JP5557067B1 - リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高電位において優れたサイクル特性および優れた充放電容量を有するリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】 集電体と、集電体の表面に形成された、正極活物質及び結着剤を含む正極活物質層と、正極活物質層の表面の少なくとも一部に形成され、比抵抗が1.0×10−3Ωcmより大きく1.0×103Ωcm以下である被覆層と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 集電体と、集電体の表面に形成された、正極活物質及び結着剤を含む正極活物質層と、正極活物質層の表面の少なくとも一部に形成され、比抵抗が1.0×10−3Ωcmより大きく1.0×103Ωcm以下である被覆層と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池に関するものである。
近年、リチウムイオン二次電池の高電位化要求が高まっている。高電位化を実現すべく、より高電位で使用できる正極活物質の検討、高電位駆動の電池の検討など様々な検討が行われている。高電位におけるサイクル特性を上げるために正極に保護膜を形成する検討も行われている。
例えば特許文献1では、正極活物質層の上にマグネシアを含む無機粒子からなるフィラー粒子とバインダーとが含まれた被覆層が形成されている。特許文献1には被覆層にマグネシアが含まれると水とマグネシアが反応してアルカリ性となりフッ酸が生じてもこれを中和でき、正極活物質からコバルトが溶出するのを抑制できることが記載されている。そして特許文献1には、この被覆層を有することで、リチウムイオン二次電池は高電位において高温でのサイクル特性、保存特性に優れることが記載されている。しかしながら特許文献1にはこの被覆層の厚みは1μm以上4μm以下とされ、被覆層の厚みが1μm未満であると十分な効果が得られないことが記載されている。
基本的に被覆層の厚みは厚いほど、電池の内部抵抗の増大により、電池の充放電容量が低下する。また被覆層の厚みは厚いほど、電極における活物質量が少なくなり、電池のエネルギー密度が低下して、電池容量が低下する。そのため被覆層の厚みはより薄い方がより高い充放電容量を有することが出来る。
このことから、正極により薄い被覆層を有するリチウムイオン二次電池が望まれている。
本発明者らは、高電位において優れたサイクル特性および優れた充放電容量を有するリチウムイオン二次電池となる被覆層の材料について様々に検討した。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、高電位において優れたサイクル特性および優れた充放電容量を有するリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者等が鋭意検討した結果、正極活物質層の表面に比抵抗が1.0×10−3Ωcmより大きく1.0×103Ωcm以下である被覆層を形成することにより、リチウムイオン二次電池が高電位において優れたサイクル特性および充放電容量を発揮できることを見いだした。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、集電体と、集電体の表面に形成された、正極活物質及び結着剤を含む正極活物質層と、正極活物質層の表面のすくなくとも一部に形成され、比抵抗が1.0×10−3Ωcmより大きく1.0×103Ωcm以下である被覆層と、を有することを特徴とする。
被覆層は、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ニッケル及び酸化インジウムから選ばれる少なくとも1つからなることが好ましい。
被覆層の厚みは10nm以上1μm未満であることが好ましい。
被覆層は、膜状をなす粒子の集合体よりなり、粒子の平均粒径は、正極活物質の平均粒径の1/10以下であることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用正極と、負極と、非水電解液と、を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、正極活物質層の表面の少なくとも一部に形成され、比抵抗が1.0×10−3Ωcmより大きく1.0×103Ωcm以下である被覆層を有する。正極表面には、ある程度は電気伝導性がある被覆層が形成される。正極表面に電気伝導性のある層が形成されると、正極表面に電気が伝導し、正極表面の反応ムラが抑制される。ここで被覆層の上記範囲の比抵抗はいわゆる半導体領域の比抵抗である。電気が伝導するという観点では電気伝導性がいいに越したことはない。しかしながら、被覆層の比抵抗が1.0×10−3Ωcm以下であると、電気が通り過ぎる。電気が通り過ぎることにより、被覆層を構成する物質が他の物質と反応して別の物質となってしまう。そのため、正極表面の反応ムラを抑制する効果が得られなくなる。
正極表面における反応ムラが抑制されることによって、正極表面における電界集中による正極の局所劣化が抑制される。そのため、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が向上する。
<リチウムイオン二次電池用正極>
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、集電体と、集電体の表面に形成された、正極活物質及び結着剤を含む正極活物質層と、正極活物質層の表面の少なくとも一部に形成され、比抵抗が1.0×10−3Ωcmより大きく1.0×103Ωcm以下である被覆層と、を有する。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、集電体と、集電体の表面に形成された、正極活物質及び結着剤を含む正極活物質層と、正極活物質層の表面の少なくとも一部に形成され、比抵抗が1.0×10−3Ωcmより大きく1.0×103Ωcm以下である被覆層と、を有する。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体の材料として、例えばステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅などの金属材料または導電性樹脂を挙げることができる。また集電体は、箔、シート、フィルムなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。
集電体は、その厚みが10μm〜100μmであることが好ましい。
正極活物質層は、集電体の表面に形成され、正極活物質及び結着剤を含む。正極活物質層はさらに導電助剤を含んでもよい。正極は、正極活物質および結着剤、並びに必要に応じて導電助剤を含む正極活物質層形成用組成物を調製し、さらにこの組成物に適当な溶剤を加えてペースト状にしてから、集電体の表面に塗布後、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成することができる。
正極活物質層形成用組成物の塗布方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いればよい。
粘度調整のための溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)などが使用可能である。
正極活物質としては、リチウム含有化合物あるいは他の金属化合物よりなるものを用いることができる。リチウム含有化合物としては、例えば、層状構造を有するリチウムコバルト複合酸化物、層状構造を有するリチウムニッケル複合酸化物、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物、一般式: LiCopNiqMnrDsO2 (Dはドープ成分であり、Al、Mg、Ti、Sn、Zn、W、Zr、Mo、Fe、Naからなる成分であり、必要に応じて添加される、p+q+r+s=1、0<p<1、0≦q<1、0≦r<1、0≦s<1)で表される層状構造を有するリチウムコバルト含有複合金属酸化物、一般式:LiMPO4で示されるオリビン型リチウムリン酸複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)、一般式:Li2MPO4Fで示されるフッ化オリビン型リチウムリン酸複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)、一般式:Li2MSiO4で示されるケイ酸塩系型リチウム複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)を用いることができる。また他の金属化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム若しくは二酸化マンガンなどの酸化物、または硫化チタン若しくは硫化モリブデンなどの二硫化物が挙げられる。
正極活物質は、オリビン型リチウムリン酸複合酸化物であることが好ましい。オリビン系材料は一般的に導電性が低いため、オリビン系材料からなる正極活物質は高抵抗正極活物質と称される。このような高抵抗の正極活物質を用いると本願の被覆層の効果が顕著となる。オリビン型リチウムリン酸複合酸化物としては、LiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、LiNiPO4が挙げられる。
また正極活物質は、化学式:LiMO2(MはNi,Co及びMnから選択される少なくとも1つである)で表されるリチウム含有酸化物よりなることが好ましく、さらに一般式: LiCopNiqMnrDsO2 (Dはドープ成分であり、Al、Mg、Ti、Sn、Zn、W、Zr、Mo、Fe、Naからなる成分であり、必要に応じて添加される、p+q+r+s=1、0<p≦1、0≦q<1、0≦r<1、0≦s<1)で表される層状構造を有するリチウムコバルト含有複合金属酸化物よりなることが好ましい。
リチウム含有酸化物としては、例えば、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2、LiCoO2、LiNi0.8Co0.2O2、LiCoMnO2を用いることができる。中でもLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2は、熱安定性の点で好ましい。
正極活物質はその平均粒径が1μm〜20μmである粉末形状であることが好ましい。正極活物質の平均粒径が1μmより小さいと正極活物質の比表面積が大きくなり正極活物質と電解液との反応面積が増える。そのため、正極活物質の平均粒径が1μmより小さいことは好ましくない。正極活物質の平均粒径が20μmより大きいとリチウムイオン二次電池の抵抗が大きくなり、リチウムイオン二次電池の出力特性が下がる。そのため、正極活物質の平均粒径が20μmより大きいことは好ましくない。正極活物質の平均粒径は粒度分布測定法によって計測できる。
結着剤は、上記正極活物質及び導電助剤を集電体に繋ぎ止める役割を果たす。結着剤として、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンおよびフッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリ酢酸ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリイミドおよびポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、並びにスチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴムを用いることができる。
導電助剤は、必要に応じて電極の導電性を高めるために添加される。導電助剤として、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(登録商標)(KB)、気相法炭素繊維(VGCF)等を単独でまたは二種以上組み合わせて使用することができる。導電助剤の使用量については、特に限定的ではないが、例えば、正極に含有される活物質100質量部に対して、1質量部〜30質量部程度とすることができる。
被覆層は正極活物質層の表面の少なくとも一部に形成される。被覆層は少なくとも隣り合う個々の正極活物質同士をつなぐように正極の表面を被覆していればよい。正極の表面に存在する正極活物質の少なくとも50%以上が被覆層によって電気的につながっていれば、正極の表面の反応ムラは抑制できると推測される。
またこの被覆層の比抵抗は1.0×10−3Ωcmより大きく1.0×103Ωcm以下である。この比抵抗の値はいわゆる半導体の比抵抗領域である。このような電気を通す被覆層が正極活物質層の表面を覆うように連続して被覆していることによって、正極の表面に電気が流れる連続した層が出来ることとなる。この被覆層により正極の表面の反応ムラが抑制される。
被覆層の比抵抗が1.0×10−3Ωcm以下であると、正極の表面に電気が通り過ぎる。そのため、被覆層を形成する物質は、電池内の物質、例えば電解液、を分解して被覆層の表面に被膜を形成してしまう。被膜が形成されると、被覆層による正極の表面の反応ムラを抑制する効果が得られない。また被覆層の比抵抗が1.0×103Ωcmより大きいと、正極の表面に電気が通りにくい。そのため、被覆層による正極の表面の反応ムラを抑制する効果が得られない。
比抵抗は1Ωcm以下であるとより好ましい。比抵抗が1Ωcm以下であると電極抵抗を被覆層が形成されていないものよりも下げることが出来る。電極抵抗が下がると、リチウムイオン二次電池の充放電容量を向上させることができる。
また被覆層は、電解液及び電解質の分解を促進しない物質からなることが好ましい。被覆層がこのような物質からなれば、この被覆層は、電極表面付近で進行しやすい電解液あるいは電解塩の分解反応を抑制することが出来る。
被覆層は、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ニッケル及び酸化インジウムから選ばれる少なくとも1つからなることが好ましい。これらの材料は電解液及び電解塩の分解反応をおこしにくい。また高電位においてもこれらの材料は電解液及び電解塩の分解反応をおこしにくい。
被覆層の厚みは10nm以上1μm未満であることが好ましく、20nm〜800nmであることがより好ましい。被覆層の厚みが10nm以上であれば、正極の表面の反応ムラを抑制し、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上することが出来る。被覆層の厚みが1μm未満であれば、電池内部の被覆層の占める体積を適正にすることができる。電池内の被覆層の占める体積が大きくなりすぎると、活物質の量等を減らさなければならなくなり、電池の充放電容量の低下につながり好ましくない。
被覆層は、正極の表面を覆うように連続的につながっていればよい。被覆層は、膜状に粒子またはフィラーが集合して形成されていてもよい。この場合、隣り合う粒子やフィラーは接触して、実質的に膜状となっていればよく、特に粒子同士やフィラー同士が一体化した膜を形成している必要はない。
例えば被覆層が粒子の集合体である場合、粒子の平均粒径は、正極活物質の平均粒径の1/10以下であることが好ましい。粒子の平均粒径が正極活物質の平均粒径の1/10以下であれば、粒子は正極の表面の凹凸に沿って隣り合う正極活物質を被覆することが出来る。
粒子はナノ粒子であることが好ましい。粒子がナノ粒子であると、被覆層の厚みを小さくすることができる。
図1に本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極を説明する模式図を示す。図1において、集電体1の上に正極活物質3が結着剤2によって結着されている。正極活物質3と結着剤2とから正極活物質層4が形成されている。正極活物質層4の上には被覆層5が形成されている。図1において被覆層5は粒子51の集合体となっており、複数の粒子51は正極活物質3及び結着剤2の表面の凹凸に沿って集合し、被覆層5を形成している。
隣り合う正極活物質3は被覆層5によって電気的につながっている。各正極活物質3において電気反応のムラがあっても、被覆層5によって電気がより均等に正極表面全体に流れる。そのため、正極全体としての反応ムラが低減する。
また正極活物質3は被覆層5によって被覆されているので、電解液などと直接接触しない。そのため、正極活物質による電極表面付近で進行しやすい電解液の分解反応が抑制される。
この正極活物質層へ被覆層を形成する方法は、特に限定されない。例えば、以下の方法で正極活物質層へ被覆層を形成できる。被覆層の材料を有機溶媒もしくは水に溶かして溶液を作成し、噴霧器を用いて正極活物質層の塗布面に噴霧し、有機溶媒又は水を揮発、除去することによって正極活物質層に被覆層を形成することができる。この場合の有機溶媒はエタノール、NMP、メタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)などが使用できる。水は蒸留水やイオン交換水など、不純物を取り除いたものが好ましい。
また被覆層の材料を粘度調整のための有機溶媒もしくは水に溶かしてペースト状の混合物を作成し、そのペースト状の混合物を正極活物質層上に塗布し、塗布後に乾燥することによって正極活物質層に被覆層を形成することができる。塗布方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いればよい。粘度調整のための有機溶媒としては、エタノール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)などが使用可能である。水は蒸留水やイオン交換水など、不純物を取り除いたものが好ましい。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用正極を有することを特徴とする。上記リチウムイオン二次電池用正極を有するリチウムイオン二次電池は、優れたサイクル性能を有する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用正極を有することを特徴とする。上記リチウムイオン二次電池用正極を有するリチウムイオン二次電池は、優れたサイクル性能を有する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、電池構成要素として、上記したリチウムイオン二次電池用正極に加えて、負極、セパレータ、電解液を用いる。
負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層を有する。負極活物質層は、負極活物質、結着剤を含み、必要に応じて導電助剤を含む。集電体、結着剤、導電助剤は正極で説明したものと同様である。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料、リチウムと合金化可能な元素、リチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物、あるいは高分子材料などを用いることができる。
炭素系材料としては、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類が挙げられる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
リチウムと合金化可能な元素は、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biの少なくとも1種を有するとよい。中でも、リチウムと合金化可能な元素は、珪素(Si)または錫(Sn)であるとよい。
リチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物としては、例えば、ZnLiAl、AlSb、SiB4、SiB6、Mg2Si、Mg2Sn、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、CoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、NbSi2、TaSi2、VSi2、WSi2、ZnSi2、SiC、Si3N4、Si2N2O、SiOv(0<v≦2)、SnOw(0<w≦2)、SnSiO3、LiSiOあるいはLiSnOなどが使用できる。リチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物は珪素化合物または錫化合物であることがよい。珪素化合物は、SiOx(0.5≦x≦1.5)であることがよい。錫化合物は、例えば、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金等)などが使用できる。
高分子材料としては、ポリアセチレン、ポリピロールなどが使用できる。
セパレータは正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータは、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミックス製の多孔質膜が使用できる。
電解液はリチウムイオン二次電池用に用いることのできる電解液が使用できる。電解液は、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質とを含んでいる。
例えば溶媒として環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類が使用できる。環状エステル類として、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン等が使用できる。鎖状エステル類として、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等が使用できる。エーテル類として、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等が使用できる。
また上記電解液に溶解させる電解質として、例えばLiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を使用することができる。
例えば、電解液として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの溶媒にLiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3などのリチウム塩を0.5mol/lから1.7mol/l程度の濃度で溶解させた溶液を使用することができる。
上記リチウムイオン二次電池は車両に搭載することができる。上記リチウムイオン二次電池は、優れたサイクル性能を有するため、そのリチウムイオン二次電池を搭載した車両は、寿命、出力の面で高性能となる。
車両としては、電池による電気エネルギーを動力源の全部または一部に使用する車両であればよく、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、電動フォークリフト、電気車椅子、電動アシスト自転車、電動二輪車が挙げられる。
以上、本発明のリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
<リチウムイオン二次電池用正極の作成>
(正極A)
まず正極活物質として平均粒子径が5μmのLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2と導電助剤としてアセチレンブラックと、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、それぞれ94質量部、3質量部、3質量部として混合し混合物とした。この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて、スラリーを作製した。
集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を準備した。集電体にスラリーをのせ、ドクターブレードを用いてスラリーが膜状になるように集電体に塗布した。得られたシートを80℃で20分間乾燥してNMPを揮発させて除去した。その後、ロ−ルプレス機により、集電体と集電体上の塗布物を強固に密着接合させた。この時電極密度は3.2g/cm2となるようにした。接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱した。加熱後の接合物を、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、正極Aとした。正極Aの厚さは50μm程度であった。
(正極A)
まず正極活物質として平均粒子径が5μmのLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2と導電助剤としてアセチレンブラックと、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、それぞれ94質量部、3質量部、3質量部として混合し混合物とした。この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて、スラリーを作製した。
集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を準備した。集電体にスラリーをのせ、ドクターブレードを用いてスラリーが膜状になるように集電体に塗布した。得られたシートを80℃で20分間乾燥してNMPを揮発させて除去した。その後、ロ−ルプレス機により、集電体と集電体上の塗布物を強固に密着接合させた。この時電極密度は3.2g/cm2となるようにした。接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱した。加熱後の接合物を、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、正極Aとした。正極Aの厚さは50μm程度であった。
(正極B)
平均粒子径が20nmの酸化アンチモンのナノ粒子を準備した。酸化アンチモン粒子をエタノールに分散した。噴霧器を用いて上記したエタノールに分散した酸化アンチモンを正極Aの表面に噴霧した。エタノールを揮発、除去することにより正極Aの表面に厚み50nmの酸化アンチモンナノ粒子の被覆層を形成した。これを正極Bとする。正極Bの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると被覆層は正極活物質層の表面に追随するように形成されていることが確認できた。
平均粒子径が20nmの酸化アンチモンのナノ粒子を準備した。酸化アンチモン粒子をエタノールに分散した。噴霧器を用いて上記したエタノールに分散した酸化アンチモンを正極Aの表面に噴霧した。エタノールを揮発、除去することにより正極Aの表面に厚み50nmの酸化アンチモンナノ粒子の被覆層を形成した。これを正極Bとする。正極Bの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると被覆層は正極活物質層の表面に追随するように形成されていることが確認できた。
(正極C)
平均粒子径が80nmのカーボンの粒子を準備した。カーボン粒子をエタノールに分散した。噴霧器を用いて上記したエタノールに分散したカーボン粒子を正極Aの表面に噴霧した。エタノールを揮発、除去することにより正極Aの表面に厚み200nmのカーボン粒子の被覆層を形成した。これを正極Cとする。正極Cの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると被覆層は正極活物質層の表面に追随するように形成されていることが確認できた。
平均粒子径が80nmのカーボンの粒子を準備した。カーボン粒子をエタノールに分散した。噴霧器を用いて上記したエタノールに分散したカーボン粒子を正極Aの表面に噴霧した。エタノールを揮発、除去することにより正極Aの表面に厚み200nmのカーボン粒子の被覆層を形成した。これを正極Cとする。正極Cの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると被覆層は正極活物質層の表面に追随するように形成されていることが確認できた。
(正極D)
平均粒子径が20nmのSnO2の粒子を準備した。SnO2粒子を純水に分散した。噴霧器を用いて上記した純水に分散したSnO2粒子を正極Aの表面に噴霧した。水を揮発、除去することにより正極Aの表面に厚み50nmのSnO2粒子の被覆層を形成した。これを正極Dとする。正極Dの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると被覆層は正極活物質層の表面に追随するように形成されていることが確認できた。
平均粒子径が20nmのSnO2の粒子を準備した。SnO2粒子を純水に分散した。噴霧器を用いて上記した純水に分散したSnO2粒子を正極Aの表面に噴霧した。水を揮発、除去することにより正極Aの表面に厚み50nmのSnO2粒子の被覆層を形成した。これを正極Dとする。正極Dの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると被覆層は正極活物質層の表面に追随するように形成されていることが確認できた。
<比抵抗測定>
上記正極B、C、Dの各被覆層材料を用いてガラス上に100nmの各被覆層を形成した。ガラス上の各被覆層の比抵抗値を四探針法にて計測した。その結果を上記正極B、C、Dの被覆層の各比抵抗値とした。正極Bの被覆層の比抵抗値は10Ωcm、正極Cの被覆層の比抵抗値は1.0×10―3Ωcm、正極Dの被覆層の比抵抗値は1Ωcmであった。
上記正極B、C、Dの各被覆層材料を用いてガラス上に100nmの各被覆層を形成した。ガラス上の各被覆層の比抵抗値を四探針法にて計測した。その結果を上記正極B、C、Dの被覆層の各比抵抗値とした。正極Bの被覆層の比抵抗値は10Ωcm、正極Cの被覆層の比抵抗値は1.0×10―3Ωcm、正極Dの被覆層の比抵抗値は1Ωcmであった。
<ラミネート型リチウムイオン二次電池作製>
(実施例1)
正極Bを正極として用いた実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を次のようにして作製した。
(実施例1)
正極Bを正極として用いた実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を次のようにして作製した。
負極は以下のように作製した。黒鉛粉末97質量部と、導電助剤としてアセチレンブラック1質量部と、結着剤として、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)1質量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部とを混合して混合物とした。この混合物を適量のイオン交換水に分散させてスラリーを作製した。このスラリーを負極用集電体である厚み20μmの銅箔にドクターブレードを用いて膜状になるように塗布した。スラリーを塗布した集電体を乾燥後プレスし、接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱した。所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、負極とした。負極の厚さは45μm程度であった。
正極Bおよび負極を用いて、ラミネート型リチウムイオン二次電池を製作した。詳しくは、正極Bおよび負極の間に、セパレータとしてポリプロピレン樹脂からなる矩形状シート(27×32mm、厚さ25μm)を挟装して極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに電解液を注入した。電解液としてエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネー(DEC)をEC:DEC=3:7(体積比)で混合した溶媒に1モルのLiPF6を溶解した溶液を用いた。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群および電解液が密閉されたラミネート型リチウムイオン二次電池を得た。なお、正極および負極は外部と電気的に接続可能なタブを備え、このタブの一部はラミネート型リチウムイオン二次電池の外側に延出している。以上の工程で、実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例2)
実施例1における正極Bを正極Dに変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1における正極Bを正極Dに変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1)
実施例1における正極Bを正極Aに変更した以外は実施例1と同様にして比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1における正極Bを正極Aに変更した以外は実施例1と同様にして比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例2)
実施例1における正極Bを正極Cに変更した以外は実施例1と同様にして比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1における正極Bを正極Cに変更した以外は実施例1と同様にして比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
<実施例1、比較例1及び比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量測定>
実施例1、比較例1及び比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量を測定した。充電は、25℃において1Cレート、電圧4.5VでCC充電(定電流定電圧充電)をした。CV充電は、電圧4.5Vにて一時間保持した。放電の際は3.0Vまで、0.33CレートでCC放電(定電流放電)を行った。この時の放電容量を測定し、初期容量とした。結果を表1に示した。
実施例1、比較例1及び比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量を測定した。充電は、25℃において1Cレート、電圧4.5VでCC充電(定電流定電圧充電)をした。CV充電は、電圧4.5Vにて一時間保持した。放電の際は3.0Vまで、0.33CレートでCC放電(定電流放電)を行った。この時の放電容量を測定し、初期容量とした。結果を表1に示した。
<実施例1、比較例1及び比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル特性評価>
実施例1、比較例1及び比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル特性を評価した。サイクル特性の評価としては、以下の条件で充放電を繰り返したサイクル試験を行い各サイクルの放電容量を測定した。充電の際は、25℃において1Cレート、電圧4.5VでCC充電(定電流充電)をした。放電の際は3.0V、1CレートでCC放電(定電流放電)を行った。この充放電を1サイクルとし、200サイクルまでサイクル試験を行った。サイクル試験後に電流レートが0.33Cの時の放電容量を測定し、サイクル試験後の0.33Cの時の放電容量をサイクル後容量とし、初期容量を基準にして容量維持率を計算した。容量維持率は次に示す式にて求めた。結果を表1に記す。
容量維持率(%)=(サイクル後容量/初期容量)×100
実施例1、比較例1及び比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル特性を評価した。サイクル特性の評価としては、以下の条件で充放電を繰り返したサイクル試験を行い各サイクルの放電容量を測定した。充電の際は、25℃において1Cレート、電圧4.5VでCC充電(定電流充電)をした。放電の際は3.0V、1CレートでCC放電(定電流放電)を行った。この充放電を1サイクルとし、200サイクルまでサイクル試験を行った。サイクル試験後に電流レートが0.33Cの時の放電容量を測定し、サイクル試験後の0.33Cの時の放電容量をサイクル後容量とし、初期容量を基準にして容量維持率を計算した。容量維持率は次に示す式にて求めた。結果を表1に記す。
容量維持率(%)=(サイクル後容量/初期容量)×100
表1に見られるように、実施例1、比較例1及び比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量は、比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量が若干高いが、ほとんど同等であった。特に比較例1と実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量を比較すると実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量は比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量に比べてほとんど下がらなかった。このことから酸化アンチモンの被覆層が正極活物質層の表面に形成されてもリチウムイオン二次電池の初期容量は低下しないことがわかった。
次に実施例1、比較例1及び比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の200サイクル後の容量維持率(%)を比較する。実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の容量維持率(90.7%)は比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の容量維持率(87.6%)に比べて向上していることがわかった。また比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池は正極活物質層の上にカーボンの被覆層を形成したものであるが、比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の容量維持率(67.8%)は比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の容量維持率(87.6%)よりも大幅に低下した。このことから比抵抗が小さく、電子伝導性が高い被覆層を形成するとかえってリチウムイオン二次電池のサイクル特性が下がることがわかった。サイクル試験後の比較例2の被覆層をSEMで観察すると、作成時よりも被覆層は膨張しており、サイクル試験中に被覆層が変質してしまったと推測される。
以上の結果から実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池は、比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池に比べて初期容量を低下させずにサイクル特性を向上できることがわかった。
<実施例1および比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の反応ムラ評価>
200サイクル試験後の実施例1及び比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を解体して、各負極の表面のカラー写真を撮影した。実施例1の負極のカラー写真は、比較例1の負極のカラー写真に比べて虹色の色ムラが大幅に低減した。この色はLiとカーボンが反応して出来た反応物または負極表面に出来た固体電解質界面被膜(SEI:Solid Electrolyte Interphase)によって発生する色と考えられる。色ムラは、負極の表面にLiが偏在することによっておこると考えられる。すなわち色ムラは正極の表面において反応ムラがおこっていることを示す。
200サイクル試験後の実施例1及び比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を解体して、各負極の表面のカラー写真を撮影した。実施例1の負極のカラー写真は、比較例1の負極のカラー写真に比べて虹色の色ムラが大幅に低減した。この色はLiとカーボンが反応して出来た反応物または負極表面に出来た固体電解質界面被膜(SEI:Solid Electrolyte Interphase)によって発生する色と考えられる。色ムラは、負極の表面にLiが偏在することによっておこると考えられる。すなわち色ムラは正極の表面において反応ムラがおこっていることを示す。
このカラー写真のデータを白黒のデータにし、白黒データにコントラストをつけてわかりやすくしたものを模式図として図2に示す。図2は実施例1及び比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル試験後の各負極の表面を示す模式図である。
図2より、実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の負極表面には比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の負極表面に比べて大幅に色ムラが少ないことがわかった。従って正極活物質層の上に酸化アンチモンの被覆層を形成することによって正極の表面における反応ムラを大幅に低減できたことがわかった。この正極の表面の反応ムラが減少することによって実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル特性が向上したと推測される。
<実施例2および比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗評価>
実施例2および比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗を測定した。セル抵抗(Ω)は、SOC(State of charge)20%時の電圧にて3Cレート、10秒放電にて測定した。セル抵抗の測定値が小さい方がリチウムイオン二次電池の内部損失が少ないことを示す。またセル抵抗は3Cレートで測定されているので、このセル抵抗の測定値は高レート特性を示す指標ともなる。
実施例2および比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗を測定した。セル抵抗(Ω)は、SOC(State of charge)20%時の電圧にて3Cレート、10秒放電にて測定した。セル抵抗の測定値が小さい方がリチウムイオン二次電池の内部損失が少ないことを示す。またセル抵抗は3Cレートで測定されているので、このセル抵抗の測定値は高レート特性を示す指標ともなる。
比較例1のセル抵抗は実施例2のセル抵抗の1.29倍であった。つまり実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池のほうが比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池よりもリチウムイオン二次電池の内部損失が少ないことがわかった。リチウムイオン二次電池の内部損失が少ない方がリチウムイオン二次電池の充放電容量が高くなる。また高レートにおいても実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池が比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池に比べて、リチウムイオン二次電池の内部損失が少ないことがわかった。上記の結果から正極表面に比抵抗が1Ωcm以下の被覆層を形成することにより電極の内部損失を低減できることがわかった。
<実施例2および比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル特性評価>
実施例2および比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル特性評価を以下のように行った。サイクル特性の評価としては、以下の条件で充放電を繰り返したサイクル試験を行い各サイクルの放電容量を測定した。充電の際は、60℃において1Cレート、電圧4.5VでCC充電(定電流充電)をした。放電の際は3.0V、1CレートでCC放電(定電流放電)を行った。この充放電を1サイクルとし、50サイクルまでサイクル試験を行った。初期放電容量を基準にして容量維持率を計算した。容量維持率は次に示す式にて求めた。結果を図3に記す。
容量維持率(%)=(各サイクルの放電容量/初期放電容量)×100
実施例2および比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル特性評価を以下のように行った。サイクル特性の評価としては、以下の条件で充放電を繰り返したサイクル試験を行い各サイクルの放電容量を測定した。充電の際は、60℃において1Cレート、電圧4.5VでCC充電(定電流充電)をした。放電の際は3.0V、1CレートでCC放電(定電流放電)を行った。この充放電を1サイクルとし、50サイクルまでサイクル試験を行った。初期放電容量を基準にして容量維持率を計算した。容量維持率は次に示す式にて求めた。結果を図3に記す。
容量維持率(%)=(各サイクルの放電容量/初期放電容量)×100
図3の結果から、60℃という高温において各サイクルの容量維持率は実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池のほうが比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池よりも高かった。50サイクル後において、比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の容量維持率が75%であったのに対して、実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の容量維持率は83%と大幅に向上した。
このことから正極表面に比抵抗が1Ωcmの被覆層を形成することにより60℃という高温においてもリチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させることが出来ることがわかった。
1:集電体、2:結着剤、3:正極活物質、4:正極活物質層、5:被覆層、51:粒子。
Claims (3)
- 集電体と、
該集電体の表面に形成された、正極活物質及び結着剤を含む正極活物質層と、
該正極活物質層の表面の少なくとも一部に形成され、比抵抗が1.0×10−3Ωcmより大きく1.0×103Ωcm以下である被覆層と、
を有し、
前記被覆層の厚みは10nm以上1μm未満であり、
前記被覆層は膜状をなす粒子の集合体よりなり、
前記被覆層は前記正極活物質層の表面を覆うように連続的につながっており、
前記被覆層は、酸化アンチモン及び酸化錫から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。 - 前記粒子の平均粒径は、前記正極活物質の平均粒径の1/10以下である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
- 請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極と、
負極と、
非水電解液と、
を有するリチウムイオン二次電池。
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