JP6300021B2 - リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、充放電容量が高く、高出力化が可能な二次電池である。現在、主として携帯電子機器用の電源として用いられており、更に、今後普及が予想される電気自動車用の電源として期待されている。
リチウムイオン二次電池は、リチウム(Li)を挿入及び脱離することができる活物質を正極及び負極にそれぞれ有する。そして、両極間に設けられた電解液内をリチウムイオンが移動することによって動作する。リチウムイオン二次電池において、正極の活物質としてリチウムコバルト複合酸化物等のリチウム含有金属複合酸化物が主に用いられ、負極の活物質としては多層構造を有する炭素材料が主に用いられている。
リチウムイオン二次電池はさらなる高容量化が求められ、例えば負極活物質として炭素材料よりも高容量な珪素や珪素酸化物などの珪素系材料が検討されている。珪素系材料の理論容量は炭素材料の理論容量の約5倍〜6倍である。負極活物質に珪素系材料を用いてリチウムイオン二次電池を高容量化するには、負極の理論容量にあわせて正極の容量も上げなければならない。
正極の容量は、活物質の種類、活物質の配合比だけでなく正極の正極活物質層の目付け(g/cm)によってもコントロール可能である。正極の正極活物質層の目付けとは、正極の集電体の正極活物質層の形成される面の単位面積当たりの正極活物質層の質量を意味する。一般的に正極の容量を大幅に増やしたい場合は、正極の正極活物質層の目付けを増やし、それにより正極中の正極活物質の含有量を増やす手法がとられる。また正極の正極活物質層の目付けを増やすことに伴って正極の厚みが増えることもある。
正極活物質は一般的に導電性が低い。正極中の正極活物質の含有量を多くすると、正極の抵抗が増大する。一般的に電極の抵抗を下げるには導電助剤を加えて電極内に良好な導電パスを形成してやればよい。導電パスは電子が流れる道を意味する。
従来から電極内に良好な導電パスを形成するために様々な検討が行われている。例えば、導電助剤の種類や配合量の検討が行われている。
特許文献1には、平均粒径が100nm以下の炭素質物A及び平均粒径が1μm以上の炭素質物Bを含む導電剤を用いたリチウム二次電池が開示されている。特許文献1には平均粒径が異なる2種類の炭素質物を用いることで二次電池の大電流放電特性及びサイクル特性が向上すると記載されている。また特許文献1には、平均粒径が100nm以下の炭素質物Aの含有量は、炭素質物A及び炭素質物Bの含有量の和に対して25重量%以上かつ50重量%以下にするのが好ましいと記載されている。
特許文献2には、導電剤として鱗片状黒鉛と無定形炭素とを含有するリチウムイオン二次電池用正極が開示され、鱗片状黒鉛の正極における含有量を3質量%以上7質量%以下とし、鱗片状黒鉛と無定形炭素との質量比を鱗片状黒鉛:無定形炭素=6:4〜7:2とすることにより、正極の導電性が向上し、電池の容量が向上すると記載されている。
また特許文献3には、グラファイト粉末と無定形炭素粉末とからなる導電剤と、リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質と、結着剤とからなる正極合剤層を有し、正極合剤層の空孔率が26%以上39%以下であり、無定形炭素粉末が導電剤中に10質量%〜30質量%含有されている非水電解質二次電池が記載されている。特許文献3には、この非水電解質二次電池は電極抵抗を低くでき、電池の負荷特性に優れていることが記載されている。導電剤中における無定形炭素粉末の含有量が30質量%を超えると正極合剤層の圧縮を行っても、正極合剤層を十分に薄くすることができず、電極充填密度が小さくなって電池容量が不足するため好ましくないと記載されている。また空孔率が小さいと非水電解液に対する接触面積が十分に確保されないので好ましくないと記載されている。
ただし上記特許文献1〜3に記載の発明では、正極中の正極活物質の含有量が多い場合でも正極の抵抗の増加を抑制できるか否かは不明である。
特開2000−21407号公報 特開2003−331922号公報 特許第3435731号公報
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、リチウムイオン二次電池の高容量化を狙って仮に正極活物質の含有量を増やしたとしても、正極での抵抗の増加を抑制できるリチウムイオン二次電池用正極及びそれを有するリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、集電体と、集電体に結着された正極活物質層とからなり、正極活物質層は正極活物質と、導電助剤と、結着剤とを有し、導電助剤は、鱗片状黒鉛と非晶質炭素とからなり、非晶質炭素の含有量は、鱗片状黒鉛の含有量の1倍以上5倍以下であり、正極活物質層の空隙率は24%以上28%以下であることを特徴とする。
ここで空隙率は以下の式で算出する。
空隙率(%)=(正極活物質層の見かけの体積−正極活物質層の材料の体積)÷正極活物質層の見かけの体積×100
正極活物質層の見かけの体積=正極活物質層の実測厚み×集電体の正極活物質層の形成された面の面積
正極活物質層の材料の体積=正極活物質の質量÷正極活物質の真密度+鱗片状黒鉛の質量÷鱗片状黒鉛の真密度+非晶質炭素の質量÷非晶質炭素の真密度+結着剤の質量÷結着剤の真密度
正極活物質の平均粒径D50は5μm〜15μmであり、鱗片状黒鉛の平均粒径D50は1μm以上、かつ正極活物質の平均粒径D50以下であり、非晶質炭素の平均粒径D50は10nm以上100nm以下であることが好ましい。
なお、平均粒径D50とはレーザー回析法による粒度分布測定における体積分布の積算値が50%に相当する粒子径を意味する。つまり、平均粒径D50とは、体積基準で測定したメディアン径を意味する。
導電助剤の含有量は正極活物質層全体を100質量%としたときに2質量%より多く7質量%未満であることが好ましい。
正極活物質層の目付けは17mg/cm以上30mg/cm以下であることが好ましい。
正極活物質層の密度は2.9g/cm以上3.3g/cm以下であることが好ましい。正極活物質層の密度とは、正極活物質層の見かけの体積当たりの正極活物質層の質量を意味する。
本発明のリチウムイオン二次電池は上記リチウムイオン二次電池用正極を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極とすれば、正極活物質同士の間及び正極活物質と集電体との間に鱗片状黒鉛と非晶質炭素とによる良好な導電パスを形成できる。このため、仮に正極中の正極活物質の含有量を増やしても正極の抵抗の増加を抑制できる。また正極活物質層の空隙率が適切な量であるため、仮に正極中の正極活物質の含有量が増えて正極活物質層の厚さが厚くなってもリチウムイオンの移動は円滑に行われ、容量特性が低下するのを抑制できる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極の好ましい一態様を模式的に表す断面図である。 実施例1〜4、比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗の値を比較するグラフである。 実施例2、実施例5、比較例4及び比較例5のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗と空隙率を比較するグラフである。
<リチウムイオン二次電池用正極>
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、集電体と、集電体に結着された正極活物質層とからなる。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
正極活物質層は正極活物質と、導電助剤と、結着剤とを含む。正極活物質層は更に空隙を含む。
正極活物質としては、例えば、層状化合物のLiNiCoMn(0.2≦a≦1.2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn等のスピネル、スピネルと層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。また、正極活物質として、充放電に寄与するリチウムイオンを含まない正極活物質材料、たとえば、硫黄単体(S)、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiSなどの金属硫化物、V、MnOなどの酸化物、ポリアニリン及びアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用してもよい。リチウムを含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極及び/又は負極に、公知の方法により、予めリチウムイオンを添加させておく必要がある。ここで、リチウムイオンを添加するためには、リチウムイオンを含む化合物又はリチウム金属を用いればよい。
正極活物質の平均粒径D50は、2μm〜20μmであることが好ましい。正極活物質の平均粒径D50が小さすぎると、正極活物質と非晶質炭素との粒径の差が小さくなって、非晶質炭素による導電パスが形成されにくくなる。正極活物質の平均粒径D50が大きすぎると正極の抵抗が大きくなる。正極活物質の平均粒径D50は5μm〜15μmであることが特に好ましい。
結着剤は、正極活物質及び導電助剤を集電体に繋ぎ止める機能を有する。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸などのアクリル系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)を例示することができる。これらの結着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
正極活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、正極活物質:結着剤=1:0.001〜1:0.3であるのが好ましい。正極活物質:結着剤=1:0.005〜1:0.2であるのがより好ましく、1:0.01〜1:0.15であるのがさらに好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下するおそれがあり、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は、鱗片状黒鉛と非晶質炭素とからなる。
鱗片状黒鉛は薄片状の黒鉛であり、天然のもの及び人造のもののどちらも使用できる。鱗片状黒鉛の電気抵抗率は0.0014Ω・cm程度と非常に低い。鱗片状黒鉛の平均粒径D50は非晶質炭素の平均粒径D50よりも大きいことが好ましい。電気抵抗率が非常に低く、大きい平均粒径D50を有する薄片の鱗片状黒鉛が正極活物質同士の間及び正極活物質と集電体との間に配置されることによって、一個の鱗片状黒鉛によってでも正極活物質層内に容易に長距離の導電パスを形成できる。
鱗片状黒鉛の平均粒径D50は1μm以上20μm以下であることが好ましい。特に鱗片状黒鉛の平均粒径D50は1μm以上でかつ正極活物質の平均粒径D50以下であることが好ましい。鱗片状黒鉛の平均粒径D50が小さすぎると、長距離の導電パスが形成されにくくなる。鱗片状黒鉛の平均粒径D50が正極活物質の平均粒径D50より大きいと鱗片状黒鉛と正極活物質とが混合されにくい。
また正極活物質層における鱗片状黒鉛の含有量が同じであれば、鱗片状黒鉛の平均粒径D50が小さいほど正極活物質層に含まれる鱗片状黒鉛の個数が増える。単位質量当たりの鱗片状黒鉛の個数が増えれば、良好な導電パスを形成するのに有利となり好ましい。鱗片状黒鉛の平均粒径D50が大きすぎると、単位質量当たりの鱗片状黒鉛の個数が少なくなって、正極活物質層内に良好な導電パスを形成しにくくなる。
非晶質炭素は鱗片状黒鉛に比べて小さい平均粒径D50を有する。非晶質炭素は鱗片状黒鉛、正極活物質及び集電体が形成する隙間に入り込み、鱗片状黒鉛と協働して導電パスを形成する。
非晶質炭素としては、ファーネスブラック、ケッチェンブラック(登録商標)(KB)、チャンネルブラック、アセチレンブラック(AB)などを用いることができる。場合によってはサーマルブラックを用いてもよい。
この非晶質炭素は、1nm以上かつ1μm未満のナノオーダーの平均粒径D50をもつことが好ましい。しかしながら平均粒径D50が1nm〜10nmの非晶質炭素は凝集しやすく、粗大化しやすい。そのため、非晶質炭素の平均粒径D50は10nm〜100nmであることが好ましい。
また非晶質炭素の平均粒径D50が大きすぎると、非晶質炭素による導電パスが形成されにくくなる。非晶質炭素は、正極内にある正極活物質、鱗片状黒鉛及び集電体が形成する隙間に入り込んで導電パスを形成する。そのため非晶質炭素の平均粒径D50が大きすぎると、正極活物質や鱗片状黒鉛との粒径の差が小さくなって正極内の微細な隙間に非晶質炭素が入り込みにくくなるため非晶質炭素による導電パスが形成されにくくなる。
非晶質炭素の含有量は、鱗片状黒鉛の含有量の1倍以上5倍以下である。非晶質炭素の含有量は、鱗片状黒鉛の含有量の1倍以上3倍以下であることがより好ましい。
鱗片状黒鉛と非晶質炭素とはお互いに組み合わさって良好な導電パスを形成する。本発明において非晶質炭素の含有量は鱗片状黒鉛の含有量と同等かそれよりも多い。非晶質炭素の含有量が鱗片状黒鉛の含有量よりも少ないと良好な導電パスが形成されにくく、正極の抵抗の増加を効果的に抑制することができない。
リチウムイオン二次電池を高容量とするには、正極活物質層における導電助剤全体の含有量は少ない方が、その分正極活物質層における正極活物質の含有量を多くできるため、好ましい。
ここで鱗片状黒鉛は薄片であるため、同一質量の粒状の黒鉛と比較して、電気を伝導する距離が長い。つまり、鱗片状黒鉛は粒状の黒鉛よりも少ない質量で長距離の導電パスを形成することができる。そのため正極活物質層内に長距離の導電パスを形成するのに鱗片状黒鉛は有利である。
鱗片状黒鉛と非晶質炭素とを合計した導電助剤全体の含有量は正極活物質層全体を100質量%としたときに2質量%より多く7質量%未満であることが好ましい。導電助剤の含有量を上記範囲とすることで、導電性を確保できかつ相対的に正極活物質層における正極活物質の含有量を多くでき、高容量の正極とすることができる。
さらに高容量の正極とするために導電助剤の含有量は正極活物質層全体を100質量%としたときに5質量%以下であることが好ましい。
正極活物質層は更に空隙を含む。空隙は、正極活物質同士の間、正極活物質と鱗片状黒鉛との間、正極活物質と非晶質炭素との間、正極活物質と結着剤との間、正極活物質と集電体との間、鱗片状黒鉛同士の間、鱗片状黒鉛と非晶質炭素の間、鱗片状黒鉛と結着剤との間、鱗片状黒鉛と集電体との間、非晶質炭素同士の間、非晶質炭素と結着剤との間、非晶質炭素と集電体との間、結着剤同士の間、結着剤と集電体との間に形成される。これらの空隙を通して電解液が正極活物質層内を良好に移動できる。正極活物質層の空隙率は24%以上28%以下である。正極活物質層の空隙率が低すぎると、リチウムイオンの移動が円滑に行われにくくなり、リチウムイオン二次電池の抵抗が高くなるおそれがある。正極活物質層の空隙率が高すぎると、導電助剤同士が接触しにくくなり、導電パスが形成しにくくなって、抵抗が高くなるおそれがある。
正極活物質層の目付けは17mg/cm以上30mg/cm以下であることが好ましい。正極活物質層の目付けは17mg/cm以上20mg/cm以下であることがより好ましい。正極活物質層の目付けは、正極活物質層全体の質量を集電体の正極活物質層の形成された面の面積で割ることによって求められる。目付けが低すぎると、電池容量が低いおそれがある。目付けが高すぎると、所望の出力特性が出ないことがある。
正極活物質層の密度は2.7g/cm以上3.5g/cm以下であることが好ましい。正極活物質層の密度は2.9g/cm以上3.3g/cm以下であることがより好ましい。正極活物質層の密度は、正極活物質層全体の質量を正極活物質層の見かけの体積で割ることによって求められる。正極活物質層の密度が低すぎると、電池容量が低くなるおそれがある。正極活物質層の密度が高すぎると、所望の出力特性が出ないことがある。
正極活物質層の厚みは50μm以上100μm以下であることが好ましい。正極活物質層の厚みは、正極の厚みを測定し、その測定値から使用した集電体の厚みを引くことで計算できる。正極の高容量化の観点より、正極活物質層の厚みは50μm以上であることが好ましい。正極活物質層が薄すぎると、正極中の集電体が占める割合が増加するので、リチウムイオン二次電池が巻回型でも積層型でも、電池のエネルギー密度が減少する。正極活物質層の厚みが厚すぎると、正極活物質層においてリチウムイオンの正極活物質への吸蔵及び放出が深さ方向において均一に行われにくくなる。
ここで図1に本発明のリチウムイオン二次電池用正極の好ましい一態様を模式的に表す断面図を示す。図1に示すように、このリチウムイオン二次電池用正極は、集電体1と、集電体1の表面に形成された正極活物質層2とからなる。正極活物質層2は、正極活物質3と、鱗片状黒鉛41と非晶質炭素42と結着剤5とからなる。正極活物質層2には、空隙6が多数存在する。空隙6は、正極活物質3同士の間、正極活物質3と鱗片状黒鉛41との間、正極活物質3と非晶質炭素42との間、正極活物質3と結着剤5との間、正極活物質3と集電体1との間、鱗片状黒鉛41同士の間、鱗片状黒鉛41と非晶質炭素42の間、鱗片状黒鉛41と結着剤5との間、鱗片状黒鉛41と集電体1との間、非晶質炭素42同士の間、非晶質炭素42と結着剤5との間、非晶質炭素42と集電体1との間、結着剤5同士の間、結着剤5と集電体1との間に形成される。これらの空隙6を通して電解液が正極活物質層2内を良好に移動できる。
好ましい一態様において、正極活物質3は粉末形状であり、鱗片状黒鉛41は正極活物質3の平均粒径D50と同等かそれよりも小さい平均粒径D50を有する薄片である。鱗片状黒鉛41は集電体1と各正極活物質3の形成する隙間に配置され、一個の鱗片状黒鉛41によってでも正極活物質層2内で長距離の導電パスを形成することができる。好ましい一態様において非晶質炭素42は粉末形状であり、非晶質炭素42の平均粒径D50は、正極活物質3の平均粒径D50及び鱗片状黒鉛41の平均粒径D50に比べて小さい。そのため、非晶質炭素42は、集電体1、各正極活物質3及び各鱗片状黒鉛41の作る隙間に入り込む。非晶質炭素42は、各隙間に入り込むことによって、各鱗片状黒鉛41同士を電気的につなぐことができる。このようにして非晶質炭素42は鱗片状黒鉛41と協働して正極活物質層内に良好な導電パスを形成する。
非晶質炭素42の含有量は、鱗片状黒鉛41の含有量の1倍以上5倍以下である。正極活物質層2内では正極活物質3と集電体1との間に鱗片状黒鉛41と非晶質炭素42とにより導電パスが形成され、良好な導電性が確保される。そのため本発明のリチウムイオン二次電池用正極における抵抗の増加が抑制される。
正極は、上記正極活物質と導電助剤と結着剤とを含む正極活物質層形成用組成物を調製し、さらにこの組成物に適当な溶媒を加えてペースト状にしてから、集電体の表面に塗布後、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成することができる。
正極活物質層形成用組成物の塗布方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いればよい。
粘度調整のための溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)、水などが使用可能である。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の正極を備えている。本発明のリチウムイオン二次電池において、負極、セパレータ及び電解液は公知のものを用いることができる。
負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層とを有する。負極活物質層は、負極活物質、結着剤を含み、必要に応じて負極用導電助剤を含む。集電体、結着剤は正極で説明したものと同様である。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。従って、負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能である単体、合金または化合物であれば特に限定はない。負極活物質として、例えば、Liや、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すればよい。ケイ素などを負極活物質に採用すると、ケイ素1原子が複数のリチウムと反応するため、高容量の活物質となるが、リチウムの吸蔵及び放出に伴う体積の膨張及び収縮が顕著となるとの問題が生じる恐れがある。当該恐れの軽減のために、ケイ素などの単体に遷移金属などの他の元素を組み合わせた合金又は化合物を負極活物質として採用するのも好適である。合金又は化合物の具体例としては、Ag−Sn合金、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiO(0.5≦x≦1.5)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。
炭素系材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類が挙げられる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
また、負極活物質して、Nb、TiO、LiTi12、WO、MoO、Fe等の酸化物、又は、Li3−xN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
負極活物質は粉末形状であることが好ましい。負極活物質が粉末形状の場合、負極活物質の平均粒径D50は0.1μm以上30μm以下であることが好ましく、1μm以上20μm以下であることがより好ましい。負極活物質の平均粒径D50が小さすぎると、負極活物質の粉末の比表面積が大きくなり、負極活物質の粉末と電解液との接触面積が大きくなって、電解液の分解が進んでしまい、サイクル特性が悪くなるおそれがある。また、負極活物質の平均粒径D50が大きすぎると、導電性が低い負極活物質を用いた場合、電極全体の導電性が不均一になり、充放電特性が低下するおそれがある。
特に負極活物質として高容量の理論容量を有するSiO(0.5≦x≦1.5)を用いることが好ましい。
負極用導電助剤としては、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(登録商標)(KB)、気相法炭素繊維(VGCF)等が例示される。これらの負極用導電助剤は、単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。負極用導電助剤の使用量については、特に限定的ではないが、例えば、負極に含有される活物質100質量部に対して、負極用導電助剤を1質量部〜30質量部程度とすることができる。
セパレータは正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、又はセラミックス製の多孔質膜が使用できる。
電解液は溶媒とこの溶媒に溶解された電解質とを含んでいる。
溶媒として、例えば、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類が使用できる。環状エステル類として、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンが使用できる。鎖状エステル類として、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステルが使用できる。エーテル類として、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、2−ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、1、2−ジブトキシエタンが使用できる。
また上記電解液に溶解させる電解質として、例えば、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を使用することができる。
電解液として、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの溶媒にLiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/lから1.7mol/l程度の濃度で溶解させた溶液を使用することができる。
上記リチウムイオン二次電池は車両に搭載することができる。上記リチウムイオン二次電池は、高容量でかつ抵抗を低くできるため、そのリチウムイオン二次電池を搭載した車両は、出力及び寿命の面で高性能となる。
車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、電動フォークリフト、電気車椅子、電動アシスト自転車、電動二輪車が挙げられる。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。
以上、本発明のリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
<ラミネート型リチウムイオン二次電池作製>
[正極の作製]
正極活物質として平均粒径D50が10μmのLiNi0.5Co0.2Mn0.3と、鱗片状黒鉛として、平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛及び平均粒径D50が10μmの鱗片状黒鉛と、非晶質炭素として平均粒径D50が50nmのアセチレンブラック(AB)と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを準備した。ここで鱗片状黒鉛の電気抵抗率は0.0014Ω・cmであり、ABの電気抵抗率は0.14Ω・cmであった。LiNi0.5Co0.2Mn0.3の真密度は4.69g/cmであり、平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛の真密度は2.23g/cmであり、平均粒径D50が10μmの鱗片状黒鉛の真密度は2.23g/cmであり、ABの真密度は1.31g/cmであり、PVDFの真密度は1.71g/cmであった。
(実施例1)
94質量%のLiNi0.5Co0.2Mn0.3と0.5質量%の平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛と2.5質量%のABと3質量%のPVDFとを、混合し、正極活物質層形成用組成物を作成した。この正極活物質層形成用組成物を適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて、スラリーを作製した。
集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を準備した。ドクターブレードを用いて膜状になるように集電体にスラリーを塗布した。スラリーを塗布したアルミニウム箔を80℃で20分間乾燥してNMPを揮発により除去することによって、アルミニウム箔の表面に正極活物質層を形成した。その後、ロ−ルプレス機により、アルミニウム箔とアルミニウム箔上の正極活物質層を強固に密着接合させた。ここで、正極活物質層の目付けは18.4mg/cmとした。接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱し、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、実施例1の正極とした。実施例1の正極の正極活物質層の厚さは59μm程度であった。
実施例1の正極の密度及び空隙率を算出した。実施例1の正極活物質層の密度は3.1g/cmであり、実施例1の正極活物質層の空隙率は27.0%であった。
[負極の作製]
負極は以下のように作製した。
98質量%の平均粒径D50が20μmの黒鉛粉末と、結着剤として、1質量%のスチレン−ブタジエンゴム(SBR)及び0.7質量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)とを混合し、この混合物を適量の蒸留水に分散させてスラリーを作製した。ドクターブレードを用いて負極用集電体である厚み10μmの銅箔にこのスラリーを膜状になるように塗布し、スラリーを塗布した集電体を乾燥後プレスした。負極の負極活物質層の目付けは11.1mg/cmとした。接合物を80℃で6時間、真空乾燥機で加熱し、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、負極とした。この負極の負極活物質層の厚さは84μm程度であった。
[ラミネート型リチウムイオン二次電池の作製]
上記の実施例1の正極及び上記負極を用いて、ラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。詳しくは、正極及び負極の間に、セパレータとしてポリプロピレン樹脂からなる矩形状シート(27×32mm、厚さ25μm)を挟装して極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに電解液を注入した。電解液として、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)をEC:EMC:DMC:FEC=26:30:40:4(体積比)で混合した溶媒にLiPFを1モル/lとなるように溶解した溶液を用いた。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群及び電解液が密閉されたラミネート型リチウムイオン二次電池を得た。なお、正極及び負極は外部と電気的に接続可能なタブを備え、このタブの一部はラミネート型リチウムイオン二次電池の外側に延出している。以上の工程で、実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例2)
導電助剤として平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛1.0質量%とAB2.0質量%を混合して用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。実施例2の正極の正極活物質層の目付けは18.4mg/cmであり、実施例2の正極の正極活物質層の厚さは59μm程度であった。実施例2の正極活物質層の密度は3.1g/cmであり、実施例2の正極活物質層の空隙率は27.2%であった。
(実施例3)
導電助剤として平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛1.5質量%とAB1.5質量%を混合して用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。実施例3の正極の正極活物質層の目付けは18.4mg/cmであり、実施例3の正極の正極活物質層の厚さは59μm程度であった。実施例3の正極活物質層の密度は3.1g/cmであり、実施例3の正極活物質層の空隙率は27.4%であった。
(実施例4)
平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛に代えて平均粒径D50が10μmの鱗片状黒鉛を用いたこと以外は実施例2と同様にして実施例4のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。実施例4の正極の正極活物質層の目付けは18.4mg/cmであり、実施例4の正極の正極活物質層の厚さは59μm程度であった。実施例4の正極活物質層の密度は3.1g/cmであり、実施例4の正極活物質層の空隙率は27.2%であった。
(実施例5)
92質量%のLiNi0.5Co0.2Mn0.3と1.7質量%の平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛と3.3質量%のABと3質量%のPVDFとを混合して用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。実施例5の正極の正極活物質層の目付けは18.4mg/cmであり、実施例5の正極の正極活物質層の厚さは59μm程度であった。実施例5の正極活物質層の密度は3.1g/cmであり、実施例5の正極活物質層の空隙率は25.3%であった。
(比較例1)
導電助剤としてAB3.0質量%を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。比較例1の正極の正極活物質層の目付けは18.4mg/cmであり、比較例1の正極の正極活物質層の厚さは59μm程度であった。比較例1の正極活物質層の密度は3.1g/cmであり、比較例1の正極活物質層の空隙率は26.9%であった。
(比較例2)
導電助剤として平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛2.0質量%とAB1.0質量%を混合して用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。比較例2の正極の正極活物質層の目付けは18.4mg/cmであり、比較例2の正極の正極活物質層の厚さは59μm程度であった。比較例2の正極活物質層の密度は3.1g/cmであり、比較例2の正極活物質層の空隙率は27.5%であった。
(比較例3)
導電助剤として平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛に代えて平均粒径D50が10μmの鱗片状黒鉛を用いたこと以外は比較例2と同様にして比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。比較例3の正極の正極活物質層の目付けは18.4mg/cmであり、比較例3の正極の正極活物質層の厚さは59μm程度であった。比較例3の正極活物質層の密度は3.1g/cmであり、比較例3の正極活物質層の空隙率は27.5%であった。
(比較例4)
95質量%のLiNi0.5Co0.2Mn0.3と0.7質量%の平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛と1.3質量%のABと3質量%のPVDFとを混合して用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例4のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。比較例4の正極の正極活物質層の目付けは18.4mg/cmであり、比較例4の正極の正極活物質層の厚さは59μm程度であった。比較例4の正極活物質層の密度は3.1g/cmであり、比較例4の正極活物質層の空隙率は28.2%であった。
(比較例5)
90質量%のLiNi0.5Co0.2Mn0.3と2.4質量%の平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛と4.6質量%のABと3質量%のPVDFとを混合して用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例5のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。比較例5の正極の正極活物質層の目付けは18.4mg/cmであり、比較例5の正極の正極活物質層の厚さは59μm程度であった。比較例5の正極活物質層の密度は3.1g/cmであり、比較例5の正極活物質層の空隙率は23.4%であった。
(比較例6)
93質量%のLiNi0.5Co0.2Mn0.3と3.0質量%の平均粒径D50が10μmの鱗片状黒鉛と1.0質量%のABと3質量%のPVDFとを混合して用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例6のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。比較例6の正極の正極活物質層の目付けは18.4mg/cmであり、比較例6の正極の正極活物質層の厚さは59μm程度であった。比較例6の正極活物質層の密度は3.1g/cmであり、比較例6の正極活物質層の空隙率は26.8%であった。
<セル抵抗評価>
実施例1〜4、比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗を測定した。セル抵抗(Ω)は、SOC(State of charge)20%時の電圧にて2.5Cレート、10秒放電にて測定した。さらに、実施例2、実施例5、比較例4、比較例5及び比較例6のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗を、SOC(State of charge)10%時の電圧にて2.5Cレート、10秒放電にて測定した。
セル抵抗の値が小さい方が正極の抵抗が低いことを示す。またセル抵抗は2.5Cレートで測定されているので、このセル抵抗の測定値は高レート特性を示す指標ともなる。各実施例及び各比較例は同じ構成の電池を各6個ずつ作成し、各電池の抵抗を測定し、その平均値を計算した。
実施例1〜4、比較例1〜3のセル抵抗の平均値の結果を図2に示す。図3に実施例2、実施例5、比較例4及び比較例5のセル抵抗と空隙率とを比較するグラフを示す。
各実施例及び比較例の正極活物質層成分の配合比、空隙率及びセル抵抗の平均値を表1にまとめて示す。
Figure 0006300021
図2及び表1に見られるように実施例1〜実施例4のラミネート型リチウムイオン二次電池のSOC20%時のセル抵抗の平均値はどれも5Ωより低かった。比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池のSOC20%時のセル抵抗は5Ωよりも高かった。ここで比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池では正極の導電助剤として鱗片状黒鉛が添加されていない。したがって正極活物質層に鱗片状黒鉛が添加されていないとセル抵抗の増加を抑制しにくいことが確認できた。また比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池には鱗片状黒鉛が2.0質量%、ABが1.0質量%添加されている。ここで鱗片状黒鉛が添加されている比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗は、鱗片状黒鉛が添加されていないがABが3.0質量%添加された比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗よりも高かった。このことから鱗片状黒鉛が添加されていても非晶質炭素の割合が低いとセル抵抗の増加を抑制しにくいことがわかった。比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗が比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗よりも高い理由は、鱗片状黒鉛の含有量に対して非晶質炭素の含有量が少ないために導電パスがうまく形成できなかったためと推測される。比較例6のラミネート型リチウムイオン二次電池においても同様にSOC10%時のセル抵抗が実施例2、実施例5、比較例4及び比較例5のラミネート型リチウムイオン二次電池のSOC10%時のセル抵抗よりも高くなった。
また平均粒径D50が10μmの鱗片状黒鉛を使用した実施例4のラミネート型リチウムイオン二次電池も、実施例4と同じ質量%の平均粒径D50が5μmの鱗片状黒鉛を使用した実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池と同様に、比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池よりもSOC20%時のセル抵抗の平均値が低かった。実施例4のラミネート型リチウムイオン二次電池も実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池もどちらも正極活物質の平均粒径D50は10μmであった。従って正極活物質の平均粒径D50と同等の平均粒径D50を有する鱗片状黒鉛を使用してもラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗の増加を抑制できることが確認できた。
ここで、実施例1〜4のラミネート型リチウムイオン二次電池はいずれもセル抵抗が比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池のセル抵抗よりも低かった。実施例1〜4のラミネート型リチウムイオン二次電池における正極の正極活物質層の目付けはいずれも18.4mg/cmであり、高目付けである。したがって正極の正極活物質層を高目付けにしても正極のセル抵抗の増加を抑制できることが確認できた。
また実施例1〜4のラミネート型リチウムイオン二次電池の正極活物質層の厚みはいずれも59μmであり、正極活物質層の厚みが59μmと厚くても正極のセル抵抗の増加を抑制できることが確認できた。
また図3及び表1に見られるように、鱗片状黒鉛の含有量に対して非晶質炭素の含有量が多くなるようにした実施例2、実施例5、比較例4及び比較例5のラミネート型リチウムイオン二次電池において、正極活物質層の空隙率が24%以上28%以下である実施例2及び実施例5のラミネート型リチウムイオン二次電池のSOC10%時のセル抵抗の平均値はどれも2.5Ωより低かった。正極活物質層の空隙率が28.2%の比較例4及び正極活物質層の空隙率が23.4%の比較例5のラミネート型リチウムイオン二次電池のSOC10%時のセル抵抗は2.5Ωよりも高かった。正極活物質層の空隙率が24%以上28%以下であると、正極中の正極活物質の含有量を増大させて正極活物質層の厚さを厚くしてもリチウムイオンの移動は円滑に行われ、かつ導電パスが良好に形成されるため、セル抵抗の増加が抑制されることがわかった。
1:集電体、2:正極活物質層、3:正極活物質、41:鱗片状黒鉛、42:非晶質炭素、5:結着剤、6:空隙。

Claims (3)

  1. 集電体と、
    該集電体に結着された正極活物質層とからなり、
    該正極活物質層は正極活物質と、導電助剤と、結着剤とを有し、
    該導電助剤は、鱗片状黒鉛と非晶質炭素とからなり、
    該非晶質炭素の含有量は、該鱗片状黒鉛の含有量の1倍以上5倍以下であり、
    該正極活物質層の空隙率は25.3%以上27.4%以下であり、
    該正極活物質層の密度は2.9g/cm 以上3.3g/cm 以下であり、
    該正極活物質の平均粒径D 50 は5μm〜15μmであり、
    該鱗片状黒鉛の平均粒径D 50 は1μm以上、かつ該正極活物質の平均粒径D 50 以下であり、
    該非晶質炭素の平均粒径D 50 は10nm以上100nm以下であり、
    該導電助剤の含有量は該正極活物質層全体を100質量%としたときに2質量%より多く5質量%以下であり、
    該非晶質炭素は、該集電体、該正極活物質及び該鱗片状黒鉛の作る隙間に入り込んでいることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  2. 該正極活物質層の目付けは17mg/cm以上30mg/cm以下である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  3. 請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極を有するリチウムイオン二次電池。
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