの同定結果を以下に示す。
yield ; 0.123 g ( 0.490 mmol, 99%)
Rf = 0.50 ( hexane : ethyl acetate = 1 : 1 )
1H-NMR(CDCl3 / TMS)400MHz
δ: 1.55~1.57 (3H, m) -CH 3
2.25~2.26 (1H, m) -OH
2.57~2.58 (1H, t, J = 2.4 Hz) CH≡C-
4.00 (3H, s) -CH 3
4.82~4.83 (2H, m) -CH 2 O-
5.58~5.59 (1H, m) -CH-
7.34 (1H, s) Ar-H
7.75 (1H, s) Ar-H
IR(KBr)
3293 cm-1 [br] (-OH and C-H,alkyne)
2126 cm-1 (C≡C)
1515 cm-1 and 1327 cm-1 (-NO2)
次に、窒素雰囲気下で、100 mL ナスフラスコに1-(5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-
ynyloxyphenyl)ethanolを0.0879 g ( 0.350 mmol )、dry CH3CNを8 mL 、di(N-succinimidyl) carbonateを 0.250 g ( 0.977 mmol )入れ、triethylamineを0.145 mL ( 0.105 g 、1.04 mmol )を入れ、室温で5時間撹拌した。その後濃縮し、waterを30 mL 、2N HClを5 mL 加え、抽出( chloroform 50 mL×3 times)し、有機層を洗浄( Sat.NaHCO3 100 mL× 3 times )し、有機層をanhydrous MgSO4で乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮し、褐色固体を得た(化29:ステップ6)。
上記合成した1-(5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyphenyl)ethyl N-succinimidyl carbonate の同定結果を以下に示す。
yield ; 0.137 g ( 0.349 mmol, 99%)
Rf = 0.26 ( hexane : ethyl acetate = 1 : 1 )
1H-NMR(CDCl3 / TMS)400MHz
δ: 1.76~1.78 (3H, d, J = 6.4 Hz) -CH 3
2.59~2.60 (1H, t, J = 2.2 Hz) CH≡C-
2.81 (4H, s) -CH 2 CH 2 - (succinimidyl)
4.06 (3H, s) -OCH 3
4.83~4.84 (2H, m) -CH 2 O-
6.50~6.55 (1H, q, J = 6.4 Hz) -CH-
7.11 (1H, s) Ar-H
7.83 (1H, s) Ar-H
IR(KBr)
3284 cm-1 (C-H,alkyne)
2126 cm-1 (C≡C)
1791 cm-1 (C=O)
1741 cm-1 (C=O (succinimidyl))
1520 cm-1 and 1337 cm-1 (-NO2)
UV ( 0.1 mM / EtOH )
ε = 4600 ( λ = 333 nm )
= 4300 ( λ = 304 nm )
= 9100 ( λ = 242 nm )
= 9700 ( λ = 217 nm )
= 11300 ( λ = 205 nm )
以上の工程で得られた1-(5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyphenyl)ethyl N-succinimidyl carbonateについて、エタノール中での光分解挙動を調べるために、次の実験を行った。
測定サンプルの調製
先ず、精密天秤で1-(5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyphenyl)ethyl N-succinimidyl carbonateを1.96 mg ( 5.00 μmol )を量り、50 mL メスフラスコで0.1 mM ethanol溶液を調製した。
UV-visスペクトル測定
調製したサンプルをふた付き二面石英セルに入れUV-visスペクトル測定を行った。なお、バックグラウンドはethanolで測定した。
0,1,3,5,10,20,30,45,60,75,90,120,150,180,240,300,360,420,480,540,600,660,720,750,900,1200,1800,3600secになるように一定時間光照射( λ> 300 nm 及びλ>320 nm )し、逐次UV-vis測定を行った。
光照射に際しては石英セルの中心の照度が100 mW/cm2 になるように照射した。
以下の図2(1)、図2(2)にλ> 300 nm にて光照射を行った際のUVスペクトルの変化を、図2(3)、図2(4)にλ>320 nm にて光照射を行った際のUVスペクトルの変化を示す。光分解の終了の判断基準は等吸収点から外れたスペクトルを示した時間とすると、λ> 300 nm 、λ>320 nm ともに9分で終了していることが確認された。この結果から判るように、光分解は次式(化23)のようになされ、時間と共に光分解が進んでいることが確認された。
次に、上述した工程で得られた1-(5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyphenyl) ethyl N-succinimidyl carbonateを介してアミノ化基板をポリエチレングリコール(PEG)で修飾した新規ケージド基板を作成した。この設計により,光照射前はPEGの存在により優れた細胞接着抑制を示し,光照射後はアミノ基の出現により高い細胞接着性を示す基板が形成されると予想される(図3)。ここではクリックケミストリーを用いたアミノ化表面へのPEG鎖の導入法を用いた。以下、この例を具体的に述べる。
1.AP-TES表面修飾
まず、3-Aminopropyltriethoxysilane(AP-TES)/Ethanol溶液に,Piranha溶液(conc.H2SO4 : 30% H2O2 = 7 : 3)で処理したカバーガラスを1時間浸漬した。その後,基板を水で洗浄し,窒素気流で乾燥させ,表面アミノ化基板を得た。
2.アミノ化基板のアルキン化
この基板を1 mMの光分解性リンカー[化合物(I):1-(5-methoxy-2-nitro-4-prop-2-ynyloxyphenyl)ethyl N-succinimidyl carbonate]のDimethyl sulfoxide溶液(1mM Triethylamineを含む)に浸漬し,窒素雰囲気下で遮光しながら,室温で一晩放置した。この基板をDichloromethane中で5分間超音波洗浄後,Dichloromethane,水で洗浄し,窒素気流下で乾燥させ,アルキン終端化基板を得た。
また、表面アミノ化した石英基板を化合物(I)のDimethyl sulfoxide溶液に一定時間(3〜48時間)浸漬し,得られた石英基板の紫外吸収スペクトルから,基板表面の化合物(I)の修飾密度を算出した。アルキン終端化石英基板の紫外吸収スペクトルを図4に,石英基板の溶液浸漬時間と化合物(I)の修飾密度の関係を図5に示す。
図4において、360 nm付近に吸収の増加が見られたことから,基板表面への化合物(I)の修飾を確認した。また、図5から、化合物(I)の修飾は,浸漬24時間で飽和に達することがわかった。
3.Click反応を用いたポリエチレングリコール(PEG)鎖の導入
その後,5μM Copper(II) sulfate pentahydrate, 50 μM Sodium L-Ascorbateを含む0.5 mM mPEG-N3(Mw=2000,5000)水溶液にアルキン終端化基板を浸漬させ,窒素雰囲気下で遮光しながら,室温で一晩反応させた。この基板を水中で5分間超音波洗浄し,さらに水で洗浄後,窒素気流下で乾燥させ,PEG修飾基板を得た。
光照射による接触角変化
PEG修飾基板にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で光照射(λ=365 nm,100 mW/cm2)を行ない,水接触角測定から光照射による表面特性の変化を評価した。この結果を図6に示す。この結果から分かるように、表面アミノ化基板をmPEG-N3 (Mw=2000,5000)と反応させると、いずれのPEGにおいても、その反応を示すように接触角が31°から44°に増加した。この基板に光照射を行なうと,接触角が減小し,AP-TESの接触角に近づく傾向を示した。同様に、水中でのヘキサン接触角を調べたところ、アミノ化基板をアルキン終端化すると親油化により基板表面のヘキサン接触角は120°から101°に減少した。ここにPEG5000を反応させると接触角は165°まで増加し,続いて,光照射を行なうと接触角は127°まで回復した。PEG化による接触角の増加は,接触角測定を水中で行っているため,PEGが含水し,その結果としてヘキサンが塗れにくい表面となっているからであると思われる。接触角変化から求めたPEG光解離率は約79 %であった。これらの結果から,光照射によってPEG鎖が解離したと判断した。
細胞パターニング試験
蛍光顕微鏡の視野絞りにフォトマスクを挿入し,作製したPEG修飾基板にPBS中でパターン化照射(λ=365 nm,100 mW/cm2,80 s)を行なった。この基板に2×105 cells/mlの濃度でHeLa細胞を播種し,24時間培養後,照射・非照射部での細胞接着の様子を位相差顕微鏡で観察した。その結果を図7に示す。
この結果から分かるように、PEG修飾基板では細胞接着は抑制されているが,この基板の円形領域に光照射を行なうと,その領域への選択的な細胞接着が見られた。この結果から,PEG鎖が光によって解離し,細胞接着抑制が解除されたことが示された。
表面PEG密度の評価およびタンパク質吸着試験
基板表面へのPEGの固定化および光切断の過程をAFM観察し、その際のPEG鎖のグラフト密度を求めたところ,0.67 chains・nm-2であった(図8)。同様の結果は,他の分子量のPEG (PEG2000)でも得られ,表面グラフト密度は0.85 chains・nm-2であり,PEG分子量が増えるにつれグラフト密度が減少する傾向を示した(図8)。つづいて,PEG化基板のBSA排除能を免疫染色法により評価したところ,PEG分子量が増えるにつれBSA排除能が高まることが分かった(図8)。以上の結果は,PEG分子量の増大に伴い,表面グラフト反応の効率は低下するが,一分子当たりのタンパク排除能が高まるため,結果としてBSAの非特異吸着が減少したことを示している。
次に、アジドと反応するアルキンとチオール反応性基とを光分解性基を有するスペーサで連結した光分解性へテロ二価性架橋剤の実施例として、3-(2-methoxy-5-nitro-4-(1-(oxabicyclo [2,2,1] hept-5-ene-dicarboxyimide) ethylphenoxy) -1- propyne を示す。
図9に示される工程により合成した。先ず、7-oxabiccyclo [2,2,1] hept 5-ene-dicarboxyimideを合成して用意しておく。このため、窒素気流下において、200 mL二口ナスフラスコにmaleimide 2.00 g(20.6 mmol, 1.0 eq.)、dry-DMF 10 mL、furan 5.72 g(6.00 mL, 84.0 mmol, 4.0 eq.)を入れて、80℃で6.5時間撹拌し、室温で42時間撹拌した。その後、furan 5.72 g(6.00 mL, 84.0 mmol, 4.0 eq.)を加え、さらに80℃で4 時間撹拌した。これを減圧留去でdry DMFを除去し、THFで溶かし、hexaneで再結晶を行い、吸引濾過し、得られた第1結晶、第2結晶、第3結晶の真空乾燥を行い、淡黄色固体を得た(化31:ステップ11)。
上記合成した 7-oxabiccyclo [2,2,1] hept 5-ene-dicarboxyimideの同定結果を以下に示す。
Yield:2.53 g(15.5 mmol, 75 %)
第1結晶:1.71 g( 10.5 mmol)
第2結晶:0.752 g( 4.61 mmol)
第3結晶:0.069 g(0.423 mmol)
Rf値=0.23 (hexane:ethyl acetate=1:1)
1H-NMR(400 MHz,CDCl3 /TMS)
δ=2.89 (2H, s) C-H
δ=5.32 (2H, s) O-C-H
δ=6.52 (2H, s) C=C-H
δ=8.01 (1H, br) N-H
IR (KBr)
3151 cm-1 and 3072 cm-1 -NH
1717 cm-1 -C=O
次に、氷浴上において、300 mLナスフラスコに、前記ステップ2で合成した4-benzyloxy-5-methoxy-2-nitroacetophenone 5.00 g (16.6 mmol , 1.0 eq.)、THF 150 mL、methanol 38 mL、NaBH41.89 g (50.1 mmol ,3.0 eq.)を入れて、20分撹拌し、室温で約5時間撹拌した。これを濃縮し、水100 mL加え、ethyl acetate (100 mL×3 times)で抽出した。さらに、anhydrous MgSO4で乾燥、濾過、濃縮したものを、ethyl acetateで溶かし、hexaneで再結晶を行い、吸引濾過し、得られた第1結晶、第2結晶を真空乾燥し、黄色固体を得た(化34:ステップ12)。
上記合成した1-(4-benzyloxy-5-methoxy-2-nitrophenyl)ethanolの同定結果を以下に示す。
Yield:3.96 g (13.1 mmol, 79 %)
第1結晶:3.05 g (10.1 mmol)
第2結晶:0.909 g (3.00 mmol)
Rf値=0.55 (hexane:ethyl acetate=1:1)
H-NMR(400 MHz,CDCl3 /TMS)
δ=1.55-1.56 (3H, d, J=6.3 Hz) CH-CH 3
δ=2.26-2.27 (1H, d, J=3.7 Hz) OH
δ=4.00 (3H, s) OCH 3
δ=5.12 (2H, s) O-CH 2 -Ar
δ=5.53-5.59 (1H, m) Ar-CH
δ=7.31 (1H, s) Ar-H
δ=7.33-7.46 (5H, m) CH2-Ar-H
δ=7.63 (1H, s) Ar-H
IR (KBr)
3373 cm-1 and 3304 cm-1 [br] -OH
1517 cm-1 and 1335 cm-1 -NO2
次に、500 mL三口ナスフラスコに1-(4-benzyloxy-5-methoxy-2-nitrophenyl)ethanol 3.00 g (9.89 mmol, 1.0 eq.)を入れ、2時間真空乾燥した。そして、窒素気流下において、dry-benzene 200mL、pyridine 10滴を加え撹拌し、dry-benzene 100mLに溶かしたPBr3 3.71 g (13.7 mmol, 1.4 eq.)を滴下漏斗に入れ、氷浴上で滴下した。滴下終了後、氷浴をはずし、室温で4時間撹拌した。これを濃縮し、水100 mLで溶かし、ethyl acetate (100 mL×3 times)で抽出し、anhydrous MgSO4で乾燥、濾過、濃縮を行った。これをethyl acetateで溶かし、カラムクロマトグラフィー(hexane:ethyl acetate=8:1)で分離精製し、濃縮、真空乾燥し、黄色固体を得た(化35:ステップ13)。
上記合成した1-(4-benzyloxy-5-methoxy-2-nitrophenyl)ethyl bromideの同定結果を以下に示す。
Yield:2.71 g (7.39 mmol,74 %)
Rf値=0.30 (hexane:ethyl acetate=8:1)
H-NMR(400 MHz,CDCl3 /TMS)
δ=2.05-2.07 (3H, d, J=6.8 Hz) CH-CH 3
δ=4.01 (3H, s) O-CH 3
δ=5.18 (2H, s) O-CH 2 -Ar
δ=6.00-6.05 (1H, q, J=6.8 Hz) Br-CH
δ=7.29 (1H, s) Ar-H
δ=7.31-7.45 (5H, m) CH2-Ar-H
δ=7.52 (1H, s) Ar-H
IR (KBr)
1522 cm-1 and 1340 cm-1 -NO2
次に、室温、窒素気流下において、50 mLナスフラスコに7-oxabiccyclo[2,2,1]hept-5-ene-dicarboxy imide 0.891 g(5.37 mmol, 1.0 eq.)、dry DMF 10 mL、K2CO3 3.74 g(27.1 mmol, 5.0 eq.)を入れ、窒素置換にし、30分間撹拌した。さらに、1-(4-benzylozy-5-methxy-2-nitrophenyl)ethyl bromide 1.98 g(5.41 mmol ,1.0 eq.)を入れ、窒素置換の60℃で約4時間撹拌した。そして、これを減圧留去して、水100 mLを入れ、ethyl acetate(50 mL×4 times)で抽出、sat.NaCl aq.(100 mL×3 times)で洗浄し、anhydrous MgSO4で乾燥、濾過、濃縮したものをethyl acetateで溶かし、カラムクロマトグラフィー(hexane:ethyl acetate=3:2→hexane:ethyl acetate=1:1)で分別精製、濃縮、真空乾燥を行い、茶色固体を得た(化36:ステップ14)。
上記合成した1-(1-benzyloxy-2-methoxy-5-nitro-4-)phenyl-1-(oxabicyclo[2,2,1]hept-5-ene-dicarboxyimide) ethaneの同定結果を以下に示す。
Yield:1.61 g(3.69 mmol,69 %)
Rf値=0.20 (hexane:ethyl acetate=3:2)
H-NMR (400 MHz,CDCl3 /TMS)
δ=1.83 (3H, d, J=7.2 Hz) CH-CH 3
δ=2.78 (1H, d, J=6.7 Hz) O=C-CH
δ=2.87 (1H, d, J=6.5 Hz) O=C-CH
δ=3.92 (3H, s) O-CH 3
δ=5.16 (2H, s) Ar-CH 2 -C-O-
δ=5.21 (1H, s) -O-CH
δ=5.99 (1H, s) -O-CH
δ=6.02 (1H, q, J=7.2 Hz) CH-CH3
δ=6.48 (2H, s) C=CH
δ=7.14 (1H, s) Ar-H
δ=7.31-7.44 (5H, m) CH2-Ar-H
δ=7.59 (1H, s) Ar-H
IR (KBr)
1702 cm-1 C=O
1524 cm-1 and 1334 cm-1 -NO2
次に、室温において、50 mLナスフラスコに1-(1-benzyloxy-2-methoxy-5-nitro-4-)phenyl-1-(oxabi cyclo[2,2,1]hept-5-ene-dicarboxyimide)ethane 1.10 g(2.28 mmol )、CF3COOH 11 mLを入れ、6時間撹拌した。これを濃縮、5 %NaHCO3aq. 10 mL ,2 N NaOH aq. 4.4 mL ,2 N HCl 0.5 mL ,水10 mLを入れ、抽出(ethyl acetate 80 mL, 60 mL×3 times)し、有機層をanhydrous MgSO4で乾燥、濾過、濃縮した後、THFで溶かし、hexaneで再結晶、真空乾燥し、黄色固体を得た(化37:ステップ15)。
上記合成した2-methoxy-5-nitro-4-(1-(oxabicyclo [2,2,1] hept-5-ene-dicarboxyimide) ethylphenolの同定結果を以下に示す。
Yield:0.795 g(2.21 mmol, 97 %)
Rf値:0.61(ethyl acetate only)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3 /TMS)
δ=1.82 (3H, d, J=7.1 Hz) CH-CH 3
δ=2.78 (1H, d, J=6.7 Hz) O=C-CH
δ=2.87 (1H, d, J=6.5 Hz) O=C-CH
δ=3.95 (3H, s) O-CH 3
δ=5.21 (1H, s) -O-CH
δ=5.29 (1H, s) -O-CH
δ=5.71 (1H, br) Ar-OH
δ=5.98 (1H, q, J=7.2 Hz) CH-CH3
δ=6.51 (2H, s) C=CH
δ=7.13 (1H, s) Ar-H
δ=7.56 (1H, s) Ar-H
IR (KBr)
3385 cm-1 (br) -OH
1702 cm-1 C=O
1525 cm-1 and 1351 cm-1 -NO2
次に、室温、窒素気流下において、50 mL二口ナスフラスコに2-methoxy-5-nitro-4-(1-(oxabicyclo [2,2,1] hept-5-ene-dicarboxyimide)ethylphenol 0.353 g(0.971 mmol, 1.0 eq.)、dry DMF 12 mL、K2CO30.268 g(1.94 mmol, 2.0 eq.)を入れて、窒素置換下で30分間撹拌した。さらに、室温、窒素気流下において、3-bromo-1-propyne 0.231 g(1.94 mmol, 2.0 eq.)を加えて、60℃、窒素置換下で14.5時間撹拌した。これを室温に戻した後、減圧留去を行い、水100 mLを入れ、ethyl acetate(60 mL ,50 mL×3 times)で抽出、sat.NaCl aq.(50 mL×3 times)で洗浄、anhydrous MgSO4で乾燥、濾過、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ethyl acetate:hexane=3:1)で分別精製、濃縮、真空乾燥で黄色固体を得た(化38:ステップ16)。
上記合成した3-(2-methoxy-5-nitro-4-(1-(oxabicyclo [2,2,1] hept-5-ene-dicarboxyimide) ethylphenoxy) -1- propyneの同定結果を以下に示す。
Yield:0.265 g(0.665 mmol ,68 %)
Rf値=0.73 ethyl acetate only)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3 /TMS)
δ=1.84 (3H, d, J=7.2 Hz) CH-CH 3
δ=2.57 (1H, t, J=2.4 Hz) HC≡C
δ=2.79 (1H, d, J=6.6 Hz) O=C-CH
δ=2.88 (1H, d, J=6.6 Hz) O=C-CH
δ=3.92 (3H, s) O-CH 3
δ=4.80 (2H, d, J=2.4 Hz) ≡C-CH 2
δ=5.22 (1H, s) -O-CH
δ=5.29 (1H, s) -O-CH
δ=6.04 (1H, q, J=7.2 Hz) CH-CH3
δ=6.51 (2H, s) C=CH
δ=7.15 (1H, s) Ar-H
δ=7.71 (1H ,s) Ar-H
IR (KBr)
3274 cm-1 ≡C-H
2212 cm-1 C≡C
1700 cm-1 C=O
1523 cm-1 and 1356 cm-1 -NO2
また、上述のようにして得られた架橋剤を用いて、疎水性のポリスチレン(PS)と親水性のモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)からなる両親媒性ブロックコポリマー3 の合成例を示す。
この両親媒性ブロックコポリマーを、図10に示される工程により合成した。先ず、まず、以下の前処理を行った。
・styrene monomer:減圧留去で安定剤を除去した。
・Cu(I)Br:hexaneで洗浄し、真空乾燥した。
・2,2’-bipyridine(bpy):60℃のhexaneに溶かして、室温で再結晶により精製し、真空乾燥した。
その後、30 mL二口ナスフラスコに前処理済みのstyrene monomer 6.12 g(58.4 mmol)、開始剤となる1-bromoethylbenzene 227 μL(1.67 mmol)、前処理済みのCu(I)Br 0.239 g(1.67 mmol) 、bpy 0.781 g(5.00 mmol)入れ、窒素置換で凍結脱気を1回行った。100℃、窒素置換で、1時間攪拌した。これをTHFで溶かし、methanol(300 mL×3)で再沈殿、吸引濾過、真空乾燥して、白色粉体を得た(化39:ステップ17)。なお、仕込み比を以下のように設定した。
initiator:monomer=1:35
initiator:Cu(I)Br:bpy=1:1:3
上記合成したPolymerization of styrene via ATRPの同定結果を以下に示す。
Yield:2.97 g (1.49 mmol) polymer/monomer×100=2.97/7.50×100=49 %
1H-NMR (400 MHz, CDCl3 /TMS)
δ=0.97-1.03 (3H, m) CH 3 -CH-Ar
δ=1.43-2.78 (60H, br) [CH 2 CH]20
δ=4.42-4.51 (1H, br) CH-Br
δ=6.37-7.51 (105H, br) Ar-H
この結果から20量体と計算できるため、分子量2083のものが得られたと考えられる。
次に、50 mL二口ナスフラスコに、PS2500-Br 2.93 g(1.58 mmol, 1.0 eq.)、NaN3 1.05 g(16.1 mmol, 10 eq.)を入れ、30分真空乾燥した。室温、窒素気流下においてdry DMF 20 mL加えて、室温、窒素置換で62.5時間撹拌した。そして減圧留去でdry DMFを除き、THF少量で溶かして、methanol(350 mL×2 times)で再沈殿、吸引濾過、真空乾燥し、白色粉体を得た(化40:ステップ18)。
上記合成した azide-terminated PS2500の同定結果を以下に示す。
Yield:2.18 g (1.20 mmol ,76 %)
1H-NMR (300 MHz, CDCl3 /TMS)
δ=0.96-1.03 (3H, m) CH 3 -CH-Ar
δ=1.43-2.67 (60H, br) [CH 2 CH]20
δ=3.90-4.01 (1H, br) CH-N3
δ=6.39-7.60 (100H, br) Ar-H
IR (KBr)
2093 cm-1 N=N=N
1493 cm-1and 1452 cm-1 N=N
次に、50 mL二口ナスフラスコにPDL-alkyne 0.142 g (0.355 mmol, 1.1 eq)、PS2500-N30.785 g(0.315 mmol, 1 eq)、CuBr 0.135 g(0.941 mmol, 3 eq)を入れて、45分間真空乾燥した。それから窒素気流下でdry DMF 8 mL加え、窒素置換で15分撹拌してから、窒素気流下のオイルバス30℃において、PMDETA 197 μL(0.941 mmol, 3 eq)加え、窒素置換にし、16時間撹拌した。そして、methanol 150 mLで再沈殿、ろ過し、chloroform 75 mLと水60 mLで抽出を3 times、有機層をEDTA-Na aq.50 mLで洗浄を3 times行い、anhydrous MgSO4で乾燥、濃縮、再びmethanol 100 mLで再沈殿、カラムクロマトグラフィー(ethyl acetate : hexane=1:1)で分別精製、濃縮、真空乾燥で黄色粉体を得た(化41:ステップ19)。
上記合成した PS2500--PDL-protected with furanの同定結果を以下に示す。
Yield:0.553 g (0,235 mmol, 75 %)
Rf値=0.07 (hexane:ethyl acetate=1:1)
1H-NMR (400 MHz,CDCl3 /TMS)
δ=0.90 (3H, br) CH 3 CH(PS)
δ=1.03-2.04 (75H, br) (CH 2 CH)24,CH 3 CH-N
δ=2.76 ,2.86 (2H, d, d, J=6.56 Hz,J=6.60 Hz) O=C-CH ×2
δ=3.84 (3H, s) CH 3 O
δ=5.10-5.13 (2H, br) =C-CH 2
δ=5.19 ,5.27 (2H, s, s) -O-CH ×2
δ=6.02 (1H, br) CH3CH-N
δ=6.49-7.25 (123H, br) Ar-H(PS),C=CH×2,Ar-H(PDL)
δ=7.68 (1H, s) Ar-H(PDL)
次に、窒素気流下において、50 mL二口ナスフラスコにPS-PDL protected-furan 0.164 g(0.0557 mmol)、anisole 2 mL入れ、120℃、窒素置換で2.5時間撹拌した。これを室温に戻してから、anisole溶液をmethanol 80 mLで再沈殿し、さらにTHF少量に溶かして再沈殿(methanol 80 mL×2 times)をし、真空乾燥で淡黄色粉体を得た(化42:ステップ20)。
上記合成した PS2500-PDL-deprotected with furanの同定結果を以下に示す。
Yield:0.106 g (0.0373 mmol, 67 %)
1H-NMR (400 MHz,CDCl3 /TMS)
δ=0.96-1.03 (3H, br) CH 3 CH(PS)
δ=1.44-2.17 (75H, br) (CH 2 CH)24,CH 3 CH-N
δ=3.86 (3H, s) CH 3 O
δ=5.10-5.13 (2H, br) =C-CH 2 O
δ=6.04-6.05 (1H, br) CH3CH-N
δ=6.61-7.29 (123H, br) Ar-H(PS),Ar-H(PDL),HC=CH
δ=7.62 (1H, s) Ar-H(PDL)
以上とは別に、100 mL二口ナスフラスコにmPEG 1.51 g(4.30 mmol), N,N -disuccinimidyl carbonate 2.20 g(8.58 mmol, 2 eq.)を入れ、30分間真空乾燥した。これに室温、窒素気流下で、triethylamine 2.40 mL(17.2 mmol, 4 eq.), dry THF 16 mL加え、室温、窒素置換で25時間攪拌した。これを減圧留去し、水70 mL加え、chloroform (50 mL×3 times)で抽出、sat.NaCl aq.(50 mL×3 times)で洗浄し、anhydrous MgSO4で乾燥、濾過、濃縮したものをカラムクロマトグラフィー(dichloromethane:methanol=7:1)で分別精製、濃縮、真空乾燥を行い、淡黄色粘体を得た(化43:ステップ21)。
上記合成した succinimidyl carbonate terminated mPEG(350)の同定結果を以下に示す。
Yield:2.34 g(4.77 mmol ,111 %)
1H-NMR (400 MHz,CDCl3 /TMS)
δ=2.84 (4H, s) O=C-CH 2 CH 2 -C=O
δ=3.38 (3H, s) CH 3 -OCH2
δ=3.63-3.67 (24H, br) (OCH 2 CH 2 )6
δ=3.77-3.80 (2H, m) OCH 2 CH2O-C=O
δ=4.45-4.48 (2H, m) OCH2CH 2 O-C=O
次に、50 mL二口ナスフラスコに、mPEG350-SC 0.313 g (0.636 mmol, 1.0 eq)、cysteamine 0.145 g (1.88 mmol, 3.0 eq)を入れ、30分間真空乾燥した。そして、室温アルゴン気流下でdry THF 2 mL、Et3N 170 μL(1.22 mmol, 2.0 eq)加え、さらにdry THF 3 mL加え、室温アルゴン置換で20時間撹拌した。これを濃縮、水50 mL加え、chloroform 60 mL×3 timesで抽出、sat.NaHCO3 aq.で洗浄し、有機層をanhydrous MgSO4で乾燥、濃縮、カラムクロマトグラフィー(chloroform : methanol=9:1→methanol only)で分別精製、濃縮、真空乾燥し、淡桃色粘体を得た(化44:ステップ22)。
上記合成した mPEG350-SHの同定結果を以下に示す。
Yield:0.247 g (0.526 mmol, 88 % /purity : 54 %)
1H-NMR (400 MHz,CDCl3 /TMS)
δ=1.39 (3H, t, J=8.46 Hz) CH2CH2SH
δ=2.66 (2H, q, J=7.16 Hz) CH2CH 2 SH
δ=3.34-3.37 (1H, br) NHCH 2 CH2SH
δ=3.38 (3H, s) CH 3 (OCH2CH2)
δ=3.47-3.70 (26H, m) (OCH 2 CH 2 )6-OCH 2 CH2
δ=4.23 (2H, s) OCH2CH 2 -O-C=O
δ=5.30,5.41 (1H, br) OC-NHCH2
以上の工程を経て、次に、室温・窒素気流下において、30 mL二口ナスフラスコに、PS-PDL deprotected-furan 0.0955 g(33.70 μmol)、dry THF 1 mL、mPEG350-SH 0.1387 g (0.2949 mmol)、Et3N 3滴入れ、窒素置換で、18.5時間撹拌し、TLCでまだ原料が残っていたため、窒素気流下でさらに、mPEG350-SH 0.109 g(0.231 mmol)、dry THF 1 mL、Et3N 1滴加え、4.5時間撹拌した。これをmethanol 70 mLで再沈殿を1回行い、真空乾燥し、白色粉体を得た(化45:ステップ23)。
上記合成した PS2500-b-PDL-b-mPEG350の同定結果を以下に示す。
Yield:0.0727 g (22.0 μmol ,62 %)
1H-NMR (400 MHz,CDCl3 /TMS)
δ=0.96-1.03 (3H, br) CH 3 CH(PS)
δ=1.44-1.85 (75H, br) (CH 2 CH)24,CH 3 CH-N
δ=2.39-2.45 (2H, m) O=C-CH 2
δ=2.74-2.79 (1H, m) O=C-CH-S
δ=3.04-3.12 (2H, m) CH2CH 2 S-
δ=3.37 (3H, s) CH 3 (OCH2CH2)
δ=3.40-3.43 (2H, br) NHCH 2 CH2-S
δ=3.53-3.68 (26H, m) (OCH 2 CH 2 )6-OCH 2 CH2
δ=3.89 (3H, s) CH 3 O
δ=4.21 (2H, s) OCH2CH 2 -O
δ=5.09-5.19 (2H, br) =C-CH 2 O
δ=6.00 (1H, br) CH3CH-N
δ=6.46-7.23 (123H, br) Ar-H(PS),Ar-H(PDL)
δ=7.61-7.63 (1H, br) Ar-H(PDL)
上述のようにして光分解性ヘテロ二価性架橋剤を用いて合成した両親媒性ブロックコポリマー(PS2500-b-PDL-b-mPEG350)を光照射により分解した結果を以下に示す。
まず、上記両親媒性ブロックコポリマーをTHFに溶解させ、超高圧水銀灯を用いて光照射し、そのUVスペクトルの変化を追跡した。
両親媒性ブロックコポリマーへの光照射によるUVスペクトル変化の測定
上述の両親媒性ブロックコポリマーのTHF溶液を1.0×10-4 Mの濃度に調製し、二面石英セルに移した。超高圧水銀灯(500 W)を用いて一定時間ごとに光照射し、UVスペクトルの変化を調べた。光照射の条件は、石英硫酸銅水溶液フィルターを用いたので、λ=320 nm光を100 mW /cm-2(364 nm)で露出させて行なった。
上述した両親媒性ブロックコポリマー(PS2500-b-PDL-b-mPEG350)の極大吸収波長(λmax)とモル吸光係数(ε)の結果を表1に記す。
光照射前のブロックコポリマーのUVスペクトルのλmaxの値は338 nmであり、モル吸光係数(ε)の値は3800 M-1・cm-1となった。次に光分解の過程でのUVスペクトルの変化を図11に記した。光照射してスペクトルに変化がなくなった時間を光分解終了時間とすると、105秒となった。各ピークについては、λ=340 nm付近でのニトロ基由来と思われる吸光度の減少とともにλ=370 nm付近のニトロソ化合物由来と思われる吸光度の増加が観測できた。光照射により、次のように分解しているものと考えられる。
また、光照射前後のサンプルのGPCの結果を図12に示す。
用いたブロックコポリマーの分子量は3370に対し、光照射後のGPCで見ている分子量は2945と減少している。この分子量(2945)は切断によって生じるPSの分子量の計算値(2900)とよく一致している。以上のことから、光照射によりブロックコポリマーが切断していることが分かった。
次に、得られた両親媒性ブロックコポリマー(PS2500-b-PDL-b-mPEG350)を用いてポリマーソームの形成し、光照射による崩壊の観察を行った。ここでは、従来法の遠心分離によるcalceinの除去と、別の手段である限外濾過を用いて、ポリマーソームの観察を行った。
calcein /PIPES (100 μM /5 mM)緩衝溶液の調製
250 mLメスフラスコに純水約100 mL、calcein 15 mg(25 μmol)、PIPES 0.756 g(2.50 mmol)を入れて溶解させ、2N NaOHを少しずつ加え、pH=7.2に調製した。この溶液に純水を標線まで加え、calcein /PIPES (100 μM /5 mM)緩衝溶液250 mLとした。
以下に、ポリマーソームの調製法と蛍光顕微鏡による観察結果を示す。
方法1. 遠心分離
PS2500-b-PDL-b-mPEG350 0.01 gをTHF 1 mLに溶かし、PS2500-b- PDL-b-mPEG350 /THF溶液(10 mg /mL)溶液を調製した。そして、20 mLナスフラスコにcalcein /PIPES(100 μL/ 5 mM)緩衝溶液10 mLを取り、撹拌しながらPS2500-b-PDL-b-MPEG350 /THF(10 mg /mL)溶液0.2 mLを滴下して加え、22時間強く撹拌した。これをファルコンチューブに移して純水を加え、遠心分離(3000 RPM)した後、上澄み溶液を除き、純水を加えた。この操作をcalceinの色が抜けるまで行った。得られた溶液1滴をパスツールでスライドガラスに滴下し、カバーガラスを被せ、蛍光顕微鏡で観察した。
方法2. 限外濾過
PS2500-b-PDL-b-mPEG350 4.8 mgをTHF 0.48 mLで溶かし、PS2500-b- PDL-b-mPEG350 /THF溶液(10 mg /mL)溶液を調製した。そして50 mLバイアルにcalcein /PIPES(100 μL/ 5 mM)緩衝溶液10 mLを取り、PS2500-b-PDL-b-mPEG350 /THF溶液(10 mg /mL)溶液0.2 mLを滴下し、4時間置いた。この溶液を、ウルトラフィルターを用いて、限外濾過を行い濃縮後、さらに純水を加えた。この操作をcalceinの色がなくなるまで行った。この溶液1滴をパスツールでスライドガラスに滴下し、カバーガラスを被せ、蛍光顕微鏡で観察した。
方法1(遠心分離による調製法)により得たポリマーソームの蛍光顕微鏡の写真を図13に示す。光照射前の粒径はおよそ5μmであった。60秒光照射した時点で亀裂が入り、さらに30秒光照射を行ったことで、完全に形状が崩壊した。この結果から、光分解性ポリマーソームが形成していることが分かるが、calceinの内封については、確認することができなかった。
また、方法2(限外濾過による調製法)で得たポリマーソームの蛍光顕微鏡の写真を図14に示す。光照射前の粒径はおよそ13μmであった。光を120秒照射した時点で亀裂が入り、さらに60秒光照射を行ったことで、完全に形状が崩壊した。この結果から、光分解性ポリマーソームが形成していることが分かった。また、光照射前に光を落として観察した結果、わずかにcalceinが内封されていることが分かったが、光照射180秒後に、光照射前と同じ条件で観察したが、calceinが放出されているかは確認できなかった。
図13および図14の粒径を比較すると、図13の方が小さいポリマーソームが形成されていた。これはポリマーソーム調製時に強く撹拌したことと、遠心分離をしたことで、ポリマーソームどうしが衝突し、粒径が小さくなったと考えられる。
次に、これまでに報告されている図15に示すポリマーソームと図14との比較を行った。図15はcalcein /PIPES(100 μL/ 5 mM) 10 mL にPS3300-b-PDL-b-mPEG350/THF(10 mg /mL)溶液0.2 mLを加え、4時間置き、この溶液を純水で希釈し、蛍光顕微鏡で観察したものである。観測されたポリマーソームは16 μmであり、光照射することで、calceinの色が抜けていき、合計600秒光照射した時点で形状が崩壊した。図13と図15を比較すると、図15の方がやや大きいポリマーソームが形成されており、calceinも多く内封されていたのに対し、光分解速度はFig. 4の方が速いことが分かった。ポリマーソームの大きさ、光分解速度、calceinの内封量の違いは、光分解後のポリマーの骨格の違いと、ブロックコポリマーの分子量の組成比の違いによって生じるものと考えられる。
尚、上述の実施例においては、一方の末端にクリックケミストリーによりアジドと反応するアルキンを有し、他末端にアミン反応性基又はチオール反応性基を有し、これら両反応性基の間に光分解性基を含む光分解性へテロ二価性架橋剤の実施例を示したが、アルキンの代わりに、クリックケミストリーの相手であるアジドを一方の末端に持つ化合物を用いるようにしてもよい。
このような化合物を用いれば、末端にアジドを持つSAMを調製し、これにクリックケミストリーにより末端アルキンの化合物を固定することや、また、末端アルキンを含むシランとのクリックケミストリーにより、アミンやチオールを含む化合物を固定したSAMの調製に利用することが可能となる。また、アミンやチオールを含むポリマーを前記(1)〜(3)で表される化合物と反応させた後、前記(4)〜(6)で表される化合物を利用して形成されたアジドを含むポリマーと反応させることにより(この反応順序は逆でも可能)、光分解性基で連結したブロック共重合体を得ることが可能となる。

Claims (2)

  1. 下記(1)で表されることを特徴とする光分解性へテロ二価性架橋剤。
  2. 下記(2)で表されることを特徴とする光分解性へテロ二価性架橋剤。
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