JP5554911B2 - 毛髪処理用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、特定のアミノ酸、及び特定の油脂類を含有する毛髪処理用組成物に関するものである。
皮膚や毛髪に適用する化粧料において、一般に保湿感を付与するための成分として例えばグリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、及びソルビトールなどの水溶性多価アルコール類、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子、プロリン、及びL−テアニンなどのアミノ酸類、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、及び乳酸ナトリウムなどの天然保湿因子、油性成分などが知られている。例えば特許文献1は、L−テアニンからなる皮膚外用保湿剤について開示する。特許文献2は、カチオン界面活性剤と、ラノリン油脂および分岐構造を有する液状油分を含有する毛髪化粧料が、ぱさつきをなくして優れたまとまり性を与えるとしている。
特開平9−286715号公報 特開昭63−316712号公報
ところで、特許文献1に開示される皮膚外用保湿剤は、毛髪に対しても高い保湿感を付与するが、酸化ヘアカラー、ブリーチ、パーマネントウェーブなどの化学処理を複数受けた、いわゆる「ハイダメージ毛」では、保湿感の持続性が十分ではないといった問題があった。これは、毛髪自体がポーラス(多孔質)の状態になり、水分保持能が低下しているためと考えられている。
特許文献2に開示される毛髪化粧料組成物は、前記のようなハイダメージ毛に対しても良好な仕上がり感触を付与するもので、処理直後は保湿感を有するが、保湿感の持続性が十分ではないという課題を解決するものではなかった。
さらに、前記特許文献2記載の毛髪保護剤は、カチオン性界面活性剤を必須成分とするものであり、例えばシャンプーなど、イオン性成分を主成分とする製剤へ適用する場合、場合によっては塩を形成して沈殿してしまうなど、製剤上の制約も存在する。
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、L−テアニンを含有する毛髪処理用組成物に、特定の油脂類を同時に含有する毛髪処理用組成物が上記課題を解決することを見出したことによりなされたものである。本発明の目的は、毛髪に対して保湿感を付与しながら、ダメージの有無といった毛髪の状態にかかわらずその効果を十分持続させることができる毛髪処理用組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の毛髪処理用組成物は、(A)L−テアニン、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種、並びに(C)25℃で液状の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の毛髪処理用組成物において、前記(C)が、イソステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
本発明の毛髪処理用組成物によれば、毛髪に対して保湿感を付与し、かつ毛髪の状態にかかわらずその保湿感の持続性を向上させることができる。
以下、本発明を毛髪処理用組成物に具体化した実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係る毛髪処理用組成物は、(A)L−テアニン、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種、並びに(C)25℃で液状の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一種を含有している。
(A)L−テアニンは、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種、並びに(C)25℃で液状の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一種との併用により、毛髪に保湿感を付与し、かつ毛髪の状態にかかわらずその保湿感を十分持続させる効果を発揮する。(A)L−テアニンは、それ単独で毛髪の保湿感付与効果も有する。(A)L−テアニンは、L−グルタミン酸の誘導体であり、アミノ酸の一種である。L−テアニンは、茶葉、特に玉露に多く含まれる成分であり、緑茶の旨味成分として知られている。L−テアニンは茶葉から常法によって抽出して得られる他、化学的な合成によっても得ることができる。毛髪処理用組成物には、そうした天然由来及び合成由来のいずれのL−テアニンも使用することができる。
毛髪処理用組成物中における(A)L−テアニンの含有量は任意であるが、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜3質量%である。(A)L−テアニンの含有量が0.001質量%未満であると、毛髪に対して保湿感の持続性を向上させる効果を十分に発揮することができない場合がある。その含有量が5質量%を超えても、それ以上の毛髪に対する保湿感の持続性の向上効果は得られない。
(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種は、毛髪に保湿感を付与するために含有される。本発明の毛髪処理用組成物中においては、(A)L-テアニンと相乗的に毛髪に作用し、自身が有する保湿感付与効果を持続的に発揮する。
ラノリン及びその誘導体とは、ラノリン、およびラノリンから誘導される各種成分を意味し、具体的にはラノリン、ポリオキシエチレンラノリン(例えばPEG−10ラノリンなど)、水添ラノリン、ポリオキシエチレン水添ラノリン(例えばPEG−15水添ラノリンなど)、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、ポリオキシエチレンラノリンアルコール(例えばラネス−5など)、液状ラノリン、ラノリンロウ、ラノリン脂肪酸エステル(例えばラノリン脂肪酸イソプロピルなど)、及び酢酸ラノリンなどが挙げられる。
毛髪処理用組成物中における(B)ラノリン及びその誘導体の含有量は任意であるが、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。含有量が0.1質量%未満であると、毛髪に十分な保湿感を付与することができない場合がある。その含有量が5質量%を超えると、毛髪のべたつきが強くなって、不具合を生じる場合がある。
(C)25℃で液状の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一種は、前記(A)、(B)各成分と相乗的に保湿感の持続性を向上させる効果を発揮するとともに、(B)によるべたつきなどの感触悪化を抑える作用を発揮する。
(C)25℃で液状の高級脂肪酸としては、25℃において流動性を有するものであればいずれでもよいが、前記効果をよりよく発揮することから、オレイン酸、及びイソステアリン酸から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。
(C)25℃で液状の高級脂肪酸の含有量は任意であるが、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%、さらに好ましくは2〜6質量%である。含有量が0.1質量%未満であると、毛髪に十分な保湿感を付与することができない場合がある。その含有量が10質量%を超えると、毛髪のべたつきが強くなって、不具合を生じる場合がある。
毛髪処理用組成物は、必要に応じて、例えば水、高分子化合物、(B)及び(C)各成分に該当しない油性成分、多価アルコール、界面活性剤、糖類、防腐剤、キレート剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、(A)に該当しないアミノ酸類、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも一種を含有してもよい。
水は、各成分の溶媒又は分散媒として使用される。水は、油性成分及び界面活性剤とともに適量含有された場合、毛髪処理用組成物を乳化させる。毛髪処理用組成物中における水の含有量は、好ましくは50〜99質量%、さらに好ましくは70〜95質量%である。水の含有量が50質量%未満であると、毛髪処理用組成物の乳化が不十分となるおそれがある。水の含有量が99質量%を超えると、有効成分である(A)、(B)及び(C)各成分が十分含有できなくなるおそれがある。
高分子化合物としては、例えばアラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、セルロース誘導体、架橋ポリアクリル酸、及びポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウムが挙げられる。架橋ポリアクリル酸としては、例えばカルボマーが挙げられる。
油性成分は、毛髪に滑らか感を付与する。そのため毛髪処理用組成物は、好ましくは(B)及び(C)各成分に該当しない油性成分をさらに含有させることが好ましい。油性成分としては、例えば油脂類、ロウ類、高級アルコール、炭化水素類、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、及びシリコーン類が挙げられる。
油脂類としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウ類としては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、及びホホバ油が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、及びオレイルアルコールが挙げられる。
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、及び12−ヒドロキシステアリン酸が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
エステル類としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10−30)コレステリル、乳酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、及びコハク酸ジオクチルが挙げられる。
シリコーン類としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650〜10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えばPEG−12ジメチコンが挙げられる。これらの油性成分の具体例は単独で使用されてもよく、二種以上を組み合わせて含有してもよい。
多価アルコールとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、イソペンチルジオール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、及び1,3−ブチレングリコール(BG)が挙げられる。
界面活性剤は、組成物の乳化剤又は組成物中の各成分の可溶化剤として毛髪処理用組成物の安定性を保持するために好適に含有される。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。イオン性界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが挙げられる。アルキルエーテル硫酸塩としては、例えばラウレス硫酸ナトリウムが挙げられる。N−アシルアミノ酸型界面活性剤としては、例えばN−ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウムが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えばアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルケニルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ジアルケニルジメチルアンモニウム塩、及びアルキロイルアミドプロピルジメチルアミンが挙げられる。アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウムが挙げられる。ジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムが挙げられる。これらの界面活性剤のカチオン基の対イオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、アルキル硫酸イオン、及びサッカリンが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、及びココアンホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルサッカライド界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、及びアルキルアミンオキサイドが挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えばラウレス、セテス、ステアレス、及びパレスが挙げられる。これらの界面活性剤の具体例は、単独で使用されてもよく、二種以上を組み合わせて含有してもよい。
糖類としては、例えばソルビトールが挙げられる。防腐剤としては、例えばパラベンが挙げられる。キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA−2Na)が挙げられる。安定剤としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。pH調整剤としては、例えば乳酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、コハク酸、クエン酸、グルタミン酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、トリエタノールアミン(TEA)、及びアルギニンが挙げられる。
毛髪処理用組成物は、液状、ミスト状、ゲル状、フォーム状、クリーム状などの剤型にすることが可能である。この毛髪処理用組成物は、保湿感を付与するためのヘアケア剤、例えばシャンプー、リンス、及びヘアトリートメント剤として使用することができる。また、染毛剤やパーマネントウェーブ剤などの化学処理の前後処理剤として使用することができる。この毛髪処理用組成物は、毛髪に適用した後に水や温水で洗い流すようにして使用してもよく、毛髪に付着した同組成物を水や温水で洗い流さないようにして使用してもよい。この毛髪処理用組成物は、整髪剤として使用してもよい。この毛髪処理用組成物は、例えば染料をさらに含有させることにより染毛処理剤、例えば酸化染毛剤及び酸性染毛料として使用してもよい。この毛髪処理用組成物は、例えば酸化剤を含有させることにより、ブリーチ剤として使用してもよい。この毛髪処理用組成物は、例えば還元剤を含有させることによりパーマネントウェーブ剤、縮毛矯正剤及び脱染剤として使用してもよい。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)本実施形態では、(A)L−テアニンを含有する毛髪処理用組成物に(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種、並びに(C)25℃で液状の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一種を含有する。したがって、毛髪に対して保湿感を付与しながら、毛髪の状態にかかわらずその保湿感を十分持続させることのできる毛髪処理方法が提供される。
(2)本実施形態では、(C)25℃で液状の高級脂肪酸として、イソステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる少なくとも一種を使用した。そのため、感触の悪化抑制効果が特に良好である。
(3)本実施形態では、(A)L−テアニンを含有する毛髪処理用組成物に(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種、並びに(C)25℃で液状の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一種を含有し、毛髪に対して保湿感を付与しながら、酸化ヘアカラー、ブリーチ、パーマネントウェーブなどの化学処理を複数受けたハイダメージ毛にもその保湿感を十分持続させることができる。このため、毛髪処理用組成物をこれらの化学処理剤に適用すれば、保湿感の持続性が高い酸化ヘアカラー剤、ブリーチ剤、パーマネントウェーブ剤として提供することができる。
(4)本実施形態では、(A)L−テアニンを含有する毛髪処理用組成物に(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種、並びに(C)25℃で液状の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一種を含有し、毛髪に対して保湿感を付与しながら、酸化ヘアカラー、ブリーチ、パーマネントウェーブなどの化学処理を複数受けたいわゆるハイダメージ毛にもその保湿感を十分持続させることができる。このため、毛髪処理用組成物をこれらの化学処理の前後処理剤として提供することができる。
なお、上記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
記実施形態において、毛髪処理用組成物に含有される各成分を分割し、複数剤型として構成してもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。まず、実験用にダメージ毛モデルとして過硫酸塩含有ブリーチ剤で処理したヒト黒毛束(20cm)を準備した。過硫酸塩含有ブリーチ剤は、過硫酸塩を含有する粉末状の第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とから構成されている市販品(ホーユー株式会社製 ホーユーパウダーブリーチ)を用い、ヒト黒毛束を常法に従い脱色処理することで、実験用毛束を得た。なお、これら実験用毛束は金色となった。この毛束について、引張試験機を用い、強度が処理前よりも低下し、毛髪にダメージが生じていることを確認した。以下この毛束を「ダメージ毛束」と称する。
前記実験用毛束、及び前記脱色処理未処理のヒト黒毛束(以下この毛束を「未処理毛束」と称する)それぞれを用い、毛髪の感触、保湿感に関する以下の評価をおこなった。評価結果を各表に併記した。
(ヘアトリートメント剤)
表1、2に示すとおり、各成分を混合し、ヘアトリートメント剤としての毛髪処理用組成物を各例調製した。なお、各表に記載された各成分の含有量を示す数値の単位は、特記のない限り全て質量%を意味する。
次に、各例の毛髪処理用組成物をダメージ毛束、未処理毛束それぞれに対し処理をおこなった。市販品シャンプー(ホーユー株式会社製 ビゲントリートメントシャンプー)を用いて各毛束を一回処理し、各例のヘアトリートメント剤を適量塗布し、30秒放置後微温湯で洗い流し、タオルドライによって適宜乾燥させたのち、恒温恒湿槽(25℃、相対湿度20%)の雰囲気下で120分放置し、処理直後の評価に供した。さらに、恒温恒湿槽(25℃、相対湿度55%)の雰囲気下で5日間放置し、5日後の評価に供した。
(毛髪の感触)
各毛束について、5名のパネラーが指を通すことにより、指通りが非常に良い場合を4点、良い場合を3点、やや悪い場合を2点、及び悪い場合を1点とする4段階で採点した。そして、毛髪感触の評価として、5名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、その平均点が3.6点以上の場合を「優れる」とし、2.6点以上3.6点未満の場合を「良好」とし、1.6点以上2.6点未満の場合を「やや悪い」とし、及び1.6点未満の場合を「悪い」とした。
(毛髪の保湿感)
各毛束について、5名のパネラーが手で触れることにより、うるおい感が非常に良い場合を4点、良い場合を3点、やや悪い場合を2点、及び悪い場合を1点とする4段階で採点した。そして、うるおい感の評価として、5名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、その平均点が3.6点以上の場合を「優れる」とし、2.6点以上3.6点未満の場合を「良好」とし、1.6点以上2.6点未満の場合を「やや悪い」とし、及び1.6点未満の場合を「悪い」とした。
Figure 0005554911
Figure 0005554911
表1に示されるように、(A)L−テアニン、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種、並びに(C)25℃で液状の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一種を含有する実施例1〜12のヘアトリートメント剤で処理した各毛束は、処理直後及び5日後の毛髪の感触及び保湿感いずれの評価も「優れる」であり、保湿感の持続性が発揮されることが確認された。
一方、表2に示されるように、実施例1の(A)L−テアニンを省略した比較例1、同じく実施例1のL−テアニンを、構造が類似したアミノ酸であるL−グルタミンに置換した比較例2は、ダメージ毛束の場合、5日後の保湿感の評価が「悪い」であり、ダメージ毛束において保湿感の持続性が全く発揮されないことが確認された。
(A)L−テアニン、及び(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種を含有し、(C)25℃で液状の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一種を含有しない比較例3と、同じく(C)を本願発明の要件を満たさない成分に置換した比較例4、5は、いずれも未処理毛束において毛髪の感触評価が「悪い」で、(B)による過剰なべたつきを抑えられていないことが確認された。さらにダメージ毛束の場合、5日後の保湿感の評価が「やや悪い」であり、ダメージ毛束において保湿感の持続性が十分発揮されないことも確認された。
(A)L−テアニン、及び(C)25℃で液状の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一種を含有し、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種を含有しない比較例6と、同じく(B)を本願発明の要件を満たさない成分に置換した比較例7は、いずれもダメージ毛束の場合、処理直後の保湿感の評価が「やや悪い」で、5日後の保湿感の評価が「悪い」であり、そもそもダメージ毛束に対し保湿感を十分付与できず、持続性も発揮されないことが確認された。
(染毛剤)
表3に示す各例の組成で染毛剤を調製した。各例の第1剤と第2剤を質量比1:1で混合して染毛組成物を調製し、各毛束に染毛した。染毛した各毛束を室温で20分放置後水洗し、その後は前記ヘアトリートメント剤の実施例と同じ方法及び基準にて評価した。その結果、実施例1〜12と同様の結果が得られた。
Figure 0005554911

Claims (2)

  1. (A)L−テアニン、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種、並びに(C)25℃で液状の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする毛髪処理用組成物。
  2. 前記(C)が、イソステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理用組成物。
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