JP6136809B2 - リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は高温、高電圧使用環境下においても使用できることが要望されている。本明細書では4.3V以上の電圧で使用することを高電圧使用と定義する。しかし高温、高電圧で駆動された場合には、リチウムイオン二次電池は保存特性が悪化するという問題があった。
この原因として、高温、高電圧で駆動された場合、充電時に正極近傍で電解液の酸化分解が生じ、酸化分解により生じた酸などによって正極活物質などの金属成分が溶出することが考えられている。正極活物質から金属成分が溶出すると、正極の容量が下がる。
高温、高電圧の使用環境下における保存特性を上げるために正極に保護層を形成する検討が行われている。
特許文献1には、マグネシアを含む無機粒子からなるフィラー粒子とバインダーとが含まれた被覆層が正極活物質層の上に形成された正極が開示されている。この被覆層によれば、被覆層に含まれるマグネシアと水とが反応してアルカリ性となるため、電解液の酸化分解によりフッ酸が生じてもこれを中和でき、その結果正極活物質からコバルトが溶出するのを抑制することができる。従って、この被覆層を有するリチウムイオン二次電池は高電位において高温でのサイクル特性、保存特性に優れる。ここに特許文献1にはこの被覆層の厚みは1μm以上が好ましく、被覆層の厚みが1μm未満であると十分な効果が得られないことが記載されている。
基本的に被覆層が厚くなるほど、電池の内部抵抗が増大して、電池の充放電容量が低下する。また電池のエネルギー密度を維持しようとすると被覆層の厚みはより薄い方が好ましい。
このことから、高温、高電圧の使用環境下における保存特性を向上し充放電容量を低下させない、厚みの薄い被覆層が配置された正極を有するリチウムイオン二次電池が望まれている。
特開2008−53207号公報
本発明者らは、厚みの薄い被覆層を正極活物質層の表面に配置し、高温、高電圧の使用環境下における保存特性を向上させ、かつ電池容量及びレート特性の低下を抑制するリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者等が鋭意検討した結果、正極活物質層の表面に配置される被覆層において、特定範囲の平均粒径D50を有するフッ素樹脂の粉末を特定範囲の密度で含有する被覆層の厚みを0.2μm以上1μm以下とすることにより、リチウムイオン二次電池が高温、高電圧環境下でも優れた保存特性、レート特性及び充放電容量を発揮できることを見いだした。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、集電体と、集電体の表面に配置され、正極活物質と結着剤とを含む正極活物質層と、正極活物質層の表面に配置され、化学式(1)で示される構造単位を有するフッ素樹脂の粉末からなる被覆層と、を有し、フッ素樹脂の粉末の平均粒径D50は100nm以上300nm未満であり、被覆層の厚みは、0.2μm以上1μm以下であり、被覆層の密度は0.78g/cm以上1.76g/cm以下であることを特徴とする。
Figure 0006136809
化学式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立にH、FまたはClであり、R〜Rの少なくとも1つはFであり、nは20以上の整数である。
フッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
被覆層の密度は0.96g/cm以上1.76g/cm以下であることが好ましい。
被覆層は、フッ素樹脂の粉末をフロン類及び/またはプロパンからなる噴霧剤に分散させて、正極活物質層の表面に噴霧することにより形成されることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は上記リチウムイオン二次電池用正極を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法は、集電体の表面に正極活物質層を形成する正極活物質層形成工程と、フッ素樹脂の粉末をフロン類及び/またはプロパンからなる噴霧剤に分散させて、正極活物質層の表面に噴霧することにより正極活物質層の表面にフッ素樹脂の粉末からなる被覆層を形成する被覆層形成工程と、を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、高温、高電圧の使用環境下におけるリチウムイオン二次電池の保存特性を向上させ、かつ電池容量及びレート特性の低下を抑制することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法は、容易に本発明のリチウムイオン二次電池用正極を製造することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極を説明する模式図である。
<リチウムイオン二次電池用正極>
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、集電体と、集電体の表面に配置され、正極活物質と結着剤とを含む正極活物質層と、正極活物質層の表面に配置され、化学式(1)で示される構造単位を有するフッ素樹脂の粉末からなる被覆層と、を有する。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電または充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体の材料として、例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅などの金属材料または導電性樹脂を挙げることができる。特に、電気伝導性、加工性、価格の面から、集電体の材料としては、アルミニウムまたは銅が好ましい。集電体は、箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が、箔、シートまたはフィルムの場合は、集電体の厚みは10μm〜100μmであることが好ましい。
正極活物質層は、集電体の表面に形成され、正極活物質及び結着剤を含む。正極活物質層はさらに導電助剤を含んでもよい。
正極活物質としては、リチウム含有化合物あるいは他の金属化合物よりなるものを用いることができる。リチウム含有化合物としては、例えば、層状構造を有するリチウムコバルト複合酸化物、層状構造を有するリチウムニッケル複合酸化物、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物、一般式: LiCoNiMn (Dは、Al、Mg、Ti、Sn、Zn、W、Zr、Mo、Fe及びNaから選択される少なくとも一種、p+q+r+s=1、0<p<1、0≦q<1、0≦r<1、0≦s<1、0.8≦a<2.0、−0.2≦x−(a+p+q+r+s)≦0.2)で表される層状構造を有するリチウムコバルト含有複合金属酸化物、一般式:LiMPOで示されるオリビン型リチウムリン酸複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)、一般式:LiMPOFで示されるフッ化オリビン型リチウムリン酸複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)、一般式:LiMSiOで示されるケイ酸塩系型リチウム複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)を用いることができる。また他の金属化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム若しくは二酸化マンガンなどの酸化物、または硫化チタン若しくは硫化モリブデンなどの硫化物が挙げられる。
正極活物質は、化学式:LiMO(MはNi、Co及びMnから選択される少なくとも1つである)で表されるリチウム含有酸化物よりなることが好ましく、さらに上記した層状構造を有するリチウムコバルト含有複合金属酸化物よりなることが好ましい。
リチウム含有酸化物としては、例えば、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiCoO、LiNi0.8Co0.2、LiCoMnOを用いることができる。中でもLiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3は、熱安定性の点で好ましい。
正極活物質はその平均粒径D50が1μm〜20μmである粉末形状であることが好ましい。正極活物質の平均粒径D50が1μmより小さいと正極活物質の比表面積が大きくなり正極活物質と非水電解液との反応面積が増える。正極活物質の平均粒径D50が20μmより大きいとリチウムイオン二次電池の抵抗が大きくなり、リチウムイオン二次電池の出力特性が下がるおそれがある。平均粒径D50は、粒度分布測定法によって計測できる。平均粒径D50とはレーザー回析法による粒度分布測定における体積分布の積算値が50%に相当する粒子径のことである。つまり、平均粒径D50とは、体積基準で測定したメディアン径を意味する。
導電助剤は、必要に応じて電極の導電性を高めるために添加される。導電助剤として、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(登録商標)(KB)、気相法炭素繊維(VGCF)等を単独でまたは二種以上組み合わせて使用することができる。導電助剤の使用量については、特に限定的ではないが、例えば、正極に含有される活物質100質量部に対して、1質量部〜30質量部程度とすることができる。
結着剤は、上記正極活物質及び導電助剤を集電体に繋ぎ止める役割を果たす。結着剤として、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンおよびフッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリ酢酸ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリイミドおよびポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、並びにスチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴムを用いることができる。
集電体の表面に正極活物質層を配置するには、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に正極活物質を直接塗布すればよい。具体的には、正極活物質、結着剤及び必要に応じて導電助剤を含む正極活物質層形成用組成物を調製し、この組成物に適当な溶媒を加えてスラリーとする。結着剤は、あらかじめ結着剤を溶媒に溶解させた溶液または分散させた懸濁液としてから用いてもよい。上記溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)を例示できる。上記スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。乾燥は、常圧条件で行ってもよいし、真空乾燥機を用いた減圧条件下で行ってもよい。乾燥温度は適宜設定すればよく、上記溶媒の沸点以上の温度が好ましい。乾燥時間は塗布量及び乾燥温度に応じ適宜設定すればよい。正極活物質層の密度を高めるべく、乾燥により正極活物質層を形成させた後の集電体に対し、圧縮工程を加えてもよい。
被覆層は、正極活物質層の表面に配置され、化学式(1)で示される構造単位を有するフッ素樹脂の粉末からなる。
Figure 0006136809
化学式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立にH、FまたはClであり、R〜Rの少なくとも1つはFであり、nは20以上の整数である。なお、被覆層は上記フッ素樹脂粉末からなるが、被覆層には製造工程などで不可避的に混入される不純物が含有されていてもよい。
上記化学式(1)で示される構造単位を有するフッ素樹脂は、結着性を有し、正極活物質層の表面に良好に結着する。また上記フッ素樹脂は、電解液とのぬれ性が悪く電解液を遠ざける性質がある。そのため上記フッ素樹脂の粉末が正極活物質層の表面に結着性よく配置されることで、正極活物質層の表面と電解液との反応面積を小さくし、電解液が正極活物質によって劣化するのが抑制される。
化学式(1)で示される構造単位を有するフッ素樹脂として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)が挙げられる。PTFEは耐酸化性に優れているため、フッ素樹脂は、PTFEであることが好ましい。
化学式(1)で示される構造単位を有するフッ素樹脂の好ましい分子量は、質量平均分子量で1,000以上1000万以下であり、より好ましくは10万以上200万以下である。フッ素樹脂の質量平均分子量が1000より小さいと、フッ素樹脂の結着性が十分ではなく、フッ素樹脂の質量平均分子量が1000万より大きいと加工性が悪くなる。
被覆層は、フッ素樹脂の粉末からなる。被覆層は、粉末からなるため、粉末同士の間に形成された空隙を有する多孔質の層となる。
フッ素樹脂の粉末の平均粒径D50は100nm以上300nm未満であり、被覆層の厚みは、0.2μm以上1μm以下であり、被覆層の密度は0.78g/cm以上1.76g/cm以下である。上記被覆層は、粒子径の小さな粉末が充填された厚みの薄い層である。
被覆層は厚みが薄いので、被覆層の密度が高くても電解液は被覆層を通り抜ける。また被覆層の厚みが薄く、被覆層を電解液が通り抜ける距離が小さいため、被覆層は電解液が通り抜けるのに対して大きな抵抗とはならない。また粒子径の小さな粉末が充填された被覆層は、正極活物質層を良好に保護する。
被覆層の厚みが1μmより厚くなると抵抗が高くなり、被覆層の厚みが、0.2μmより薄くなると正極活物質層を保護する効果が小さくなる。被覆層の厚みは0.2μm以上
0.8μm以下であることが好ましい。
フッ素樹脂の粉末の平均粒径D50が小さい程、被覆層にフッ素樹脂の粉末を密に充填しやすく、被覆層の密度を上げるのに有利である。被覆層の密度が高いほうが正極活物質層を保護する効果は高まる。フッ素樹脂の粉末の平均粒径D50が300nm以上となると、被覆層の密度が低下し、正極活物質層を保護する効果が低下する。フッ素樹脂の粉末の平均粒径D50は100nm以上200nm以下であることがより好ましい。
上記被覆層の空隙率は、20%以上55%以下であることが好ましい。空隙率が20%より小さいと電解液が通り抜けにくく、空隙率が55%より大きいと正極活物質層を保護する効果が低下する。被覆層の空隙率は、23%以上50%以下であることがより好ましく、25%以上45%以下であることがさらに好ましい。
本発明では「空隙率」は実測密度を材料真密度で除して求めた値とする。従って実測密度は、空隙率をある程度の範囲とし、材料を決めることで推測できる。
ここで、例えば、PTFEの真密度は2.14g/cm〜2.2g/cmであり、PVDFの真密度は1.75g/cm〜1.78g/cmであり、PFAの真密度は2.12g/cm〜2.17g/cmであり、FEPの真密度は2.12g/cm〜2.17g/cmであり、PCTFEの真密度は2.1g/cm〜2.2g/cmである。
この値を用いて、本発明の被覆層の密度の範囲を規定した。被覆層の空隙率を、20%以上55%以下とした場合、被覆層の材料にPTFEを用いると、被覆層の密度は、0.96g/cm〜1.76g/cmの範囲を示し、また、被覆層の材料にPVDFを用いると、被覆層の密度は、0.7875g/cm〜1.42g/cmの範囲を示し、被覆層の材料にPFAを用いると、被覆層の密度は、0.954g/cm〜1.736g/cmの範囲を示し、被覆層の材料にFEPを用いると、被覆層の密度は、0.954g/cm〜1.736g/cmの範囲を示し、被覆層の材料にPCTFEを用いると、被覆層の密度は、0.945g/cm〜1.76g/cmの範囲を示す。従って、本発明では被覆層の密度は0.78g/cm以上1.76g/cm以下とする。
被覆層の密度は0.78g/cm未満であると正極活物質層を保護する効果が低下し、被覆層の密度が1.76g/cmより大きいと電解液が通りにくく、抵抗が高くなる。被覆層の密度は0.96g/cm以上1.76g/cm以下であることがより好ましい。
図1に本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極を説明する模式図を示す。図1において、集電体1の上に正極活物質3が結着剤2によって結着されている。正極活物質3と結着剤2とから正極活物質層4が形成されている。正極活物質層4の上には被覆層5が形成されている。図1において被覆層5はフッ素樹脂の粉末51の集合体となっており、フッ素樹脂の粉末51同士の間に空隙52が配置される。複数のフッ素樹脂の粉末51は正極活物質3及び結着剤2の表面の凹凸に沿って集合し、被覆層5を形成している。
また電極表面付近の正極活物質3は被覆層5によって被覆されているので、電解液などと直接接触しない。そのため、電極表面付近の正極活物質によっておこりやすい電解液の分解反応が抑制される。
この正極活物質層へ被覆層を形成する方法は、特に限定されない。例えば、以下の方法で正極活物質層へ被覆層を形成できる。フッ素樹脂の粉末を有機溶媒もしくは水に溶かして溶液状もしくはペースト状の混合物を作成し、正極活物質層上に塗布し、塗布後に乾燥し、有機溶媒または水を揮発、除去することによって正極活物質層に被覆層を形成することができる。塗布方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スプレーコート法などの従来から公知の方法を用いればよい。有機溶媒としては、エタノール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)などが使用可能である。水は蒸留水やイオン交換水など、不純物を取り除いたものが好ましい。
また被覆層は、フッ素樹脂の粉末をフロン類及び/またはプロパンからなる噴霧剤に分散させて、正極活物質層の表面に噴霧することにより形成することができる。フッ素樹脂は結着性があるため、フッ素樹脂の粉末は噴霧剤と共に正極活物質層に噴霧され、正極活物質層に叩き付けられることによって、フッ素樹脂の粉末は良好に正極活物質層に結着する。噴霧剤は噴霧時に霧散し、被覆層の中には残らない。そのため乾燥工程などの噴霧剤を取り除く工程は不要である。フッ素樹脂の粉末を噴霧剤に分散させて噴霧することによって、より厚みの薄い被覆層を形成することができる。
噴霧剤としては、例えばパーフルオロカーボン、フルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンまたはそれらの混合物が挙げられる。噴霧剤として、具体的には、ヒドロフルオロアルカン、1、1、1、2−テトラフルオロエタン、1、1、1、2、3、4、4、5、5、5デカフルオロペンタン、1、1、1、2、3、3、3−ヘプタフルオロ−n−プロパンまたはそれらの混合物が挙げられる。
<リチウムイオン二次電池用正極の製造方法>
本発明のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法は、集電体の表面に正極活物質層を形成する正極活物質層形成工程と、フッ素樹脂の粉末をフロン類及び/またはプロパンからなる噴霧剤に分散させて、正極活物質層の表面に噴霧することにより正極活物質層の表面にフッ素樹脂の粉末からなる被覆層を形成する被覆層形成工程と、を有することを特徴とする。
正極活物質層形成工程は、特に限定されず上記リチウムイオン二次電池用正極においてで説明した方法が適宜使用できる。
被覆層形成工程において、フッ素樹脂の粉末をフロン類及び/またはプロパンからなる噴霧剤に分散させて噴霧してフッ素樹脂の粉末からなる被覆層を形成することによって、被覆層の厚みをより薄くすることができる。フッ素樹脂は結着性があるため、フッ素樹脂の粉末は、噴霧剤と共に正極活物質層に噴霧されることによって、良好に正極活物質層に結着し、被覆層を形成する。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用正極を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池は、電池構成要素として、上記したリチウムイオン二次電池用正極に加えて、負極、セパレータ、電解液を含む。
負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層を有する。負極活物質層は、負極活物質、結着剤を含み、必要に応じて導電助剤を含む。集電体、結着剤、導電助剤は正極で説明したものと同様である。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料、リチウムと合金化可能な元素、リチウムと合金化可能な元素を有する化合物、あるいは高分子材料などを用いることができる。
炭素系材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類が挙げられる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
リチウムと合金化可能な元素は、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biである。中でも、リチウムと合金化可能な元素は、珪素(Si)または錫(Sn)であるとよい。
リチウムと合金化可能な元素を有する化合物としては、例えば、ZnLiAl、AlSb、SiB、SiB、MgSi、MgSn、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<v≦2)、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSiOあるいはLiSnOが使用できる。リチウムと合金化可能な元素を有する化合物としては、珪素化合物または錫化合物が好ましい。珪素化合物としては、SiO(0.5≦x≦1.6)が好ましい。錫化合物としては、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金等)を例示できる。
高分子材料としては、ポリアセチレン、ポリピロールを例示できる。
セパレータは正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータは、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミックス製の多孔質膜が使用できる。
電解液は、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質とを含んでいる。
溶媒として、例えば、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類が使用できる。環状エステル類として、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンが使用できる。鎖状エステル類として、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステルが使用できる。エーテル類として、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンが使用できる。
また上記電解液に溶解させる電解質として、例えば、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を使用することができる。
電解液として、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの溶媒にLiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/lから1.7mol/l程度の濃度で溶解させた溶液を使用することができる。
上記リチウムイオン二次電池は車両に搭載することができる。上記リチウムイオン二次電池は、優れたサイクル性能を有するため、そのリチウムイオン二次電池を搭載した車両は、寿命、出力の面で高性能となる。
車両としては、電池による電気エネルギーを動力源の全部または一部に使用する車両であればよく、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、電動フォークリフト、電気車椅子、電動アシスト自転車、電動二輪車が挙げられる。
以上、本発明のリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
<リチウムイオン二次電池用正極の作成>
(正極A)
まず正極活物質として平均粒径D50が5μmのLiNi0.5Co0.2Mn0.3と導電助剤としてアセチレンブラックと、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、それぞれ94質量部、3質量部、3質量部として混合し混合物とした。この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて、スラリーを作製した。
集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を準備した。集電体にスラリーをのせ、ドクターブレードを用いてスラリーが膜状になるように集電体に塗布した。得られたシートを80℃で20分間乾燥してNMPを揮発させて除去した。その後、ロ−ルプレス機により、集電体と集電体上の塗布物を強固に密着接合させた。この時電極密度は3.2g/cmとなるようにした。接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱した。加熱後の接合物を、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、正極Aとした。正極Aの厚さは40μm程度であった。
(正極B)
平均粒径D50が100nmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(質量平均分子量100万)の粒子を準備した。PTFEの粒子をパーフルオロカーボン、1、1、1、2、3、4、4、5、5、5デカフルオロペンタン、及び炭酸ガスの混合物からなる噴霧剤に分散した。噴霧剤とPTFEの粒子との合計質量に対するPTFEの粒子の濃度は0.1質量%とした。噴霧器を用いて上記した噴霧剤に分散したPTFEの粒子を正極Aの表面に噴霧回数を1回として噴霧し、正極Aの表面に厚み0.2μmの被覆層を形成した。噴霧回数1回の噴霧時間は噴霧範囲における単位面積当たり5秒とした。被覆層はPTFEの粒子が集合して多孔質状になっており、PTFEの粒子は正極活物質層の表面に良好に結着した。これを正極Bとする。正極Bの被覆層に含まれるPTFEの粒子の密度は、1.4g/cmであった。密度は被覆層の質量及び被覆層の体積から算出した。被覆層の質量は被覆層形成後の正極の質量から被覆層形成前の正極の質量を引いて求めた。被覆層の体積は実測した被覆層の厚みと、被覆層の表面積から算出した。
また正極Bの被覆層の空隙率は36%であった。空隙率は上記実測密度を材料真密度で除して求めた。ここでPTFEの真密度は2.2g/cmとした。
なお、正極Bの被覆層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、被覆層におけるPTFEの粒子の粒径を測定したところ、材料としてのPTFEの粒子の平均粒径D50である100nmと同等であった。
(正極C)
噴霧回数を3回とした以外は正極Bと同様にして正極Aの表面に厚み0.5μmの被覆層を形成した。これを正極Cとする。噴霧回数を3回としたとは具体的には、噴霧範囲全体に1回噴霧した後で、2回目の噴霧を1回目の噴霧した箇所に1回目の噴霧と同様に行い、3回目の噴射も2回目の噴霧した箇所に1回目の噴霧と同様に再度行ったことで行った。被覆層は正極活物質層の表面に良好に結着した。正極Cの被覆層に含まれるPTFEの粒子の密度は、1.6g/cmであった。また正極Cの被覆層の空隙率は36%であった。ここで正極Cの被覆層のPTFEの粒子の密度は、正極Bの被覆層のPTFEの粒子の密度よりも高くなった。噴霧回数を増やすと被覆層のPTFEの粒子の密度が上がることがわかった。
正極Cの被覆層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、被覆層におけるPTFEの粒子の粒径を測定したところ、材料としてのPTFEの粒子の平均粒径D50である100nmと同等であった。
(正極D)
噴霧回数を8回とした以外は正極Bと同様にして正極Aの表面に厚み1μmの被覆層を形成した。これを正極Dとする。正極Dの被覆層に含まれるPTFEの粒子の密度は、
1.6g/cmであった。また正極Dの被覆層の空隙率は28%であった。ここで正極Dの被覆層のPTFEの粒子の密度は、正極B及び正極Cの被覆層のPTFEの粒子の密度よりも高くなった。また正極Dの被覆層の空隙率は、正極B及び正極Cの被覆層の空隙率よりも低くなった。さらに噴霧回数を増やすと被覆層のPTFEの粒子の密度が上がり、被覆層の空隙率は下がることがわかった。正極Dの被覆層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、被覆層におけるPTFEの粒子の粒径を測定したところ、材料としてのPTFEの粒子の平均粒径D50である100nmと同等であった。
(正極E)
平均粒径D50が300nmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(質量平均分子量100万)の粒子を準備し、噴霧剤とPTFEの粒子との合計質量に対するPTFEの粒子の濃度は0.1質量%とし、噴霧回数を5回とした以外は、正極Bと同様にして正極Aの表面に厚み1μmの被覆層を形成した。これを正極Eとする。正極Eの被覆層に含まれるPTFEの粒子の密度は、1.2g/cmであった。また正極Eの被覆層の空隙率は45%であった。正極Eの被覆層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、被覆層におけるPTFEの粒子の粒径を測定したところ、材料としてのPTFEの粒子の平均粒径D50である300nmと同等であった。
(正極F)
平均粒径D50が500nmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(質量平均分子量100万)の粒子を準備し、噴霧剤とPTFEの粒子との合計質量に対するPTFEの粒子の濃度は0.1質量%とし、噴霧回数を5回とした以外は、正極Bと同様にして正極Aの表面に厚み1μmの被覆層を形成した。これを正極Fとする。正極Fの被覆層に含まれるPTFEの粒子の密度は、1.0g/cmであった。また正極Fの被覆層の空隙率は55%であった。正極Fの被覆層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、被覆層におけるPTFEの粒子の粒径を測定したところ、材料としてのPTFEの粒子の平均粒径D50である500nmと同等であった。
被覆層の厚みが同じで、PTFE粒子の平均粒径D50が異なる正極Dと、正極Eと、正極Fとを比較すると、PTFE粒子の平均粒径D50が大きくなるにつれて、被覆層の密度は低くなり、被覆層の空隙率が大きくなることがわかった。
<ラミネート型リチウムイオン二次電池作製>
(実施例1)
正極Bを正極として用いた実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を次のようにして作製した。
負極は以下のように作製した。黒鉛粉末97質量部と、導電助剤としてアセチレンブラック1質量部と、結着剤として、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)1質量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部とを混合して混合物とした。この混合物を適量のイオン交換水に分散させてスラリーを作製した。このスラリーを負極用集電体である厚み20μmの銅箔にドクターブレードを用いて膜状になるように塗布した。スラリーを塗布した集電体を乾燥後プレスし、接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱した。所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、負極とした。負極の厚さは45μm程度であった。
正極Bおよび負極を用いて、ラミネート型リチウムイオン二次電池を製作した。詳しくは、正極Bおよび負極の間に、セパレータとしてポリプロピレン樹脂からなる矩形状シート(27×32mm、厚さ25μm)を挟装して極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに電解液を注入した。電解液としてエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネー(DEC)をEC:DEC=3:7(体積比)で混合した溶媒に1モルのLiPF6を溶解した溶液を用いた。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群および電解液が密閉されたラミネート型リチウムイオン二次電池を得た。なお、正極および負極は外部と電気的に接続可能なタブを備え、このタブの一部はラミネート型リチウムイオン二次電池の外側に延出している。以上の工程で、実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例2)
実施例1における正極Bを正極Cに変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例3)
実施例1における正極Bを正極Dに変更した以外は実施例1と同様にして比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1)
実施例1における正極Bを正極Aに変更した以外は実施例1と同様にして比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例2)
実施例1における正極Bを正極Eに変更した以外は実施例1と同様にして比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例3)
実施例1における正極Bを正極Fに変更した以外は実施例1と同様にして比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
<ラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量測定>
実施例1〜3及び比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量を測定した。充電は、25℃において0.33Cレート、電圧4.5VでCCCV充電、CV時間3時間(定電流定電圧充電)をした。放電の際は3.0Vまで、0.33CレートでCCCV放電、CV時間3時間(定電流定電圧放電)を行った。この時の放電容量を測定し、初期容量とした。結果を表1に示電圧4.5VでCC充電(定電流定電圧充電)をした。CV充電は、電圧4.5Vにて3時間保持した。放電の際は3.0Vまで、0.33CレートでCC放電(定電流放電)を行った。この時の放電容量を測定し、初期容量とした。結果を表1に示す。
<ラミネート型リチウムイオン二次電池の60℃保存特性評価>
実施例1〜3及び比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池の60℃保存特性を評価した。60℃保存特性評価としては、実施例1〜3および比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池を以下の条件で充放電試験を一回行い、再度充電した電池を60℃で2週間放置して行った。充電は25℃においてSOC(State of charge)90%時の電圧(4.3V)で、0.33CレートでCCCV充電(定電流定電圧充電)をした。電圧は3時間保持した。放電の際は3.0V、0.33CレートでCC放電(定電流放電)を行った。
この60℃保存特性評価後の放電容量を初期容量測定と同様にして測定し、60℃保存後容量とした。結果を表1に示す。なお60℃保存後容量維持率(%)は60℃保存後容量/初期容量×100の式で計算した。
<ラミネート型リチウムイオン二次電池のレート特性評価>
実施例1〜3及び比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池のレート特性を評価した。電圧範囲を4.5V−3.0Vとして1時間で放電する電流レートを1Cとする。電流レートが0.33C、1Cの時の放電容量を測定した。電流レートが0.33Cの時の容量を基準とし、1C容量/0.33C容量の割合を%で表示した。結果を表1に示す。
Figure 0006136809
表1に見られるように、実施例1〜3及び比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量は、ほとんど同等であった。特に比較例1と実施例1及び実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量を比較すると実施例1及び実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量は比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量に比べてほとんど下がらなかった。
次に実施例1〜3及び比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池の保存後容量及び60℃保存後容量維持率(%)を比較する。実施例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池の60℃保存後容量維持率(%)は、すべて90%以上であり、比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の容量維持率(81.2%)に比べて大幅に向上していることがわかった。また比較例2及び比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池は正極活物質層の上にPTFEの粒子からなる厚み1μmの被覆層を形成したものであるが、比較例2及び比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池の60℃保存後容量維持率は比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の60℃保存後容量維持率とほとんどかわらなかった。比較例2及び比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池では、被覆層のPTFE粒子の平均粒径D50が300nm以上である。比較例2及び比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池の被覆層と、被覆層の厚みが同じである実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池の被覆層とを比べると、被覆層の密度が低く、被覆層の空隙率が大きいことがわかる。そのためPTFE粒子の平均粒径D50が300nm以上である被覆層があっても、60℃保存特性がほとんど向上せず、被覆層の保護効果が低いことがわかった。
次に実施例1〜3及び比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池のレート特性を比較する。実施例1〜3及び比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池のレート特性はほとんど変わらなかった。特に実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のレート特性は比較例1〜比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池のレート特性と同等であり、被覆層の密度が1.4g/cm程度であると特にレート特性が高いことがわかった。
上記の結果から、平均粒径D50が100nm以上300nm未満であるフッ素樹脂の粉末からなり、密度が0.78g/cm以上1.76g/cm以下とする被覆層を、厚みを0.2μm以上1μm以下にして正極活物質層の表面に配置することによって、被覆層の厚みが1μm以下という薄さであっても、高温、高電圧の使用環境下において、充放電容量及びレート特性をほとんど下げずに、保存特性を大幅に向上できることがわかった。
1:集電体、2:結着剤、3:正極活物質、4:正極活物質層、5:被覆層、51:フッ素樹脂の粉末、52:空隙。

Claims (4)

  1. 集電体の表面に正極活物質層を形成する正極活物質層形成工程と、
    フッ素樹脂の粉末をフロン類及び/またはプロパンからなる噴霧剤に分散させて、前記正極活物質層の表面に噴霧することにより、前記正極活物質層の表面にフッ素樹脂の粉末からなる被覆層を形成する被覆層形成工程と、
    を有し、
    前記フッ素樹脂は、化学式(1)で示される構造単位を有し、
    前記フッ素樹脂の粉末の平均粒径D 50 は100nm以上300nm未満であり、
    前記被覆層の厚みは、0.2μm以上1μm以下であり、
    前記被覆層の密度は0.78g/cm 以上1.76g/cm 以下である、
    ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。
    Figure 0006136809
    化学式(1)において、R 〜R は、それぞれ独立にH、FまたはClであり、R 〜R の少なくとも1つはFであり、nは20以上の整数である。
  2. 前記フッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。
  3. 前記被覆層の密度は0.96g/cm以上1.76g/cm以下である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法で得られたリチウムイオン二次電池用正極を用いるリチウムイオン二次電池の製造方法。
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